ネット投句(2023年11月15日)選句と選評
【特選】 | ||
雪吊りの縄八方へ加賀日和 | 石川 | 花井淳 |
打ちそろふ古志のつはもの梅室忌 | 石川 | 花井淳 |
夫焼きし土鍋の出番来たりけり | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
順序などないか柩に残菊に | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
霜の夜のあなたのしきや煮炊きもの | 和歌山 | 玉置陽子 |
夜学の灯ここにこの国救ふ者 | 大分 | 山本桃潤 |
【入選】 | ||
きつかりと肩はる壺や冬に入る | 北海道 | 芳賀匙子 |
雪降るや雪のこゑ聴く北の夜 | 北海道 | 柳一斉 |
手術了へ「鳥の歌」聴く冬落暉 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
冬晴や今朝も生きてゐる倖せよ | 宮城 | 長谷川冬虹 |
旅立ちは故郷の駅帰り花 | 茨城 | 袖山富美江 |
日向ぼこ犬にもありや肩の凝り | 千葉 | 若土裕子 |
蟋蟀の布団の中に忍びおり | 千葉 | 春藤かづ子 |
蝶と戯れ蜻蛉と戯れて秋惜しむ | 千葉 | 木地隆 |
炊き立てのどんぶり飯や朴葉味噌 | 東京 | 横山直典 |
九十七紫紺のマフラー臙脂の紅 | 東京 | 長尾貴代 |
鳥の声あたり震はせ冬に入る | 東京 | 楠原正光 |
マフラーのけふはお揃い母老いぬ | 東京 | 堀越としの |
寒風やデイサービスのバスを待つ | 東京 | 櫻井滋 |
今年またみかん山よりみかん来る | 神奈川 | 伊藤靖子 |
あとがきの後に大きな枯野あり | 神奈川 | 三玉一郎 |
どんぐりのトトロ転げて冬に入る | 神奈川 | 松井恭子 |
風ふいに振り向き薄驚かす | 神奈川 | 松井恭子 |
綿虫と虚ろな時を過ごしけり | 神奈川 | 島敏 |
ポケットに古き半券二科を見る | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
折り紙は折り目がいのち冬の鶴 | 神奈川 | 片山ひろし |
手を繋ぎ老夫婦ゆく小春かな | 新潟 | 安藤文 |
在所にはいもうとおとうと初あられ | 石川 | 花井淳 |
一枝を剪つてくれたり実紫 | 長野 | 金田伸一 |
かなへびの日向ぼつこや秋日差し | 岐阜 | 古田之子 |
ふと触れし手首の甲の冷やかさ | 岐阜 | 三好政子 |
我もまたいつのまにやら草紅葉 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
コロッケの袋しやかしやか鳴る立冬 | 京都 | 諏訪いほり |
菊畑おのが卒寿の菊摘まん | 大阪 | 安藤久美 |
坂上りきつて晴ればれ冬の蝶 | 兵庫 | 魚返みりん |
投句待つポストぽつんと冬に入る | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
夕暮やヘッドライトに鹿二頭 | 兵庫 | 福田光博 |
愛犬の逝きし庭なる秋の暮 | 兵庫 | 福田光博 |
息深く吸ふて綿虫ただよへり | 和歌山 | 玉置陽子 |
行く秋を零余子拾うて送りけり | 岡山 | 齋藤嘉子 |
うたた寝て夢に遊べよ冬の蝿 | 長崎 | 川辺酸模 |