ネット投句、意味不明(独りよがり)の句が目立ちます。古志の会員の方はズーム句会などに参加して、このままでほかの人にわかるのか、鍛え直してください。
つねづね「俳句は発想にはじまり、推敲に終わる」と申し上げていますが、既存の発想を借りてないか、推敲は十分か、考えてください。
ネット投句、意味不明(独りよがり)の句が目立ちます。古志の会員の方はズーム句会などに参加して、このままでほかの人にわかるのか、鍛え直してください。
つねづね「俳句は発想にはじまり、推敲に終わる」と申し上げていますが、既存の発想を借りてないか、推敲は十分か、考えてください。
【特選】
眠る梅起きよ起きよと梅探る 東京 神谷宣行
寒餅や豆の抜けたる穴覗く 石川 密田妖子
母象の足の鉄球春遅し 京都 吉田千恵子
【入選】
山山やざんぐり御座す大旦 北海道 芳賀匙子
雪の降るひとりの午後や墨を磨り 北海道 柳一斉
真っ白な大地広がる淑気かな 北海道 髙橋真樹子
死者生者集ひて今日は初句会 北海道 髙橋真樹子
人間に自我てふ阿修羅鬼やらひ 宮城 長谷川冬虹
三月十一日十二年経て浪ばかり 宮城 長谷川冬虹
凍鶴の愛のしぐさのままこほる 埼玉 園田靖彦
湯とほしのまことまあかや寒の鯛 埼玉 園田靖彦
初句会笑顔に邪魔なマスクかな 埼玉 上田雅子
ここもそこも届かぬ高さ大掃除 千葉 芦野アキミ
蓬莱や背戸を出れば梅林 千葉 若土裕子
疫の世やみな息災に粥柱 千葉 若土裕子
小雪舞ふベンチに白杖年越しぬ 千葉 青山果楠
成人の日あと80年の労苦かな 東京 長尾貴代
母猫のくはへてもどす子猫かな 東京 楠原正光
霙霏霏雲水の赤きかかとかな 神奈川 遠藤初惠
寒風や一抉りして遠ざかる 神奈川 三浦イシ子
どんどの火その中に父見てしまふ 神奈川 三玉一郎
父の記憶一本の氷柱かな 神奈川 三玉一郎
小寒やいよいよ青き鳶の空 神奈川 植木彩由
御降や有り難きとて退け候 神奈川 植木彩由
老いるとは裏が白紙の賀状受く 神奈川 土屋春樹
書くほどのこと無き日々や日記買ふ 神奈川 藤澤迪夫
当番の札を隣家に御慶かな 神奈川 藤澤迪夫
怪しげなものも混じつてどんどかな 新潟 安藤文
ひとときの春待つこころ鳩サブレ― 石川 花井淳
初場所や綺麗所が五六人 石川 密田妖子
出刃をまづ首の根つこへ鰤捌く 長野 金田伸一
とこ永遠にこの里はよし雪浄土 長野 金田伸一
日脚伸ぶ言はずもがなの言い訳す 長野 大島一馬
画面みて髪型直す初句会 岐阜 夏井通江
放し飼ふ鶏の生みし寒卵 岐阜 古田之子
十二時のチャイム聞こゆる冬の山 岐阜 梅田恵美子
初日記指切れさうな一ページ 愛知 稲垣雄二
産土へこぼす鈴の音手鞠唄 愛知 臼杵政治
大空へわが存問ぞ凧 愛知 臼杵政治
雪折れや未だ売れざり祖父の山 愛知 宗石みずえ
冷たさを問ひ交はしつつ冬耕 愛知 宗石みずえ
ゆで過ぎが母には良けれ晦日蕎麦 大阪 内山薫
探梅や行けるかぎりを我が足で 大阪 澤田美那子
幼きもこぶし突上げ寒稽古 兵庫 天野ミチ
溜息や転びて花のスケーター 奈良 柏木博
一炊の夢より還る年の暮 奈良 柏木博
初受診母はそのまま入院よ 岡山 北村和枝
鶏小屋の八方へ打つ追儺豆 香川 曽根崇
三日はや昨日の誓ひ忘れけり 長崎 川辺酸模
愛し子の訃淡々と寒見舞 長崎 川辺酸模
悠久のなかの縁や鏡餅 大分 竹中南行
花井さんには賞品を贈ります。なお歴代の年間賞作品、ときどきごらんください。俳句づくりの指標に。
・年間賞
歩み来る年は一人で歩む年 花井淳
・次点
からうじて命の形鵙の贄 稲垣雄二
われ月と天王星と一列に 清水俊夫
折りて鶴ひらかば果てしなき枯野 松川まさみ
