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ネット投句(2021年8月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年9月1日 作成者: KAI2021年9月1日

【特選】
なに目指し歩みし道や敗戦忌  07_福島  渡辺遊太
原爆忌浜に木の骨貝の骨  07_福島  渡辺遊太
救急車行きどころなき秋の暮  13_東京  櫻井滋
・なし
へうたんに酌みても尽きぬ酒やある  16_富山  酒井きよみ
鰯雲この長身を横たへん  17_石川  花井淳
落ち蝉の残る命を塵取りへ  17_石川  密田妖子
・に
そそくさと踊る阿呆になりに行く  26_京都  佐々木まき
蘆刈の姿のままに老ゆるかな  27_大阪  澤田美那子
・老いし
ゆつくりとこの世眺めむ秋簾  30_和歌山  玉置陽子

【入選】
生身魂家震はするうがい声  50_フランス  廣瀬玲子
何の服も似合はぬ合はぬ残暑かな  01_北海道  芳賀匙子
炎帝やなほ濁流の最上川  04_宮城  長谷川冬虹
古道てふ径見え隠れ萩の花  08_茨城  馬場小零
大空の座標を探す蜻蛉かな  08_茨城  馬場小零
竹伐って父母の花筒取り替へん  11_埼玉  園田靖彦
腐れ縁すぱりと断ちて新生姜  11_埼玉  園田靖彦
焦げるまで網に転がし茄子かな  11_埼玉  上田雅子
看取られぬ死者弔はん星月夜  11_埼玉  上田雅子
新涼や滴るほどに化粧水  11_埼玉  藤倉桂
仕舞湯やまだ拙くて虫の声  11_埼玉  藤倉桂
七日ずつ薬揃えて夏果つる  12_千葉  芦野アキミ
一人膳かすかに祭り囃子かな  12_千葉  芦野アキミ
大風の揺さぶる青き蜜柑山  12_千葉  若土裕子
新豆腐食の細りし母に先ず  12_千葉  若土裕子
大家族支へし母の南瓜かな  12_千葉  池田祥子
秋めくと頷き合へる鯉泥鰌  12_千葉  池田祥子
全体重押しつけて切る大南瓜  13_東京  岡田栄美
盆過ぎて富士が一気に迫りくる  13_東京  神谷宣行
十のうち九本は曲がり胡瓜かな  13_東京  長井亜紀
誘蛾灯死ぬとも知りて落ちる恋  13_東京  長井亜紀
放課後のドッジボールやうろこ雲  13_東京  楠原正光
移住せし夫婦は若し新豆腐  14_神奈川  越智淳子
手をつけぬ絣いつぴき秋きざす  14_神奈川  金澤道子
満身にひしとまつはる残暑かな  14_神奈川  三浦イシ子
水に濡れ光に濡れて新豆腐  14_神奈川  三玉一郎
羽拾ふ九月の空のいづくより  14_神奈川  松井恭子
一木を覆う葛の葉葛の蔓  14_神奈川  水篠けいこ
源流に片手を浸し夏惜しむ  14_神奈川  中丸佳音
瑠璃蜥蜴褒むれば墓の裏側へ  14_神奈川  中丸佳音
一匹となりし目高の残暑かな  14_神奈川  那珂侑子
広告のはや節料理秋暑し  14_神奈川  那珂侑子
つぶやきが飛び交つてゐる夜長かな  15_新潟  安藤文
揺れながら子蜘蛛を狙ふ子かまきり  15_新潟  高橋慧
足裏を崩るる砂も秋の海  15_新潟  高橋慧
末成りと思つてゐしが大瓢  16_富山  酒井きよみ
白山から芒づたひに下りけり  17_石川  花井淳
それぞれに笑顔を向ける木の実かな  17_石川  花井淳
目のかすむ病を得たり秋の空  20_長野  金田伸一
かすむ目にパラリンピック熱き秋  20_長野  金田伸一
蟋蟀に大地確と共鳴す  20_長野  大島一馬
秋桜は秋桜然と戦ぎおり  20_長野  大島一馬
白昼夢たれコロナも星降る白夜とか  20_長野  柚木紀子
向日葵や悪の扉を開けし者  21_岐阜  古田之子
迢空の小暗き道や仙翁花(恵那市上矢作町)  21_岐阜  三好政子
朝顔の鉢植ゑ膝に車椅子  21_岐阜  辻雅宏
三十のバケツ田並ぶ豊の秋  23_愛知  稲垣雄二
鯊釣や隣の浮きをまた引きて  23_愛知  臼杵政治
つましくも己が内なる玉祭り  23_愛知  青沼尾燈子
大丈夫といふ無責任藪からし  26_京都  吉田千恵子
藤寝椅子死にゆくときはこの上で  26_京都  佐々木まき
爽やかや草木の名札ごとに和歌  26_京都  氷室茉胡
晩年は一日長し酔芙蓉  26_京都  氷室茉胡
恐竜の孵化ゆつくりと熱帯夜  27_大阪  安藤久美
冷や奴今日で納めとお思いしが  27_大阪  高坂泰子
定年後の長きに憂ふ晩夏かな  27_大阪  内山薫
ひときはに鮭なまぐさき残暑かな  27_大阪  内山薫
猛然と食うて太りて芋虫よ  27_大阪  澤田美那子
藍浴衣母の乳房のうすきこと  27_大阪  齊藤遼風
苦瓜の憤怒の種の熟したる  28_兵庫  加藤百合子
蜩や十秒ほどのそれつきり  28_兵庫  加藤百合子
うつし世の夜を明るく盆の月  28_兵庫  加藤百合子
星月夜兄の形見のオルゴール  28_兵庫  千堂富子
日が暮れて心底嬉しき残暑かな  28_兵庫  天野ミチ
弟に少し小さく瓜の馬  28_兵庫  藤岡美惠子
この大樹ひぐらしの木と名付けたり  28_兵庫  藤岡美惠子
祇園会の生ぬるき風京の風  28_兵庫  福田光博
盆踊り妻のまぎれて帰り来ず  29_奈良  喜田りえこ
テーブルの秋の二草朝ごはん  29_奈良  田原春
新涼やワルツのやうに踏むミシン  30_和歌山  玉置陽子
密やかな寝息香るや桃の箱  30_和歌山  玉置陽子
藺座蒲団ひとつ残りて法事果つ  34_広島  下田あつ子
苗木から育て酢橘の初成りぞ  37_香川  丸亀葉七子
ワクチンを打つも抽選秋暑し  42_長崎  ももたなおよ
敗戦日かつて眩しき民主主義  42_長崎  川辺酸模
敗戦日書棚に古ぶ堕落論  42_長崎  川辺酸模
敗戦日憲法前文今一度  42_長崎  川辺酸模
混沌のわれら何処へ秋の風  44_大分  竹中南行

ネット投句(2021年8月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年9月1日 作成者: KAI2021年9月1日

・まず意味不明の句を作らないように。
・自分がわかれば人もわかるはず、というのが間違い。人はわかりません。
・わかるようにするためには「第三者の目」で読み直すこと。

【特選】
ばばさまの乗りこなしたり茄子の馬  13_東京  神谷宣行
メコン河の秋水萍の来ては去る  17_石川  花井淳
・二つの「の」不要。散文ではありません。
ひとつずつ木の実手にして別れけり  17_石川  岩本展乎
蝉声のなかひと筋の法蝉蝉  27_大阪  澤田美那子
西日照り命のかぎり女哭く  28_兵庫  魚返みりん
・大西日
敗戦日杭一本の墓標かな  29_奈良  喜田りえこ
・を墓標とす

