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俳句的生活

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「神宮外苑の再開発計画」に反対します。

俳句的生活 投稿日:2022年5月22日 作成者: KAI2022年5月22日

神宮外苑(東京都港区、新宿区)の再開発計画が進んでいます。再開発を計画しているのは三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事。

明治天皇没後、大正時代に植えられた樹齢100年を超える樹木971本を伐採するという無謀な計画です。

しかも情報を開示しないまま計画が進めるという姑息なやり方。

地球温暖化が人類共通の課題として浮上し、再生可能な社会を求めているこの時代に欲に目のくらんだ時代錯誤の計画です。日本はこんなに遅れている。新らしく植樹すると弁明しているようですが、今の森ができあがるまで100年かかります。

全国各地の神社の森は開発の進む日本の中で自然を守る聖域(サンクチュアリ)の役割を果たしています。明治神宮は再開発計画に反対するのが当然なのに、土地の所有者とはいえ推進の側であるのは驚きです。

再開発計画については各種メディアが報じています。「文春オンライン」をごらんください。

この問題について、ご意見のある方はサイト事務局までお送りください。再開発計画に賛成、反対を問いません。(長谷川櫂)

芭蕉翁献詠俳句を募集

俳句的生活 投稿日:2022年4月20日 作成者: KAI2022年4月20日

伊賀市と芭蕉翁憲章会は芭蕉翁献詠俳句を募集しています。応募方法は次のとおりです。

・7月31日(日)必着。
・一般の部とテーマの部(今回は「晴」)
・はがきの表に住所、氏名、電話番号を明記
・はがきの裏に希望選者を明記のうえ、2句を書く。
・各部門10句まで(はがき5枚まで)。
・送り先は〒518ー0873 伊賀市上野丸の内117−13 芭蕉翁献詠俳句係

選者など詳しくは芭蕉翁顕彰会のホームページをごらんください。

「山廬」で第8回碑前祭の俳句募集

俳句的生活 投稿日:2022年3月21日 作成者: KAI2022年4月25日

飯田蛇笏、龍太ゆかりの山廬では第8回碑前祭の俳句を募集しています。山廬文化振興会主催、山梨県共催。

・B5用紙に2句(自作未発表)を書いて、6月30日(木)必着で碑前祭事務局へお送りください。郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記。
・選者=井上康明、黒田杏子、瀧澤和治、長谷川櫂、飯田秀實
・投句料=1000円。郵便振替、現金書留、定額小為替。
・発表=10月2日(日)碑前祭
・投句の送り先、問い合わせなど、詳しくは山廬のホームページを。

古志鎌倉ズーム句会(2022年5月15日)

俳句的生活 投稿日:2022年5月16日 作成者: 田中 益美2022年5月16日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
人間の愚かさ唄へ牛蛙        萬燈ゆき
遠雷や庖丁あをく静もれる     わたなべかよ
新緑に潰されさうな我が家かな    曽根崇
国の秀をボロボロにして夜盗虫    升谷正博
夏めくやがばりと大き鯉の口     金澤道子
深みゆく人間の闇五月闇       萬燈ゆき
【入選】
我がいびき我が耳できく昼寝かな  森永尚子
八十歳マーガレツトの明るさよ   長井はるみ
筍を包む地元紙読みふける     園田靖彦
覗きこむ顔よりおおき牡丹かな   升谷正博
鉄線の花また花や惜しみなく    藤原智子
戦争が顔を覗かせ五月闇      萬燈ゆき
海の宮信心よりも穴子飯      森永尚子

•長谷川櫂選
【特選】
覗きこむ顔よりおおき牡丹かな    升谷正博
尿日記したためをれば梅雨に入る  園田靖彦
夏めくやがばりと大き鯉の口     金澤道子
【入選】
舟虫に大小ありてあはれなり    森永尚子
八十歳マーガレツトの明るさよ   長井はるみ
犬小屋はずつと空つぽ柿の花    仲田寛子
日々観察形よくなれ青瓢      田中益美
太陽に一番近き薔薇咲けり     藤英樹
幻の葬列の行く夏野かな      喜田りえこ
蛍待つ二つとなりし影法師      関根千方
弘法のいはれの水や種浸す      曽根崇

