| 【特選】 | ||
| いまガザはホロコーストの冬の中 | 青森 | 清水俊夫 |
| 冬晴や死にゆく母を句にせんと | 東京 | 神谷宣行 |
| 冬鳥の時々戻る大樹かな | 神奈川 | 植木彩由 |
| 越の田に雪待月の風が吹く | 神奈川 | 片山ひろし |
| 朝刊の霰をさつと払ひけり | 新潟 | 安藤文 |
| 冬の薔薇ほぐれんとして氷りをり | 新潟 | 高橋慧 |
| 張り替えて今朝の光を障子かな | 新潟 | 高橋慧 |
| 雪吊りや松が伸びする加賀日和 | 石川 | 花井淳 |
| 深みゆく孤独は宝虎落笛 | 石川 | 松川まさみ |
| 冬灯黒こげの鍋の見事さよ | 石川 | 密田妖子 |
| 熱燗がやつと戦争語りだす | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 冬麗や胡蝶の羽根の痛からん | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 凍て虻となりて訪ねて来たるかな | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 二十九年寒さ厳しき一期終ふ | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 燃え尽きて山河に帰る榾火かな | 京都 | 諏訪いほり |
| その巨体虚空に抱かれ銀杏枯る | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 小半日おでんへ聞かすモーツァルト | 和歌山 | 玉置陽子 |
| しぐるるや癒えぬ病の診察日 | 岡山 | 北村和枝 |
| 背景の暮れてゆきけり冬帽子 | 広島 | 森恵美子 |
| かの人も逝きしか年賀欠礼状 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 休戦が停戦となれ花柊 | 長崎 | ももたなおよ |
| 【入選】 | ||
| 問いかけに自動音声冬に入る | 北海道 | 村田鈴音 |
| ウイルタの刺繍皿敷雪もよひ | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 月の夜を黙考したる落葉かな | 北海道 | 柳一斉 |
| あのガザの幼子たちにクリスマス | 青森 | 清水俊夫 |
| これ以上散ることもなき冬木かな | 茨城 | 袖山富美江 |
| 拾はれて柚子湯になりし柚子ふたつ | 茨城 | 袖山富美江 |
| 皸の掌あぶる母の乳首吸ふ | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 生涯の最後の本気冬ごもる | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 羽ばたきて眠りて鶴は白き花 | 千葉 | 若土裕子 |
| 秒針と鼓動が刻む夜半の冬 | 千葉 | 若土裕子 |
| 鱈炙る熱燗舐めるうぅ冷える | 千葉 | 青山果楠 |
| 渦潮を見て阿波に入る寂聴忌 | 千葉 | 谷口正人 |
| 貰ひたる藪蔓小豆小六月 | 千葉 | 池田祥子 |
| 千歳飴いつか鶴亀傘寿かな | 千葉 | 麻生十三 |
| 薪割りに精出す頃や山眠る | 千葉 | 麻生十三 |
| 美味しおっせ亭主破顔の今年酒 | 千葉 | 木地隆 |
| 人とさへ共存できずいかんや熊と | 東京 | 神谷宣行 |
| 北風やただ黙々と朝の道 | 東京 | 楠原正光 |
| 立冬の日が差しピアノ届きけり | 東京 | 畠山奈於 |
| 宅配に答へて羽織るカーデガン | 東京 | 堀越としの |
| 島の灯の点滅愉し避寒宿 | 東京 | 堀越としの |
| 寒空や銀翼よぎる六本木 | 東京 | 櫻井滋 |
| 富士柿や庭に大樹のありし頃 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| ねんねこで赤子背負ひて行きし日よ | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 警報音なき冬空を見上げおり | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 暮早しあれこれおもひ何もせず | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 鰰が届いて妻はてんてこ舞 | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 子供らが小便で消す焚火かな | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 喜怒哀楽やがて悴む津軽かな | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 人垣を越えてくる歌冬はじめ | 神奈川 | 松井恭子 |
| 行列に付けば地獄絵冷まじき | 神奈川 | 植木彩由 |
| 目つむれば思ひ出目覚む冬日向 | 神奈川 | 中丸佳音 |
| ほのかな香花柊と気づくまで | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 冬至の日生絹のごとき影ありぬ | 神奈川 | 島敏 |
| 堰堤の菜屑ついばむつがひ鴨 | 神奈川 | 島敏 |
| 風邪の子の窓の世界に遊びをり | 神奈川 | 島敏 |
| はじめての紅おとなしき七五三 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| ベビーカーの嬰と目が合ひ冬あたたか | 神奈川 | 那珂侑子 |
| しぐるるや日に日に増ゆる酒の量 | 新潟 | 安藤文 |
| 夜更かしや除雪車の音がうがうと | 新潟 | 安藤文 |
| 六連星おしゃべりしつつ上り来る | 富山 | 酒井きよみ |
| 取りやすき戸棚へ土鍋冬隣 | 富山 | 酒井きよみ |
| 白光の漲る夜空初氷 | 石川 | 松川まさみ |
| 人参を手にする母がアルバムに | 石川 | 清水薫 |
| 死守せねばならぬ一枚歌がるた | 石川 | 清水薫 |
| 今日ひと日普通に暮れてみかん剝く | 石川 | 密田妖子 |
| 脚立して見目よき柚子を狩る日和 | 長野 | 金田伸一 |
| な触れそ鉄の暖炉の熾るとき | 長野 | 金田伸一 |
| 割り切れぬ思ひ抱へて熊眠る | 長野 | 大島一馬 |
| きのふ雪今日あたたかや蝶のとぶ | 岐阜 | 古田之子 |
| 北窓に山ある幸よ冬迎ふ | 岐阜 | 三好政子 |
| 犬小屋の奥まで日射し冬うらら | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 枯れ菊に一つの世界翳り合ふ | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 冬野菜切り揃えたるやすらぎよ | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 妻老いてことば美し冬籠 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 冬ざれや伏字の多き公文書 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 子ら三羽鴛鴦の曳きゆく水脈の中 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 息吸うて大縄飛びの輪の中へ | 大阪 | 木下洋子 |
| 焼藷を割つて大きい方くれし | 大阪 | 木下洋子 |
| 薔薇散つて残る赤き実初しぐれ | 大阪 | 澤田美那子 |
| さくさくと落葉を踏んで戦争が | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 咳けばふつとたましひ透けてゆく | 兵庫 | 魚返みりん |
| 綱を張る大型犬や息白し | 兵庫 | 高見正樹 |
| 毛糸編み編みては解きどこまでも | 兵庫 | 天野ミチ |
