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俳句的生活

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古志広島ズーム句会(2025年6月1日)

俳句的生活 投稿日:2025年6月1日 作成者: dvx223272025年6月17日

第一句座
矢野京子選
【特選】
ほうたるや息吐く力吸ふ力             原京子
うつし世は去りがたき夢冷奴            今村榾火
夏山や円盤に乗り飛ぶごとく(大宰府天満宮仮拝殿) 長谷川櫂
血涙の色かとおもふ梯梧咲く            大場梅子
麦秋の声よ嗄るるなゼレンスキー          神戸秀子
【入選】
推敲や髪切虫の容赦なく              城山邦紀
わが暮し金魚の目にはつまらなく          矢田民也
米蔵の米は空つぽ青嵐               安藤文
飛梅の実梅といへばことのほか           斉藤真知子
戦なき世界見ゆるか朴の花             瑞木綾乃
初鰹氷りしままを包丁す              安藤文
ガジュマルの葉陰裸の三尺寝            臼杵政治
サングラス私を名乗る私の名            高橋真樹子
半裂の片眼潰して存へり              矢田民也
やはらかき水を枕に未草              斉藤真知子
人踏まぬ土やはらかし夏わらび           石塚純子
楼蘭の乙女の塵か霾るは              長谷川櫂
里に来て母かも知れず初蛍             駒木幹正
がまがへる仏の顔で虫喰らう            安藤文

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
真緑の煮梅一粒忌を修す              大平佳余子
人触れて泰山木の花腐す              今村榾火
人踏まぬ土はやはらか夏わらび           石塚純子
【入選】
冷し酒男は母を恋ふるもの             矢野京子
早苗田を右へ左へ伯備線              ももたなおよ
飛梅の実梅ときけばことのほか           斉藤真知子
戦なき世界みゆるか朴の花             瑞木綾乃
初鰹氷りたるまま包丁す              安藤文
真つ白な麻のハンカチ更衣             神戸秀子
野に森に蝶おびただし沖縄忌            神戸秀子
うつし世は去りがたき夢冷奴            今村榾火
半裂の片眼潰れて存へり              矢田民也
やはらかな水を枕に未草              斉藤真知子
あぢさゐや風が手鞠をつくごとく          矢田民也
睦五郎干潟の国を守るべく             今村榾火
ゼレンスキーの声よ嗄るるな麦の秋         神戸秀子
横綱の風格はやも五月場所             金田伸一
句作りのはかどらぬ夜を青葉木菟          安藤文
天地の静かなる田を植ゑにけり           今村榾火
白き花咲きつぐ信濃走り梅雨            石塚純子
田植歌古米古古米古古古米             大平佳余子
誰もかもスマホ見てゐる薄暑かな          安藤文
虫喰らふ仏の顔のがまがへる            安藤文
いまも来るか鎌倉駅の初燕             神戸秀子

第二句座(席題:額の花、夏布団)
矢野京子選
【特選】
額の花太宰の墓も黄昏れて             岡村美沙子
夏掛やあるかなきかに人の上            長谷川櫂
紫陽花に嫉妬してゐる額の花            安藤文
【入選】
七十のみなしご同志夏蒲団             神戸秀子
一晩中けられひねられ夏蒲団            大平佳余子
額の花重なりあふて点描画             ストーン睦美
親ふたりそして胎の子夏布団            高橋真樹子
夏蒲団デッキに干せる護衛艦            今村榾火
夏布団けふもさよならホームラン          金田伸一

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
七十のみなしご同志夏蒲団             神戸秀子
音立ててくる山霧に額の花             神戸秀子
親ふたりそして胎の子夏布団            高橋真樹子
【入選】
夏掛けを送ると母の手紙来る            臼杵政治
早起きの鳥が窓辺に夏布団             矢野京子
新婚の二人に選ぶ夏布団              上松美智子
夜もすがら引くも跳ねるも夏布団          駒木幹正
夏布団母は小さくなりにけり            石塚純子

