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俳句的生活

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作成者アーカイブ: 田中 益美

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古志鎌倉ズーム句会(2022年6月12日)

俳句的生活 投稿日:2022年6月13日 作成者: 田中 益美2022年6月13日

第一句座
【特選】
•藤英樹選
ひらがなの国に生まれて衣がへ   長谷川櫂
時代てふ顔なき巨人青嵐      萬燈ゆき
夕焼に人呼ぶ声やウクライナ    イーブン美奈子
冷やしたぬきそば命したたかなりにけり 森永尚子
ほうたるや風にぶつかりつつ交む  曽根崇
執着を捨てて涼しき四畳半      喜田りえこ
一突きの時の流れの心太      西川遊歩
【入選】
ぼうふりの天地定めぬ浮沈かな   湯浅菊子
けさ空にひとつ泰山木の花     葛西美津子
生臭し蝙蝠のゐて人がゐて     イーブン美奈子
追憶はサマードレスの数ほどに   萬燈ゆき
狡さ我が五臓に棲めり額の花    イーブン美奈子
尻重し頭重たし蟻地獄       関根千方
高速でメール打つ子やソーダ水   木下洋子
ジャムを煮てひと日籠れり梅雨の家 葛西美津子

•長谷川櫂選
【特選】
竹の節ごつとありけり渋団扇     澤田美那子
シュプレヒコール遥か六月十五日  喜田りえこ
点滴とつながれしまま梅雨に入る  園田靖彦
ほうたるの闇やはらかく人うごく  曽根崇
逆巻いてうねる吾が髪梅雨に入る  わたなべかよ
【入選】
時代てふ顔なき巨人青嵐      萬燈ゆき
けさ空にひとつ泰山木の花     葛西美津子
向日葵も戦士のかほをしてゐたる  藤英樹
しんかんと我が宇宙なり籐寝椅子  湯浅菊子
崩さねば崩れてしまふかき氷    関根千方

第二句座 (席題:蜥蜴、蚊遣)
•藤英樹選
【特選】
明日売る牛に最後の蚊遣焚く    曽根崇
大蜥蜴ぬつと行く手を阻みけり   イーブン美奈子
それぞれの家の香りの蚊遣火よ   藤原智子
懐かしく切なきものよ蚊遣香    田中益美
父ありし日の縁側の蚊遣豚     おほずひろし
【入選】
昼着きて蚊遣の宿の記帳かな    森永尚子
蚊遣香夢の中まで匂ひけり     曽根崇
蚊遣焚く事よりはじめソロキャンプ 金澤道子
蚊遣火を腰にぶらさげ銃を持つ   関根千方
つつがなく法事も終わり蚊遣香   田中益美
蚊遣火の渦消ゆるまで推敲す    関根千方
笠智衆しづかに点す蚊遣香     西川遊歩
蚊遣火やもう帰るとは言ひ出せず  イーブン美奈子

•長谷川櫂選
【特選】
蜥蜴の尾生々しくも光りけり    吉田順子
動くもの蜥蜴ばかりの空き家かな  田中益美
蚊遣火の渦消ゆるまで推敲す    関根千方
切られたる蜥蜴の尻尾呆然と    西川遊歩
瑠璃蜥蜴金毘羅さまの神橋に    曽根崇
【入選】
明日売る牛に最後の蚊遣焚く    曽根崇
古書店は店ぢゆう匂ふ蚊遣かな   藤英樹
生家とはふかく沁みたる蚊遣香   萬燈ゆき
蚊遣火や女の白きふくらはぎ    葛西美津子
川風にまたも燃え立つ蚊遣の火   葛西美津子
蚊遣香山ほど持たせ送り出す    長井はるみ
懐かしく切なきものよ蚊遣香    田中益美
探鳥や腰に吊るして蚊遣香     金澤道子
夕暮れのにほひと思ふ蚊遣りかな  喜田りえこ
父ありし日の縁側の蚊遣豚     おほずひろし

 

古志鎌倉ズーム句会(2022年5月15日)

俳句的生活 投稿日:2022年5月16日 作成者: 田中 益美2022年5月16日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
人間の愚かさ唄へ牛蛙        萬燈ゆき
遠雷や庖丁あをく静もれる     わたなべかよ
新緑に潰されさうな我が家かな    曽根崇
国の秀をボロボロにして夜盗虫    升谷正博
夏めくやがばりと大き鯉の口     金澤道子
深みゆく人間の闇五月闇       萬燈ゆき
【入選】
我がいびき我が耳できく昼寝かな  森永尚子
八十歳マーガレツトの明るさよ   長井はるみ
筍を包む地元紙読みふける     園田靖彦
覗きこむ顔よりおおき牡丹かな   升谷正博
鉄線の花また花や惜しみなく    藤原智子
戦争が顔を覗かせ五月闇      萬燈ゆき
海の宮信心よりも穴子飯      森永尚子

•長谷川櫂選
【特選】
覗きこむ顔よりおおき牡丹かな    升谷正博
尿日記したためをれば梅雨に入る  園田靖彦
夏めくやがばりと大き鯉の口     金澤道子
【入選】
舟虫に大小ありてあはれなり    森永尚子
八十歳マーガレツトの明るさよ   長井はるみ
犬小屋はずつと空つぽ柿の花    仲田寛子
日々観察形よくなれ青瓢      田中益美
太陽に一番近き薔薇咲けり     藤英樹
幻の葬列の行く夏野かな      喜田りえこ
蛍待つ二つとなりし影法師      関根千方
弘法のいはれの水や種浸す      曽根崇