【入選】
風鈴の音にしばらくペンを置き  01_北海道  柳一斉
打つ手なくコロナ第五波敗戦忌  04_宮城  長谷川冬虹
人去りて言葉残りぬ水中花  07_福島  渡辺遊太
箱庭や産湯の家と喪の家と  07_福島  渡辺遊太
真二つや無花果の裸身美しき  11_埼玉  上田雅子
飼育ケース並ぶや十個夏休み  11_埼玉  藤倉桂
新涼の翼を広げ浅間山  12_千葉  若土裕子
油蝉近く日ぐらし遠くから  12_千葉  谷口正人
敗戦忌母の遺品に引揚証  12_千葉  池田祥子
床下を風吹きぬけて夏の家  12_千葉  麻生十三
カナカナや独り住まひの門の内  13_東京  岡恵
秋めくや一品多し夕ごはん  13_東京  岡田栄美
道なりに花売りのロバ秋に入る  13_東京  岡田栄美
人の世の片蔭にゐて寿  13_東京  神谷宣行
秋刀魚食ふ母の必死やまだ生きる  13_東京  神谷宣行
レナウンのワンサカ娘秋が来た  13_東京  長井信彦
初蝉を聞くやたちまち蝉しぐれ  13_東京  杜野廉司
手花火や遊びし日々の友の顔  13_東京  楠原正光
三度巣に育つ子燕駅舎の壁  13_東京  畠山奈於
大くさめは隣家の主人今朝の秋  13_東京  堀越としの
月光に冷たく光る五つの輪  13_東京  櫻井滋
神様の退屈凌ぎ野分かな  13_東京  齊藤拓
降りつづく闇夜の底に鉦叩き  14_神奈川  伊藤靖子
夏休み熱いトマトにかぶりつき  14_神奈川  遠藤初惠
八月の道に小石の照り返し  14_神奈川  遠藤初惠
父の忌を修し風鈴外しけり  14_神奈川  金澤道子
静寂の記憶八月十五日  14_神奈川  三玉一郎
爆弾抱へ死ぬる訓練父の夏  14_神奈川  松井恭子
読みさしの本めくる風秋に入る  14_神奈川  松井恭子
閉幕のアンツーカーに秋の雨  14_神奈川  水篠けいこ
炎天や落し物して齢増ゆ  14_神奈川  中丸佳音
遠雷をうきうきと待つ心あり  14_神奈川  中丸佳音
飢えに飢えフスマを食くす敗戦忌  14_神奈川  土屋春樹
テレビ観戦終りて我の夏終る  14_神奈川  那珂侑子
荒れ川の簗に追ひ込む藻屑蟹  14_神奈川  片山ひろし
夕立にさつと濡れゆくランナーよ  15_新潟  安藤文
今年また一家揃はぬお盆かな  15_新潟  安藤文
深閑と泉の底に深き空  15_新潟  高橋慧
冷まじや障碍者てふ言葉あり  15_新潟  高橋慧
ひと雨の来て秋草となりにけり  17_石川  岩本展乎
ややありて音も終ひの遠花火  17_石川  松川まさみ
蜩の輪唱の波森は海  17_石川  密田妖子
西瓜食ふ昼は測らぬ血糖値  20_長野  金田伸一
どこをどう来るや枕辺の飛蝗  20_長野  金田伸一
終戦日音くぐもれる真空管  20_長野  大島一馬
蜻蛉のすいと行き来す今昔  20_長野  大島一馬
己すませば天高く不可思議  20_長野  柚木紀子
草原の香の香水をまとひ寝ん  21_岐阜  夏井通江
雨の輪や鯉の緋色の揺れてをり  21_岐阜  古田之子
点さねば父母まよふ門火かな  21_岐阜  梅田恵美子
お大師が背にへばりつく夏遍路  23_愛知  稲垣雄二
水撒けば小さな虹や原爆忌  23_愛知  稲垣雄二
路面電車の細きホーム炎天  26_京都  吉田千恵子
墓洗ふお山の水で何杯も  26_京都  佐々木まき
代筆とある友の文秋の声  26_京都  氷室茉胡
大文字の今宵の空のひろびろと  27_大阪  安藤久美
八月や木叢草叢疲れそむ  27_大阪  高坂泰子
賑やかに帰りくるらん魂迎  27_大阪  澤田美那子
大阪に飽きて京都や鱧の皮  27_大阪  齊藤遼風
夕べより嫉みの雨よ恋の星  28_兵庫  加藤百合子
初めての火傷に泣けり庭花火  28_兵庫  藤岡美惠子
砂浜に見ゆる人影良夜かな  28_兵庫  高見正樹
迎え火や軍靴の父の蚤しらみ  29_奈良  喜田りえこ
好物の芋と南瓜を菰筵  29_奈良  喜田りえこ
秋高しまだ純白のユニフォーム  33_岡山  齋藤嘉子
かじられて脛も細りぬあつぱつぱ  37_香川  丸亀葉七子
空蝉や隣りはすでに墓じまひ  42_長崎  ももたなおよ
義兄死すしばし泣かせよ秋の風  42_長崎  川辺酸模
今もなほいくさは止まづ敗戦日  44_大分  山本桃潤
俎の音に八月六日明く  44_大分  竹中南行
瓜の馬役目を終へて門の陰  46_鹿児島  大西朝子
夕凪の坂は蘭盆勝会かな  50_フランス  廣瀬玲子

ネット投句(2021年7月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年8月9日 作成者: KAI2021年8月9日

・どこかで見たような句(既視感のある句)は誰でも作る句です。詠む必要はまったくありません。
・日本語まだできない人も見受けられます。

【特選】
革靴は歩く焼きごて炎天下  13_東京  岡田定
無意識の森へ降りゆく熱帯夜  13_東京  西川遊歩
山百合のどさりと届き花開く  14_神奈川  伊藤靖子
香水を一滴覚悟決まりけり  27_大阪  木下洋子
藍浴衣藍の力を借りて逢ふ  28_兵庫  加藤百合子
炎帝や五輪の上にのしかかる  28_兵庫  天野ミチ
打ち水のおこぼれに咲く草の花  28_兵庫  藤岡美惠子
楸邨の夕焼けまでの大昼寝  29_奈良  喜田りえこ
青梧桐の蔭はみ出して三尺寝  37_香川  曽根崇
いさかひし昔恥づかし墓洗ふ  42_長崎  川辺酸模