・入選
しやくとりや深く沈みてまた一歩 梅田恵美子
りんご擦り喉へ流せし別れかな 稲垣雄二
古酒新酒なんだかんだと添ひ遂げて 佐々木まき
小鳥来る病臥の我を励ましに 安藤文
ねんねこのこの子に残す地球かな 山本桃潤
チャップリンある日怒りの冬帽子 青沼尾燈子
一輪の大きしじまや冬薔薇 三浦イシ子
何故の戦争ならむ榾真赤 玉置陽子
この星の一点に立ち独楽廻る 稲垣雄二
善人の顔して撞かん百ハつ きだりえこ
*候補
雨風に葉ごと飛び来るどんぐりよ 芳賀匙子
間引菜のいのちの丈や昨日けふ 松井恭子
干柿の日向ななめに軒深し 佐々木まき
大いなる佐渡の天地に時雨かな 安藤文
押し花の香の漂へるこの冬よ 花井淳
初冬の鈴ふるやうな日ざしかな 松川まさみ
ぽたぽたと雨を楽しむ冬木かな 安藤文
乾鮭に命つなぎし昔あり 酒井きよみ
淋しさうな木に五本ほど大根干す 藤岡美恵子
落葉掃く怒りの音を立てながら 安藤文
煮凝りの揺れて一夜の密かごと 松川まさみ
暗闇が語り始むる焚火かな 稲垣雄二
野良に生く猫の矜持や寒の月 諏訪いほり
病みゐても冬青草のやうに生く 北村和枝
大根焚寺の大屋根朝日さす 曽根崇
死ぬる日も阿呆と呼ばれ手鞠唄 川辺酸模
といつても確と三食冬ごもり 竹中南行
くろぐろと雄勝の石や初硯 長谷川冬虹
石蕗の花母は位牌となりたまふ 長谷川冬虹
去年今年闇清らかに人の声 稲垣雄二
去年今年人もコロナも生き延びて 澤田美那子
幸せの尽きることなき林檎箱 山本桃潤
金婚の妻と住む家目貼かな 山本桃潤
鬼柚子も仏顔なる湯船かな 竹中南行
*歴代の年間賞
【2022年冬】 歩み来る年は一人で歩む年 花井 淳
【2022年秋】 現世の唯一の重石原爆忌 竹中南行
【2022年夏】 七十余年隻眼で見る春の山 青沼尾燈子
【2022年春】 東京駅奥の奥まで春愁 安藤 文
【2021年冬】 綿虫の無より涌き出てさまよへり 夏井通江
【2021年秋】 いさかひし昔恥づかし墓洗ふ 川辺酸模
【2021年夏】 この初夏の素晴らしき日に何もせず 森徳典
【2021年春】 海流のぶつかる響き卒業歌 渡辺遊太
【2020年Ⅳ期】 初場所や発止と組んで花の色 齋藤嘉子
【2020年Ⅲ期】 たいくつはのつぺらぼうやマスクして 上田雅子
【2020年Ⅱ期】 したたかに生きてしわしわソーダ水 百田直代
【2020年Ⅰ期】 思想こそ国の柱よ竜の玉 山本桃潤
【2019年Ⅳ期】 さつきまで父母ゐた畳冬日差 渡辺遊太
【2019年Ⅲ期】 花木槿宇宙のすみに小さき家 夏井通江
【2019年Ⅱ期】 薩摩富士海より立ちて明易し 池田祥子
【2019年Ⅰ期】 即興の一生だった紅薔薇 柚木紀子
【2018年Ⅳ期 ちらちらと地球の骨の見えて冬 渡辺遊太
【2018年Ⅲ期】 ひるがえる奥は真暗き夏暖簾 長井亜紀
【2018年Ⅱ期】 萎えし手の母の手柄の豆ご飯 藤岡美惠子
【2018年Ⅰ期】 ひとつづつ仏の顔や種浸し 喜田りえこ
【2017年Ⅳ期】 ひきずつて親の思ひの千歳飴 澤田美那子
【2017年Ⅲ期】 海の底空の果てから土用波 越智淳子
【2017年Ⅱ期】 骨壺のそつと置かれる春の中 西川遊歩
【2017年Ⅰ期】 故郷の山に似た山餅を焼く 山本桃潤
【2016年後期】 水にあそび水にねむるや心太 長井亜紀
【2016年前期】 表より裏より風の来る団扇 井上じろ
【2015年後期】 秋といふ大きなうしろすがたかな 三玉一郎
【2015年前期】 春の野はまだかりぬひのひかりかな 松本邦吉
【2014年後期】 水打ちてみえざる炎しづめけり 岡崎陽市
【2014年前期】 初春がひとりの椀に来たりけり 加藤百合子
