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俳句的生活

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古志仙台ズーム句会(2024年5月26日)

俳句的生活 投稿日:2024年5月27日 作成者: dvx223272024年5月27日

第一句座              
長谷川冬虹選
【特選】
蜥蜴出づ石ひんやりと残りをり        谷村和華子
はつなつの苔の杣道水匂ふ          及川由美子
見つけられ困つた顔の青大将         平尾 福
大夕焼け流れのゆるぶ最上川         甲田雅子
【入選】
青空が夢をみてゐる五月かな         長谷川櫂
マンションの十一階へ夏の蝶         那珂侑子
いくつかの名を持つ猫や南風吹く       平尾 福
田水張り磐梯山を近づけり          武藤主明
野馬追と聞かばそぞろや相馬の血       佐伯律子
古書市にページを捲る若葉風         臼杵政治
大地から怒り受けとるはだしかな       三玉一郎

長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
置かれたるぬる茶ひと口夏は来ぬ       青沼尾燈子
道楽の果て慎ましく新茶汲む         川村杳平
ごろ寝して聴く船底の卯波かな        上 俊一
【特選】
吹く風や滴りどれもみな残像         三玉一郎
目覚めては時に角出せ蝸牛          上 俊一
国滅ぶ五月の空の青さかな          長谷川冬虹
音のなき一日の家に夕立かな         上村幸三
育てたる牡丹の花を棺かな          宮本みさ子
足に手に大地の怒る田植かな         三玉一郎
【入選】
万緑の月山が見ゆ新句集           川村杳平
銭洗ふ笊へ一枚椎若葉            佐伯律子
マンションの十一階へ夏の蝶         那珂侑子
初夏や枝いつぱいに白き花          長谷川冬虹

出し抜けにほろろ打つ雉土塁址        佐藤和子
幸せの花粉まみれや花むぐり         平尾 福
初夏や大オーロラを贈りもの         長谷川冬虹
長靴を泥にとらるる田植かな         武藤主明
一滴の目薬あふれ夏はじめ          上村幸三
大夕焼流れてゆるき最上川          甲田雅子
凍み餅に一息をつく田植かな         臼杵政治
噴水やシュプレヒコール叫びし日       臼杵政治
五百句の山脈しんと岩清水          上村幸三
脳みそをアツプデートや土用干        川辺酸模
朝靄の流るる音を山の宿           甲田雅子
二人居に大き過ぎたり夏の空         三玉一郎
帯なして花栗香る山路かな          及川由美子
野馬追と聞くもそぞろや相馬の血       佐伯律子
風やんで蛇の蛻(もぬけ)のつと動く     石川桃瑪
母の日や包みは花の野良着かな        齋藤嘉子
アカシアの花から花へ山の雨         甲田雅子
滅びゆく地球にふたり冷奴          川辺酸模
卯の花や毬突きし日はつい昨日        及川由美子
山椒魚今日は機嫌がよいらしく        平尾 福
女死して晒一反遺しけり           齋藤嘉子

第二句座(席題:鮎、更衣、鉄線花)
長谷川冬虹選
【特選】
鉄線やわが寸土にも垣築き          上 俊一
えいと捨つ無用のスーツ更衣         上 俊一
選ばれてやがて悲しき囮鮎          武藤主明
愚図愚図と迷ひて今日の更衣         臼杵政治
捨て切れぬシャツまた仕舞ふ更衣       武藤主明
【入選】
朝まだき煌々として鮎の宿          及川由美子
アイロンの蒸気の白し更衣          佐藤和子
衣替え済ませた顔の守宮かな         平尾 福
鮎釣に繰り出すこゑの夜明けかな       佐藤和子
休暇中舎監ひとりと鉄線花          服部尚子
焼き鮎やここから飛騨に入る村        服部尚子
水音に迎へらるるや鮎の宿          谷村和華子
山深く光の底を鮎すすむ           三玉一郎
父の魚籠鮎おるごとく揺れてをり       甲田雅子

