
『四季のうた 太陽のひと』(第18集、中公文庫、800円+税)ができました。
読売新聞に掲載中のコラム「四季」の2023年4月からの1年分を収録しています。
ぜひご購読ください。
4月12日(日)、第2回「大岡信記念/富士山俳句大会」(大会実行委員会主催)が大岡信の出身地・静岡県三島市で開かれます。村松二本さん(「椎」主宰)の講演のほか、俳句会、事前投句の入選発表があります。
【大会日程】
日時:4月12日(日)午後1時ー4時
会場:三島市民文化会館(三島駅南口、徒歩5分)
参加費:2000円
1)句会:5句、選者=長谷川櫂、村松二本
2)講演:村松二本「信と楸邨」
3)事前投句の入選発表、選者=長谷川櫂、村松二本
【事前投句の募集】
題:大岡信、春
投句:1人2句まで。無料。
締め切り:3月25日(日)必着。郵便はがき、またはホームページからお送りください。
送り先:野村久
〒437ー0064 静岡県袋井市川井1252の6
4月から古志ズーム講座「『飴山實全句集』をよむ」がはじまります。ご参加ください。参加費、無料。
・ワークショップ「『飴山實全句集』をよむ」
・進行役(facilitator)=田村史生(古志同人、飴山實全句集刊行委員長)
・テキスト=『飴山實全句集』(朔出版)
・毎月第4土曜日、午前11時~11時45分
・定員=25人
*左の申し込み欄から申し込んでください。
第一句座
当季雑詠
鬼川こまち選
【特選】
いつのまに戦前にゐる寒さかな 趙栄順
きさらぎのまだ濡れてゐる明けの空 安藤久美
鶯や詩歌の国に歌ひ継ぐ 氷室茉胡
沸き上る氷魚の白雲釜の中 玉置陽子
影もまた明るき春の障子かな 安藤久美
寒晴の大塊としてバカラあり 長谷川櫂
春雨や子規を見舞へる虚子の下駄 越智淳子
冬空を悟空となりてビッグエアー 密田妖子
【入選】
地虫出づぬくぬくの穴惜しみつつ 梅田恵美子
手を打てば蝌蚪一斉に泥となる 清水薫
かそけくも天地の間に笹鳴けり 泉早苗
師の墓に控へる仲間犬ふぐり 花井淳
戸袋に仕舞ふ雨戸や梅の花 山本桃潤
失ひしもの胸にあり鳥曇 玉置陽子
面取れば真つ赤な紅や寒稽古 稲垣雄二
穴出づる蛇にまばゆし殺生界 藤倉桂
太き根や軒の氷柱に囚はるる 酒井きよみ
保育器に眠る命や花苺 藤倉桂
ぬくぬくと孤独が太り冬の蠅 稲垣雄二
なかなかに三寒四温といかぬ能登 泉早苗
紅梅の少し重たき夜の梅 駒木幹正
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
ハルといふ響きに力春を待つ 清水薫
山茱萸に賜る加賀の晴三日 花井淳
藁抜きて身は寄る辺なき目刺かな 飛岡光枝
【入選】
僧兵の籠りし山へ梅探る 玉置陽子
雪掻きの人の小さし雪の中 松川まさみ
影さへも明るき春の障子かな 安藤久美
氷りつく母なる地球春よ来い 玉置陽子
飯蛸やたしかに蛸の足の数 清水薫
ボンネットの上にも春の雪だるま 田村史生
雪の屋根白き鯨の群れをなす 鬼川こまち
善人も悪人もなく息白し 稲垣雄二
第二句座
席題:「春の雪」、「鳥帰る」
【特選】
鳥帰り潟をただよふ羽毛かな 酒井きよみ
影となり光となりて鳥帰る 趙栄順
白鳥の引かねばならぬ恋の空 玉置陽子
【入選】
春雷や親子喧嘩の終ひけり 越智淳子
塗椀にちらす金粉春の雷 飛岡光枝
戦ある空を越えたか鳥帰る 酒井きよみ
弟子たちの奮起促す春の雷 趙栄順
遥かなる声に応へて鳥帰る 松川まさみ
春雷や駅いつぱいに見送られ 田村史生
叱責をバネにせむとや春の雷 氷室茉胡
明日もまだ晴れさうな雲鳥帰る 酒井きよみ
春雷や水辺に揺るるフラミンゴ 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特特選】推敲例
春雷や三河の奥の花起こす 稲垣雄二
【特選】
白鳥の引かねばならぬ恋の空 玉置陽子
老いたるは病めるを庇ひ帰る鳥 安藤久美
【入選】
春雷や黄泉より夫戻りしか 鬼川こまち
空といふ青き奈落を鳥帰る 趙栄順
白山も腰浮かせてや春の雷 清水薫
結局はあれつきりなり春の雷 稲垣雄二
| 長谷川櫂 選 | |
| 一座目 | |
| 【特選】 | |
| 雪の夜の来る人もなき雁木かな | 岩井善子 |
| 厳寒や若草山はうづくまる | 梅田恵美子 |