「言葉の力」を体現、大岡信展 長谷川冬虹

俳句的生活 投稿日:2025年5月16日 作成者: dvx223272025年6月25日

上京の機会を利用して、5月14日、遅まきながら神奈川近代文学館の大岡信展を観た。あらためて大岡の文学世界のゆたかさ、みずみずしさを実感した。まさに「言葉の力」を信じ、再発見し、切り拓いた生涯であり、国際的なスケールで、また万葉から現代までを自在に往還・架橋し、「孤心」と「うたげ」を見事に体現した人生だったことが理解できた。

大らかで柔らかい動感に充ちた書。

大学ノートに記された詩稿のペン字・推敲の過程、葉書や書簡などは若き日の大岡の息遣いを生々しく伝える。

大岡は1931(昭和6)年生まれで、生涯の友谷川俊太郎も同年生まれである。2人の友情を伝えるコーナーも面白い。大岡たちは戦中期を生き延び、敗戦を14歳で迎え、戦後の解放感を柔らかい感性で受け止め得た世代である。私の専門は社会学だが、社会学者でも1931年生まれはとくに卓越した人材が多い。大岡もそうだが、早くから世に出た人も目立つ。既存の枠組を軽々と越境し、新たな視野からパイオニア的な仕事をするのに世代的に有利な位置を占めていたとも言える。

大岡展はまばゆいほどの刺激に充ちている。5月18日まで開催。

「おくのほそ道」を読む(決定版)ができました 

俳句的生活 投稿日:2025年5月15日 作成者: dvx223272025年6月25日

 新書版の『「おくのほそ道」をよむ』(ちくま新書、2007年)の決定版(ちくま文庫、1,000円+税)がでました。新書版にはなかった現代語訳と「曾良随行日記」が加えられております。ぜひご購読ください。

古志仙台ズーム句会(2025年5月11日)

俳句的生活 投稿日:2025年5月13日 作成者: dvx223272025年5月13日

第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
若鮎の腹は刃の色をして            服部尚子
家中の鍋ぴかぴかにして夏に入る        服部尚子
母逝きし空を遊ぶや鯉幟            川辺酸模
整然と僧兵のごと葱坊主            甲田雅子
曲り家の板の間の艶涼しけれ          谷村和華子
【入選】
南部富士けさも雲乗せ花林檎          及川由美子
予想屋の赤鉛筆や昭和の日           臼杵政治
初夏やピアノレッスン始まる日         佐伯律子
雷鳴の轟く薔薇を切りにけり          長谷川櫂
老鶯ののどをうるほす天の水          三玉一郎
母恋うてお前も鳴くか蟇            川辺酸模
退屈の子が軋ませる籐の椅子          平尾 福
畦青む踏みし大地の柔きこと          谷村和華子
魂の集ふや春の姥捨野             武藤主明
夏の炉や語り部炭を組み直す          谷村和華子

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
用無しの大き浮き球卯波かな          上 俊一
目が覚めて魔の二時三時明易し         那珂侑子
退屈の虫が軋ます籐の椅子           平尾 福
針抜いてしづかになりぬ大岩魚         宮本みさ子
短夜や老犬は死と格闘中            青沼尾燈子
【入選】
家中の鍋ぴかぴかと夏に入る          服部尚子
老犬の隻眼うす目風薫る            青沼尾燈子
客人を迎へて林檎花盛り            阿部けいこ
母のなき空に遊ぶや鯉幟            川辺酸模
足載せて石冷たさよ川の底           宮本みさ子
母に見せたき山藤の長さかな          佐伯律子
板の間の艶涼しけれ大曲家           谷村和華子

掻き落とす泥田の蛭や田股引          上 俊一

【第二句座】(席題:さくらんぼ、豆飯、守宮)
長谷川冬虹
【特選】
さくらんぼ疵あるものも愛ほしき        谷村和華子
ガラス戸に腹の波打つ守宮かな         武藤主明
曲家の主の貌して守宮かな           武藤主明
【入選】
百歳の母の祝ひや豆の飯            川辺酸模
新築の家の匂ひや守宮来る           佐伯律子
ガラス戸に吸盤見えて守宮かな         阿部けいこ
享年は百歳の母豆御飯             佐藤和子
守宮めと丑三つ時の睨み合ひ          谷村和華子
入院の留守を守宮に頼みけり          臼杵政治
騒がれて死んだふりする守宮かな        及川由美子

