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俳句的生活

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伊集院光さん『名著の話』(KADOKAWA)が出ました

俳句的生活 投稿日:2023年3月21日 作成者: dvx223272023年3月21日

 伊集院光さんの『名著の話』(KADOKAWA 1,540円+税)が出版されました。この本は、NHK Eテレ「100分de名著」で出会った100冊以上の中から作者が心に残った三冊、芭蕉の「おくのほそ道」、ダニエル・デフォの「ペストの記憶」、コッローディの「ピノッキオの冒険」について、放送時のパートナーとのトークをつづったもの、「おくのほそ道」の項では長谷川櫂が対談の相手になっています。ぜひ購読してください。

古志金沢ズーム句会(2023年3月19日)

俳句的生活 投稿日:2023年3月20日 作成者: dvx223272023年3月22日

第一句座(飴山忌、当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
千枚田雲の裾より耕せり         玉置陽子
大朝寝桃源郷に鳥の声          酒井きよみ
ぼんぼりのつとゆるるとき雛の息     田中紫春
滾る湯に極太うどん山の春        藤倉桂
野馬となりて去りたき日和かな      松川まさみ
たおやかに百年生きよ桃の花       安藤久美
学舎に戦の記憶飴山忌          泉早苗
飴山忌山河の石となり眠る        藤倉桂
ほのぼのと酒蒸し饅頭實の忌       花井淳
花を待つ心のままに逝かれけり      飛岡光枝
初蝶来がれきの街へ花のごと       安藤久美
【入選】
粘土練る手に春がくっついてくる     川上あきこ
白山の神と流るる雪解川         花井淳
實忌や加賀国原に芽吹く声        川上あきこ
ふらここやせつなせつなに死を忘れ    趙栄順
春月は湖を飲みこむ飴山忌        間宮伸子
初花の川面のほてり飴山忌        宮田勝
白山の空を落ちくる雲雀かな       趙栄順
杉玉のひかり鮮し飴山忌         松川まさみ
初蝶や天よりこぼれくるごとく      橋詰育子
鋤きおこす土の命や實の忌        安藤久美
初花を待ちて閑かや實の忌        田村史生
手取川酌み交はしたき實の忌       酒井きよみ
燕来るなり日本に村いくつ        佐々木まき
おぼろの夜言葉の森に迷ひこみ      間宮伸子
さても我孫弟子ならん飴山忌       泉早苗

・長谷川櫂選
【特々選】
白山の空を落ちくる雲雀かな       趙栄順
飴山忌山河の石となり眠る        藤倉桂
ふる里を枕に眠る實の忌         清水薫
【特選】
飴山忌言葉がとても清潔な        山本桃潤
何時も行く堤を父と卒業す        山本桃潤
一心に花の声聞く飴山忌         飛岡光枝
追福の百句を編まん飴山忌        宮田勝
鮒鮨のくれなゐ選るや飴山忌       玉置陽子
山の池の鯉で持て成す山の春       藤倉桂
【入選】
串熱き雪代山女飴山忌          飛岡光枝
蜥蜴出て背中ぬくめる實の忌       梅田恵美子
竹皮に包むあんころ實の忌        泉早苗
白魚飯いづこの川の香ならん       趙栄順
滾る湯に極太うどん山の春        藤倉桂
金沢に飴山忌あり美しき         趙栄順
ふと聞いて嬉しやけふの初蛙       橋詰育子
杉玉のひかり鮮し飴山忌         松川まさみ
野馬となりて去りたき日和かな      松川まさみ
鋤きおこす土の命や實の忌        安藤久美
初花を待ちて閑かや實の忌        田村史生
手取川酌み交はしたき實の忌       酒井きよみ
はくれんに傷一つなき飴山忌       稲垣雄二
日射しあび白山まぶし實の忌       梅田恵美子
燕来るなり日本に村いくつ        佐々木まき
さても我孫弟子ならん飴山忌       泉早苗
ほろ苦き能登の菜漬けや飴山忌      田村史生
能登やいま石蓴掻くころ實の忌      酒井きよみ
ほのぼのと酒蒸し饅頭實の忌       花井淳

