・①意味不明の句②ただごと③既視感のある句は作る必要がありません。
・全体として(特選含め)詩乏しい。
【特選】
飛ぶよりも歩くのが好き天道虫 21_岐阜 古田之子
一生はさよならばかり傘雨の忌 27_大阪 齊藤遼風
ひと粒の青山椒の忿怒かな 30_和歌山 玉置陽子
・かな、を使う場面ではない。
声がまづ若返りたり更衣 37_香川 曽根崇
・①意味不明の句②ただごと③既視感のある句は作る必要がありません。
・全体として(特選含め)詩乏しい。
【特選】
飛ぶよりも歩くのが好き天道虫 21_岐阜 古田之子
一生はさよならばかり傘雨の忌 27_大阪 齊藤遼風
ひと粒の青山椒の忿怒かな 30_和歌山 玉置陽子
・かな、を使う場面ではない。
声がまづ若返りたり更衣 37_香川 曽根崇
・必ず他人の目で自分の句を見直してください。
【特選】
たまさかや地球に降りて草むしり 01_北海道 芳賀匙子
炎ゆる砂一粒としてわれのあり 07_福島 渡辺遊太
梅雨入りや視線の外の注射針 14_神奈川 松井恭子
今去りし人をこころに夕端居 17_石川 松川まさみ
夏霧はしづかな巨人村に入る 21_岐阜 夏井通江
われらまたかの学舎に端居せん 26_京都 佐々木まき
草引くや草の生命を羨みつ 30_和歌山 玉置陽子
水路ならぬ水路分け入り蓮見舟 37_香川 曽根崇
木漏れ日にくすぐられては実梅落つ 42_長崎 ももたなおよ
戦前、日本画家・野生香雪(のす・こうせつ)がインドの仏教聖地サルナートの寺院に描いた仏伝壁画のフォーラムと展覧会が東京のインド大使館で開催されます。古志会員で私の『海の細道』の案内役でもあった溝渕茂樹さんが進めている壁画保存運動の一環です。
9月には野生の故郷香川県でも開催される予定です。コロナにご注意のうえ、ごらんください。
展 覧 会=7月16日(金)〜23日(金)10:00〜17:00
フォーラム=7月16日(金)13:30〜15:30
講 演 者=サンジェイ・クマール・ヴァルマ駐日インド大使(あいさつ)、溝渕茂樹・元香川県文化会館学芸員、若麻績敏隆・善光寺白蓮坊住職ほか。
会 場=インド大使館VCCギャラリーと講堂
入 場 料=無料
予 約=写真付き身分証明書携帯のこと。フォーラムは予約必要(定員75人)、7月15日(木)まで氏名、国籍、連絡先をvcc.tokyo@mea.gov.inへおしらせください。
第一句座
・矢野京子選
【特選】
やさしさをたたんで落つる花木槿 夏井通江
古書の山愛に迷ふかきらら虫 林弘美
縮緬の風呂敷丸き西瓜かな 飛岡光枝
大瑠璃は歌ふ私は詩を書かむ 石塚純子
髪切虫ひげ邪魔な日のありにけり 斉藤真知子
【入選】
あらなんと箱庭に立つ目覚めかな 城山邦紀
サングラスけふは悪女にもなれる 斉藤真知子
その男うなじ美し宵祭 夏井通江
びは剥けば光の玉となりにけり 夏井通江
覚えなき一冊のある曝書かな 斉藤真知子
荒梅雨や生きてゐるものみな流し 飛岡光枝
今日もまた長茄子を求む故郷の 伊藤靖子
天花粉喧嘩しながら大きくなれ 大場梅子
父の日や丸太のごとき父の腕 安藤文
立花隆ファイルは錆びず黴寄せず ももたなおよ
冷やかに梅雨を愛する心あり 長谷川櫂
恋は夏どこまでが空どこまでも海 長井亜紀
楸邨の硯の海を泳ぎたし 土谷眞理子
