憲法記念日の5月3日(木)、東京・下北沢で日本国憲法について講演します。主催はリベラル日本研究会です。
【リベラル日本研究会主催 第6回憲法記念日講演会】
日 時:2018年5月3日(木)13:30〜15:30(13:15開場)
会 場:北沢タウンホール3階ミーティングルーム(世田谷区下北沢2−8−18)
資料代:1000円
予約・問い合わせ;090−2163−1451(やなださん)
憲法記念日の5月3日(木)、東京・下北沢で日本国憲法について講演します。主催はリベラル日本研究会です。
【リベラル日本研究会主催 第6回憲法記念日講演会】
日 時:2018年5月3日(木)13:30〜15:30(13:15開場)
会 場:北沢タウンホール3階ミーティングルーム(世田谷区下北沢2−8−18)
資料代:1000円
予約・問い合わせ;090−2163−1451(やなださん)
二月が寒かったので今年の桜は遅いかと油断していたら、三月になって急に暖かくなり、桜は早々と咲き、早々と散り果ててしまった。
今年の吉野山の花の句会は四月七、八日だったが、今まではまだ花の咲いていない年もあったのに、今年ばかりは下千本はいうもおろか、中千本、上千本も葉桜。岡野弘彦先生と私と家内、吉野神宮前駅で近鉄電車を降りて金峯山寺まで車で登り、わずかに咲き残る奥千本の花を惜しんだ。
句会はその夜と翌朝の二回。数年前に閉じた櫻花壇の百畳の、といっても数えたことはないのだが大広間を借りて開いた。この大広間、吉野谷に向かう全面がガラス戸になっていて、花ざかりに巡り合えば、花の絵巻を目の当たりにすることになるのだが、今年は葉桜絵巻になってしまった。しかしながら、俳句にとっては散り果てた花を忍ぶのも格好の題材ではある。
句会で感銘を受けた句をいくつか。
その奥の花を見にゆくはなふぶき 三玉一郎
今宵どの桜吹雪に眠らうか
近年とみに頭角を現してきた人である。前句は散る花とその奥の桜を二重に重ねて詠んだところ。後句は旅寝を装いながら、どの桜の下に眠ろうかとはいわず、桜吹雪に眠るといったところが卓抜である。ますますの研鑽を期待したい。
桜湯をゆらせばほのと花ひらく 澤田美那子
茶碗の桜湯を揺らす。するとそれに応えるかのように一輪の桜の花びらがほぐれる。肩の力の抜き方というか忘れ方がすばらしい。先ごろ、『さくらんぼ』というそれは美しい句集を出されたばかりだが、句集を編むことの功徳がこんな形で出てくるのであれば、これほどうれしいことはない。
無意識も意識も花のわが身より 上田忠雄
朝湯して黒髪花のごとくあり 上田悦子
忠雄さんの句は「花のわが身かな」だったのをこう直したのだが、いずれにしても観念を恐れず一句にした。悦子さんの句は黒髪の存在感が尋常のものではない。互いにまったく異なりながら相通じるところもあって、夫婦で句を作る理想に近い形がここにあるだろう。(「古志」5月号、「俳句自在」を転載)
・4月7日夜の句会
☆岡野弘彦選
【特選】
花の茣蓙かの世の人の席あけて 嘉子
天空へ花盛りあげて奥千本 豊
佐保姫の裔をわが子と賜りぬ 嘉子
【入選】
ひとひらに心ただよふ花ふぶき 悦子
もののふの魂鎮めてや花の山 豊
その奥の花を見にゆくはなふぶき 一郎
長閑さやすぐにきこゆる寝息かな 沙羅
御座の間に寝しもむかし花の山 沙羅
その奥に耳すましゐるさくらかな 一郎
山桜炎のごとき葉の芽ぶき 美智子
行く春に西行庵で追ひつきぬ 雄二
杉箸の細さ軽さや蒸鰈 光枝
花散りしあとの枝々やすらぎぬ 通江
奈落より千の光や花吹雪 りえこ
当歳の白犬の子よ名はさくら 櫂
春の星歌仙を巻いてをられるや 雪子
なつかしきこの花冷の百畳間 美那子
闇あらば闇へしだるる桜かな 忠雄
☆長谷川櫂選
【特選】
花曇しばらくぶりにものおもふ 貴子
今宵どの桜吹雪に眠らうか 一郎
その奥の花を見にゆくはなふぶき 一郎
桜湯をゆらせばほのと花ひらく 美那子