第二句座(席題:春爛漫、楤の芽)
・鬼川こまち選
【特選】
楤の芽を摘みゆく一句一句かな      飛岡光枝
春爛漫天才同志さす将棋         間宮伸子
珠洲行きのバスは満席春爛漫       清水薫
春爛漫兵の墓には草の花         稲垣雄二
多羅の芽の揚げて香し和紙の上      花井淳
春握るたらめそのまま天ぷらに      稲垣雄二
師の言はときに匕首(あいくち)うどもどき 氷室茉胡
【入選】
楤の芽に飛びつく手の甲傷だらけ     藤倉桂
空にある木をひん曲げて楤を摘む     稲垣雄二
人を待つ春爛漫の金沢よ         花井淳
たらの芽やきのふの雨に輝けり      近藤沙羅
楤の芽を摘むや室戸の潮風に       橋詰育子
がれきの国春爛漫になほ思ふ       梅田恵美子
春爛漫いづこに行くも實の忌       近藤沙羅
楤芽摘む妻の背かくも丸くなり      氷室茉胡
惚けるにまかす楤芽や春爛漫       玉置陽子
らんまんの春はどこかに人さらひ     川上あきこ
金沢に春爛漫の句座はあり        田村史生
春爛漫孫に誘はれトランポリン      氷室茉胡

・長谷川櫂選
【特選】
空にある木をひん曲げて楤を摘む     稲垣雄二
たらの芽の採りつくされし山の道     梅田恵美子
清盛の扇子の招く春爛漫         田中紫春
【入選】
伐採の跡やたらの芽摘み余る       酒井きよみ
この庭の春爛漫の暮れゆけり       飛岡光枝
たらの芽やきのふの雨に輝けり      近藤沙羅
春爛漫天才同志さす将棋         間宮伸子
楤の芽を摘むや室戸の潮風に       橋詰育子
春爛漫孫に誘はれトランポリン      氷室茉胡

@10/神宮外苑再開発 坂本龍一さんの手紙/奈良握

俳句的生活 投稿日:2023年3月18日 作成者: dvx223272023年3月18日

神宮外苑再開発について、昨今の状況は楽観はできないものの、粘り強い見直しを求める様々な動きも続いています。今朝の新聞を見たところ、坂本龍一さんが小池都知事らにあてて手紙を書いたことが掲載されていました。何事も、あきらめてはいけないと思います。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/238684

https://news.yahoo.co.jp/articles/22dd1eadf3071230559ab075ae0e436f511bf874

古志雪中ズーム句会(2月23日)

俳句的生活 投稿日:2023年2月23日 作成者: dvx223272023年2月24日

長谷川櫂 選
☆一座目
【特選】
しんかんと津軽の闇が吹雪きけり 三玉一郎
轟音を追ひ越してゆく雪崩かな  三玉一郎
飯食へば直ぐに眠たし春の雪   北側松太
【入選】
雪晴れや大空高く鳶の声     安藤 文
野うさぎの楽しき跡や雪の原   梅田美恵子
雪止んで人々かはす声たかし   湯浅菊子
新雪を腰で分けゆく女かな    北側松太
露天風呂首から上は吹雪かな   三玉一郎
朝凪に浮かぶ立山春の雪     梅田美恵子
中国へ戻るシャンシャン春の雪  矢野京子

☆二座目
【特選】
父を送るあなたの髪が吹雪きけり 三玉一郎
青森の形を変へる吹雪かな    三玉一郎
樏の跡樏が踏んで道       稲垣雄二
かりうどの一人は乙女雪野原   齋藤嘉子
風花の空底なしの眩しさに    岩井善子
【入選】
青空のかくも大きな雪野かな   北側松太
淡雪や削りて香る木版画     北側松太
春の雪塩ぶつかけて蛸洗ふ    北側松太
何鳥か来て侘助の雪こぼす    佐々木まき
雪山や煌めき揺るる海の果    梅田美恵子
屋根の雪落ちて静かな雪の夜   稲垣雄二
降る雪や雁木に去年の燕の巣   岩井善子