第二句座 ( 席題:青梅、団扇 )
•藤英樹選
【特選】
青梅のふくふくとして雨の中    澤田美那子
まだ固き風ままならず渋団扇    長谷川櫂
家ぢゆうに実梅の香り母在す    わたなべかよ
弾痕のからだ晒せし団扇かな    萬燈ゆき
座らせて団扇一つで裁きけり    関根千方
団扇てふこの世の名残のやうなもの 森永尚子
【入選】
白団扇墨の勢ひの円ひとつ      西川遊歩
言ひたいだけ言つて帰りぬ団扇かな  金澤道子
帰省子をあふぐやあふぐ団扇かな   園田靖彦
南部より十キロの箱実梅かな     わたなべかよ
大仏を仰ぐ団扇の客百人       園田靖彦
殺さずに風で払へと団扇受く     喜田りえこ
盆栽につぶら青梅見つけたり     湯浅菊子
ごろごろと青梅洗ふ三百個      葛西美津子
青梅や母の黒髪豊かなる       藤原智子
団扇持つて襟すこしだけ抜いて待つ  長井はるみ

•長谷川櫂選
【特選】
青梅のあおあおとして眠る甕      吉田順子
友の死を受けとめかねて団扇かな   木下洋子
人の死に人のあつまる団扇かな    萬燈ゆき
座らせて団扇一つで裁きけり     関根千方
竹一本裂いて涼しき白団扇      澤田美那子
【入選】
客席はどこもぱたぱた団扇かな   イーブン美奈子
白団扇墨の勢ひの円ひとつ     西川遊歩
言ひたいだけ言つて帰りぬ団扇かな 金澤道子
青梅を拾ひて捨てて吟行す     金澤道子
ごろごろと青梅洗ふ三百個     葛西美津子
それぞれの正義疎まし実梅捥ぐ   木下洋子
またもらふ開店記念うちはかな   森永尚子
団扇の手一瞬止まる知らせかな   関根千方
意表突く一手に止まる団扇かな   曽根崇
弾痕のからだ晒せし団扇かな    萬燈ゆき
ぎしぎしと青梅は空埋めんとす   関根千方
左右の手に子供があふぐ団扇かな  仲田寛子
団扇てふこの世の名残のやうなもの 森永尚子
クーラーをうちわで煽ぐ暑さかな  仲田寛子

古志鎌倉ズーム句会(2022年4月17日)

俳句的生活 投稿日:2022年4月18日 作成者: 田中 益美2022年4月20日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
咲き満ちてひとひらこぼす桜かな  萬燈ゆき
戦争の只中を春ゆきにけり     関根千方
いちめんの菜の花揺るる近江かな  木下洋子
一村を沈めしダム湖余花白し    曽根崇
わが息の虹色となる石鹸玉     澤田美那子
永き日や嘆きては人別れゆく       長谷川櫂
戦乱や人心春の泥まみれ         西川遊歩
【入選】
一輪の淫らなるまで桃の花       長谷川櫂
うぶすなを奪ふ戦車や忘れ霜      木下洋子
目覚むれば桜の白き闇ばかり      イーブン美奈子
夕烏若葉揺すりて巣の支度       おほずひろし
あつけらかんと顎はずしチユーリツプ 長井はるみ
侵略が大手を振つて春が逝く      木下洋子
花見よし酒の香のなき墨堤よ      吉田順子

•長谷川櫂選
【特選】
戦争の只中を春ゆきにけり      関根千方
独裁者退がれ退がれと潮まねき       藤英樹
灌仏の風渡りゆく大甍           喜田りえこ
【入選】
八十八夜砲撃の止まざりき      関根千方
くるぶしの癒えて八十八夜かな    仲田寛子
めぐり来て春おそろしく傷ましく   葛西美津子
マスクして顔失ひし桜かな      萬燈ゆき
ゴミ出しのついでに覗く花まつり   喜田りえこ
箱ずしのもう売り切れて八重桜    森永尚子
人を信じず花冷の坂下る       イーブン美奈子
かけがへなき一木一草青き踏む    仲田寛子
春愁をこぼして廻る水車かな     萬燈ゆき
飯蛸は焼かれて花の脚ひらく     関根千方

第二句座 (席題:燕、開帳)
•藤英樹選
【特選】
東京の燕すくなくなりにけり   吉田順子
ひとところ花影妖し御開帳    萬燈ゆき
明日見えぬ瓦礫の町へ燕来る   西川遊歩
鬱鬱と燕の空となりにけり    澤田美那子
【入選】
水張つて棚田千枚つばくらめ   萬燈ゆき
燕の巣土間の入り口開けておく  田中益美
御開帳なにもなき闇拝みけり   神谷宣行
大川の波をかすめて初つばめ   園田靖彦
秘仏なほ隠せしままに御開帳   萬燈ゆき