| すやすやと寝息をたてる冬田かな | 奈良 | きだりえこ |
| 混乱の地を彷徨ふは熊だけか | 奈良 | きだりえこ |
| 季節なき介護施設も冬に入る | 奈良 | 中野美津子 |
| 牡丹鍋豆腐しだいに良き色に | 奈良 | 田原眞知 |
| 思羽の水こぼしけり離れ鴛 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 顔見世や先づは啜らむ鰊蕎麦 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 炬燵にて船こぐ母の愛しさよ | 岡山 | 北村和枝 |
| まづ神へぬくき熊胆心臓を | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| 初写真二十歳の君はかたはらに | 広島 | 森恵美子 |
| 胸中に真白き梟ゐることよ | 広島 | 森恵美子 |
| 木洩れ日を畳に揺らす秋の風 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 眠られぬ熊を残して山眠る | 長崎 | ももたなおよ |
| 掩体壕忽然とある枯野かな | 長崎 | 川辺酸模 |
| 縁側の蝿と遊ぶかちやんちやんこ | 長崎 | 川辺酸模 |
| 百年の評に耐ヘるか初句会 | 大分 | 山本桃潤 |
| 枯れてなほゴッホの気迫槍鶏頭 | 大分 | 竹中南行 |
| 我が家好きすなはちおでん煮ゆるかな | 大分 | 竹中南行 |
カテゴリーアーカイブ: ネット投句
ネット投句(2023年11月15日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| 雪吊りの縄八方へ加賀日和 | 石川 | 花井淳 |
| 打ちそろふ古志のつはもの梅室忌 | 石川 | 花井淳 |
| 夫焼きし土鍋の出番来たりけり | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 順序などないか柩に残菊に | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 霜の夜のあなたのしきや煮炊きもの | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 夜学の灯ここにこの国救ふ者 | 大分 | 山本桃潤 |
| 【入選】 | ||
| きつかりと肩はる壺や冬に入る | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 雪降るや雪のこゑ聴く北の夜 | 北海道 | 柳一斉 |
| 手術了へ「鳥の歌」聴く冬落暉 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 冬晴や今朝も生きてゐる倖せよ | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 旅立ちは故郷の駅帰り花 | 茨城 | 袖山富美江 |
| 日向ぼこ犬にもありや肩の凝り | 千葉 | 若土裕子 |
| 蟋蟀の布団の中に忍びおり | 千葉 | 春藤かづ子 |
| 蝶と戯れ蜻蛉と戯れて秋惜しむ | 千葉 | 木地隆 |
| 炊き立てのどんぶり飯や朴葉味噌 | 東京 | 横山直典 |
| 九十七紫紺のマフラー臙脂の紅 | 東京 | 長尾貴代 |
| 鳥の声あたり震はせ冬に入る | 東京 | 楠原正光 |
| マフラーのけふはお揃い母老いぬ | 東京 | 堀越としの |
| 寒風やデイサービスのバスを待つ | 東京 | 櫻井滋 |
| 今年またみかん山よりみかん来る | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| あとがきの後に大きな枯野あり | 神奈川 | 三玉一郎 |
| どんぐりのトトロ転げて冬に入る | 神奈川 | 松井恭子 |
| 風ふいに振り向き薄驚かす | 神奈川 | 松井恭子 |
| 綿虫と虚ろな時を過ごしけり | 神奈川 | 島敏 |
| ポケットに古き半券二科を見る | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| 折り紙は折り目がいのち冬の鶴 | 神奈川 | 片山ひろし |
| 手を繋ぎ老夫婦ゆく小春かな | 新潟 | 安藤文 |
| 在所にはいもうとおとうと初あられ | 石川 | 花井淳 |
| 一枝を剪つてくれたり実紫 | 長野 | 金田伸一 |
| かなへびの日向ぼつこや秋日差し | 岐阜 | 古田之子 |
| ふと触れし手首の甲の冷やかさ | 岐阜 | 三好政子 |
| 我もまたいつのまにやら草紅葉 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| コロッケの袋しやかしやか鳴る立冬 | 京都 | 諏訪いほり |
| 菊畑おのが卒寿の菊摘まん | 大阪 | 安藤久美 |
| 坂上りきつて晴ればれ冬の蝶 | 兵庫 | 魚返みりん |
| 投句待つポストぽつんと冬に入る | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 夕暮やヘッドライトに鹿二頭 | 兵庫 | 福田光博 |
| 愛犬の逝きし庭なる秋の暮 | 兵庫 | 福田光博 |
| 息深く吸ふて綿虫ただよへり | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 行く秋を零余子拾うて送りけり | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| うたた寝て夢に遊べよ冬の蝿 | 長崎 | 川辺酸模 |
ネット投句(2023年10月31日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| すさまじや枝をそがれし木はわたし | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 磔刑の御姿なる捨案山子 | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 大雨にのたうちまはる崩れ簗 | 大阪 | 澤田美那子 |
| 【入選】 | ||
| 自らに巻きもどるつるうめもどき | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 眼にとまる手の甲の皺暮の秋 | 北海道 | 柳一斉 |
| 二四歳祝ひて一献新走 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 銀杏を踏み潰したき夜もあり | 茨城 | 袖山富美江 |
| 養はん残余の力零余子飯 | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 冬近し君へ差しだす蒸しタオル | 千葉 | 池田祥子 |
| 太平洋超へて友来る柿の秋 | 千葉 | 池田祥子 |
| 銀杏に獣の匂い聞く夜かな | 千葉 | 麻生十三 |
| 死の近き人の見つけし初紅葉 | 東京 | 岡田定 |
| 三度目の収穫うれし豆もやし | 東京 | 小野早苗 |
| 秋深し泥沼続くパレスチナ | 東京 | 長尾貴代 |
| 電線がうなりを上げて冬に入る | 東京 | 楠原正光 |
| 屋上にキリン働く冬日和 | 東京 | 堀越としの |
| 飢ゑに痩せ海辺さまよふ羆かな | 神奈川 | 越智淳子 |
| 秋風や古書店閉じて居酒屋に | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 星々の光を纏ふ湯ざめかな | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 一握り赤米添へて今年米 | 神奈川 | 松井恭子 |
| 鰡跳ぶを八つまで数へ飽きにけり | 神奈川 | 植木彩由 |
| かめむしのひつくり返つたまますすむ | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 夫亡くて空気動かず根深汁 | 神奈川 | 片山ひろし |