・長谷川櫂選
【特選】
むしてくる夜をひそひそと梅雨茸 大平佳余子
死にさうな自由歌へよ貝風鈴 ももたなおよ
大瑠璃は歌ふ私は詩を書かむ 石塚純子
【入選】
あらなんと箱庭に立つ目覚めかな 城山邦紀
覚えなき一冊のある曝書かな 斉藤真知子
堅苦しい挨拶いらぬ夏炉かな 高橋真樹子
口惜しげな虎魚のかほや活造り 矢野京子
山歩きぬれて明るき夏至の雨 石塚純子
足裏を踏んでくれる子麦の秋 神戸秀子
逃れきし信者の島や枇杷熟るる 大場梅子
白団扇睡魔にわれを明け渡す 神戸秀子
病衣より涼しき管が五六本 長井亜紀
夕焼へ帰つてゆきぬ豆腐売 矢野京子
第二句座(席題:炎天、出水)
・矢野京子選
【特選】
この川の何に怒れる出水かな 斉藤真知子
わが人世炎天につぐ炎天ぞ 大平佳余子
炎天に影を失ひ立ちすくむ 城山邦紀
炎天の道をゆかねばならぬかな 斉藤真知子
【入選】
まず足の指よりあらふ炎天下 高橋真樹子
ワクチンの列ながながと炎天下 安藤文
炎暑なりオランダ坂を上り来て ももたなおよ
身ひとつになつてしまひし出水かな 夏井通江
風鈴のしんとしてゐる炎天下 菅谷和子
・長谷川櫂選
【特選】
町すべてゆらりと煮たて炎天や ストーン睦美
湯の町を脱兎のごとく出水かな 城山邦紀
黙々と家飲み込みし出水かな 安藤文
【入選】
ワクチンの列ながながと炎天下 安藤文
一夜さに伊豆山を呑む大出水 大場梅子
炎天に影を失ひ立ちすくむ 城山邦紀
炎天の道をゆかねばならぬかな 斉藤真知子
炎天をさまよふ民の群れいくつ 菅谷和子
炎天をものともせずに京の街 上松美智子
幾たびの出水に耐へなばならぬかな 菅谷和子
子蛙の溺れし屍出水後 米山瑠衣
地球は丸く炎天は限りなく 河本秀也
梅雨出水テレビ画面の泥泥泥 石塚純子
梅雨出水寺も神社も芥かな 米山瑠衣
流されしマスク幾万出水後 安藤文
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
土掻けば真白き骨ぞ沖縄忌 齋藤嘉子
蟻の列蟻のむくろは運ばざる 齋藤嘉子
若夏(うりずん)の光よ風よ芭蕉布よ 鈴木伊豆山
さなぶりや神も自慢の腹踊り 川辺酸模
村中に相馬盆唄枇杷熟るる 佐伯律子
【入選】
いかづちの近づいてくる昼寝覚 川村杳平
老鶯のひと声村の動きだす 甲田雅子
葛切の流れてゐたる菓子の箱 宮本みさ子
里山に日の明るさよ青胡桃 伊藤 寛
若き日の聖書は紙魚に食はれけり 平尾 福
母の忌や白百合ひらく日となりぬ 甲田雅子
胡瓜の葉とつさに冠る通り雨 宮本みさ子
君たちに休みはあるか蟻の列 那珂侑子
藤わかば更紗模様の光かな 服部尚子
先頭を田植機が行く峡の村 平尾 福
・長谷川櫂選
【特選】
梅雨寒の玻璃戸が映す部屋の中 伊藤 寛
山の湯や枯葉と見れば蟇 長谷川冬虹
さくらんぼ齢に心追ひつかず 森 凜柚
みちのくへ百福千福濃あぢさゐ(平尾福句集)長谷川冬虹
手のひらに灯る蛍の嬉しさよ 平尾 福
村中に相馬盆唄枇杷熟るる 佐伯律子
【入選】
登山靴解いて広ぐる足の指 阿部けいこ
切々と少女詩を読む沖縄忌 上村幸三
土掻けば真白き骨ぞ沖縄忌 齋藤嘉子
行々子濁世の呻きごゑ聞こゆ 佐藤和子
梅雨晴や人人人の溝さらひ 川辺酸模
湯治宿湯守でござると蟇 長谷川冬虹
