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ネット投句(2025年5月15日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年6月11日 作成者: dvx223272025年6月11日

★印は特選

樹も花も空もないまぜ春終る 北海道 芳賀匙子
炎帝の試練堪へぬき干し昆布 北海道 柳一斉
★ 逝くのなら春よ我をも連れてゆけ 青森 清水俊夫
母恋ひの句会果てたる母の日よ 宮城 長谷川冬虹
母の日やさすつてくれし掌よ 宮城 長谷川冬虹
がしゃがしゃと洗ふ子の靴夏に入る 茨城 袖山富美江
おそろしきごそり値上げの夏来る 埼玉 園田靖彦
初夏の風大空を舞う鷹一羽 埼玉 下家正幸
店頭に若き跡取り柏餅 千葉 若土裕子
花冷えや地酒抱へて旅の宿 千葉 青山果楠
病室の夫ヘ粧ふ五月かな 千葉 池田祥子
寝もやらず一番電車五月来る 千葉 麻生十三
青空へ白赤青や立葵 東京 楠原正光
早起きを親子が競ふ子供の日 東京 楠原正光
べか船の油の匂い浅利売 神奈川 臼杵政治
過ぎて後にほひ追ひくる花卯木 神奈川 越智淳子
万緑や箱根新道七曲り 神奈川 遠藤初惠
盛大に散るやジャスミン兄逝けり 神奈川 遠藤初惠
前島密の一円切手昭和の日 神奈川 丸山分水
まづたのむ山河したたる旅の宿 神奈川 三浦イシ子
今はなき町の名を染め祭かな 神奈川 松井恭子
さびしくて蝙蝠と棲む女あり 神奈川 谷村和華子
青歯朶のひつそり閑といのち長が 神奈川 中丸佳音
あるなしの風に水面の柳影 神奈川 藤澤迪夫
父の日や反抗ばかりの日を悔やむ 神奈川 片山ひろし
涼しさのおくのほそ道読みにけり 新潟 安藤文
乾杯のビールにまじるハイボール 新潟 安藤文
沖縄忌遺骨と校章ガマの中 新潟 高橋慧
白山の水に植田の広がれり 石川 花井淳
水遊び子らのサンダル散り散りに 石川 山本葉舟
糠床の手入れ忙しき夏に入る 石川 清水薫
膝に来て模様の褪せて春の猫 石川 竹野いさお
左手のだらりと涼し百済観音 石川 平林はや乃
有り体の発句も一句ぞ桜餅 長野 金田伸一
茂木枇杷のさも旨さうな箱届く 長野 金田伸一
風嵐山藤房ごと千切れ飛ぶ 岐阜 古田之子
雪の如なんじゃもんじゃの花重し 岐阜 三好政子
忘れまじ被爆十年春句集 岐阜 梅田恵美子
★ 短夜や老犬は死と格闘中 愛知 青沼尾燈子
草刈やせめて墓石の見ゆるまで 京都 氷室茉胡
吾が胸に一直線に燕来る 大阪 山中紅萼
きらきらと雀ら水浴ぶ五月晴れ 大阪 山中紅萼
しろたへの新玉葱や天麩羅に 大阪 澤田美那子
★ すぐそこに戦争のある新茶かな 大阪 澤田美那子
憲法に死ねといふのか花は葉に 大阪 齊藤遼風
昼寝覚め今は夕べか早朝か 兵庫 天野ミチ
黒南風や浮き桟橋を揺らす波 兵庫 髙見正樹
★ 明け方に天使のつまむ苺かな 奈良 きだりえこ
なんじやもんじや石が仏になるところ 奈良 きだりえこ
夏椿仏覆ひて涼しかり 奈良 きだりえこ
麦秋やゴッホの帽子見え隠れ 和歌山 玉置陽子
紫陽花の散ることのなき寂しさよ 広島 森恵美子
★ 母のなき一人ぽつちの夏来る 長崎 川辺酸模
三七日の空を忙しき燕かな 長崎 川辺酸模
牛乳の白濃ゆき島南風 大分 山本桃潤
葉桜や重きに慣れてランドセル 大分 竹中南行

ネット投句(2025年4月30日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年5月14日 作成者: dvx223272025年5月14日

