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ネット投句(2020年10月31日)特選と選評

俳句的生活 投稿日:2020年11月2日 作成者: KAI2020年11月2日

・取り合わせの句、物と物、現実と現実ではたかが知れている。次元の異なる取り合わせを。
・旧仮名は辞書で勉強、確認を。特別の本、不要。

【特選】
からからと落葉が歌ふ風の道  11_埼玉  上田雅子
酔芙蓉ふたいろに咲く寒さかな  13_東京  永井奈緒
障子貼る怒りの穴塞がれり  13_東京  永井奈緒
・怒りの穴も塞ぎけり
闇汁会闇をつくって始まりぬ  13_東京  岡惠
・つ
奥能登の道路元標先は冬  17_石川  花井淳
秋冷や検査受くべく朝湯浴み  21_岐阜  三好政子
・む
水澄みて空のからつぽ映しけり  21_岐阜  梅田恵美子
・からつぽの空
大花野氷河削りし谷の中  23_愛知  稲垣雄二
また一つ大恥かくや秋扇  23_愛知  稲垣雄二
君と居るこの空間の秋惜しむ  23_愛知  稲垣雄二
・上々
真直ぐに切る真直ぐな新豆腐  23_愛知  臼杵政治
秋の蚊の血に酔ふらしや叩きたり  23_愛知  宗石みずえ
駆除と言ひ殺処分と言ふ冷まじき  23_愛知  青沼尾燈子
秋蝶とぶほどの静けき昼の庭  26_京都  佐々木まき
削り取る白龍が牙すさまじく  27_大阪  安藤久美
捨てられし案山子さながら秋昼寝  27_大阪  古味瑳楓
枯れてゆく蟷螂は目を動かさず  27_大阪  澤田美那子
・蟷螂の目の動きけり
黄落や北に南に大御堂  27_大阪  齊藤遼風
思い出の味濃き柿の老樹かな  28_兵庫  藤岡美惠子
・ひ
骨の嵩カサリと崩る夜寒かな  46_鹿児島  大西朝子
・カサと崩るる

古志仙台ズーム句会(2020年10月25日)

俳句的生活 投稿日:2020年10月27日 作成者: KAI2020年10月27日

・第一句座              
長谷川冬虹選 
【特選】
猪撃たれ泪目のまま吊られをり    上 俊一
落ち鮎の鋭き眼ひるみけり      石原夏生
石の間身を細うして鮭抜けぬ     宮本みさ子
その山のどことは云はず茸籠     石川桃瑪
ましら酒一夜限りと酔うてみる    佐伯律子
【入選】
男の手もみぢ一枝を山苞に      佐藤和子
昭和史の枷まだ解けず衣被      鈴木伊豆山
塔婆立つうしろ被曝の芒原      宮本みさ子
招待状来ない今年の運動会      那珂侑子
紅葉見やあの世に続く道ならむ    佐伯律子
秋潮や開けてはならぬ玉手箱      武藤主明
行く秋の波郷の声や深大寺      那珂侑子
自転車のスポーク冷えて秋日和    服部尚子
手づかみで食はねば秋の鮎ならず   石原夏生
のけぞりぬはらこ掻くとき鮭の母   宮本みさ子

長谷川櫂選 
【特選】
一人づつ子の顔浮かぶ衣被      辻奈央子
秋の蚊にのぞきこまれし心かな    辻奈央子
龍太百歳山々の柿奉れ        長谷川冬虹
読まぬ本捨ててすつきり一遍忌    石原夏生
秋晴や戦車のごとくコンバイン    武藤主明
【入選】
塔婆立つうしろ被曝の芒原      宮本みさ子
紅葉山ゴンドラ揺れてすれ違ふ    武藤主明
草の実を払ふ肩胸肘背中       伊藤 寛
遠く住む息子元気か新酒酌む      那珂侑子
狼の護符貼る土蔵夜長かな      服部尚子
落ち鮎の鋭き眼ひるみけり      石原夏生
芋煮るや再現できぬ母の味      森 凛柚
山に向くベンチに一人秋澄めり    及川由美子
遠吠えもひと工夫せよ犬の秋      青沼尾燈子
その山のどことは云はず茸籠      石川桃瑪
散り果てて骨太々と大銀杏      上 俊一
手づかみで食はねば秋の鮎ならず   石原夏生
嶽々の眠らんとして聳へ立つ      青沼尾燈子
度し難き人の心やいわし雲      川辺酸模
のけぞりぬはらこ掻くとき鮭の母   宮本みさ子
マスクして余計なことを言はざりき  森 凛柚
口閉づることも忘れて月見かな    辻奈央子
山粧ふひと夜で変はる山の彩      阿部けいこ
秋暑し二進も三進も汚染水      武藤主明