【2013年後期】 柳眉逆立て長き黒髪洗ひけり 佐々木まき
【2013年前期】 へそに置く団扇一本昼寝かな 神谷宣行
【2012年】 花からすうり惑星いつかまた集ふ 柚木紀子
【特選】
くろぐろと雄勝の石や初硯 宮城 長谷川冬虹
石蕗の花母は位牌となりたまふ 宮城 長谷川冬虹
この星の一点に立ち独楽廻る 愛知 稲垣雄二
去年今年闇清らかに人の声 愛知 稲垣雄二
去年今年人もコロナも生き延びて 大阪 澤田美那子
善人の顔して撞かん百ハつ 奈良 きだりえこ
幸せの尽きることなき林檎箱 大分 山本桃潤
金婚の妻と住む家目貼かな 大分 山本桃潤
鬼柚子も仏顔なる湯船かな 大分 竹中南行
【入選】
地吹雪とささら電車の雄叫びと 北海道 村田鈴音
筆談の文字飛び交ふや冬日和 北海道 村田鈴音
冬の日や樹に凍裂の遠き声 北海道 芳賀匙子
拍手や雲遮るも初岩木 青森 工藤一枝
眠れぬ夜は雪見障子を上げておく 青森 三浦勝衛
接種待つ椅子の硬さや雪催 青森 三浦勝衛
外されぬビニール仕切り去年今年 青森 清水俊夫
白鳥を見ている我も一人かな 茨城 袖山富美江
かの人の冬帽らしき並木道 茨城 袖山富美江
音も無きクイックターン初泳ぎ 埼玉 上田雅子
残り火の焼き芋うまし夫のいて 千葉 春藤かづ子
年の暮子の来て直す掛時計 千葉 池田祥子
かつ節を一節買いて年用意 千葉 麻生十三
橙の実のゆさゆさと門囃す 東京 畠山奈於
母さんの小包解いたら落葉 神奈川 植木彩由
バジルの香口に残りぬ年忘れ 神奈川 中丸佳音
除夜の鐘身を投げ出して撞く一打 神奈川 藤澤迪夫
浅草は夢多き町初参り 神奈川 片山ひろし
着ぶくれて遅れましたと新聞来 新潟 安藤文
大冬木嚏しさうな気配あり 新潟 安藤文
黄昏の雑踏に探す君のコート 新潟 高橋慧
皮剝けばたちまち女体鮟鱇は 富山 酒井きよみ
独楽廻す江戸むらさきの蓋の上 石川 花井淳
羊羹の切り口の寂冬銀河 石川 花井淳
雲隠文に尽くせぬ年逝けり 石川 花井淳
大晦日雁字搦めの地球かな 長野 大島一馬
冬蝶の息の聞こゆる草の中 岐阜 古田之子
煤払ひ蜘蛛の寝床も蜘蛛の巣も 岐阜 古田之子
戦争は戦争のまま去年今年 愛知 稲垣雄二
誰がために弾くや聖夜のラブソング 愛知 臼杵政治
百歳までぬくぬく尾州の外套ぞ 愛知 臼杵政治
この一尾喜寿の祝ひへ金目鯛 愛知 臼杵政治
寒晴や百一歳の昇天す 愛知 宗石みずえ
橙ひとつ薄暗がりに置かれをり 愛知 青沼尾燈子
猫の骨納めし壷や雪時雨 京都 吉田千恵子
あれとこれそうそうそれも年用意 京都 諏訪いほり
贅沢を諫むる家訓根深汁 京都 氷室茉胡
兎当番八百屋でもらふ大根葉 大阪 木下洋子
夫婦して命がけなる雪下し 大阪 木下洋子
着ぶくれて原子炉再開反対す 大阪 澤田美那子
宝船八十路の夢を託しけり 大阪 澤田美那子
きょう一夜波郷のおごり河豚の鍋 大阪 齊藤遼風
火の国の寒鯉闇に静かなり 大阪 齊藤遼風
家を継ぐ子等も居らずや餅を搗く 兵庫 吉安とも子
ほれ起きよ椎茸榾木たたき冬 兵庫 藤岡美恵子
これからは二人の暮らし薪積む 兵庫 藤岡美恵子
かにかくに思ひわずらひごまめ食ふ 兵庫 福田光博
去年今年病を二つ持ち越せり 兵庫 髙見正樹
船旅や水平線に初明り 兵庫 髙見正樹
赤ん坊の声ある国や初明かり 奈良 きだりえこ
木星と土星の近し冬の暮 奈良 中野美津子
いつの世ぞ押しくら饅頭の声もがな 奈良 柏木博
いただきし鮟鱇われの指を噛む 奈良 柏木博
湯婆のまだあたたかき別れかな 和歌山 玉置陽子
陰神のほとに日当る冬至かな 和歌山 玉置陽子