★印は特選

しぼり出す蕾のあかや花杏 北海道 芳賀匙子
★ 草臥れしからだごと入れ夜濯や 北海道 芳賀匙子
万愚節言葉に闇のありにけり 北海道 柳一斉
春塵や虎嘯いて龍は吼え 青森 清水俊夫
岩手颪耐へきし一本桜かな 宮城 長谷川冬虹
門を出る頬に受く風五月来る 茨城 袖山富美江
ドカベンの蓋もちあぐる麦の飯 埼玉 園田靖彦
屈辱の今もこころに麦の飯 埼玉 園田靖彦
★ たんぽぽや田んぼの中を回り道 埼玉 下家正幸
★ 棟上げ式檜も酔へや冷し酒 埼玉 佐藤森恵
八十の我も耀く五月かな 埼玉 上田雅子
山々に法螺貝告ぐる花会式 千葉 安田勅男
初夏や染め上げて干す藍の色 千葉 若土裕子
新緑に吸い込まれゆく登山道 千葉 春藤かづ子
散る花を酒に浮かべて神棚へ 千葉 青山果楠
花筏へどろの川を漂へり 千葉 池田祥子
春の海テトラポットは甲羅干し 千葉 木地隆
雀の子ひとつ成しては胸を張り 千葉 木地隆
母の日にホーム慰問の元不良 東京 長尾貴代
母は言う祖母に会いたい散る桜 東京 長尾貴代
停泊のマストを揺らす青嵐 東京 楠原正光
葉桜や何事ならむ朝電話 東京 楠原正光
公園まで快癒の友と桜見に 神奈川 遠藤初惠
★ 配流の道はた良寛のみち榛の花 神奈川 丸山分水
薔薇の芽のあらずやと見るときめきよ 神奈川 三浦イシ子
思ひ出の桜のふぶく車椅子 神奈川 松井恭子
どぶ川に田螺壱萬放りけり 神奈川 谷村和華子
★ 蕾あるものから売れて苗木市 神奈川 片山ひろし
生簀浚ふ嘉門次小屋や夏来る 富山 酒井きよみ
白山の肩乗り越して南風吹く 石川 花井淳
遠き日のわたしがここに夏蜜柑 石川 清水薫
砂時計よりもくびれて海市立つ 石川 平林はや乃
★ 暇にして明日の遠き日永かな 長野 金田伸一
亡き人の句集に力得たり春 長野 金田伸一
遺句集を編んで逝かんか四月馬鹿 長野 金田伸一
縄張りも命がけなる蝶の空 長野 大島一馬
山よりの桜一片鬼の文 岐阜 古田之子
★ 花冷えや我に机と流し台 静岡 湯浅菊子
★ 片栗の花守として老ひにけり 京都 諏訪いほり
これ日光これ月光や椿寺 京都 諏訪いほり
火葬場を囲みて山は若葉かな 京都 諏訪いほり
茶摘女の幼き指は痛からん 大阪 安藤久美
田の神の近づく音か春の雷 大阪 澤田美那子
庭掃いてゴールデンウィークやり過ごす 大阪 澤田美那子
角ひとつまちがへて咲く花ミモザ 大阪 齊藤遼風
濃淡の墨いろいろや山桜 兵庫 加藤百合子
吉野建透けつ隠れつ花吹雪 兵庫 吉安とも子
草餅を力に奥の千本へ 兵庫 吉安とも子
これよりの恋の一途や夕蛙 奈良 きだりえこ
煉獄の口を開けたる牡丹かな 奈良 きだりえこ
★ 行く春や吉野へ残す三千句 奈良 きだりえこ
逆立ちて親は給餌や燕の巣 奈良 中野美津子
すれ違ふ我を一瞥つばくらめ 奈良 中野美津子
★ うつとりと火が火を抱く春炉かな 和歌山 玉置陽子
★ 水俣忌海の嘆きのとこしなへ 和歌山 玉置陽子
聴診器新たに春は闌に 広島 坂井綾乃
医心の高くあるべし八重桜 広島 坂井綾乃
詫状をしたためてをり花の影 広島 森恵美子
昭和の日高々と盛るご仏飯 長崎 ももたなおよ
軍艦のそばに客船昭和の日 長崎 ももたなおよ
★ 花冷の母の骸と夜伽かな 長崎 川辺酸模
★ 手折りたる酸模入れむ母の棺 長崎 川辺酸模
★ 亀鳴くや五尺に足らぬ骨の母 長崎 川辺酸模
煮魚に桜添えたる昼餉かな 熊本 山下たまき
★ 裏山のふきとたけのこ味深し 熊本 山下たまき
満開の触るれば冷たき桜かな 大分 山本桃潤
桃源の入口あたり春の蝶 大分 竹中南行
陽炎や戦後八十年の霊 大分 竹中南行