第二句座 ( 席題:青梅、団扇 )
•藤英樹選
【特選】
青梅のふくふくとして雨の中    澤田美那子
まだ固き風ままならず渋団扇    長谷川櫂
家ぢゆうに実梅の香り母在す    わたなべかよ
弾痕のからだ晒せし団扇かな    萬燈ゆき
座らせて団扇一つで裁きけり    関根千方
団扇てふこの世の名残のやうなもの 森永尚子
【入選】
白団扇墨の勢ひの円ひとつ      西川遊歩
言ひたいだけ言つて帰りぬ団扇かな  金澤道子
帰省子をあふぐやあふぐ団扇かな   園田靖彦
南部より十キロの箱実梅かな     わたなべかよ
大仏を仰ぐ団扇の客百人       園田靖彦
殺さずに風で払へと団扇受く     喜田りえこ
盆栽につぶら青梅見つけたり     湯浅菊子
ごろごろと青梅洗ふ三百個      葛西美津子
青梅や母の黒髪豊かなる       藤原智子
団扇持つて襟すこしだけ抜いて待つ  長井はるみ

•長谷川櫂選
【特選】
青梅のあおあおとして眠る甕      吉田順子
友の死を受けとめかねて団扇かな   木下洋子
人の死に人のあつまる団扇かな    萬燈ゆき
座らせて団扇一つで裁きけり     関根千方
竹一本裂いて涼しき白団扇      澤田美那子
【入選】
客席はどこもぱたぱた団扇かな   イーブン美奈子
白団扇墨の勢ひの円ひとつ     西川遊歩
言ひたいだけ言つて帰りぬ団扇かな 金澤道子
青梅を拾ひて捨てて吟行す     金澤道子
ごろごろと青梅洗ふ三百個     葛西美津子
それぞれの正義疎まし実梅捥ぐ   木下洋子
またもらふ開店記念うちはかな   森永尚子
団扇の手一瞬止まる知らせかな   関根千方
意表突く一手に止まる団扇かな   曽根崇
弾痕のからだ晒せし団扇かな    萬燈ゆき
ぎしぎしと青梅は空埋めんとす   関根千方
左右の手に子供があふぐ団扇かな  仲田寛子
団扇てふこの世の名残のやうなもの 森永尚子
クーラーをうちわで煽ぐ暑さかな  仲田寛子

殺掠の世界の巻 満尾

俳句的生活 投稿日:2022年5月9日 作成者: dvx223272022年5月9日

《連衆》玉置陽子、松川まさみ、密田妖子、松井恭子、上田雅子、三玉一郎、川辺酸模、喜田りえこ、青沼尾燈子、越智淳子、佐々木まき、安藤文、岩井善子、飛岡光枝、佐藤森恵、葛西美津子、楠原正光、川村杳平、おほずひろし、西川遊歩、湯浅菊子、長井亜紀、北側松太、長谷川櫂(捌)
二〇二二年三月十二日~五月八日
【初折の表】
発句   殺掠の世界の隅に涅槃かな      山本桃潤(春)
脇     麦青みゆく祖国追はれて      遊歩(春)
第三   潮に乗りはるか沖へと流し雛     善子(春)
四     海の底から聞えるピアノ      文(雑)
五    真夜中の地震に目覚めて月光に    松太(秋・月)
六     納屋で寄添ふ案山子の家族     松太(秋)
【初折の裏】
初句   笑ひすぎて南瓜大王爆発す      光枝(秋)
二     突然停電二百万世帯        善子(雑)
三    シェルターで誰か弾いてるバイオリン 善子(雑)
四     テレビ電話に新妻の顔       酸模(雑・恋)
五    ひまはりの大地さ迷ふ人の影     酸模(夏)
六     白骨照らす月光涼し        酸模(夏・月)
七    木から木へ飛ぶ密林の猿の声     善子(雑)
八     不死草の花いづこに香る      光枝(雑)
九    どれもこれも気に食はぬなり肖像画  美津子(雑)
十     春の嵐の靴二千足         菊子(春)
十一   本堂に善男善女花の山        森恵(春・花)
折端    生まれ出てはや蠅飛び回る     光枝(春)
【名残の表】
初句   戦争の乳房つかみて赤子泣く     淳子(雑)
二     高地高原罌粟花ざかり       菊子(夏)
三    ひと夏の麦わら帽子色褪せて     善子(夏)
四     錠下ろしたる背徳の小屋      りえこ(雑・恋)
五    蠟燭の炎ゆらめくマリア像      一郎(雑)
六     奇跡の泉白く氷れり        光枝(冬)
七    コサックの悲しみ唄ふコブザール   酸模(雑)
八     馬に恋せし乙女やあはれ      光枝(雑・恋)
九    からからと座敷わらしの遊ぶ声    文(雑)
十     早稲の香清し陸奥の旅       陽子(秋)
十一   復旧の新幹線を月照らす       光枝(秋・月)
十二    今年は早き富士の初雪       光枝(秋)
【名残の裏】
初句   アフリカを離れて象のケニア老ゆ   恭子(雑)
二     涙のごとく星はまたたく      松太(雑)
三    青春のひとりぼつちの太平洋     遊歩(雑)
四     ジンベエザメのよぎる春暁     雅子(春)
五    花に寝て夢の中まで花吹雪く     櫂(春・花)
挙句    鐘ものどかに阿弥陀微笑む     淳子(春)