【入選】
言い止しの言葉失う蛍かな  01_北海道  村田鈴音
蚊帳吊りて遊牧の民の記憶に  01_北海道  芳賀匙子
空以外何も無くなるゆだちかな  01_北海道  芳賀匙子
虹生れこの世の我を忘れをり  01_北海道  柳一斉
コロナ禍に君に届けし大鰻  04_宮城  長谷川冬虹
山中に日輪降りし睡蓮花  04_宮城  長谷川冬虹
がさつなる性は永劫羽抜鳥  07_福島  渡辺遊太
ナイフ研ぐ夏至の光の水注ぎ  07_福島  渡辺遊太
やゝ高きヒールを選りぬ今朝の秋  08_茨城  馬場小零
大花火佐渡で揚ぐれば弥彦でも  11_埼玉  園田靖彦
寅さんはトランクひとつ夜の秋  11_埼玉  園田靖彦
はるかより馬車駆る音や夏深く  11_埼玉  松本邦吉
軽トラに九段重ねし早苗床  12_千葉  芦野アキミ
垣根越青林檎のせ回覧板  12_千葉  菊地原弘美
ひと塩のきびなご旨き土用かな  12_千葉  池田祥子
玉虫の落ちて家居の夏終る  12_千葉  池田祥子
百歳の寝釈迦のごとき昼寝かな  12_千葉  麻生十三
古パナマ被れば父の顔となり  12_千葉  麻生十三
白南風やひやり重たき黄八丈  13_東京  岡恵
オリンピックテレビの前の爺昼寝  13_東京  森徳典
日の本に風の名二千矢車草   13_東京  西川遊歩
八月の巨きな背中に乗りゆかん  13_東京  長井亜紀
からつぽの腹からつぽの冷蔵庫  13_東京  長井亜紀
花に射す日の色移る晩夏かな  13_東京  長尾貴代
涼風や一人寝のとき本を読む  13_東京  長尾貴代
洋上の船から望む遠花火  13_東京  楠原正光
根には根の争ひ見ゆる草むしり  13_東京  畠山奈於
かんなくず咥へて鵯の営巣す  13_東京  堀越としの
摘みたての茗荷の香る今朝の汁  14_神奈川  伊藤靖子
白頭のほかは赤銅夏の海人  14_神奈川  越智淳子
老いいよよ残りわずかや香水も  14_神奈川  遠藤初惠
土用波大技の板ひるがへり  14_神奈川  松井恭子
雹降って野球の子らを散らしけり  14_神奈川  水篠けいこ
広げたる両手に余る夏の海  14_神奈川  水篠けいこ
ふつふつと胸にも泉湧くところ  14_神奈川  中丸佳音
梅干しや見ても聞いても身震いす  14_神奈川  土屋春樹
イタリヤの国旗の色に夏料理  14_神奈川  那珂侑子
我が家の縮図の如し冷蔵庫  14_神奈川  片山ひろし
宰相の言葉届かず秋の風  15_新潟  安藤文
混沌たるこの世の底より虹立てり  15_新潟  高橋慧
雲水に道果てしなし雲の峰  16_富山  酒井きよみ
蛤の砂抜かれゐる夕凉し  17_石川  岩本展乎
夕焼けや口笛の人後ろから  17_石川  密田妖子
一人分胡瓜を揉みて胡瓜食む  17_石川  密田妖子
すさまじきナラ枯れの山夏座敷  19_山梨  小泉雅恵
散策は明日もこの道稲の花  20_長野  金田伸一
宙つつまむ宙につつまれむ水芭蕉  20_長野  柚木紀子
アイスティー庭のミントを摘んできて  21_岐阜  夏井通江
夜に干す白衣と下着夏遍路  23_愛知  稲垣雄二
また一人仮面を外す木下闇  23_愛知  稲垣雄二
背泳ぎやだんだん空が近くなる  26_京都  氷室茉胡
今はもう誰も咎めぬ昼寝かな  26_京都  氷室茉胡
百年に一度の暑さ荒神輿  27_大阪  安藤久美
呆然と人も大樹も夕立かな  27_大阪  高角みつこ
差し出せば子は泣き出せり蝉の殻  27_大阪  内山薫
競技場蝉が囃してゐるばかり  27_大阪  木下洋子
ワクチンを打つて涼しき夕べかな  27_大阪  木下洋子
朝食の窓朝顔の裏ばかり  27_大阪  澤田美那子
ハンドルに長き足乗せ三尺寝  27_大阪  齊藤遼風
蛞蝓の遠き歩みを楽しめり  27_大阪  齊藤遼風
街白夜ああ月がない星がない  28_兵庫  魚返みりん
街を行くわが影もなき暑さかな  28_兵庫  千堂富子
おまじない覚えたてなる茅の輪かな  28_兵庫  藤岡美惠子
山の寺闇に下がりし瓢かな  28_兵庫  福田光博
初秋や展示の変わる美術館  28_兵庫  髙見正樹
選びたる魚目百句の涼しさよ  29_奈良  喜田りえこ
半世紀前は新妻レース編む  30_和歌山  玉置陽子
とぐろ巻く蝮もをるぞ蛍狩  33_岡山  齋藤嘉子
銀漢や二峰崩れし五剣山  37_香川  曽根崇
奥祖谷の炭焼きし跡青胡桃  37_香川  曽根崇
夏の月波に曳かるる砂の音  44_大分  竹中南行
仏壇は熟るるバナナの香に満ちて  46_鹿児島  大西朝子
毛虫焼くステロイド剤光る腕  50_フランス  廣瀬玲子

ネット投句(2021年7月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年7月30日 作成者: KAI2021年7月31日

・わかるように作ってください。そのためには必ず読み返すこと。
・説明にならないように。
・どこかで見たような句は作る必要がありません。この点、自分に厳しく。

【特選】
夜風鈴托鉢僧の居る如し  13_東京  杜野廉司
新涼やスカイツリーが屋根の上  13_東京  楠原正光
大昼寝この世の声が聞こえけり  14_神奈川  三玉一郎
引力のここに集まる大瀑布  17_石川  花井淳
初蝉を聞く産声を聞くごとく  17_石川  岩本展乎
夏の月石まだぬくくうづくまる  21_岐阜  夏井通江
羽抜鶏未来を見つめてゐるところ  21_岐阜  夏井通江
涼しさや無より現はれ石の庭  27_大阪  安藤久美
袋掛桃のうたたね始まりぬ  30_和歌山  玉置陽子
珊瑚礁映して眠るサングラス  42_長崎  川辺酸模
草を取るこんな時間を待つていた  44_大分  山本桃潤
土用鰻俳句作るも力技  44_大分  山本桃潤

【入選】
一人来てまた二人来て夜焚釣  01_北海道  高橋真樹子
切り詰めし夏の暮らしや花手水  01_北海道  芳賀匙子
郭公や牧場は未だ目覚めざり  01_北海道  柳一斉
あらまほし冷奴のごといさぎよく  04_宮城  長谷川冬虹
冷奴百珍あれど極まれり  04_宮城  長谷川冬虹
産土の素肌にほやか青田風  07_福島  渡辺遊太
捩花や誰かが捨てし夢の跡  08_茨城  馬場小零
新婚の新居に早もあぶら虫  11_埼玉  園田靖彦
産土のあの日にもどらん籠枕  11_埼玉  園田靖彦
主ゐるごとく蔵書や黴匂ふ  11_埼玉  上田雅子
遠く来て哀れ百円バナナかな  11_埼玉  上田雅子
グロリオーサ競いて咲きぬ梅雨の庭  11_埼玉  上田雅子
セロハンの翅震はせて兜虫  11_埼玉  藤倉桂
誰もゐぬ誰も来ぬ午後百日紅  11_埼玉  藤倉桂
雪解けてアカチンの膝小僧たち  12_千葉  芦野アキミ
懐かしきもの悉く黴の華  12_千葉  若土裕子
初恋やふはふは積もるかき氷  12_千葉  若土裕子
銀漢や夫の残せし旅かばん  12_千葉  若土裕子
青春や図書室の窓夏木立  12_千葉  谷口正人
大谷が投げ打ち笑ふ梅雨あがる  12_千葉  谷口正人
島の子の岩飛ぶ遊び土用波  12_千葉  池田祥子
故郷の黒酢の届く土用かな  12_千葉  池田祥子
籐椅子にゐて再会の旅の夢  12_千葉  池田祥子
トマト胡瓜さくらんぼ茅の輪潜りけり  13_東京  岡恵
釣忍揺らして時を戻しけり  13_東京  岡恵
戦争のなくて人死ぬ大暑かな  13_東京  神谷宣行
翡翠やコバルトブルーの炎立つ  13_東京  西川遊歩
今年こそ銀座へ行こう薄衣  13_東京  長尾貴代
冷そうめん父とふたりの不登校  13_東京  長尾貴代
泰山木の花のやうなる人娶る  13_東京  畠山奈於
農協のキャベツ抱きてよろめきぬ  13_東京  堀越としの
子ら声を潜めよ合歓の花の下  14_神奈川  越智淳子
ハイビスカス蕾あまたの鉢買はん  14_神奈川  越智淳子
咲きさうな莟がひとつ水中花  14_神奈川  金澤道子
鈍行や時間だけある夏休  14_神奈川  三玉一郎
きみはまだきみを知らない藍浴衣  14_神奈川  三玉一郎
規格外胡瓜一笊二百円  14_神奈川  水篠けいこ
田水沸きどぜうざにがに逃げ隠れ  14_神奈川  土屋春樹
大菩薩尾根noを越えれば雲の峰  14_神奈川  土屋春樹
兄弟の留守番の午後心太  14_神奈川  湯浅菊子
夫すこし若く見えたり半ズボン  14_神奈川  那珂侑子
白玉やさらりと嘘をつくをんな  14_神奈川  片山ひろし
大喧嘩のあとの静けさソーダ水  15_新潟  安藤文
おそるおそる茅の輪をくぐる吾が子かな  15_新潟  安藤文
水はじき茄子は仔犬の声あぐる  17_石川  松川まさみ
青田風穂高の水の絶ゆるなき  20_長野  金田伸一
寂けさや聞こゆるこゑは新樹光  20_長野  柚木紀子
紅花のれんこん拡声器で正午を  20_長野  柚木紀子
黒揚羽雨のあいまをぬふて来し  21_岐阜  古田之子
梅雨激し人為の果ての土石流  21_岐阜  三好政子
水割りの氷涼しき江戸切子  21_岐阜  辻雅宏
廃線のレールそのまま草いきれ  21_岐阜  辻雅宏
よく生きて滲み・傷・破れ古団扇  23_愛知  稲垣雄二
一丁を二人で分けて冷奴  23_愛知  臼杵政治
旅客機の斯くも行き交ひ梅雨明くる  23_愛知  宗石みずえ
空蝉や眠れ大樹に抱かれて  23_愛知  野口優子
棒読みの街頭演説炎天  26_京都  吉田千恵子
浴衣着て物憂きものに乳押さへ  26_京都  佐々木まき
虫干や母の恋の句見つけたる  26_京都  氷室茉胡
呼鈴を掴んでゐたる蝉の殻  26_京都  氷室茉胡
百歳で一人暮らしや雲の峰  27_大阪  内山薫
この年の祇園囃子を聞きに行く  27_大阪  木下洋子
ぎんどろの押し葉涼しき風を呼ぶ  27_大阪  木下洋子
蓴菜といふ味なくて旨きもの  27_大阪  澤田美那子
京の人動かぬ鉾を見て帰る  27_大阪  澤田美那子
とにかくに今日まで生きて心太  27_大阪  齊藤遼風
絵唐津の露の音聞くマスクかな  27_大阪  齊藤遼風
氏神や名越の祓入念に  28_兵庫  加藤百合子
噴水やみづさかさまに乱反射  28_兵庫  魚返みりん
梅雨出水地球も荒れて傷だらけ  28_兵庫  天野ミチ
手に並べ小石の如き雹見せる  28_兵庫  天野ミチ
トラノオや蝶訪ふたびに尾を振れり  28_兵庫  藤岡美惠子
夾竹桃花の向こうに溶鉱炉  28_兵庫  髙見正樹
葉の陰にでんと重たき胡瓜かな  29_奈良  田原春
蝸牛梢の先の空を見に  30_和歌山  玉置陽子
無防衛な悪女の昼寝姿かな  37_香川  丸亀葉七子
熱帯夜パソコン青く発光す  37_香川  丸亀葉七子
抗ひつつ蛾のひかれゆく蟻の列  37_香川  曽根崇
夏帽も我もくたびれをりにけり  37_香川  曽根崇
花南瓜雌花雄花に囲まるる  42_長崎  ももたなおよ
トンネルの先は黒潮雲の峰  42_長崎  川辺酸模
アメリカを真似続けてや冷奴  44_大分  竹中南行
風死せり京にどでんと東山  50_外国  廣瀬玲子