軽井沢新緑句会(2025年5月5日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年5月5日 作成者: dvx223272025年5月5日

・長谷川櫂選

一座目
【特選】推敲例
新緑を喜ぶ栗鼠の身の軽さ 越智淳子
大鍋にぐらと筍かへりけり 梅田恵美子
軽井沢村たりしころ麦の秋 越智淳子
【入選】
刈草の匂ひ激しき昼寝かな 北側松太
取り込みしズボンを振れば雨蛙 中野美津子
長旅を終へて涼しき畳かな 北側松太
猫抱けば春の愁ひの重さあり 北側松太
勝訴なれど姉は還らず散る桜 長尾貴代
パンジーに道を訊きたい住宅地 中野美津子
あ
二座目
【特選】推敲例
ゴーギャンの女らによき木下闇 北側松太
生まれたる蝶落ち着かぬ野原かな 梅田恵美子
松落葉鳴らし自転車走り去る 越智淳子
初夏や口にほのかな純米酒 花井淳
【入選】
初筍その姫皮を寿 澤田美那子
かりそめの水に金魚の遊びをり 安藤久美
かたばみや抜こうとすれば花ひらく 中野美津子
ストーブを消しては点けて夏に入る 澤田美那子
夫婦とは言葉少なや冷さうめん 北側松太
くたびれし我くたびれし浴衣かな 北側松太

ネット投句(2025年4月15日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年4月28日 作成者: dvx223272025年4月28日