| 天空へ鳶昇り行く蕎麦の花 | 新潟 | 高橋慧 |
| 窓叩く雨やけふ見し崩れ簗 | 石川 | 松川まさみ |
| もどかしや通草の中のある記憶 | 石川 | 松川まさみ |
| 首筋に冬も近いと風の声 | 石川 | 清水薫 |
| かまきりの構造体は三角形 | 石川 | 清水薫 |
| 蟷螂を撫でてとばさず秋深む | 長野 | 金田伸一 |
| 秋寒やケ−キ屋花屋消えし町 | 岐阜 | 三好政子 |
| 逆しまにこの世ながめる枯蟷螂 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 秋遍路死装束もかろやかに | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 門灯を夫に灯して秋の暮 | 京都 | 諏訪いほり |
| 墨塗に始まる戦後秋深し | 京都 | 氷室茉胡 |
| 根来衆の裔かやんまの飛び交へり | 大阪 | 安藤久美 |
| 冬枯や我を残してかのん逝く | 兵庫 | 福田光博 |
| 工事場に杭を打つ音冬日和 | 兵庫 | 髙見正樹 |
| ことことと煮染むこんにゃく後の月 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 色鳥や箪笥いつぱい母のもの | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 病む吾と母と二人の露の家 | 岡山 | 北村和枝 |
| 崩れ簗拾うて仏彫るは誰 | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| 長き夜読みつ戻りつ紙の本 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 乾鮭は自然法爾の姿かな | 長崎 | 川辺酸模 |
| のびのびと濁世を遊ぶ南瓜かな | 長崎 | 川辺酸模 |
ネット投句(2023年10月15日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| ほねかはの総身うるかし菊日和 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 空耳の蟋蟀きくや町住まい | 千葉 | 麻生十三 |
| 天の日を吸えば満身干し大根 | 東京 | 横山直典 |
| 戦争につぐ戦争や秋刀魚焼く | 新潟 | 安藤文 |
| 渾身の句がこてんぱん秋の暮 | 新潟 | 安藤文 |
| 右の脳きたへん胡桃鳴らしつつ | 長野 | 金田伸一 |
| 蟷螂や半分枯れて夢ごこち | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 南瓜切る妻に乙女の力あり | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 役割を生き抜く辛さ花野行く | 大阪 | 山中紅萼 |
| 待ちわびてこんなにさびし秋の風 | 大阪 | 澤田美那子 |
| 瞑想に入る蟷螂や尻枯れて | 大阪 | 澤田美那子 |
| 同じ雨みてゐる鹿と雨宿り | 奈良 | 中野美津子 |
| 白き乳出して無花果もがれたり | 奈良 | 中野美津子 |
| 人生は一話完結露けしや | 岡山 | 北村和枝 |
| 【入選】 | ||
| 魂を納むる川に鮭上る | 北海道 | 村田鈴音 |
| いくさ果て菊人形の並びかな | 北海道 | 芳賀匙子 |
| とつかんの熊げら散らす樹皮木屑 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 湖に沿ひて来る汽車紅葉山 | 北海道 | 柳一斉 |
| 芒原日輪はやも夕日へと | 北海道 | 柳一斉 |
| ひと言にすべて冷めたり秋深む | 北海道 | 柳一斉 |
| 芒原割けよ通せよ我が行く | 青森 | 清水俊夫 |
| 曼殊沙華火焔土器にも咲いてゐた | 青森 | 清水俊夫 |
| 今年酒汲みゐて父の齢超ゆ | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 玩亭忌薄墨色の夕しぐれ | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 水底に光るビー玉秋深し | 茨城 | 袖山富美江 |
| 新米やそつと運びし母の口 | 茨城 | 袖山富美江 |
| 秋高し団地祭りへ肩車 | 埼玉 | 上田雅子 |
| ずつしりと黒の一棹栗やうかん | 埼玉 | 上田雅子 |
| 親の仇とばかりに打ちて胡桃割る | 埼玉 | 上田雅子 |
| 名月やもう一度愛で床に就く | 千葉 | 芦野アキミ |
| 指先も口もむらさき山葡萄 | 千葉 | 若土裕子 |
| この秋はこの秋限り此処限り | 千葉 | 青山果楠 |
| 月天心加齢身に沁むランプの湯 | 千葉 | 青山果楠 |
| ハロウィンは踊り念仏渋谷街 | 千葉 | 谷口正人 |
| 秋空に放り出したき雑事かな | 千葉 | 谷口正人 |
| 身に入むや雨にさまよふ猫の声 | 千葉 | 池田祥子 |
| 恋いつか同志となりて葛の花 | 千葉 | 池田祥子 |
| あたふたとぶつかり行けり秋の蝉 | 千葉 | 木地隆 |
| 有明の月の夜汽車や塩結び | 東京 | 横山直典 |
| 老犬の肋を抱きて秋散歩 | 東京 | 岡田定 |
| 冷さまじや今半で食ふ焼秋刀魚 | 東京 | 神谷宣行 |
| 進歩する生きるかぎりは天高く | 東京 | 長尾貴代 |
| 破門されさ迷い歩く鰯雲 | 東京 | 長尾貴代 |
| 秋雨や肩をすぼめる傘の下 | 東京 | 楠原正光 |
| 秋晴れやぷかりぷかりと熱気球 | 東京 | 楠原正光 |
| 秋渇き誤嚥を防ぐ口体操 | 東京 | 畠山奈於 |
| きつつきの本気か山荘の壁に穴 | 東京 | 畠山奈於 |
| 身に沁むやスーパーとなる教会堂 | 東京 | 畠山奈於 |
| 寝転びて穂草の行方青い空 | 東京 | 堀越としの |
| 天たかし中空の再開発はそも何ぞ | 東京 | 櫻井滋 |
| 我かつて火中の栗を拾はざり | 東京 | 櫻井滋 |
| ほとんどはマスクなき人電車秋 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 戦争の世も山川に水の澄む | 神奈川 | 越智淳子 |
| 空爆の砂漠の夜に砧打つ | 神奈川 | 越智淳子 |
| 病院の午後の静けさ蔦紅葉 | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 秋雲や呆れるほどに動かざる | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 思ひ出せぬことなつかしき秋夕焼 | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 秋高き尻もち犬に抱きつかれ | 神奈川 | 松井恭子 |
| 蜩やWi-Fiの良く繋がる日 | 神奈川 | 植木彩由 |
| かなかなや留守番の子へ置くカレー | 神奈川 | 植木彩由 |
| 夜長し夢の中にも夢を見て | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 栗ご飯渋皮むくは子の仕事 | 神奈川 | 土屋春樹 |
| 堰越ゆる咽ぶがごとき秋の川 | 神奈川 | 島敏 |
| リハビリの一歩にちから花芙蓉 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| せせらぎの底に陶片水澄める | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| 寒暖の差に追いつけず鉦たたき | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 秋のこゑ正倉院展近づきぬ | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 人はみな草の紅葉の地に還る | 神奈川 | 片山ひろし |
