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ネット投句(2021年1月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年1月24日 作成者: KAI2021年1月24日

【特選】
冬木の芽だけが知つてる明日かな  14_神奈川  三玉一郎
餅花や喧嘩ばかりの三姉妹  14_神奈川  水篠けいこ
担がれて死人が踊る初芝居  14_神奈川  那珂侑子
お隣は若い家族や薺打つ  14_神奈川  那珂侑子
元日の平凡をこそ愛しけり  14_神奈川  片山ひろし
東京に寒といふ字の響きけり  14_神奈川  片山ひろし
大雪原誰も踏まぬ道真っ直ぐに  15_新潟  高橋慧
・誰も→まだ
搾り出す玉の一句を寒の水  15_新潟  安藤文
白昼の無音恐ろし雪激し  21_岐阜  三好政子
・大豪雪
これよりの月日おそろし初暦  21_岐阜  梅田恵美子
闇に鳴り凍てし鈴の音初参り  26_京都  前田重明
・闇に凍てたり神の鈴。原句ごちゃごちゃ。
雪兎一匹ほどの今朝の雪  27_大阪  澤田美那子
花びら餅うれしきことはひそやかに  27_大阪  澤田美那子
花びら餅子のひげづらもほころびぬ  28_兵庫  藤岡美惠子
牛のごとゆるやかに年新たなリ  28_兵庫  加藤百合子
臘梅の香ののぼりゆく御空あり  29_奈良  喜田りえこ

【入選】
湯気立てて友を迎へん蕪蒸  01_北海道  芳賀匙子
氷れる中一筋の滝ひかり落つ  04_宮城  長谷川冬虹
雪晴や菩薩の頭こそばいか  05_秋田  佐藤一郎
うつばりに梟眠る榾火かな  07_福島  渡辺遊太
・囲炉裏かな
早や嬉し句会の予定新暦  11_埼玉  上田雅子
父と見た山の峰々初日の出  11_埼玉  湯浅寒葵
しんしんと星々凍る音がする  12_千葉  若土裕子
・星の氷れる音すなり。ありありと。
一食を削りて買はむ千両かな  12_千葉  麻生十三
詠初や厠におきし唐詩選  12_千葉  麻生十三
・忘れ
通るたび鬼柚子に何か言ひにけり  13_東京  岡惠
・もの言ひにけり
バーグマンのかひな絡めり大白鳥  13_東京  市村さよみ
一抱へもある幸ひよ干蒲団  13_東京  市村さよみ
・も、不要。
腹熟し二駅歩き初詣  13_東京  森徳典
・歩く
我が蓬莱ひよつこりひようたん島にあり  13_東京  西川遊歩
凍星を飲んで病を治したし  13_東京  長井亜紀
・治すべし
山眠る線路の音がよくきこえ  13_東京  長井信彦
すずめにも重さあるらし枯葉ふむ  13_東京  長井信彦
・らん
亀なくや空き場所に貼る六百句  13_東京  楠原正光
・壁に貼りたる
ありがたき老いの食欲雑煮椀  13_東京  畠山奈於
今此処に在るといふこと初御空  13_東京  齊藤拓
亡き父の写真に向かい御慶かな  13_東京  齊藤拓
・ふ
初場所やがらんど廊下を勝力士  14_神奈川  越智淳子
初硯一滴の水の玉となり  14_神奈川  遠藤初惠
三が日花瓶の水を替へしのみ  14_神奈川  金澤道子
餅花や赤子抱かせてもらひをり  14_神奈川  金澤道子
・けり
鎌倉の路地たのしみて松七日  14_神奈川  金澤道子
・たのしまん
地蔵にも供へてありぬ鏡餅  14_神奈川  原田みる
オリオン座大きな氷柱垂らしけり  14_神奈川  三玉一郎
なづな打つ真剣にまた軽やかに  14_神奈川  松井恭子
地図になき道もよぎりて初詣  14_神奈川  松井恭子
・よぎりぬ
雑巾も箒も持たず三が日  14_神奈川  水篠けいこ
赤べこと親しくなりぬ七日かな  14_神奈川  那珂侑子
コロナ禍に負けじと喰らふ雑煮かな  15_新潟  安藤文
りんりんと母のピアノや冬籠り  15_新潟  安藤文
スチームのあつけらかんと部屋の隅  17_石川  花井淳
磨り切れてこそのジーンズ竜の玉  17_石川  花井淳
・竜の玉、再考。
鷹匠の腕の鷹やまどろみて  19_山梨  小泉雅恵
・腕に鷹はまどろめり
冬の大地まさりて水に茜融く  20_長野  柚木紀子
流氷ら沖ぞ指しゆく欠片のまんま  20_長野  柚木紀子
みかんの木畑の隅も日当たりぬ  21_岐阜  夏井通江
・に
籠り居も長し金魚は冬眠す  21_岐阜  三好政子
柊挿す病しこの世ををがみつつ  21_岐阜  梅田恵美子
手を伸ばし空に結ぶや初みくじ  23_愛知  稲垣雄二
我がまだ我である顔初鏡  23_愛知  稲垣雄二
胃袋の小さき二人や七日粥  23_愛知  臼杵政治
・二人へ
雑煮膳先ず地水火の神々へ  23_愛知  宗石みずえ
・まづ
七福神のやうに寄り添ふ若菜かな  23_愛知  青沼尾燈子
ゆく川の寒の水面は光かな  23_愛知  服部紀子
仮の世の我等の旅の遥けさよ  23_愛知  服部紀子
初日見に犬を起こすも大あくび  23_愛知  野口優子
給油する成人の日の乙女かな  24_三重  乾薫
初詣宮の石段こほりけり  24_三重  乾薫
初詣今年も夢を告げられず  24_三重  乾薫
雪嶺となりて頼もし愛宕山  26_京都  佐々木まき
初富士やマグマ秘めたるまま静か  26_京都  氷室茉胡
ぱんぱんの腹には双子春を待つ  26_京都  氷室茉胡
花びら餅雪の香りのほのかなる  27_大阪  安藤久美
負ひかねるもの負ひてゆく冬の道  27_大阪  内山薫
愚かさに打つ手はなきや冬将軍  27_大阪  内山薫
・なきか
頼もしき禅寺であり大根干す  27_大阪  澤田美那子
漱石に椀一杯の薺粥  27_大阪  齊藤遼風
・漱石へ
寒天を干すには良き日山家かな  27_大阪  齊藤遼風
冬ざれを住処としたる大鴉  28_兵庫  加藤百合子
・たり
日本の二音の言葉淑気満つ  28_兵庫  加藤百合子
肩越しに破魔矢の鈴の通り過ぐ  28_兵庫  千堂富子
歓声は幼とりたる初かるた  28_兵庫  藤岡美惠子
神棚の高くなりけり老いの春  28_兵庫  藤岡美惠子
首元へあぐるファスナー寒きびし  28_兵庫  髙見正樹
雪掻きや腰をいはすな風邪ひくな  29_奈良  喜田りえこ
左義長やみ熊野の風ただならず  30_和歌山  玉置陽子
一枝をくべ足して又冬耕す  37_香川  曽根崇
正月や寝太郎二年いな三年  42_長崎  ももたなおよ
吾子宿す命まぶしみ春を待つ  42_長崎  川辺酸模
地吹雪を渡る日輪エロスかな  44_大分  山本桃潤
コロナ禍に大雪降りぬ寝正月  44_大分  土谷眞理子

ネット投句(2020年12月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2021年1月2日 作成者: dvx223272021年1月2日

・新年明けましておめでとうござます。

【特選】
微動だにせぬ閑かさや大嚔  07_福島  渡辺遊太
だんだんに遺言めきて日記果つ  11_埼玉  園田靖彦
数ページむしりとりたる古日記  11_埼玉  園田靖彦
ぬめぬめと滑る昆布を結びけり  11_埼玉  上田雅子
宇宙ごみ闇に漂ふ寒さかな  12_千葉  池田祥子
・闇を
ぎこちなく六尺離れて年の礼  13_東京  横山直典
・離れ
東京が頭を垂れる除夜の鐘  13_東京  岡田定
怪物のひととせやつと歩み去る  13_東京  西川遊歩
・一年
冬の水しづかに冬を映しけり  14_神奈川  三玉一郎
書初の大書は墨の枯るるまで  14_神奈川  片山ひろし
人の息大地の息や寒造  17_石川  花井淳
しわしわの命も命初笑ひ  23_愛知  稲垣雄二
すつぽんと大根抜くごと年新た  23_愛知  稲垣雄二
蓮枯れて名残の骨の幾許ぞ  26_京都  佐々木まき
授かりし男女の双子竜の玉  26_京都  氷室茉胡
鏡餅単純にして静かなる  27_大阪  澤田美那子
静けさに神宿るらん鏡餅  27_大阪  澤田美那子
はや誰か参りし後のけさの春  28_兵庫  千堂富子
初茜大屋根小屋根わかちあふ  29_奈良  喜田りえこ
碧落や潜んでをるは冬将軍  37_香川  丸亀葉七子
・碧落に
人類の大転換や注連飾る  44_大分  土谷眞理子
・人類は大転換へ。動きを。