★印は特選

空耳や春かんばに樹液流る 北海道 芳賀匙子
★ 春キャベツきざめば波のまにまかな 北海道 芳賀匙子
鳥帰る帰るところの無き人に 北海道 柳一斉
薄氷の下うずうずと泡ひとつ 青森 清水俊夫
底までもガザジェノサイド翌なき春 青森 清水俊夫
妻からの添付ファイルの花だより 宮城 長谷川冬虹
山麓の学長室より花辛夷 宮城 長谷川冬虹
拾はれて波の音もつ桜貝 茨城 袖山富美江
たちまちに全身火の手焼目刺 埼玉 園田靖彦
つばくらめ黒曜石がうすく割れ 埼玉 佐藤森恵
★ この世の花に埋もれに行くや吉野山 埼玉 上田雅子
アルプスを従へるかな大桜 千葉 安田勅男
もって来し本の香もある春の土手 千葉 安田勅男
写真の中に若き父母居て花辛夷 千葉 菊地原弘美
辛うじて難を逃れき山桜 千葉 若土裕子
囀りやこの世あの世も賑やかに 千葉 若土裕子
花なれば灰になりても花の色 千葉 青山果楠
柳絮飛ぶ北京胡同四合院 千葉 青山果楠
虫歯抜く激痛の中春を詠む 千葉 谷口正人
一箸に寂寥つまむ春の豆 千葉 麻生十三
★ 君背負いかんかんのうは花の夜 千葉 麻生十三
黄泉の国花見はまだか間に合うか 千葉 麻生十三
偕老や二言三言花のこと 千葉 木地隆
小六の校門今も花吹雪 東京 岡田定
手際よくごみ収集車花曇 東京 楠原正光
藤棚の奥が喧し雀の巣 神奈川 臼杵政治
ぐづぐづとするが極楽朝寝覚 神奈川 丸山分水
而して固定電話の春埃 神奈川 丸山分水
春の川やがて海へと知らぬまま 神奈川 三浦イシ子
またの世の花を見にゆく渡しかな 神奈川 三玉一郎
花吹雪また亡き人とすれ違ふ 神奈川 三玉一郎
ふるさとの白銀の山さくらかな 神奈川 松井恭子
老眼のいよいよつのる花吹雪 神奈川 中丸佳音
★ 春禽の森は色音の万華鏡 神奈川 藤澤迪夫
質素こそ我が信条と目刺焼く 神奈川 片山ひろし
てのひらに弾む軽さの雛あられ 神奈川 片山ひろし
休肝日所在なき夜を春の月 新潟 安藤文
★ 片栗の花だけ揺らす風のあり 新潟 高橋慧
君の手のぬくもり今もすみれ草 新潟 高橋慧
海水を汲み出すバケツ若布刈舟 富山 酒井きよみ
杉玉をかすめる去年のつばくらめ 石川 花井淳
★ 細くなりし君の腕に朝寝かな 石川 松川まさみ