•長谷川櫂選
【特選】
金色のいやまぶしさよご開帳     葛西美津子
村の人みな年とりぬ御開帳      仲田寛子
風切つて燕とびゆく美しさ         吉田順子
青権現どんと三体開帳す          イーブン美奈子
開帳の秘仏ながめん裏表          園田靖彦
【入選】
駅うらは昭和の匂ひ夕つばめ     升谷正博
白絹で御足さすりぬご開帳      葛西美津子
ひらひらと蝶舞ひ込みぬ御開帳    藤英樹
開帳に舟の混みあふ浦港       曽根崇
その中に義士の甲冑出開帳      木下洋子
観音の御足に触るる居開帳      金澤道子
ひとところ花影妖し御開帳      萬燈ゆき
開帳のなにか知らねど頭垂れ     升谷正博
ぼろぼろの真田紐解き御開帳     仲田寛子
御開帳なにもなき闇拝みけり     神谷宣行
車椅子出入り自由の御開帳      田中益美
開帳や厨子も仏もあな小さ      森永尚子
花の山とびら開いてお厨子かな    森永尚子
開帳をよろこびあひて和布干す    曽根崇

古志鎌倉ズーム句会(2022年3月13日)

俳句的生活 投稿日:2022年3月14日 作成者: 田中 益美2022年3月14日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
種袋取り出してくる飴山忌    澤田美那子
マトリョーシカ目耳口きえ春寒し 仲田寛子
幸せな朝寝などなき世界かな    森永尚子
鬱勃と空はミモザの花盛り    葛西美津子
窓開けて耳すましたる震災忌   藤原智子
卒業の声なき歌よ花となれ    藤原智子
枝垂れ梅戦争なんぞ知らぬかに  吉田順子
難民の列春の彼方へつづきけり  長谷川櫂
三月十一日あの夜も聴きしオルゴール 森永尚子
悪夢より覚めても悪夢残る雪   木下洋子
春風が吹いて戦争起こりけり   長谷川櫂
春ある日国境に戦車現れき    長谷川櫂
【入選】
飴山忌高きところに花辛夷    おほずひろし
能登はいま花の時雨か飴山忌   神谷宣行
戦場や毛布に眠る赤ん坊     長谷川櫂
飴山忌石見は辛夷咲くころか   木下洋子
明日来るを信じて眠る子猫かな  木下洋子
白山の花にさきがけ飴山忌    園田靖彦
ずぶりと手入れて花烏賊洗ひけり イーブン美奈子
梅にほふ谷戸みな寺につきあたり 金澤道子
防空壕に潜みし記憶花薺     澤田美那子
青は風黄色は光るウクライナ   関根千方

•長谷川櫂選
【特選】
水温む土手歩みくる影法師    おほずひろし
白山の花にさきがけ飴山忌    園田靖彦
沈め置く粗砥(あらと)ずつしり春の水 西川遊歩
水の空仰ぎ飴山實の忌      葛西美津子
墨香る花の便りや春きたる    魚返みりん
【入選】
能登はいま花の時雨か飴山忌   神谷宣行
草に木に恵みの雨や実の忌    曽根 崇
實忌の蕾ふくらむ花辛夷     喜田りえこ
ハリコフの瓦礫の空を囀れり   萬燈ゆき
飴山忌戦あるなと詠みたまふ   吉田順子
能登瓦濡らす春雨實の忌     西川遊歩
朧夜の寝間へ降りゆく吉野建   わたなべかよ
飴山忌石見は辛夷咲くころか   木下洋子
ゆつたりと頁に一句飴山忌    わたなべかよ
飴山忌辛夷の花の咲き初むる   わたなべかよ
悪夢より覚めても悪夢残る雪   木下洋子
手に残る花のつめたさ利休の忌  藤英樹
独裁者人類の春踏みにじる    藤英樹
木蓮の莟ひかるや飴山忌     藤原智子
白山の雪嶺おろし飴山忌     湯浅菊子
起上小法師さ揺らし實の忌    仲田寛子

第二句座(席題:北窓開く、フリージア)
•藤英樹選
【特選】
ぞくぞくと武器渡る海フリージア イーブン美奈子
フリージア希望の色を失はず   関根千方
フリージア若き娘のさざめきに  澤田美那子
北窓開く見慣れし山の懐かしく  木下洋子
北窓をあけ俳諧の風入れん    萬燈ゆき
北窓を開け西脇の詩をうたふ   西川遊歩
フリージア子と孫のため戦場へ  木下洋子
【入選】
北窓を開きても春来ぬ国よ    イーブン美奈子
わが俳句拓く北窓開けにけり   萬燈ゆき
少女から少女に渡すフリージア  森永尚子
北窓開く埃は空に帰りけり    藤原智子
フリージアの香り浴びたりオール漕ぐ 神谷宣行
北窓を開き煙の浅間山      神谷宣行
フリージア離れ離れになる妻へ  木下洋子
フリージア戦車に踏ませてはならじ 仲田寛子
フリージア香る机に転校生    葛西美津子
北窓を開くや潮鳴り迫りくる   曽根崇
北窓を開けば外に鳥のこゑ    おほずひろし

•長谷川櫂選
【特選】
北窓を開きても春来ぬ国よ    イーブン美奈子
一筆啓上北窓を開きたり     長井はるみ
【入選】
わが俳句拓く北窓開けにけり   萬燈ゆき
妻のせしやうに北窓開きけり   藤英樹
フリージア離れ離れになる妻へ  木下洋子
フリージア香る机に転校生    葛西美津子
北窓を開ければ瓦礫の街であり  喜田りえこ
停戦を叫ぶ北窓開けてあり    升谷正博