・第二句座(席題=茸、熊、霜)
長谷川冬虹選 
【特選】
顔中に草の実つけて熊走る      伊藤 寛
あの時の父に逢はんと茸山      武藤主明
二月堂三月堂へ霜の道        長谷川櫂
祖母つひに茸のしろを明かさずに   上 俊一
毒きのこ身ぬちに一つ許しをり    石川桃瑪
【入選】
山の柿たらふく喰らへ熊の子よ    上 俊一
松茸の被曝も告げて回覧板      宮本みさ子
椎茸やふてぶてしくも育ちたる    青沼尾燈子
七曲り抜けて行きしや茸山      佐伯律子
舞茸や花のやうなる一抱へ      長谷川櫂
子ウサギの道の標や月夜茸      川辺酸模
われひとり霜降る夜の無人駅      佐藤和子
またぎ等の眼差し親し熊の山      及川由美子

長谷川櫂選
【特選】
一つの死しづかに囲む熊の猟      石川桃瑪
頂いてその名も知らぬ茸かな      石原夏生
子ウサギの道の標や月夜茸      川辺酸模
祖母つひに茸のしろを明かさずに   上 俊一
母熊の太く鋭き爪光る        長谷川冬虹

【入選】
月光を浴びて羆は眠りをり     辻奈央子
月山をひとり抜けくる熊の鈴     宮本みさ子
松茸の被曝を告げて回覧板     宮本みさ子
毒茸抜かずに二日眺めたり     那珂侑子
除染袋粗塩のごと霜を置く     甲田雅子
熊騒動犬の散歩も儘ならず     阿部けいこ
顔中に草の実つけて熊走る     伊藤 寛
産直の茸盛られて香放つ      阿部けいこ
初霜や一番乗りのごみ置き場     石原夏生
猿らの寝息聞こえる霜夜かな     川辺酸模
おほかたは毒ある大き茸かな     及川由美子
舞茸の今年も届く少しかな     阿部けいこ
山刀伐の翁の道や霜柱       長谷川冬虹
毒きのこ身ぬちに一つ許しをり   石川桃瑪
狭庭にも一本立つや毒キノコ     那珂侑子

古志正倉院展ズーム句会(2020年10月24日)

俳句的生活 投稿日:2020年10月25日 作成者: KAI2020年10月26日

・第一句座
【特選】
正倉院展花とひらきてしづかな秋  美那子
香木は山河の香り小鳥来る     悦子
琵琶ひとつ枯れゆくものの姿かな  忠雄
花鹿は月の光と遊びをり      光枝
花の角とぢて眠るや山の鹿     光枝
【入選】
円鏡に天平の夢映る秋       洋子
一雨に秋深まるや奈良茶粥     光枝
髪梳きし恋の鏡のしぐれけり    久美
ペルシャの瑠璃の杯新酒注がん   悦子
いつの世の馬頭観音柿ひとつ    光枝
正倉院展了れば冬がすぐそこに   まき
疫病の今年もたわわ大和柿     洋子
押勝の鎧ぼろぼろ大花野      久美

・第二句座                       
【特選】
秋軽き奈良墨ひとつ思ひ出に    美那子
円鏡の裏はしづかな冬の夜     忠雄
残欠にまた訪れる夜寒かな     忠雄
【入選】
初しぐれや身替り猿の下がる軒   まき
行く秋の若草山に鹿の影      まき
銀木犀朝日の入る大仏殿      桃潤
団栗の混じりて遊ぶ鹿の糞     光枝
どら焼の小倉山にもけふの月    光枝
正倉院曝涼文書奴婢の名も     久美

古志金沢ズーム句会(2020年10月17日)