古志金沢ズーム句会(2023年2月19日)

俳句的生活 投稿日:2023年2月20日 作成者: dvx223272023年2月20日

第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
媼ありわたしの亀は鳴くといふ      清水薫
梅一輪詩歌生まるる心地かな       稲垣雄二
伐採の樹魂さまよふ朧かな        長谷川櫂
蕗味噌や北国の酒花ひらく        飛岡光枝
大土佐のまほら焦がして野焼かな     橋詰育子
吹雪きつつ遠ざかりゆく巨人あり     長谷川櫂
乳飲み子を鼻で支へて象の春       間宮伸子
雨だれや三日帰らぬ浮かれ猫       密田妖子
詩心は渇きしままにけふ雨水       川上あきこ
この国の政治にあれよ寒の明け      稲垣雄二
【入選】
わらんべの佐保姫駆けてゆくところ    安藤久美
母の娘やり直したや梅の花        藤倉桂
生垣は目白の動く椿かな         山本桃潤
春泥や不戦の叡智出でて来よ       安藤久美
店先のいつも濡れをる桜餅        趙栄順
干秋刀魚棒切れとなる余寒かな      玉置陽子
朝刊の悲しみたたみ春寒し        松川まさみ
あらせいとう歳の数だけ届きたる     藤倉桂
サーフィンの波は上々目刺干す      玉置陽子
野火走るいまも太古の畏れあり      泉早苗
仰ぐたび生まるるものよ涅槃雪      宮田勝
吾が遺影選ぶアルバム春炬燵       氷室茉胡
山蘆へのはるかな道や龍太の忌      橋詰育子
蝋燭灯す心のありか春寒し        花井淳
ふくいくと白梅龍太の空となる      泉早苗
風花やカステラ食べにゆきませう     川上あきこ
ぶすぶすと息する大地野焼かな      藤倉桂

・長谷川櫂選
【特選】
流氷やコルサノフの店ある町に      山本桃潤
春泥の大蛇のたうつごとくかな      趙栄順
またひとつ昇つてゆきぬ夕雲雀      飛岡光枝
大瓢春を吐いてはまた吸ふて       酒井きよみ
菓子箱を開けば去年の紙雛        飛岡光枝
【入選】
子を生みし女の力草の餅         趙栄順
我が腕にとろり赤子や春の月       藤倉桂
春立つや胸の底まで空の青        田中紫春
春泥や不戦の叡智出でて来よ       安藤久美
干秋刀魚棒切れとなる余寒かな      玉置陽子
オリオンのかかる丹波路冴返る      佐々木まき
沓脱に小さき靴や雛あられ        趙栄順
蕗味噌や北国の酒花ひらく        飛岡光枝
朝刊の悲しみたたみ春寒し        松川まさみ
大土佐のまほら焦がして野焼かな     橋詰育子
サーフィンの波は上々目刺干す      玉置陽子
句碑裏は陽あたる処ふきのたう      泉早苗
草の餅すなはち母でありにけり      酒井きよみ
乳飲み子を鼻で支へて象の春       間宮伸子
まどやかに若草山の大枯野        梅田恵美子
雨だれや三日帰らぬ浮かれ猫       密田妖子
山蘆へのはるかな道や龍太の忌      橋詰育子
ふくいくと白梅龍太の空となる      泉早苗
足早に歩む東京余寒かな         山本桃潤
金婚の二人で飾る雛かな         玉置陽子
焼かれたる山黒黒よ二月堂        田村史生
小鮎汲む比良の白銀惜しみつつ      玉置陽子
ぶすぶすと息する大地野焼かな      藤倉桂