花びらの迷ひてゆくや吉野杉 史生
この宿を押し流さんと花吹雪 育子
家を出て春風のなかさまよひぬ 通江
幾千の髑髏眠らん花の山 嘉子
【入選】
ことしはや花とびちらふ信の忌 沙羅
ひとひらに心ただよふ花ふぶき 悦子
大岡忌ことしは花のふぶく中 美津子
散りつくし谷より返る花ふぶき 弘彦
大岡忌水なき空に桜かな 沙羅
売々てあと一笊の蕨かな 洋子
杖ついて花を見てをり西行忌 育子
国栖魚の腸のにがさも花のころ 二本
花散らす雨に集へるわれらかな 美津子
御座の間に寝しはむかし花の山 沙羅
菫咲くほとりに植うる若木かな 美津子
喜々として花に籠れる鳥は何 美那子
鬼植ゑし桜もあらん吉野山 雄二
みよしのの山ごと散りて花の暮 忠雄
夜桜におもかげしのぶ前登志夫 弘彦
今生の縁とおもふ花の句座 育子
花冷や黄泉路の妻のおもはるる 弘彦
忘れめや櫻花壇の花の冷 洋子
ひと口の酒で酔うたか花疲れ 貴子
塔いらか花の中なる吉野山 弘彦
なつかしきこの花冷の百畳間 美那子
折口も最後の弟子も桜守 遊歩
ごおとそおきようだいごいが空およぐ 宏(櫻花壇先代)
杖ついて花の絵巻の道をゆく 育子
・4月8日朝の句会
☆岡野弘彦選
【特選】
花守の子も花守となりしかな 櫂
麗はしの神の宿りし糸桜 りえこ
ひとひらの花散るごとく人逝けり 育子
わが子抱く春の重みといふべしや 竜樹
【入選】
遠き日や皆貧しくてつくしんぼ 雅子
幻の春の雪舞ふ吉野建 光枝
みよしのの花より白し春の雪 久美
はなびらの湯へと下りゆく吉野建 美那子
ほのぼのと闇さへ花の吉野かな 櫂
天上へ怒涛のごとく山桜 悦子
少年の一句かがやく山桜 洋子
ひやうひやうと笛を鳴らして大岡忌 二本
見送らん山超えてゆく春の人 光枝
桜蕊降る音を聞く吉野かな 嘉子
鳶高音押しひらきゆく花の山 久美
明易し法螺貝の声満山に 史生
わすれ雪ほのかに花の香りかな 久美
植えてなほ花のこぼるる苗木かな 沙羅
すこやかなやや授からん糸桜 悦子
ぱつと花咲かすことばや大岡忌 遊歩
春の雪ひとつ灯ともす如意輪寺 美那子
奈良茶粥花のほぐれてゆくごとく 美津子
それぞれの花の別れといふべしや 竜樹
☆長谷川櫂選
【特選】
鬼もまた花に憑かれてさまよふか 雄二
葉桜となりてゆさゆさ吉野山 二本
吉野から手足はみ出し朝寝かな 一郎
麗はしの神の宿れり糸桜 りえこ
いつか見し櫻花壇の花ふぶき 通江
無意識も意識も花のわが身より 忠雄
朝湯して黒髪花のごとくあり 悦子
奈良茶粥花のほぐれてゆくごとく 美津子
【入選】
花冷やいまひとたびの鶉粥 嘉子
花酔の顔を揃へて茶粥かな 史生
この宿を寿がんとや花に雪 史生
押鮨や花びらにして桜鯛 光枝
雪なのか幻なのか花なのか 通江
山の蜾蠃家に入りきて出てゆかず 弘彦
舞塚やかげろふ高くまた低く 嘉子
花冷や大峰山の豆腐売り 洋子
西郷と月照のこと草の餅 竜樹
この山の花びらかしら雪かしら 美津子
花の宿廊下は森の小道めく 通江
さらさらと茶粥すするや花疲れ 二本
紙衣一枚ふたりで分かつ花の冷 嘉子
一夜明け雪の別れとならうとは 雪子
日のあたる桜のやうにもの思ふ 竜樹
山中の鬼呼び寄せて花会式 遊歩
吉野川のぼつて花見鰻かな 雄二
葉桜の山に白山桜かな 育子
この宿の柱にもたれ花惜しむ 竜樹
なつかしき額かかげあり花の宿 二本
姿よしすでに花つけ若桜 雅子
杉樽に水のあふれて花うぐい 忠雄
人が植ゑ鬼が育てし山桜 美那子
富士を見て帰る東京さくらもち 美津子
深吉野は雪もて春を送りけり 嘉子
花冷を灯して眠る一夜かな 一郎
吉野紙花守しるす花の歌 竜樹
健やかな花の寝息の一夜かな 光枝
すがすがしき風わたりくる桜かな 豊
夜明けから湯けむり上る花の宿 洋子
花冷の背中まるめて朝寝かな 一郎
目つむれば吉野は花の盛りなり 二本
草餅や弟手伝ひ兄もまた 美津子
子がくれて草餅のまだやはらかき 久美
☆岡野弘彦