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
見つむれば母に似てくる守宮かな        川辺酸模
夕暮れて顔見せに来る守宮かな         平尾 福
桜桃の百粒揺るる紙の箱            石川桃瑪
【入選】
新築の家の匂ひに守宮来る           佐伯律子
窓に来て夕餉うらやむ守宮かな         平尾 福
豆飯の豆残すとや子の茶碗           阿部けいこ
勝手口窺ふ守宮今年なし            青沼尾燈子
ガラス戸に腹波打たせ守宮かな         武藤主明
大波の母の一生豆の飯             川辺酸模
さくらんぼ好みし夫の忌を修うす        甲田雅子

古志鎌倉ズーム句会(2025年5月6日)

俳句的生活 投稿日:2025年5月7日 作成者: 田中 益美2025年5月7日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
ひのき飢う二百年後の心柱                土井頼温
かしは餅遠くに雲の湧くごとく          森永尚子
誰もまだゆけぬ泉のひと雫                きだりえこ
激動の地球の隅に新茶汲む            澤田美那子
【入選】
伊勢丹の配車係も更衣                  西川遊歩
改良の果ての阿蘭陀獅子頭                金澤道子
万博はやはり行列夏帽子                 木下洋子
広ごりて山をせり上ぐちんぐるま         土井頼温

•長谷川櫂選
【特々選】推敲例
あやめ草かきわけて入る菖蒲の湯                園田靖彦
みちのくの闇は底なし白牡丹          園田靖彦
激動の地球の隅に新茶汲む           澤田美那子
【特選】
天井にひかりの揺るる菖蒲の湯         佐藤森恵
薫風や蜘蛛は一糸をあたらしく         関根千方
出し雑魚の頭取りをる日永かな         木下洋子
仏像展仏に飽きて夏の雲            森永尚子
三歳で覚えたる味心太             森永尚子
【入選】
おごそかに宇宙をひらく大牡丹         おほずひろし
かたばみの赤き根つこを摘みきれず       藤原智子
メーデーの闘士老いたり我もまた        園田靖彦
さうぶ湯のなまぐさき香や体ぢう        森永尚子
腕通すコットンシャツに夏が来る        葛西美津子
学僧の頤みゆる日傘かな            きだりえこ
函開けて兜を飾る函の上            西川遊歩
鯉幟秩父の山の懐に              藤原智子
伊勢丹の配車係も更衣             西川遊歩
今年こそ風の白藤見にゆかん          金澤道子
月山筍熊より早く採りに行かな         藤英樹

第二句座  (席題:青芭蕉、蝸牛)
•藤英樹選
【特選】
一枚の揺るる葉裏は蝸牛            葛西美津子
糞ひねるまんりき力蝸牛            森永尚子
玉巻きて青き炎の芭蕉かな           きだりえこ
青芭蕉噎せ返りつつ歩く道           久嶋良子
東塔の裳階へそよぐ青芭蕉           きだりえこ
【入選】
軽やかに荒野を巻いて芭蕉かな         イーブン美奈子
枯芭蕉割つて玉巻く芭蕉かな          澤田美那子
八つ手の葉でんでん虫がいつもゐる       金澤道子
江東の風をほぐさん青芭蕉           藤原智子
かたつむりおまえも必死雨の中         吉田順子
蝸牛我に返りて仰ぐ空             久嶋良子
雨音の激しくなりぬ青芭蕉           金澤道子

•長谷川櫂選
【特選】推敲例
おごそかに首めぐらせよ蝸牛          おほずひろし
枯芭蕉割つて玉巻く芭蕉かな          澤田美那子
玉解いてもうずたずたや青芭蕉          藤英樹
【入選】
黒羽や杏子文庫の青芭蕉              藤英樹
けさ一尺ゆふべ一尺かたつむり           藤英樹
太陽に刃をかざす青芭蕉              神谷宣行
糞ひねるまんりき力蝸牛              森永尚子
ゆつくりと地球をめぐるカタツムリ         おほずひろし
江東の風をほぐさん青芭蕉             藤原智子
俳諧の旅のこころや蝸牛              西川遊歩

 

