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俳句的生活

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「神宮外苑の再開発計画」に反対します。

俳句的生活 投稿日:2022年5月22日 作成者: KAI2022年5月22日

神宮外苑(東京都港区、新宿区)の再開発計画が進んでいます。再開発を計画しているのは三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事。

明治天皇没後、大正時代に植えられた樹齢100年を超える樹木971本を伐採するという無謀な計画です。

しかも情報を開示しないまま計画が進めるという姑息なやり方。

地球温暖化が人類共通の課題として浮上し、再生可能な社会を求めているこの時代に欲に目のくらんだ時代錯誤の計画です。日本はこんなに遅れている。新らしく植樹すると弁明しているようですが、今の森ができあがるまで100年かかります。

全国各地の神社の森は開発の進む日本の中で自然を守る聖域(サンクチュアリ)の役割を果たしています。明治神宮は再開発計画に反対するのが当然なのに、土地の所有者とはいえ推進の側であるのは驚きです。

再開発計画については各種メディアが報じています。「文春オンライン」をごらんください。

この問題について、ご意見のある方はサイト事務局までお送りください。再開発計画に賛成、反対を問いません。(長谷川櫂)

古志広島ズーム句会(2022年5月1日)

俳句的生活 投稿日:2022年5月2日 作成者: KAI2022年5月2日

第一句座              
・矢野京子選 
【特選】
向日葵の花の嘆きの果てもなし    長谷川櫂
殺戮にふるへる心新茶汲む      大場梅子
深き穴掘れば冷たし勿忘草      米山瑠衣
【入選】
けふを脱ぎあすにならんと更衣    城山邦紀
ぶつぶつと泥の声する干潟かな    飛岡光枝
マネキンの手足をはづし更衣     斉藤真知子
夏の空肩甲骨は羽のあと       夏井通江
国一つ戦場となる麦の秋       長谷川櫂
骨鳴らし座る八十八夜かな      神戸秀子 
春日傘巻けばぬくもりほのかなる   矢田民也
生も死も闇の中なり夏炉焚く     高橋真樹子
全身で人遠ざける袋角        飛岡光枝
朝寝して泥の中より戻るかな     上松美智子
鳥海山の水温もれる代田かな     石塚純子
麦青む神の裁きの必ずや       米山瑠衣
抱き上げて子は白藤の房のなか    飛岡光枝
籠いつぱいパンを焼きたし復活祭   大平佳余子

・長谷川櫂選 
【特選】
ぶつぶつと泥の声する干潟かな    飛岡光枝
骨鳴らし座る八十八夜かな      神戸秀子
殺戮にふるへる心新茶汲む      大場梅子
全身で人遠ざける袋角        飛岡光枝
麦秋の大地にひびく爆撃音      大場梅子
【入選】
みな急ぐ朝の改札風薫る       伊藤靖子 
蒲公英の野に列をなす戦車かな    林弘美  
決めかねてもう一回り植木市     矢野京子
更衣マスク生活はや三年       安藤文
春の日や琥珀のなかに蟻一匹     飛岡光枝
硝子戸を緋のひといろに躑躅かな   矢野京子  
菖蒲湯や自慢の足をのびのびと    大場梅子   
針金の婚約指輪五月かな       原京子      
生も死も闇の中なり夏炉焚く     高橋真樹子   
全滅の街にふはりと黄蝶かな     夏井通江   
余生とはまさに青春柏餅       菅谷和子
  
第二句座(席題:田植、豆飯)
・矢野京子選 
【特選】
いつぽんの風となりたる田植え歌   高橋真樹子
千枚に千のかたちや早苗待つ     矢田民也
田の水の空の青さに苗を挿す     城山邦紀
【入選】
こんなにも喜びくるる豆ご飯     菅谷和子
をはりまで見よう見まねの田植かな  斉藤真知子
一日の服を吊るして豆の飯      飛岡光枝
手の遅き嫁御と呼ばれ田植かな    原京子
豆飯を握れば豆のぽろぽろと     飛岡光枝
分譲の家に囲まれ田植かな      ももたなおよ