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
衣かへて夜風に妻を見失ふ          三玉一郎
花一つ散つて鉄線残りけり          平尾 福
偏屈は今更ならず更衣            武藤主明
【入選】
鵜が鮎の夢見るころや長良川         青沼尾燈子
鉄線は長々と伸び人絶えて          上 俊一
鵜も鮎も逃ぐる術なし篝舟          青沼尾燈子
柿渋で染めて投網や鮎の漁          佐伯律子
焼き鮎やここから飛騨に入る村        服部尚子
更衣またさらばへし腕(かひな)かな      青沼尾燈子

《500句》「長谷川櫂」との対話 猪口布子

俳句的生活 投稿日:2024年5月23日 作成者: KAI2024年6月9日

私が長谷川櫂を読み出したのは昨年(2023年)の秋からで、最初に読んだ句集は『太陽の門』。詠む素材の幅の広さ、自然詠の句柄の大きさ、卓抜な比喩、透徹した把握・・、驚きに満ちており、夢中で読んだ。

次に『九月』を読み、『震災句集』を読んだ。この時点で、句集を遡るのではなく、第一句集から順を追って読むことを計画した。その理由は、最初からこんなに風に詠めたのか、こんなに幅広く、自由自在だったのか、ということを探りたかったから。『古志』を読み、『天球』を読もうというところで、『長谷川櫂 自選500句』の刊行となった。

自選句を先に読もうかとも思ったが、各句集を読み、私の好きな句・感銘を受けた句を選び、その後にその句集のパートを読むことにした。やはり第一句集から読んでいくという計画は私には大事であり、その遂行を有意義なものにするためには、極力先入観を持たずに一つ一つの句集に当たっていきたいと思ったからだ。

現時点で読んでいるのは『古志』『太陽の門』のパートだが、自選と私の選を比べるのはたいへん楽しい。選が重なればなんとなく嬉しく、異なっていれば改めて読み、考える。著者と対話しているような気になる。

春の水とは濡れてゐるみづのこと     『古志』

いつぽんの冬木に待たれゐると思へ  『古志』

鷹消えて破れしままの雪の空            『古志』

雪の夜の新妻といふ一大事               『古志』

山一つ篩にかけて花ふぶき               『太陽の門』

アメリカの男根そびゆキノコ雲        『太陽の門』

炎天や死者の点呼のはじまりぬ        『太陽の門』

古志金沢ズーム句会(2024年5月19日)

俳句的生活 投稿日:2024年5月20日 作成者: dvx223272024年5月20日

第一句座
 当季雑詠
・鬼川こまち選

【特選】
葛焼や一切れにして五月闇        長谷川櫂
終着の敦賀原発かぎろへる        花井淳
ふと息をとめて噴水我を見ゆ       梅田恵美子
太陽をもみくちやにして泳ぐなり     玉置陽子
はつ夏や沖の小島へ徒渡り        安藤久美
昼寝覚日本海溝より還る         宮田勝

【入選】
ひとひらは誰が胸底へ朴散華       泉早苗
藁焼きの上がる炎や初鰹         田中紫春
白濁の山の連なり葛ざくら        花井淳
ででむしを尻に腕に六地蔵        田村史生
一天に鳥一点や青嵐           趙栄順
たんぽぽの絮そつと吹く母なりき     藤倉桂
万緑や仰げば我は小人たり        密田妖子
片付けのすすまぬ能登や暑からん     近藤沙羅
薫風や母に押さるる車椅子        土谷眞理子
葛焼や涼しき闇をいただかん       長谷川櫂
青き阿蘇太古の湖に浮かびける      山本桃潤

・長谷川櫂選

【特選】推敲例
あまき泥たつぷり咥へ燕飛ぶ       安藤久美
靴下の見事な穴よ夏来る         田村史生
麦秋の輝きをわが力とす         橋詰育子
薫風や母に押さるる車椅子        土谷眞理子
嫁が炊く豆に皺なし豆ご飯        氷室茉胡

【入選】
屑鉄のイグアナ歩く炎暑かな       飛岡光枝
母の日や溝浚ひする母ありき       土谷眞理子
百色の衣繚乱葵祭            氷室茉胡
これぽっちの庭揉みくちやに夏嵐     近藤沙羅
夏めくやひと朝ごとに朝早し       宮田勝
ででむしを尻に腕に六地蔵        田村史生
朴つぼむ明日の真白うたがはず      泉早苗
太陽をもみくちやにして泳ぐなり     玉置陽子
庭ぢゅうに傘さしやらん薔薇の雨     鬼川こまち

