古志金沢ズーム句会(2024年5月19日)
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
葛焼や一切れにして五月闇 長谷川櫂
終着の敦賀原発かぎろへる 花井淳
ふと息をとめて噴水我を見ゆ 梅田恵美子
太陽をもみくちやにして泳ぐなり 玉置陽子
はつ夏や沖の小島へ徒渡り 安藤久美
昼寝覚日本海溝より還る 宮田勝
【入選】
ひとひらは誰が胸底へ朴散華 泉早苗
藁焼きの上がる炎や初鰹 田中紫春
白濁の山の連なり葛ざくら 花井淳
ででむしを尻に腕に六地蔵 田村史生
一天に鳥一点や青嵐 趙栄順
たんぽぽの絮そつと吹く母なりき 藤倉桂
万緑や仰げば我は小人たり 密田妖子
片付けのすすまぬ能登や暑からん 近藤沙羅
薫風や母に押さるる車椅子 土谷眞理子
葛焼や涼しき闇をいただかん 長谷川櫂
青き阿蘇太古の湖に浮かびける 山本桃潤
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
あまき泥たつぷり咥へ燕飛ぶ 安藤久美
靴下の見事な穴よ夏来る 田村史生
麦秋の輝きをわが力とす 橋詰育子
薫風や母に押さるる車椅子 土谷眞理子
嫁が炊く豆に皺なし豆ご飯 氷室茉胡
【入選】
屑鉄のイグアナ歩く炎暑かな 飛岡光枝
母の日や溝浚ひする母ありき 土谷眞理子
百色の衣繚乱葵祭 氷室茉胡
これぽっちの庭揉みくちやに夏嵐 近藤沙羅
夏めくやひと朝ごとに朝早し 宮田勝
ででむしを尻に腕に六地蔵 田村史生
朴つぼむ明日の真白うたがはず 泉早苗
太陽をもみくちやにして泳ぐなり 玉置陽子
庭ぢゅうに傘さしやらん薔薇の雨 鬼川こまち
第二句座
席題:「青嵐」、「冷酒」
・鬼川こまち選
【特選】
胃の腑から叩き直さん冷し酒 花井淳
白山の水湧くところ冷し酒 趙栄順
高々と鳶の輪のあり青嵐 橋詰育子
不条理を一気に腹へ冷し酒 稲垣雄二
冷酒や女だてらてふことばありき 飛岡光枝
死ぬといふゴールさみしき冷し酒 梅田恵美子
討論の果ての静寂冷し酒 稲垣雄二
【入選】
風神は青鬼ならん青あらし 泉早苗
冷酒つぐ婿還暦を迎へけり 間宮伸子
刀剣を愛でて一夜の冷し酒 田中紫春
美ら島の波は歌へり冷し酒 安藤久美
根性をたたき直さん冷し酒 趙栄順
青嵐ズーム句会を吹き渡る 田村史生
はらわたのだんだんまるし冷し酒 宮田勝
志なき世でありぬ青嵐 山本桃潤
青嵐ピアノ貫きフジコ逝く 梅田恵美子
冷し酒墓石切り出す話など 安藤久美
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
ゆさゆさと狭庭もとよむ青嵐 越智淳子
恋幾度初恋一度青嵐 田村史生
冷し酒八十歳の一日目 清水薫
【入選】
白山の暮れゆくころを冷し酒 飛岡光枝
しづかなる昼の月あり青嵐 橋詰育子
白山の水湧くところ冷し酒 趙栄順
刀剣を愛でて一夜の冷し酒 田中紫春
心根を叩き直せと青嵐 氷室茉胡
高々と鳶の輪のあり青嵐 橋詰育子
零さじと唇を寄せ冷し酒 山本桃潤
志なき世でありぬ青嵐 山本桃潤
展宏のバカラグラスや冷し酒 泉早苗
野球部のエースは少女青嵐 氷室茉胡