・長谷川櫂選 
【特選】
蓋とれば見事や並ぶ豆の飯      上松美智子
豆の飯食べて母は吾産みにけり    ももたなおよ
箸づかひまだしつかりと豆ご飯    菅谷和子
【入選】
色香増す塩一つまみ豆の飯      原京子
炊きあがる豆飯の湯気猫逃る     飛岡光枝 
田植え機より苗さくさくと水に立つ  石塚純子
田植ゑして山古志の空映しけり    大場梅子 
豆ご飯今年は炊かず過ぎにけり    石塚純子
豆好きの豆だくさんの豆ごはん    大平佳余子
豆飯だ外に居る子も連れてこい    岡村美紗子
豆飯やお代わりの碗ぬつと出て    神戸秀子  
豆飯や莢とる母と語りつつ      ストーン睦美
豆飯を握れば豆のぽろぽろと     飛岡光枝
分譲の家に囲まれ田植かな      ももたなおよ 

古志仙台ズーム句会(2022年4月30日)

俳句的生活 投稿日:2022年5月1日 作成者: KAI2022年5月1日

第一句座              
・長谷川冬虹選
【特選】
ぷしと噴く夜の厨の浅利かな          及川由美子
地下シエルターより覗く青空聖五月      鈴木伊豆山
砲撃のたびたんぽぽは絮飛ばす        齋藤嘉子
マトリョーシカ幾重に春の愁かな       武藤主明
戦争の空に蚊柱しづかなり          長谷川櫂
【入選】
田蛙の声ゆるやかに転げたる         上村幸三
花冷の背中で話すふたりかな         三玉一郎
かたかごの風にさうめん干してゆく      齋藤嘉子
蛇苺ままよ踏み入る藪の中          上 俊一
欠けるなく記念の花の下にかな        石原夏生
しばらくは海のにほひや花菜風        佐伯律子
轟然とたんぽぽ拉く戦車かな         川辺酸模
塗りたての畦ぴよんぴよんとランドセル    三玉一郎
分断の地球に薫れ桃の花           川辺酸模
村中が蛙の声の底の底            齋藤嘉子

・長谷川櫂選
【特選】
教室の椅子は逆さま春休み          甲田雅子
マトリョーシカ幾重に春の愁かな       武藤主明
【入選】
眠さうな蜂の来てゐる昼下がり        平尾 福
芍薬や蟻の降りくる茎赤し          服部尚子
白鷺やおのれの水にしんと立ち        上村幸三
地下シエルターより覗く青空聖五月      鈴木伊豆山
砲撃のたびたんぽぽは絮飛ばす        齋藤嘉子
鳥のこゑ猫と聞きゐる花の昼         及川由美子
慕ふごと鯎寄り来る柳かな          平尾 福
いのちなきものがあつまりさへづれり     三玉一郎
たらの芽の大地の力いただきぬ        武藤主明
春筍刺身にせよと呉れにけり         那珂侑子
桑を食む音や飼屋を震はして         齋藤嘉子

第二句座(席題=囀り、日傘、林檎の花)
・長谷川冬虹選
【特選】
囀れり雛と親鳥入れ替はり          服部尚子
花りんご子牛の瞳うるみをり         佐伯律子
花林檎梢の空に津軽富士           川辺酸模
【入選】
囀りや園児の列の長々と           阿部けいこ
大男やさしく歩く日傘かな          青沼尾燈子
丸の内をのこもさすや黒日傘         齋藤嘉子
囀りに奪はれてゐる城の山          平尾福
青森は妻のふる里林檎咲く          青沼尾燈子
歳月を折り畳みたる日傘かな         武藤主明

・長谷川櫂選
【特選】
林檎の花すれすれに離着陸          伊藤 寛
雪とけて雪より白き花りんご         齋藤嘉子
透き通る津軽平野よ花林檎          三玉一郎
青森は妻のふる里林檎咲く          青沼尾燈子
歳月を折り畳みたる日傘かな         武藤主明
【入選】
原木のひときは高し花林檎          上 俊一
囀が聞こえてゐますか父母の墓        那珂侑子
青春はくすぐつたいぞ花林檎         平尾 福
ちよび髭の男もすなる日傘かな        長谷川冬虹
つかの間も日傘をひらく女かな        那珂侑子
花林檎緩和病棟見ゆる丘           佐伯律子
竹の柄の木綿レースの日傘かな        川村杳平
囀りに奪はれてゐる城の山          平尾 福
すぐ裏が我が家の山や囀れり         伊藤 寛
美しき日傘の母に手を引かれ         伊藤 寛
囀りに目覚める朝の書斎かな         川村杳平
安達太良や村いつぱいの花林檎        長谷川冬虹
花林檎梢の空に津軽富士           川辺酸模
故郷の山また山や花林檎           武藤主明