第二句座
 席題:「青嵐」、「冷酒」
・鬼川こまち選

【特選】
胃の腑から叩き直さん冷し酒       花井淳
白山の水湧くところ冷し酒        趙栄順
高々と鳶の輪のあり青嵐         橋詰育子
不条理を一気に腹へ冷し酒        稲垣雄二
冷酒や女だてらてふことばありき     飛岡光枝
死ぬといふゴールさみしき冷し酒     梅田恵美子
討論の果ての静寂冷し酒         稲垣雄二

【入選】
風神は青鬼ならん青あらし        泉早苗
冷酒つぐ婿還暦を迎へけり        間宮伸子
刀剣を愛でて一夜の冷し酒        田中紫春
美ら島の波は歌へり冷し酒        安藤久美
根性をたたき直さん冷し酒        趙栄順
青嵐ズーム句会を吹き渡る        田村史生
はらわたのだんだんまるし冷し酒     宮田勝
志なき世でありぬ青嵐          山本桃潤
青嵐ピアノ貫きフジコ逝く        梅田恵美子
冷し酒墓石切り出す話など        安藤久美

・長谷川櫂選

【特選】推敲例
ゆさゆさと狭庭もとよむ青嵐       越智淳子
恋幾度初恋一度青嵐           田村史生
冷し酒八十歳の一日目          清水薫

【入選】
白山の暮れゆくころを冷し酒       飛岡光枝
しづかなる昼の月あり青嵐        橋詰育子
白山の水湧くところ冷し酒        趙栄順
刀剣を愛でて一夜の冷し酒        田中紫春
心根を叩き直せと青嵐          氷室茉胡
高々と鳶の輪のあり青嵐         橋詰育子
零さじと唇を寄せ冷し酒         山本桃潤
志なき世でありぬ青嵐          山本桃潤
展宏のバカラグラスや冷し酒       泉早苗
野球部のエースは少女青嵐        氷室茉胡

古志鎌倉ズーム句会(2024年5月18日)

俳句的生活 投稿日:2024年5月19日 作成者: 田中 益美2024年5月19日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
夏の月リボンのやうな高速路      澤田美那子
これよりの暑さ恐ろし古茶を汲む    森永尚子
滝壺に滝落ちてゆく涼しさよ      おほずひろし
【入選】
大皿でどんと高知の初鰹        澤田美那子
籐椅子や捨つるに惜しき色艶に     田中益美
木洩れ日の糺の森や蛇過る       わたなべかよ
家族して葵祭を二階より        木下洋子
少子化の国や愛しき鯉のぼり      西川遊歩
厳島イソヒヨドリのうた合戦      西川遊歩
研ぎ上げてかざす包丁緑さす      葛西美津子

•長谷川櫂選     (推敲例)
【特選】
逃水の平和を追うて八十年       萬燈ゆき
トラックにぶら下げて売る竹夫人    西川遊歩
滝壺へ滝落ちてゆく涼しさよ      おほずひろし
全力の花びら五枚ハイビスカス     イーブン美奈子
【入選】
家族して葵祭を二階から        木下洋子
これよりの暑さ恐ろし古茶を汲む    森永尚子
自由の斧平等の斧蟷螂生る       関根千方
生粋の飛騨のをとこや柏餅       萬燈ゆき
研ぎ上げてかざす包丁緑さす      葛西美津子
この年で母に叱られ扇風機       森永尚子

第二句座  ( 席題:葛饅頭、虹 )
•藤英樹選
【特選】
日和下駄気まぐれに食ふ葛桜      西川遊歩
風少しほしき夕べや葛桜        澤田美那子
東京へ帰る車窓や虹立ちぬ       わたなべかよ
【入選】
み吉野の風なつかしき葛饅頭      きだりえこ
くらやみの花の香りや葛ざくら     森永尚子
大垣の涌き水豊か葛まんぢゆう     わたなべかよ
一つではまだ物足りず葛まんぢゆう   森永尚子
諍いの地球へ多き虹かかれ       きだりえこ
九十の母の手どりの葛桜        長谷川櫂