【入選】
故郷の旧町名に正月来  01_北海道  高橋真樹子
・へ
ががいもの種髪に見惚れ十二月  01_北海道  芳賀匙子
やどりぎのぼんぼりほのか初御空  01_北海道  芳賀匙子
・ほのか、ダメ。
自意識だ?犬にでもやれ枯野行く  01_北海道  柳一斉
宴果てて港に降れる雪を見に  01_北海道  柳一斉
雪折や任にあらざる新総理  04_宮城  長谷川冬虹
煤逃げて山幸句集三読す  04_宮城  長谷川冬虹
・句集山幸
繭玉やくるくる回る女の子  05_秋田  佐藤一郎
・繭玉と?
初雪や面影橋を僧ひとり  05_秋田  佐藤一郎
・ひとりゆく。坊さんでなくてよろし。
冬菫雪の中より目覚めけり  11_埼玉  上田雅子
華やぎも無きまま屠蘇を祝ひけり  11_埼玉  上田雅子
冬川に水輪ときおり何棲むや  11_埼玉  藤倉桂
・ときをり。自分でなされたし。
コロナ禍や大根炊き上ぐ飴色に  11_埼玉  藤倉桂
・飴の色
聞きなれし声に振り向く除夜詣  12_千葉  若土裕子
初夢の仄とうれしき名残かな  12_千葉  若土裕子
疫年のとどのつまりや除夜の鐘  12_千葉  谷口正人
片づきしことなき今年除夜の鐘  12_千葉  谷口正人
・こと何もなし
軽トラに青竹匂ふ年用意  12_千葉  池田祥子
北に向かふ蝶の危ふし冬の海  12_千葉  麻生十三
耳遠き犬とながむる冬の虹  13_東京  岡田栄美
雪の町かすかに夕日ありにけり  13_東京  岡惠
葛湯吹く花の匂ひと言はれしが  13_東京  岡惠
庭先に年酒冷やす亭主かな  13_東京  市村さよみ
・年酒を。庭先に、あいまい。庭に出し?
味薄き今年のごまめまなこ澄む  13_東京  市村さよみ
今日よりは今年よりはと年の暮れ  13_東京  森徳典
新植のブナの木眠る山眠る  13_東京  森徳典
ここらみなわが庭柚子の風呂に入る  13_東京  神谷宣行
年行くや羽ばたきさうな金閣寺  13_東京  西川遊歩
クリスマステネシーワルツ独りうたう  13_東京  長尾貴代
・ふ
伊勢海老を網から外す手際かな  13_東京  楠原正光
ビル街にスケート場の灯りかな  13_東京  楠原正光
・ビル街の、灯りけり
日記買ふまず命日と誕生日  13_東京  堀越としの
遺しゆく日々いとほしや除夜の鐘  13_東京  堀越としの
リハビリに花を咲かせんお屠蘇くむ  13_東京  櫻井滋
老い二人命百まで屠蘇祝ふ  13_東京  櫻井滋
ブラインド一枚ずつ拭く年の暮れ  14_神奈川  伊藤靖子
・づつ。自分で。
青森の雪の町より来し林檎  14_神奈川  伊藤靖子
年の湯や母しづかにて子もしづか  14_神奈川  越智淳子
冬夕焼早め早めの厨ごと  14_神奈川  遠藤初惠
処方薬まず受けとりに年用意  14_神奈川  遠藤初惠
・まづ。自分で。
ユーミンの歌にさくさく年用意  14_神奈川  原田みる
枯草を抜けば豊けき大地の香  14_神奈川  原田みる
・豊かな。ふつうに。
舟一隻茫々として冬に入る  14_神奈川  三浦イシ子
・たるや
まづ緊急外来番号年用意  14_神奈川  松井恭子
天地のすみに菜園注連飾る  14_神奈川  松井恭子
付句にて繋りし年惜みけり  14_神奈川  松井恭子
綿虫や誰か来そうで誰も来ず  14_神奈川  水篠けいこ
ゴム草履冷たき朝の厠かな  14_神奈川  水篠けいこ
胸ひろげ帰帆のごとく白鳥来  14_神奈川  中丸佳音
白光に白菜ゆだね静かなり  14_神奈川  湯浅菊子
鴛鴦のどれが夫婦か花鳥園  14_神奈川  那珂侑子
破魔矢受く誰を射るではなけれども  14_神奈川  片山ひろし
初富士を夫婦で仰ぐ露天風呂  14_神奈川  片山ひろし
朝霜や魚板一打にて動く  17_石川  花井淳
一束として大根の白きかな  17_石川  岩本展乎
・にして
人の死を山と数へし年越へん  17_石川  松川まさみ
尾白鷲人間界の病み覗く  19_山梨  小泉雅恵
・病深く
梟のブックエンドにわが句集  20_長野  金田伸一
・梟や
荘厳にオルガン抜ける寒気かな  20_長野  大島一馬
・荘厳の、とほる
順に山やま眠るつもり「生得の位」  20_長野  柚木紀子
やすらかな心となりぬ毛糸編み  21_岐阜  夏井通江
・む
冬雲の遊ぶらし照り翳る部屋  21_岐阜  三好政子
・照り翳る部屋冬雲の遊ぶらし
後ろざまに身を投げて打つ除夜の鐘  21_岐阜  三好政子
・後ろへと
野に畑に人いなくなる初景色  22_静岡  池ヶ谷章吾
・誰もをらざる
初席の撥ねてこの店鴨蒸籠  23_愛知  臼杵政治
扉開け去年と今年を入れ替へる  23_愛知  服部紀子
薪足して言葉少なく冬籠り  23_愛知  野口優子
搗き立てのあんころ餅や小晦日  23_愛知  野口優子
冬木立山の子細のあらはなる  26_京都  佐々木まき
年惜しむ母と面会出来ぬまま  26_京都  氷室茉胡
かたくなに開かぬ抽斗年の暮  27_大阪  安藤久美
柚子風呂や借りものの身を労はらん  27_大阪  安藤久美
蓬莱へ船乗り継がむ年の暮れ  27_大阪  古味瑳楓
冬日向残してゆづるベンチかな  27_大阪  高角みつこ
初雪のはやも闇夜を横降りに  27_大阪  高角みつこ
心細しと文が届きぬクリスマス  27_大阪  内山薫
・手紙届きぬ
新しき年の力や豆の餅  27_大阪  木下洋子
・常套
無頼にはなれぬ父居る炬燵かな  27_大阪  齊藤遼風
雪積むややさしきものの形して  28_兵庫  加藤百合子
ゆく年やコロナの傷の満身に  28_兵庫  天野ミチ
・を
初夢や覚むればテレビ鳴っており  28_兵庫  髙見正樹
・つ。自分で。
暁闇の厨の灯し大晦日  29_奈良  喜田りえこ
・灯る
鰹節揃へ安心年の暮  29_奈良  田原春
招きくるる息子家族やクリスマス  29_奈良  田原春
疫よ去れこの寒梅を盾とせん  33_岡山  齋藤嘉子
・疫病へ梅一輪を
もう少し生きてゐたしや福寿草  37_香川  曽根崇
天狗岳の風来て柿の熟るるなり  38_愛媛  古志溢子
雪見酒夫唯今別世界  42_長崎  ももたなおよ
煤逃げと大きテレビに入りゆく  42_長崎  ももたなおよ
ひやひやと刺さる視線や大嚔  42_長崎  川辺酸模
煤逃げの男ら集ふコンペかな  42_長崎  川辺酸模
与願印の御手重からん煤払  44_大分  竹中南行
初めてや夫と二人の年越よ  44_大分  土谷眞理子
・は

ネット投句(2020年12月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年12月17日 作成者: KAI2020年12月17日