ともかくも本の整理や年用意 岡山 北村和枝
片付かぬ部屋も居心地よき冬日 岡山 北村和枝
風邪引いて一日の長くなりにけり 岡山 北村和枝
若水や十や二十は若返る 岡山 齋藤嘉子
柚子湯浴ぶ脳裏かすめるウクライナ 広島 鈴木榮子
数へ日や世界が終はるわけでなし 長崎 ももたなおよ
世の中が混沌として年迫る 長崎 ももたなおよ
炊き出しのテントに列なす年の暮 長崎 ももたなおよ
霙降る享年二十歳陸軍伍長 大分 山本桃潤
一茶忌や差別はびこるばかりにて 大分 竹中南行
太古より崇むる士峰大寒波 大分 竹中南行
【特選】
一輪の大きしじまや冬薔薇 神奈川 三浦イシ子
落葉掃く怒りの音を立てながら 新潟 安藤文
歩み来る年は一人で歩む年 石川 花井淳
煮凝りの揺れて一夜の密かごと 石川 松川まさみ
暗闇が語り始むる焚火かな 愛知 稲垣雄二
野良に生く猫の矜持や寒の月 京都 諏訪いほり
何故の戦争ならむ榾真赤 和歌山 玉置陽子
病みゐても冬青草のやうに生く 岡山 北村和枝
大根焚寺の大屋根朝日さす 香川 曽根崇
死ぬる日も阿呆と呼ばれ手鞠唄 長崎 川辺酸模
といつても確と三食冬ごもり 大分 竹中南行
【入選】
鮟鱇の愛想笑ひの出来ぬ貌 北海道 村田鈴音
思ひ出てふ厄介なもの雪の降る 北海道 柳一斉
ラジオ消し己に戻る冬の夜 北海道 柳一斉
加湿器の湯気のぼりゆく雪晴間 北海道 柳一斉
そこかしこ老人施設白鳥飛ぶ 青森 三浦勝衛
一ミリのドーハの勝利冬はじめ 青森 清水俊夫
着膨れて地球の未来守らんと 青森 清水俊夫
この冬は山茶花散るもいとはしき 宮城 長谷川冬虹
傷みとは生きてる証し冬茜 茨城 袖山富美江
あの人の冬帽らしき日暮かな 茨城 袖山富美江
炭を焼く六法全書脇にあり 埼玉 佐藤森恵
冬ごもり一人に広し3DK 埼玉 上田雅子
父二十三母七回忌秋の逝く 千葉 芦野アキミ
こりこりと噛めば海鳴り海鼠かな 千葉 若土裕子
山行けば靴の埋もるる落葉道 千葉 春藤かづ子
ネットより投句重ねて年の暮 千葉 谷口正人
入院の友便りなく年の暮 千葉 谷口正人
日向ぼこベッドの窓に身を寄せて 千葉 池田祥子
夢の世に泥葱くるる友老いぬ 千葉 池田祥子
音読の父の声聞く冬の夜 千葉 麻生十三
着ぶくれて飛行機仰ぐビルの上 東京 堀越としの
ミサイルが飛び交ふ夜明け山眠る 東京 櫻井滋
故郷の磯の香まとひ牡蛎とどく 神奈川 伊藤靖子
しずもれるものみな見ゆる雪月夜 神奈川 越智淳子
年の暮母にしたがふ厨かな 神奈川 三浦イシ子
寒稽古人間を呼び覚ましけり 神奈川 三玉一郎
大臣は寝てをる今日は憂国忌 神奈川 植木彩由
冬日どつしり七百年の柏槙に 神奈川 中丸佳音
熱燗や祖父父叔父が浮かび来る 神奈川 土屋春樹
また遅延東海道線ふところ手 神奈川 湯浅菊子
立冬の峰夕闇に呑まれゆく 神奈川 藤澤迪夫
すつきりと冬木のやうな句を詠まん 神奈川 那珂侑子
満員の電車咳する人なきや 神奈川 那珂侑子
スクラムの解けてラガーのこぼれ出づ 神奈川 片山ひろし
初雪やふるさとのなき人ばかり 新潟 安藤文
妻のいぬ間のひと時を冬椿 新潟 安藤文
冬桜しんと千代尼の埋骨所 石川 密田妖子
俊秀の会にのぞまん開戦日 長野 金田伸一
句を破る心たいせつ花梨の実 長野 金田伸一
冬銀河ハレルヤの歌昇り詰む 長野 大島一馬
ウイルスも地球に住める冬銀河 長野 大島一馬
歳晩や久しく聞かずお年の実 岐阜 三好政子
綿虫や姉が施設へ入る朝 岐阜 梅田恵美子
大空へいのち眩しき冬木の芽 岐阜 梅田恵美子
凩は君の拳や頬を打つ 愛知 稲垣雄二
十二ヶ月遅れの返事賀状書く 愛知 臼杵政治
セーターをくれし女と行き交ひて 愛知 臼杵政治
