古志仙台ズーム句会(2021年6月27日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
土掻けば真白き骨ぞ沖縄忌 齋藤嘉子
蟻の列蟻のむくろは運ばざる 齋藤嘉子
若夏(うりずん)の光よ風よ芭蕉布よ 鈴木伊豆山
さなぶりや神も自慢の腹踊り 川辺酸模
村中に相馬盆唄枇杷熟るる 佐伯律子
【入選】
いかづちの近づいてくる昼寝覚 川村杳平
老鶯のひと声村の動きだす 甲田雅子
葛切の流れてゐたる菓子の箱 宮本みさ子
里山に日の明るさよ青胡桃 伊藤 寛
若き日の聖書は紙魚に食はれけり 平尾 福
母の忌や白百合ひらく日となりぬ 甲田雅子
胡瓜の葉とつさに冠る通り雨 宮本みさ子
君たちに休みはあるか蟻の列 那珂侑子
藤わかば更紗模様の光かな 服部尚子
先頭を田植機が行く峡の村 平尾 福
・長谷川櫂選
【特選】
梅雨寒の玻璃戸が映す部屋の中 伊藤 寛
山の湯や枯葉と見れば蟇 長谷川冬虹
さくらんぼ齢に心追ひつかず 森 凜柚
みちのくへ百福千福濃あぢさゐ(平尾福句集)長谷川冬虹
手のひらに灯る蛍の嬉しさよ 平尾 福
村中に相馬盆唄枇杷熟るる 佐伯律子
【入選】
登山靴解いて広ぐる足の指 阿部けいこ
切々と少女詩を読む沖縄忌 上村幸三
土掻けば真白き骨ぞ沖縄忌 齋藤嘉子
行々子濁世の呻きごゑ聞こゆ 佐藤和子
梅雨晴や人人人の溝さらひ 川辺酸模
湯治宿湯守でござると蟇 長谷川冬虹
五月雨の水嵩(みかさ)愉しむ野鯉かな 青沼尾燈子
沖縄忌滑走路に敷く父母の骨 青沼尾燈子
蟻の列蟻のむくろは運ばざる 齋藤嘉子
捨てきれぬ父の遺品や土用干 川辺酸模
若き日の聖書は紙魚に食はれけり 平尾 福
陶工の掌の艶やかに梅雨に入る 武藤主明
ぼつたりと赤き日落ちて夏一日 服部尚子
のびのびと濁世の雨の蝸牛 上村幸三
苺つぶす姉妹は恋の話など 谷村和華子
水打つてけふの仕事は終ひなり 辻奈央子
第二句座(席題:鮎、蠅叩、仏桑華)
・長谷川冬虹選
【特選】
吊るさるる気の弱さうな蝿たたき 平尾 福
棕櫚の葉を編んで我家の蠅叩 武藤主明
郡上川鮎釣る頃の宵踊り 服部尚子
少年にひらりと鮎の触れしかな 長谷川櫂
【入選】
新しき庫裏の入口仏桑花 阿部けいこ
アメリカンジョークに汚れ仏桑華 三玉一郎
蠅叩持ちて蝿から逃げてをり 森 凜柚
蠅叩握つてをれば現れず 上村幸三
蠅叩持ちて一日を過ごしけり 辻奈央子
鮎食ふや故郷の酒を東京で 森 凜柚
ぱらぱらと星屑降る夜鮎の宿 谷村和華子
・長谷川櫂選
【特選】
貫禄や反り返りたる蠅叩 伊藤寛
吊さるる気の弱さうな蝿たたき 平尾 福
ハイビスカス青春の日に咲いてゐた 宮本みさ子
【入選】
空港へまつすぐな道ハイビスカス 平尾 福
アメリカンジョークに汚れ仏桑華 三玉一郎
蠅叩握つてをれば現れず 上村幸三
供ふるをはばかる色や仏桑花 石原夏生
焼き鮎を声高に売る最上川 甲田雅子
仏桑花開けつ広げの苫屋かな 上 俊一
棕櫚の葉を編んで我家の蠅叩 武藤主明
艶福の人次々と鮎を食ふ 平尾 福
仏桑花ただ青空を恋すなり 服部尚子
家でする鮎の塩焼物足りず 那珂侑子
囮鮎いづれも別嬪揃ひなる 武藤主明
仏桑花あす咲く力秘めてをり 佐藤和子