俳句的生活 投稿日:2020年10月21日 作成者: 北側松太2020年10月22日

第一句座
・鬼川こまち選
【特選】
永遠にポケットから出る木の実かな   中野徹
犀川を流れ流れてゆく秋ぞ       趙栄順
乾鮭やふるさとの風やがて雪      齋藤嘉子
風神のけさの一吹き富士に雪      長谷川櫂
露の世の露を抄ひし茶杓かな      松川まさみ
秋さびし白雲小さくちぎれ飛ぶ     近藤沙羅
ゐまちつき浅酌両吟ゆめみたる     泉早苗
白山の風吹き入れよ松手入       篠原隆子
大空の腹も鳴らさん秋刀魚焼く     稲垣雄二
落ちてゆく眠りの中に鉦叩       酒井きよみ
無花果の熟れてマチスの女かな     玉置陽子
瞑想の四角をあふれ水澄めり      篠原隆子
一斉にこぶし挙げたる石蕗の陣     密田妖子
【入選】
白山はあの雲のなか秋あざみ      梅田恵美子
若狭井の奈良へ澄みゆく秋の水     宮田勝
生くるには身軽が宜し捨案山子     土谷眞理子
虫めずる姫となるらん花野径      泉早苗
夕顔の畑や羅漢のおはすかに      齋藤嘉子
破れ障子ふえゆく空き家秋日燦     密田妖子
水の秋小瓶に詰めて水飴に       稲垣雄二
四角の窓四角に映し月今宵       高橋慧
白山の初冠雪や金木犀         宮田勝
梨売りのひとつ加へて包みをり     清水薫
軽き世に加賀丸芋のねばりかな     篠原隆子
鰯雲くづれて空のゆるびけり      梅田恵美子
白山の秋を干したり稲架襖       長谷川櫂
菩提寺の坊守包めよ月あかり      中野徹
紫に水は澄みけり金時草        齋藤嘉子
真緑のかぼすをぎゆつと秋搾る     山本桃潤
大津絵の鬼かたはらに鴨の鍋      泉早苗
ささささと風にかぜ乗る竹の春     宮田勝
台風や海の底をもくつがへし      齋藤嘉子
居籠りにあらず栗の実剥いてをり    佐々木まき
骨となる果は同じや秋刀魚焼く     土谷眞理子
しらやまへ参道長し橡の餅       花井淳
陽は燦々石蕗に化けたる黄蝶かな    密田妖子
白鳥来る瓢湖の空をほしいまま     高橋慧
鉦叩闇の深さを計るかに        佐々木まき
こだまして犀川の月流れけり      玉置陽子
白山のまどろむ頃か山眠る       趙栄順

・長谷川櫂選
【特選】
白山はあの雲のなか秋あざみ      梅田恵美子
乾鮭やふるさとの風やがて雪      齋藤嘉子
縦横の雨おもしろや玩亭忌       玉置陽子
吾が心深く耕せ温め酒         土谷眞理子
干鯊の知る人ぞ知る出汁の味      酒井きよみ
白山の参道長し橡の餅         花井淳
無花果の熟れてマチスの女かな     玉置陽子
【入選】
杖の音名残が原の花野行く       梅田恵美子
犀川を流れ流れてゆく秋ぞ       趙栄順
虫めずる姫となりたし花野径      泉早苗
稲架一竿明恵上人生誕地        玉置陽子
疫の世へ小鳥が咥へきたる枝      篠原隆子
大空も腹を鳴らさん秋刀魚焼く     稲垣雄二
大津絵の鬼かたはらに鴨の鍋      泉早苗
白山もまどろむ頃か山眠る       趙栄順
瞑想の四角をあふれ水澄めり      篠原隆子
古墳より顔出してゐる野菊かな     近藤沙羅