| 八冠の聡太を囃す小鳥かな | 新潟 | 安藤文 |
| フロントガラスにぶつかってくる赤とんぼ | 新潟 | 高橋慧 |
| 二階まで珈琲のかほり今朝の秋 | 新潟 | 高橋慧 |
| 藁にほに寝ころんで待つ望の月 | 富山 | 酒井きよみ |
| 翻るかまつかは獅子風の中 | 富山 | 酒井きよみ |
| 伊良湖遠しふるさとの鷹遅るるな | 富山 | 酒井きよみ |
| 忘らるること恐るるやおけら鳴く | 石川 | 松川まさみ |
| 秋深し日ごと歓喜の山のいろ | 石川 | 松川まさみ |
| 荒尾梨据ゑて仏をよろこばす | 長野 | 金田伸一 |
| 少年の自転車光る秋の風 | 岐阜 | 古田之子 |
| 花ありて秋の蝶羽休めたり | 岐阜 | 三好政子 |
| 身に沁むや祖父母四人を知らざりき | 岐阜 | 三好政子 |
| 今日すこし山下りきし草もみじ | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| わが行くてばつた跳びだす草の空 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 南天の色づきそめし二三粒 | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 手の中で怒りに耐へし胡桃かな | 愛知 | 稲垣雄二 |
| まだいたか独りになるぞ秋の蜂 | 愛知 | 宗石みずえ |
| 進路迷ふ11歳の秋思かな | 愛知 | 宗石みずえ |
| 幾日も門閉じられて秋の暮 | 愛知 | 宗石みずえ |
| 弘法市婆爺だらけ秋ざくら | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 秋桜われもわれもとわれに触れ | 京都 | 諏訪いほり |
| かくも多き母の遺品や木の実時 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 食と住満たされてゐる囮かな | 京都 | 氷室茉胡 |
| 月光に荒ぶる富士のしづもれり | 大阪 | 安藤久美 |
| 松茸に似たる何かを土瓶蒸し | 大阪 | 安藤久美 |
| 渡り鳥先頭すいと入れ替はり | 大阪 | 木下洋子 |
| 筑後には良き水おはし新走り | 大阪 | 齊藤遼風 |
| 旅の夢ばかり見てゐる案山子かな | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 松林や圧倒的な霧襖 | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 紛れなくあれはとんぼうスイスイと | 兵庫 | 天野ミチ |
| 蜩や窓に別れの退院日 | 兵庫 | 福田光博 |
| 朝寒し河口に魚の跳ねる音 | 兵庫 | 髙見正樹 |
| 子を殺す大義あるまじ鰯雲 | 奈良 | きだりえこ |
| ゆきがたき小径隠すな蘆の花 | 奈良 | きだりえこ |
| 赤錆のトラクター眠る花野かな | 奈良 | 中野美津子 |
| 秋風や小菊縫ひとる金の糸 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 新しき恋人連れて小鳥来る | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 青北風や伊根の舟屋の早灯 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 十月の風にやうやく人心地 | 岡山 | 北村和枝 |
| 車窓より花野ながめて通院日 | 岡山 | 北村和枝 |
| 降り立ちて労ひあひぬ鶴の群 | 長崎 | ももたなおよ |
| 老ふたりきのふもけふもとろろ汁 | 長崎 | ももたなおよ |
| 空爆に悲鳴ちりぢり嗚呼秋天 | 長崎 | ももたなおよ |
| 身に入むや伝ひ歩きの母の背 | 長崎 | 川辺酸模 |
| 柘榴裂け修羅散らばりし世界かな | 大分 | 山本桃潤 |
| 桃源へ抜くる穴かも秋の蛇 | 大分 | 竹中南行 |
ネット投句スクーリング 軽井沢紅葉句会(2023年10月29日)
・長谷川櫂選
第一句座
【特選】
秋光に翻る葉や裏表 高橋慧
今撃ちし鹿の心臓山神へ 稲垣雄二
新米の到着を待つ倉庫かな 北側松太
【入選】
モニターに母の鼓動よ冬隣 臼杵政治
カーリングチームある村厚岸草 西川遊歩
あかあかと虚空にひらく曼殊沙華 安藤久美
水澄みて信濃は空の深さかな 高橋慧
木の実落つる音さへ山の深さかな 北側松太
書写山の大きな空へ小鳥来る 臼杵政治
猿茸ちよつと座つてみたきかな 岩井善子
第二句座
【特選】
山寺の荒ぶる水を新豆腐 安藤久美
【入選】
栗拾い八十路の母を先頭に 中野美津子
おづおづと初の句会に臨む秋 中野美津子
厄介やシャツもズボンも牛膝 稲垣雄二
金山を二つに割つて秋の風 岩井善子
籾殻をたつぷり撒いて畑仕舞 岩井善子
まだ天狗棲みゐる山へ紅葉狩 安藤久美
消灯のあと病床の夜長かな 北側松太
ネット投句年間賞(秋)は稲垣雄二さん
| ・年間賞 | ||
| 白日傘影美しき個人主義 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| あ | ||
| ・次点 | ||
| 苦しみの母なる地球八月来 | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 露けしや平和の下の鉄兜 | 奈良 | きだりえこ |
| 今朝秋のものぐさ太郎起きて来ず | 東京 | 神谷宣行 |
| あ | ||
| ・候補 | ||
| 負けてなお終はりなきもの敗戦忌 | 北海道 | 村田鈴音 |
| 生ぐさき闇のひろがるうかいかな | 富山 | 酒井きよみ |
| 八月や昭和は影を長々と | 大阪 | 澤田美那子 |
| 敗戦忌父らの闇を預かりぬ | 長崎 | ももたなおよ |
| 八十年生きてスーパームーンの夜 | 長野 | 金田伸一 |
ネット投句(2023年9月30日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| 露の世やとは云へ次もまた来たい | 千葉 | 木地隆 |
| 同窓会平等に老ひ秋日和 | 千葉 | 谷口正人 |
| 送電塔果てまで続く秋の暮 | 東京 | 小野早苗 |
| 置き去りにされてゆくよな秋の空 | 神奈川 | 島敏 |
| 正宗の刀にまけぬ太刀魚よ | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 鈴虫は鳴きやむことを忘れたか | 神奈川 | 那珂侑子 |
| めぐり来し月と一献七十歳 | 石川 | 花井淳 |
| 地震出水酷暑しのぎし今年米 | 石川 | 松川まさみ |
| 太陽の力に開く野菊かな | 石川 | 清水薫 |
| 八十年生きてスーパームーンの夜 | 長野 | 金田伸一 |
| 案山子ほど真直ぐ立つてみたきかな | 大阪 | 安藤久美 |
| 寝返りの難き病躯の夜長かな | 岡山 | 北村和枝 |
| 【入選】 | ||
| 厨事暫し手を止め後の月 | 北海道 | 村田鈴音 |
| 初月夜ヘリコプターの音孕み | 北海道 | 村田鈴音 |
| 夕風に嘆きこぼすや秋桜 | 北海道 | 柳一斉 |
| 昃りてこころおちつく木の葉かな | 北海道 | 柳一斉 |
| 人型の焼きつくほどの大西日 | 青森 | 清水俊夫 |
| やうかんの栗になりたき望の月 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 地球てふシステム毀れて秋酷暑 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 秋祭り風が運びし笛の音 | 茨城 | 袖山富美江 |
| 病床の脈やすらかに良夜かな | 埼玉 | 佐藤森恵 |
| 江ノ電の小さな旅へ萩日和 | 埼玉 | 上田雅子 |
| 蟷螂の脚のみ残し猫寝入る | 千葉 | 春藤かづ子 |
| 祖母の団子少々大ぶり月今宵 | 千葉 | 若土裕子 |
| なじみたる形見のゆびわ林檎むく | 千葉 | 若土裕子 |