春の塵なれ存分に生きたれば 石川 松川まさみ
空を蹴り波に消えゆく能登の海女 石川 清水薫
★ 海底の隆起あはれと海女あがる 石川 竹野いさお
蒼天の青を押し退け黄砂来る 石川 竹野いさお
花一樹まるごと朝日夕日浴ぶ 石川 密田妖子
妻の目を恃みて見えず初桜 長野 金田伸一
亀鳴くやわれら詩歌の国の民 長野 金田伸一
山削り谷を濁して雪解水 岐阜 古田之子
母知らぬ我が子の寝顔雛祭 愛知 服部滝伸
春は今辛き季節や鼻詰まり 愛知 服部滝伸
家しんと静もつてゐる紫木蓮 京都 諏訪いほり
山吹や忘れた頃に来る返事 京都 諏訪いほり
手を握るだけの見舞や春惜しむ 京都 氷室茉胡
仏の座小さき花付け待ちゐたり 大阪 山中紅萼
放心の桜となりて散りゆけり 大阪 澤田美那子
濡れたまま母に飛びつく磯遊び 大阪 澤田美那子
化学式煮ても焼ひても飴山忌 大阪 齊藤遼風
花の山有馬鉄道がたごとと 兵庫 天野ミチ
仔猫ねこ仔猫ここ猫裏通り 兵庫 福田光博
三寒を抜けて四温の能登に雨 兵庫 福田光博
草餅と俳句の一生いのちなが 奈良 きだりえこ
★ 餅屋より句集の届く花の宿 奈良 きだりえこ
天も地も荒しと思ふ灌仏会 奈良 きだりえこ
身震ひて老木花をこぼしけり 和歌山 玉置陽子
★ 心音の生きてゐるなり春の水 広島 森恵美子
風光る君癒ゆるべし信ずべし 広島 森恵美子
白薔薇や命を限りに咲きゐたる 広島 森恵美子
ぬばたまの水に映るや夕桜 広島 瑞木綾乃
丸き山尖る山みな花朧 広島 鈴木榮子
春昼の拝観の寺血天井 高知 森脇杏花
★ 百歳の命ふるはせ花ふぶく 長崎 川辺酸模
今朝萌えし隠元豆へ穀雨かな 長崎 川辺酸模
もういつぺん海潜りたか水俣忌 長崎 百田直代
水俣忌後の世もまたこの海へ 長崎 百田直代
★ 水俣忌あをさの汁を手向けばや 長崎 百田直代
どくだみの地下茎にくし庭の隅 熊本 山下たまき
釈迦院の花の御堂や灌仏会 熊本 山下たまき
村長の合図の旗や野火放つ 大分 山本桃潤
★ 花過ぎて無花果青葉壮気あり 大分 山本桃潤
散る花や束の間にしてとこしなへ 大分 竹中南行
★ 空つぽの己が身のうち亀の鳴く 大分 竹中南行
★ 生と死が支へ合ひをる朝寝かな 大分 竹中南行