着ぶくれやジャージをのこの隣席へ 愛知 宗石みずえ
チバニアン七十万年山眠る 愛知 青沼尾燈子
友と吾といづれちゃらぽこ漱石忌 愛知 青沼尾燈子
折り線ずれし折り鶴冬籠 京都 吉田千恵子
まねき立つ空を飛び交ふ百合鴎 京都 佐々木まき
干し柿や思ひ描きし味ならず 京都 諏訪いほり
炊き合はすものを選ばぬ大根かな 京都 氷室茉胡
嵐山の竹の囁き初時雨 京都 氷室茉胡
悴むや見舞の言葉探しつつ 京都 氷室茉胡
牡蠣舟や電飾の岸遠ざけて 大阪 澤田美那子
波郷忌や我抱く母の手術痕 大阪 齊藤遼風
冬うらら飛び交ふ烏あそこにも 兵庫 天野ミチ
間違ふて鳩色気づく小春日や 兵庫 天野ミチ
振出しに戻る双六茶を啜る 兵庫 福田光博
渾身の一句を添へて賀状書く 奈良 きだりえこ
にこにこと蜜柑の国の君が来る 奈良 きだりえこ
またひとり大往生や年の内 奈良 中野美津子
狐火の話を誰に聞かせうぞ 奈良 柏木博
狐の尾隠し持つたる顔集ふ 奈良 柏木博
掌の中に母の手帰り花 和歌山 玉置陽子
寒晴や次の手術日決まりたる 岡山 北村和枝
薬飲む刻も惜しみて師走かな 岡山 北村和枝
塀越しに聞く鋏音松手入れ 広島 鈴木榮子
年用意作務衣に見する主婦の意気 広島 鈴木榮子
争ひはやめよやめよと冬将軍 長崎 ももたなおよ
煮凝りに背びれすくつと立ちてあり 長崎 ももたなおよ
茎桶の寝息もれをり月の小屋 長崎 川辺酸模
ちよつと減る平均余命氷柱かな 大分 山本桃潤
ふくふくと煮ゆる雑炊漱石忌 大分 竹中南行
狼や小型が流行るペット犬 大分 竹中南行
【特選】
ぽたぽたと雨を楽しむ冬木かな 新潟 安藤文
乾鮭に命つなぎし昔あり 富山 酒井きよみ
折りて鶴ひらかば果てしなき枯野 石川 松川まさみ
チャップリンある日怒りの冬帽子 愛知 青沼尾燈子
淋しさうな木に五本ほど大根干す 兵庫 藤岡美恵子
【入選】
樽底に憂さも蔵める味噌作り 北海道 村田鈴音
あめゆきのやんでからまつしぐれかな 北海道 芳賀匙子
人殺す大義はどこに良寛忌 北海道 柳一斉
温め酒加減あやふく妻の留守 青森 工藤一枝
閉じられままの聖書や冬銀河 青森 三浦勝衛
消えてゐる月消えていく天王星 青森 清水俊夫
凛として抗議の白紙冬薔薇 千葉 池田祥子
吊られたる鮟鱇の眼に暗き海 千葉 麻生十三
花ならぬ紅葉の筏目黒川 東京 岡田定
冬ざれやビニル傘打つあめのおと 東京 小野早苗
するすると窓にゴンドラ冬うらら 東京 堀越としの
銀杏落ち葉再開発を蹴散らさん 東京 櫻井滋
セーターを抜けて地球へ顔を出す 神奈川 三玉一郎
おかめ蕎麦すすりつ冬の雨聞きつ 神奈川 中丸佳音
朝採れの白菜や濡れ新聞紙 神奈川 藤澤迪夫
刻々と変はる富士山冬の空 神奈川 那珂侑子
高僧も混じり沢庵漬けにけり 神奈川 那珂侑子
明日知れぬ色の限りの冬紅葉 神奈川 片山ひろし
海鼠腸や島の鬼太鼓聞きながら 神奈川 片山ひろし
母は目を子は耳を挿す雪兎 神奈川 片山ひろし
どつさりと大根提げて客来たる 新潟 安藤文
日の透ける橅の林や滑子採り 新潟 高橋慧
芋蔓にあやからんかなの道 長野 金田伸一
落葉掃き堅き大地に大き宙 長野 大島一馬
冬空の高きに皇帝ダリヤかな 岐阜 夏井通江
石ころの影の伸びたる小春かな 岐阜 古田之子
長男に教え込まんと雪囲 京都 吉田千恵子
玉ねぎを百ほど埋めて山眠る 京都 諏訪いほり
発言の撤回またも虎落笛 京都 氷室茉胡
売り叩く声の飛び交ふ十二月 京都 氷室茉胡
冬の蝶鏡の奥へ帰りけむ 大阪 安藤久美
けふの日の良きことひとつ濃き紅葉 大阪 山中紅萼
山眠る夢はほのぼの花の色 大阪 澤田美那子