高齢化時代の俳句の鉄則
1)孫に溺るるなかれ
2)老いを嘆くなかれ
3)思ひ出に浸るなかれ

【特選】
すきま風縦横無尽の家に住む  13_東京  長尾貴代
疫病や真っ赤に染まる冬の暁  13_東京  畠山奈於
・つ
風倒の櫻を見舞ふ冬木中  14_神奈川  中丸佳音
殺戮の果のしづけさ鷹一つ  14_神奈川  三玉一郎
木枯らしや揺れる屋台で酌み交はす  14_神奈川  土屋春樹
ちやんちやんこふはりとはおり水仕事  21_岐阜  夏井通江
スウェターよりまだ出でこぬか母の首  27_大阪  内山薫
大年やそろりそろりと参ろうぞ  37_香川  元屋奈那子
人の目に腸さらす寒さかな  42_長崎  川辺酸模
熱燗や今日の身を置く高瀬舟  44_大分  竹中南行

【入選】
夕暮れのレモン垂らして牡蠣すする  01_北海道  芳賀匙子
・や
降る雪を灯す外灯舫ひ船  01_北海道  柳一斉
想念の無限回転冬の星  03_岩手  川村杳平
第三波乗り切らんとぞ根深汁  04_宮城  長谷川冬虹
・とや
越えて来し道を語れよ榾焚かん  07_福島  渡辺遊太
・下五、名詞
今年また弱み記さず日記果つ  11_埼玉  園田靖彦
小春日や人湧きいづる川堤  12_千葉  谷口正人
指ふれて首の驚く冷たさよ  12_千葉  池田祥子
炭をつぐ父の怒りは言葉なく  12_千葉  麻生十三
赤赤と魚さばく手に寒の水  13_東京  岡田栄美
・魚さばく手に赤赤と寒の水
おでん煮て流星群を待ってをり  13_東京  岡惠
・つ
北風に研いてゐしはいのちなり  13_東京  長井亜紀
粗大ごみ置場に箪笥十二月  13_東京  楠原正光
投句日をはや書き込まれ初暦  13_東京  楠原正光
美術館のカフェ静かなり木の葉散る  13_東京  堀越としの
風花やはやぶさ2号還り来ぬ  13_東京  櫻井滋
コロナ禍や深海の海鼠沈黙す  13_東京  齊藤拓
色づきて檸檬はここと名乗りけり  14_神奈川  越智淳子
息白く朝の散歩の犬と人  14_神奈川  遠藤初惠
まだ覚えきらぬ600句古暦  14_神奈川  遠藤初惠
日向ぼこ心あの木のてつぺんに  14_神奈川  金澤道子
はなやかに昨日に重ね柿落葉  14_神奈川  三浦イシ子
邪気払ふあの手この手の年の暮  14_神奈川  三浦イシ子
・あの手この手や
ぼろぼろの絵本繕ふ雪の夜  14_神奈川  松井恭子
セーターの白に着かへてランチかな  14_神奈川  水篠けいこ
鯛焼きや嬉しきことの一つあり  14_神奈川  水篠けいこ
冬耕の軽トラ畦に主を待つ  14_神奈川  湯浅菊子
・冬耕や
冬の空高くに吾子の濯ぎもの  14_神奈川  那珂侑子
煮凝の鯛は骨まで啜りけり  14_神奈川  片山ひろし
冬の虹短く太く消えにけり  15_新潟  高橋慧
・太く短かし
富士そばてふ立食ひ処討入り忌  17_石川  花井淳
数へ日の妻口ずさむ「異邦人」  17_石川  岩本展乎
・や
木守柿白き連山迫り来る  20_長野  大島一馬
・迫りけり
去年今年種馬牝馬眸子黒黒  20_長野  柚木紀子
今頃や山廬の軒の吊し柿  21_岐阜  梅田恵美子
見つからぬ事も一興茸とり  21_岐阜  梅田恵美子
凍てる月懐に入れあたためん  23_愛知  青沼尾燈子
静かさや師走の隅の通夜の椅子  23_愛知  青沼尾燈子
・隅に
雪が降るコロナの死者に雪ふりつむ  23_愛知  服部紀子
今しばしふたりの道が続く冬  23_愛知  服部紀子
灯を入るる仏間ひっそり寒に入る  25_滋賀  寺田光子
・つ
雑炊や夫に重ねし嘘いくつ  26_京都  氷室茉胡
孫に買ふ昔のおもちや終大師  26_京都  氷室茉胡
おでん酒通天閣の真つ赤なる  27_大阪  古味瑳楓
ごみ箱の口のそれぞれ年の暮  27_大阪  高角みつこ
まあたらし銀杏落葉の朝の香よ  27_大阪  高角みつこ
ため息をつけばたちまち年の暮  27_大阪  木下洋子
新札に替へて正月待つてゐる  27_大阪  木下洋子
革命の一年なりきちやんちやんこ  27_大阪  澤田美那子
だんだんと不安の募る年の暮  28_兵庫  千堂富子
わが子にも白髪ちらほら木守柿  28_兵庫  藤岡美惠子
母の忌や樽の白菜水上ぐる  29_奈良  喜田りえこ
寒卵医師看護師の尊かり  29_奈良  喜田りえこ
縫ひにけり猫に揃ひのちやんちやんこ  37_香川  丸亀葉七子
手焙りの仄かな火種いとしめり  37_香川  元屋奈那子
冬薔薇日陰りて虻しづかなり  37_香川  曽根崇
注射打つ女の指の冷たさよ  42_長崎  川辺酸模
ひややかや腸のぞく医師の声  42_長崎  川辺酸模
幼子に焚火のこころ教えたく  44_大分  山本桃潤
浦人の快気祝ぞ鰤一本  44_大分  竹中南行
矛盾突く校正のペン冬の月  44_大分  竹中南行
しずもれる暗き海へと消ゆる雪  46_鹿児島  大西朝子
タナトスの隣に御座す冬の母  46_鹿児島  大西朝子
葱刻むシミひとつ無き割烹着  46_鹿児島  大西朝子

ネット投句(2020年11月30日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年12月15日 作成者: KAI2020年12月15日

・もう一度基礎固めを。

【特選】
手付かずの一日おそろし古日記  11_埼玉  園田靖彦
古伊万里の和蘭陀はるか返り花  12_千葉  池田祥子
二人死にひとり誕生神の留守  13_東京  西川遊歩
わらつとの納豆売りや雪の朝  14_神奈川  伊藤靖子
極月や関所の如き検温器  14_神奈川  原田みる
・ごとく。この違いは?
水面の黙より氷り始めけり  14_神奈川  三玉一郎
カンカンと炭新しき炉端かな  28_兵庫  加藤百合子
時雨忌やこれより道を分つ君  29_奈良  喜田りえこ
思想こそ国の柱よ竜の玉  44_大分  山本桃潤
じやぶじやぶと発句を洗へ寒の水  44_大分  山本桃潤
歌仙とは詩の旅なり冬銀河  44_大分  土谷眞理子

