古志仙台ズーム句会(2025年4月27日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
揚雲雀忘じ難きは父の貌 川村杳平
樹木葬姉の遺愛の白牡丹 佐藤和子
蛍烏賊食うて五臓の闇光る 石川桃瑪
海底のピアノしづかに行く春ぞ 長谷川櫂
【入選】
金剛の蕾ほどけば緋の牡丹 齋藤嘉子
一個づつ重ねし餅が春の山 三玉一郎
それぞれに崩れ辛夷の六花弁 阿部けいこ
突然に燃ゆる木となり躑躅咲く 齋藤嘉子
山笑ふ杵高々と餅搗かん 上村幸三
初夏の声はとどかず水俣忌 三玉一郎
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
取りあへずゴジラ体操して朝寝 那珂侑子
白妙の富士を自慢の田螺かな 平尾 福
豊かなる湯気も均して白子干す 谷村和華子
虻も蜂もこれはこれはと藤の花 平尾 福
藤古木捻れて朽ちて花を浴ぶ 武藤主明
【入選】
言祝げば花はふたたび枝に咲く 服部尚子
あの日あなたが生きようとしたあの夏へ 三玉一郎
紙切れを栞に挟む春の風 宮本みさ子
花冷の手に衝撃の一句集 川村杳平
草丈のいつしか五寸薄暑かな 石川桃瑪
うららかや洗濯物が飛んでくる 那珂侑子
養蚕所跡は連翹まつさかり 阿部けいこ
入学児明日の鉛筆かぞへをり 甲田雅子
句集から餅まろびでる桜かな 那珂侑子
満開のさくらの沖をフェリー行く 甲田雅子
海猫の声に返さむ茶摘唄 臼杵政治
【第二句座】(席題:桜蕊、春炬燵、百千鳥)
長谷川冬虹
【特選】
百千鳥小町の墓を囃しては 上村幸三
それぞれに恋を語るや百千鳥 青沼尾燈子
何かあるたびに逃げ込む春炬燵 三玉一郎
桜蕊踏んで駆けだす豆剣士 武藤主明
桜蕊絡みて風の毬となり 阿部けいこ
【入選】
全生徒五名に降るは桜蘂 佐藤和子
春炬燵窓の外には南部富士 齋藤嘉子
春炬燵また序文から読み始め 上 俊一
春ごたつ潜り孤独になりたき日 宮本みさ子
旅果てて春炬燵へと戻り来る 平尾 福
桜しべ人のとほらぬ小径かな 長谷川櫂
合格の報待つ二人春炬燵 臼杵政治
ひつそりと被災の村の桜蕊 甲田雅子
ゆたかなる硯がひとつ春炬燵 三玉一郎
陵は小さく吉野の百千鳥 齋藤嘉子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
旅果てて春の炬燵に戻りけり 平尾 福
ひつそりと被災の村の桜蕊 甲田雅子
百千鳥餅屋句集を寿ぎぬ 平尾 福
【入選】
空広き鎌倉山の百千鳥 石川桃瑪
全生徒五名に降るは桜蘂 佐藤和子
しまつては又出してくる春炬燵 那珂侑子
燃ゆるごと桜しべ降るゴミ置場 那珂侑子