ネット投句(2021年6月30日)選句と選評
・①意味不明の句②ただごと③既視感のある句は作る必要がありません。
・全体として(特選含め)詩乏しい。
【特選】
飛ぶよりも歩くのが好き天道虫 21_岐阜 古田之子
一生はさよならばかり傘雨の忌 27_大阪 齊藤遼風
ひと粒の青山椒の忿怒かな 30_和歌山 玉置陽子
・かな、を使う場面ではない。
声がまづ若返りたり更衣 37_香川 曽根崇
【入選】
紫陽花の蒼を深めて昨夜の雨 01_北海道 村田鈴音
ばらけ飛ぶ烏追ふ烏梅雨夕焼 01_北海道 芳賀匙子
郭公や牧場の朝の静けさに 01_北海道 柳一斉
枇杷熟るる福なほ遠き福島よ 04_宮城 長谷川冬虹
妻の留守七難七福冷し酒 04_宮城 長谷川冬虹
火蛾二匹音なく羽根を打ちあへる 07_福島 渡辺遊太
鰐口振つて詩の神呼ばふ若葉かな 07_福島 渡辺遊太
よりそへばこころひらきぬ月見草 11_埼玉 園田靖彦
ワクチンの列ながながと梅雨入かな 11_埼玉 上田雅子
紫陽花の色のブラウス退院す 12_千葉 芦野アキミ
金魚鉢ぬうつと覗く目が二つ 12_千葉 菊地原弘美
老鶯の林をぬけて退院す 12_千葉 若土裕子
石垣のここに今年も蛇の衣 12_千葉 若土裕子
紫陽花の盛り過ぎれば無残なり 12_千葉 池田祥子
落ち落ちて今日を急ぐや凌霄花 12_千葉 池田祥子
かつて島マンモス歩く雲の峰 12_千葉 池田祥子
子雀や日暮れてここは丸の内 13_東京 岡恵
父の忌や父の香りの古扇 13_東京 岡田栄美
炎天やペンキ剥がれし勝鬨橋 13_東京 岡田定
母の琴母校へ寄贈鉄線花 13_東京 西川遊歩
骨に皮へばりつきたる涼しさよ 13_東京 長井亜紀
魂が透けて涼しきレントゲン 13_東京 長井亜紀
泳ぎきて砂浜遠くただよえり 13_東京 楠原正光
時鳥いつしか多摩に五十年 13_東京 畠山奈於
百日紅ますます奔放碧天に 13_東京 堀越としの
近づけば寄りくる金魚夜明け前 14_神奈川 伊藤靖子
波去りて跡なき浜を行く素足 14_神奈川 伊藤靖子
青梅の落ちたばかりのきれいさよ 14_神奈川 越智淳子
父と子と同じ格好の昼寝かな 14_神奈川 遠藤初恵
麦茶湧く昭和96年の朝 14_神奈川 遠藤初恵
七月や紅茶に浮かべミントの葉 14_神奈川 金澤道子
梅雨の蝶なんぢやもんぢやは大きな木 14_神奈川 金澤道子
饅頭を供へられたり大昼寝 14_神奈川 三玉一郎
島ひとつ崇めて大き茅の輪かな 14_神奈川 松井恭子
浅草に蜜豆を食べ別れしが 14_神奈川 中丸佳音
兄の余命幾ばくもなし雲の峰 14_神奈川 土屋春樹
家売つて家財整理しあら涼し 14_神奈川 湯浅菊子
ひとり居や大きな家の枇杷熟るる 14_神奈川 那珂侑子
よくはねるものから選りて囮鮎 14_神奈川 片山ひろし
挽きたてのコーヒーの香や青あらし 15_新潟 安藤文
しめやかにピアノ弾く母朔太郎忌 15_新潟 安藤文
姉の雪山妹の夏山かき氷 16_富山 酒井きよみ
かき氷さいしょの匙の入れどころ 16_富山 酒井きよみ
こぼれたる新茶擦り込む手の甲に 17_石川 岩本展乎
こともなく針穴に糸涼しき目 17_石川 岩本展乎
夜濯やしばらく水を手にうけて 17_石川 松川まさみ
憎らしき銭苔の花今盛り 17_石川 密田妖子
夏至の日や地球正しく宙にあり 20_長野 大島一馬
上顎にはカマンベールチーズ病棟ははる嵐 20_長野 柚木紀子
夏の雷人清めをり楸邨忌 21_岐阜 夏井通江
田を植ゑて緑の世界に立ちつくす 21_岐阜 夏井通江
紫蘇揉みし手いつまでも塩の味 21_岐阜 古田之子
滝裏へ飛び込んでいくい岩燕 21_岐阜 古田之子
枇杷食めば種からからと転がりぬ 21_岐阜 梅田恵美子
二回目の接種終わりぬソーダ水 21_岐阜 梅田恵美子
婿となる身丈確かむ白絣 23_愛知 宗石みずえ
風運ぶ遠き氷河の溶ける音 23_愛知 服部紀子
梅雨晴や山を眺めてふとん干し 24_三重 乾薫
早起きを言い訳にして昼寝かな 24_三重 乾薫
噴水の天辺水の遊びをり 26_京都 氷室茉胡
冷酒や旅の終はりのだだちや豆 27_大阪 高角みつこ
真っ黒を笑はれてゐるバナナかな 27_大阪 内山薫
風鈴や好きな一句を吊り下げん 27_大阪 澤田美那子
滴りの涸れんとするを一雫 28_兵庫 加藤百合子
黒蛇は哀し神之使者ならず 28_兵庫 福田光博
海原へ落とすバナナの皮と恋 30_和歌山 玉置陽子
しやんとさす夏痩の身や水飲んで 33_岡山 齋藤嘉子
二番草取りをへし朝出征す 33_岡山 齋藤嘉子
恋の文ほたるぶくろに仕舞ひけり 37_香川 丸亀葉七子
蠅虎に猫あそばれてをりにけり 37_香川 丸亀葉七子
ハンカチに埋もれてアベノマスクかな 42_長崎 ももたなおよ
海ぶだう含めば苦し慰霊の日 42_長崎 川辺酸模
網干して眠る一村慰霊の日 42_長崎 川辺酸模
昼は畑夕は港に鰺を釣る 44_大分 竹中南行