【入選】
ふるまひの大根千本干しにけり  01_北海道  高橋真樹子
日あたりて爪の先まで冬木かな  01_北海道  芳賀匙子
短日の独り居なればなほ迅し  01_北海道  柳一斉
・や
燃えあがる煖炉ゴッホの絵の具箱  07_福島  渡辺遊太
誤字脱字当て字そのまま日記果つ  11_埼玉  園田靖彦
日向ぼこ次の春までマスクして  11_埼玉  上田雅子
空澄みて水澄みてあき逝きにけり  11_埼玉  上田雅子
・秋
ともかくも百一歳や寒牡丹  11_埼玉  藤倉桂
焼き立てのだし巻き卵今朝の冬  12_千葉  若土裕子
冬桜あおげば薄き昼の月  12_千葉  若土裕子
訃報あり落葉踏みしめ行く夜かな  12_千葉  谷口正人
カトレアや皆集まれぬ誕生日  12_千葉  池田祥子
海底に沈むがごとく冬の都市  12_千葉  麻生十三
貧しくも冬大根の菜飯かな  12_千葉  麻生十三
人生の不孝に冷たき霙降る  13_東京  いかいあつし
突き出るや泥大根の宅急便  13_東京  岡田栄美
おでん屋を梯子したのは遠い日々  13_東京  森徳典
寒空や妻は昼寝の自粛慣れ  13_東京  森徳典
ゆつくりとつける自信や冬菫  13_東京  森凜柚
穴穿つ啄木鳥さえも家族持つ  13_東京  長尾貴代
一人きりの父の命日蘭の花  13_東京  長尾貴代
蟷螂の骸半分緑色  14_神奈川  遠藤初惠
逡巡の三年日記買ひにけり  14_神奈川  金澤道子
ヤマネよりしづかに我の冬眠す  14_神奈川  金澤道子
しぐれつつ同じお顔の六地蔵  14_神奈川  金澤道子
ワクチンの後のけだるさ浮寝鳥  14_神奈川  原田みる
新酒酌みこよい昭和に遊びけり  14_神奈川  三浦イシ子
しののめの精魂のこゑ冬山河  14_神奈川  三浦イシ子
抱き上げて重心のない兎かな  14_神奈川  三玉一郎
榾くべて午後の当番はじまりぬ  14_神奈川  松井恭子
冬庭や雉鳩遊び水飛沫  14_神奈川  森川ヨシ子
雉鳩は羽整へて日向ぼこ  14_神奈川  森川ヨシ子
落葉踏む音軽やかに退院す  14_神奈川  水篠けいこ
樽椅子や臓腑に沁みる新走り  14_神奈川  土屋春樹
筑波嶺の風に粉をふく吊し柿  14_神奈川  片山ひろし
コロナ禍もしばし忘るる炬燵かな  15_新潟  安藤文
枯木立ジャコメッティの人の影  20_長野  大島一馬
信濃雪楸邨書斎「岸の黄」  20_長野  柚木紀子
いづれも「エール」秋ななくさつぎつぎ  20_長野  柚木紀子
甘ずっぱくなった石榴輩(ともがら)はなればなれ  20_長野  柚木紀子
明るさの銀杏紅葉を歩きけり  21_岐阜  夏井通江
この山の椎降る音や幾千万  21_岐阜  梅田恵美子
・この山に。この違いは?
返信のキーボード打つ置炬燵  22_静岡  池ケ谷章吾
男の子ゴム縄跳びに混じりたく  23_愛知  臼杵政治
自転車を置いて銀杏拾うひと  24_三重  乾薫
・ふ
凍蝶の凍てを解きたる日射しかな  26_京都  氷室茉胡
存分に水遊ばせて紙を漉く  26_京都  氷室茉胡
大白鳥影といふものなかりけり  27_大阪  安藤久美
白鳥翔ちてさざなみのさみしさよ  27_大阪  安藤久美
代々の墓移しけり返り花  27_大阪  古味瑳楓
藷焼いて母が待ちたる我が家かな  27_大阪  内山薫
・の待ちゐし
着ぶくれてころがるやうに登園す  27_大阪  木下洋子
一口でとろける鰤の照焼よ  27_大阪  木下洋子
・で?
空寝して大人の話聞く炬燵  30_和歌山  玉置陽子
ゆさゆさと山揺らしたる蜜柑かな  30_和歌山  玉置陽子
・揺らし捥ぐ
片端から塩錆の出刃牡蠣を打つ  37_香川  丸亀葉七子
凩の声の行方を聴く夜かな  44_大分  竹中南行

ネット投句(2020年11月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年11月22日 作成者: KAI2020年11月22日

・投句のさい、これでわかってもらえるか、他人の目でご確認ください。自分の目ではなく他人の目。これができないといつまでも自立は無理。
・説明(理屈)は俳句からもっとも遠い。説明しようと思っていないか、チェックを。
・できるかぎり動きがでるように言葉を選ぶように。「片手の家路」よりは「片手に家路」。
・言葉を無理に押し込まない。削ること。秋小道→秋の道
・不必要な漢字を使わない。等、共など

【特選】
雪の夜を己が雪に変はるまで  01_北海道  柳一斉
・惜しいのは「を」。これが説明的精神の働き。雪の夜や
冬籠と思へば楽し入院日  13_東京  長井亜紀
父母の手のぬくもりや七五三  23_愛知  臼杵政治
・を、あるいは、の
漉きし紙人の温みの残りけり  26_京都  氷室茉胡
枯れ枯れて立つは菩薩でありしかな  27_大阪  安藤久美
蟷螂の石ごと枯れて石の上  27_大阪  古味瑳楓
冬苺見つけてはづむ山路かな  42_長崎  川辺酸模
襤褸布を繋ぎ詩にせん冬籠  42_長崎  百田直代
山茶花に鼻くつつける老いもよし  44_大分  山本桃潤
冬立つやここを栖の石たたき  44_大分  竹中南行
山茶花の咲きそろはんと蕾かな  44_大分  竹中南行
龍の玉仏の在す胸の中  44_大分  土谷眞理子

【入選】
はしゃぎ来る子らよ綿虫こそばいか  01_北海道  高橋真樹子
・はしやぎ。
初冬の人間しんと位置に着き  01_北海道  芳賀匙子
・着く
西国の空と光のみかん食む  01_北海道  芳賀匙子
・食ぶ
かな文字を大書したるや秋の雲  04_宮城  長谷川冬虹
・か
いくばくか日の差す方へ返り花  05_秋田  佐藤一郎
・上五ダメ。
町ぢゆうに熊の手配書うそ寒し  05_秋田  佐藤一郎
・季語再考。
車座に来よ亡き父母も蟋蟀も  07_福島  渡辺遊太
吊し切らる鮟鱇の科言ふてみよ  11_埼玉  園田靖彦
・言うて。「て」の前に「ふ」は来ないとでも覚えてください。
背文字まで陽のとどきをり冬の書庫  11_埼玉  佐藤森恵
・背表紙に
暁のむささび飛びて山眠る  11_埼玉  佐藤森恵
・暁や
池昏れて水鳥もみな昏れにけり  11_埼玉  上田雅子
うつし世の見飽きぬものに鳰  11_埼玉  上田雅子
此処母の終の棲家よ小鳥来よ  11_埼玉  藤倉桂
ジョギングで憂さを晴らすや鰯雲  12_千葉  谷口正人
・晴らさん
あらうれし冬立つ湯屋の掛け流し  12_千葉  池田祥子
・湯舟掛け流し
ヘルニアの膨らみ愛す小春かな  12_千葉  麻生十三
はやすでに疎ましきかな冬籠り  13_東京  いかいあつし
ちょい悪に見せる夫の冬帽子  13_東京  岡田栄美
・ちよい
腹立てど夜は揃いのちゃんちゃんこ  13_東京  岡田栄美
・揃ひ、ちやんちやんこ
日向ぼこ医院の前に椅子が出て  13_東京  岡惠
冬深き鮫の歯一つぺンダント  13_東京  岡惠
網棚にみやげの大根寛げリ  13_東京  市村さよみ
・くつろぎぬ
湯たんぽや今日も安堵の足三里  13_東京  市村さよみ
ボージョレのワイン片手の家路かな  13_東京  森徳典
・ボージョレの新酒、片手に
汗油落とす柚子風呂夜勤明け  13_東京  神谷宣行
・ゴリ押し俳句。ここのところ勘を喪失?
入院の我に届けよ金屏風  13_東京  長井亜紀
みどりの手空にさしいれ松手入  13_東京  長井亜紀
寒風や揺れる吊橋こはごはと  13_東京  楠原正光
・寒風に。や、とするほどの場面ではない。
冬めける行き交ふ人も早足に  13_東京  楠原正光
・冬めいて、冬めくや
冬あたたかゆつたり揺れるもやい船  13_東京  楠原正光
・もやひ
小春日や園帽の子等あそこにも  13_東京  堀越としの
夜の街も終電もなし年送る  13_東京  櫻井滋
黄落やことばは土に戻りけり  14_神奈川  越智淳子
熱の身を癒すりんごの力かな  14_神奈川  遠藤初惠
凩や久々に観る西部劇  14_神奈川  遠藤初惠
青空の真中に秋の女郎蜘蛛  14_神奈川  金澤道子
読み返す本に紅葉の栞かな  14_神奈川  三浦イシ子
日向ぼこみるみる老いてゆきにけり  14_神奈川  三玉一郎
そしてまた月曜がくる日向ぼこ  14_神奈川  三玉一郎
降り立ちて小春の中へ旅鞄  14_神奈川  松井恭子
吠えかかる見知らぬ犬よ短日よ  14_神奈川  松井恭子
谷底のあの辺に咲けり冬桜  14_神奈川  森川ヨシ子
・咲けり、不要。
柿食えばと言ひつつ柿を剥く子かな  14_神奈川  水篠けいこ
・食へば
愛犬の記憶新たに秋小道  14_神奈川  天野史郎
・秋の道
たくさんの鳶の舞ひゐて冬に入る  14_神奈川  那珂侑子
・上五いい加減。工夫せよ。
木の実なき山を下り来る母子熊  14_神奈川  片山ひろし
余生こそ枯木道とはするなかれ  14_神奈川  片山ひろし
・こそ、ヘン。
宙を飛ぶあまたの言葉や一茶の忌  15_新潟  安藤文
・や、不要。
深閑と木箱のりんご廊下かな  15_新潟  高橋慧
・りんごの木箱
鯉二匹泡二つや小六月  17_石川  花井淳
懐手してご隠居と呼ばしむる  17_石川  岩本展乎
・呼ばれゐる?
冬帽子目深にラジオ手放さず  17_石川  岩本展乎
あすあたり帰る燕の舞ふ夕べ  20_長野  金田伸一
神曲ダンテに新豆腐絹漉しに  20_長野  柚木紀子
一人来て障子の透ける日ざしかな  21_岐阜  夏井通江
・ゐて障子に
黄落やよちよちの子に走る子に  21_岐阜  三好政子
小春日やそこここに子と若き父  21_岐阜  三好政子
転ぶ子を枯草の香と共に抱く  23_愛知  宗石みずえ
笑む貌は少年のまま木の葉髪  23_愛知  宗石みずえ
・笑ひ顔
柿落葉隣の庭にニ三枚  24_三重  乾薫
・庭へ
若返る秘薬となさん鮟肝煮  26_京都  佐々木まき
顔に泥浴びて格闘泥鰌掘る  26_京都  氷室茉胡
茶の花や今は使はぬ登り窯  26_京都  氷室茉胡
まぼろしの琵琶に聴き入る夜長かな  27_大阪  安藤久美
天平の弓を弾けば鹿寄り来  27_大阪  安藤久美
立てるものみな鳴らしゆく凩は  27_大阪  古味瑳楓
天平の闇に冬立つおほぼとけ  27_大阪  古味瑳楓
一週間なにをしていてこの落葉  27_大阪  高角みつこ
・ゐて
狗尾草持ちてゆさゆさ街歩む  27_大阪  山中紅萼
身にしみてしばし途絶へる会話かな  27_大阪  内山薫
咳の人と隣りあはせやそぞろ寒  27_大阪  内山薫
霜月やコートにバツのしつけ糸  27_大阪  内山薫
吊し柿見守る日々のたのしかり  27_大阪  木下洋子
・下五アウト。
てつちりや景気悪いと言ひながら  27_大阪  木下洋子
・これが理屈の句。
原子炉は岬の蔭に小春凪  27_大阪  澤田美那子
資本論飛ばして読める夜寒かな  27_大阪  齊藤遼風
白菜の芯のあらはに真二つ  28_兵庫  加藤百合子
・芯も
朝毎に冬を迎ふる覚悟かな  28_兵庫  天野ミチ
ここが天国ハキダメギクは満開に  28_兵庫  藤岡美惠子
桐一葉ゆるりと舞いて着地せり  28_兵庫  髙見正樹
・舞ひて、舞うて
竹林を透かして朝の冬紅葉  29_奈良  田原春
冬紅葉オペラ独唱流れ来て  29_奈良  田原春
玉取の悲話の志度浦牡蠣太る  37_香川  丸亀葉七子
コンベヤー舟から小屋へ牡蠣流す  37_香川  丸亀葉七子
時雨の忌ものの気配を深く身に  37_香川  元屋奈那子
やまと歌仮名序心に桃青忌  37_香川  元屋奈那子
立冬の日のさしてきし机かな  37_香川  曽根崇
千年の戦世生きし枯木かな  42_長崎  川辺酸模
綿虫の世界も戦あるらしく  44_大分  山本桃潤