| 切っ先に秋鯖は腹晒しゐる | 千葉 | 青山果楠 |
| 山の田を呑み込まんとや葛かずら | 千葉 | 池田祥子 |
| 草引いて尻餅つけばいわし雲 | 千葉 | 木地隆 |
| 神宮の木に空蝉のデモ行進 | 千葉 | 谷口正人 |
| 天国のともがき如何に新走り | 東京 | 神谷宣行 |
| 博多の出東なじめず蔦紅葉 | 東京 | 長尾貴代 |
| 捩花言わずもがなをいいつのり | 東京 | 長尾貴代 |
| 名も知らぬ茸の家族今朝の道 | 東京 | 堀越としの |
| 大根も子供ものせて猫ぐるま | 東京 | 櫻井滋 |
| 熊も猪も懐に入れ山眠れ | 東京 | 櫻井滋 |
| 更にまたコロナワクチン秋の雲 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| コスモスは海辺の丘がよく似合う | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| オスプレイ一機飛んでた秋の空 | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 一心に友の記憶を赤のまま | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 思ふこと塵と散らすや秋の風 | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 小鳥来る大きな空とともに来る | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 總持寺の踊りの右往左往かな | 神奈川 | 植木彩由 |
| 五感へと沁みる一房黒葡萄 | 神奈川 | 片山ひろし |
| 萩ほつほつ言葉ほつほつ日の差し来 | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 白萩のたましひゆるるほどの風 | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 秋風やバケツ転がるシェア畑 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| 不知火の苦海の闇へ十三夜 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| ふるさとの香り楽しむ今年蕎麦 | 神奈川 | 片山ひろし |
| 灼熱の墓石に水かける秋 | 新潟 | 安藤文 |
| 米を炊く我は独り身耕畝の忌 | 新潟 | 安藤文 |
| 風鈴の不意に止みたるあと静寂 | 新潟 | 高橋慧 |
| 濡れそぼつ一羽の烏秋の雨 | 新潟 | 高橋慧 |
| 猪罠の前をいういう猪通る | 富山 | 酒井きよみ |
| 瓜坊や母のうしろを一列に | 富山 | 酒井きよみ |
| 鰯雲平和町てふ団地老ゆ | 石川 | 松川まさみ |
| 竜淵に沈むやぽつと金の泡 | 石川 | 松川まさみ |
| 童心に帰る夜長やだまし船 | 石川 | 密田妖子 |
| 冬瓜としばし格闘腕の筋 | 石川 | 密田妖子 |
| 思ひ出にそつと寄り添ふ野菊かな | 石川 | 清水薫 |
| かすむ目に残さん今日の巨き月 | 長野 | 金田伸一 |
| 啄木鳥の探れる森の深みかな | 長野 | 大島一馬 |
| 溶岩に秋色濃かり浅間山 | 長野 | 大島一馬 |
| 黒鶫美声ふりまき去り行きぬ | 岐阜 | 三好政子 |
| 破れ土嚢露草の花咲かしをリ | 岐阜 | 三好政子 |
| 露の玉毛虫のけさき一つづ | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 長茄子の尻に白露の一滴 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| いちじくをいちじくとなす皮一枚 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 朝露の消ゆるが如く人の逝く | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 浜梨をジャムにと叔母の浜に生き | 愛知 | 宗石みずえ |
| またひとつ家失せにけり猫じゃらし | 京都 | 三原尚子 |
| 秋風や開講前のキャンパスに | 京都 | 三原尚子 |
| かまきりの気配を消してゐるらしく | 京都 | 諏訪いほり |
| 咲き初めし萩のことなど片便り | 京都 | 諏訪いほり |
| 捨てられて優しき顔の案山子かな | 京都 | 氷室茉胡 |
| 冷まじや年齢欄の「□100以上」 | 京都 | 氷室茉胡 |
| この国の崩れゆくさま葛の花 | 大阪 | 齊藤遼風 |
| 焼味噌や端の端まで母の味 | 大阪 | 安藤久美 |
| 豆腐屋の移動販売秋の声 | 大阪 | 木下洋子 |
| 丹波来て大釜炊きの栗の飯 | 大阪 | 木下洋子 |
| 不知火や神代もここに漁りて | 大阪 | 澤田美那子 |
| 若き日の一冊のごと野菊咲く | 大阪 | 澤田美那子 |
| 秋分やカラリと反る喉仏 | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 休耕田なれど稲の香在りにけり | 兵庫 | 吉安とも子 |
| 指輪食ひ込む手のあつぱれよ稲の花 | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 雪洞の続く坂道風の盆 | 兵庫 | 福田光博 |
| 退院や歩む背中へ秋の風 | 兵庫 | 高見正樹 |
| 台風過艀二艘を曳く小船 | 兵庫 | 高見正樹 |
| 秋の暮八十路の癌に戸惑える | 兵庫 | 高見正樹 |
| 踊り果て深編笠に秋の風 | 兵庫 | 福田光博 |
| 人類は惑いてをりぬ穴まどひ | 兵庫 | 吉安とも子 |
| 大陸をオオカバマダラ渡る秋 | 奈良 | 中野美津子 |
| うち吹雪く珊瑚の卵けふの月 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| もう出せぬ母への手紙けふの月 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| まだ夢を見てゐる葡萄剪りにけり | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 子規の忌や子規のよはひを病みて越え | 岡山 | 北村和枝 |
| 永遠に続きさうなる秋暑かな | 岡山 | 北村和枝 |
| 孫の手に鎌で剥いては真桑瓜 | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| 句と友とわが今生は豊の秋 | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| 窓開き名月直に浴びて寝む | 広島 | 鈴木榮子 |
| こねこねて月見団子や共白髪 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 海渡り来し月餅の潮焼けて | 広島 | 鈴木榮子 |
| あぶれ蚊や吾に寄り来て二三日 | 長崎 | ももたなおよ |
| 蚯蚓鳴く介護疲れの枕元 | 長崎 | 川辺酸模 |
| 蚯蚓鳴く平和の世界疑はず | 大分 | 山本桃潤 |
| 耳立てて由布山は聞く秋の風 | 大分 | 山本桃潤 |
| 老妻の秋の布団のふつくらと | 大分 | 山本桃潤 |
| 善人は露に凡夫は塵とならん | 大分 | 竹中南行 |
ネット投句(2023年9月15日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| 見つめるや見つめかへして蜻蛉かな | 北海道 | 柳一斉 |
| 秋の夜や聞こえぬ同士黙深む | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 暮れまどふ大島小島すすき原 | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 箸先になんと重たき栗ご飯 | 石川 | 清水薫 |