| 雪を来て雪を帰るや傘一つ | 平尾福 |
| 【入選】 | |
| 訪ね来し人はかすかに雪匂ふ | 岩井善子 |
| 新聞の今届く音朝の雪 | 青沼尾燈子 |
| 雪国やあの世この世と吹雪きけり | 上村幸三 |
| 遠き遠き雪の国から列車来る | 北側松太 |
| 春の雪夜更けのコインランドリー | 岩井善子 |
| 風花の空透き通る日暮かな | 北側松太 |
| 恐ろしきものを連れ来る春の雪 | きだりえこ |
| ざぐざぐと雪踏んできて芹を摘む | 北側松太 |
| 奥の院雪解始まるひと雫 | 玉置陽子 |
| 大寺の屋根を雪崩るる音すごし | 梅田恵美子 |
| みの虫の蓑より雪の雫かな | 岩井善子 |
| 父を育て母を育てし深雪かな | 上村幸三 |
| 白梅を隠してしまふ今朝の雪 | 平尾福 |
| 春の雪窓辺へ移す母の骨 | 飛岡光枝 |
| * | |
| 二座目 | |
| 【特選】 | |
| 格子から舞ひ込む雪に仁王像 | 岩井善子 |
| 流れくる雪塊に乗る石叩 | 北側松太 |
| 編みさしの葛の籠も雪安居 | 玉置陽子 |
| 【入選】 | |
| 野施行や雪を汚して鳥獣 | 岩井善子 |
| こんなにも風花舞ふか二月堂 | きだりえこ |
| 春の雪あかやきいろの金花糖 | 飛岡光枝 |
| 深々と雪に埋もれて年を守る | 平尾福 |
| どか雪や命を奪ひふりつづく | 上村幸三 |
第一句座
•藤英樹選
【特選】
ものの芽や凍つて融けてまた凍る 木下洋子
光る波つんと突きたる鱵かな 神谷宣行
雪の日も訪問介護ありがとう 吉田順子
【入選】
地球いま悪鬼はびこる豆を打つ 西川遊歩
吹かれては花と散らばる薄氷 葛西美津子
流氷や巨人の背骨軋ませて 森永尚子
辛夷の芽雪あたたかくのせるなり 佐藤森恵
にぎやかな雀の声や寒明くる 金澤道子
お隣の掃除機の音春の音 藤原智子
椿落つ三千世界轟かし きだりえこ
天神の御守り胸に受験の子 吉田順子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
吹かれては花びらになれ薄氷 葛西美津子
椋鳥の声さわがしき余寒かな 藤英樹
春立つや道でばつたり長話 田中益美
【入選】
薄氷は水の花びら春を呼ぶ 神谷宣行
笹鳴や熊笹にかほ切らるるな 葛西美津子
田の神に踏まれ小突かれ田螺ころ 関根千方
お隣の掃除機の音春の音 藤原智子
第二句座 (席題:片栗の花、兜太忌)
•藤英樹選
【特選】
堅香子にさぞ重からんけさの雪 イーブン美奈子
摘みたしや片栗の花そのままに 田中益美
少年に銃をとらすな兜太の忌 木下洋子
【入選】
熊絶えて狼絶えて兜太の忌 藤原智子
渋谷かつて片栗の咲く谷なりき 長谷川櫂
兜太忌や俳句はどんと作るべく 仲田寛子
かたかごの花が弔ふ山河かな 森永尚子
ごつとある秩父の土くれ兜太の忌 きだりえこ
秩父の地叫ぶ日のあり兜太の忌 佐藤森恵
片栗の花の初めは山廬より 長谷川櫂
訪ねばやかたかごの咲く越中を 仲田寛子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
兜太忌の甚平鮫に会ひにゆく イーブン美奈子
かたかごの花の弔ふ山河かな 森永尚子
【入選】
兜太忌や泥の中より抒情の詩 神谷宣行
堅香子にさぞ重からんけさの雪 イーブン美奈子
君恋へばかたくりの花そこここに イーブン美奈子
兜太忌や兜太さながら武甲山 藤英樹
兜太忌やサラリーマンのなれのはて 土井頼温
頂上は低き山なり片栗の花 田中益美
ゲレンデは今かたくりの花ざかり 金澤道子
カタクリの花躍らせてゐる斜面 西川遊歩
・4月15日(水)夜8ー9時「水底吹笛」飛岡光枝さん
| 凍てし頬たたいて顔を取りもどす | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 降る雪や箕を編む父の背は悠か | 千葉 | 安田勅男 |
| セーターを解きつつ過去へ戻りゆく | 千葉 | 若土裕子 |
| 四畳半獄舎のごとく凍てにけり | 千葉 | 麻生十三 |
| 冬の朝命に触れる聴診器 | 東京 | 岡田定 |
| 寒の水一腑無きこと思ひ出づ | 石川 | 松川まさみ |