五月雨の水嵩(みかさ)愉しむ野鯉かな 青沼尾燈子
沖縄忌滑走路に敷く父母の骨 青沼尾燈子
蟻の列蟻のむくろは運ばざる 齋藤嘉子
捨てきれぬ父の遺品や土用干 川辺酸模
若き日の聖書は紙魚に食はれけり 平尾 福
陶工の掌の艶やかに梅雨に入る 武藤主明
ぼつたりと赤き日落ちて夏一日 服部尚子
のびのびと濁世の雨の蝸牛 上村幸三
苺つぶす姉妹は恋の話など 谷村和華子
水打つてけふの仕事は終ひなり 辻奈央子
第二句座(席題:鮎、蠅叩、仏桑華)
・長谷川冬虹選
【特選】
吊るさるる気の弱さうな蝿たたき 平尾 福
棕櫚の葉を編んで我家の蠅叩 武藤主明
郡上川鮎釣る頃の宵踊り 服部尚子
少年にひらりと鮎の触れしかな 長谷川櫂
【入選】
新しき庫裏の入口仏桑花 阿部けいこ
アメリカンジョークに汚れ仏桑華 三玉一郎
蠅叩持ちて蝿から逃げてをり 森 凜柚
蠅叩握つてをれば現れず 上村幸三
蠅叩持ちて一日を過ごしけり 辻奈央子
鮎食ふや故郷の酒を東京で 森 凜柚
ぱらぱらと星屑降る夜鮎の宿 谷村和華子
・長谷川櫂選
【特選】
貫禄や反り返りたる蠅叩 伊藤寛
吊さるる気の弱さうな蝿たたき 平尾 福
ハイビスカス青春の日に咲いてゐた 宮本みさ子
【入選】
空港へまつすぐな道ハイビスカス 平尾 福
アメリカンジョークに汚れ仏桑華 三玉一郎
蠅叩握つてをれば現れず 上村幸三
供ふるをはばかる色や仏桑花 石原夏生
焼き鮎を声高に売る最上川 甲田雅子
仏桑花開けつ広げの苫屋かな 上 俊一
棕櫚の葉を編んで我家の蠅叩 武藤主明
艶福の人次々と鮎を食ふ 平尾 福
仏桑花ただ青空を恋すなり 服部尚子
家でする鮎の塩焼物足りず 那珂侑子
囮鮎いづれも別嬪揃ひなる 武藤主明
仏桑花あす咲く力秘めてをり 佐藤和子
第一句座
・鬼川こまち選
【特選】
蚊柱のその大きさや政 篠原隆子
過ぎし日は光のなかへ夏帽子 趙栄順
いつそ全て捨ててかからん雲の峰 松川まさみ
太陽の落し子ならん裸の子 趙栄順
夏燕ワクチン接種の列すすむ 近藤沙羅
白山の水脈を利く冷し酒 花井淳
あかあかと反骨の皮パイナップル 玉置陽子
【入選】
長生村の福とどきたる団扇風 酒井きよみ
こきこきと共に古びし扇風機 田村史生
あはあはと水かためてや葛桜 長谷川櫂
月読の曳きこぼしゆく水母かな 篠原隆子
外つ国の教え子何処雲の峰 田中紫春
白南風やタンスに遊ぶドル紙幣 間宮伸子
我ら泣き黙して浮かぶ夏の月 田中紫春
もの狂ふ火柱となり恋蛍 泉早苗
湧水は藻の味したる初蛍 泉早苗
日と月に後は任せて梅酒かな 稲垣雄二
田水張り千の青空千枚田 稲垣雄二
亡き父が端居の端にゐるらしく 趙栄順
夏萩や郡上名代の鮎の竿 篠原隆子
鳳凰も麒麟も雲や梅雨晴間 田村史生
動かざる水の余白や花菖蒲 佐々木まき
打水や白山の風通ひける 山本桃潤
億光年前の星影梅雨の空 氷室茉胡
・長谷川櫂選
【特選】
虹消えてまた立つ空の機嫌かな 松川まさみ
手に重き水茄子漬を割き始む 花井淳
かくも濃き百合の香に死者覚まさんか 趙栄順
【入選】
こきこきと共に古びし扇風機 田村史生
外つ国の教え子何処雲の峰 田中紫春
きりきりと三人掛り茅の輪結ふ 安藤久美
まつたりと夏の走りや蓮根羹 鬼川こまち
夏色の水平線に船の影 清水薫
新婚の蚊帳は二人で吊りにけり 稲垣雄二