七 光枝
五 善子
四 酸模
三 松太
二 菊子 文 遊歩 淳子
一 山本桃潤(発句) 美津子 森恵 りえこ 一郎 陽子 恭子 雅子 櫂(捌)

ネット投句スクーリング 軽井沢新緑句会 2022年5月3日

俳句的生活 投稿日:2022年5月3日 作成者: dvx223272022年5月3日

長谷川櫂選

第一句座
【特選】
しろがねの浅間や籠に草苺     花井淳
また一つ怒り飲み込む蟇      稲垣雄二
戦乱の夜をふるはす蛙かな     川辺酸模
【入選】
浅間山迫る五月の朝かな      越智淳子
せせらぎに夏の木洩れ日軽井沢   上田雅子
苗札を読み上げてゆくこどもかな  芳賀匙子
ああああと鴉たいくつ春の昼    北側松太
夕焼けや彼の国はいま大戦場    安藤文
葉桜や枝に山鳩は羽づくろひ    澤田美那子
子の遊びときに怖ろし蝸牛     安藤久美
夜釣人眼をみひらきて闇を行く   袖山富美江
練切りは桜のかたち新茶くむ    上田雅子
質実の播州ぶりや焼穴子      玉置陽子

第二句座
【特選】
戦争のニュースを見つつバナナ食ふ 安藤文
大南風孔雀は翅を競はせて     玉置陽子
大南風浪の中なる壱岐対馬     川辺酸模
うつうつとバナナの熟るる夕べかな 玉置陽子
【入選】
寅さんに売らせてみたきバナナかな 稲垣雄二
石鹸で犬泡まみれ南風       北側松太
南風や缶のラベルの露西亜文字   片山ひろし

古志広島ズーム句会(2022年5月1日)

俳句的生活 投稿日:2022年5月2日 作成者: KAI2022年5月2日

第一句座              
・矢野京子選 
【特選】
向日葵の花の嘆きの果てもなし    長谷川櫂
殺戮にふるへる心新茶汲む      大場梅子
深き穴掘れば冷たし勿忘草      米山瑠衣
【入選】
けふを脱ぎあすにならんと更衣    城山邦紀
ぶつぶつと泥の声する干潟かな    飛岡光枝
マネキンの手足をはづし更衣     斉藤真知子
夏の空肩甲骨は羽のあと       夏井通江
国一つ戦場となる麦の秋       長谷川櫂
骨鳴らし座る八十八夜かな      神戸秀子 
春日傘巻けばぬくもりほのかなる   矢田民也
生も死も闇の中なり夏炉焚く     高橋真樹子
全身で人遠ざける袋角        飛岡光枝
朝寝して泥の中より戻るかな     上松美智子
鳥海山の水温もれる代田かな     石塚純子
麦青む神の裁きの必ずや       米山瑠衣
抱き上げて子は白藤の房のなか    飛岡光枝
籠いつぱいパンを焼きたし復活祭   大平佳余子

