古志鎌倉ズーム句会(2025年5月6日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
ひのき飢う二百年後の心柱 土井頼温
かしは餅遠くに雲の湧くごとく 森永尚子
誰もまだゆけぬ泉のひと雫 きだりえこ
激動の地球の隅に新茶汲む 澤田美那子
【入選】
伊勢丹の配車係も更衣 西川遊歩
改良の果ての阿蘭陀獅子頭 金澤道子
万博はやはり行列夏帽子 木下洋子
広ごりて山をせり上ぐちんぐるま 土井頼温
•長谷川櫂選
【特々選】推敲例
あやめ草かきわけて入る菖蒲の湯 園田靖彦
みちのくの闇は底なし白牡丹 園田靖彦
激動の地球の隅に新茶汲む 澤田美那子
【特選】
天井にひかりの揺るる菖蒲の湯 佐藤森恵
薫風や蜘蛛は一糸をあたらしく 関根千方
出し雑魚の頭取りをる日永かな 木下洋子
仏像展仏に飽きて夏の雲 森永尚子
三歳で覚えたる味心太 森永尚子
【入選】
おごそかに宇宙をひらく大牡丹 おほずひろし
かたばみの赤き根つこを摘みきれず 藤原智子
メーデーの闘士老いたり我もまた 園田靖彦
さうぶ湯のなまぐさき香や体ぢう 森永尚子
腕通すコットンシャツに夏が来る 葛西美津子
学僧の頤みゆる日傘かな きだりえこ
函開けて兜を飾る函の上 西川遊歩
鯉幟秩父の山の懐に 藤原智子
伊勢丹の配車係も更衣 西川遊歩
今年こそ風の白藤見にゆかん 金澤道子
月山筍熊より早く採りに行かな 藤英樹
第二句座 (席題:青芭蕉、蝸牛)
•藤英樹選
【特選】
一枚の揺るる葉裏は蝸牛 葛西美津子
糞ひねるまんりき力蝸牛 森永尚子
玉巻きて青き炎の芭蕉かな きだりえこ
青芭蕉噎せ返りつつ歩く道 久嶋良子
東塔の裳階へそよぐ青芭蕉 きだりえこ
【入選】
軽やかに荒野を巻いて芭蕉かな イーブン美奈子
枯芭蕉割つて玉巻く芭蕉かな 澤田美那子
八つ手の葉でんでん虫がいつもゐる 金澤道子
江東の風をほぐさん青芭蕉 藤原智子
かたつむりおまえも必死雨の中 吉田順子
蝸牛我に返りて仰ぐ空 久嶋良子
雨音の激しくなりぬ青芭蕉 金澤道子
•長谷川櫂選
【特選】推敲例
おごそかに首めぐらせよ蝸牛 おほずひろし
枯芭蕉割つて玉巻く芭蕉かな 澤田美那子
玉解いてもうずたずたや青芭蕉 藤英樹
【入選】
黒羽や杏子文庫の青芭蕉 藤英樹
けさ一尺ゆふべ一尺かたつむり 藤英樹
太陽に刃をかざす青芭蕉 神谷宣行
糞ひねるまんりき力蝸牛 森永尚子
ゆつくりと地球をめぐるカタツムリ おほずひろし
江東の風をほぐさん青芭蕉 藤原智子
俳諧の旅のこころや蝸牛 西川遊歩