ネット投句(2020年10月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年11月2日 作成者: KAI2020年11月2日

・取り合わせの句、物と物、現実と現実ではたかが知れている。次元の異なる取り合わせを。
・旧仮名は辞書で勉強、確認を。特別の本、不要。

【特選】
からからと落葉が歌ふ風の道  11_埼玉  上田雅子
酔芙蓉ふたいろに咲く寒さかな  13_東京  永井奈緒
障子貼る怒りの穴塞がれり  13_東京  永井奈緒
・怒りの穴も塞ぎけり
闇汁会闇をつくって始まりぬ  13_東京  岡惠
・つ
奥能登の道路元標先は冬  17_石川  花井淳
秋冷や検査受くべく朝湯浴み  21_岐阜  三好政子
・む
水澄みて空のからつぽ映しけり  21_岐阜  梅田恵美子
・からつぽの空
大花野氷河削りし谷の中  23_愛知  稲垣雄二
また一つ大恥かくや秋扇  23_愛知  稲垣雄二
君と居るこの空間の秋惜しむ  23_愛知  稲垣雄二
・上々
真直ぐに切る真直ぐな新豆腐  23_愛知  臼杵政治
秋の蚊の血に酔ふらしや叩きたり  23_愛知  宗石みずえ
駆除と言ひ殺処分と言ふ冷まじき  23_愛知  青沼尾燈子
秋蝶とぶほどの静けき昼の庭  26_京都  佐々木まき
削り取る白龍が牙すさまじく  27_大阪  安藤久美
捨てられし案山子さながら秋昼寝  27_大阪  古味瑳楓
枯れてゆく蟷螂は目を動かさず  27_大阪  澤田美那子
・蟷螂の目の動きけり
黄落や北に南に大御堂  27_大阪  齊藤遼風
思い出の味濃き柿の老樹かな  28_兵庫  藤岡美惠子
・ひ
骨の嵩カサリと崩る夜寒かな  46_鹿児島  大西朝子
・カサと崩るる

【入選】
かろがろと牛放ちやる大花野  01_北海道  高橋真樹子
・上五ダメ。
星月夜どこから話そう父のこと  01_北海道  高橋真樹子
・これは俳句の入口。この先を。
枯れながら秋のはちすは空を聞く  01_北海道  芳賀匙子
人間の骨と焼かるる赤のまま  01_北海道  柳一斉
・骨の
思い出すものみな遥か秋の雲  01_北海道  柳一斉
・ひ
読みさしのぎんどろ句集秋深む  04_宮城  長谷川冬虹
・深し
獲りてなほ猟夫に残る殺気かな  05_秋田  佐藤一郎
・狩終へて
落日を訪ねて行けば新酒あり  07_福島  渡辺遊太
いつの日か天駆け登れ穴惑ひ  11_埼玉  藤倉桂
・穴惑ひいつの日か天駆け登れ
錦繍の秋の山々柿の葉寿司  12_千葉  若土裕子
初霜や甘さ増したる百匁柿  12_千葉  若土裕子
ドングリを拾う母子の影が伸び  12_千葉  谷口正人
・ふ。影長く
ひとり打つ新蕎麦の香に包まれて  12_千葉  谷口正人
・包まれて、不要。 
新米やこのいち椀に生かされて  12_千葉  麻生十三
・るる
鶏頭の大きな頭考へる  13_東京  岡惠
・考へよ
うとましや生きながらえし秋蚊哉  13_東京  森徳典
・秋蚊さへ
鷹渡る原子力空母眼の下に  13_東京  神谷宣行
・原子力空母眼下に鷹渡る
空中に嚇と火種の烏瓜  13_東京  西川遊歩
・火種や
望郷の流人の絶唱をみなへし  13_東京  西川遊歩
・の、不要。
夕暮れの灯りあまたや冬に入る  13_東京  楠原正光
・灯り、ゆるい。
コスモスや雨戸を閉ぢしままの家  13_東京  畠山奈於
曼珠沙華人待ち顔の二、三本  13_東京  堀越としの
・に二三本
卓の林檎しなびはじめて剥かれけり  14_神奈川  越智淳子
炊きこむとせん薩摩芋さいころに  14_神奈川  金澤道子
秋ばらの園去りがたし女たち  14_神奈川  三浦イシ子
・き
何気なく来て真っただなかや紅葉踏む  14_神奈川  三浦イシ子
・真っ、不要。
灯を消して大きな秋に抱かれをり  14_神奈川  三玉一郎
キーを打つ窓の向かふを寒烏  14_神奈川  水篠けいこ
イーゼルを畳む背中に降る落葉  14_神奈川  水篠けいこ
方丈にわらふハロウィンの南瓜  14_神奈川  中丸佳音
童心のあかしろきいろ球根植う  14_神奈川  那珂侑子
干し菜とはいわず干い葉や会津道  14_神奈川  服部尚子
・干い葉?
我が心秘する如くに火を埋む  14_神奈川  片山ひろし
・秘するが如く。ただし埋み火の常識。
秋の田や何炊く白き煙上ぐ  15_新潟  高橋慧
結び目にこの婚礼の鶴来る  17_石川  花井淳
割烹の技の始まり柚の香り  17_石川  花井淳
鳴きほそる鈴虫を見る夜寒かな  20_長野  金田伸一
・のぞく
詩を語るゲーテに深みゆく秋ぞ  20_長野  金田伸一
百頭の牛の反芻牧の秋  20_長野  大島一馬
霧氷林「生なのに死」「死なのに生」  20_長野  柚木紀子
森は木精(もくせい)うすら氷(ひ)は谺  20_長野  柚木紀子
華やかに背高泡立草の土手  21_岐阜  夏井通江
トラックの過ぎて突風冬木立  21_岐阜  夏井通江
コスモスの原に鉄塔寡黙なり  21_岐阜  古田之子
堰こゆる水きらきらと峡の秋  21_岐阜  梅田恵美子
草の花こんなに地味でいま盛り  23_愛知  臼杵政治
懐かしき海に鳶舞ふ天高く  23_愛知  野口優子
鎌の手をしばし休めて草紅葉  24_三重  乾薫
・休めよ
脳ドック検査正常木の葉髪  26_京都  氷室茉胡
海苔巻きの玉子分厚き夜食かな  27_大阪  高角みつこ
会へば恋とどまらざらん火の祭  27_大阪  山中紅萼
言い合へる朝にも高き空のあり  27_大阪  内山薫
・ひ
青蜜柑むけば幼き日にかへる  27_大阪  内山薫
・むいて
草の実を飾りて灯す我が家かな  27_大阪  内山薫
瓢の笛吹いて故郷の友のこと  27_大阪  木下洋子
蓮の実見つめてをれば飛び出さぬ  27_大阪  木下洋子
・ず
ねむるにはあまりに静か十三夜  27_大阪  澤田美那子
母のこと妻とふたりの夜長かな  27_大阪  齊藤遼風
天地をくるりと回す新走り  27_大阪  齊藤遼風
・る
白帝のうつらうつらと雲の上  28_兵庫  加藤百合子
押し寄せる木犀の香や開く窓  28_兵庫  髙見正樹
・窓ひらく
十三夜待つや芒の二三本  29_奈良  喜田りえこ
どの角も金木犀の香りかな  29_奈良  喜田りえこ
・この
東京の子の怖々と零余子飯  30_和歌山  玉置陽子
雲切れて女名月先づ一献  30_和歌山  玉置陽子
今まさにそらみつ大和柿の空  33_岡山  齋藤嘉子
帚草紅葉づさぬきの山円か  37_香川  丸亀葉七子
・づ、不要。
凩一号干柿甘く甘くなれ  37_香川  丸亀葉七子
残り蚊に覗かれてゐる密事かな  42_長崎  川辺酸模
その脛は細つてをるぞ蚊の名残  42_長崎  川辺酸模
我が墓標枯野に一つ石置きて  44_大分  山本桃潤
・石を置く
秋風の柳やしばし夢を見し  44_大分  竹中南行
・て
馬肥ゆる空となりけり馬の塚  44_大分  竹中南行
干柿や縁側広く空高く  46_鹿児島  大西朝子
・空広く
秋深し亡児のカバン捨てし朝  46_鹿児島  大西朝子
・く