第二句座(席題:春、芽吹き)
・長谷川櫂選
【特選】
ふくろふも春こそよけれまた啼けり    酒井きよみ
宅配の人が運びてくれし春        田村史生
滾りたる春遡る舟ひとつ         飛岡光枝
【入選】
号令一下ジューンベリーの芽吹きかな   間宮伸子
吹き降りに力を得たる木の芽かな     松川まさみ
カーテンと障子と瑠璃戸開けて春     山本桃潤
戦争を生き九十の春に病む        稲垣雄二
わが老いを肯うて春来たりけり      橋詰育子
何の木か知らぬが芽吹く卯辰山      泉早苗
わが庭の林のごとき芽吹きかな      橋詰育子
軒に積む薪の残りに芽吹きあり      稲垣雄二
我つれて犬駆け上がる芽吹山       飛岡光枝

@09/神宮外苑再開発、イコモスがアセス再審議求める/奈良握

俳句的生活 投稿日:2023年1月26日 作成者: dvx223272023年1月30日

202年1月26日、東京新聞朝刊に、神宮外苑再開発について日本イコモス国内委員会が内容に誤りが多く不適切だとしてアセスメントの再審議を求める意見書を公表した、とする記事が掲載されました。

記事では、混交林なのに「落葉樹林」、「複数の木の高さを半分以下に図示」との小見出しをつけて詳しく報じています。検索でも見ることが可能ですので、ぜひご一読を。

イコモス(ICOMOS、国際記念物遺跡会議)はユネスコの諮問機関。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/227351

*きごさい事務局から
同じ東京新聞の関連記事、「米著名作家やラグビー元日本代表が外苑再開発を批判、野球場とラグビー場取り壊し反対署名始める」も参考に。同じサイトで読めます。

古志金沢ズーム句会(2022年12月18日)

俳句的生活 投稿日:2022年12月21日 作成者: dvx223272022年12月21日

第一句座
・鬼川こまち選
【特選】
結ばれて海鼠と海月初詣      山本桃潤
冴ゆる夜の底ひへ母を置きて来ぬ  玉置陽子
すつぽりとビル抜けし空年の暮れ  密田妖子
繙きていくたび会はん冬すみれ   宮田勝
鷹の眼の一閃ささる世界地図    宮田勝
一陽来復釜の飯噴き始む      酒井きよみ
鮟鱇の口の中なる怒濤かな     玉置陽子
蕪寿し日に日に白き山一つ     飛岡光枝
【入選】
障子開け流星群を待ちゐたり    田村史生
皺動き象立ち上る冬日かな     長谷川櫂
綿虫や我が吐く息と遊びをり    梅田恵美子
おまけ楽しみグリコ百年の冬    間宮伸子
冬晴や優美な富士の釘隠し     近藤沙羅
喘鳴も命の証し雪しんしん     田中紫春
日溜りに遊ぶ子どもや冬すみれ   飛岡光枝
乾鮭や眼いまなほ語るかに     越智淳子
身の内の悲鳴確かに霜の夜     藤倉桂
冬ざるるものに手の爪足の爪    趙栄順
人ならぬものが背押す十二月    趙栄順
日向道選んで歩く初詣       佐々木まき
初雪や花のごときを草の上     橋詰育子
山茶花や人の行き来に咲いて散り  佐々木まき
うぶすなの門松ならん剱岳     酒井きよみ
クリスマスローズ無言の襟たてて  松川まさみ
少年に母の面影冬すみれ      趙栄順
薦掛けし土塀と謡加賀の粋     密田妖子
冬の鷺一枚の田を守るごとく    橋詰育子
白鳥はちぎれし雲のひとひらか   清水薫