•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
皿にとる水の曇りの水饅頭       葛西美津子
【入選】
虹消えて青空になほあるごとく     藤原智子
半世紀母でありけり葛饅頭       イーブン美奈子
葛まんじゅう櫻花壇の大広間      西川遊歩
風少しほしき夕べや葛桜        澤田美那子
手をとりて母との旅や葛桜       葛西美津子
葛ざくら小さき虹のかかりけり     関根千方

滅びゆく日本の挽歌「アステイオン」100号

俳句的生活 投稿日:2024年5月19日 作成者: KAI2024年5月23日

サントリー文化財団編集の雑誌「アステイオン」が創刊100号を迎えました。

今の時代の断面図ともいうべき1冊です。「滅びゆく日本のレクイエム」の趣きがあります。

 

《500句》季語索引から見えてきたこと ももたなおよ

俳句的生活 投稿日:2024年5月18日 作成者: KAI2024年5月23日

この本が届いて既に一か月。一気に読み、また、くりかえし読んでいる。読むたびに心が動く。それは何故だろうとかと考える。心が動くのは、どの句にも心があるからだろう。

この句集に収められている546句。巻末の季語索引から季語を数えたら297個(新年23、春65、夏95、秋58、冬56)。季語索引での俳句鑑賞も面白い。297個の季語のうち、歳時記の分類の時候、天文、地理を除き、その他の分類に属する具体的な道具や動植物などが半数を占めた。

そう思ってまた1頁から鑑賞していく。著者が花となり、虫となり、道具さえ我が身の一部とし、そこに広がる世界を捉えようとしていることがよくわかる。そしてこの世に生きた者たち、または今を生きている者たちに心を寄せ、その心の叫びを代弁者たらんと句に詠みあげてあるので、あの世とこの世のあわいを演ずる能を鑑賞する感覚に似ていると思った。

天地をわが宿にして桜かな   『松島』

戦争を嗤ふ無数の蛆清らか   『太陽の門』

玉砕の女らはみな千鳥かな   『沖縄』

絶叫の口ひらきたる目刺かな  『沖縄』

花びらのかるさと思ふ団扇かな 『九月』

外套は人間のごと吊られけり  『太陽の門』

『万葉集』以来の、日本の詩歌の大河の船人として著者は、櫂の雫を花と散らしながら、未来へと推し進めていく。そう確信した一冊であった。

港の見える丘の鮨カフェ「すすす」へどうぞ

俳句的生活 投稿日:2024年5月15日 作成者: KAI2024年5月23日

横浜・港の見える丘公園にある神奈川近代文学館の鮨カフェ「すすす」へどうぞ。

メニュー:ささめゆきのちらし鮨・坂口安吾のおけさ飯・山椒魚ッカ・芥川龍之介のおしるこ、など。

今「帰って来た橋本治展」開催中。

公園の薔薇が満開です。

《500句》「長谷川櫂」への挑戦 高橋真樹子

俳句的生活 投稿日:2024年5月9日 作成者: KAI2024年5月15日

スタイリッシュなデザインの本には長谷川櫂の人生が凝縮されている。読みすすめるとその人生が詳らかに書かれおり、まるで孤高の人長谷川櫂がすぐそばに降臨してきたかのように感じた。少し驚きもしたが知る嬉しさもあった。

故郷の熊本とずっと距離をとってきたと語り「雲の峰故郷の空に収まらず」『沖縄』「故郷といふ幻想へ帰省かな」『九月』「母の日や母を忘るること久し」『太陽の門』が綴られている。そんな中、今年一月から熊本日日新聞で「故郷の肖像」の連載が始まった。それは故郷熊本に想いを巡らす絶好の機会でもあるし、故郷と和解する最後の機会になるのではないかという。長年心の奥深くにあった故郷への深い思いが伝わる。

平井照敏と飴山實それぞれの師事のもと俳句を学び俳句の道を模索する若き日の姿勢は、いつも句会で繰り返される言葉と同じだ。

飯田龍太が付箋や○をつけた合本句集『古志・天球』を御子息である秀實さんから渡されたが、この自選500句の選が終わるまでは開かなかったという。時空をこえた龍太からの贈り物には重みがある。