 

古志鎌倉ズーム句会(2022年2月13日)

俳句的生活 投稿日:2022年2月14日 作成者: 田中 益美2022年3月1日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
龍太忌のとほき空から雪解風   仲田寛子
妖艶に紅かくやくと花椿     湯浅菊子
白山の機嫌うかがひ雪下す    園田靖彦
龍太忌の桃の剪定はじまりぬ   長谷川櫂
紅梅は夢のごとしや龍太の忌   長谷川櫂
夕暮といふひとときの春障子   澤田美那子
龍太忌の後山ほつほつ蕗のたう  わたなべかよ
春の山どつしりとして龍太の忌  おほずひろし
【入選】
かくれなき山峡の春龍太の忌   升谷正博
早春の坂のぼり行く龍太の忌   わたなべかよ
龍太忌の空をゆたかに花辛夷   澤田美那子
春セーター老いの乳房のかるがると 森永尚子
梅一輪氷の風にひらきけり    森永尚子
手も足も伸びて蛙の小さきかな  イーブン美奈子
夢の世の夢のごとしや雛あられ  萬燈ゆき
めざめゆく甲斐の山々龍太の忌  木下洋子

•長谷川櫂選
【特選】
春霞どの山みても龍太の忌       おほずひろし
大阪で見上ぐる月も龍太の忌   澤田美那子
苧環の花のゆかしき後山かな   葛西美津子
【入選】
紅ばかり子は拾ひつつ雛あられ  萬燈ゆき
木々の芽にみなぎる力龍太の忌  金澤道子
龍太忌の空をゆたかに花辛夷   澤田美那子
龍太忌のまだ莟なる梅健気    曽根崇
滔滔と大海原へ雪解水      喜田りえこ
龍太亡きこの十五年冴返る    藤英樹
梅一輪氷の風にひらきけり    森永尚子
一粒づつ食ぶはもどかし雛あられ 萬燈ゆき
龍太忌や心に梅の一句あり    藤英樹
春風や龍太を探す甲斐の空    喜田りえこ
雪折れの木々の嘆きを龍太の忌  萬燈ゆき
この店の白ひといろの雛あられ  萬燈ゆき
龍太忌や山盧の土間に靴あふれ  西川遊歩
鳥一羽翔んでゐるなり春休み   おほずひろし
あられ炒る鉄鍋熱し龍太の忌   田中益美
春寒や触れずに開くエレベーター 木下洋子

第二句座(席題:春暁、鳥の巣)
•藤英樹選
【特選】
春暁や金の小皿と銀の箸     喜田りえこ
橅の木の大空間に巣箱かな    長谷川櫂
大枝を揺らして鷺の巣組かな   関根千方
鷲の巣や誰も行けざる大空に   長谷川櫂
春暁や難民テント犇いて     木下洋子
春暁や大地の傷は癒えたるか   藤原智子
夕さりの風に遊ばれ小鳥の巣   葛西美津子
【入選】
鳥の巣にいよよ飛び出すころの声 園田靖彦
ハンガーに育むいのち鴉の巣   曽根崇
解体車いつの間にやら鳥の巣に  田中益美
春暁や再び眠る淵深く      澤田美那子
鬼瓦守るや雀一家の巣      西川遊歩
春暁や夢のきれぎれ拾ひをり   魚返みりん
ぶらさがる鳥の巣三つ四つかな  イーブン美奈子
春暁の波やわらかき防波堤    升谷正博
目覚むれば春曙の吉野山     喜田りえこ
干潮を待ちて鷹の巣見にゆかん  金澤道子
鴉の巣ラピスラズリの欠片あり  葛西美津子
鳥の巣や何か異なものはみ出して 長井はるみ

•長谷川櫂選
【特選】
小鳥の巣ならんこんなに柔らかく イーブン美奈子
干潮を待ちて鷹の巣見にゆかん  金澤道子
あかあかと燃ゆる鳥の巣夕日中  藤英樹
【入選】
大枝を揺らして鷺の巣組かな   関根千方
鬼瓦守るや雀一家の巣      西川遊歩
落ちさうで落ちぬ鳥の巣崖の上  藤英樹
松林高きところに古巣かな    おほずひろし
ぶらさがる鳥の巣三つ四つかな    イーブン美奈子

古志鎌倉ズーム句会(2022年1月16日)

俳句的生活 投稿日:2022年1月17日 作成者: 田中 益美2022年1月17日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
千年の楠のかたちの淑気かな    升谷正博
神鶏の声伸びやかに初詣      曽根崇
なみなみと焙じ茶いれて冬深し   曽根崇
どよめかせ宙乗りに沸く初芝居   西川遊歩
金継ぎの碗の一服寒に入る     升谷正博
駆け巡るパンデミックス地球凍つ  仲田寛子
【入選】
豊満なイヴとなりたる初湯かな   イーブン美奈子
一畳の大鮟鱇のぬめりかな     西川遊歩
綾とりの橋架け替へて春を待つ   園田靖彦
場違いなほどに大輪寒牡丹     田中益美
人の世の花なきころを寒の紅    森永尚子
蝋梅や背筋伸ばして通りけり    おほずひろし
餅花の白一色にふぶきけり     長谷川櫂
雪国に白くまばゆし蕪寿し     葛西美津子
霜晴の野を煌めかせ雀とぶ     曽根崇
一生涯をんな盛りや初鏡      萬燈ゆき