第二句座(席題=秋の草、梅室忌)
*梅室忌は旧暦嘉永5年10月1日、新暦1852年11月12日。
・鬼川こまち選
【特選】
俳諧の刀研ぐべし梅室忌        長谷川櫂
結びゆくものみな透けて秋の草     玉置陽子
東京をぐるりと囲む秋の草       稲垣雄二
白山の初雪のころ梅室忌        長谷川櫂
もてなしの柚味噌練らん梅室忌     酒井きよみ
あかあかと刻まれし句碑梅室忌     花井淳
【入選】
犀川に鮭のぼるころ梅室忌       泉早苗
梅室忌発句は己が道標         山本桃潤
ざざぶりの過ぎたる日ざし秋の草    松川まさみ
朝市に秋の七草ひとならべ       佐々木まき
梅室忌てんこう碑へも柿一つ      泉早苗
捨てきれぬ詩の一行や秋の草      中野徹
オフィ-リア千草を胸に冠に      齋藤嘉子
人知れず生きて飄々梅室忌       山本桃潤
陶狸の親子寄り添ひ秋の草       氷室茉胡
紅葉してわれに千草の小径あり     篠原隆子
南朝の武士はみな千草かな       篠原隆子
群がりていよいよさみし秋の草     趙栄順

・長谷川櫂選
【特選】
犀川に鮭のぼるころ梅室忌       泉早苗
梅室忌展宏碑へも柿一つ        泉早苗
卯辰山落葉かぐはし梅室忌       梅田恵美子
障子張る梅室忌には日のあれど     酒井きよみ
秋草のおもひおもひを時雨籠      安藤久美
紅葉してわれに千草の小径あり     篠原隆子
南朝の武士はみな千草かな       篠原隆子
もてなしの柚味噌練らん梅室忌     酒井きよみ
手炙に火の入れてある梅室忌      酒井きよみ
【入選】
加賀の空澄み渡るころ梅室忌      趙栄順
阿蘇は今千草に牛の遊ぶころ      齋藤嘉子
梅室忌昔をいまに鐘楼門        鬼川こまち
京の人迎へて修す梅室忌        花井淳
秋草の中に小さき道標         玉置陽子
干柿の甘さ増すころ梅室忌       佐々木まき
繕はぬこころで座る梅室忌       松川まさみ
額に手をやるこの頃や梅室忌      宮田勝
女紋ゆづりて軽し秋の草        安藤久美
群がりていよいよさみし秋の草     趙栄順
雨の日の姿寂しき秋の草        中野徹

ネット投句(2020年10月15日)特選と選評

俳句的生活 投稿日:2020年10月18日 作成者: KAI2020年10月18日

【特選】
大宇宙ぐらぐら揺らし雁渡る  01_北海道  高橋真樹子
一円も使はぬひと日天高し  13_東京  森凜柚
花野ゆく花野の果てのおそろしき  14_神奈川  松井恭子
男郎花見守るように女郎花  23_愛知  臼杵政治
・やうに
体育の日だつたはずの今日終はる  27_大阪  高角みつこ
冷まじやアドレス消去ワンタッチ  27_大阪  澤田美那子
我が影を隠して白き蕎麦の花  27_大阪  齊藤遼風
・白し
孫娘の凭れ掛かるや月を待つ  29_奈良  田原春
・の、不要。これ重大。
月浴びて涙のねずみ動き出す  33_岡山  齋藤嘉子
・走り出す?
詳細は聞かず語らず温め酒  37_香川  曽根崇
磯菊やタンカーすでに視野の外  38_愛媛  豊田喜久子
赤とんぼ展望台に山迫る  38_愛媛  豊田喜久子
よれよれの地球憂ふやけふの月  40_福岡  北井乃峰子
・地球を憂ふ
コスモスの光まぶしむ二人かな  42_長崎  川辺酸模
屏風絵が終の棲家や秋の蝶  42_長崎  川辺酸模
・棲家か
長き夜や飴山句集の書写をせん  42_長崎  百田直代
・の、不要。同じく。
爽やかや老いて無くせしもの多き  44_大分  山本桃潤
・あまた
色付きし言葉の森を歩む秋  44_大分  山本桃潤

古志鎌倉ズーム句会(2020年10月11日)