・長谷川櫂選
【特選】
寒晴や海の果なる大砂丘      田村史生
繙きていくたび会はん冬すみれ   宮田勝
鮟鱇の口の中なる怒濤かな     玉置陽子
蕪寿し日に日に白き山一つ     飛岡光枝
しのびよる戦の気配日向ぼこ    梅田恵美子
【入選】
いつしかにかさねし齢柚子湯かな  橋詰育子 
峡の村おそき初日を拝みけり    安藤久美
その嶺に三日月氷る山一つ     飛岡光枝
喘鳴も命の証し雪しんしん     田中紫春
松飾る手に風花の散り始む     越智淳子
掻きよせてけふ一日の落葉かな   安藤久美
一陽来復釜の飯噴き始む      酒井きよみ
甘露煮用鯊釣ることも年用意    近藤沙羅
初雪や夕べに焚きし反故の上    松川まさみ
冬虹を見つけて会議中断す     田村史生
日向道選んで歩く初詣       佐々木まき
雲上に白より白し初白山      清水薫
昼すぎてすぐに夕方雪婆      山本桃潤
友逝きて早や十五年落葉掃く    清水薫
冬霧をまとふて冷ゆる山の木々   梅田恵美子

第二句座(席題:寒禽、春着)
・鬼川こまち選
【特選】
父の胸に抱き上げらるる春着かな  長谷川櫂
脱ぎ捨てて春着の海となりにけり  趙栄順
寒禽と出会ひし吾も孤独なる    氷室茉胡
肩揚げのとれて春着や花となる   泉早苗
寒禽やちぎれんばかり風の声    安藤久美
寒禽の飢えに飢えたる声ならん   趙栄順
【入選】
きしきしと抜く仕付け糸春小袖   玉置陽子
波荒き海のひと日や冬の鳥     梅田恵美子    
寒禽の二羽きてすぐに飛び立ちぬ  近藤沙羅
胸去らぬ飢餓や戦争晴着かな    松川まさみ
日あたりに丸き塊冬の鳥      松川まさみ
母縫ひし春着嬉しく飛び跳ねる   橋詰育子
寒禽の啄む風の河口かな      山本桃潤
飛びゆける速さや風と冬の鳥    花井淳
棒立ちの吾娘組み立てる春着かな  藤倉桂
赤い実をこぼしてゆきぬ冬の鳥   酒井きよみ
寒禽や苦吟の脳へ一撃を      密田妖子
嫁ぐ日も近き娘の春小袖      清水薫
五十年昔の晴れ着広ぐ妻      山本桃潤
脱ぎ捨てて走り出したり春着の子  梅田恵美子
春着の子花のごとくに眠りけり   飛岡光枝

・長谷川櫂選
【特選】
脱ぎ捨てて春着の海となりにけり  趙栄順
胸去らぬ飢餓や戦争晴着かな    松川まさみ
寒禽の飢えに飢えたる声ならん   趙栄順
【入選】 
寒禽のつぎつぎに来てとまる枝   橋詰育子
きしきしと抜く仕付け糸春小袖   玉置陽子
街をゆく春着の妻やひらひらと   飛岡光枝
梅桜桃咲き満ちる春着かな     越智淳子
遊ぶには春着の裾が気にかかる   間宮伸子
寒禽の二羽きてすぐに飛び立ちぬ  近藤沙羅
肩揚げのとれて春著や花となる   泉早苗
まづ猫に出来栄へを聞く春小袖   稲垣雄二
飛び立ちて知る寒禽のをりしこと  近藤沙羅
競ひては姿見に立つ春着かな    玉置陽子
春着の子花のごとくに眠りけり   飛岡光枝

古志金沢ズーム句会(2022年10月16日)