歯がゆさは一日ひとつ年用意 大阪 澤田美那子
はりつけのごとく外套かけてあり 兵庫 加藤百合子
枯れてより風にまかせん箒草 兵庫 加藤百合子
左義長の炎に揺らぐ年男 兵庫 福田光博
ついて来い言わんばかりの仔猫かな 兵庫 福田光博
冬晴や港の空を舞ふ鳶 兵庫 髙見正樹
ポケットに愛だけつめて冬木道 奈良 喜田りえこ
埋み火や言葉を武器と闘へり 奈良 喜田りえこ
冬蜂の潜みて眠る鉢の中 奈良 中野美津子
更地増え街の欠けゆく寒さかな 岡山 北村和枝
蛸壷に猫の寝てゐる小春かな 香川 曽根崇
空鋏鳴らして終る松手入 香川 曽根崇
セザンヌの絵より転がりラフランス 長崎 ももたなおよ
今年から母は家居や報恩講 長崎 川辺酸模
明々と灯して電車枯野ゆく 大分 山本桃潤
落葉舞ふ帰るところのなき都会 大分 山本桃潤
【特選】
われ月と天王星と一列に 青森 清水俊夫
小鳥来る病臥の我を励ましに 新潟 安藤文
大いなる佐渡の天地に時雨かな 新潟 安藤文
押し花の香の漂へるこの冬よ 石川 花井淳
初冬の鈴ふるやうな日ざしかな 石川 松川まさみ
ねんねこのこの子に残す地球かな 大分 山本桃潤
【入選】
木枯に全て差し出す大樹かな 北海道 村田鈴音
雪蛍終のはじまり漂へり 北海道 村田鈴音
初時雨大吟醸は冷やまま 青森 三浦勝衛
次々と家族にコロナ銀杏散る 岩手 川村杳平
氷頭なます母の得意を真似てみる 宮城 長谷川冬虹
風呂吹や最後に握りし母の掌よ 宮城 長谷川冬虹
大門をくぐるランナー息白し 茨城 袖山富美江
去来忌やここにもひとり慕う人 埼玉 佐藤森恵
マスク取れば百歳の我現るる 埼玉 上田雅子
柿ドサッと宅配便の大秤 千葉 芦野アキミ
唐辛子樽に漬け込む山東菜 千葉 若土裕子
生駒山より奈良も難波も豊の秋 千葉 若土裕子
霜の朝プリズムの如光る枝先 千葉 春藤かづ子
眼を閉じて秋の音聞く午後三時 千葉 青山果楠
朝日射す銀杏落葉のあたたかさ 千葉 谷口正人
保育器の無垢の双子や小春凪 千葉 池田祥子
生検や針刺す闇のすさまじき 千葉 池田祥子
我が来て猫が出てゆく日向ぼこ 千葉 麻生十三
煮凝りや母に昭和の台所 東京 櫻井滋
小春日や箒の先を茶色蝶 神奈川 越智淳子
おおせんせ手もて温める聴診器 神奈川 遠藤初惠
私とふ知らない人と日向ぼこ 神奈川 三玉一郎
手のひらに杖なじみけり小鳥来る 神奈川 松井恭子
しぐるるや奈良井にマリア観世音 神奈川 片山ひろし
見納めの桜紅葉や粥啜る 石川 花井淳
落選は敲くきつかけ秋灯下 長野 金田伸一
乱る世に山厳然と冬に入る 長野 大島一馬
駅前に焼栗の香の寄る辺なし 長野 大島一馬
海へ行く電車の揺れて冬ぬくし 岐阜 夏井通江
海透けてハゼが群れなす小春かな 岐阜 夏井通江
片や入道雲片や秋の雲 岐阜 上松美智子
骨酒の岩魚けはしく我を見る 岐阜 梅田恵美子
冷まじや違憲状態この度も 愛知 稲垣雄二
この国の政治にもあれ鰤起こし 愛知 稲垣雄二
命一つ青空にあり冬の蝶 愛知 稲垣雄二
沢庵を漬けては余す鰥夫かな 愛知 臼杵政治
刈株や蕎麦をわれらが糧として 愛知 臼杵政治
ひと晩にからりと晴れて翁の忌 愛知 青沼尾燈子
押し付け合ふ看取りの決断夜半の冬 京都 吉田千恵子
火を起こす竹筒に煤冬近し 京都 吉田千恵子
昨日おでん有無を言はさず今日もおでん 京都 佐々木まき
母と句座共にせし友逝く秋ぞ 京都 氷室茉胡
車座になつて連句や温め酒 大阪 木下洋子
凩やコロッケまでも値上げとは 大阪 木下洋子
小鳥来るよき日や汀子回顧展 大阪 木下洋子
鮮やかや夫のセーター孫が着て 大阪 澤田美那子