•長谷川櫂選
【特選】
煩悩の一本道を着ぶくれて      森永尚子
しらさぎの群れゆく冬の彼方かな  イーブン美奈子
天井絵龍もたじろぐ寒さかな    湯浅菊子
【入選】
冬帽子退職までの五百日      萬燈ゆき
綾とりの橋架け替へて春を待つ   園田靖彦
人の世の花なきころを寒の紅    森永尚子
枝の雪蹴散らしふくら雀かな    仲田寛子
初鴉ときどき飛んで場所を変へ   おほずひろし

第二句座 (席題:白魚、冴え)
•藤英樹選
【特選】
月冴えてひとり心のふけゆけり   吉田順子
冴ゆる夜の闇走りゆく何ならん   おほずひろし
【入選】
太陽は白い丸なり冴えにけり    森永尚子
大山門閉ぢたる音の冴え冴えと   関根千方
地獄絵の釜がまつ赤や月冴ゆる   イーブン美奈子
白魚や篝火かかげ隅田川      吉田順子

•長谷川櫂選
【特選】
白魚はひかりの波にまぎれけり   園田靖彦
火の映る水を掬ひて白魚舟     神谷宣行
蒸し上げて白魚春の風姿かな    喜田りえこ
【入選】
さえざえと灯のなき家へ帰りけり  葛西美津子
白魚や朝日を受けてきらきらと   藤原智子
白魚の味なき味を卵とぢ      萬燈ゆき
四手網ぽんぽん叩き白魚汲む    金澤道子
懐かしき江の島句会白魚丼     藤英樹
白魚や影もかたちもなきごとく   萬燈ゆき
清らかな水を漁る白魚舟      西川遊歩

古志鎌倉ズーム句会(2021年12月12日)

俳句的生活 投稿日:2021年12月13日 作成者: 田中 益美2021年12月13日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
青空を圧倒しつつ富士眠る         神谷宣行
極月の顔の行き交ふ兜町       木下洋子
雪へさす古風な傘や吉右衛門     西村麒麟
このごろは冬至南瓜も四半分     金澤道子
大空の青々とまだ年ゆかず      長谷川櫂
手みやげの包みしつとり今川焼    田中益美
【入選】
鮟鱇の笑つてゐたる鍋の中      西村麒麟
故郷のこどものころの寒さかな    長谷川櫂
海鼠にも話したき事ある如く     西村麒麟
一夜さのくれなゐ沈む冬の水     葛西美津子
御空へと我が初顔をマスクとる    森永尚子
煤掃や今年巡りし神の数       澤田美那子
日本の元気なころのちゃんちゃんこ  升谷正博
国語からこころが消ゆる漱石忌    喜田りえこ

•長谷川櫂選
【特選】
顔見世の顔のひとつの消えにけり   升谷正博
葉を落としきり瞑想に入る冬木    金澤道子
海底の地震におどろく海鼠かな    吉田順子
【入選】
ふんはりと重なつてをリ朴落葉    おほずひろし
幸せに生きたつもりよ氷面鏡     魚返みりん
はららごの赤くこぼるるのつぺかな  葛西美津子
極月の顔の行き交ふ兜町       木下洋子
冬ざれや釣人に家無き如く      西村麒麟
なお五年夢つむがんと日記買ふ    園田靖彦
朴落葉あつと言ふ間に山暮るる    木下洋子
闘魂がはみ出してゐるラガーシャツ  澤田美那子
顔見世や御贔屓もはや三代目     澤田美那子
ぬくぬくと落葉の中や山一つ     藤原智子
豊かなる湯気にかこまれ冬至風呂   神谷宣行
大鍋で樹皮と煮る罠猟用意      西川遊歩
国語からこころが消ゆる漱石忌    喜田りえこ
先祖代々あとかたもなし根深汁      イーブン美奈子
仏壇の親しき人も煤払        澤田美那子
背のまるき太陽の塔日向ぼこ     木下洋子
闘病して得る鴛鴦のこころかな    神谷宣行

第二句座 (席題:手毬、狸汁)
•藤英樹選
【特選】
そつとまた取り出してみる手毬かな  藤原智子
金色の絲よりほつれ手毬かな     葛西美津子
掌に弾まぬ手毬うつくしき      葛西美津子
眼鏡みな曇ってをりぬ狸汁      仲田寛子
手毬唄ひとりふたりと思ひ出し    長井はるみ
忘れめや母のうたひし手まり唄    おほずひろし
【入選】
日の暮れていつしか一人手毬唄    升谷正博
従姉妹たち集つてをり手毬つく    田中益美
手毬唄先に逝きたる妹よ       澤田美那子
狸汁生姜にんにくざくと葱         葛西美津子
眼裏に浮かび来る母手毬唄      わたなべかよ
雪分けて父帰りくる狸汁       湯浅菊子
俳諧の力となれよ狸汁        園田靖彦
狸汁あとは雑魚寝の狸腹       澤田美那子