老いの身のふるさと近き花の山
☆長谷川櫂
花守の子も花守となりしかな
①この調子で。
【特選】
生きているものは口あけ大干潟 11_埼玉 上田雅子
花まちて光のなかへ種下ろす 12_千葉 池田祥子
老人の陽炎を出つ入りつかな 13_東京 井上じろ
目つむれば思ふことみな春の夢 13_東京 井上じろ
骨焼いて灰は絶家の花の塵 13_東京 神谷宣行
佐保姫のまどろむ吉野雪舞へり 13_東京 西川遊歩
誘はれて奥へ奥へと桃の花 13_東京 長井亜紀
たつぷりと寝て眠さうな子猫かな 14_神奈川 金澤道子
さみしさの餌食となりし朝寝かな 14_神奈川 三玉一郎
花ふぶき走り書きボブディランの如 20_長野 柚木紀子
@の如、不要
存分に咲きし花より花の塵 23_愛知 稲垣雄二
@花なり、よりがうるさい。
吾旅はひとり寝の旅花吹雪 23_愛知 青沼尾燈子
わたつみのご機嫌よろし桜鯛 27_大阪 安藤久美
花は葉にはやなつかしき吉野山 27_大阪 木下洋子
@吉野山はやなつかしや花は葉に、か?
花びらに雪もまじるや奈良茶粥 27_大阪 澤田美那子
菅笠の散り積む花の遍路かな 27_大阪 齊藤遼風
@菅笠に
まな板は檜にかぎる桜鯛 38_愛媛 豊田喜久子
蛇穴を出て祖国などとうになく 38_愛媛 木下誠
皮引かれなほくれなひの桜鯛 38_愛媛 木下誠
@皮引いてなほくれなゐや
『俳句の誕生』、藤沢周さんの書評が「東京新聞」(4月1日)に載っています。
『俳句の誕生』、週刊新潮(4月12日号)に詩人の渡辺十絲子さん、日本経済新聞(4月7日)に俳人の神野紗季さんの書評が載っています。
ネット投句年間賞(第1期)は喜田りえ子さんに決まりました。
【年間賞】
ひとつづつ仏の顔や種浸し 大阪 喜田りえこ
【次点】
涅槃図の外にも哭ける何々ぞ 大阪 古味瑳楓
夢のまま氷りつきたる水車かな 埼玉 園田靖彦
呪を唱え家中回る冬の蠅 神奈川 森川ヨシ子
【候補】
ひそやかにわが心にも寒の紅 大阪 澤田美那子
書きだしてはるかなこころ初日記 愛媛 岡崎陽市
寒鰤やかがやくばかり能登の塩 大阪 安藤久美
風邪の神幾年ぶりに訪れし 埼玉 上田雅子
君ら今春泥の只中にあり 愛知 稲垣雄二
我らみな風に吹かるる吊し雛 宮城 長谷川冬虹
根の土の重きを選び苗木買ふ 群馬 白石明男
もの思ふ水輪となりてはるのみづ 神奈川 三玉一郎
スーパーに近江の春の蜆かな 京都 横山幸子
己が身のごとくぬぐひぬ遍路杖 愛媛 木下誠
これほどわくわくしながら一冊の本を手にとるのは、そうそうあることではない。
なにしろ『俳句の誕生』を解き明かしてくれるというのだ。
つんのめりながら扉を開いた。
第一章「転換する主体」では自ら巻いた歌仙を例に、一句ごとに「主体の転換」が起こっている。歌仙の連衆は場面を転換するために「自分自身でもない別の誰か、新たな主体に成り代わる」と述べる。
第二章は「切れの深層」。「発句とは歌仙の句と句の「間」、そこで起こる主体の転換を一句の内部にとりこんだもの」。そして、それによって「言葉の無限の交響」を目指すものだと説く。
ということは、いわゆる「取り合わせ」は歌仙の付け合いから生まれた手法ということになる。「発句は畢竟取合物とおもひ侍るべし」(『俳諧問答』)という芭蕉の言葉も、これですっきり合点がいく。
それにしても、この第一・二章だけでも句作りに精を出す者にとっては一冊の著書に相当するような内容の濃さである。
第三章「空白の時空」。主体が転換するときに、心は「空白の時空」に遊んでいる。そこで生まれるものが「詩歌」である。
第四章「無の記憶」では「詩歌を作ると言うことは、詩歌の作者が作者自身を離れて詩歌の主体になりきること」。そして、「言葉によって失われた永遠の静寂を、ふたたび言葉によって取り戻そうとするのが詩歌である」と言い切る。
やはり詩歌はちっぽけな自分を表現するものではない。もっと深いところから、もっと広いところから湧き出てくるものなのだ。