俳句的生活 投稿日:2022年10月17日 作成者: dvx223272022年10月18日

第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
雲割つて沖に日の差す梅室忌      宮田勝
世はなべて塵となるらん梅室忌     中野徹
大加賀に披講の声や梅室忌       田村史生
梅室忌加賀のふと葱ふとるころ     泉早苗
萩刈るや風の塒をこはしつつ      玉置陽子
病む雁を守れる棹や卯辰山       山本桃潤
片町は時雨てゐるか梅室忌       近藤沙羅
穂高より消しゴムほどや秋の富士    梅田恵美子
縫ひおへば梅室忌なり針数ふ      越智淳子
埋み火をほり熾したり梅室忌      酒井きよみ
眠さうな白山なりや梅室忌       松川まさみ
【入選】
刀研ぐすなはち推敲梅室忌       花井淳
切株に大樹を思ふ梅室忌        花井淳
きんと貼る障子一枚梅室忌       安藤久美
その墓に小鳥のあそぶ梅室忌      酒井きよみ
菊の香のよき連衆よ梅室忌       山本桃潤
空高く通草の笑ひゐたりけり      橋詰育子
捨て舟の秋草に花梅室忌        藤倉桂
秋の社光もろとも餅拾ふ        近藤沙羅
秋燕いつそこのまま能登の人      中野徹
小鳥来るゆつくり覚むる母の夢     趙栄順
小壺には加賀の水あめ梅室忌      酒井きよみ
戦争をおこすはをとこ放屁虫      梅田恵美子
年重ね見ゆるものあり星月夜      中野徹
白山に名残の月や梅室忌        趙栄順
芳墨の発句付句や梅室忌        宮田勝
柳散る水しづかなり梅室忌       飛岡光枝
落し水は瑞穂の国の寝息かな      氷室茉胡

・長谷川櫂選
【特選】
襟立てて友をなくせし顔がゆく     安藤久美
大加賀に披講の声や梅室忌       田村史生
釣忍枯れなんとして空にあり      飛岡光枝
柳散る水しづかなり梅室忌       飛岡光枝
老い母に花のかんばせ今年米      趙栄順
【入選】
かへり花一花を供花に梅室忌      泉早苗
その墓に小鳥のあそぶ梅室忌      酒井きよみ
腸へ沁むひやおろし梅室忌       玉置陽子
白山もあたりの山も冬を待つ      佐々木まき
義仲寺や湖は昔よ秋の暮        越智淳子
玉の句をひろひ集めん梅室忌      酒井きよみ
御濃茶で偲ぶ梅室の忌なりけり     鬼川こまち
秋深き靴音止まる扉かな        松川まさみ
新米や生涯越の米愛す         趙栄順
存分に古びて軽き簾かな        玉置陽子
太陽の孫やひ孫や茨の実        鬼川こまち
茶屋町をそばへが通る梅室忌      酒井きよみ
梅室忌加賀のふと葱ふとるころ     泉早苗
梅室忌路傍の花を祀りけり       宮田勝
白山の氷はじめや梅室忌        梅田恵美子
夫婦とてそれぞれ秘策菊作り      氷室茉胡
片町は時雨てゐるか梅室忌       近藤沙羅
芳墨の発句付句や梅室忌        宮田勝
埋み火をほり熾したり梅室忌      酒井きよみ
梅室忌碑に玉の露しとど        佐々木まき

第二句座(席題=冬支度、下り鮎)
・鬼川こまち選
【特選】
秋の鮎光は影と変りけり        花井淳
理と情のぶつかる夫婦冬支度      間宮伸子
鮎落ちて竹美しき山廬かな       飛岡光枝
枯れ枯れて鮎の落ちゆく夢の中     飛岡光枝
錆鮎の色深みゆく人の世も       近藤沙羅
落ち鮎の落つることなき生の淵     稲垣雄二
落鮎の安らかなりやただ流る      越智淳子
【入選】
白山の渓の香りの下り鮎        花井淳
腹割かぬやうに煮つめる子持鮎     長谷川櫂
母もまたひとつ年寄る冬支度      安藤久美
旨かりし四万十川の下り鮎       橋詰育子
犀川の水澄むころに冬支度       清水薫
秋の鮎さみしき味のしてゐたる     趙栄順
遺されし日々に我あり秋の鮎      山本桃潤
植木屋を手伝ふ晴れ間冬支度      密田妖子
半畳の机一つの冬支度         安藤久美
吾に遠き枯淡の境地下り鮎       氷室茉胡
水に生れ水に落ちたり秋の鮎      趙栄順
部屋ぢゆうを煙らせ食うや下り鮎    橋詰育子
大原の枯れ木を拾ふ冬支度       山本桃潤
下り鮎比良の頂き光りたる       泉早苗