ネット投句(2020年10月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年10月18日 作成者: KAI2020年10月18日

【特選】
大宇宙ぐらぐら揺らし雁渡る  01_北海道  高橋真樹子
一円も使はぬひと日天高し  13_東京  森凜柚
花野ゆく花野の果てのおそろしき  14_神奈川  松井恭子
男郎花見守るように女郎花  23_愛知  臼杵政治
・やうに
体育の日だつたはずの今日終はる  27_大阪  高角みつこ
冷まじやアドレス消去ワンタッチ  27_大阪  澤田美那子
我が影を隠して白き蕎麦の花  27_大阪  齊藤遼風
・白し
孫娘の凭れ掛かるや月を待つ  29_奈良  田原春
・の、不要。これ重大。
月浴びて涙のねずみ動き出す  33_岡山  齋藤嘉子
・走り出す?
詳細は聞かず語らず温め酒  37_香川  曽根崇
磯菊やタンカーすでに視野の外  38_愛媛  豊田喜久子
赤とんぼ展望台に山迫る  38_愛媛  豊田喜久子
よれよれの地球憂ふやけふの月  40_福岡  北井乃峰子
・地球を憂ふ
コスモスの光まぶしむ二人かな  42_長崎  川辺酸模
屏風絵が終の棲家や秋の蝶  42_長崎  川辺酸模
・棲家か
長き夜や飴山句集の書写をせん  42_長崎  百田直代
・の、不要。同じく。
爽やかや老いて無くせしもの多き  44_大分  山本桃潤
・あまた
色付きし言葉の森を歩む秋  44_大分  山本桃潤

【入選】
さみしさの先頭に立つ芒かな  01_北海道  芳賀匙子
天高し島ひとつ置き湖黙す  01_北海道  柳一斉
糸瓜忌や食ふことが一仕事とは  01_北海道  柳一斉
豊作の松茸お裾分けの山  03_岩手  川村杳平
・松茸の山お裾分け
手のひらにささめく木の実宇宙塵  07_福島  渡辺遊太
痛風のしんしんと来て秋の雨  11_埼玉  佐藤森恵
・しんしんと痛し
妻であり母である日々鳥渡る  11_埼玉  藤倉桂
一揺れに壊れてしまふ熟柿かな  11_埼玉  藤倉桂
・一揺れで
長き夜の夜汽車の窓に映るかほ  12_千葉  菊地原弘美
一両はべつたら市の帰り客  12_千葉  菊地原弘美
ベランダに夫の寝椅子を月今宵  12_千葉  若土裕子
箒木や農家の鶏放し飼ひ  12_千葉  若土裕子
・の、不要。
啄木鳥のまほら打つ音澄みわたる  12_千葉  池田祥子
すり鉢にぼてんと坐るとろろかな  13_東京  岡田栄美
警官のマスクの黒のそぞろ寒  13_東京  岡田栄美
秋草と並び座りぬ月の前  13_東京  岡惠
捧げ持つ皿を全き熟柿かな  13_東京  市村さよみ
・皿に
あつけなく抜けるスランプひよんの笛  13_東京  森凜柚
白き手の舞ふやグレコの枯葉散る  13_東京  西川遊歩
弟を棺に埋づめ燃ゆる菊  13_東京  西川遊歩
父がすり母がのばせるとろろ汁  13_東京  長井亜紀
・のばしぬ
草叢に確と立ちけり女郎花  13_東京  楠原正光
稲架の影伸びてひと日に事もなく  13_東京  堀越としの
・のびて一日何もなし
日々新た術後一年天たかし  13_東京  櫻井滋
秋風や異臭たちこむ秋津州  13_東京  櫻井滋
全校で落穂拾ひし山の村  14_神奈川  伊藤靖子
・拾へり
その皺の迷路楽しき胡桃かな  14_神奈川  越智淳子
窯変の果ての色なる柘榴かな  14_神奈川  金澤道子
お日様をぎゆつと詰めたる柘榴かな  14_神奈川  金澤道子
・お日様のぎゆつと詰まれる
コスモスを挿してひとりやティータイム  14_神奈川  金澤道子
・ひとりの
夕の日に仄かに染まる十日月  14_神奈川  原田みる
なかなかに形なさぬや鰮雲  14_神奈川  三浦イシ子
台風の大波岩に食ひ入るや  14_神奈川  三浦イシ子
夕映えの仕舞ひの色の熟柿かな  14_神奈川  松井恭子
蟷螂を月の草生に放ちたり  14_神奈川  水篠けいこ
氾濫の川を流れてゆく南瓜  14_神奈川  水篠けいこ
太股で磨く林檎や子は二十歳  14_神奈川  水篠けいこ
・太腿?
加はりてわれも揺れたし花芒  14_神奈川  中丸佳音
百目柿軒より吊るし故郷思う  14_神奈川  土屋春樹
・軒に吊して
蛇穴に入れば夢見る蛇となる  14_神奈川  湯浅菊子
・入りて
遠き日の少年となりひよんの笛  14_神奈川  片山ひろし
・少年現れよ
しんしんと隔離病棟夜は長し  15_新潟  安藤文
秋の虹二重とあらば殊の外  15_新潟  高橋慧
新米の迷はず卵かけご飯  17_石川  岩本展乎
仏壇は掌合はすところ荒尾梨  20_長野  金田伸一
敗戦の日職員室で食べた兎  20_長野  柚木紀子
枯れし蓮まだ枯れぬ蓮雨しづか  21_岐阜  夏井通江
雨のなか歩いてふいに野菊かな  21_岐阜  夏井通江
夕冷えて調子あやしき鉦叩  21_岐阜  古田之子
月山や花野の果ては空のはて  21_岐阜  梅田恵美子
秋雨や雫をきそふ蓮の葉  21_岐阜  梅田恵美子
瞑目の日がな一日鬼の子よ  21_岐阜  梅田恵美子
冬瓜の身の置き所なき世かな  23_愛知  稲垣雄二
・冬瓜も
鮎落ちて寂しき星となりにけり  23_愛知  稲垣雄二
無花果捥ぐ通学の子がおはやうと  23_愛知  臼杵政治
舟伏せて流木の浜秋夕焼  23_愛知  宗石みずえ
思ふこと一句にならぬ愚の秋よ  23_愛知  青沼尾燈子
まだ書けぬ便りのありて秋の暮  23_愛知  野口優子
名月や隣の瓦を照らしけり  24_三重  乾薫
・を、不要。
羽下げて枯れ木に休む蜻蛉かな  24_三重  乾薫
へそくりの場所忘れたり胡桃割る  26_京都  氷室茉胡
・忘れたる胡桃かな
池澄むや小魚ときに裏返り  26_京都  氷室茉胡
加減よき合はせ味噌玉秋日和  27_大阪  安藤久美
案山子の手かなしきまでに水平に  27_大阪  安藤久美
鹿の眼の中にも松の色変へず  27_大阪  古味瑳楓
俳句にも牛蒡引くにも筋肉よ  27_大阪  高角みつこ
バックパック開いたままなる夜長かな  27_大阪  高角みつこ
父の手を妹にゆずり鳳仙花  27_大阪  内山薫
・ゆづる
稔田を見たしと来しが苅田かな  27_大阪  内山薫
むき栗や皮むけぬ手のいとかなし  27_大阪  内山薫
大阪に都はありし今年米  27_大阪  木下洋子
・都の
豊年の力あふるる黄金波  27_大阪  澤田美那子
ひと筋の安堵の煙刈田中  27_大阪  澤田美那子
逆縁となるは一生温め酒  27_大阪  齊藤遼風
火の国に水豊かなり新ばしり  27_大阪  齊藤遼風
・火の国は
秋の海暮れてほのかに何の鳥  28_兵庫  加藤百合子
・ほのかや
月の宴はてたる後の月夜かな  28_兵庫  加藤百合子
どんぐりをにぎつたままで眠りをり  28_兵庫  千堂富子
とぎ汁は茶碗洗ひに今年米  28_兵庫  藤岡美惠子
敗荷や嘘と欺瞞の民主主義  29_奈良  喜田りえこ
御影堂やおん目の秋思深からむ  29_奈良  喜田りえこ
藁ぼつち太平洋を真正面  30_和歌山  玉置陽子
藁ぼつち夜はくれなゐの夢を見む  30_和歌山  玉置陽子
月浴びていやかぐはしきはざの稲  33_岡山  齋藤嘉子
新暦猫の写真が十二枚  37_香川  丸亀葉七子
声に出し秋明菊とはさみしき名  37_香川  丸亀葉七子
遠州の好みし茶碗秋の白  37_香川  元屋奈那子
月代やふところ深き山の宿  37_香川  元屋奈那子
石垣の石の温もり返り花  37_香川  曽根崇
祝ごと途絶えし日々や水引草  38_愛媛  豊田喜久子
括りたる新聞の嵩秋暑し  40_福岡  北井乃峰子
田の神のぼうと見てゐる田刈かな  42_長崎  川辺酸模
・ほうと
昼の虫虫歯きいきと穿らるる  42_長崎  百田直代
・上五ダメ。
コスモスや嫌はれ者になりきれず  44_大分  竹中南行
若き日の夫に会ひたし紅葉かな  44_大分  土谷眞理子
・会ひたる