軽井沢新緑句会(2025年5月5日)特選と入選

俳句的生活 投稿日:2025年5月5日 作成者: dvx223272025年5月5日

・長谷川櫂選

一座目
【特選】推敲例
新緑を喜ぶ栗鼠の身の軽さ 越智淳子
大鍋にぐらと筍かへりけり 梅田恵美子
軽井沢村たりしころ麦の秋 越智淳子
【入選】
刈草の匂ひ激しき昼寝かな 北側松太
取り込みしズボンを振れば雨蛙 中野美津子
長旅を終へて涼しき畳かな 北側松太
猫抱けば春の愁ひの重さあり 北側松太
勝訴なれど姉は還らず散る桜 長尾貴代
パンジーに道を訊きたい住宅地 中野美津子
あ
二座目
【特選】推敲例
ゴーギャンの女らによき木下闇 北側松太
生まれたる蝶落ち着かぬ野原かな 梅田恵美子
松落葉鳴らし自転車走り去る 越智淳子
初夏や口にほのかな純米酒 花井淳
【入選】
初筍その姫皮を寿 澤田美那子
かりそめの水に金魚の遊びをり 安藤久美
かたばみや抜こうとすれば花ひらく 中野美津子
ストーブを消しては点けて夏に入る 澤田美那子
夫婦とは言葉少なや冷さうめん 北側松太
くたびれし我くたびれし浴衣かな 北側松太

古志金沢ズーム句会(2025年5月4日)

俳句的生活 投稿日:2025年5月5日 作成者: dvx223272025年5月5日

第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選

【特選】
葛桜みよしのの夜をとぢこめて      安藤久美
灰汁抜かれあはれ筍丸裸         松川まさみ
生命線にぎる嬰児や夏来る        花井淳
薫りよき餅屋句集やつばくらめ      近藤沙羅
チューリップ大笑いして崩れけり     稲垣雄二
句の切れを如何に英訳夏立ちぬ      花井淳
能登を出て能登に戻る子荒神輿      宮田勝
潮騒が慟哭となる水俣忌         趙栄順

【入選】
一粒の意思の静けさ蝸牛         趙栄順
鯉のぼり子ら定年を過ぎにけり      密田妖子
空も海も空きがあります鯉幟       川上あきこ
駆除といふ筍あはれころがりぬ      梅田恵美子
くちびるは覚えてゐたり草の笛      安藤久美
四万十を泳いで渡れ鯉のぼり       安藤久美
どの星へ行こうかジャンケン子どもの日  川上あきこ
幼子に菖蒲湯掛ける頭から        藤倉桂
紀ノ川へ潮さかのぼる立夏かな      玉置陽子
何にでもなれるパン種子供の日      安藤久美
筍の中より竹のあらはれり        田村史生
漣のやうにあやめの咲き初むる      近藤沙羅
穂高嶺の歓声のごと柳絮とぶ       梅田恵美子
ベネチアは水のゆりかご明易き      玉置陽子

・長谷川櫂選

【特々選】推敲例
はつなつや大き虚空の中に我       近藤沙羅
夏めくやわが一日ははや夜に       密田妖子
花よ葉よ吾にもうなき恋の夜       氷室茉胡
筍の中より竹のあらはるる        田村史生
一本の胡瓜を齧り推敲す         田村史生

【特選】
灰汁抜かれあはれ筍丸裸         松川まさみ
くちびるは覚えてゐるか草の笛      安藤久美
チューリップ大笑ひして崩れけり     稲垣雄二
風鈴やまづは指もて鳴らしやる      趙栄順
菩提樹の花こぼるるや蛇の寺       飛岡光枝
蝌蚪のひも眠りてしづか山の路      梅田恵美子
さらさらと夏来たりけり竹林       間宮伸子
切つても切つても吹きあぐる新緑     近藤沙羅
ベネチアは海のゆりかご明易き      玉置陽子
赤箱の石鹸下ろす立夏かな        田村史生
薫風や深くかなしく象の皺        松川まさみ
この國の戦後よ永久に蜃気楼       宮田勝
早苗田にわが家も浮かぶ越の国      酒井きよみ