ネット投句年間賞(春)は密田妖子さん

ネット投句 投稿日:2025年4月11日 作成者: dvx223272025年4月11日
*年間賞
利休忌やこの皺の手もやがて灰 石川 密田妖子
*次点
狼の足跡雪よひそと消せ 富山    酒井きよみ
みちのくの春待つ心焼き尽くす 千葉    若土裕子
大粒のあられは白し丹後道 石川    北村おさむ
*候補
春浅し空は大きく空いたまま 東京 楠原正光
老いぼれて今さら何を春を待つ 神奈川 丸山分水
冬帽子深くかぶりて長き道 石川 北村おさむ
母の愛雪の次々積る屋根 大分 山本桃潤
目の洞へ炎飛びつく目刺かな 和歌山 玉置陽子
最後まで母を看取りし懐炉かな 高知 森脇杏花
白梅の一輪二輪天の門 大分 竹中南行
立つ座る寝るも見苦し老の春 愛知 青沼尾燈子
一湾のお乳となれや雪解水 富山 酒井きよみ
夜気昼気吸ひつくしてや凍大根 北海道 芳賀匙子
春も記憶も茫々雨の神田川 神奈川 中丸佳音

 

ネット投句(2025年3月31日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年4月10日 作成者: dvx223272025年4月10日

★印は特選

ひよめきの春の地表や春の雨 北海道 芳賀匙子
春あらし土くれすべて生きしもの 北海道 芳賀匙子
診断は声帯老化亀鳴けり 北海道 柳一斉
★ 蘇るあの日三月のマーラー 青森 清水俊夫
★ グールドの宙へ天使の梯子掛け 青森 清水俊夫
波立てて雪解の川は合流す 岩手 長谷川冬虹
雨の日はこころに一りん花の影 埼玉 園田靖彦
黄蝶とぶひとり昼餉の畑かな 埼玉 下家正幸
耳鳴りを愉しむあした春の塵 埼玉 佐藤森恵
恐ろしき炎が舐める春の山 埼玉 上田雅子
柔ら陽や障子の外に春が居る 千葉 青山果楠
つちふりて大富士ひとつ隠しけり 千葉 谷口正人
気ままとは恐ろし淋し朝寝かな 千葉 池田祥子
ネギ一本買って帰りの花見かな 千葉 麻生十三
花の雨父の命日母不在 東京 長尾
花冷や人もまばらな夕まぐれ 東京 楠原正光
庭石の影を見てゐる日永かな 神奈川 越智淳子
夢に来てわれを呼ぶ母花うつぎ 神奈川 遠藤初惠
白髪の寝ぐせ奔放春の朝 神奈川 遠藤初惠
錫杖に良寛おもふさくらかな 神奈川 丸山分水
大いなるその懐へ大岡忌 神奈川 三玉一郎
箸先に残る香りも木の芽和 神奈川 中丸佳音
★ 春も記憶も茫々雨の神田川 神奈川 中丸佳音
次々と花筏組む目黒川 神奈川 片山ひろし
就活や闘志みなぎる春コート 新潟 安藤文
笑いつつまだ夢の中春の山 新潟 高橋慧
薄氷と薄氷触れ合う音聞かん 新潟 高橋慧
モノクロの部屋となりけり雛納め 新潟 高橋慧
被災せしことを力に卒業す 富山 酒井きよみ
花辛夷一樹山廬を香らしむ 石川 花井淳
あかり坂くらがり坂や春の宵 石川 松川まさみ
花筏これよりは我が日本海 石川 竹野いさお
囀りの会話となるやしばし聞く 石川 北村おさむ
黄砂群幻の長城そびゆ 長野 大島一馬
よなぐもり伊吹の見えぬひと日かな 岐阜 梅田恵美子
吾逝かば春塵となり汝がほとり 岐阜 梅田恵美子
佐保姫や清く正しく難しく 静岡 湯浅菊子
妻の吹くたんぽぽの絮の中にゐる 愛知 稲垣雄二
★ 蛇出でて石で追はるるこの世かな 愛知 稲垣雄二
春障子どれがどの子の指穴や 愛知 宗石みずえ
もう一人己ゐさうな日永かな 愛知 青沼尾燈子
今どこを飛んでいるやら鳥帰る 愛知 服部滝伸
げんげ摘む母とゐるかのごとく摘む 京都 諏訪いほり
隣り合う小家白梅薄紅梅 京都 諏訪いほり
孫に読む絵本に涙春灯 京都 氷室茉胡
雲雀鳴く空がまぶしい大極門 大阪 木下洋子
★ 涅槃会へ馳せ参じたきミミズかな 大阪 木下洋子
初音かな父母の墓遠く来て 大阪 澤田美那子
初蝶や止る術さへ知らぬげに 大阪 澤田美那子
涅槃会や嫗らうたふ’OSoleMio! 兵庫 加藤百合子
築古きマンションの庭咲く辛夷 兵庫 高見正樹
切り干しや切り方干し方母流に 兵庫 藤岡美恵子
みどり児に桜ひとひら夢に入る 兵庫 福田光博
死んだりも生きたりもしてのどけしや 奈良 きだりえこ
人界にぽかりと浮かぶ山桜 奈良 中野美津子
夕顔の種を浸さむ實の忌 和歌山 玉置陽子
逝きてより母なほ近し花辛夷 和歌山 玉置陽子
花過の鳥よぎるたび窓の古る 広島 森恵美子
けふよりのリハビリパンツ花菜風 広島 瑞木綾乃
自炊にも慣れし湯治や目刺焼く 高知 森脇杏花
すつきりと土佐の辛口焼目刺 高知 森脇杏花
海苔篊や有明の海変はりゆく 長崎 ももたなおよ
生命とは何と清らか花一輪 大分 山本桃潤
昼飯に目刺炙るや山仕事 大分 竹中南行

