第一句座
•藤英樹選
【特選】
いくたびも撫でつけて鶏闘はす イーブン美奈子
雪の水雪を走りて雪の中 長谷川櫂
海に出て小さき東京鳥帰る 神谷宣行
さへづりは命の丈を越えにけり 森永尚子
いくつもの戦越えきし雛かな 萬燈ゆき
朦朧といまだ眠れる春田かな 園田靖彦
【入選】
職退いてなんて大きな春の月 葛西美津子
撫肩の栄螺ばかりや籠の中 葛西美津子
戦争の塵もまじりて霾れり 関根千方
今もなほ人を待ちたる春炬燵 藤原智子
プリプリの宇和の鯛めし風光る わたなべかよ
遺書かきて少しメランコリー花曇 湯浅菊子
恐るべき老人であれ草の餅 神谷宣行
•長谷川櫂選
【特選】
いくたびも撫でつけて鶏闘はす イーブン美奈子
くれなゐの色に酔ひつつ雛飾る 萬燈ゆき
若鮎の色に染まりぬ千曲川 吉田順子
つばくろの掠めて花屋自転車屋 長井はるみ
恐るべき老人であれ草の餅 神谷宣行
【入選】
職退いてなんて大きな春の月 葛西美津子
まづは一献沖漬の蛍烏賊 金澤道子
どす黒き津波の海に春の月 藤英樹
剪定の音遠近に蜜柑山 きだりえこ
礒鷲の舞ヘル真下に魞を挿す 曽根崇
撫肩の栄螺ばかりや籠の中 葛西美津子
三万人帰らぬ故郷地虫出づ 藤英樹
我に見え君に見えざる蝶ひとつ 萬燈ゆき
東日本大震災忌米を研ぐ 藤英樹
乗込の鯛もおどろく汚染水 藤英樹
戦争の塵もまじりて霾れり 関根千方
青銅に殷の金文ひばり鳴く 仲田寛子
海に出て小さき東京鳥帰る 神谷宣行
亀鳴くや箍の外れた国に棲み きだりえこ
プリプリの宇和の鯛めし風光る わたなべかよ
白木蓮残し母屋の壊さるる 田中益美
第二句座(席題:馬刀貝、春泥)
•藤英樹選
【特選】
引き抜いて馬刀貝採りの果てもなや 澤田美那子
一塊の春泥なるや三笠山 きだりえこ
戦後てふ言葉は死にき春の泥 萬燈ゆき
馬蛤貝や余さずすするバター汁 森永尚子
馬刀掘るや顔に飛び来る塩の水 おほずひろし
春泥は白く乾きぬランドセル 長井はるみ
【入選】
5 洗つても落ちぬ春泥ラガーシャツ 木下洋子
14 春泥に蓆のせたり婚の家 曽根崇
34 馬刃貝の殻からからと風に鳴る 葛西美津子
39 盗塁を決めて誉の春の泥 木下洋子
46 ゆくところゆくところまた春の泥 関根千方
66 馬刀の身は殻のかたちに従ひぬ 長谷川櫂
70 馬蛤貝を掘るや一日長きこと 藤原智子
71 馬刃貝の愚鈍なる身を火の上へ 葛西美津子
•長谷川櫂選
【特選】
一塊の春泥なるや三笠山 きだりえこ
春泥の中なめらかに水流る 曽根崇
盗塁を決めて誉の春の泥 木下洋子
【入選】
引き抜いて馬刀貝採りの果てもなや 澤田美那子
馬刀掘るや顔に飛び来る塩の水 おほずひろし
馬蛤貝のうつかり顔を出しにけり 藤原智子