【入選】
一粒の意志の静けさ蝸牛         趙栄順
心臓を測るベットに春惜しむ       稲垣雄二
山法師町を見おろす峠かな        橋詰育子
薫風や遺伝子のまま髪の生ゆ       土谷眞理子
空も海もまだ空きがある鯉幟       川上あきこ
壬生狂言鐘の中から鬼や出づ       田村史生
葛桜みよしのの夜をそのなかに      安藤久美
薫りよき餅屋句集へつばくらめ      近藤沙羅
天真の土偶の乳房春の月         川上あきこ
柿若葉ブルーシートのままに町      密田妖子
わが庭のわけても柿の若葉かな      橋詰育子
菖蒲湯や後期高齢とは如何に       藤倉桂
辞儀深く見送られゐる薄暑かな      松川まさみ
金沢の菓子なほのこと新茶かな      越智淳子
古家の闇を知りをる守宮かな       清水薫
草茂る輪島通りに人の声         越智淳子
山の池水盛り上げる蝌蚪のひも      梅田恵美子
身をすべる一枚の布五月くる       飛岡光枝
幼子に掛ける菖蒲湯頭から        藤倉桂
紀ノ川を潮さかのぼる立夏かな      玉置陽子
行きあうて八十八夜宵の口        松川まさみ
山彦の歌うて囃す小鮎かな        玉置陽子
蟇の声を辿るや寺の奥          近藤沙羅
七十の体温に薔薇香るかな        趙栄順
万緑や神に任せん吾が命         土谷眞理子
蒔きそこねたる公物の茄子の種      飛岡光枝
筍の深き眠りへ鉈を打つ         梅田恵美子
能登を出て能登に戻る子荒神輿      宮田勝
穂高嶺は歓声をあげ柳絮とぶ       梅田恵美子
清水へ登る坂みな飛花落花        氷室茉胡
早苗田や夕日に燃ゆる越の国       酒井きよみ
余花の雨ふつふつとなほ恋心       氷室茉胡
潮騒が慟哭となる水俣忌         趙栄順
まき散らす一葉もなし青嵐        越智淳子
吾に挑む蚊は軽率をまぬがれず      清水薫
白玉にかがやくえくぼ一つづつ      安藤久美
小満の月はさやかに楠匂ふ        間宮伸子
タンバリン鳴らして子らの夏来たり    間宮伸子

第二句座
 席題:「滝」、「鮑」
・鬼川こまち選

【特選】
ひつぺがす岩になりたる大鮑       稲垣雄二
滝壺や思ひの丈のこゑたまる       松川まさみ
一本の滝立ち上がる御姿         安藤久美
太陽も月も流るる瀑布かな        田村史生
炙られて阿鼻叫喚のあわびかな      梅田恵美子
鮑住む岩は無事かな舳倉島        清水薫
鮑上ぐ海女をいたはる舟の夫       越智淳子
滝しぶき浴びて水の香芳しく       梅田恵美子
神さびの滝音に胸濡らしけり       安藤久美
鮑焼く我ロビンソン・クルーソー     藤倉桂

【入選】
白き炎(ほ)を吐きたる滝や神の声    川上あきこ
日の射して虹うまれけり滝の前      橋詰育子
大あわび捕りて話がおほきくなり     酒井きよみ
神の火に身をよぢりけり大鮑       飛岡光枝
滝音に励まされゆく山の道        近藤沙羅
眼裏に枯山水の滝の音          花井淳
取り落とす鮑は闇へ沈みゆく       長谷川櫂
軽々と羽衣の滝舞ひにけり        間宮伸子
引つ付ひて離れぬ二枚鮑籠        飛岡光枝
何もかも捨ててしまへと大瀑布      田村史生

・長谷川櫂選

【特選】推敲例
あらあらと滝立ち上がる御姿       安藤久美
鮑住む巌は無事か舳倉島         清水薫
能登揺れてすみかはりたる鮑かな     鬼川こまち

【入選】
恙なく隆起の海へ鮑採り         花井淳
箆入れて一気に捌く鮑かな        宮田勝
炙られて身も世もあらぬあわびかな    梅田恵美子
滝壺へカッパを借りる大中小       間宮伸子
滝落ちて轟音に蝶生まれけり       稲垣雄二
吸ひつひて離れぬ二枚鮑籠        飛岡光枝

古志広島ズーム句会(2025年5月3日)