俳句的生活 投稿日:2020年10月13日 作成者: 田中 益美2020年10月16日

第一句座
・藤英樹選
【特選】
南無金剛金木犀の香りけり     長谷川櫂
秋茄子の丸々とまた長々と     関根千方
学問の自由不自由鉦叩       木下洋子
壺あらば壺にもの言ふ秋の夜    森永尚子
旧仮名に辞書また開き玩亭忌    金澤道子
天晴れと秋の寝ころぶ浅間山    葛西美津子
日本語のうつろふ早さ玩亭忌    澤田美那子
朝寒や開きしままの「後鳥羽院」  越智淳子
【入選】
稲雀小さきバケツの田んぼにも   藤原智子
秋爽の息肋骨のすみずみへ     仲田寛子
ポケットに男の矜持玩亭忌     升谷正博
旅に出よと言はれ雀は蛤に     澤田美那子
行く秋や空に積れる浅間山     長谷川櫂
市振の月を心に月見かな      木下洋子
そこはかと色好みあり才一忌    園田靖彦

・長谷川櫂選
【特選】
うそ寒や汝の横に我の顔      関根千方
栃の実のこつんと落ちて玩亭忌   わたなべかよ
旧仮名や辞書また開く玩亭忌    金澤道子
天晴れや秋の寝ころぶ浅間山    葛西美津子
目の玉の水晶替へて月夜かな    関根千方
玩亭忌旧かなで出す弾劾書     喜田りえこ
我が影に意思の生まるる良夜かな  金澤道子
秋の日に溺れさうなり玩亭忌    藤英樹
そこはかと色好みありき才一忌   園田靖彦
【入選】
稲雀バケツの中の田んぼにも     藤原智子
玩亭忌秋の扇となりにけり      金澤道子
生きのびし市民文学玩亭忌      おほずひろし
秋爽の息肋骨のすみずみへ      仲田寛子
パソコンを閉ぢておやすみ星月夜   田中益美
何本も長薯持たせてくれるなり    長井はるみ
秋が目をぱちりと開ける朝かな    森永尚子
金木犀白いマスクを外しけり     田中益美
渋柿の甘柿となる一夜かな      園田靖彦
園児らの背に頭に木の実降る     園田靖彦
求愛もマスク越しかや玩亭忌     木下洋子
床に就く前に詞華集玩亭忌      越智淳子
幼きは木の実ひとつをお守りに    越智淳子
柿の葉の色づき初めぬ玩亭忌     藤原智子
波寄するごとく声援運動会      藤原智子
至福なる一人の時間夜長かな     吉田順子
手を添へて神のよりしろ案山子抜く  仲田寛子
赤坂に連句の秋や玩亭忌       西村麒麟
旧かなに深き思ひや玩亭忌      わたなべかよ

第二句座
席題=放屁虫 、芋嵐
・藤英樹選
【特選】
愚かなる我に賢き放屁虫       わたなべかよ
放屁虫ゐさうと思ふやはりゐる    金澤道子
馬の眼は哀しく澄みぬ芋嵐      葛西美津子
けふの宿机の上に放屁虫       西村麒麟
芋嵐リュックひとつの一人旅     木下洋子
芋あらし青磁のやうなこの星の    関根千方
【入選】
放屁虫おどさぬやうに紙の端     イーブン美奈子
伊吹へと皆傾ぎゆく芋嵐       澤田美那子
慌ただし故郷去る日の芋嵐      越智淳子
俳諧は息ぞ間合ひぞへこき虫     西川遊歩
芋嵐護符の貼られし農具小屋      曽根崇
民草はなんのと立てり芋嵐       園田靖彦
りつぱなり渾身の屁のへひり虫     森永尚子
一片の雲を払ひて芋嵐        葛西美津子

・長谷川櫂選
【特選】
畑ごとふつとびさうや芋嵐      森永尚子
屁放虫生きとし生けるもの強し    園田靖彦
山寺やその名物にへこきむし     森永尚子
亀虫の姿の見えぬにほひかな     おほずひろし
乾坤に芳香はなつや放屁虫      神谷宣行
【入選】
放屁虫おどさぬやうに紙の端     イーブン美奈子
放屁虫後ろの足をひよいと上げ    西村麒麟
愚かなる我に賢き放屁虫       わたなべかよ
弱虫に生きる術あり屁ひり虫     川村玲子
放屁虫ゐさうと思ふやはりゐる    金澤道子
芋嵐ただ一人なる旅をせん      吉田順子
民宿の床に鎮座やへひりむし     曽根崇
慌ただし故郷去る日の芋嵐      越智淳子
取り込める洗濯物に放屁虫      わたなべかよ
ひやひやと胸吹き抜けよ芋嵐     曽根崇
いたち罠がたがた鳴らし芋嵐     仲田寛子
この国の行方おそろし芋嵐      藤英樹
芋嵐沖の小舟の揺れ通し       仲田寛子
姿形美しくして屁ひり虫       澤田美那子
芋嵐骨壺に哭く喉仏         喜田りえこ
りつぱなり渾身の屁のへひり虫    森永尚子
けふの宿机の上に放屁虫       西村麒麟
貼りつきて四角い尻の放屁虫     長井はるみ
夜を光るへつぴり虫のみどりかな   イーブン美奈子