・長谷川櫂選 
【特選】
ぶつぶつと泥の声する干潟かな    飛岡光枝
骨鳴らし座る八十八夜かな      神戸秀子
殺戮にふるへる心新茶汲む      大場梅子
全身で人遠ざける袋角        飛岡光枝
麦秋の大地にひびく爆撃音      大場梅子
【入選】
みな急ぐ朝の改札風薫る       伊藤靖子 
蒲公英の野に列をなす戦車かな    林弘美  
決めかねてもう一回り植木市     矢野京子
更衣マスク生活はや三年       安藤文
春の日や琥珀のなかに蟻一匹     飛岡光枝
硝子戸を緋のひといろに躑躅かな   矢野京子  
菖蒲湯や自慢の足をのびのびと    大場梅子   
針金の婚約指輪五月かな       原京子      
生も死も闇の中なり夏炉焚く     高橋真樹子   
全滅の街にふはりと黄蝶かな     夏井通江   
余生とはまさに青春柏餅       菅谷和子
  
第二句座(席題:田植、豆飯)
・矢野京子選 
【特選】
いつぽんの風となりたる田植え歌   高橋真樹子
千枚に千のかたちや早苗待つ     矢田民也
田の水の空の青さに苗を挿す     城山邦紀
【入選】
こんなにも喜びくるる豆ご飯     菅谷和子
をはりまで見よう見まねの田植かな  斉藤真知子
一日の服を吊るして豆の飯      飛岡光枝
手の遅き嫁御と呼ばれ田植かな    原京子
豆飯を握れば豆のぽろぽろと     飛岡光枝
分譲の家に囲まれ田植かな      ももたなおよ

・長谷川櫂選 
【特選】
蓋とれば見事や並ぶ豆の飯      上松美智子
豆の飯食べて母は吾産みにけり    ももたなおよ
箸づかひまだしつかりと豆ご飯    菅谷和子
【入選】
色香増す塩一つまみ豆の飯      原京子
炊きあがる豆飯の湯気猫逃る     飛岡光枝 
田植え機より苗さくさくと水に立つ  石塚純子
田植ゑして山古志の空映しけり    大場梅子 
豆ご飯今年は炊かず過ぎにけり    石塚純子
豆好きの豆だくさんの豆ごはん    大平佳余子
豆飯だ外に居る子も連れてこい    岡村美紗子
豆飯やお代わりの碗ぬつと出て    神戸秀子  
豆飯や莢とる母と語りつつ      ストーン睦美
豆飯を握れば豆のぽろぽろと     飛岡光枝
分譲の家に囲まれ田植かな      ももたなおよ 

古志仙台ズーム句会(2022年4月30日)

俳句的生活 投稿日:2022年5月1日 作成者: KAI2022年5月1日

第一句座              
・長谷川冬虹選
【特選】
ぷしと噴く夜の厨の浅利かな          及川由美子
地下シエルターより覗く青空聖五月      鈴木伊豆山
砲撃のたびたんぽぽは絮飛ばす        齋藤嘉子
マトリョーシカ幾重に春の愁かな       武藤主明
戦争の空に蚊柱しづかなり          長谷川櫂
【入選】
田蛙の声ゆるやかに転げたる         上村幸三
花冷の背中で話すふたりかな         三玉一郎
かたかごの風にさうめん干してゆく      齋藤嘉子
蛇苺ままよ踏み入る藪の中          上 俊一
欠けるなく記念の花の下にかな        石原夏生
しばらくは海のにほひや花菜風        佐伯律子
轟然とたんぽぽ拉く戦車かな         川辺酸模
塗りたての畦ぴよんぴよんとランドセル    三玉一郎
分断の地球に薫れ桃の花           川辺酸模
村中が蛙の声の底の底            齋藤嘉子

・長谷川櫂選
【特選】
教室の椅子は逆さま春休み          甲田雅子
マトリョーシカ幾重に春の愁かな       武藤主明
【入選】
眠さうな蜂の来てゐる昼下がり        平尾 福
芍薬や蟻の降りくる茎赤し          服部尚子
白鷺やおのれの水にしんと立ち        上村幸三
地下シエルターより覗く青空聖五月      鈴木伊豆山
砲撃のたびたんぽぽは絮飛ばす        齋藤嘉子
鳥のこゑ猫と聞きゐる花の昼         及川由美子
慕ふごと鯎寄り来る柳かな          平尾 福
いのちなきものがあつまりさへづれり     三玉一郎
たらの芽の大地の力いただきぬ        武藤主明
春筍刺身にせよと呉れにけり         那珂侑子
桑を食む音や飼屋を震はして         齋藤嘉子