ネット投句 春の年間賞は安藤文さん

俳句的生活 投稿日:2022年4月25日 作成者: KAI2022年5月1日

・年間賞 
東京駅奥の奥まで春愁       新潟  安藤文

・次点 
十一年彷徨ひつづけ流し雛     愛知  青沼尾燈子
花冷の地球ふるはす戦車かな    長崎  川辺酸模
たくあんに演歌聞かせる日永かな  和歌山 玉置陽子

・候補 
終りあることの嬉しさ卒業歌    兵庫  魚返みりん
気晴らしのドライブひとり風花す  新潟  安藤文
春昼や画面の向うから戦車     茨城  馬場小零
縄文のひとみな裸足春の泥     東京  長井亜紀
以下同文の卒業証書戴きぬ     岐阜  辻雅宏
入学のこころ忘れて卒業す     神奈川 三玉一郎

古志金沢ズーム句会(2022年4月24日)

俳句的生活 投稿日:2022年4月25日 作成者: KAI2022年4月25日

第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
凧が子を引張つてゆく広野かな     田村史生
ひとすじの夕虹となり蛇流る      玉置陽子
ロビンソン・クルーソー粟島に栄螺焼く 藤倉桂
跳び込んで幻となる蛙かな       清水薫
ときはなつ五感六感つばくらめ     泉早苗
魔の山の峨々と真白し春の空      長谷川櫂
ぼうたんの解けるまでの重さかな    山本桃潤
【入選】
大岡忌花のいのちの真ん中に      趙栄順
母のゐるやうにぶらんこ漕ぎ出せり   宮田勝
石南花や戦車の舐めてゆく舗道     田中紫春
しづかなる穀雨よ加賀の山河かな    泉早苗
壺焼の壺の奥より波の音        玉置陽子
太陽を蹴り上げに行くぶらんこよ    稲垣雄二
用水にかつて市場の柳かな       花井淳
さてもさても永き日いかにや自由なり  松川まさみ
世界中朝寝を起こす戦車かな      稲垣雄二
初蝶や八幡様の花手水         間宮伸子
まほらばや加賀艶々と五月雨      山本桃潤
花びらで染めて鎌倉シャツの店     間宮伸子
平然と殺戮の日々葱坊主        泉早苗
ホームズの長き謎解き春炬燵      花井淳

・長谷川櫂選
【特選】
幼な子にねむる力や柏餅        安藤久美
銀輪の先に先にと風光る        宮田勝
世界中朝寝を起こす戦車かな      稲垣雄二
しろがねの空に棹さし雁帰る      趙栄順
花守の花のごとくに老いたまふ     橋詰育子
【入選】
雉子下げて金借りに来る男かな     玉置陽子
春の野に咲けるサフラン戦車行く    近藤沙羅
蜜蜂や尻ひこひこと藤の房       藤倉桂
うつらうつら海の見る夢蜃気楼     酒井きよみ
取れたての土の匂ひの春筍       佐々木まき
春の月争ふ地球哀しめり        酒井きよみ
小振りなる埴輪の乳房春惜しむ     玉置陽子
朧夜のたれそゐるらし廃墟かな     鬼川こまち
平然と殺戮の日々葱坊主        泉早苗

第二句座(席題:薄暑、新茶)
・鬼川こまち選
【特選】
人いきれ一色となす薄暑かな      宮田勝
薄暑はや五百羅漢のさんざめく     玉置陽子
海一つ向かふは戦場新茶汲む      稲垣雄二
会へぬまま母遠くなる薄暑かな     趙栄順
封切つて鼻を突つ込む新茶かな     稲垣雄二
言葉出るを待ちくるる師や新茶汲む   藤倉桂
【入選】
ふかぶかと定まる古茶の風味かな    長谷川櫂
初めての自家製新茶ひと握り      密田妖子
宅配の人みな走る薄暑かな       田村史生
牛の尾のしきりに動く薄暑かな     酒井きよみ
隣席を開けて座りぬ人薄暑       佐々木まき
かな文字の行のゆがめる薄暑かな    花井淳
子山羊らの白のまぶしき薄暑かな    酒井きよみ
いにしへの宇治も大和も新茶かな    田村史生
新月のほのかに香る新茶かな      長谷川櫂
昏れてなほ蒼き空あり新茶汲む     泉早苗