10月24日、正倉院展ズーム句会

俳句的生活 投稿日:2020年10月13日 作成者: KAI2020年10月18日

10月24日(土)、正倉院展の開幕に合わせて古志正倉院展句会をズームで開きます。

時間は午後1時30分から。第一句座(5句投句)と第二句座(3句投句)があります。どちらも正倉院展にかぎらず、秋の句をお寄せください。午後4時終了予定。

申し込みはこのサイトから。

ネット投句、年間賞第三期は百田直代さん

俳句的生活 投稿日:2020年10月11日 作成者: 北側松太2020年10月11日

【年間賞】
したたかに生きてしわしわソーダ水 長崎 百田直代
【次点】
術衣着て待つ私以外全部夏     東京 長井亜紀
天空に地球が赤く燃える夏     長野 大島一馬
【候補】
初盆や激しき性も石の下      愛知 青沼尾燈子 
海はエロス真白なヨット走らせて  大分 山本桃潤 
敗戦忌青柚のごとき学徒らよ    宮城 長谷川冬虹
鈴虫に負けじと螻蛄の鳴く夜かな  長野 金田伸一
葡萄狩る乳房のごとき一房を    埼玉 上田雅子
老の守る遺髪は黒し終戦日     愛知 宗石みずえ

ネット投句(2020年9月15日)特選と選評

俳句的生活 投稿日:2020年10月8日 作成者: KAI2020年10月8日

・すっかり遅くなりました。

【特選】
葡萄狩る乳房のごとき一房を  11_埼玉  上田雅子
浅漬やこのひと塩に母の味  13_東京  岡田栄美
・ひと塩の
ふるさとの少年となり鰍突く  14_神奈川  片山ひろし
真夜中の飛蝗と遊ぶ一詩人  20_長野  金田伸一
街なかの水路に魚影水澄める  28_兵庫  髙見正樹
しやりしやりと二十世紀や口の中  28_兵庫  天野ミチ
・澄めり
ふがふがとオルガンを弾く夜長かな  30_和歌山  玉置陽子

ネット投句(2020年9月30日)特選と選評

俳句的生活 投稿日:2020年10月8日 作成者: KAI2020年10月8日

・思うことをいうのが句の基本。思うことを五七五に当てはめてはいけない。

【特選】
火照る身をばさと浸さん秋の風  07_福島  渡辺遊太
鬼柚子やマスクの顔も慣れにけり  13_東京  岡 惠
マスク越し沁みくるかをり葛の道  13_東京  畠山奈於
鈴虫に負けじと螻蛄の鳴く夜かな  20_長野  金田伸一
夫寝ねて灯火親しも青インク  21_岐阜  三好政子
・自分だけの時間。
あかあかや命を染める赤蜻蛉  21_岐阜  梅田恵美子
・あかあかと命染まりぬ
親の知らぬ道も行くらし草虱  23_愛知  宗石みずえ
父と来て草に隠れる小鳥狩  27_大阪  山中紅萼
・れし
アユタヤの秋恋しがる子象かな  29_奈良  喜田りえこ
のどぐろや百万石の箸に秋  29_奈良  喜田りえこ
・箸の秋
てのひらに笹舟ひとつ秋うらら  44_大分  竹中南行
小宇宙集めて葡萄大宇宙  44_大分  土谷眞理子