| 戦争が背にのしかかる炬燵かな | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 大寒の酒蔵に満つ酒の声 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 湯豆腐や仏も鬼も妻もゐて | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 人類の冬を見たまふ寝釈迦かな | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 雲腸も程よく焼けぬ女かな | 広島 | 瑞木綾乃 |
*入選は「ネット投句」のページに掲載しています。
*2月22日の「ネット投句」のスクーリング句会、みなさんご参加ください。「ネット投句」会員は参加費無料です。
| 寒晴や地球の哀しみ吸ひ上げよ | 千葉 | 若土裕子 |
| リハビリの文字の歌ふや年賀状 | 神奈川 | 松井恭子 |
| 正月やいまだに黒き髪を梳く | 長野 | 金田伸一 |
| 雪降るはうれし溶くるは尚うれし | 岐阜 | 三好政子 |
| 遠き日の箪笥の環の鳴る寒さ | 岐阜 | 三好政子 |
| 抱へゐる子より大きな福袋 | 大阪 | 安藤久美 |
| 息白し一番乗りの部活室 | 大阪 | 深森佳鶴 |
| 小豆粥ほのぼのとして花の色 | 大阪 | 澤田美那子 |
| まづ点けるストーブあかく頼もしく | 兵庫 | 天野ミチ |
| 寒風に揺られうつぼの天日干し | 高知 | 森脇杏花 |
| お陰様お互ひ様や雑煮餅 | 大分 | 竹中南行 |
*入選は「ネット投句」のページに掲載しています。
*2月22日の「ネット投句」のスクーリング句会、みなさんご参加ください。「ネット投句」会員は参加費無料です。
第一句座
矢野京子選
【特選】
初富士に裏も表もなかりけり 矢田民也
恐ろしき人間の手へ子猫かな 長谷川櫂
蝋梅やかすかに明日を灯しけり 高橋真樹子
【入選】
この里の訛あるらし笹子鳴く 矢田民也
街頭演説聴く人のなき寒さかな 安藤文
この寒さならやひの鬼震えけり 斉藤真知子
待ちきれず春待つ鳥の騒がしく 大場梅子
退院の君と一歩や梅ふふむ 瑞木綾乃
捌かれてなほ猛々し眼の鮪 ももたなおよ
蜆舟鋤簾の音の寒さかな 長谷川櫂
立春大吉稼ぐ以上に使はむか 上松美智子
二階まで灯をあかあかと鬼やらひ 神戸秀子
梅日和隣りに母のゐるごとし 加藤裕子
高らかな米寿の名乗り初句会 金田伸一
歌かるたアメリカの空華やぎぬ 城山邦紀
妻の煮る大根うまし夜の雨 矢田民也
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
けさは来ぬ狸の親子寒施行 神戸秀子
歌かるたアメリカの空はなやかに 城山邦紀
掛けてすぐ巣箱を覗く柄長かな 神戸秀子
鳥蹴つて芽吹く冬芽の真紅 石塚純子
麦踏のまた折り返す山の畑 神戸秀子
【入選】
街頭演説聴く人もなき寒さかな 安藤文
退院の君と一歩を梅ふふむ 瑞木綾乃
降りしきる雪をちからに冬木の芽 金田伸一
鬼やらひ鬼となりしは桃太郎 城山邦紀
妻の煮る大根うまき寒さかな 矢田民也
風邪引いて一日雪を眺めけり 安藤文
第二句座(席題:山焼き、猫の恋)
矢野京子選
【特選】
山焼きの伊豆に流人のごとく我 神戸秀子
漱石の旧居に熱き猫の恋 今村榾火
恋猫のけさはしづかに椅子の上 長谷川櫂
【入選】
山焼いて来しこその腕君を抱く 高橋真樹子
傍に来て欠伸してゐる猫の恋 今村榾火
火の神に仕へ男ら山を焼く 加藤裕子
眼裏に山焼きの火やひとり酌む 石塚純子
山を焼く激しき声を交わしつつ 石塚純子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
焼け焦げて若草山の甦る 城山邦紀
火の神に仕へ男ら山を焼く 加藤裕子
【入選】
山焼いて来しこその腕君を抱く 高橋真樹子
やぶれては膝に戻りぬ猫の恋 高橋真樹子
山焼いて輝くばかり大地あり 矢野京子
恋猫の隻眼となり帰りけり 安藤文
ひめみこの膝にまだ恋知らぬ猫 神戸秀子
大阿蘇を山焼きの火の走りゆく 斉藤真知子
大空を焦がさんばかりお山焼き ももたなおよ
むくむくとわらびぜんまい山を焼く 大場梅子