闇の中なほ濃き闇は大冬木 大阪 澤田美那子
一句降りて来さうで来ない湯ざめかな 大阪 澤田美那子
あるものを活かして作るマフラーや 兵庫 天野ミチ
踏みしめる枯葉かさこそ八ヶ岳 兵庫 福田光博
初しぐれ煙のごとく行過ぎぬ 兵庫 髙見正樹
宗教を政治が裁くふくと汁 奈良 きだりえこ
立冬や蛹に箒貸したまま 奈良 中野美津子
盲ひたる眼照らさむ冬紅葉 和歌山 玉置陽子
ものを云ふ家電増えゆく寒さかな 岡山 北村和枝
炬燵して母と二人の晩酌よ 岡山 北村和枝
雪婆子どもの行方さがしをり 岡山 齋藤嘉子
この子らに良き世あれかし七五三 長崎 ももたなおよ
庭の隅まで陽の差して冬菫 長崎 ももたなおよ
柿吊す妻に白髪の三四本 長崎 川辺酸模
小春日や妻のバリカン人を噛む 長崎 川辺酸模
洗はれて小春に憩ふ沢庵石 大分 山本桃潤
冬立つや一路フェリーは海峡へ 大分 竹中南行
蕉風のいまに連なる小春かな 大分 竹中南行
【特選】
りんご擦り喉へ流せし別れかな 愛知 稲垣雄二
からうじて命の形鵙の贄 愛知 稲垣雄二
古酒新酒なんだかんだと添ひ遂げて 京都 佐々木まき
【入選】
住み古りしこの道にまた秋の暮 大阪 澤田美那子
ヒーヨヒーヨと津軽海峡鳥渡る 北海道 村田鈴音
手なづけしぬかみそ壺や暮の秋 北海道 芳賀匙子
音も無く雪虫となりまつはりぬ 北海道 芳賀匙子
黄落の真只中に置く忌日 北海道 芳賀匙子
長き夜や言葉探しの旅へ出む 北海道 柳一斉
駅出でてそれぞれの帰路秋の暮 北海道 柳一斉
秋雨や錆深めたる廃線路 北海道 柳一斉
初七日や林檎捥ぎても母偲ぶ 宮城 長谷川冬虹
白菊や寂聴嫌ひの母なりし 宮城 長谷川冬虹
露寒や洗ひし髪の薄きこと 茨城 袖山富美江
非力かなかぼちゃに一刀夫に乞う 千葉 芦野アキミ
かんざし揺れて千歳飴引きずりて 千葉 芦野アキミ
霧の香や人の心に人住まふ 千葉 菊地原弘美
邂逅の教え子も老ゆ秋の暮 千葉 谷口正人
ハロウィンの何か知らねど集ひけり 千葉 谷口正人
ただならぬこの世見てをり菊人形 千葉 池田祥子
蟷螂の偉大ないのち枯れ尽す 東京 神谷宣行
湯豆腐の煮くづれ掬ふ老二人 東京 櫻井滋
どこからの修学旅行秋の駅 神奈川 伊藤靖子
秋の夜や一編ずつ読む随筆集 神奈川 遠藤初惠
願ひ事叶ひさうなる林檎かな 神奈川 三玉一郎
凩の笑ふが如く泣く如く 神奈川 片山ひろし
船酔ひに悩む貧乏神の旅 神奈川 片山ひろし
泣きやすく老いしものかな菊膾 長野 金田伸一
秋寒や家毀つあり建つるあり 岐阜 三好政子
大笊を盛りこぼれたる柿日和 大阪 安藤久美
始まるも終はるも早し秋祭 大阪 高角みつこ
すかすかの国の守りか雁来たる 大阪 山中紅萼
大根を煮てふと戦争を忘れさう 大阪 澤田美那子
児が眠り我も眠たや秋の暮 兵庫 加藤百合子
秋の暮大三日月の輝きて 兵庫 天野ミチ
秋風へ踏み出す一歩退院日 兵庫 髙見正樹
針に糸通せぬ齢うそ寒し 岡山 北村和枝
【特選】
雨風に葉ごと飛び来るどんぐりよ 北海道 芳賀匙子
間引菜のいのちの丈や昨日けふ 神奈川 松井恭子
しやくとりや深く沈みてまた一歩 岐阜 梅田恵美子
干柿の日向ななめに軒深し 京都 佐々木まき
【入選】
山栗のひとつ頬張りひとつ剥く 北海道 村田鈴音
さざ波の果てる事なき秋思かな 北海道 村田鈴音
夕顔と思ひ育てて瓢箪よ 北海道 芳賀匙子
朝寒や床のラジオの告ぐ戦 北海道 柳一斉
息をかけ飛びたたせやる赤蜻蛉 北海道 柳一斉
この地球月も憂をる十三夜 宮城 長谷川冬虹
気丈の母ときに弱音も十三夜 宮城 長谷川冬虹
どこからも山のみゆる日風爽か 茨城 袖山富美江