・長谷川櫂選
【特選】
帰れざる昔ありけり新茶汲む      趙栄順
金色のしづく汲み分く新茶かな     玉置陽子
封切つて鼻を突つ込む新茶かな     稲垣雄二
走り茶や皺の手が入れ皺の手へ     稲垣雄二
濃くいれて新茶の緑飲み干しぬ     山本桃潤
【入選】
宅配の人みな走る薄暑かな       田村史生
恐ろしき百歳時代新茶くむ       間宮伸子
薄暑はや箱より出せる奈良団扇     藤倉桂
ニュータウン全戸老いたる薄暑かな   松川まさみ
丁寧に生きて新茶の一滴        佐々木まき
子山羊らの白のまぶしき薄暑かな    酒井きよみ
反射炉の見学終えて新茶かな      田中紫春
うれしさは術後五年の新茶かな     趙栄順
日めくりをめくりて今日の薄暑かな   中野徹
乗客は孤老ばかりの昼薄暑       越智淳子

芭蕉翁献詠俳句を募集

俳句的生活 投稿日:2022年4月20日 作成者: KAI2022年4月20日

伊賀市と芭蕉翁憲章会は芭蕉翁献詠俳句を募集しています。応募方法は次のとおりです。

・7月31日(日)必着。
・一般の部とテーマの部(今回は「晴」)
・はがきの表に住所、氏名、電話番号を明記
・はがきの裏に希望選者を明記のうえ、2句を書く。
・各部門10句まで(はがき5枚まで)。
・送り先は〒518ー0873 伊賀市上野丸の内117−13 芭蕉翁献詠俳句係

選者など詳しくは芭蕉翁顕彰会のホームページをごらんください。

ネット投句(2022年3月31日)特選と選評

俳句的生活 投稿日:2022年4月12日 作成者: KAI2022年4月12日

【特選】
青空の麦秋戻れウクライナ      北海道 柳一斉
砂に寝てこころは空へ春の海     北海道 柳一斉
花冷えや脳裡きざまる逃避行     東京 長尾貴代
・脳裏にきざむ
入学のこころ忘れて卒業す      神奈川 三玉一郎
東京駅奥の奥まで春愁        新潟 安藤文
花便り連山丈を争はず        長野 大島一馬
体より働く音す春の昼        岐阜 夏井通江
・から?
この島は湾の真ん中白子干す     愛知 宗石みずえ
山桜全山神の供花とせむ       奈良 喜田りえこ
三月の天使舞ひ降りコブシ咲く    大阪 内山薫
今日よりはキーウと呼ばん花の冷   大阪 木下洋子
一瞬で戦場となる春の宵       大阪 澤田美那子
暁暗に音なく発てる遍路かな     香川 曽根崇
花冷の地球ふるはす戦車かな     長崎 川辺酸模
あの日より悲しと思ふ三月来     長崎 川辺酸模
人としてのこころ育てよ飴山忌    大分 山本桃潤

ネット投句(2022年3月15日)特選と選評

俳句的生活 投稿日:2022年4月12日 作成者: KAI2022年4月12日

・ロシアによるウクライナ侵略の句あまた。
・スローガンにならないようにご注意ください。
・ウクライナの歴史と国民性については
 シェフチェンコ詩集『ゴブザール』(群像社)をお読みください。
 シェフチェンコは19世紀の人、ウクライナの国民的詩人です。
・旧かな、きちんと。
・てにをは、推敲を。

【特選】
山の匂ひ海の匂ひ北窓開く     北海道 芳賀匙子
・の、必要。
菜の花の熱気の中を歩みゆく    千葉  谷口正人
・けり
機嫌よくサーファーを待つ春の海  神奈川 三浦イシ子
我が終の歳時記なりや春届く    石川  松川まさみ
世界戦聞くだに寒き春の日々    長野  金田伸一
初蝶来ウクライナの野遥けしや   岐阜  三好政子
以下同文の卒業証書戴きぬ     岐阜  辻雅宏
万作の笑ひころげる深空かな    岐阜  梅田恵美子
退院の服のゆるさや春の風     愛知  宗石みずえ
十一年彷徨ひつづけ流し雛     愛知  青沼尾燈子
子猫来る悔い多き子育ての後    京都  吉田千恵子
新婚のごときはなやぎ春キャベツ  大阪  安藤久美
ミモザ咲く大学やめて戦場へ    大阪  木下洋子
空爆のなき空選べ帰る雁      大阪  澤田美那子
たくあんに演歌聞かせる日永かな  和歌山 玉置陽子