・長谷川櫂選
【特選】
さびしさは売るほどにあり冬仕度    田村史生
錆鮎の骨は二合の酒のなか       宮田勝
ひるがへり鮎落ちゆくや月の川     飛岡光枝
枯れ枯れて鮎の落ちゆく夢の中     飛岡光枝
【入選】
籾殻に埋むる子芋冬仕度        酒井きよみ
冬を待つ設へ終えし応接間       密田妖子
半畳の机一つの冬支度         安藤久美
大原の枯れ木を拾ふ冬支度       山本桃潤
はいはいと妻に従ふ冬用意       氷室茉胡
どこまでにするか思案の冬支度     泉早苗
東京の空美しや冬支度         趙栄順
冬支度一二の友をおとなへり      宮田勝
ひとりゐのしずなかときを炭支度    田中紫春

「長谷川櫂をよむ」がスタートしました

俳句的生活 投稿日:2022年10月4日 作成者: dvx223272022年10月6日

長谷川櫂の古今の句を評釈してゆく新サイト「長谷川櫂をよむ」がスタートしました。俳句結社「古志」同人12人がリレー執筆します。

見どころは、同じ句を二人が評釈すること。それぞれ独自の視点、批評精神を振るいます。毎週一句ずつ更新。読者からのご意見・ご質問も受け付けます。

URLはhttps://damp-akune-9829.weblike.jp(藤英樹)

中秋の名月ズーム句会 2022年9月10日

俳句的生活 投稿日:2022年9月12日 作成者: dvx223272022年10月5日

長谷川櫂選
【特選】   
大仏も眼を見開かん今日の月    矢野京子
しんしんと葱の根をはる月夜かな  梅田恵美子
名月や後山に登る人の影      飛岡光枝
戦争を静かに見てるけふの月    趙栄順
大阿蘇の草を一鎌月祀る      稲垣雄二
【入選】   
月光のひとひらまとふ伎芸天    玉置陽子
望月や岩湯あふれて奥会津     宮本みさ子
床に伏し生き死に思ふ良夜かな   川辺酸模
戦争の星見捨てずに今日の月    稲垣雄二
コロナになりし友を思ふやけふの月 近藤沙羅
たうたうと月下を中村哲の川    齋藤嘉子
布に刺す花の模様も良夜かな    斉藤真知子
ぷくぷくと濁酒つぶやく良夜かな  玉置陽子
それぞれに心の月や句会せん    趙栄順
月見れば昔を思ふ齢かな      越智淳子
まだ熱き石に座りて月を待つ    飛岡光枝
てんでんに来て広縁の月見かな   曽根 崇

第二句座
【特選】   
床に伏し心で仰ぐ良夜かな     川辺酸模
縁側のなき家に住み月祀る     北側松太
ふるさとを恋ふバンドーラ月の秋  玉置陽子
読み返す命の句集月の中      飛岡光枝
亡き人の句も浮かび来て月見かな  西川遊歩
【入選】   
猫もまた夢を見てゐる月夜かな   北側松太
友くれし葡萄も供へ月見かな    近藤沙羅
潮騒の加太千軒の月夜かな     玉置陽子
名月や生後五日の嬰の声      越智淳子
月の光夜毎に浴びて柚子は黄に   澤田美那子
妻の膝借りてながめん今日の月   齋藤嘉子
琉球の月を呑み干す古酒かな    三玉一郎
遍路宿月の句会の始まりぬ     近藤沙羅
ひとりぼつちの守宮がのぞく月の窓 玉置陽子
ひと晩は月に寝かせて菊なます   北側松太
痛み一つ我が身にありて月さやか  喜田りえこ
からゆきの墓茫々たり今日の月   川辺酸模
月照らす道上りきて山廬あり    飛岡光枝
父と子が見おろす月の山廬かな   三玉一郎
瓜坊の野原駆けづる良夜かな    川辺酸模
月光やイサムノグチの石の庭    斉藤真知子

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読売新聞「四季」から

若草に口ばしぬぐふ烏かな 凡兆

 烏は悪者扱いされるが、詩歌にとっては味のある題材。芭蕉をはじめ数々の名句がある。その弟子、凡兆も烏への思い入れが一入だった。ご馳走を平らげて草の葉で嘴を拭いているところ。艶のある黒い羽が柔らかな草の緑に映えること。『嚝野後集』

