《連衆》玉置陽子、松川まさみ、松井恭子、高橋慧、上田雅子、三玉一郎、川辺酸模、喜田りえこ、青沼尾燈子、湯浅菊子、安藤文、岩井善子、飛岡光枝、佐藤森恵、葛西美津子、齊藤嘉子、西川遊歩、密田妖子、中野美津子、北側松太、長谷川櫂(捌)
二〇二三年 十二月十三日~二〇二四年四月三日
【初折の表】
発句 雪明かり遠き昔の姫はじめ 長谷川冬虹(春・恋)
脇 けさの日和に梅もほころぶ 光枝(春)
第三 峠越ゆ獅子舞富士をながめつつ 善子(春)
四 波に抗ふ小舟危ふし 松太(雑)
五 すさまじき真闇の底で手を擦るも 酸模(秋)
六 月を焦がして燃ゆる旅客機 雅子(秋・月)
【初折の裏】
初句 磯鴫の群れいつせいに飛び立ちぬ 恭子(秋)
二 Giographicの写真寝室に掛く 一郎(雑)
三 五回目の宇宙ステーションはや一年 恭子(雑)
四 涙しながら聴く舟唄よ 文(雑)
五 油絵の遺作を冬の月照す 恭子(冬・月)
六 悴む指で燃やす恋文 酸模(冬・恋)
七 鑿研ぎてひたすら打つは夜叉の面 まさみ(雑)
八 一番鶏のこゑ長々と 葛西美津子(雑)
九 あたふたと玩具が戻る玩具箱 遊歩(雑)
十 春の大地のまた揺るるなり 尾燈子(春)
十一 離るも地獄残るも地獄花ふぶく 一郎(春・花)
折端 四十七人切腹の春 松太(春)
【名残の表】
初句 明石町塩瀬まんぢう手土産に 嘉子(雑)
二 乙三先生百寿の祝ひ 酸模(雑)
三 朝風呂は伊豆の大島眺めつつ 葛西美津子(雑)
四 明日は越えなむ真白き峠 陽子(雑)
五 月氷る北極圏へ暗殺者 りえこ(冬・月)
六 チェーホフとその美しき妻 酸模(雑・恋)
七 木漏れ日の微笑みだけが残りけり 光枝(雑)
八 白露ゆるる夕顔の花 陽子(夏)
九 光悦の墨したたらす筆の先 一郎(雑)
十 閉関の札秋の籬に 嘉子(秋)
十一 今日の月野に下りて何企むか 妖子(秋・月)
十二 賭けて大敗こほろぎ相撲 陽子(秋)
【名残の裏】
初句 闇の果て第九惑星あるらしく 尾燈子(雑)
二 玉手箱から煙たちのぼる 松太(雑)
三 八十を過ぎてまうけし子が三たり 松太(雑)
四 わらび肴にけふも晩酌 陽子(春)
五 吉野山うち烟らせて花ふぶく 陽子(春・花)
挙句 櫻花壇もカフェとなる春 慧(春)