一斉に飛び立つ鳥や葡萄畑 茨城 袖山富美江
落鮎は月の海へと戻りけり 埼玉 園田靖彦
母の背の日ごと小さく秋の昼 千葉 菊地原弘美
賑やかに車を叩く木の実かな 千葉 若土裕子
バーチャルの美術館へと夜長かな 千葉 若土裕子
山に住み笑み栗拾って二十年 千葉 春藤かづ子
刈り草の中に一匹穴惑い 千葉 春藤かづ子
子育ての昔ありしよ草虱 千葉 池田祥子
角行のごとく飛びけり秋の蜂 千葉 麻生十三
亡き人の揃えてありし冬支度 千葉 麻生十三
母生きる複雑な家秋の雨 東京 長尾貴代
熟柿食みて元気や微熱の子 東京 長尾貴代
白露や吾子の絵抱きて棺の母 東京 杜野廉司
種こぼしつつ朝顔の蔓仕舞ひ 東京 畠山奈於
草の穂や声をかけ合ふ杖同士 東京 畠山奈於
かわらけを飛ばして惜しむ京の秋 東京 櫻井滋
母よりの大梨いまは妹より 神奈川 伊藤靖子
幻住庵子らの短冊秋さやか 神奈川 越智淳子
もみ殻の田毎に燻る転任地 神奈川 遠藤初惠
翁の忌われも三里に灸据ゑむ 神奈川 遠藤初惠
いがぐりの籠よりころげ画布の中 神奈川 三浦イシ子
思ひ出が苦しい秋の高さかな 神奈川 三玉一郎
栗食みて母より父の恋しき日 神奈川 中丸佳音
酒好きの友の墓前に新走り 神奈川 土屋春樹
菊の鉢置て老の身輝かす 神奈川 湯浅菊子
草の花活けてはなやぐ十三夜 神奈川 那珂侑子
いきなりの寒さにおどろく鴉かな 神奈川 那珂侑子
山盛りの無花果眠る籠の中 新潟 安藤文
身に沁むや海の嘆きのちりあくた 富山 酒井きよみ
ひと蔓の葛も伸び来よ俺の道 石川 花井淳
袈裟懸けに大鰯雲千曲川 長野 大島一馬
とりあへず忘れてしまおふ秋昼寝 岐阜 梅田恵美子
大空の形整ふ松手入れ 愛知 稲垣雄二
我もまた秋扇とは知らざりき 愛知 稲垣雄二
ふぬけたる齢かさねて秋の風 愛知 青沼尾燈子
野菊晴れとは遠き日の遠き空 京都 佐々木まき
さきに寝てまた起きてくる夜長かな 大阪 高角みつこ
後の月こんなに烏騒ぐとは 大阪 高角みつこ
カタカタと秋のおしゃべり入歯かな 兵庫 天野ミチ
前線のあとに青空そぞろ寒 兵庫 髙見正樹
ストーマとなりて退院兄の秋 岡山 北村和枝
園児らの小さき軍手や藷を掘る 岡山 北村和枝
鳴子綱引いては走る子供かな 香川 曽根崇
兄の忌となり落ち栗の其処らぢゆう 長崎 ももたなおよ
こんもりと栗飯兄に父母に 長崎 ももたなおよ
露の世に四十余年の夫婦かな 長崎 川辺酸模
さやけしや風にふれ合ふ竹の音 長崎 川辺酸模
長谷川櫂 選
第一句座
【特選】
鹿追うて山野を駈ける龍田姫 梅田恵美子
白雲や浅間は深き秋の中 上田雅子
べた塗りのような青空紅葉映ゆ 鈴木榮子
かもしかや老いてやさしきふたつの眼 梅田恵美子
木枯らしや我が白髪を枯らすなよ 梅田恵美子
【入選】
深閑と紅葉明りの木乃伊かな 北側松太
萍の紅葉の中に鯉の影 片山ひろし
津々と峪の水音薄紅葉 佐々木まき
山神の孤独千年渓紅葉 玉置陽子
一片を山蘆土産や柿紅葉 川辺酸模
薪割つて避暑地の秋の深みゆく 上田雅子
君と呼びし人は遥かや冬帽子 上田雅子
風が出て鬼の気配す紅葉山 澤田美那子
亡き友の足音聞かん落葉道 稲垣雄二
急流のしぶきに凍る渓紅葉 越智淳子
紅葉ひと葉日記のけふの栞とす 菊地原弘美
第二句座
【特選】
開墾の柱は墓標蔦紅葉 稲垣雄二
囲はれて鶴の老いゆく寒さかな 安藤久美
鯖缶の鯖を崩して寝酒かな 稲垣雄二
【入選】
母恋ふる鬼のゐるらし紅葉山 川辺酸模
かもしかや闇のなかよりやさしき眼 梅田恵美子
骨酒の岩魚にらみし酒を酌む 梅田恵美子
向こうから来るあの人の冬帽子 上田雅子
転がりし毬濡らしけり草紅葉 鈴木榮子