ネット投句(2025年3月15日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年3月23日 作成者: dvx223272025年3月23日

★印は特選

★ 川底をえぐる音にも亀ぞ鳴く 北海道 芳賀匙子
よなぐもり洞たたく鳥あきもせず 北海道 芳賀匙子
退職をひとり祝へりフリージア 北海道 柳一斉
舌の上に転ぶ飴玉春転ぶ 青森 清水俊夫
春泥の祝福を受け旅立ちぬ 青森 清水俊夫
★ あがりなき人生双六転職す 宮城 長谷川冬虹
盛岡の清しき朝よ雪解風 宮城 長谷川冬虹
春寒し壊れたままの天袋 茨城 袖山富美江
ひた寄する手賀の夕波鳥帰る 埼玉 下家正幸
師は逝けりしづかに咲ける梅の花 埼玉 下家正幸
★ みちのくの春待つ心焼き尽くす 千葉 若土裕子
焼け焦げし山肌かなし春の月 千葉 若土裕子
朝風呂や春ぞ来つらむ鳥の啼く 千葉 青山果楠
共に見し歌垣の山霞みたり 千葉 池田祥子
弓道の所作を心に卒業す 千葉 池田祥子
ガラス越し母の数える紅椿 東京 長尾貴代
眼差に勇気を湛へ卒業す 神奈川 臼杵政治
濡れ砂に足裏押されつ潮干狩 神奈川 越智淳子
毎日を四月馬鹿かと惑ひをり 神奈川 越智淳子
地べたでも組んずほぐれつ恋雀 神奈川 丸山分水
全句集だけが恃みや飴山忌 神奈川 三玉一郎
★ 飴山の全貌知れず飴山忌 神奈川 三玉一郎
豊かなるホルンの息や卒業す 神奈川 松井恭子
牛刀の器用に捌く鮪かな 神奈川 植木彩由
店先の鮪の両目冴え返る 神奈川 植木彩由
ひとつひとつ光に揺るる猫柳 神奈川 谷村和華子
水御籤みたらし川の水温む 神奈川 藤澤迪夫
しゃぶりつく仔やぎ乳房に木の芽風 神奈川 藤澤迪夫
ぽっと音立てて紅梅が開いた 新潟 高橋慧
★ 一湾のお乳となれや雪解水 富山 酒井きよみ
茶屋町へかつてガス燈春の宵 富山 酒井きよみ
もう咲くかあたりほのめく梅の苑 富山 酒井きよみ
すみれ草あの友ともう六十年 石川 花井淳
春星や甲斐も白根も眼裏に 石川 花井淳
水遊び浜辺に寄せるサンダルや 石川 山本葉舟
★ 歳時記に悠然として春の泥 石川 清水薫
戦地へと赴く朝の桜餅 石川 清水薫
雪の道今も転んでははを呼ぶ 石川 竹野いさお
★ 大粒のあられは白し丹後道 石川 北村おさむ
★ 春寒し鳴門の大渦小渦かな 石川 北村おさむ
旅の荷を降ろせば伊予の蜜柑の香 石川 北村おさむ
勇気ある老骨たらん梅ふふむ 長野 金田伸一
往生の際まで学べ春の虹 長野 金田伸一
弱視もう戻ることなし木の芽風 長野 金田伸一
震災のサイレン今春を動かす 長野 大島一馬
雪解水岸辺穿ちて持ちゆけり 岐阜 古田之子
大家族名残の椅子の寒き冬 岐阜 田口みよ子
石仏の瞑想中や春ひなた 岐阜 梅田恵美子
鳥の恋雄雌分かたず飛びまわる 静岡 湯浅菊子
★ はや土地の人よと娘より浜防風 愛知 宗石みずえ
砕きたき庭石三トン花辛夷 京都 諏訪いほり
梅東風や古墳の主のまだ不明 京都 氷室茉胡
真二つに折れしあはれや針供養 大阪 安藤久美
★ ふがひなき身を養はん草の餅 大阪 木下洋子
★ 老梅に今年は花や剪り詰めて 大阪 澤田美那子
羽ひろげあつといふ間の巣立鳥 大阪 澤田美那子
★ 潮汁蛤に殻あればこそ 大阪 澤田美那子
川蜷をガリと砕きて一人酒 大阪 齊藤遼風
春水のかがよひとなる魚の影 兵庫 加藤百合子
ぱりぱりと飯にかぶせるのり豊か 兵庫 天野ミチ
そこいらのもので献立これも春 兵庫 藤岡美恵子
★ 老いらくに怖いものなし亀鳴けり 兵庫 福田光博
埋火や傘寿の吾に驚きぬ 兵庫 福田光博
がうがうと浚渫の音三月来 奈良 きだりえこ
★ 鶯やホーと伸ばして息切れす 奈良 中野美津子
★ 砂を吐く素直な蜆を熱湯に 奈良 中野美津子
ほろほろと白魚くづるお湯の中 和歌山 玉置陽子
老いてより土佐のいごっそ懐手 高知 森脇杏花
バケツリレーして死者数多空襲忌 長崎 ももたなおよ
今もなほ耐えよ忍べよ空襲忌 長崎 ももたなおよ
寝た切りの母へ一匙蜆汁 長崎 川辺酸模
永き日や日に日に弱る母の声 長崎 川辺酸模
★ 恐ろしきこの世と知らず蝌蚪群るる 長崎 川辺酸模
春雷の轟き渡る夜明け前 熊本 山下たまき