第二句座(席題=囀り、日傘、林檎の花)
・長谷川冬虹選
【特選】
囀れり雛と親鳥入れ替はり          服部尚子
花りんご子牛の瞳うるみをり         佐伯律子
花林檎梢の空に津軽富士           川辺酸模
【入選】
囀りや園児の列の長々と           阿部けいこ
大男やさしく歩く日傘かな          青沼尾燈子
丸の内をのこもさすや黒日傘         齋藤嘉子
囀りに奪はれてゐる城の山          平尾福
青森は妻のふる里林檎咲く          青沼尾燈子
歳月を折り畳みたる日傘かな         武藤主明

・長谷川櫂選
【特選】
林檎の花すれすれに離着陸          伊藤 寛
雪とけて雪より白き花りんご         齋藤嘉子
透き通る津軽平野よ花林檎          三玉一郎
青森は妻のふる里林檎咲く          青沼尾燈子
歳月を折り畳みたる日傘かな         武藤主明
【入選】
原木のひときは高し花林檎          上 俊一
囀が聞こえてゐますか父母の墓        那珂侑子
青春はくすぐつたいぞ花林檎         平尾 福
ちよび髭の男もすなる日傘かな        長谷川冬虹
つかの間も日傘をひらく女かな        那珂侑子
花林檎緩和病棟見ゆる丘           佐伯律子
竹の柄の木綿レースの日傘かな        川村杳平
囀りに奪はれてゐる城の山          平尾 福
すぐ裏が我が家の山や囀れり         伊藤 寛
美しき日傘の母に手を引かれ         伊藤 寛
囀りに目覚める朝の書斎かな         川村杳平
安達太良や村いつぱいの花林檎        長谷川冬虹
花林檎梢の空に津軽富士           川辺酸模
故郷の山また山や花林檎           武藤主明

ネット投句 春の年間賞は安藤文さん

俳句的生活 投稿日:2022年4月25日 作成者: KAI2022年5月1日

・年間賞 
東京駅奥の奥まで春愁       新潟  安藤文

・次点 
十一年彷徨ひつづけ流し雛     愛知  青沼尾燈子
花冷の地球ふるはす戦車かな    長崎  川辺酸模
たくあんに演歌聞かせる日永かな  和歌山 玉置陽子

・候補 
終りあることの嬉しさ卒業歌    兵庫  魚返みりん
気晴らしのドライブひとり風花す  新潟  安藤文
春昼や画面の向うから戦車     茨城  馬場小零
縄文のひとみな裸足春の泥     東京  長井亜紀
以下同文の卒業証書戴きぬ     岐阜  辻雅宏
入学のこころ忘れて卒業す     神奈川 三玉一郎

古志金沢ズーム句会(2022年4月24日)

俳句的生活 投稿日:2022年4月25日 作成者: KAI2022年4月25日

第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
凧が子を引張つてゆく広野かな     田村史生
ひとすじの夕虹となり蛇流る      玉置陽子
ロビンソン・クルーソー粟島に栄螺焼く 藤倉桂
跳び込んで幻となる蛙かな       清水薫
ときはなつ五感六感つばくらめ     泉早苗
魔の山の峨々と真白し春の空      長谷川櫂
ぼうたんの解けるまでの重さかな    山本桃潤
【入選】
大岡忌花のいのちの真ん中に      趙栄順
母のゐるやうにぶらんこ漕ぎ出せり   宮田勝
石南花や戦車の舐めてゆく舗道     田中紫春
しづかなる穀雨よ加賀の山河かな    泉早苗
壺焼の壺の奥より波の音        玉置陽子
太陽を蹴り上げに行くぶらんこよ    稲垣雄二
用水にかつて市場の柳かな       花井淳
さてもさても永き日いかにや自由なり  松川まさみ
世界中朝寝を起こす戦車かな      稲垣雄二
初蝶や八幡様の花手水         間宮伸子
まほらばや加賀艶々と五月雨      山本桃潤
花びらで染めて鎌倉シャツの店     間宮伸子
平然と殺戮の日々葱坊主        泉早苗
ホームズの長き謎解き春炬燵      花井淳