第五章「新古今的語法」では、「新古今的な言葉の切り結び」が禅の伝来に端を発していると言う。
第六章「禅の一撃」では、まず「禅問答とは言葉の限界を言葉によって知らせ、修行者を宇宙の真理に直面させるための言葉の仕掛け」と述べ、一方「シュルレアリスムの核心」は「言葉とその論理をいったん破壊して新たに組み上げる」ところにあるとする。その上で、「シュルレアリスムも禅もそれから生まれた新古今的語法も俳句も、はるか昔、人類が言葉を獲得したことによって失われた永遠の静寂を懐かしむ人類の郷愁が姿を現したもの」と喝破する。
これまでに、こんなに込み入った事柄について、糸をほぐすように分かりやすく書き留めた文言があっただろうか。
ここからは俳句のおかれた現状について考察する。
第七章は「近代俳人、一茶」。本来の「リアリズム」と子規の説いた「写生」の違いを明らかにし、近代俳句の発生は子規ではなく一茶に遡ることができると捉える。
第八章「古典主義俳句の光芒」では、蕪村の「春風馬堤曲」をつぶさに読んで、子規の取り上げた蕪村の「写生」がその一面でしかないと指摘する。
第九章の「近代大衆俳句を超えて」は、はじめに「大衆俳句指導者」としての虚子と、「俳人虚子」の本質的な違いをあぶり出す。さらに「虚子、蛇笏とつづく詩歌の本道が龍太にも楸邨にも受け継がれた」。それと同時に「衆愚政治(ポピュリズム)の時代が到来し」、俳句も「大衆化が極度に進んだ」と分析する。そして、この状況を直視し「巷にあふれる俳句の批評と選句を前にしたとき、それが単なる好みによるものか、それとも言葉と詩歌の歴史を踏まえた見識によるものか、いいかえれば誰の批評であり誰の選句であるかを見極めなければならない。」と結ぶ。
筆者は『俳句の誕生』を『俳句の宇宙』『古池に蛙は飛びこんだか』に続く三部作の最終巻と位置づけているが、もちろんそこには『子規の宇宙』や『芭蕉の風雅』『新しい一茶』等の著書も流れ込んでいる。その結果、ここに大きなダムができあがった。
『俳句の誕生』は「俳句とは何か」という問いに、長谷川櫂が全力を注いで導き出した答えである。しかし、それは最終的な解答ではない。あくまでも現時点での最高到達点である。
いずれこの答えは更新されるであろう。宇宙の謎が一つ一つ解き明かされていくように。それは櫂自身によるかも知れないし、後から来た誰かによってかも知れない。
肝心なのは『俳句の誕生』によって明らかにされた真相を、これからの俳句に生かしていけるかどうかである。これを読んで頭で理解して、それでこと足りたとしてしまったのでは何のためにもならない。
『俳句の誕生』は、新しい『俳句の誕生』を促す一冊である。長谷川櫂はそれを待ち望んでいるに違いない。(村松二本)
「お気に入り」(リンク)を追加しました。神奈川近代文学館(かなぶん)から北海道こだわりの旬野菜まで、お菓子屋さんも服屋さんもあります。のぞいてみてください。
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・こよみのページ
・北海道こだわり旬野菜
・カフェパンセ湘南
①いったん作った句は必ず推敲を。
【特選】
白を融き青を解かしつ流氷は 20_長野 柚木紀子
ひとつづつ仏の顔や種浸し 27_大阪 喜田りえこ
佐保姫の箱庭にして大八洲 27_大阪 古味瑳楓
涅槃図の外にも哭ける何々ぞ 27_大阪 古味瑳楓
俑の手は駱駝引くらし長閑しや 27_大阪 長谷川陶子
蝌蚪の群れ近江はやがて水の中 27_大阪 齊藤遼風
棟上げを空よりはやすひばりかな 37_香川 曽根崇
みな島を出てゆく子らよ卒業歌 37_香川 曽根崇
ほほ笑んで花となりたる花見かな 38_愛媛 岡崎陽市
咲き満ちし桜へ月の光かな 38_愛媛 豊田喜久子
@こんままではダメ。桜は
月の夜は鬼も泣くらむ花の山 42_長崎 川辺酸模