俳句的生活 投稿日:2025年5月3日 作成者: dvx223272025年5月8日

第一句座
・矢野京子選
【特選】
鳥海の山を揺らして雪解水         斉藤真知子
鯉濃の大阪の夏来たりけり         長谷川櫂        
烟らせて佐渡一島を若葉雨         安藤文
牧水のさびしいと言ふ五月かな       今村榾火
更衣わが身のなほも軽くなる        城山邦紀
【入選】
五月富士わが師の誉れ讃へけん       大場梅子
下駄箱に下駄なきふしぎ昭和の日      矢田民也
夏来る鋼のごとき蜘蛛の糸         石塚純子
薫風も汽笛も魚鼓は飲み込んで       加藤裕子
蝌蚪跳ねて四分音符のあと休符       駒木幹正
北国の山より白き牡丹かな         高橋真樹子
戦地より帰りし父の居た夏よ        伊藤靖子
四十兆の細胞奮ふ夏来る          駒木幹正
麦こがしつくづく昭和の子なりけり     矢田民也
白樺と白樺つなぐハンモック        高橋真樹子

・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
柚の花の君でありしがはや三年       大場梅子
雲の峰亡国のうた四辺より         神戸秀子
ひと息で散りたきものを牡丹かな      斉藤真知子
世界なほ戦場である麦の秋         矢田民也
薮を出てたけのこ眠る冷蔵庫        安藤文
【入選】
酔ひざめの顔吹き渡れ青嵐         安藤文
万緑や心のままに淡く濃く         矢野京子
雪解水鳥海山を揺らしては         斉藤真知子
羊羹の箱に眠れる蚕かな          神戸秀子
夏来たり鋼のごとき蜘蛛の糸        石塚純子
締まりつつ丸くなりゆくキャベツかな    矢田民也    
万緑や大蛇のごとく山動く         駒木幹正
みちのくに大きな句集柏餅         大平佳余子
涼しさや俳句の国へ朝刊来         瑞木綾乃
果てしなく続く水田は空写す        伊藤靖子
牧水のさびしと言ひし五月来る       今村榾火
戦地より帰りし父の居た夏よ        伊藤靖子
更衣わが身のなほも重くなる        城山邦紀
散り敷いて花のこころや桜蕊        ももたなおよ
行く春や母が残せし短歌メモ        今村榾火

第二句座(席題:茶摘み、初鰹)
・矢野京子選
【特選】
この一句釣り損ねたり初鰹         城山邦紀
一番茶大海原を渡りける          ストーン睦美
龍のすむ雲の中なる茶摘かな        長谷川櫂
【入選】
アンパンマン生まれし国の初鰹       ストーン睦美
五七五竿にキラリと初鰹          城山邦紀
道なりに県境こゆる茶摘かな        今村榾火
背に馴染みゆく真つ青の茶摘籠       高橋真樹子
夫の眼の選ぶ一匹初鰹           石塚純子

・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
土佐なれや酒は酔鯨初がつを        矢田民也
あをあをと背になじみけり茶摘籠      高橋真樹子
眩暈する茶摘の畝の只中へ         今村榾火
【入選】
アンパンマン生まれし国の初鰹       ストーン睦美
茶を摘むや一日神代の人となり       矢野京子
一番茶大海原を渡り来つ          ストーン睦美
高らかに農学校の茶摘唄          駒木幹正
初鰹彷彿として父の胸           今村榾火
わが庭の摘む人もなき茶の木かな      金田伸一
通の眼の選ぶ一頭初鰹           石塚純子 
別れ話聞いて茶摘みのはかどらず      岡村美沙子
老いたれば腹皮もよし初鰹         加藤裕子
乾坤を炙りて焦がす初鰹          矢田民也  

古志仙台ズーム句会(2025年4月27日)

俳句的生活 投稿日:2025年4月28日 作成者: dvx223272025年4月28日

第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
揚雲雀忘じ難きは父の貌            川村杳平
樹木葬姉の遺愛の白牡丹            佐藤和子
蛍烏賊食うて五臓の闇光る           石川桃瑪
海底のピアノしづかに行く春ぞ         長谷川櫂
【入選】
金剛の蕾ほどけば緋の牡丹           齋藤嘉子
一個づつ重ねし餅が春の山           三玉一郎
それぞれに崩れ辛夷の六花弁          阿部けいこ
突然に燃ゆる木となり躑躅咲く         齋藤嘉子
山笑ふ杵高々と餅搗かん            上村幸三
初夏の声はとどかず水俣忌           三玉一郎