| 星月夜一つは宇宙ステーション | 石川 | 清水薫 |
| 湧く雲のどこにも影のなき暑さ | 長野 | 金田伸一 |
| いちじくを二つに割つて花啜る | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 捨案山子目玉の力まだ失せず | 大阪 | 安藤久美 |
| 扇置くあと一年は使ひたく | 大阪 | 澤田美那子 |
| 長々と残暑寝そべる大八洲 | 大阪 | 澤田美那子 |
| 毎日が命がけなり秋暑し | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 指先を澄まして摘まむマスカット | 兵庫 | 吉安とも子 |
| 百歳のいのち遥かへ鰯雲 | 長崎 | ももたなおよ |
| 茄子食めば母の思ほゆ秋の暮 | 長崎 | 川辺酸模 |
| ゆきゆきて秋の小島に曽良眠る | 長崎 | 川辺酸模 |
| 【入選】 | ||
| 最後かも母の口癖栗ご飯 | 北海道 | 村田鈴音 |
| またひとつ神奈備消ゆる秋の風 | 北海道 | 村田鈴音 |
| 秋雨のあひまあひまのペンキ塗り | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 歯にさはる種一つあり柿羊羹 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| ありありと浮かぶけしきや破蓮 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 秋風やどこまで言葉すれ違ふ | 北海道 | 柳一斉 |
| 風来るや風コスモスの彩となり | 北海道 | 柳一斉 |
| 炎熱と戦ひ止まぬ星にゐて | 青森 | 清水俊夫 |
| 手に触るる水滴やさし秋の朝 | 茨城 | 袖山富美江 |
| 八十の腰を伸ばさん衣被 | 埼玉 | 園田靖彦 |
| かじり痕つつき痕ある木の実かな | 千葉 | 若土裕子 |
| ゆく秋よ楽しからずや冬も亦 | 千葉 | 青山果楠 |
| 処理水の説明ないと蛸の声 | 千葉 | 谷口正人 |
| 衣被老いの容の日々新た | 千葉 | 池田祥子 |
| 長生きはなんの罪科石叩き | 千葉 | 麻生十三 |
| 老いぬれば蝙蝠傘の秋日傘 | 千葉 | 麻生十三 |
| 夏休み本気で怒る母ありき | 千葉 | 木地隆 |
| 今朝秋の小さき白雲列をなす | 東京 | 横山直典 |
| 秋の朝まだ生かされて目覚めけり | 東京 | 岡田定 |
| 百円で並ぶ句集やちちろ鳴く | 東京 | 神谷宣行 |
| 電話くる手術成功天高し | 東京 | 長尾貴代 |
| 爽やかやテニスコートの打球音 | 東京 | 楠原正光 |
| 出漁の船団の上鰯雲 | 東京 | 楠原正光 |
| 食細き夫に炒飯梨を添へ | 東京 | 畠山奈於 |
| 久しぶり上野の森は初紅葉 | 東京 | 堀越としの |
| 暗黒の宇宙の一点紅葉山 | 東京 | 櫻井滋 |
| ずたずたの地球にすみて秋深し | 東京 | 櫻井滋 |
| 九条や死火山となる秋の風 | 東京 | 櫻井滋 |
| 敬老日必ず届くカステーラ | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 駅前に好きなカフェあり秋の雨 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 枝豆や四方からの手ぶつからず | 神奈川 | 越智淳子 |
| バリカンのごとコンバイン稲を刈る | 神奈川 | 越智淳子 |
| 群れはいづこただ一匹や秋茜 | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 秋薔薇やほのと色みせ風の中 | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 蟷螂の声まで枯れてしまひけり | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 木の実降る文字が祈りでありしとき | 神奈川 | 松井恭子 |
| トンネルの先のふるさと秋澄めり | 神奈川 | 松井恭子 |
| 北国をひとりの秋やがらんどう | 神奈川 | 植木彩由 |
| ひぐらしの声のシャワーを全身に | 神奈川 | 中丸佳音 |
| おもむろにつくつく法師名告り出づ | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 白湯呑んで秋の一日の終りとす | 神奈川 | 中丸佳音 |
| コスモスや丘いちめんを揺する風 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| 九月来るたつぷりの湯に浸かるかな | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 多摩川を越せば東京涼新た | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 有の実の汁の甘さが歯にしみる | 神奈川 | 片山ひろし |
| ぐんぐんと酒がすすむや秋茄子 | 新潟 | 安藤文 |
| 秋の夕ガラガラ声の烏かな | 新潟 | 高橋慧 |
| 雲一つ無きは退屈ゑのこ草 | 石川 | 松川まさみ |
| 白秋やさなきだに目のかすむ日々 | 長野 | 金田伸一 |
| 上達は急かず慌てず秋の空 | 長野 | 金田伸一 |
| 子別れの鴉か愚痴をこぼせしは | 長野 | 大島一馬 |
| 川の波九月の光返へしくる | 岐阜 | 古田之子 |
| 風騒ぐ風に向かひてとんぼ群る | 岐阜 | 古田之子 |
| 動かざる我の回りを蜻蛉群れ | 岐阜 | 三好政子 |
| 草も木も人も乾びる残暑かな | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 一雨に秋は来にけり草の花 | 静岡 | 湯浅菊子 |
| あら煮付け目玉穿くる生身魂 | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 桃をむく指の力をゼロにして | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 野分晴れ母起こすごと花おこす | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 躓きぬ植ゑし憶えは無き南瓜 | 愛知 | 宗石みずえ |
| 朝露を踏んで始まる句会かな | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 百円で句集買ひたり秋の風 | 京都 | 諏訪いほり |
| 諦念の晴れやかであれ大花野 | 京都 | 諏訪いほり |
| 今更に母の忠告唐辛子 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 矍鑠と老いて田を守る案山子かな | 大阪 | 安藤久美 |
| 朝涼し水面漂ふ稲の葯 | 大阪 | 山中紅萼 |
| 曾良が行く海の細道秋つばめ | 大阪 | 木下洋子 |
| 夕暮れの風を待ちをり新生姜 | 大阪 | 澤田美那子 |
| 一塊の葡萄の重さ掌に取りぬ | 兵庫 | 吉安とも子 |
| 房ごとに袋かぶせて葡萄成る | 兵庫 | 天野ミチ |
| 晩婚の子につい口出すや新生姜 | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 我血でも命つなぎの糧かヒル | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 編笠や踊りの果ての団扇かな | 兵庫 | 福田光博 |
| 輝ける良夜の水面船溜まり | 兵庫 | 髙見正樹 |
| 何処より来て何処へと露の珠 | 奈良 | きだりえこ |
| 老犬と二階に上がる秋出水 | 奈良 | 中野美津子 |
| 秋草の思ひのままの売地かな | 奈良 | 中野美津子 |