•長谷川櫂選
【特選】
煮て焼いて食つてやるなり狸汁       イーブン美奈子
幸あれと手毬へ一糸一糸かな        イーブン美奈子
雪降れば思ひ出すなり手毬唄         藤英樹
【入選】
そつとまた取り出してみる手毬かな   藤原智子
金色の絲よりほつれ手毬かな      葛西美津子
日の暮れていつしか一人手毬唄       升谷正博
手毬唄ひとりふたりと思ひ出し       長井はるみ
杣人の手斧捌くや狸汁           喜田りえこ
眼裏に浮かび来る母手毬唄         わたなべかよ
手毬唄四つの先を忘じけり         わたなべかよ
俳諧の力となれよ狸汁           園田靖彦
雪分けて父帰りくる狸汁          湯浅菊子
忘れめや母のうたひし手まり唄            おほずひろし

 

古志鎌倉ズーム句会(2021年11月14日)

俳句的生活 投稿日:2021年11月15日 作成者: 田中 益美2021年11月15日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
綿虫の一匹に話しかけてみん      藤原智子
展宏忌冬の桜の声を聞け        西村麒麟
花入れは花飾る毎枯れゆけり      西川遊歩
生きてゆく落葉のやうに呼吸して    森永尚子
その奥に白山眠る松林図        関根千方
たとふれば酢茎の味よわが齢      わたなべかよ
【入選】
長身を屈むる鴨居波郷の忌       わたなべかよ
しつとりと言葉降り積む展宏忌     園田靖彦
寂聴さん逝かれはらりと冬紅葉     イーブン美奈子
初雪の便りちらほら展宏忌       金澤道子
冬麗や掌に乗るほどの飛鳥仏      わたなべかよ
はろばろと響動もす海よ展宏忌     升谷正博
人間てふ管を涸らすな展宏忌      関根千方
純情を隠して照れて展宏忌       神谷宣行
せいのーと小春の空へ干すシーツ    喜田りえこ
•長谷川櫂選
【特選】
展宏忌冬の桜の声を聞け      西村麒麟
冬帽子まつさきに日の当たりけり  藤原智子
展宏忌めぐりきてほら花柊     葛西美津子
富岳より見え隠れしたる冬スミレ  魚返みりん
やや熱燗に展宏さんの忌なりけり   仲田寛子
【入選】
にこにこのお顔しか知らず展宏忌  澤田美那子
瀬戸の海に一句捧げん展宏忌    澤田美那子
戦争を挟みし昭和展宏忌      喜田りえこ
寂聴さん逝かれはらりと冬紅葉   イーブン美奈子
初雪の便りちらほら展宏忌     金澤道子
米沢は雪仕度済み展宏忌      藤英樹
いつの間にか消えてしまひし冬の蝶 おほずひろし
けふなぜかしづかな海や展宏忌   葛西美津子
蒼天の青どこまでも展宏忌     おほずひろし
一本が狂ひ咲きをり展宏忌     イーブン美奈子
化け物の虚子に見入られ展宏忌   西川遊歩
くちびる荒れて口笛冬の音     森永尚子
冬晴れほど楽しきものはなかりけり 森永尚子
その奥に白山眠る松林図      関根千方
テンゴクノサケハウマイカ展宏忌  神谷宣行
鮭上る大き頭をぶつけ合ひ     藤英樹

第二句座 (席題:懐手、鮫)
•藤英樹選
【特選】
群衆のすきを自在に鮫泳ぐ     長谷川櫂
小判鮫のごとき奴とは飲めぬなり  わたなべかよ
鮫一匹揚げて火を焚く浜辺かな   神谷宣行
懐手そらおそろしき男かな     イーブン美奈子
白き腹見せて大鮫船の下      曽根崇
空爆の前の静けさ鮫の海      神谷宣行
ざつくりと鮫に食はれし鉤の先   葛西美津子
【入選】
瞑想の淵に沈みぬ懐手       澤田美那子
干鮫の美味きところぞ土佐の国   森永尚子
反論を考えてゐる懐手       曽根崇
競られゐて鮫の目のなお恐ろしき  澤田美那子
鮫の目や森閑として無表情     長谷川櫂
久々の小町通りや懐手       金澤道子
笠智衆懐手してただ居りぬ     長井はるみ
宇和島は猛き町なり鮫喰らふ    おほずひろし
淡々と金の話や懐手        西村麒麟
•長谷川櫂選
【特選】
鮫来たれ妻の病巣食ひつくせ      神谷宣行
懐手そらおそろしき男かな       イーブン美奈子
淡々と金の話や懐手          西村麒麟
懐手してゐる国のありにけり      升谷正博
ざつくりと鮫に食はれし鉤の先     葛西美津子
【入選】
鮫捌く乙女の指や夕まぐれ     魚返みりん
干鮫の美味きところぞ土佐の国   森永尚子
鮫の身のあはれ真白や蒲鉾屋    葛西美津子
懐手ついに眠りに落ちにけり    関根千方
鮫一匹揚げて火を焚く浜辺かな   神谷宣行
子雀のあそび見てをり懐手     おほずひろし
鮫の眼が見ている水の暗さかな   森永尚子
懐手して顔ぶれの揃ふまで     金澤道子
笠智衆懐手してただ居りぬ     長井はるみ
宇和島は猛き町なり鮫喰らふ    おほずひろし
砂まみれうちあげられし小鮫かな  田中益美
空爆の前の静けさ鮫の海      神谷宣行
宇治橋を代々守る懐手       わたなべかよ

