★印は特選
不在とふ有り方のあり菊人形 | 北海道 | 芳賀匙子 | |
遠くから香りくるかに金木犀 | 青森 | 清水俊夫 | |
同期会あいつが逝きたり十三夜 | 宮城 | 長谷川冬虹 | |
秋風やものひとつなき大広間 | 茨城 | 袖山富美江 | |
巌さんせめての事よ菊日和 | 茨城 | 町川悠水 | |
ゆく秋や泣かせ笑わせ役者馬鹿 | 埼玉 | 園田靖彦 | |
秋惜しむ永久欠番スラッガー | 埼玉 | 園田靖彦 | |
朝顔やふるさと離れ五十年 | 埼玉 | 下家正幸 | |
漆黒の能登の上には天の川 | 千葉 | 安田勅男 | |
障子貼る立山連峰みゆる日に | 千葉 | 若土裕子 | |
家垣の茶の花咲けり母忌日 | 千葉 | 池田祥子 | |
この国を捨つるに遅し秋暮るる | 千葉 | 麻生十三 | |
一病を得て面白き敗荷かな | 千葉 | 麻生十三 | |
老境の蛇や鍵かけ穴に入る | 東京 | 神谷宣行 | |
母愛でる小菊にとまるショウリョウバッタ | 東京 | 長尾貴代 | |
一献で終わらふものかうるめ焼く | 神奈川 | 臼杵政治 | |
鬼の子の声する中を紅葉狩 | 神奈川 | 臼杵政治 | |
ころがつて恋にはならぬ檸檬かな | 神奈川 | 三玉一郎 | |
暮れ残る富士の頂かりんの実 | 神奈川 | 松井恭子 | |
特売の秋刀魚炙つてゐて佳き日 | 神奈川 | 植木彩由 | |
君句座にいまも在るごと秋澄めり | 神奈川 | 中丸佳音 | |
火恋し佐渡の夜空に億の星 | 新潟 | 安藤文 | |
火恋し電子書籍で読む源氏 | 新潟 | 安藤文 | |
投票の鉛筆ぎゆつと秋の暮 | 新潟 | 安藤文 | |
★ | 枯れ枯れて煙となりぬ彼岸花 | 新潟 | 高橋慧 |
思い出の山河は葛に呑まれけり | 富山 | 酒井きよみ | |
★ | ぶち当たりながら凩兜町 | 石川 | 花井淳 |
日を入るる夫の病床秋深し | 石川 | 松川まさみ | |
遺さるる身やもあまりにも秋晴 | 石川 | 松川まさみ | |
秋深き水切りかごの湯呑二個 | 石川 | 松川まさみ | |
友の死の悔しさ今も雁のこゑ | 石川 | 清水薫 | |
秋深し親父が在れば百と十 | 石川 | 清水薫 | |
むつまじきお手植え松や天高し | 石川 | 北村おさむ | |
秋うらら藍の甕たり日本海 | 石川 | 密田妖子 | |
★ | 誰ならん胸に飛びくる赤蜻蛉 | 長野 | 金田伸一 |
雨の夜の酒もまたよし月見豆 | 長野 | 金田伸一 | |
新小豆炊いて結婚記念の日 | 長野 | 金田伸一 | |
紫に浅間迫れる今朝の秋 | 長野 | 大島一馬 | |
柚子の実を突き抜けそふな柚子の棘 | 岐阜 | 古田之子 | |
菓子断ちも栗きんとんは捨て置けず | 岐阜 | 三好政子 | |
ぽたぽたの柿が好みの在りし母 | 岐阜 | 梅田恵美子 | |
★ | 残生や背打ち腹うち鰡は跳ぶ | 愛知 | 稲垣雄二 |
一針で弾けてしまふ熟柿かな | 愛知 | 稲垣雄二 | |
今を生き今歩まんと犬の秋 | 愛知 | 青沼尾燈子 | |
犬の秋動かぬ足が夢走る | 愛知 | 青沼尾燈子 | |
此方向け吾が貌記せ犬の秋 | 愛知 | 青沼尾燈子 | |
★ | 秋雨の音の沁みたり雑記帳 | 愛知 | 服部滝伸 |
柿三つ選挙広報に包まれし | 京都 | 諏訪いほり | |
十三夜外泊許可の母囲み | 京都 | 氷室茉胡 | |
娘いま母の風格秋桜 | 京都 | 氷室茉胡 | |
★ | かりそめの虫籠に夜を鳴き交はす | 大阪 | 安藤久美 |
★ | ならびゐて目鼻たしかに亥子餅 | 大阪 | 安藤久美 |
気が付けばはや十年よこの家秋 | 大阪 | 山中紅萼 | |
妙薬や母の金柑甘露煮は | 大阪 | 澤田美那子 | |
★ | 行く秋のここらにベンチひとつ欲し | 大阪 | 澤田美那子 |
秋の色いよいよ深し練羊羹 | 大阪 | 澤田美那子 | |
木犀の色香にも耐へ母逝けり | 大阪 | 齊藤遼風 | |
彗星は過るし太陽は暴れるし | 兵庫 | 加藤百合子 | |
★ | ふる里は熟柿の落ちる音ばかり | 兵庫 | 吉安とも子 |
★ | 白壁の剥がれる藏や柿熟るる | 兵庫 | 吉安とも子 |
朝歩き色新しき落葉踏む | 兵庫 | 高見正樹 | |
★ | 特別な味はなけれど零余子飯 | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
触れし枝もけふの縁ぞ萩の道 | 兵庫 | 藤岡美恵子 | |
しあはせを測る物差しねこぢやらし | 奈良 | きだりえこ | |
幼子の足裏白し冬に入る | 奈良 | 荻野隆子 | |
糸つむぎの女が歌ふ秋の風 | 和歌山 | 玉置陽子 | |
★ | 心中の花真くれなゐ梅室忌 | 和歌山 | 玉置陽子 |
たらちねと小豆を干せし記憶かな | 広島 | 森恵美子 | |
小包の尊く大きく雁の列 | 広島 | 森恵美子 | |
檀の実いよいよ深む青い空 | 広島 | 鈴木榮子 | |
★ | うねり来る南海トラフそぞろ寒 | 高知 | 森脇杏花 |
しみじみと母の古着を解く夜なべ | 長崎 | ももたなおよ | |
存分に生を尽くせよ海蠃廻し | 長崎 | 川辺酸模 | |
亜紀さんと擦れ違ったやも妙見祭 | 熊本 | 山下れんげ | |
一位の実厳父の愛を知らぬ儘 | 大分 | 山本桃潤 | |
朝刊にガザの狂気や雁渡る | 大分 | 山本桃潤 | |
瓢棚本読まぬようになりし国 | 大分 | 山本桃潤 | |
ふはふはと時にすがりて烏瓜 | 大分 | 竹中南行 | |
★ | 秋深し遠き耳なる身のほとり | 大分 | 竹中南行 |