| 秋暑し腹に掛けたるバスタオル | 岡山 | 北村和枝 |
| 新涼や綺麗に磨く革の靴 | 岡山 | 北村和枝 |
| 獣の顔ずたずたや荒鮭は | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| いくたびも岩に身を打ち鮭上る | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| 露の世に子らを育み母白寿 | 長崎 | 川辺酸模 |
| 晩成と言はれ八十生身魂 | 大分 | 山本桃潤 |
| 無花果の葉陰色無き風通る | 大分 | 山本桃潤 |
| 借り物のこころなりけり虫の秋 | 大分 | 竹中南行 |
ネット投句(2023年8月31日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| 今朝秋のものぐさ太郎起きて来ず | 東京 | 神谷宣行 |
| みなとみらい烟るやうなる秋暑かな | 神奈川 | 中丸佳音 |
| あさがほは炎の空とま向かへる | 岐阜 | 古田之子 |
| 老犬よ九月の風を見に出でん | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 釜ゆでの日本列島盆の月 | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 【入選】 | ||
| 黙といふ答もありや遠花火 | 北海道 | 村田鈴音 |
| 七竈朝よりまさり色づきぬ | 北海道 | 村田鈴音 |
| ばつくれて水と缶詰秋暑かな | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 人類の我儘ゆるし今日の月 | 北海道 | 柳一斉 |
| 秋の夜や十年日記読み返し | 北海道 | 柳一斉 |
| 生身魂人新世を生きてゐる | 青森 | 清水俊夫 |
| 古りてゆく我も地球も八月尽 | 青森 | 清水俊夫 |
| 敗戦日どう生きてきた僕たちは | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 新涼や谿の音また山の音 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 故郷の土の匂ひや山の芋 | 茨城 | 袖山富美江 |
| 馬追ひの髭なびくたび闇深む | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 真夜中の水槽の音鯰かな | 埼玉 | 佐藤森恵 |
| 五百メートル噴水あげよブラジリア | 埼玉 | 佐藤森恵 |
| わたすげの道を歩くや小さき旅 | 埼玉 | 佐藤森恵 |
| 泥深く潜る泥鰌や原爆忌 | 千葉 | 若土裕子 |
| 打ち水をしていた暮らし遠くなり | 千葉 | 春藤かづ子 |
| うちわ風百寿超へゐる母の床 | 千葉 | 青山果楠 |
| かぶと虫我が童心を呼び覚ます | 千葉 | 谷口正人 |
| ひと雨の後の静けさ秋の虹 | 千葉 | 池田祥子 |
| 野分来る野分来るぞと飯握る | 千葉 | 池田祥子 |
| 四畳半終の住処の溽暑かな | 千葉 | 麻生十三 |
| 願わくは水葬たらんや天の川 | 千葉 | 麻生十三 |
| 夏風邪や手足熱する棒のごと | 東京 | 小野早苗 |
| 両の手と足で登りし夏の山 | 東京 | 小野早苗 |
| 鰯雲処理水と言ひ恥づるなし | 東京 | 神谷宣行 |
| 受験生母の差し入れ夜食とる | 東京 | 楠原正光 |
| 老い猫の日がな居眠り藺座布団 | 東京 | 畠山奈於 |
| 幾たびも坊主にされて椎茂る | 東京 | 畠山奈於 |
| 九月来る草ぼうぼうの狭庭にも | 東京 | 櫻井滋 |
| 凌霄花リハビリの道また一歩 | 東京 | 櫻井滋 |
| 参道のよさこい踊りへ雨激し | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 朝か昼かしばし混乱の昼寝覚 | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| しんかんと叫喚が立つ原爆ドーム | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 雲の峰原爆ドーム大きくす | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 口角は下げたらあかん鰯雲 | 神奈川 | 植木彩由 |
| 雄物川の小さき渡し場荻の声 | 神奈川 | 植木彩由 |
| 壊れゆくこの星惜しみつくつくし | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 木通採り秋の夕暮れ忘れけり | 神奈川 | 土屋春樹 |
| 人肌を恋ふには暑し秋夕べ | 神奈川 | 島敏 |
| 倖せの崩れやすきは桃に似て | 神奈川 | 島敏 |
| 終電を闇に見送る星月夜 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| 暑いねと言うてまた言ふ秋の虫 | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 長き夜の戦中語りまだ尽きず | 神奈川 | 片山ひろし |
| 迷ひ来て蟋蟀の鳴く我が家かな | 新潟 | 安藤文 |
| 秋暑しデモ隊のゆく池袋 | 新潟 | 安藤文 |
| 暁の風鈴の音に目覚めけり | 新潟 | 高橋慧 |
| 納め置く母の風鈴菓子箱に | 新潟 | 高橋慧 |
| 竜神に忘れられたかひでり村 | 富山 | 酒井きよみ |
| 秋暑し朝の能登路に機の音 | 石川 | 花井淳 |
| 腹くくる紐見当たらぬ残暑かな | 石川 | 松川まさみ |
| 秋色や乳房一対持ち堪へ | 石川 | 松川まさみ |
| 晩夏光暑さ疲れの森の色 | 石川 | 密田妖子 |
| 体温の置きどころなき暑さかな | 長野 | 金田伸一 |
| 残したる腸夫が食ぶ初秋刀魚 | 岐阜 | 三好政子 |
| こもれ日や蜩のなく山の道 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| もう母の音なき家に帰省する | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 新涼や生きて行くのもよかろうか | 愛知 | 宗石みずえ |
| 想ひ出は断片ばかり走馬灯 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 逝くときは心静かに桐一葉 | 京都 | 氷室茉胡 |
| ひとりゐて鉛筆けづる敗戦忌 | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 子に蹴られ目覚める夜の残暑かな | 奈良 | 中野美津子 |
| 朝顔の心底ぬれてゐる夜明け | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 桔梗一輪そこら辺りのもの捨てて | 長崎 | ももたなおよ |
| 最高気温日々更新すけふは処暑 | 長崎 | ももたなおよ |
| 遠花火ともに生きると決めた夜 | 長崎 | 川辺酸模 |
| 東京駅色無き風が人の間を | 大分 | 山本桃潤 |
| 邯鄲の夢の彼方へいわし雲 | 大分 | 竹中南行 |
ネット投句(2023年8月15日)選句と選評
芳賀匙子さん
著しい上達。
| 【特選】 | ||
| 負けてなお終はりなきもの敗戦忌 | 北海道 | 村田鈴音 |
| 遊ぶとき風は涼しく吹くことよ | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 光年の先に伝はれ原爆忌 | 青森 | 清水俊夫 |
| いのちみな来りて還る天の川 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 今も待つ百四歳の敗戦日 | 千葉 | 若土裕子 |
| 次々に咲いて一日や夕槿 | 千葉 | 若土裕子 |
| 灼熱にとぐろ巻きたる胡瓜かな | 千葉 | 谷口正人 |