ネット投句、年間賞第三期は百田直代さん

ネット投句 投稿日:2020年10月11日 作成者: dvx223272020年10月11日

【年間賞】
したたかに生きてしわしわソーダ水 長崎 百田直代
【次点】
術衣着て待つ私以外全部夏     東京 長井亜紀
天空に地球が赤く燃える夏     長野 大島一馬
【候補】
初盆や激しき性も石の下      愛知 青沼尾燈子 
海はエロス真白なヨット走らせて  大分 山本桃潤 
敗戦忌青柚のごとき学徒らよ    宮城 長谷川冬虹
鈴虫に負けじと螻蛄の鳴く夜かな  長野 金田伸一
葡萄狩る乳房のごとき一房を    埼玉 上田雅子
老の守る遺髪は黒し終戦日     愛知 宗石みずえ

ネット投句(2020年9月30日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年10月8日 作成者: KAI2020年10月8日

・思うことをいうのが句の基本。思うことを五七五に当てはめてはいけない。

【特選】
火照る身をばさと浸さん秋の風  07_福島  渡辺遊太
鬼柚子やマスクの顔も慣れにけり  13_東京  岡 惠
マスク越し沁みくるかをり葛の道  13_東京  畠山奈於
鈴虫に負けじと螻蛄の鳴く夜かな  20_長野  金田伸一
夫寝ねて灯火親しも青インク  21_岐阜  三好政子
・自分だけの時間。
あかあかや命を染める赤蜻蛉  21_岐阜  梅田恵美子
・あかあかと命染まりぬ
親の知らぬ道も行くらし草虱  23_愛知  宗石みずえ
父と来て草に隠れる小鳥狩  27_大阪  山中紅萼
・れし
アユタヤの秋恋しがる子象かな  29_奈良  喜田りえこ
のどぐろや百万石の箸に秋  29_奈良  喜田りえこ
・箸の秋
てのひらに笹舟ひとつ秋うらら  44_大分  竹中南行
小宇宙集めて葡萄大宇宙  44_大分  土谷眞理子

