・言葉ははっきりと使ってください。わかってくれるだろうでは、わからない。
・ただし説明はダメ。
【特選】
カナクギの便りもうれし栗羊羹 04_宮城 長谷川冬虹
八月の祈りの初め広島忌 11_埼玉 上田雅子
両の目に病を得たり秋はじめ 20_長野 金田伸一
身に沁むやあらためて聞く子の齢 27_大阪 澤田美那子
凄まじきもののひとつに孫七人 27_大阪 齊藤遼風
颱風の大きく強くのろのろと 28_兵庫 天野ミチ
妻いまやはらからとなり衣被 44_大分 竹中南行
【入選】
飛沫上げ鮭の解禁鱗舞う 01_北海道 村田鈴音
灯台下はまなすの実の赤々と 01_北海道 村田鈴音
もらひ受く根ごと土ごとをみなへし 01_北海道 芳賀匙子
今朝の秋珈琲の香の戻りくる 01_北海道 柳一斉
妻つくる秋の彼岸の豆ごはん 03_岩手 川村杳平
仲直り妻へ麦茶と水羊羹 04_宮城 長谷川冬虹
亡骸に紅ひく人や酔芙蓉 05_秋田 佐藤一郎
・人に焦点を当てないように。
無花果の幼き青やみづみづし 07_福島 渡辺遊太
朝顔や一番乗りの野球場 08_茨城 袖山富美江
栗ようかん栗のあたりを包丁す 11_埼玉 上田雅子
・栗のあたりへ
グロリオーサ萎るる午後や敗戦日 11_埼玉 上田雅子
ハンカチにいろいろ秋の零れもの 12_千葉 若土裕子
すずかけの樹皮はがしゆく秋の風 12_千葉 若土裕子
忙しなき今日の終わりや虫の声 12_千葉 谷口正人
妻恋の露の柩となられけり 12_千葉 池田祥子
・露の棺の人となる?
古書店の棚に差し込む秋陽かな 12_千葉 麻生十三
榧の実は渋し煙の匂ひして 13_東京 岡恵
爪の上にのせてもらひぬ夜光虫 13_東京 岡恵
秋の蚊よ生き永らへて何とする 13_東京 森徳典
猫いつか虹を渡りて猫のくに 13_東京 長井亜紀
新米や夜も操業精米所 13_東京 楠原正光
先駆けの鬼が飛び来る秋祭 13_東京 楠原正光
書を閉じて穏やかならぬ秋思かな 13_東京 堀越としの
つゆ草の二つ三つ咲く朝の道 14_神奈川 伊藤靖子
母が来て一緒に買った柿を買ふ 14_神奈川 伊藤靖子
身のかくも厚き秋鯖昆布締め 14_神奈川 越智淳子
精進湖にひがな遊べり夕蜻蛉 14_神奈川 越智淳子
山裾の陽だまりぬくし吾亦紅 14_神奈川 遠藤初惠
夕月の色なり白の曼珠沙華 14_神奈川 金澤道子
竹春や日暮るるころに晴れてきし 14_神奈川 金澤道子
・竹春ではダメ。数多くの季語の中からこの季語を選ぶところがダメ。
月待つやあふるる前のさみしさと 14_神奈川 三玉一郎
・言葉が屈折している。
渋柿の一本もなき柿の里 14_神奈川 松井恭子
見えぬ手が遊んでをりぬ曼珠沙華 14_神奈川 松井恭子
秋雨やワクチン接種長い列 14_神奈川 水篠けいこ
秋耕の老いやだんだん雄弁に 14_神奈川 中丸佳音
葡萄狩り房の間にまに富士が見え 14_神奈川 土屋春樹
姪からの白桃うれし敬老日 14_神奈川 那珂侑子
爽かや佐渡の空ゆく朱鷺の群れ 15_新潟 安藤文
往診は軽四で行く花芒 17_石川 岩本展乎
青空と沖の白波初さんま 17_石川 松川まさみ
ルーペにて季語の本意をさぐる秋 20_長野 金田伸一
目つむりて心遊ばす星月夜 20_長野 金田伸一
金色の蜂の屍白露かな 20_長野 大島一馬
抽象の螢かも夜空はみだし 20_長野 柚木紀子
痛み止め一服金色鷽替 20_長野 柚木紀子
鷹渡る天の流れの高きこと 21_岐阜 古田之子
釣り場まで抜ける近道あかのまま 21_岐阜 辻雅宏
鬼の栖む山の麓や女郎花 21_岐阜 梅田恵美子
鯊を釣る戦艦沈む海の端 23_愛知 稲垣雄二
爽やかや二度目の接種今日済ませ 23_愛知 臼杵政治
ごろごろとマチスの裸婦や大瓢 23_愛知 臼杵政治
草の実も畳まれ二年旅衣 23_愛知 宗石みずえ
隻眼の犬と吾あり秋の風 23_愛知 青沼尾燈子
世迷ひ言は聞き流すだけちちろ虫 26_京都 吉田千恵子
寡婦長き母の一生雁渡し 26_京都 氷室茉胡
桔梗やめりはり淡き日々のなか 27_大阪 高角みつこ
早稲の香やこの道行けば句会場 27_大阪 木下洋子
水色のことになつかし草の花 27_大阪 澤田美那子
帰らねばならぬ燕か相寄りて 27_大阪 澤田美那子
葛城のとある神社の茅の輪かな 27_大阪 齊藤遼風
一生を善意に生きて稲の花 27_大阪 齊藤遼風
ペン胼胝のかすかな痛み秋の夜 28_兵庫 千堂富子
秋の蚊のいつぴき来たり我が膝に 28_兵庫 天野ミチ
叩かずに蔓で判ると西瓜かな 28_兵庫 藤岡美惠子
・叩かずとも、次のと、不要。
人恋坂行きつ戻りつ秋の暮 28_兵庫 福田光博
イモリ出で追えどどこかへ秋の宵 29_奈良 高坂泰子
・ヤモリだろう。
身に入むや両の義足の大ジャンプ 29_奈良 田原春
・見に入む、では陰々滅々。
カラカラに乾くタオルよ秋の風 34_広島 鈴木榮子
尻に根が生える婆さま芋茎?く 37_香川 丸亀葉七子
・下五は?
浜木綿の実のふつくらと岬道 37_香川 曽根崇
セントラルパークの秋を歩みし日 44_大分 山本桃潤
木枕の雪や冬瓜横たはり 44_大分 竹中南行
押し寄せるクラクションの音巴里九月 50_フランス 廣瀬玲子