| 汗を拭く愛しきものの骨と皮 | 千葉 | 麻生十三 |
| 炎暑かな隙も死角も無かりけり | 千葉 | 木地隆 |
| 目と鼻と舌で味はふ桃健やか | 東京 | 畠山奈於 |
| 種ありし頃の思ひ出葡萄食む | 東京 | 堀越としの |
| 水筒の氷鳴らして駆けてゆく | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 父のゲートル兄のゲートル敗戦日 | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 光年の遠さも楽し星の恋 | 神奈川 | 片山ひろし |
| 生ぐさき闇のひろがるうかいかな | 富山 | 酒井きよみ |
| 風に乗り能登に海より秋が来る | 石川 | 清水薫 |
| 床屋から出でて秋立つ心かな | 石川 | 清水薫 |
| 酢の力頼りに食す酷暑かな | 石川 | 密田妖子 |
| 洗ひ髪染めて八十六の夏 | 石川 | 密田妖子 |
| 一個だに西瓜見えざる西瓜畑 | 長野 | 金田伸一 |
| 炎熱のこもりたるままの夜明けかな | 岐阜 | 古田之子 |
| 戦争の記憶の指で桃をむく | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 白桃の深き眠りをたなごころ | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 八月や昭和は影を長々と | 大阪 | 澤田美那子 |
| 托鉢の鉢の中にも溽暑かな | 兵庫 | 福田光博 |
| 露けしや平和の下の鉄兜 | 奈良 | きだりえこ |
| 積ん読の一つ手に取る今日の秋 | 岡山 | 北村和枝 |
| 敗戦忌父らの闇を預かりぬ | 長崎 | ももたなおよ |
| 神の枷失せたるままや原爆忌 | 大分 | 竹中南行 |
| 【入選】 | ||
| いち早く秋の風かや鼻うづく | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 通過せし集落ごとに盆踊 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 轆轤また蹴りて卯の花腐しかな | 北海道 | 柳一斉 |
| 大夕立ゲリラ豪雨になり変はり | 青森 | 清水俊夫 |
| 新涼や龍太の軸の月の二字 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
| 朝顔や色それぞれに朝迎へ | 茨城 | 袖山富美江 |
| 新涼や洗ひし母の白き足 | 茨城 | 袖山富美江 |
| 走馬灯空になりたるマッチ箱 | 茨城 | 袖山富美江 |
| ベランダに滝現るる大夕立 | 埼玉 | 上田雅子 |
| 夏深み光一筋阿弥陀堂 | 千葉 | 青山果楠 |
| 朝顔が我に背を向け咲きにけり | 千葉 | 谷口正人 |
| 語り継ぐ大川梨ぞ長崎忌 | 千葉 | 池田祥子 |
| 踏切のカンカンを聴く暑さかな | 千葉 | 麻生十三 |
| しんしんと神の坐します日向水 | 千葉 | 木地隆 |
| 夕映えの山悠然と秋の立つ | 東京 | 横山直典 |
| 大形の秋富士胸に吸い込まん | 東京 | 神谷宣行 |
| 償えぬことあまたなり敗戦日 | 東京 | 長尾貴代 |
| 新涼や頬をかすめて風渡る | 東京 | 楠原正光 |
| ひぐらしを夕餉の卓に聴ひてをり | 東京 | 堀越としの |
| ラヂオ聞く農家の三和土終戦日 | 東京 | 櫻井滋 |
| 空襲下通学の夫終戦日 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 顔のない遺影八月十五日 | 神奈川 | 三玉一郎 |
| ひまはりや少年野球母混じり | 神奈川 | 松井恭子 |
| 竿燈の腰つきやけに色っぽい | 神奈川 | 植木彩由 |
| 網担ぎアサギマダラを追ふ親子 | 神奈川 | 土屋春樹 |
| 川端で親子四代苧殻焚く | 神奈川 | 土屋春樹 |
| ひかり降る樹々のあはひの蝉時雨 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| 蟻一匹ゐない危険な暑さかな | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 例ふれば南嶺禅師白桔梗 | 神奈川 | 那珂侑子 |
| 手にもせず秋の扇子となりにけり | 神奈川 | 那珂侑子 |
| チョコレートパリンと折れて涼新た | 神奈川 | 片山ひろし |
| 戦争の空しか知らず虫のこゑ | 新潟 | 安藤文 |
| 花火果つ満天の星戻り来る | 新潟 | 高橋慧 |
| 稚鮎とて心憎しよほろ苦く | 富山 | 酒井きよみ |
| 雲たぎる奥底知れぬ残暑かな | 石川 | 松川まさみ |
| 秋茄子糠床染めてゆるびけり | 石川 | 松川まさみ |
| 一家して美貌の西瓜育てけり | 長野 | 金田伸一 |
| オーケストラ調音の波秋立ちぬ | 長野 | 大島一馬 |
| 熱き朝すれちがふ人の白きシヤツ | 岐阜 | 古田之子 |
| 配るほど生りし胡瓜もこが最後 | 岐阜 | 三好政子 |
| 今年また頂く飛騨の桃の香や | 岐阜 | 三好政子 |
| 白山へなほ山幾重夏あざみ | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 八合目心のなかも汗まみれ | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| この国の永久の定点敗戦日 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 子ら帰り庭に一人や飛蝗きぬ | 愛知 | 宗石みずえ |
| 背爛れし少年遥か長崎忌 | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| いぢらしや盆鉢に咲く百日紅 | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 亡き夫の靴を履く子と富士登山 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 牛若の落し文かや鞍馬山 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 黙禱や爪の先まで原爆忌 | 大阪 | 安藤久美 |
| ひんやりと乳房ありけり原爆忌 | 大阪 | 安藤久美 |
| 水撒きや小ぶりの青虫蜜柑の葉 | 大阪 | 山中紅萼 |
| 夏痩せに誰も気づいてくれぬまま | 大阪 | 木下洋子 |
| 台風の最中をゆくか茄子の牛 | 大阪 | 澤田美那子 |
| 秋めくやはかなくゆるる蔓の先 | 大阪 | 澤田美那子 |
| 初せみは命のあかし昼の酒 | 大阪 | 齊藤遼風 |
| 虐殺の極みなりけり原爆忌 | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 二人して七夕流しせしことも | 兵庫 | 加藤百合子 |
| ひたすらに日没待ちて残暑かな | 兵庫 | 天野ミチ |
| 山風や木の葉を鳴らす滝飛沫 | 兵庫 | 髙見正樹 |
| 迎へ火や父随へて母戻る | 奈良 | きだりえこ |
| 新涼の二上山を手庇で | 奈良 | きだりえこ |
| 視界良き虐殺の日よ原爆忌 | 奈良 | 中野美津子 |
| ゆっくりと翅を乾かし揚羽ゆく | 奈良 | 中野美津子 |
| 思ひ出は沖行く白帆今朝の秋 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| さらさらと布巾を濯ぐ夜の秋 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 心地よき昼寝の海を漂ひぬ | 岡山 | 北村和枝 |
| 帰還の父ありて我あり終戦日 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 終戦日休戦中の空気とも | 大分 | 竹中南行 |