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読売新聞「四季」から

冬の鷺歩むに光したがへり 加藤楸邨

 冬の川原は簡潔極まりない場所。そこにあるのは水流と大小いくつかの岩石。対岸に崖が切り立っていることもある。今、水にたたずむ白鷺。一歩、歩を移すごとにその白い光もあとを追う。水と風に磨かれた景のなか、静かな光の動き。『寒雷』

2021年2月11日、古志雪中ズーム句会

長谷川前主宰ご出席の古志雪中ズーム句会を下記の日時にて開催いたします。

日時=2021年2月11日(木)13時30分~16時
会費=2,000円(参加者には振込口座をお知らせいたします)


【申し込み】*古志の同人・会員でないと参加できません。

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    雪中句会に参加します。雪中句会の参加を取り消します。

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    ズーム句会に参加したい人は、こちらからお申し込みください。ただし、古志の会員・同人であることが条件です。

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    俳句世界遺産の問題について、ご意見を「お問合せ」からお寄せください。賛否にかかわらず、有意義な意見はこのサイトで紹介します。

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    スカイプ・ズームを利用した講座で、全国、海外どこからでも参加できます。
    ご希望の講座の定員(20人)に空きがない場合、
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    なお参加できるのは古志会員だけです。

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      花の浪花の読書会『折々のうた』600句を覚えよう!30分で学ぶ俳句の歴史俳句でよむ『おくのほそ道』

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      これからのイベント

      • 1月17日(日)金沢ズーム句会
      • 1月23日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 1月24日(日)仙台ズーム句会
      • 2月6日(土)古志ズーム講座「俳句でよむ『おくのほそ道』」
      • 2月7日(日)広島ズーム句会
      • 2月11日(木)雪中ズーム句会
      • 2月13日(土)朝カルズーム講座「『奥の細道』をよむ」
      • 2月14日(日)鎌倉ズーム句会
      • 2月21日(日)金沢ズーム句会
      • 2月27日(土)朝カルズーム講座「1億人の俳句入門」
      • 2月28日(日)仙台ズーム句会

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      大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
      長谷川櫂 編
      岩波新書
      780円+税
      2019年12月刊行


      『四季のうた 普段着のこころ』
      中公文庫
      800円+税
      2019年12月刊行


      大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
      長谷川櫂 編
      岩波新書
      780円+税
      2019年11月刊行


      『歌仙一永遠の一瞬』
      岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
      思潮社
      2200円+税
      2019年1月刊行


      『歌仙はすごい』
      辻原登、永田和宏、長谷川櫂
      中公新書
      880円+税
      2019年1月刊行


      『四季のうた 至福の時間』
      中公文庫
      700円+税
      2018年12月刊行


      『九月』
      青磁社
      1800円+税
      2018年8月刊行


      『Okinawa』
      Red Moon Press
      $15
      俳句 長谷川櫂
      英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
      2018年5月刊行


      『俳句の誕生』(4刷)
      筑摩書房
      2300円+税
      2018年3月刊行


      『四季のうた 想像力という翼』
      中公文庫
      700円+税
      2017年12月刊行


      『芭蕉さん』
      俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
      選句解説・長谷川櫂
      講談社
      1500円+税
      2017年3月刊行


      『震災歌集 震災句集』
      青磁社
      2000円+税
      2017年3月刊行


      『四季のうた 文字のかなたの声』
      中公文庫
      600円+税
      2016年12月刊行


      藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
      花神社
      2500円+税
      2016年10月刊行


      『文学部で読む日本国憲法』
      ちくまプリマー新書
      780円+税
      2016年8月刊行


      『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
      松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
      河出書房新社
      2,600円+税
      2016年6月刊行


      『四季のうた 微笑む宇宙』
      中公文庫
      700円+税
      2016年3月刊行


      『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
      筑摩選書
      1,500円+税
      2015年10月刊行


      『沖縄』
      青磁社
      1,600円+税
      2015年9月刊行


      『入門 松尾芭蕉』
      長谷川櫂 監修
      別冊宝島
      680円+税
      2015年8月刊行


      『歌仙一滴の宇宙』
      岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
      思潮社
      2000円+税
      2015年2月刊行


      100分de名著『おくのほそ道』(6刷)
      NHK出版
      1,000円+税
      2014年10月刊行


      『吉野』
      青磁社
      1,800円+税
      2014年4月刊行
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      そのほかの本

          

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