古志鎌倉ズーム句会(2021年10月10日)

俳句的生活 投稿日:2021年10月12日 作成者: 田中 益美2021年10月12日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
病む妻のひと足早き秋袷       澤田美那子
わが庭に小鳥来るころ玩亭忌        金澤道子
アフガンは逃れ逃れてゆく秋ぞ    関根千方
ひとつぶの露さへ命うるほせる    関根千方
秋耕やあれこれ思ふ春のこと     木下洋子
いつしかに身の軽くなる花野かな   金澤道子
草々に秋定まりぬ玩亭忌       澤田美那子
【入選】
たかだかと鷹渡りゆく玩亭忌     金澤道子
八十の手習ひをせん玩亭忌      澤田美那子
馬肥えてコロナ収束見えてきし    木下洋子
女ざかりは仕事ざかりや玩亭忌    木下洋子
月山の地酒にほろと玩亭忌      曽根崇
大切なわ行のゐとゑ玩亭忌      西川遊歩
今年酒競ひ並ぶや稲荷山       澤田美那子

•長谷川櫂選
【特選】
質の良き批評あれかし玩亭忌    神谷宣行
蛇穴に入るやジョイスを読むために 西村麒麟
墨をすり筆を浸して玩亭忌     おほずひろし
【入選】
花すすき白深まりぬ玩亭忌     仲田寛子
八十の手習ひをせん玩亭忌     澤田美那子
わが庭に小鳥来るころ玩亭忌    金澤道子
栃の樹の葉の散るころや玩亭忌   仲田寛子
てにをはの難しきこと玩亭忌    金澤道子
ひやおろし六腑に沁みる玩亭忌   升谷正博
浮舟のその後いかに玩亭忌     イーブン美奈子
鯉もまた日ざし好めり新松子    曽根崇
街路樹の色づく頃や玩亭忌     仲田寛子
月山の地酒にほろと玩亭忌     曽根崇
大切なわ行のゐとゑ玩亭忌     西川遊歩
咲きいそぐ秋の七草玩亭忌        曽根崇
ゆく秋の野球観戦玩亭忌         田中益美

第二句座(席題:零余子、霧)
•藤英樹選
【特選】
朝霧の渡りゆくなり高野槙                  わたなべかよ
雲裂けて霧ほとばしる羽黒山      曽根崇
むかご飯小三治の死を惜しむべく    西村麒麟
大いなるものの息する夜霧かな     長谷川櫂
みちのくのくがねのやうな零余子飯    園田靖彦
【入選】
霧ふかき横川へつづく石灯籠     木下洋子
一句詠むやうに零余子のこぼれたる  西川遊歩
霧の海引摺鐘はあの寺に       西川遊歩
霧の音馬と一緒に聞いてをり     西村麒麟
摘むよりもこぼるる数の零余子かな  金澤道子
朝霧の湖ながれゆく速さかな     吉田順子
天辺の霧まだ深き弥山かな      喜田りえこ

•長谷川櫂選
【特選】
器みな古く小さしむかご飯                      西村麒麟
山ひとつ揺らしてむかご摘みにけり    藤英樹
半分はこぼしつつ採る零余子かな     曽根崇
ささやきの小路で零余子買ひにけり    喜田りえこ
大宇陀や縁先いっぱい零余子干す     曽根崇

【入選】
零余子落つ音にも時の静かさよ     関根千方
目をつけし零余子どこにも見当たらず  森永尚子
籠り居の余生つくづく零余子飯     升谷正博
むかご飯小三治の死を惜しむべく    西村麒麟
零余子取るこぼれたものはそのままに  澤田美那子
霧を抜けまた霧に入る八合目      木下洋子
摘むよりもこぼるる数の零余子かな   金澤道子
みちのくのくがねのやうな零余子飯   園田靖彦

古志鎌倉ズーム句会(2021年9月12日)

俳句的生活 投稿日:2021年9月12日 作成者: 田中 益美2021年9月16日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
生涯を葛の風吹く男かな        森永尚子
揺れながら秋明菊の開きたる      藤原智子
芋茎干す人の死数字で云ふなかれ    喜田りえこ
鬼やんま己の道を譲らざる      イーブン美奈子
さつさつと穴に入りたる蛇もあり   吉田順子
【入選】
かなかなや日暮るるころに晴れてきし 金澤道子
ご近所の秋を見廻る散歩かな     森永尚子
秋風やリアル句会のなつかしく    澤田美那子
コロナより総裁選か鉦叩       木下洋子
風の日や大揺れの萩見にゆかん    金澤道子
夕風や浅間のふもと大花野      吉田順子
もの思ふ秋の金魚となりにけり    木下洋子
楸邨に道楽ひとつ硯洗ふ       西川遊歩

•長谷川櫂選
【特選】
浅間山すそのすそまで露けしや    藤英樹
銀行は老人ばかり秋麗        田中益美
身にしむや妻に黒髪もどるまで    神谷宣行
羊羹を切りても一人けふの月     金澤道子
畦道の名残りここにも曼珠沙華    金澤道子
さやけしや前歯二本の赤ん坊     湯浅菊子
【入選】
ぐるぐるとやんま巡れる毛越寺    藤英樹
ご近所の秋を見廻る散歩かな     森永尚子
風の日や大揺れの萩見にゆかん    金澤道子
もの思ふ秋の金魚となりにけり    木下洋子
一反は出水まぬがれ今年米      神谷宣行
大砂丘越えてゆきたり秋日傘     曽根崇
白萩はけふが名残りか雨の中     葛西美津子