老残を養ふ酒盗端居かな 宮田勝
第二句座(席題:夏至、苔の花)
・鬼川こまち選
【特選】
たつぷりと水吸うところ苔の花 宮田勝
水孕む夜空重たし苔の花 松川まさみ
雨にねむり雨に目覚めぬ苔の花 安藤久美
夏至の朝紙一枚で店を閉じ 稲垣雄二
ひとすじに一つの仕事苔の花 中野徹
【入選】
夏至の朝観察日記始まりぬ 田村史生
磨崖仏へすべらぬやうに苔の花 酒井きよみ
夏至の日はおおかたは雨加賀平野 泉早苗
生き抜いて御百度参り苔の花 田中紫春
苔の花じかんが止まる森の中 山本桃潤
飛び石は苔に沈みぬ苔の花 長谷川櫂
塹壕の底に見上げし夏至の空 山本桃潤
ひたひたと水湿り出す苔の花 宮田勝
舌を出すアインシュタイン夏至夕べ 氷室茉胡
・長谷川櫂選
【特選】
苔の花いのちの水をとこしなへ 玉置陽子
サンドレス夏至の女となりにけり 趙栄順
夏至の日やパソコンに登る蟻一匹 近藤沙羅
【入選】
口笛や夏至の日暮れの淋しさに 松川まさみ
空襲を逃れし庭に苔の花 稲垣雄二
夏至の日はおおかたは雨加賀平野 泉早苗
夏至の日の蕗あをあをと炊きにけり 酒井きよみ
歳月を重ねて今日の苔の花 中野徹
夏至の夜や水ぬめぬめと鯉の群 玉置陽子
夏至の雨山河瑞しき音たてて 梅田恵美子
夫の愛す庭も古りけり苔の花 佐々木まき
・意味不明の句多し。いったん作ったら、必ず他人の目でご確認ください。
・逆に説明だらけの句多し。説明すればいいと思っているのなら、考え方を改める必要あり。
・てにをは、自分でお考えください。
【特選】
蛾の歩く音とどろけり夜の障子 07_福島 渡辺遊太
覚えある香りをひらく扇かな 14_神奈川 金澤道子
老いらくの凡そ見ゆる冷奴 14_神奈川 三浦イシ子
万緑やショパンのワルツ高らかに 15_新潟 安藤文
畝立てて五月の土を香らする 20_長野 金田伸一
この星を一廻りして昼寝覚 23_愛知 稲垣雄二
蚊帳吊つて母の記憶の底に寝る 23_愛知 稲垣雄二
梅雨入りに従ふほかはなけれども 27_大阪 高角みつこ
ビー玉の割れてゐて夏まひる 28_兵庫 魚返みりん
第一座選句
•藤英樹選
【特選】
涼しさの塊として輪転機 長井はるみ
籠り居のときどき唸る冷蔵庫 升谷正博
今は昔句会の後の蜜豆も 金澤道子
今年竹国境越えてそよぎをり 木下洋子
あちこちに凹み麦茶の大薬缶 わたなべかよ
【入選】
泰山木神代の白の花ひらく 澤田美那子
さくらんぼ千の光の乱反射 園田靖彦
楸邨の存問はるか蟇 喜田りえこ
わが家の灯水田に映り涼しかり 曽根崇
出目金に聞いてもらひぬ世迷言 金澤道子
泰山木咲いて宇宙と交信中 仲田寛子
噴水や息ととのへてまた高く 葛西美津子
少年の心に戻り花火の夜 おほずひろし
•長谷川櫂選
【特選】
噴水や息ととのへてまた高く 葛西美津子
心太この世の始末この世にて 喜田りえこ
行水の盥小さくなりにけり 木下洋子
【入選】
鬼百合の雀斑ふえて清らなり 魚返みりん
6月や傘寿に集ふ子ら孫ら 吉田順子
白南風や孔雀は恋の羽広げ わたなべかよ
万策の尽き一策の大昼寝 川村玲子
蟻の道象がとおつてゆきにけり 仲田寛子
籠り居のときどき唸る冷蔵庫 升谷正博
まだ動く蝶にたかれる蟻の列 曽根崇
南天の花かげ汗のマスクとる 森永尚子
