ネット投句(2021年6月15日)選句と選評
・必ず他人の目で自分の句を見直してください。
【特選】
たまさかや地球に降りて草むしり 01_北海道 芳賀匙子
炎ゆる砂一粒としてわれのあり 07_福島 渡辺遊太
梅雨入りや視線の外の注射針 14_神奈川 松井恭子
今去りし人をこころに夕端居 17_石川 松川まさみ
夏霧はしづかな巨人村に入る 21_岐阜 夏井通江
われらまたかの学舎に端居せん 26_京都 佐々木まき
草引くや草の生命を羨みつ 30_和歌山 玉置陽子
水路ならぬ水路分け入り蓮見舟 37_香川 曽根崇
木漏れ日にくすぐられては実梅落つ 42_長崎 ももたなおよ
【入選】
死よりなほ秘やかにあり蟻地獄 07_福島 渡辺遊太
昼寝覚めいつもの部屋に戻りけり 11_埼玉 上田雅子
眉鼻胸孫の背丈や風薫る 12_千葉 芦野アキミ
交わりの声の涼しき句会かな 12_千葉 池田祥子
楊梅は雌雄がありて恙なし 12_千葉 麻生十三
夕立に濡れて別れるみぎひだり 12_千葉 麻生十三
山椒煮る清酒ぐらつと煮立たせて 13_東京 岡恵
夏インドカナリヤ集まる宿の庭 13_東京 長尾貴代
友達と一日遊びし夏の川 13_東京 楠原正光
防波堤影一つ無き暑さかな 13_東京 楠原正光
もぢずり草一本嬉し散歩道 13_東京 畠山奈於
読みかけのファッション雑誌みたいに蛾 13_東京 齊藤拓
紅みどり黄いろそれぞれ酸きすもも 14_神奈川 伊藤靖子
一滴を待つ間豊かや新茶汲む 14_神奈川 遠藤初惠
反抗期しづかに泳ぎゐたりけり 14_神奈川 三玉一郎
もう休んでと四百歳の実梅もぐ 14_神奈川 松井恭子
内緒話蛍袋に入れておく 14_神奈川 中丸佳音
われ病みてゐる間に燕巣立ちけり 14_神奈川 那珂侑子
短夜の闇を揺らして救急車 14_神奈川 片山ひろし
火口湖に鳥居のありて明易し 14_神奈川 片山ひろし
ひと夏の恋となりけり麦酒飲む 15_新潟 安藤文
新聞に吾が句を探す玉の汗 15_新潟 安藤文
指の間をすり抜けて行く植田風 17_石川 花井淳
自転車で飛び込みし川蛍来よ 17_石川 花井淳
立葵生家の土間のこの匂ひ 17_石川 密田妖子
婿となるお人筍掘ってくださり 20_長野 柚木紀子
清らかな夏の田続く車窓かな 21_岐阜 夏井通江
麦藁で初めて飲みしコーラかな 21_岐阜 三好政子
振分けの玉葱の束軒占めて 21_岐阜 三好政子
風抜けて行く麻編みの夏帽子 21_岐阜 三好政子
皮むけばさらにびわ色枇杷を食ふ 23_愛知 稲垣雄二
コンビニの裏手の川も蛍狩 23_愛知 宗石みずえ
慎ましき庭に咲きたる夏あざみ 23_愛知 野口優子
空白なき次男の予定青嵐 26_京都 吉田千恵子
平面図に伐採の印夏の庭 26_京都 吉田千恵子
無理に弾ます父との会話夜釣 26_京都 吉田千恵子
ほがらかに神もまじりて茅の輪結ふ 27_大阪 安藤久美
今年こそ新茶のうちに頂かむ 27_大阪 内山薫
ワクチンのニュース続くや豆の飯 27_大阪 木下洋子
生ごみを埋めしあたり花南瓜 27_大阪 澤田美那子
さはあれど無口がよろし竹婦人 27_大阪 澤田美那子
「お互いにお一人様ね」パイナップル 28_兵庫 魚返みりん
黒南風やワクチン接種の長き列 28_兵庫 千堂富子
隣とは少し間を置く額の花 28_兵庫 千堂富子
自由にして孤独愛せり蟇 33_岡山 齋藤嘉子
やまももは故郷の八幡さまの味 37_香川 丸亀葉七子
田舎家のあの涼しさの懐かしき 37_香川 曽根崇
青梅を貰ひ楽しむ梅仕事 42_長崎 ももたなおよ
コロナ禍や蛞蝓に塩てんこ盛り 46_鹿児島 大西朝子