また俳人としての歩みを五つの時代に分け、そこに句集・俳論・エッセーを当てはめている。この分類は長谷川櫂を読み深めるための水先案内人として重要な役割を果たしている。自分で俳句の道を探す大切さ、飯田龍太との交流、平井照敏・飴山實の教え、長谷川櫂の人間として俳人としての歴史を知り、また長谷川櫂論ではその道のりに寄り添った文章に感じ入った。

なぜ長谷川櫂はここまで人生を詳らかにしたのだろう。己への挑戦だったのではないか。その挑戦には長谷川櫂を客観的に見つめるもう一人の長谷川櫂の存在が無ければなし得ない。

冬深し柱の中の濤の音        『古志』
思ふままゆけといはれし龍太の忌   『柏餅』
さまざまの月みてきしがけふの月   『太陽の門』

《500句》長谷川櫂の人生を知る 安藤文

俳句的生活 投稿日:2024年5月7日 作成者: KAI2024年5月9日

 私のような長谷川櫂の句集を今更にすべて買うことが難しい者には、このような自選句集はとてもありがたい。

 興味深いのは、エッセーや詳細な自筆年譜から長谷川櫂の人生を深く知れることである。新潟の新米記者時代に交通事故で死にかけたことや結婚して子供が生まれ、孫ができたことなど。常に鋭い眼光を放っている夜叉のような俳人、長谷川櫂もまた一人の人間だということを改めて認識した。

 句もまたその人の人生そのものだ。『古志』から『太陽の門』まで句風の変化はあるものの、一貫しているのは、どの句もすっきりとした句調ながらどっしりとした深みを抱えていることだ。すっきりと読めるのに後味は深い。相反する読後感がある。私が憧れる俳句なので句作りに迷ったときは読み返したい句集である。

古志広島ズーム句会(2024年5月5日)