第二座選 (席題:紙魚、脚気)
•藤英樹選
【特選】
日本国憲法食うて紙魚太る 喜田りえこ
天金の全集きらら寄せ付けず 葛西美津子
定家卿生まれかはりて雲母虫 森永尚子
家系図の初めを紙魚に食はれけり わたなべかよ
きらら虫食ひ甲斐ありき大漢和 長谷川櫂
【入選】
きららとふ銀色の翅見てみたし 葛西美津子
皇軍や脚気の足をひきずりて 喜田りえこ
万葉をはるばる愛し雲母虫 イーブン美奈子
紙魚といふ見たこともなき魚かな おほずひろし
きらら虫と父の蔵書を手放しぬ 川村玲子
艶本に籠りし紙魚に恋の夢 神谷宣行
•長谷川櫂選
【特選】
かもしかのわが足なれど脚気とは 園田靖彦
紙魚一つ大言海を泳ぎけり 関根千方
一ページ毎に一句や雲母虫 西村麒麟
【入選】
日本国憲法食ふて紙魚太る 喜田りえこ
本の闇のがれてゆくはきららかな おほずひろし
雲母虫花の定座を好みけり 木下洋子
膝打たる瑞穂の国の脚気かな 西川遊歩
定家卿生まれかはりて雲母虫 森永尚子
いまさらの鬼十訓や紙魚まみれ 喜田りえこ
膝小僧叩きひと言脚気です 葛西美津子
大御所の軍師なれども脚気かな 藤英樹
第一句座
・矢野京子選
【特選】
夏痩せて源氏を写す定家かな 菅谷和子
鎌倉はカルパッチョにして初鰹 菅谷和子
蟻地獄待ちくたびれてしまひけり 斉藤真知子
泰山木雨を薫らせ花開く ももたなおよ
恋の句を付けかねてをり蟇 飛岡光枝
【入選】
おん唇の息づきほのと鑑真記 神戸秀子
その奥は唐紅や蛇の穴 長谷川櫂
ひとしきり暴れて鵜籠月の中 大場梅子
ひと突きになだれて瀧に心太 菅谷和子
ぽこぽこと花咲くやうに梅雨茸 大場梅子
まひまひの円周率やくるりと輪 城山邦紀
引越しや大蜘蛛といへ名残惜し 林弘美
夏草と日ざしの匂ひかくれんぼ 夏井通江
薫風や砲台跡はがらんどう 河本秀也
向日葵と空しか見えぬ迷路かな 丸亀葉七子
水羊羹どこの角からくづすべく 斉藤真知子
太陽の申し子ならん枇杷熟るる 大場梅子
知らぬことまだまだありし箱眼鏡 高橋真樹子
入院す大緑陰にはいるごと 長井亜紀
仏法僧この世の仮の姿かな 土谷眞理子
羞らひはこんな色かや七変化 原京子
・長谷川櫂選
【特選】
蟻地獄待ちくたびれてしまひけり 斉藤真知子
更衣包丁研ぎてもらひけり 上松美智子
子馬ぐいぐい草の匂ひの乳をのむ 飛岡光枝
子燕や空は恐いか楽しいか 矢野京子
恋の句を付けかねてをり蟇 飛岡光枝
【入選】
一万歩ゆきて一句や雲の峰 矢野京子
下校の子傘を引きずり虹の中 矢野京子
何も着ぬ心地や夏の掛布団 夏井通江
顔見たき子らへ届くるさくらんぼ 伊藤靖子
月に咲き月と遊ぶや烏瓜 飛岡光枝
薫風や砲台跡はがらんどう 河本秀也
車椅子出でて励ます田植かな 米山瑠衣
精一杯けふを生きたか髪洗ふ 矢野京子
第二句座(席題:田植え、繭)
・矢野京子選
【特選】
繭一つ命一つや繭輝く 長谷川櫂
八方は太平洋よ繭を干す 河本秀也
田植ゑする鏡のなかに手を入れて 夏井通江
【入選】
花田植え空を見上げて終わりけり 河本秀也
繭眠るかすかな寝息してをりぬ 斉藤真知子
田植女のなかなる母をすぐ見分け 神戸秀子
田を植ゑて泥のごとくに眠りけり 斉藤真知子
行きがけにお社拝む田植かな 神戸秀子
・長谷川櫂選
【特選】
追ひついて振り向かせたき田植笠 矢野京子