・長谷川櫂選
【特選】
幼な子にねむる力や柏餅        安藤久美
銀輪の先に先にと風光る        宮田勝
世界中朝寝を起こす戦車かな      稲垣雄二
しろがねの空に棹さし雁帰る      趙栄順
花守の花のごとくに老いたまふ     橋詰育子
【入選】
雉子下げて金借りに来る男かな     玉置陽子
春の野に咲けるサフラン戦車行く    近藤沙羅
蜜蜂や尻ひこひこと藤の房       藤倉桂
うつらうつら海の見る夢蜃気楼     酒井きよみ
取れたての土の匂ひの春筍       佐々木まき
春の月争ふ地球哀しめり        酒井きよみ
小振りなる埴輪の乳房春惜しむ     玉置陽子
朧夜のたれそゐるらし廃墟かな     鬼川こまち
平然と殺戮の日々葱坊主        泉早苗

第二句座(席題:薄暑、新茶)
・鬼川こまち選
【特選】
人いきれ一色となす薄暑かな      宮田勝
薄暑はや五百羅漢のさんざめく     玉置陽子
海一つ向かふは戦場新茶汲む      稲垣雄二
会へぬまま母遠くなる薄暑かな     趙栄順
封切つて鼻を突つ込む新茶かな     稲垣雄二
言葉出るを待ちくるる師や新茶汲む   藤倉桂
【入選】
ふかぶかと定まる古茶の風味かな    長谷川櫂
初めての自家製新茶ひと握り      密田妖子
宅配の人みな走る薄暑かな       田村史生
牛の尾のしきりに動く薄暑かな     酒井きよみ
隣席を開けて座りぬ人薄暑       佐々木まき
かな文字の行のゆがめる薄暑かな    花井淳
子山羊らの白のまぶしき薄暑かな    酒井きよみ
いにしへの宇治も大和も新茶かな    田村史生
新月のほのかに香る新茶かな      長谷川櫂
昏れてなほ蒼き空あり新茶汲む     泉早苗

・長谷川櫂選
【特選】
帰れざる昔ありけり新茶汲む      趙栄順
金色のしづく汲み分く新茶かな     玉置陽子
封切つて鼻を突つ込む新茶かな     稲垣雄二
走り茶や皺の手が入れ皺の手へ     稲垣雄二
濃くいれて新茶の緑飲み干しぬ     山本桃潤
【入選】
宅配の人みな走る薄暑かな       田村史生
恐ろしき百歳時代新茶くむ       間宮伸子
薄暑はや箱より出せる奈良団扇     藤倉桂
ニュータウン全戸老いたる薄暑かな   松川まさみ
丁寧に生きて新茶の一滴        佐々木まき
子山羊らの白のまぶしき薄暑かな    酒井きよみ
反射炉の見学終えて新茶かな      田中紫春
うれしさは術後五年の新茶かな     趙栄順
日めくりをめくりて今日の薄暑かな   中野徹
乗客は孤老ばかりの昼薄暑       越智淳子

古志鎌倉ズーム句会(2022年4月17日)

俳句的生活 投稿日:2022年4月18日 作成者: 田中 益美2022年4月20日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
咲き満ちてひとひらこぼす桜かな  萬燈ゆき
戦争の只中を春ゆきにけり     関根千方
いちめんの菜の花揺るる近江かな  木下洋子
一村を沈めしダム湖余花白し    曽根崇
わが息の虹色となる石鹸玉     澤田美那子
永き日や嘆きては人別れゆく       長谷川櫂
戦乱や人心春の泥まみれ         西川遊歩
【入選】
一輪の淫らなるまで桃の花       長谷川櫂
うぶすなを奪ふ戦車や忘れ霜      木下洋子
目覚むれば桜の白き闇ばかり      イーブン美奈子
夕烏若葉揺すりて巣の支度       おほずひろし
あつけらかんと顎はずしチユーリツプ 長井はるみ
侵略が大手を振つて春が逝く      木下洋子
花見よし酒の香のなき墨堤よ      吉田順子

•長谷川櫂選
【特選】
戦争の只中を春ゆきにけり      関根千方
独裁者退がれ退がれと潮まねき       藤英樹
灌仏の風渡りゆく大甍           喜田りえこ
【入選】
八十八夜砲撃の止まざりき      関根千方
くるぶしの癒えて八十八夜かな    仲田寛子
めぐり来て春おそろしく傷ましく   葛西美津子
マスクして顔失ひし桜かな      萬燈ゆき
ゴミ出しのついでに覗く花まつり   喜田りえこ
箱ずしのもう売り切れて八重桜    森永尚子
人を信じず花冷の坂下る       イーブン美奈子
かけがへなき一木一草青き踏む    仲田寛子
春愁をこぼして廻る水車かな     萬燈ゆき
飯蛸は焼かれて花の脚ひらく     関根千方