俳句的生活 投稿日:2024年5月7日 作成者: dvx223272024年5月7日
第一句座
・矢野京子選
【特選】
跨線橋太宰が愛でし夏の富士 岡村美沙子
花びらや七堂伽藍の東司にも 矢田民也
生き死にのこの世すなはち蜃気楼 長谷川櫂
百年を動かぬ楠に夏来たる 斉藤真知子
白鷺の検見して歩む植田かな 駒木幹正
あな細き母の手首や更衣 安藤文
【入選】
はぐれてはみなひとひらに桜貝 長谷川櫂
子供の日けふ一日は戻り来よ(亜紀さん) 斉藤真知子
硝子戸に若葉の映る本屋かな 加藤裕子
天地人の災ひくるめ柏餅 大平佳余子
夏来る練習船は白帆上げ 大平佳余子
ひもじさを知らぬ子とゐて昭和の日 矢田民也
柏餅子どもらの国作りたし 林弘美
夏立ちぬ馬の肌への底光り 石塚純子
発声の思はぬ近さほととぎす 石塚純子
逝く春のラ・カンパネラを聴きにけり 瑞木綾乃
畳掃く音こまやかに昭和の日 神戸秀子
月桃の葉で巻く粽もちもちと 大場梅子
父送る茅花流しとなりにけり 菅谷和子
掘りたての筍の日となりにけり 石塚純子
妻の目を借りてひいふう初桜 金田伸一
目が合ふたすみれに屈む男の子かな 高橋真樹子
おかめ蕎麦あとみつ豆の長話 大平佳余子
たちまちに大佐渡小佐渡夏の山 安藤文
☆
・長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
朕といふ声ひびきけり昭和の日 金田伸一
傷ついた風よ未来よ鯉幟 ももたなおよ
菖蒲湯にかつて自慢の足伸ばす 大場梅子
大桜凭らばたちまちわれも花 矢田民也
メーデーの輪から外れてはや十年 ももたなおよ
【特選】
硝子戸の本屋に映る若葉かな 加藤裕子
今はなき家の記憶や柿若葉 ももたなおよ
木苺をつまむ遍路の婆と子と 神戸秀子
ひもじさを知らぬ孫子と昭和の日 矢田民也
柏餅子どもらの国作らんと 林弘美
この世にて為すこと一つ柏餅 石塚純子
花筏ちひさき滝にかかりけり 岡村美沙子
水張つて村ひろびろと田植かな 駒木幹正
【入選】
枝と枝重なり合うて実梅かな 加藤裕子
すみれ忌のけふは一日句会せん 高橋真樹子
カメラもて胃を覗かるる暮の春 斉藤真知子
子供の日けふ一日は戻り来よ(亜紀さん) 斉藤真知子
桜鯛目張海松召せ呉の夜 瑞木綾乃
首にかけ鴬笛の赤き紐 神戸秀子
藍の芽のほつほつと出づ黒き土 駒木幹正
花びらや七堂伽藍東司にも 矢田民也
的拭きて弓の稽古や鯉幟 加藤裕子
ひこばえや地震に負けるな地震の国 矢田民也
鮓押すや今日は結婚記念の日 加藤裕子
ざんぶりと菖蒲はみだす菖蒲風呂 大場梅子
母の日や指が覚ゆる電話番号 ストーン睦美
千年を動かぬ楠に夏来たる 斉藤真知子
ざんぶりと少年のまま菖蒲風呂 高橋真樹子
君よ来よ句座へもいちど子どもの日 ももたなおよ
雨の中蜜柑の花の香りけり 上松美智子
言の葉をふるひ立たせん青嵐 城山邦紀
早々と古志届きたる五月かな 原京子
父送る茅花流しの吹く日かな 菅谷和子
何につけ好み淡泊更衣 原京子
月の山暮れかねてあり花林檎 神戸秀子
安心の赤子の眠る春の月 夏井通江
おかめ蕎麦あとはみつ豆長話 大平佳余子
☆
第二句座(席題:若葉、晒)
・矢野京子選
【特選】
梟を闇夜に包む若葉かな ストーン睦美
遊郭のあとに図書館若葉風 今村榾火
誕生も死も一枚の晒かな 長谷川櫂
【入選】
晒布巻く渡世をしばし銀幕に 矢田民也
嬰児へ若き日に着しさらし裁つ 城山邦紀
戌の日の晒布や吾子も十歳に 加藤裕子
さらし干す天の香具山ご覧あれ 大場梅子
あと十年生きて晒布のやうな人 矢田民也
母濯ぐ晒布一本泳ぎけり 駒木幹正
母よりの晒一反五十年 石塚純子
晴れ渡る白ひといろや晒し川 菅谷和子
さらしほす育児介護も今昔 ももたなおよ
若葉燃ゆ大塊にして蔭濃ゆし 上松美智子
☆
・長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
納骨やさらしにくるむ親の骨 上松美智子
日本の晒しのおむつ風に干す 伊藤靖子
戦争ををへて野山に晒し干す 菅谷和子
まつさらな晒布の下の手術痕 矢野京子
【入選】
戌の日の晒布や吾子も十歳に 加藤裕子
楠若葉いくつも山のある如く 加藤裕子
若き日の母の胸乳や晒し布 石塚純子
腹帯に晒しを巻かれ落ち着かず 林弘美
母よりの晒一反五十年 石塚純子
晴れ渡る白ひといろや川晒し 菅谷和子
楠若葉もみあうさまを二階より 岡村美沙子
もうひとつさらしの産着縫ひ足して 斉藤真知子

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読売新聞「四季」から

今年てふ未来ありけり初鏡      田辺麦甫

 これから来る時間を未来というと、何だか輝いているような気がする。それはこの言葉の音の力。美しいmとrの子音があり、aiもある。それに対して過去という言葉は最後の母音oで沈みこむ。初鏡は年が明けて初めてのぞきこむ鏡。『鳥渡る』

2月11日(水) 古志雪中ズーム句会

  • 2月11日(土)、午後1時30分から二座行います。
  • 雪の句を十句ご用意ください。席題はありません。
  • 会費は2,000円(参加者にはあとで振込口座をお知らせいたします)
  • 申込締切=1月31日
  • 古志の同人・会員でないと参加できません。