繭かけて蚕ひっそり休み居り 伊藤靖子
葉一枚まぜて逞し山の繭 大平佳余子
【入選】
図書室の窓いつぱいや大田植 大平佳余子
花田植え空を見上げて終わりけり 河本秀也
雪の峰足で崩して田植歌 菅谷和子
人間も繭も眠るや昼深く 飛岡光枝
蚕蛾の行く末なしや繭の墓 ストーン睦美
ことことと命の音や繭を振る 石塚純子
苗束で蛭をこそげる田植かな 米山瑠衣
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
陽をふふむ河馬の五月よ大あくび 谷村和華子
命日やかの世も梅雨に入るころか 上村幸三
さばかれて花の白さの虎魚かな 川辺酸模
昼寝して体大地に溶けゆかん 辻奈央子
咲ききつてほつとしてゐる牡丹かな 辻奈央子
【入選】
灯の中に蛙の喉の薄さかな 阿部けいこ
展げたる地図にばらばら滝しぶき 伊藤 寛
群青へぐぐつと立ちて五月富士 石川桃馬
青あらし賢者のごとき鷺一羽 川辺酸模
だんだんと我が香となりし香水よ 森 凜柚
虹二重ふたりの君がゐるやうな 青沼尾燈子
村挙げて屋根葺き替へる結返し 武藤主明
横向きに寝釈迦をまねて昼寝かな 上 俊一
さりながら黴させるなよ心まで 齋藤嘉子
・長谷川櫂選
【特選】
展げたる地図にばらばら滝しぶき 伊藤 寛
虹二重ふたりの君がゐるやうな 青沼尾燈子
棄てられし牛の涙や被曝塵 青沼尾燈子
父も母もゐないこの世へ昼寝覚 平尾 福
虫の子のでんぐり返るキャベツの葉 服部尚子
【入選】
籠枕いつの間にやら足元に 辻奈央子
どうせすぐ来ぬ返信や昼寝せん 森 凜柚
一蔓に一つのメロン摘果かな 武藤主明
青あらし賢者のごとき鷺一羽 川辺酸模
四人居て私の他は更衣 那珂侑子
白雲の覗いて行きし植田かな 平尾 福
さばかれて花の白さの虎魚かな 川辺酸模
吹き抜ける風に眠れず籠枕 辻奈央子
まん丸な月浮べたる大代田 平尾 福
雲の舟一つ浮かべる代田かな 及川由美子
大代田逆さ鳥海悠々と 長谷川冬虹
第二句座 「水母、石楠花、父の日」
・長谷川冬虹選
【特選】
大くらげ顔なき顔で笑ひけり 長谷川櫂
父の日や襤褸と虱の帰還兵 川辺酸模
父の日やなにもいらぬとひとり言 上村幸三
【入選】
父の日を祝はれ慣れてゐない父 森 凜柚
石楠花や伝教大師大頭 平尾 福
父の日の何事もなく過ぎにけり 平尾 福
月読のこぼせし涙海月かな 齋藤嘉子
青空を泳いでみたき大海月 上村幸三
・長谷川櫂選
【特選】
星屑の海をさ迷ふ水母かな 川辺酸模
石楠花や伝教大師大頭 平尾 福
父の日や襤褸と虱の帰還兵 川辺酸模
【入選】
父の日の軽く大きな帽子かな 甲田雅子
父の日や少し早めのビールつぐ 齋藤嘉子
石楠花や無人の家を守るかに 谷村和華子
石楠花を消したる磐梯山入日 宮本みさ子
父の日や沛然として昼の雨 川村杳平
石楠花や二手に分かる登山道 武藤主明
戦時下や石楠花の葉を煙草にす 服部尚子
父の日や犬歩ませる夕の浜 川辺酸模
父の日や遺影に手向く盃よ 長谷川冬虹
父の日や田に立つ姿まなうらに 齋藤嘉子
太古よりマスク姿の海月かな 長谷川冬虹
原発の海を漂ふ海月かな 武藤主明
遠目にも石楠花の花けさ盛り 上 俊一
水母見て一日飽きず水族館 及川由美子
石楠花を誰ゆさぶるや揺れてをり 上 俊一