ネット投句(2023年10月31日)選句と選評
【特選】 | ||
すさまじや枝をそがれし木はわたし | 北海道 | 芳賀匙子 |
磔刑の御姿なる捨案山子 | 埼玉 | 園田靖彦 |
大雨にのたうちまはる崩れ簗 | 大阪 | 澤田美那子 |
【入選】 | ||
自らに巻きもどるつるうめもどき | 北海道 | 芳賀匙子 |
眼にとまる手の甲の皺暮の秋 | 北海道 | 柳一斉 |
二四歳祝ひて一献新走 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
銀杏を踏み潰したき夜もあり | 茨城 | 袖山富美江 |
養はん残余の力零余子飯 | 埼玉 | 園田靖彦 |
冬近し君へ差しだす蒸しタオル | 千葉 | 池田祥子 |
太平洋超へて友来る柿の秋 | 千葉 | 池田祥子 |
銀杏に獣の匂い聞く夜かな | 千葉 | 麻生十三 |
死の近き人の見つけし初紅葉 | 東京 | 岡田定 |
三度目の収穫うれし豆もやし | 東京 | 小野早苗 |
秋深し泥沼続くパレスチナ | 東京 | 長尾貴代 |
電線がうなりを上げて冬に入る | 東京 | 楠原正光 |
屋上にキリン働く冬日和 | 東京 | 堀越としの |
飢ゑに痩せ海辺さまよふ羆かな | 神奈川 | 越智淳子 |
秋風や古書店閉じて居酒屋に | 神奈川 | 遠藤初惠 |
星々の光を纏ふ湯ざめかな | 神奈川 | 三玉一郎 |
一握り赤米添へて今年米 | 神奈川 | 松井恭子 |
鰡跳ぶを八つまで数へ飽きにけり | 神奈川 | 植木彩由 |
かめむしのひつくり返つたまますすむ | 神奈川 | 那珂侑子 |
夫亡くて空気動かず根深汁 | 神奈川 | 片山ひろし |
天空へ鳶昇り行く蕎麦の花 | 新潟 | 高橋慧 |
窓叩く雨やけふ見し崩れ簗 | 石川 | 松川まさみ |
もどかしや通草の中のある記憶 | 石川 | 松川まさみ |
首筋に冬も近いと風の声 | 石川 | 清水薫 |
かまきりの構造体は三角形 | 石川 | 清水薫 |
蟷螂を撫でてとばさず秋深む | 長野 | 金田伸一 |
秋寒やケ−キ屋花屋消えし町 | 岐阜 | 三好政子 |
逆しまにこの世ながめる枯蟷螂 | 岐阜 | 梅田恵美子 |
秋遍路死装束もかろやかに | 静岡 | 湯浅菊子 |
門灯を夫に灯して秋の暮 | 京都 | 諏訪いほり |
墨塗に始まる戦後秋深し | 京都 | 氷室茉胡 |
根来衆の裔かやんまの飛び交へり | 大阪 | 安藤久美 |
冬枯や我を残してかのん逝く | 兵庫 | 福田光博 |
工事場に杭を打つ音冬日和 | 兵庫 | 髙見正樹 |
ことことと煮染むこんにゃく後の月 | 和歌山 | 玉置陽子 |
色鳥や箪笥いつぱい母のもの | 和歌山 | 玉置陽子 |
病む吾と母と二人の露の家 | 岡山 | 北村和枝 |
崩れ簗拾うて仏彫るは誰 | 岡山 | 齋藤嘉子 |
長き夜読みつ戻りつ紙の本 | 広島 | 鈴木榮子 |
乾鮭は自然法爾の姿かな | 長崎 | 川辺酸模 |
のびのびと濁世を遊ぶ南瓜かな | 長崎 | 川辺酸模 |