古志鎌倉ズーム句会(2021年6月13日)
第一座選句
•藤英樹選
【特選】
涼しさの塊として輪転機 長井はるみ
籠り居のときどき唸る冷蔵庫 升谷正博
今は昔句会の後の蜜豆も 金澤道子
今年竹国境越えてそよぎをり 木下洋子
あちこちに凹み麦茶の大薬缶 わたなべかよ
【入選】
泰山木神代の白の花ひらく 澤田美那子
さくらんぼ千の光の乱反射 園田靖彦
楸邨の存問はるか蟇 喜田りえこ
わが家の灯水田に映り涼しかり 曽根崇
出目金に聞いてもらひぬ世迷言 金澤道子
泰山木咲いて宇宙と交信中 仲田寛子
噴水や息ととのへてまた高く 葛西美津子
少年の心に戻り花火の夜 おほずひろし
•長谷川櫂選
【特選】
噴水や息ととのへてまた高く 葛西美津子
心太この世の始末この世にて 喜田りえこ
行水の盥小さくなりにけり 木下洋子
【入選】
鬼百合の雀斑ふえて清らなり 魚返みりん
6月や傘寿に集ふ子ら孫ら 吉田順子
白南風や孔雀は恋の羽広げ わたなべかよ
万策の尽き一策の大昼寝 川村玲子
蟻の道象がとおつてゆきにけり 仲田寛子
籠り居のときどき唸る冷蔵庫 升谷正博
まだ動く蝶にたかれる蟻の列 曽根崇
南天の花かげ汗のマスクとる 森永尚子
第二座選 (席題:紙魚、脚気)
•藤英樹選
【特選】
日本国憲法食うて紙魚太る 喜田りえこ
天金の全集きらら寄せ付けず 葛西美津子
定家卿生まれかはりて雲母虫 森永尚子
家系図の初めを紙魚に食はれけり わたなべかよ
きらら虫食ひ甲斐ありき大漢和 長谷川櫂
【入選】
きららとふ銀色の翅見てみたし 葛西美津子
皇軍や脚気の足をひきずりて 喜田りえこ
万葉をはるばる愛し雲母虫 イーブン美奈子
紙魚といふ見たこともなき魚かな おほずひろし
きらら虫と父の蔵書を手放しぬ 川村玲子
艶本に籠りし紙魚に恋の夢 神谷宣行
•長谷川櫂選
【特選】
かもしかのわが足なれど脚気とは 園田靖彦
紙魚一つ大言海を泳ぎけり 関根千方
一ページ毎に一句や雲母虫 西村麒麟
【入選】
日本国憲法食ふて紙魚太る 喜田りえこ
本の闇のがれてゆくはきららかな おほずひろし
雲母虫花の定座を好みけり 木下洋子
膝打たる瑞穂の国の脚気かな 西川遊歩
定家卿生まれかはりて雲母虫 森永尚子
いまさらの鬼十訓や紙魚まみれ 喜田りえこ
膝小僧叩きひと言脚気です 葛西美津子
大御所の軍師なれども脚気かな 藤英樹