ネット投句(2021年6月30日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年7月10日 作成者: KAI2021年7月10日

・①意味不明の句②ただごと③既視感のある句は作る必要がありません。
・全体として(特選含め)詩乏しい。

【特選】
飛ぶよりも歩くのが好き天道虫  21_岐阜  古田之子
一生はさよならばかり傘雨の忌  27_大阪  齊藤遼風
ひと粒の青山椒の忿怒かな  30_和歌山  玉置陽子
・かな、を使う場面ではない。
声がまづ若返りたり更衣  37_香川  曽根崇

【入選】
紫陽花の蒼を深めて昨夜の雨  01_北海道  村田鈴音
ばらけ飛ぶ烏追ふ烏梅雨夕焼  01_北海道  芳賀匙子
郭公や牧場の朝の静けさに  01_北海道  柳一斉
枇杷熟るる福なほ遠き福島よ  04_宮城  長谷川冬虹
妻の留守七難七福冷し酒  04_宮城  長谷川冬虹
火蛾二匹音なく羽根を打ちあへる  07_福島  渡辺遊太
鰐口振つて詩の神呼ばふ若葉かな  07_福島  渡辺遊太
よりそへばこころひらきぬ月見草  11_埼玉  園田靖彦
ワクチンの列ながながと梅雨入かな  11_埼玉  上田雅子
紫陽花の色のブラウス退院す  12_千葉  芦野アキミ
金魚鉢ぬうつと覗く目が二つ  12_千葉  菊地原弘美
老鶯の林をぬけて退院す  12_千葉  若土裕子
石垣のここに今年も蛇の衣  12_千葉  若土裕子
紫陽花の盛り過ぎれば無残なり  12_千葉  池田祥子
落ち落ちて今日を急ぐや凌霄花  12_千葉  池田祥子
かつて島マンモス歩く雲の峰  12_千葉  池田祥子
子雀や日暮れてここは丸の内  13_東京  岡恵
父の忌や父の香りの古扇  13_東京  岡田栄美
炎天やペンキ剥がれし勝鬨橋  13_東京  岡田定
母の琴母校へ寄贈鉄線花  13_東京  西川遊歩
骨に皮へばりつきたる涼しさよ  13_東京  長井亜紀
魂が透けて涼しきレントゲン  13_東京  長井亜紀
泳ぎきて砂浜遠くただよえり  13_東京  楠原正光
時鳥いつしか多摩に五十年  13_東京  畠山奈於
百日紅ますます奔放碧天に  13_東京  堀越としの
近づけば寄りくる金魚夜明け前  14_神奈川  伊藤靖子
波去りて跡なき浜を行く素足  14_神奈川  伊藤靖子
青梅の落ちたばかりのきれいさよ  14_神奈川  越智淳子
父と子と同じ格好の昼寝かな  14_神奈川  遠藤初恵
麦茶湧く昭和96年の朝  14_神奈川  遠藤初恵
七月や紅茶に浮かべミントの葉  14_神奈川  金澤道子
梅雨の蝶なんぢやもんぢやは大きな木  14_神奈川  金澤道子
饅頭を供へられたり大昼寝  14_神奈川  三玉一郎
島ひとつ崇めて大き茅の輪かな  14_神奈川  松井恭子
浅草に蜜豆を食べ別れしが  14_神奈川  中丸佳音
兄の余命幾ばくもなし雲の峰  14_神奈川  土屋春樹
家売つて家財整理しあら涼し  14_神奈川  湯浅菊子
ひとり居や大きな家の枇杷熟るる  14_神奈川  那珂侑子
よくはねるものから選りて囮鮎  14_神奈川  片山ひろし
挽きたてのコーヒーの香や青あらし  15_新潟  安藤文
しめやかにピアノ弾く母朔太郎忌  15_新潟  安藤文
姉の雪山妹の夏山かき氷  16_富山  酒井きよみ
かき氷さいしょの匙の入れどころ  16_富山  酒井きよみ
こぼれたる新茶擦り込む手の甲に  17_石川  岩本展乎
こともなく針穴に糸涼しき目  17_石川  岩本展乎
夜濯やしばらく水を手にうけて  17_石川  松川まさみ
憎らしき銭苔の花今盛り  17_石川  密田妖子
夏至の日や地球正しく宙にあり  20_長野  大島一馬
上顎にはカマンベールチーズ病棟ははる嵐  20_長野  柚木紀子
夏の雷人清めをり楸邨忌  21_岐阜  夏井通江
田を植ゑて緑の世界に立ちつくす  21_岐阜  夏井通江
紫蘇揉みし手いつまでも塩の味  21_岐阜  古田之子
滝裏へ飛び込んでいくい岩燕  21_岐阜  古田之子
枇杷食めば種からからと転がりぬ  21_岐阜  梅田恵美子
二回目の接種終わりぬソーダ水  21_岐阜  梅田恵美子
婿となる身丈確かむ白絣  23_愛知  宗石みずえ
風運ぶ遠き氷河の溶ける音  23_愛知  服部紀子
梅雨晴や山を眺めてふとん干し  24_三重  乾薫
早起きを言い訳にして昼寝かな  24_三重  乾薫
噴水の天辺水の遊びをり  26_京都  氷室茉胡
冷酒や旅の終はりのだだちや豆  27_大阪  高角みつこ
真っ黒を笑はれてゐるバナナかな  27_大阪  内山薫
風鈴や好きな一句を吊り下げん  27_大阪  澤田美那子
滴りの涸れんとするを一雫  28_兵庫  加藤百合子
黒蛇は哀し神之使者ならず  28_兵庫  福田光博
海原へ落とすバナナの皮と恋  30_和歌山  玉置陽子
しやんとさす夏痩の身や水飲んで  33_岡山  齋藤嘉子
二番草取りをへし朝出征す  33_岡山  齋藤嘉子
恋の文ほたるぶくろに仕舞ひけり  37_香川  丸亀葉七子
蠅虎に猫あそばれてをりにけり  37_香川  丸亀葉七子
ハンカチに埋もれてアベノマスクかな  42_長崎  ももたなおよ
海ぶだう含めば苦し慰霊の日  42_長崎  川辺酸模
網干して眠る一村慰霊の日  42_長崎  川辺酸模
昼は畑夕は港に鰺を釣る  44_大分  竹中南行