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
取りあへずゴジラ体操して朝寝         那珂侑子
白妙の富士を自慢の田螺かな          平尾 福
豊かなる湯気も均して白子干す         谷村和華子
虻も蜂もこれはこれはと藤の花         平尾 福
藤古木捻れて朽ちて花を浴ぶ          武藤主明

【入選】
言祝げば花はふたたび枝に咲く         服部尚子
あの日あなたが生きようとしたあの夏へ     三玉一郎
紙切れを栞に挟む春の風            宮本みさ子
花冷の手に衝撃の一句集            川村杳平
草丈のいつしか五寸薄暑かな          石川桃瑪
うららかや洗濯物が飛んでくる         那珂侑子
養蚕所跡は連翹まつさかり           阿部けいこ
入学児明日の鉛筆かぞへをり          甲田雅子
句集から餅まろびでる桜かな          那珂侑子
満開のさくらの沖をフェリー行く        甲田雅子
海猫の声に返さむ茶摘唄            臼杵政治

【第二句座】(席題:桜蕊、春炬燵、百千鳥)
長谷川冬虹
【特選】
百千鳥小町の墓を囃しては           上村幸三
それぞれに恋を語るや百千鳥          青沼尾燈子
何かあるたびに逃げ込む春炬燵         三玉一郎
桜蕊踏んで駆けだす豆剣士           武藤主明
桜蕊絡みて風の毬となり            阿部けいこ
【入選】
全生徒五名に降るは桜蘂            佐藤和子
春炬燵窓の外には南部富士           齋藤嘉子
春炬燵また序文から読み始め          上 俊一
春ごたつ潜り孤独になりたき日         宮本みさ子
旅果てて春炬燵へと戻り来る          平尾 福
桜しべ人のとほらぬ小径かな          長谷川櫂
合格の報待つ二人春炬燵            臼杵政治
ひつそりと被災の村の桜蕊           甲田雅子
ゆたかなる硯がひとつ春炬燵          三玉一郎
陵は小さく吉野の百千鳥            齋藤嘉子

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
旅果てて春の炬燵に戻りけり          平尾 福
ひつそりと被災の村の桜蕊           甲田雅子
百千鳥餅屋句集を寿ぎぬ            平尾 福

【入選】
空広き鎌倉山の百千鳥             石川桃瑪
全生徒五名に降るは桜蘂            佐藤和子
しまつては又出してくる春炬燵         那珂侑子
燃ゆるごと桜しべ降るゴミ置場         那珂侑子

花神社版『飴山實全句集』完売しました

俳句的生活 投稿日:2025年4月24日 作成者: KAI2025年5月31日

来年2026年は飴山實生誕100年に当たります。これを記念して古志社では文庫版『飴山實全句集』(朔出版)の編集を進めています。

この本の元になった花神社版『飴山實全句集』(2003年)が8部見つかり、すでに3部は売約済み、残り5部を定価(8000円)と送料でお分けします。

必要な方はこのサイトの事務局へご連絡ください。合計金額と振込先をお知らせします。

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読売新聞「四季」から

今年てふ未来ありけり初鏡      田辺麦甫

 これから来る時間を未来というと、何だか輝いているような気がする。それはこの言葉の音の力。美しいmとrの子音があり、aiもある。それに対して過去という言葉は最後の母音oで沈みこむ。初鏡は年が明けて初めてのぞきこむ鏡。『鳥渡る』

2月11日(水) 古志雪中ズーム句会

  • 2月11日(土)、午後1時30分から二座行います。
  • 雪の句を十句ご用意ください。席題はありません。
  • 会費は2,000円(参加者にはあとで振込口座をお知らせいたします)
  • 申込締切=1月31日
  • 古志の同人・会員でないと参加できません。