古志広島ズーム句会(2022年4月10日)

俳句的生活 投稿日:2022年4月11日 作成者: KAI2022年4月11日

第一句座              
・矢野京子選 
【特選】
その先に戦場がある春の雲        石塚純子
一匹の心の鬼と花見せん         高橋真樹子
今生の花に埋もれて塵となる       城山邦紀
戦争がぬつと顔出す朧かな        安藤文
【入選】
ひと息に剝ぐ花鳥賊のうすごろも     神戸秀子
ひやひやと袖とほしたり花衣       長谷川櫂
花よりも花や乙女の花衣         ストーン睦美
幾万の涙と思ふ飛花落花         ももたなおよ
雁高く羽ばたけど帰る故郷なし      岡村美紗子
空へ身を投げ出して飛ぶ雀の子      夏井通江
空色の春風が吹く十六階         夏井通江 
春泥を踏めばどこまで沈む靴       岡村美紗子
初燕ふるさとの山めじるしに       菅谷和子
食べられし穴のありけり桜貝       飛岡光枝
身ごもれる埴輪の女目借時        大場梅子
眠たげな春の筍掘りにけり        斉藤真知子
無残なり何もかもけふ春らしく      長谷川櫂
眩しさに目を閉じ入学写真かな      神戸秀子
      
・長谷川櫂選 
【特選】
そこここに立てる十字架春野かな     米山瑠衣
一匹の心の鬼と花見せん         高橋真樹子
空へ身を投げ出して飛ぶ雀の子      夏井通江
空色の春風が吹く十六階         夏井通江   
【入選】
蒲公英も十字架も踏み潰しゆく      米山瑠衣
甘茶寺きぶしの花のその奥に       神戸秀子      
春の潮鳴つてヴィーナスうまれけり    菅谷和子
春泥を踏めばどこまで沈む靴       岡村美紗子
大国が小国呑みて行く春ぞ        大平佳余子
亡きひとの座を真ん中に花筵       ももたなおよ
眠たげな春の筍掘りにけり        斉藤真知子  
木切れ二本十字に結はへ戦地の春     原京子

第二句座(席題:紫木蓮、燕)
・矢野京子選 
【特選】
つばくらやここから「大和」見たと母   河本秀也
胸中に炎たちたり紫木蓮         大平佳余子
紫木蓮厨に今日は父が立ち        安藤文
初燕来りてわが空あらたまる       矢田民也
【入選】
たちまちに少女は老いぬ紫木蓮      菅谷和子
魚さばく手元鮮やか紫木蓮        飛岡光枝
紺碧の空に点あり初燕          ストーン睦美
大空を切り裂いて来る初燕        城山邦紀
朝練の少女見上げる初燕         菅谷和子
亡き母の齢を越えし紫木蓮        斉藤真知子
夕燕母待つ家のいまはなく        大場梅子

・長谷川櫂選 
【特選】
あけぼのの空にちからや紫木蓮      高橋真樹子
生き生きて先の見えずや紫木蓮      上松美智子
戦場となりしをしらず燕くる       大平佳余子
【入選】
激流のしぶきかすむる燕かな       石塚純子
玄関を出るに燕の糞跨ぎ         斉藤真知子
莟めれば朝な夕なの紫木蓮        矢田民也

俳句の相談/夏蜜柑は夏の季語か?

俳句的生活 投稿日:2022年3月28日 作成者: KAI2022年3月28日

【相談】
かなり前から、近所の垣根越しに大きな夏蜜柑が垂れ下がっています。こんなに大きくなって夏まで保つのかな、とはらはらしています。歳時記には夏の季語とされていますが、冬あるいは春の季語にもなるような気がします。歳時記に従わなければなりませんか?

【回答】
たしかにそうですね。この問題を考える大前提として、まず次のことを念頭に置いてください。

科学的事実は文学とは異なること。科学と文学の間にいつも一線を引いておいてください。いいかえれば文学は科学的事実に縛られない。自由な文学においてはつねに創造力(想像力)こそ大事です。科学と文学は日本的リアリズムいわゆる写生を基本に置いてきた明治以降の俳句ではしばしば混同されがちですが、俳句も文学ですから科学的事実に縛られません。

歳時記にある季語についても同じことがいえます。科学に従うのであれば、亀鳴く、雪女などの季語はそもそもあってはならない。また朝顔は梅雨ごろから咲いているので夏の季語かというと秋の季語です。これが文学です。