第二句座 (席題:燕、開帳)
•藤英樹選
【特選】
東京の燕すくなくなりにけり   吉田順子
ひとところ花影妖し御開帳    萬燈ゆき
明日見えぬ瓦礫の町へ燕来る   西川遊歩
鬱鬱と燕の空となりにけり    澤田美那子
【入選】
水張つて棚田千枚つばくらめ   萬燈ゆき
燕の巣土間の入り口開けておく  田中益美
御開帳なにもなき闇拝みけり   神谷宣行
大川の波をかすめて初つばめ   園田靖彦
秘仏なほ隠せしままに御開帳   萬燈ゆき

•長谷川櫂選
【特選】
金色のいやまぶしさよご開帳     葛西美津子
村の人みな年とりぬ御開帳      仲田寛子
風切つて燕とびゆく美しさ         吉田順子
青権現どんと三体開帳す          イーブン美奈子
開帳の秘仏ながめん裏表          園田靖彦
【入選】
駅うらは昭和の匂ひ夕つばめ     升谷正博
白絹で御足さすりぬご開帳      葛西美津子
ひらひらと蝶舞ひ込みぬ御開帳    藤英樹
開帳に舟の混みあふ浦港       曽根崇
その中に義士の甲冑出開帳      木下洋子
観音の御足に触るる居開帳      金澤道子
ひとところ花影妖し御開帳      萬燈ゆき
開帳のなにか知らねど頭垂れ     升谷正博
ぼろぼろの真田紐解き御開帳     仲田寛子
御開帳なにもなき闇拝みけり     神谷宣行
車椅子出入り自由の御開帳      田中益美
開帳や厨子も仏もあな小さ      森永尚子
花の山とびら開いてお厨子かな    森永尚子
開帳をよろこびあひて和布干す    曽根崇

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読売新聞「四季」から

道ばたにまゆ干すかざのあつさ哉     許六

 「甲斐の郡内を出て」とある。郡内は山梨県東部の山間地帯で甲斐絹の産地。許六は芭蕉門の彦根藩士。街道を歩いてゆくと、道端に干した繭から暑苦しい匂いがむっと立ちのぼる。「かざ」は香り。香りを嗅ぐことは「かざむ」といった。『五井老発句集』

 

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    岩波新書
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    『四季のうた 美しい日々』
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    句集『太陽の門』
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    中公文庫
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    大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
    長谷川櫂 編
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    『四季のうた 普段着のこころ』
    中公文庫
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    2019年12月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
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    中公新書
    880円+税
    2019年1月刊行


    『四季のうた 至福の時間』
    中公文庫
    700円+税
    2018年12月刊行


    『九月』
    青磁社
    1800円+税
    2018年8月刊行


    『Okinawa』
    Red Moon Press
    $15
    俳句 長谷川櫂
    英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
    2018年5月刊行


    『俳句の誕生』(4刷)
    筑摩書房
    2300円+税
    2018年3月刊行


    『四季のうた 想像力という翼』
    中公文庫
    700円+税
    2017年12月刊行


    『芭蕉さん』
    俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
    選句解説・長谷川櫂
    講談社
    1500円+税
    2017年3月刊行


    『震災歌集 震災句集』
    青磁社
    2000円+税
    2017年3月刊行


    『四季のうた 文字のかなたの声』
    中公文庫
    600円+税
    2016年12月刊行


    藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
    花神社
    2500円+税
    2016年10月刊行


    『文学部で読む日本国憲法』
    ちくまプリマー新書
    780円+税
    2016年8月刊行


    『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
    松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
    河出書房新社
    2,600円+税
    2016年6月刊行


    『四季のうた 微笑む宇宙』
    中公文庫
    700円+税
    2016年3月刊行


    『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
    筑摩選書
    1,500円+税
    2015年10月刊行


    『沖縄』
    青磁社
    1,600円+税
    2015年9月刊行


    『入門 松尾芭蕉』
    長谷川櫂 監修
    別冊宝島
    680円+税
    2015年8月刊行


    『歌仙一滴の宇宙』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2000円+税
    2015年2月刊行


    『吉野』
    青磁社
    1,800円+税
    2014年4月刊行
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