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      これからのイベント

      • 1月24日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 1月25日(日)仙台ズーム句会
      • 2月1日(日)広島ズーム句会
      • 2月7日(土)HAIKU+
      • 2月8日(日)鎌倉ズーム句会
      • 2月11日(水、建国記念日)雪中ズーム句会
      • 2月14日(土)朝カルズーム講座「『おくのほそ道』をよむ」」
      • 2月15日(日)金沢ズーム句会
      • 2月22日(日)ネット投句のスクーリング
      • 2月23日(月、天皇誕生日)句会仙台ズーム句会
      • 2月28日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 3月1日(日)広島ズーム句会
      • 3月7日(土)朝カルズーム講座「『おくのほそ道』をよむ」」
      • 3月8日(日)鎌倉ズーム句会
      • 3月14日(土)きごさい全国小中学生俳句大会(東京、白川清澄公園)
      • 3月22日(日)金沢ズーム句会
      • 3月28日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 3月29日(日)仙台ズーム句会

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      『「おくのほそ道」を読む 決定版』
      ちくま文庫
      1,000円+税
      2025年5月刊行


      『四季のうた ウクライナの琴』
      中公文庫
      800円+税
      2025年1月刊行


      『長谷川櫂 自選五〇〇句』
      朔出版
      2200円+税
      2024年4月刊行


      『四季のうた 井戸端会議の文学』
      中公文庫
      800円+税
      2024年1月刊行


      『小林一茶』
      河出文庫
      800円+税
      2024年1月刊行


      『ふじさわびと』vol.26
      株式会社ふじさわびと
      無料配布
      2023年1月発行


      『四季のうた 雨ニモマケズ』
      中公文庫
      800円+税
      2023年1月刊行


      『和の思想』
      岩波新書
      980円+税
      2022年7月刊行


      『俳句と人間』(3刷)
      岩波新書
      860円+税
      2022年1月刊行


      100分de名著『おくのほそ道』(10刷)
      NHK出版
      1,000円+税
      2014年10月刊行


      『四季のうた 美しい日々』
      中公文庫
      800円+税
      2022年1月刊行


      句集『太陽の門』
      青磁社
      2200円+税
      2021年8月刊行


      『四季のうた 天女の雪蹴り』
      中公文庫
      800円+税
      2021年1月刊行


      大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
      長谷川櫂 編
      岩波新書
      780円+税
      2019年12月刊行


      『四季のうた 普段着のこころ』
      中公文庫
      800円+税
      2019年12月刊行


      大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
      長谷川櫂 編
      岩波新書
      780円+税
      2019年11月刊行


      『歌仙一永遠の一瞬』
      岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
      思潮社
      2200円+税
      2019年1月刊行


      『歌仙はすごい』
      辻原登、永田和宏、長谷川櫂
      中公新書
      880円+税
      2019年1月刊行


      『四季のうた 至福の時間』
      中公文庫
      700円+税
      2018年12月刊行


      『九月』
      青磁社
      1800円+税
      2018年8月刊行


      『Okinawa』
      Red Moon Press
      $15
      俳句 長谷川櫂
      英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
      2018年5月刊行


      『俳句の誕生』(4刷)
      筑摩書房
      2300円+税
      2018年3月刊行


      『四季のうた 想像力という翼』
      中公文庫
      700円+税
      2017年12月刊行


      『芭蕉さん』
      俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
      選句解説・長谷川櫂
      講談社
      1500円+税
      2017年3月刊行


      『震災歌集 震災句集』
      青磁社
      2000円+税
      2017年3月刊行


      『四季のうた 文字のかなたの声』
      中公文庫
      600円+税
      2016年12月刊行


      藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
      花神社
      2500円+税
      2016年10月刊行


      『文学部で読む日本国憲法』
      ちくまプリマー新書
      780円+税
      2016年8月刊行


      『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
      松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
      河出書房新社
      2,600円+税
      2016年6月刊行


      『四季のうた 微笑む宇宙』
      中公文庫
      700円+税
      2016年3月刊行


      『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
      筑摩選書
      1,500円+税
      2015年10月刊行


      『沖縄』
      青磁社
      1,600円+税
      2015年9月刊行


      『入門 松尾芭蕉』
      長谷川櫂 監修
      別冊宝島
      680円+税
      2015年8月刊行


      『歌仙一滴の宇宙』
      岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
      思潮社
      2000円+税
      2015年2月刊行


      『吉野』
      青磁社
      1,800円+税
      2014年4月刊行
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