 

「神宮外苑再開発計画」についてご意見をお寄せください

東京都心、神宮外苑(港区、新宿区)の再開発計画が進んでいます。再開発を計画しているのは三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター(JSC)、伊藤忠商事。

明治天皇没後、大正時代に植えた樹齢100年を超える樹木971本を伐採するという無謀な計画です。

この問題についてのご意見をおもちの方は簡潔にまとめ、見出しをつけて下のメニューの「お問い合せ」から事務局へお送りください。このサイトで公開します。個人、団体への誹謗、中傷、匿名のご意見は掲載しません。

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    • 3月26日(日)仙台ズーム句会
    • 4月2日(日)広島ズーム句会
    • 4月8日(土)朝カルズーム講座「俳句でよむ『おくのほそ道』」
    • 4月9、10(日、月)吉野山句会
    • 4月16日(日)鎌倉ズーム句会
    • 4月22日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
    • 4月23日(日)金沢ズーム句会
    • 4月30日(日)仙台ズーム句会

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    『ふじさわびと』vol.26
    株式会社ふじさわびと
    無料配布
    2023年1月発行


    『四季のうた 雨ニモマケズ』
    中公文庫
    800円+税
    2023年1月刊行


    『和の思想』
    岩波新書
    980円+税
    2022年7月刊行


    『俳句と人間』(3刷)
    岩波新書
    860円+税
    2022年1月刊行


    100分de名著『おくのほそ道』(9刷)
    NHK出版
    1,000円+税
    2014年10月刊行


    『四季のうた 美しい日々』
    中公文庫
    800円+税
    2022年1月刊行


    句集『太陽の門』
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    2200円+税
    2021年8月刊行


    『四季のうた 天女の雪蹴り』
    中公文庫
    800円+税
    2021年1月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
    長谷川櫂 編
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    2019年12月刊行


    『四季のうた 普段着のこころ』
    中公文庫
    800円+税
    2019年12月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
    780円+税
    2019年11月刊行


    『歌仙一永遠の一瞬』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2200円+税
    2019年1月刊行


    『歌仙はすごい』
    辻原登、永田和宏、長谷川櫂
    中公新書
    880円+税
    2019年1月刊行


    『四季のうた 至福の時間』
    中公文庫
    700円+税
    2018年12月刊行


    『九月』
    青磁社
    1800円+税
    2018年8月刊行


    『Okinawa』
    Red Moon Press
    $15
    俳句 長谷川櫂
    英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
    2018年5月刊行


    『俳句の誕生』(4刷)
    筑摩書房
    2300円+税
    2018年3月刊行


    『四季のうた 想像力という翼』
    中公文庫
    700円+税
    2017年12月刊行


    『芭蕉さん』
    俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
    選句解説・長谷川櫂
    講談社
    1500円+税
    2017年3月刊行


    『震災歌集 震災句集』
    青磁社
    2000円+税
    2017年3月刊行


    『四季のうた 文字のかなたの声』
    中公文庫
    600円+税
    2016年12月刊行


    藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
    花神社
    2500円+税
    2016年10月刊行


    『文学部で読む日本国憲法』
    ちくまプリマー新書
    780円+税
    2016年8月刊行


    『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
    松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
    河出書房新社
    2,600円+税
    2016年6月刊行


    『四季のうた 微笑む宇宙』
    中公文庫
    700円+税
    2016年3月刊行


    『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
    筑摩選書
    1,500円+税
    2015年10月刊行


    『沖縄』
    青磁社
    1,600円+税
    2015年9月刊行


    『入門 松尾芭蕉』
    長谷川櫂 監修
    別冊宝島
    680円+税
    2015年8月刊行


    『歌仙一滴の宇宙』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2000円+税
    2015年2月刊行


    『吉野』
    青磁社
    1,800円+税
    2014年4月刊行
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