ネット投句(2021年6月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年7月7日 作成者: KAI2021年7月7日

・必ず他人の目で自分の句を見直してください。

【特選】
たまさかや地球に降りて草むしり  01_北海道  芳賀匙子
炎ゆる砂一粒としてわれのあり  07_福島  渡辺遊太
梅雨入りや視線の外の注射針  14_神奈川  松井恭子
今去りし人をこころに夕端居  17_石川  松川まさみ
夏霧はしづかな巨人村に入る  21_岐阜  夏井通江
われらまたかの学舎に端居せん  26_京都  佐々木まき
草引くや草の生命を羨みつ  30_和歌山  玉置陽子
水路ならぬ水路分け入り蓮見舟  37_香川  曽根崇
木漏れ日にくすぐられては実梅落つ  42_長崎  ももたなおよ

【入選】
死よりなほ秘やかにあり蟻地獄  07_福島  渡辺遊太
昼寝覚めいつもの部屋に戻りけり  11_埼玉  上田雅子
眉鼻胸孫の背丈や風薫る  12_千葉  芦野アキミ
交わりの声の涼しき句会かな  12_千葉  池田祥子
楊梅は雌雄がありて恙なし  12_千葉  麻生十三
夕立に濡れて別れるみぎひだり  12_千葉  麻生十三
山椒煮る清酒ぐらつと煮立たせて  13_東京  岡恵
夏インドカナリヤ集まる宿の庭  13_東京  長尾貴代
友達と一日遊びし夏の川  13_東京  楠原正光
防波堤影一つ無き暑さかな  13_東京  楠原正光
もぢずり草一本嬉し散歩道  13_東京  畠山奈於
読みかけのファッション雑誌みたいに蛾  13_東京  齊藤拓
紅みどり黄いろそれぞれ酸きすもも  14_神奈川  伊藤靖子
一滴を待つ間豊かや新茶汲む  14_神奈川  遠藤初惠
反抗期しづかに泳ぎゐたりけり  14_神奈川  三玉一郎
もう休んでと四百歳の実梅もぐ  14_神奈川  松井恭子
内緒話蛍袋に入れておく  14_神奈川  中丸佳音
われ病みてゐる間に燕巣立ちけり  14_神奈川  那珂侑子
短夜の闇を揺らして救急車  14_神奈川  片山ひろし
火口湖に鳥居のありて明易し  14_神奈川  片山ひろし
ひと夏の恋となりけり麦酒飲む  15_新潟  安藤文
新聞に吾が句を探す玉の汗  15_新潟  安藤文
指の間をすり抜けて行く植田風  17_石川  花井淳
自転車で飛び込みし川蛍来よ  17_石川  花井淳
立葵生家の土間のこの匂ひ  17_石川  密田妖子
婿となるお人筍掘ってくださり  20_長野  柚木紀子
清らかな夏の田続く車窓かな  21_岐阜  夏井通江
麦藁で初めて飲みしコーラかな  21_岐阜  三好政子
振分けの玉葱の束軒占めて  21_岐阜  三好政子
風抜けて行く麻編みの夏帽子  21_岐阜  三好政子
皮むけばさらにびわ色枇杷を食ふ  23_愛知  稲垣雄二
コンビニの裏手の川も蛍狩  23_愛知  宗石みずえ
慎ましき庭に咲きたる夏あざみ  23_愛知  野口優子
空白なき次男の予定青嵐  26_京都  吉田千恵子
平面図に伐採の印夏の庭  26_京都  吉田千恵子
無理に弾ます父との会話夜釣  26_京都  吉田千恵子
ほがらかに神もまじりて茅の輪結ふ  27_大阪  安藤久美
今年こそ新茶のうちに頂かむ  27_大阪  内山薫
ワクチンのニュース続くや豆の飯  27_大阪  木下洋子
生ごみを埋めしあたり花南瓜  27_大阪  澤田美那子
さはあれど無口がよろし竹婦人  27_大阪  澤田美那子
「お互いにお一人様ね」パイナップル  28_兵庫  魚返みりん
黒南風やワクチン接種の長き列  28_兵庫  千堂富子
隣とは少し間を置く額の花  28_兵庫  千堂富子
自由にして孤独愛せり蟇  33_岡山  齋藤嘉子
やまももは故郷の八幡さまの味  37_香川  丸亀葉七子
田舎家のあの涼しさの懐かしき  37_香川  曽根崇
青梅を貰ひ楽しむ梅仕事  42_長崎  ももたなおよ
コロナ禍や蛞蝓に塩てんこ盛り  46_鹿児島  大西朝子

ネット投句(2021年5月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年6月15日 作成者: KAI2021年6月16日

・意味不明の句多し。いったん作ったら、必ず他人の目でご確認ください。
・逆に説明だらけの句多し。説明すればいいと思っているのなら、考え方を改める必要あり。
・てにをは、自分でお考えください。

【特選】
蛾の歩く音とどろけり夜の障子  07_福島  渡辺遊太
覚えある香りをひらく扇かな  14_神奈川  金澤道子
老いらくの凡そ見ゆる冷奴  14_神奈川  三浦イシ子
万緑やショパンのワルツ高らかに  15_新潟  安藤文
畝立てて五月の土を香らする  20_長野  金田伸一
この星を一廻りして昼寝覚  23_愛知  稲垣雄二
蚊帳吊つて母の記憶の底に寝る  23_愛知  稲垣雄二
梅雨入りに従ふほかはなけれども  27_大阪  高角みつこ
ビー玉の割れてゐて夏まひる  28_兵庫  魚返みりん