【入選】
飛べることうれしき空へ雁帰る  01_北海道  高橋真樹子
夕顔の実一つ畑の仕舞はるる  01_北海道  芳賀匙子
かんぺうをへろへろ剥きて真白かな  01_北海道  芳賀匙子
明日ありと閉づる眼や星月夜  01_北海道  柳一斉
白桃や乳房むさぼる赤子かな  04_宮城  長谷川冬虹
・白桃の
月代や団子積む妻たわいなし  05_秋田  佐藤一郎
・たわいなく
束の間の縁なりけり菊膾  07_福島  渡辺遊太
目が覚めて秋の呼吸になりてをり  11_埼玉  佐藤森恵
宇宙(コスモス)の色みな集め落ち葉かな  11_埼玉  佐藤森恵
新米来る田を守りゐる兄一人  11_埼玉  上田雅子
・田を守る兄一人より
姿なき遠吠えさまよふ霧の街  11_埼玉  湯浅寒葵
蒼天や毬栗笑栗出落栗  11_埼玉  藤倉桂
秋澄むや姉と口紅選ぶ昼  12_千葉  菊地原弘美
ごろごろと湯もみのやうや桶の芋  12_千葉  若土裕子
秋雨や傘で間をとるディスタンス  12_千葉  谷口正人
山雀の戻り来る垣秋高し  12_千葉  池田祥子
父背負い秋の山行く湯治かな  12_千葉  麻生十三
・ひ
自転車の曲線朱色秋めきぬ  13_東京  井上じろ
ぬくめ酒ちりめんさんしょのぴりからと  13_東京  横山直典
・さんせうぴりからと。旧仮名が読みにくければ漢字に。
手に触れし表紙ひやりと秋の暮  13_東京  岡 惠
色褪せしもんぺばかりの茸採り  13_東京  岡田栄美
蓑虫のこれ一筋のいのち綱  13_東京  岡田栄美
鬼の子の密を嗤ひて揺るるかな  13_東京  市村さよみ
骨納む何時か吾身も秋彼岸  13_東京  森徳典
大いなる自然のちから芋虫に  13_東京  神谷宣行
秋風やちりりとミント乾きゆく  13_東京  西川遊歩
土用波いよいよ富士は青くあれ  13_東京  長井亜紀
点滴がいのちのみずや滴れり  13_東京  長井亜紀
・づ
あをさぎや夏を揺らせよゆさゆさと  13_東京  長井亜紀
子等さりてあとかたもなき彼岸かな  13_東京  長尾貴代
秋風や我が身の内を通り抜け  13_東京  楠原正光
上寿まで杖一本や今日の菊  13_東京  畠山奈於
秋の朝脱ぎ着手を貸すこと多く  13_東京  畠山奈於
啄木鳥に戸を叩かれて八十路かな  13_東京  櫻井滋
不知火を待てど見えざりあの闇夜  14_神奈川  伊藤靖子
落ち葉踏む音むかふより来りけり  14_神奈川  遠藤初惠
虫売りが夕暮れ連れて来たりけり  14_神奈川  金澤道子
水澄むや空より青く映る空  14_神奈川  原田みる
後悔の雲に寝ころぶ夜長かな  14_神奈川  三玉一郎
十手先の秋を見てゐる扇かな  14_神奈川  三玉一郎
日の影にかくれてをりぬ赤蜻蛉  14_神奈川  松井恭子
味噌漬けの一切れうれし栗おこわ  14_神奈川  水篠けいこ
三畳間机代わりの林檎箱  14_神奈川  水篠けいこ
曼殊沙華恐ろしかりし下校途  14_神奈川  中丸 佳音
ちょつかいを出すなと怒るいぼむしり  14_神奈川  湯浅菊子
・ちよつかい
これぞ秋晴れどこまでも歩きたし  14_神奈川  那珂侑子
熊の仔と競いてさがす通草の実  14_神奈川  服部尚子
・ひ
車窓より富士の新雪まのあたり  14_神奈川  片山ひろし
色えんぴつ百本削り秋に入る  15_新潟  高橋慧
越中は刈田の中や西東  17_石川  花井淳
秋草やファールボールが転げ込む  17_石川  岩本展乎
鈴虫を飼へば真昼のこゑ高し  20_長野  金田伸一
鈴虫の総出に霧を吹きかくる  20_長野  金田伸一
人類は露つるかめあめつちに  20_長野  柚木紀子
「みんな長生きしないとね」炬燵猫千一つぴき  20_長野  柚木紀子
山宿の闇みづみづしずいき食ぶ  21_岐阜  夏井通江
噛んでみて絵本確かむややの秋  21_岐阜  夏井通江
稲刈や泥田の轍黒ぐろと  21_岐阜  古田之子
竜胆や龍太思ほゆ山の道  21_岐阜  梅田恵美子
雲遊ばせて金閣の秋の水  26_京都  氷室茉胡
吾が身の箍あちこち外れ木賊刈る  26_京都  氷室茉胡
こもりくの空の奥へと稲架を組む  27_大阪  安藤久美
望月は大き眼にあふれけり  27_大阪  古味瑳楓
校長は瓢箪ばかり遺しけり  27_大阪  古味瑳楓
秋の蜂信号待ちをからかひて  27_大阪  高角みつこ
涼しさや朝の戸開けの軽やかさ  27_大阪  山中紅萼
秋の日の母のリハビリ紙風船  27_大阪  内山薫
山路来て僧が手打の走り蕎麦  27_大阪  木下洋子
月仰ぎコロナ籠りもよからんや  27_大阪  澤田美那子
姿よき子芋選びて衣被  27_大阪  澤田美那子
・選びぬ
一刷毛の雲の行方や松虫草  28_兵庫  千堂 富子
家路なる暗き土手道夜寒かな  28_兵庫  髙見正樹
秋寒し舫う艀を洗う波  28_兵庫  髙見正樹
・ふ
立て札の百姓一揆彼岸花  29_奈良  田原春
大甕へばさと入れたる芒かな  30_和歌山  玉置陽子
秋風の忘れてゆきし茶杓かな  33_岡山  齋藤嘉子
秋の風すさみに削る茶杓かな  33_岡山  齋藤嘉子
青葡萄吾の資産は想ひ出の束  37_香川  丸亀葉七子
人去りて秋風ばかり天守閣  38_愛媛  豊田喜久子
うたた寝て顔なつかしき青瓢  42_長崎  川辺酸模
うたた寝の
風はるかよりはるかへと花野かな  42_長崎  百田直代
百幹の中の一幹竹を伐る  44_大分  竹中南行
おもしろや顔のゆがみし捨案山子  44_大分  土谷眞理子
生き死には表裏一体秋簾  44_大分  土谷眞理子
名月や遠回りして眼鏡橋  46_鹿児島  大西朝子
不機嫌な猫の瞳に月蒼く  46_鹿児島  大西朝子
・蒼し

ネット投句(2020年9月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2020年9月29日 作成者: KAI2020年10月8日

・すっかり遅くなりました。

【特選】
葡萄狩る乳房のごとき一房を  11_埼玉  上田雅子
浅漬やこのひと塩に母の味  13_東京  岡田栄美
・ひと塩の
ふるさとの少年となり鰍突く  14_神奈川  片山ひろし
真夜中の飛蝗と遊ぶ一詩人  20_長野  金田伸一
街なかの水路に魚影水澄める  28_兵庫  髙見正樹
しやりしやりと二十世紀や口の中  28_兵庫  天野ミチ
・澄めり
ふがふがとオルガンを弾く夜長かな  30_和歌山  玉置陽子

【入選】
秋風のはやさで登るリフトかな  01_北海道  高橋真樹子
ぬるま湯にほろほろほどくはららごよ  01_北海道  芳賀匙子
歩きたし紫陽花のある旧家まで  01_北海道  柳一斉
二番花桔梗いよいよ群れ咲けり  04_宮城  長谷川冬虹
蒼穹の切り岸高し秋の蝶  07_福島  渡辺遊太
虫売りの虫に名前をつけて呼ぶ  11_埼玉  園田靖彦
・虫売は
嫁となる女性に一献菊の酒  11_埼玉  藤倉桂
・嫁となる人
団塊の我ら老人大銀河  12_千葉  池田祥子
かなかなや昨日のはやも懐かしき  12_千葉  池田祥子
・はやも昨日の
夜なべして栗むく指や懐かしき  12_千葉  麻生十三
虫売りの棲み処は誰も知らぬまま  13_東京  西川遊歩
・虫売は
自然薯の蔓を見つける一仕事  13_東京  楠原正光
・蔓探すのも
見に入むや暗渠となりし渋谷川  14_神奈川  金澤道子
・身
秋の野に泣く子走る子はだかんぼ  14_神奈川  原田みる
ドアノブに届けられたる秋なすび  14_神奈川  水篠けいこ
幼子の髪に一輪秋桜  14_神奈川  土屋春樹
牛群れて人を見に来る花野かな  14_神奈川  湯浅菊子
桐の葉や残暑の風になぶられて  14_神奈川  服部尚子
チェロ弾きが道を横切る星月夜  17_石川  岩本展乎
湿原に木道白し秋に入る  20_長野  大島一馬
・白し?
秋日和放心の蝶迷い来ぬ  20_長野  大島一馬
うすらひの絶対音感娘ハモ  20_長野  柚木紀子
恐竜の背中のやうなゴーヤ割く  21_岐阜  三好政子
露ふみてめざす山巓雲のなか  21_岐阜  梅田恵美子
山の宿水旨かりき星月夜  21_岐阜  梅田恵美子
・山宿の
森閑と耳鳴りを聴く良夜かな  22_静岡  池ヶ谷章吾
秋扇かすかに骨の音したり  23_愛知  稲垣雄二
振り向ける野良着の美貌葛の風  23_愛知  宗石みずえ
コンビニへいつもの道の虫時雨  23_愛知  宗石みずえ
長茄子に跨り父は西方へ  23_愛知  青沼尾燈子
秋風に丸ごと吹かれ大文字山  26_京都  佐々木まき
ウイルスの世に一抜けて行く夏よ  26_京都  佐々木まき
・世を
近頃は妻の言ひなりいぼむしり  26_京都  氷室茉胡
邯鄲の壊れさうなるうすみどり  27_大阪  古味瑳楓
蝶睦むきりきりと射す陽射し中  27_大阪  山中紅萼
虫売の今年は居らず虫の声  27_大阪  木下洋子
生き難き日の幾日ぞ蝦蛄を剥く  27_大阪  齊藤遼風
無花果を二三のこして白寿かな  27_大阪  齊藤遼風
ぎんどろのさやぐや白き秋の風  28_兵庫  加藤百合子
折鶴に命吹き込む秋の夜  28_兵庫  千堂富子
黙祷の一穂一穂や青田風  28_兵庫  藤岡美惠子
朝歩き玄関出ればそぞろ寒  28_兵庫  髙見正樹
上げ潮に波立つ河口秋の昼  28_兵庫  髙見正樹
初鴨の羽をやすめる水の音  29_奈良  喜田りえこ
鰯雲ラジヲの告ぐる死者の数  29_奈良  喜田りえこ
芳しき畦の匂ひや蜻蛉行く  29_奈良  田原春
稲刈るや西行庵を仰ぎつつ  30_和歌山  玉置陽子
たましひを夏のどこかに忘れけり  33_岡山  齋藤嘉子
雨粒の映える七色唐辛子  37_香川  丸亀葉七子
虚空よりひとかけの詩を水の澄む  37_香川  元屋奈那子
心中に一本の木や涼新た  38_愛媛  古志溢子
アルバムを開きしよりの秋思かな  42_長崎  川辺酸模
朗々と杜甫よむ夜学教師かな  42_長崎  百田直代
佇立して見上ぐるばかり今日の月  43_熊本  筑紫秋蘭
草の花自由の価値を知る香港  44_大分  山本桃潤
もう眠し眠らせてくれ酔芙蓉  44_大分  土谷眞理子

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