【初表】
発句 大関の洒落た浴衣や夏相撲 平尾福(夏)
脇 ぐいと突き出す手へ初鰹 りえこ(夏)
第三
【投句一覧】
お囃子に躍る心や神田っ子
八ミリのフィルム越しの父の声
趣味探し教室巡り定年後
ゆつくりと卑弥呼の柩蓋開く
遠距離の通勤にずつしり弁当箱
つまずいて大統領選につまずけり
当たり前の夕べが来たり箸並ぶ
悠久の異星人より返事あり
鉄火場に一人正座の紅白粉
夕灯失意の夫待つ皿小鉢
襲名のまつてましたと大向かう
父の日が父のない子にまた巡る
資本論朝まで友と語り合ふ
雲梯を伝ひくる児の得意気に
夜明けゆく孔雀が羽根をひらくやう
父の墓新酒供へて上京し
蓑を負い翁のあとを廻る旅
山ひとつ買うて見下ろす太平洋
書簡集読み継ぐ午後のジャズ喫茶
手習いのエクセル教室七五歳