【入選】
リラ冷えやジャズを聴きたる店も消ゆ  01_北海道  柳一斉
石楠花や雨の峠を明るうす  01_北海道  柳一斉
リモートの句会活況行々子  03_岩手  川村杳平
掌のウイスキーボンボン夏来る  04_宮城  長谷川冬虹
みちのくの闇の深さよ牛蛙  11_埼玉  園田靖彦
新玉ねぎ光ひとつを包丁す  11_埼玉  上田雅子
病む夫に歩み合わせて茅の輪かな  11_埼玉  藤倉桂
鴉三羽組んず解れつ梅雨に入る  11_埼玉  藤倉桂
閉店の知らせ貼り付け梅雨に入る  12_千葉  芦野アキミ
白山の遥かに白し衣更  12_千葉  若土裕子
夏季五輪やるややらぬや梅雨に入る  12_千葉  谷口正人
認知症母のレシピの夏サラダ  12_千葉  麻生十三
アスパラガスを立たせておきぬ青嵐  13_東京  岡恵
文庫本指を栞に昼寝かな  13_東京  神谷宣行
音の出て破顔草笛練習生   13_東京  西川遊歩
吾妻は猫かも知れぬ昼寝覚め  13_東京  西川遊歩
私から始まる世界天瓜粉  13_東京  西川遊歩
川釣りに自慢の蚯蚓持ち寄りて  13_東京  楠原正光
親鳥の出ては入りては嘴に虫  13_東京  畠山奈於
歩を止めて山の音聴く雲の峰  13_東京  堀越としの
雨にまだ濡れてをらぬか雨蛙  14_神奈川  越智淳子
家籠り長きに届く新茶かな  14_神奈川  遠藤初惠
今ならばまだ引き返せると柚子の花  14_神奈川  遠藤初惠
羅や強情つ張りは昔から  14_神奈川  金澤道子
二時間のランチクルーズ藍浴衣  14_神奈川  金澤道子
梅雨めくや大あくびして旅かばん  14_神奈川  三浦イシ子
ワクチンの予約漸く菖蒲の湯  14_神奈川  水篠けいこ
梅雨寒や一枚五円レジ袋  14_神奈川  水篠けいこ
煮返して伽羅蕗母の味となり  14_神奈川  水篠けいこ
みどり射すマスクの下の汝が微笑  14_神奈川  中丸佳音
一からまた数へ直すや目高の子  14_神奈川  那珂侑子
取り出せば苺の色の箱に残る  14_神奈川  片山ひろし
渋滞の列を横切る夏の蝶  15_新潟  安藤文
コロナ禍にしみじみと酌む梅酒かな  15_新潟  安藤文
初蝶や さつと水吸ひ すつと消ゆ  15_新潟  山田新一
新緑に身の染まりゆく朝の道  17_石川  岩本展乎
父遠し五十回忌の新茶汲む  17_石川  岩本展乎
気のつけば老後を生きて冷奴  17_石川  松川まさみ
梅雨茸やまた海汚す謀りごと  17_石川  松川まさみ
春蝉や深山いよいよ沈黙す  20_長野  大島一馬
赤き月ついそこにあり夏野かな  20_長野  大島一馬
パイプオルガン汗ミサ荘厳に  20_長野  柚木紀子
梅雨の空国衰へて民噤む  21_岐阜  三好政子
瑠璃とかげ振り返りつつ走りゆく  21_岐阜  梅田恵美子
飛ぶ気など毫ほどもなし残り鴨  23_愛知  臼杵政治
腹に風邪に現の証拠や祖母おはす  23_愛知  宗石みずえ
四十雀今朝は一羽で庭におり  24_三重  乾薫
嘘まじりの作文褒められ捩花  26_京都  吉田千恵子
紅薔薇の紅の日疲れ風疲れ  26_京都  佐々木まき
薔薇大輪城のくずるるごとく散る  26_京都  佐々木まき
軸探す蔵に見つけし梅酒かな  26_京都  氷室茉胡
少年のつむじ渦巻く大昼寝  27_大阪  高角みつこ
ワクチンの予約は取れず夏来たる  27_大阪  内山薫
冷奴自由と孤独愛すかな  27_大阪  木下洋子
緑の実残し花柚ははらと散る  27_大阪  澤田美那子
鰭たててからりと揚がる鬼虎魚  28_兵庫  加藤百合子
星砂の小瓶に透ける夏日かな  28_兵庫  魚返みりん
風薫るいづこの窓も干し布団  28_兵庫  天野ミチ
マーガレット今日はとことん遊ぶ日に  28_兵庫  藤岡美惠子
月山の水を讃へよ青田風  29_奈良  喜田りえこ
佃煮の醤油の匂ひ梅雨夕焼  29_奈良  田原春
芳しき泥滔々と代田かな  30_和歌山  玉置陽子
口ぐせは貧乏暇なしをけら焚く  37_香川  丸亀葉七子
生きすぎと思ふ倖せ更衣  37_香川  曽根崇
傷痕につい手の伸びる走り梅雨  37_香川  曽根崇
祖母の衣母の衣接ぎ盆の衣  42_長崎  ももたなおよ
畳紙に羅のなき如くあり  42_長崎  ももたなおよ
抽斗の着物気楽に着て薄暑  42_長崎  ももたなおよ
がぼりがぼり不満あるらし泉かな  44_大分  山本桃潤
生姜と葱のせて高々冷奴  44_大分  山本桃潤
誹謗去れ批評は来れ紅薔薇  44_大分  竹中南行
離縁して朝寝朝風呂五月富士  46_鹿児島  大西朝子
退職の友より届く新茶かな  50_外国  廣瀬玲子

ネット投句(2021年5月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年5月17日 作成者: KAI2021年5月18日

・大渦の底見せて欲し観潮船(曽根崇)、特選のこの句の中七は「見せて欲し」ではなく「見えたり」としたほうがいい。
・ただ私が直すと、作者を縛るので、ご自分で句を見て、ここをこうすればいいと気づいてください。
・それを推敲といいます。
・選外を含め、ほかの句も同じです。

【特選】
山瀬来る抗う風車一基あり  01_北海道  村田鈴音
この初夏の素晴らしき日に何もせず  13_東京  森徳典
ひなげしやしばし留めん車椅子  13_東京  櫻井滋
蟻地獄しづかに数を増やしけり  14_神奈川  三玉一郎
今年まだ箱を出てこぬ夏帽子  14_神奈川  三玉一郎
夜を鳴く時鳥明日吾は歩けるか  20_長野  柚木紀子
妖精に会へずに老いし薔薇の花  21_岐阜  夏井通江
碧玉をもてあそぶ如新茶汲む  27_大阪  澤田美那子
フクシマの声なき声や五月闇  28_兵庫  千堂富子
泳ぎ疲れは父親ならん鯉のぼり  28_兵庫  藤岡美惠子
噴水を揺さぶる風や飛沫降る  28_兵庫  髙見正樹
水楢の水が誘ふや更衣  29_奈良  喜田りえこ
更衣青空近くなりしかな  33_岡山  齋藤嘉子
大渦の底見せて欲し観潮船  37_香川  曽根崇
すかんぽやみんな貧しき日の記憶  37_香川  曽根崇
散りてなほ唐紅の牡丹かな  42_長崎  川辺酸模
泰山木唐変木も花開く  44_大分  山本桃潤

【入選】
筋肉痛すこし和らぐ花水木  03_岩手  川村杳平
コロナ禍の夜逃げの店や春の暮  03_岩手  川村杳平
春キャベツ茹であがりたる朝ごはん  04_宮城  長谷川冬虹
カーネーション貧しき家に生まれけり  05_秋田  佐藤一郎
避難地は茅花流しの波の果て  07_福島  渡辺遊太
千本の薔薇を砦に籠もりをり  07_福島  渡辺遊太
手紙書くひとりつきりの緑の夜  11_埼玉  藤倉桂
産土に残る大木桐の花  12_千葉  若土裕子
憂き日々をしばし忘れん藤の花  12_千葉  谷口正人
鹿の子の眼行き交ふマスク映しけり  12_千葉  谷口正人
どたばたのコロナ対策明け急ぐ  12_千葉  池田祥子
百年の太き根のはる牡丹かな  12_千葉  麻生十三
髪洗ふ釣舟草を揺らしつつ  13_東京  岡恵
茅花まだ薄紅色や風の中  13_東京  岡恵
拳骨は父豆飯は母の味  13_東京  神谷宣行
青葉木菟日々人間を探求す  13_東京  神谷宣行
大鍋に蛸はなやかに茹で上がり   13_東京  西川遊歩
人類の流れるプール昭和の日  13_東京  西川遊歩
七階の点滴に来よ夏の蝶  13_東京  長井亜紀
濃き淡き山の闇夜が縮布に  13_東京  長井亜紀
するすると冷汁三杯胃袋に  13_東京  長井亜紀
衣更え袖も通さぬ服あまた  13_東京  長尾貴代
紫陽花やころがり走るマルチーズ  13_東京  楠原正光
石楠花はたそがれどきがよく似合ふ  13_東京  楠原正光
木苺を摘んで帰りしこの道を  13_東京  楠原正光
ベビーカー添ひつ離れつ夏の蝶  13_東京  堀越としの
ひなげしや峯なほ白き八ヶ岳  13_東京  櫻井滋
三千歩めやすは土手の花茨  14_神奈川  遠藤初惠
江ノ島の裏は荒磯箱眼鏡  14_神奈川  金澤道子
サーフボード抱へて古稀となりにけり  14_神奈川  金澤道子
留守番や開ければ灯る冷蔵庫  14_神奈川  三玉一郎
純白に散り敷く夢を山法師  14_神奈川  松井恭子
枇杷たわわ他人事なれど一大事  14_神奈川  松井恭子
新緑やカーテン一気に開けるべし  14_神奈川  松井恭子
花柄の杖引く人も薔薇の中  14_神奈川  水篠けいこ
はつ夏の磯の小石を文鎮に  14_神奈川  中丸佳音
本堂の縁借り申す目に青葉  14_神奈川  中丸佳音
オリンピツクカウントダウン五月闇  14_神奈川  湯浅菊子
筍をどつさりいれて炊飯器  14_神奈川  那珂侑子
筍は茹でて半分お返しとす  14_神奈川  那珂侑子
首曲げて斜めにあruku羽抜鶏  14_神奈川  片山ひろし
一面に植田かがやいてゐるドライブ  15_新潟  安藤文
ふらここにはるかな日々の記憶あり  16_富山  酒井きよみ
一人去り二人去りふらここに一人  16_富山  酒井きよみ
豌豆摘みつ話す烏賊釣り漁のこと  17_石川  花井淳
母の長きながき独り居水中花  17_石川  松川まさみ
野心もて一句に向かふ夏初め  20_長野  金田伸一
一年をおきて「封切る新茶かな  20_長野  金田伸一
田に川に端然とあり五月空  20_長野  大島一馬
ポストに音卯の花茎に空洞  20_長野  柚木紀子
この森にるりたては蝶おりし日日  21_岐阜  古田之子
風薫る連句のやうにアンソロジー  21_岐阜  三好政子
さつぱりと夢を忘れし昼寝覚  21_岐阜  梅田恵美子
優柔不断なところ大好き更衣  23_愛知  臼杵政治
父訪へば笑顔たふとし麦の秋  23_愛知  宗石みずえ
金色の麦刈るひとり空見上ぐ  23_愛知  服部紀子
アフガンの奇跡の麦もきんいろか  23_愛知  服部紀子
手を入れて庭の草木の梅雨入かな  23_愛知  野口優子
牛も啼かん祭中止の空しさに  26_京都  佐々木まき
夜濯やけふの憂きことけふ捨てん  26_京都  佐々木まき
睡蓮にモネの心を覗くかに  26_京都  佐々木まき
子どもの日ひとりとなりし母訪はな  27_大阪  安藤久美
弟に折りし兜を飾りけり  27_大阪  木下洋子
いちびりは今も変はらず柏餅  27_大阪  木下洋子
若葉には若葉の葉擦れ山の寺  27_大阪  齊藤遼風
肥の国は青葉時雨の中にあり  27_大阪  齊藤遼風
海鳴りに背骨まつすぐ紺浴衣  28_兵庫  魚返みりん
冷蔵庫背高く白くどつかりと  28_兵庫  天野ミチ
夏潮や錨泊船の向き変る  28_兵庫  髙見正樹
花樗鳥に混じりて嬰の声  29_奈良  喜田りえこ
明易や海界越ゆる死者の声  29_奈良  喜田りえこ
濁り水すくと出でたる菖蒲の芽  29_奈良  田原春
薔薇園や主の長靴先に立ち  29_奈良  田原春
奠供山ひときは青き立夏かな  30_和歌山  玉置陽子
薬玉や嬰に持たせる五色の緒  30_和歌山  玉置陽子
南無阿弥陀仏真つ二つなる大ミミズ  33_岡山  齋藤嘉子
梅雨寒や昼の風呂でもたてやうか  37_香川  丸亀葉七子
父と子がヨットで志度寺参りかな  37_香川  丸亀葉七子
変異株育つ卯の花腐しかな  42_長崎  ももたなおよ
袋掛民主主義つて面倒な  44_大分  山本桃潤
ひもすがら鳶は輪を描きこどもの日  44_大分  竹中南行
若き日や中也に挟む庭石菖  46_鹿児島  大西朝子
学友の墓へと続く楠若葉  46_鹿児島  大西朝子
つらつらと二年の無沙汰詫ぶ遅日  50_外国  廣瀬玲子