第二句座 (席題:割殻、うそ寒)
•藤英樹選
【特選】
うそ寒や夫ボリウムをまた上げて   長井はるみ
太陽もいつか落ちるぞうそ寒し    神谷宣行
体内に残る散弾うそ寒し       わたなべかよ
うそ寒き世のうそ寒き人々よ     長谷川櫂
いろの浜藻に鳴く虫を聞きとめて   わたなべかよ
うそ寒や重ねしままの絵の具皿    金澤道子
【入選】
老班を幼にきかれうそ寒し      曽根崇
マルエン全集埃まみれやうすら寒   喜田りえこ
うそ寒や一句われから詠めとこそ   葛西美津子
うそ寒や未来が見えぬ国に生き    木下洋子
口ばかり達者で元気うすら寒     喜田りえこ
うそ寒やニシンことこと甘露煮に   田中益美
はらからも少なくなりぬそぞろ寒   おほずひろし

•長谷川櫂選
【特選】
鳴きながら藻に住む虫のたゆたへり  金澤道子
うそ寒の日本の国となりにけり    升谷正博
【入選】
手の指の数の余生やそぞろ寒     おほずひろし
うそ寒や見えぬ在宅患者数      仲田寛子
われ生きてわれからのごとはかなしや 神谷宣行
割殻の見え隠れして磯の岩      田中益美
うそ寒やマスクの下の真の顔     仲田寛子
われからに古今の恋の秋思ふ     葛西美津子
白票に埋もれゆく国うそ寒く     関根千方
われからに耳傾けぬ世となりぬ    魚返みりん
いろの浜藻に鳴く虫を聞きとめて   わたなべかよ
わが顔に知らぬ面影うすら寒     関根千方
われからも早や寝入りたる浮藻かな  吉田順子
われからの海の底から恋の歌      藤原智子
われからのこもる水辺や闇深し    吉田順子

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読売新聞「四季」から

日に動く葵まばゆき寝覚哉  闌更

 ゆうべ夜更かししたか、目が覚めたのは昼近く。庭を眺めると、高々と伸びた立葵の花が日差しのなかで揺れている。金沢の商家の生まれだが、俳諧師となって江戸、京に庵を結んだ。昼寝から覚めたところととると、人物の面白みが半減。『半化坊発句集』

 

「神宮外苑再開発計画」についてご意見をお寄せください

東京都心、神宮外苑(港区、新宿区)の再開発計画が進んでいます。再開発を計画しているのは三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事。

明治天皇没後、大正時代に植えた樹齢100年を超える樹木971本を伐採するという無謀な計画です。

この問題についてのご意見をおもちの方は簡潔にまとめ、見出しをつけて下のメニューの「お問い合せ」から事務局へお送りください。このサイトで公開します。個人、団体への誹謗、中傷、匿名のご意見は掲載しません。

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    岩波新書
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    NHK出版
    1,000円+税
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    『四季のうた 美しい日々』
    中公文庫
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    2022年1月刊行


    句集『太陽の門』
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    中公文庫
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    大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
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    2019年12月刊行


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    岩波新書
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    『歌仙一永遠の一瞬』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2200円+税
    2019年1月刊行


    『歌仙はすごい』
    辻原登、永田和宏、長谷川櫂
    中公新書
    880円+税
    2019年1月刊行


    『四季のうた 至福の時間』
    中公文庫
    700円+税
    2018年12月刊行


    『九月』
    青磁社
    1800円+税
    2018年8月刊行


    『Okinawa』
    Red Moon Press
    $15
    俳句 長谷川櫂
    英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
    2018年5月刊行


    『俳句の誕生』(4刷)
    筑摩書房
    2300円+税
    2018年3月刊行


    『四季のうた 想像力という翼』
    中公文庫
    700円+税
    2017年12月刊行


    『芭蕉さん』
    俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
    選句解説・長谷川櫂
    講談社
    1500円+税
    2017年3月刊行


    『震災歌集 震災句集』
    青磁社
    2000円+税
    2017年3月刊行


    『四季のうた 文字のかなたの声』
    中公文庫
    600円+税
    2016年12月刊行


    藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
    花神社
    2500円+税
    2016年10月刊行


    『文学部で読む日本国憲法』
    ちくまプリマー新書
    780円+税
    2016年8月刊行


    『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
    松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
    河出書房新社
    2,600円+税
    2016年6月刊行


    『四季のうた 微笑む宇宙』
    中公文庫
    700円+税
    2016年3月刊行


    『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
    筑摩選書
    1,500円+税
    2015年10月刊行


    『沖縄』
    青磁社
    1,600円+税
    2015年9月刊行


    『入門 松尾芭蕉』
    長谷川櫂 監修
    別冊宝島
    680円+税
    2015年8月刊行


    『歌仙一滴の宇宙』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2000円+税
    2015年2月刊行


    『吉野』
    青磁社
    1,800円+税
    2014年4月刊行
    ----------

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