問題の夏蜜柑は翌年の初夏に熟するので、そう呼ばれています。夏の蜜柑が珍しいからでもあり、その酸味が初夏にこそふさわしいからでもあります。温州蜜柑などふつうの蜜柑は秋から食べられますが、秋ではなく冬の季語にしているのと同じです。そもそも夏蜜柑と呼びながら冬や春の季語というのは変ではありませんか。

夏蜜柑の花も初夏の季語です。白い花と黄色の実がいっしょに木にある、これが夏蜜柑という季語の風景です。

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読売新聞「四季」から

道ばたにまゆ干すかざのあつさ哉     許六

 「甲斐の郡内を出て」とある。郡内は山梨県東部の山間地帯で甲斐絹の産地。許六は芭蕉門の彦根藩士。街道を歩いてゆくと、道端に干した繭から暑苦しい匂いがむっと立ちのぼる。「かざ」は香り。香りを嗅ぐことは「かざむ」といった。『五井老発句集』

 

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    花の浪花の読書会『折々のうた』600句を覚えよう!30分で学ぶ俳句の歴史俳句でよむ『おくのほそ道』

    古志ネット講座一覧

    これからのイベント

    • 5月22日(日)金沢ズーム句会
    • 5月28日(土)朝カルズーム講座「一億人の俳句入門」
    • 5月29日(日)仙台ズーム句会
    • 6月5日(日)広島ズーム句会
    • 6月5日(日)古志ネット講座「俳句でよむ『おくのほそ道』」
    • 6月11日(土)朝カルズーム講座「俳句でよむ『おくのほそ道』」
    • 6月12日(日)鎌倉ズーム句会
    • 6月19日(日)金沢ズーム句会
    • 6月25日(土)朝カルズーム講座「一億人の俳句入門」
    • 6月26日(日)仙台ズーム句会

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    『俳句と人間』(2刷)
    岩波新書
    860円+税
    2022年1月刊行


    100分de名著『おくのほそ道』(9刷)
    NHK出版
    1,000円+税
    2014年10月刊行


    『四季のうた 美しい日々』
    中公文庫
    800円+税
    2022年1月刊行


    句集『太陽の門』
    青磁社
    2200円+税
    2021年8月刊行


    『四季のうた 天女の雪蹴り』
    中公文庫
    800円+税
    2021年1月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
    780円+税
    2019年12月刊行


    『四季のうた 普段着のこころ』
    中公文庫
    800円+税
    2019年12月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
    780円+税
    2019年11月刊行


    『歌仙一永遠の一瞬』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2200円+税
    2019年1月刊行


    『歌仙はすごい』
    辻原登、永田和宏、長谷川櫂
    中公新書
    880円+税
    2019年1月刊行


    『四季のうた 至福の時間』
    中公文庫
    700円+税
    2018年12月刊行


    『九月』
    青磁社
    1800円+税
    2018年8月刊行


    『Okinawa』
    Red Moon Press
    $15
    俳句 長谷川櫂
    英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
    2018年5月刊行


    『俳句の誕生』(4刷)
    筑摩書房
    2300円+税
    2018年3月刊行


    『四季のうた 想像力という翼』
    中公文庫
    700円+税
    2017年12月刊行


    『芭蕉さん』
    俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
    選句解説・長谷川櫂
    講談社
    1500円+税
    2017年3月刊行


    『震災歌集 震災句集』
    青磁社
    2000円+税
    2017年3月刊行


    『四季のうた 文字のかなたの声』
    中公文庫
    600円+税
    2016年12月刊行


    藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
    花神社
    2500円+税
    2016年10月刊行


    『文学部で読む日本国憲法』
    ちくまプリマー新書
    780円+税
    2016年8月刊行


    『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
    松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
    河出書房新社
    2,600円+税
    2016年6月刊行


    『四季のうた 微笑む宇宙』
    中公文庫
    700円+税
    2016年3月刊行


    『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
    筑摩選書
    1,500円+税
    2015年10月刊行


    『沖縄』
    青磁社
    1,600円+税
    2015年9月刊行


    『入門 松尾芭蕉』
    長谷川櫂 監修
    別冊宝島
    680円+税
    2015年8月刊行


    『歌仙一滴の宇宙』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2000円+税
    2015年2月刊行


    『吉野』
    青磁社
    1,800円+税
    2014年4月刊行
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    そのほかの本

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