ネット投句(2021年4月30日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年5月11日 作成者: KAI2021年5月11日

・誤りや推敲の余地があっても、とるかとらないかだけ判断します。
・かな遣いも直しませんので、ご自分でお考えください。

【特選】
日常の面倒横に朝寝かな  12_千葉  谷口正人
惜春や終のドライブ老妻と  13_東京  森徳典
カツ丼食ふ春の憂ひをはらふべく  13_東京  神谷宣行
眩しさの麦烏賊の箱競り落とす  13_東京  西川遊歩
石まるくまるく研くや春のみづ  13_東京  長井亜紀
たけのこや自粛生活もとうに慣れ  15_新潟  安藤文
クロッキーに己が左手春深し  17_石川  花井淳
よそゆきの顔となりたる春日傘  17_石川  岩本展乎
聖書いづくに水ぬるむ最晩年  20_長野  柚木紀子
一口に食べられさうな雨蛙  26_京都  佐々木まき
燕より気持ちよき鳥ほか知らず  27_大阪  高角みつこ
世の中は不思議いつぱいさくらんぼ  29_奈良  喜田りえこ
責任を取らづ逝きけり昭和の日  29_奈良  喜田りえこ
村ぢゅうの戸があいてゐる茶摘どき  37_香川  曾根崇

【入選】
亡き人の戻らすここち花ふふむ  01_北海道  芳賀匙子
間借りせし私鉄の小駅昭和の日  04_宮城  長谷川冬虹
休らうて手拭ひ使ふ花へんろ  04_宮城  長谷川冬虹
整列しワクチンを待つ昭和の日  05_秋田  佐藤一郎
花散りぬ花なることを知りもせず  07_福島  渡辺遊太
苗代に這ひつくばるや老い二人  11_埼玉  園田靖彦
しらんまにとしとうてもた山笑ふ  11_埼玉  松本邦吉
てふてふや抱きあふことも忘れたる  11_埼玉  松本邦吉
陸奥の余花に泳ぐや鯉のぼり  12_千葉  若土裕子
住み慣れし家離るるや竹の秋  12_千葉  谷口正人
葉先より手に来て軽し天道虫  12_千葉  池田祥子
柏餅あつといふまにおじいちやん  13_東京  神谷宣行
スニーカー春光のなかいざゆかん  13_東京  長井亜紀
子供の日円弧雲梯すいすいと  13_東京  楠原正光
会釈して譲りあふ道青き踏む  13_東京  畠山奈於
ワクチンのクーポン到来端午かな  13_東京  櫻井滋
天婦羅かそれとも寿司か柿若葉  14_神奈川  遠藤初惠
ご神体は牡蠣の貝殻春惜しむ  14_神奈川  金澤道子
気の重き用事がひとつ花は葉に  14_神奈川  金澤道子
雀の子土塊だけを信じけり  14_神奈川  三玉一郎
波を待つ脛うつくしき素足かな  14_神奈川  三玉一郎
風邪に寝て一日春を満喫す  14_神奈川  三玉一郎
蛇踏むや一瞬なんと永きこと  14_神奈川  松井恭子
御持たせの筍飯のランチかな  14_神奈川  水篠けいこ
新聞の切り抜き溜まる日永かな  14_神奈川  水篠けいこ
雀の子フェンスの向こうはアメリカぞ  14_神奈川  水篠けいこ
水平線の丸みほどなる春愁ひ  14_神奈川  中丸佳音
老女たちたんぽぽの絮吹ききそひ  14_神奈川  中丸佳音
大鷺の胸の白さに夏来たる  14_神奈川  中丸佳音
入園児背丈に合わぬユニフォーム  14_神奈川  土屋春樹
たとえへなき悪相なれど恋の蝦蟇  14_神奈川  湯浅菊子
孫が来るその日のための花イチゴ  14_神奈川  那珂侑子
ぼうたんの最期は雨に打たれ散る  14_神奈川  那珂侑子
松蝉の鳴いて止む間の長かりき  14_神奈川  片山ひろし
?の芽や手折りてポキと空揺るる  15_新潟  高橋慧
乳を吸ふ赤子落とすな目借り時  16_富山  酒井きよみ
亀鳴くや砂金洗ひし澤あると  17_石川  花井淳
雪形の猿微笑む加賀平野  17_石川  花井淳
葉桜や金箔浮かぶ昼の酒  17_石川  岩本展乎
朧夜や言うてしまへば味気なく  17_石川  松川まさみ
ふと高く飛び去る蝶の行き処  20_長野  金田伸一
山里はほんによかとこ浅蜊汁  20_長野  金田伸一
行く春清書し誤嚥しなくなる  20_長野  柚木紀子
春の朝木の匙軽く野菜スープ  21_岐阜  三好政子
青饅や帰農の夫の畑暦  21_岐阜  三好政子
絡み付く枝のおどろや山の藤  21_岐阜  三好政子
桜しべ人恋ひしくて吹き溜まる  21_岐阜  梅田恵美子
父母は亡し子は巣立ちけり柿若葉  23_愛知  宗石みずえ
土筆摘む小さき膝は泥まみれ  26_京都  吉田千恵子
沖縄は今だ沖縄昭和の日  26_京都  佐々木まき
雨がよぶ雨か雨蛙よぶ雨か  26_京都  佐々木まき
春泥の先に潤一郎の墓  26_京都  氷室茉胡
沈黙の長き鉾蔵春惜しむ  26_京都  氷室茉胡
姉らしく何か言はねば桜餅  27_大阪  安藤久美
ゆく春や小さきカメラを手の中に  27_大阪  高角みつこ
春風や一日千歩目標に  27_大阪  内山薫
遍路寺案内の犬についてゆく  27_大阪  木下洋子
マンゴーの香る紅茶や夏きたる  27_大阪  木下洋子
語るごと王妃遺愛の香水瓶  27_大阪  木下洋子
黄金週間樟も欅も芳しく  27_大阪  澤田美那子
九条で育ちて憲法記念の日  27_大阪  澤田美那子
筍とくれば木の芽を忘るるな  27_大阪  澤田美那子
父の夢母の夢みる朝寝かな  27_大阪  齊藤遼風
フェンス越ゑ風船ふたつ自由なり  28_兵庫  魚返みりん
春日傘傾げるだけの遠会釈  28_兵庫  千堂富子
庭に出て体操すればチューリップ  28_兵庫  天野ミチ
力作の器出番や野蕗炊く  28_兵庫  藤岡美惠子
ひと想ふゆへに我あり春の雨  28_兵庫  福田光博
共に居て余生それぞれ夏めきぬ  28_兵庫  髙見正樹
頑張るなナンジヤモンジヤに囁かれ  29_奈良  喜田りえこ
うすべにの絵馬の乳型春深む  30_和歌山  玉置陽子
家苞の新玉葱の匂ふバス  30_和歌山  玉置陽子
山桜地霊となりし仏たち  33_岡山  齋藤嘉子
朴の花開きかけたと山の声  37_香川  丸亀葉七子
わが郷に百歳二人柏餅  37_香川  曾根崇
ラジオドラマ出てくるテレビ昭和の日  42_長崎  ももたなおよ
メーデーやワクチンを待つ人の列  42_長崎  ももたなおよ
蝶一羽乗せて離任の船出かな  42_長崎  川辺酸模
掘り立ての筍抱き友来る  42_長崎  川辺酸模
五十年夫婦はともにお風入  44_大分  山本桃潤
婆ちやんのやうな担任入学式  44_大分  山本桃潤
虎杖や自制に揺らぐ民主主義  44_大分  竹中南行
惜しみをり惜しむともなきこの春を  44_大分  竹中南行
春蝉や聞けば山河の懐かしき  46_鹿児島  大西朝子
友の忌のその日を耐へる養花天  46_鹿児島  大西朝子
摘み草の宿へ光や花木五倍子  50_外国  廣瀬玲子