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      • 12月27日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 12月28日(日)仙台ズーム句会
      • 1月4日(日)広島ズーム句会
      • 1月10日(土)朝カルズーム講座「『おくのほそ道』をよむ」」
      • 1月11日(日)鎌倉ズーム句会
      • 1月12日(月、成人の日)金沢ズーム句会
      • 1月17日(土)NHKラジオ「文芸選評」
      • 1月24日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 1月25日(日)仙台ズーム句会
      • 2月1日(日)広島ズーム句会
      • 2月7日(土)HAIKU+
      • 2月8日(日)鎌倉ズーム句会
      • 2月11日(水、建国記念日)雪中ズーム句会
      • 2月14日(土)朝カルズーム講座「『おくのほそ道』をよむ」」
      • 2月15日(日)金沢ズーム句会
      • 2月22日(日)ネット投句のスクーリング
      • 2月23日(月、天皇誕生日)句会仙台ズーム句会
      • 2月28日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」

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      『「おくのほそ道」を読む 決定版』
      ちくま文庫
      1,000円+税
      2025年5月刊行


      『四季のうた ウクライナの琴』
      中公文庫
      800円+税
      2025年1月刊行


      『長谷川櫂 自選五〇〇句』
      朔出版
      2200円+税
      2024年4月刊行


      『四季のうた 井戸端会議の文学』
      中公文庫
      800円+税
      2024年1月刊行


      『小林一茶』
      河出文庫
      800円+税
      2024年1月刊行


      『ふじさわびと』vol.26
      株式会社ふじさわびと
      無料配布
      2023年1月発行


      『四季のうた 雨ニモマケズ』
      中公文庫
      800円+税
      2023年1月刊行


      『和の思想』
      岩波新書
      980円+税
      2022年7月刊行


      『俳句と人間』(3刷)
      岩波新書
      860円+税
      2022年1月刊行


      100分de名著『おくのほそ道』(10刷)
      NHK出版
      1,000円+税
      2014年10月刊行


      『四季のうた 美しい日々』
      中公文庫
      800円+税
      2022年1月刊行


      句集『太陽の門』
      青磁社
      2200円+税
      2021年8月刊行


      『四季のうた 天女の雪蹴り』
      中公文庫
      800円+税
      2021年1月刊行


      大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
      長谷川櫂 編
      岩波新書
      780円+税
      2019年12月刊行


      『四季のうた 普段着のこころ』
      中公文庫
      800円+税
      2019年12月刊行


      大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
      長谷川櫂 編
      岩波新書
      780円+税
      2019年11月刊行


      『歌仙一永遠の一瞬』
      岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
      思潮社
      2200円+税
      2019年1月刊行


      『歌仙はすごい』
      辻原登、永田和宏、長谷川櫂
      中公新書
      880円+税
      2019年1月刊行


      『四季のうた 至福の時間』
      中公文庫
      700円+税
      2018年12月刊行


      『九月』
      青磁社
      1800円+税
      2018年8月刊行


      『Okinawa』
      Red Moon Press
      $15
      俳句 長谷川櫂
      英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
      2018年5月刊行


      『俳句の誕生』(4刷)
      筑摩書房
      2300円+税
      2018年3月刊行


      『四季のうた 想像力という翼』
      中公文庫
      700円+税
      2017年12月刊行


      『芭蕉さん』
      俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
      選句解説・長谷川櫂
      講談社
      1500円+税
      2017年3月刊行


      『震災歌集 震災句集』
      青磁社
      2000円+税
      2017年3月刊行


      『四季のうた 文字のかなたの声』
      中公文庫
      600円+税
      2016年12月刊行


      藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
      花神社
      2500円+税
      2016年10月刊行


      『文学部で読む日本国憲法』
      ちくまプリマー新書
      780円+税
      2016年8月刊行


      『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
      松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
      河出書房新社
      2,600円+税
      2016年6月刊行


      『四季のうた 微笑む宇宙』
      中公文庫
      700円+税
      2016年3月刊行


      『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
      筑摩選書
      1,500円+税
      2015年10月刊行


      『沖縄』
      青磁社
      1,600円+税
      2015年9月刊行


      『入門 松尾芭蕉』
      長谷川櫂 監修
      別冊宝島
      680円+税
      2015年8月刊行


      『歌仙一滴の宇宙』
      岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
      思潮社
      2000円+税
      2015年2月刊行


      『吉野』
      青磁社
      1,800円+税
      2014年4月刊行
      ----------

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