ネット投句(2021年4月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年4月21日 作成者: KAI2021年4月21日

・目の前のものを機械的に写しても句にはならない。とくに風景。
・ものを描いても、そこに心が宿るように。
・もろに気持ちを表す言葉(さみし、かなし、うれし、よき)は句を浅薄にする。
・自分だけわかったような(読者にはわからない)句多し。
・必ず他人の目で「これで通じるか」をチェックしること。
・俳句は時間がかかる。残り時間の少ない人は覚悟必要。

【特選】
街中の猫がみてゐるはるのつき  13_東京  長井亜紀
仏生会いまも湧きつぐ甘露の井  14_神奈川  金澤道子
初蝶や今日より羽根の汚れゆく  23_愛知  稲垣雄二
摘むほどに籠の輝く茶摘かな  26_京都  氷室茉胡
蝶がきて止まりさうなるお菓子かな  27_大阪  澤田美那子
地下足袋のこの若者が桜守  33_岡山  齋藤嘉子
飴山忌あなたを真似て妻愛す  44_大分  山本桃潤
死ぬるまでホ句と同行風光る  44_大分  竹中南行

【入選】
遠山に束の間白き花の雲  01_北海道  村田鈴音
・白し
顔に白日高の仔馬大地喰む  01_北海道  村田鈴音
空間を笑ひころげるこぶしかな  01_北海道  芳賀匙子
花守ぞ鉢巻きりり花殻摘む  04_宮城  長谷川冬虹
・花守は
手這坂下ればまほろ桃の花  05_秋田  佐藤一郎
耽読の余熱に一夜龍天に  07_福島  渡辺遊太
海境の底のしづけさ花の雨  07_福島  渡辺遊太
うぐひすの総出迎へやわが故郷  11_埼玉  園田靖彦
刈り込みの一蔓貰ふ郁子の花  12_千葉  池田祥子
朝楽し春のキャベツのある限り  13_東京  岡恵
・日々楽し
二階から雨に向かって石鹸玉  13_東京  岡恵
・旧かなは自分で。
跳箱は勇気だぽんと春の風  13_東京  神谷宣行
うたにうたうたひ合はせて大岡忌  13_東京  西川遊歩
・合はせよ
恋もせず説教もせず猫眠る  13_東京  長井亜紀
法要の一族も老ゆ暮の春  13_東京  杜野廉司
・一族老いぬ
はやばやと隣家に上がる鯉幟  13_東京  楠原正光
・隣の上げる
蕗の薹見つけて今朝のおみおつけ  13_東京  堀越としの
抜け出して春の渚に小半時  14_神奈川  遠藤初惠
境内の椿で葺いて花御堂  14_神奈川  金澤道子
・きぬ
老木の芽にしづかなる光かな  14_神奈川  三浦イシ子
・芽の。この違い、たいへん大事。
春愁の重さに沈む鯨かな  14_神奈川  三玉一郎
春愁に足を取らるる渚かな  14_神奈川  三玉一郎
・以上2句、理屈。
けやき通りはなみずき通り若葉  14_神奈川  松井恭子
・みな若葉
エントランスの黒の一群新社員  14_神奈川  水篠けいこ
・最初の、の、不要。
こそげ取る筍飯の御焦げよき  14_神奈川  中丸佳音
・こそ
丹誠の藤の花見て逝かれけり  14_神奈川  那珂侑子
・けむ
寄居虫の次の殻ゆく速さかな  14_神奈川  片山ひろし
・への、へと
どのやうにどこ抓もうかうぐひす餅  14_神奈川  片山ひろし
深き深きコロナの闇を春の月  15_新潟  安藤文
・に
菜の花や義民を祀る五輪塚  15_新潟  高橋慧
葦焼けば越の山々ゆらぐなり  16_富山  酒井きよみ
ニ三言聞きし覚えも朝寝かな  17_石川  松川まさみ
榾爆ぜる四月の朝の氷点下  20_長野  金田伸一
白富士さやうなら花影と還ります  20_長野  柚木紀子
半透明にかほる蝋梅もう文字ではかけぬ  20_長野  柚木紀子
心膜炎かしら陽炎ゆれている  20_長野  柚木紀子
玉ねぎをころがし遊ぶ厨かな  21_岐阜  夏井通江
・遊ぶ?
大空にいどむ力よ朴の花  21_岐阜  古田之子
・力を
裏木曽や芽吹きの谷の山桜  21_岐阜  三好政子
クリニックの広き天窓春動く  21_岐阜  三好政子
城白く輝く空や初つばめ  21_岐阜  梅田恵美子
・を
花冷えの世間へ棺担ぎ出す  23_愛知  稲垣雄二
・世界へ
蠅の子の生れてそのまま嫌われり  23_愛知  宗石みずえ
・そのまま、不要。旧かな。
車椅子を受け入れし母風信子  26_京都  吉田千恵子
ジャム混ぜる木べらは重し日永かな  26_京都  吉田千恵子
・木べらの重き
くにやくにやの赤子洗はん花の昼  27_大阪  安藤久美
新緑や日に日に隠る遠き道  27_大阪  内山薫
・隠れ
上り来て京一望や御忌詣  27_大阪  木下洋子
やはらかき指の腹もて茶摘かな  27_大阪  木下洋子
・以上2句、既存の発想。
春日傘稚児抱く妻に差しかけぬ  28_兵庫  千堂富子
・妻へさしかけて
春の行くどこへも行けぬ人置きて  29_奈良  喜田りえこ
春満月龍抜け出たき絵天井  37_香川  丸亀葉七子
鳴龍を鳴かせお遍路去りにけり  37_香川  丸亀葉七子
人の世にぬつと古代魚春の闇  42_長崎  ももたなおよ
白牡丹蟻一点の翳りかな  42_長崎  川辺酸模
ほんのりと草の香りや針魚食ふ  42_長崎  川辺酸模
四阿は湖のなかほど羊草  44_大分  山本桃潤
春の服友の細きに驚きぬ  50_外国  廣瀬玲子

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