ネット投句(2025年2月28日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年3月6日 作成者: dvx223272025年3月6日

★印は特選

春陰の窓辺やうみづきの者立つ 北海道 芳賀匙子
春の日の大壺はじけんばかりなり 北海道 芳賀匙子
春泥や男と女諍へり 北海道 柳一斉
せせらぎの音と光や鳥の恋 北海道 柳一斉
昨日まであった生け垣雪に消え 青森 清水俊夫
春を待つ分厚き雪庇垂れ下がり 青森 清水俊夫
ヴェネツィアは迷路の街よ雨水の日 宮城 長谷川冬虹
老犬の奮ひて立てる余寒かな 埼玉 下家正幸
春の夜手首現われピアノ弾く 埼玉 佐藤森恵
★ 雪解川地震の瓦礫の音もする 千葉 若土裕子
寒月や我が方丈は介護宿 千葉 青山果楠
裸木の太き根大地を鷲掴み 千葉 青山果楠
この国も飢えしことあり大春田 千葉 麻生十三
会ふたびにあなたは誰と母の春 千葉 木地隆
鳥雲に君で良かつたと言ひ残し 千葉 木地隆
小さい目まあるい顔の春の雲 東京 岡田定
救急車うちは通りすぐ春浅し 東京 長尾貴代
うららかや波に揺られる舫ひ船 東京 楠原正光
ご近所の桜が一番卒寿かな 東京 櫻井滋
福島や雪の安達太良真正面 神奈川 伊藤靖子
福島や駅への道は雪の道 神奈川 伊藤靖子
★ 涅槃図や躄りて進む父母よ 神奈川 臼杵政治
白梅は紅梅に耳澄ましけり 神奈川 三玉一郎
白梅よ光の道を辿り来よ 神奈川 三玉一郎
一人ゐて千の椿に見つめらる 神奈川 中丸佳音
涅槃図に象は鼻上げ哭きゐたり 神奈川 中丸佳音
マシュマロ焼く春炉の炭を裏返し 神奈川 中丸佳音
往診の白衣の裾や春の泥 神奈川 藤澤迪夫
海を向く外人墓地に春の雪 神奈川 片山ひろし
★ 月山を大旋回し白鳥引く 新潟 高橋慧
線になり点になり消ゆ大白鳥 新潟 高橋慧
田に降りて泥にまみれる大白鳥 新潟 高橋慧
「いい音です」聴診器から春の音 富山 酒井きよみ
石柱にかつての町名燕来る 石川 花井淳
★ こころ晒す俳句おそろし雪解風 石川 松川まさみ
★ 老人に難攻不落雪下す 石川 竹野いさお
★ 慟哭のわれ大寒に生まれたる 石川 竹野いさお
★ 春愁や暗証番号また一つ 石川 北村おさむ
★ 利休忌やこの皺の手もやがて灰 石川 密田妖子
あの窓は皇教の部屋つばめ来る 石川 密田妖子
冬晴れを群青に裂き北アルプス 長野 大島一馬
吹雪く野や月光ときをり降りて来し 岐阜 古田之子
君がいふ天上の国や龍の玉 岐阜 古田之子
豪雪の令和七年忘るまじ 岐阜 三好政子
ふるさとを守る友あり農具市 愛知 宗石みずえ
走れなくなりし老犬菜花咲く 愛知 青沼尾燈子
御母堂のもとへ逝きしや草青む 愛知 青沼尾燈子
★ 立つ座る寝るも見苦し老の春 愛知 青沼尾燈子
行政の不粋なりけり桜伐る 愛知 服部滝伸
日和見といふぬるま湯を卒業す 京都 氷室茉胡
紅梅や母と探せし下宿先 京都 氷室茉胡
金継ぎの漆ぬくめん梅の花 大阪 安藤久美
つまの老ひおのれの老ひや冬の雲 大阪 山中紅萼
春の風邪鼻声他所の女めく 大阪 木下洋子
自由とはかくも重たき浮寝鳥 大阪 澤田美那子
葦分けて雛流す夜の筑後川 大阪 齊藤遼風
春泥もほのと匂うや吉野山 兵庫 吉安とも子
灯台の光芒長し春霞 兵庫 高見正樹
春泥や恋占いの長き列 兵庫 福田光博
髪を撫で恙なしやと雛飾る 奈良 中野美津子
酢へ浸けて白魚の色あらはるる 和歌山 玉置陽子
滴るをバケツ一杯わかめ買ふ 和歌山 玉置陽子
福寿草生まるも死すも菩薩かな 広島 森恵美子
白木蓮拈華微笑といふ言葉 広島 森恵美子
薔薇の芽に聴かせてゐたるシンフォニー 広島 森恵美子
仕舞風呂凍つる大地に湯を流す 広島 鈴木榮子
寒烏可愛がられて飼はれけり 高知 森脇杏花

ネット投句(2025年2月15日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年2月18日 作成者: dvx223272025年2月18日

★印は特選

膝ほどの春の雪よしよしと掻き 北海道 芳賀匙子
古希よりの仮名書春のセーター着て 北海道 柳一斉
ガザの冬アウシュヴィッツのデジャブ感 青森 清水俊夫
列島の左の肩にいつも雪 青森 清水俊夫
★ 影までも陰までも白雪景色 青森 清水俊夫
みずたまり飛び越え春がやってくる 茨城 袖山富美江
節分や雨に泣きをる鬼瓦 埼玉 下家正幸
朝の膳隠岐の帝に栄螺添へ 埼玉 佐藤森恵
雪折に谷駆け下る谺かな 千葉 安田勅男
能登の地に轍からまる春の闇 千葉 安田勅男
思い出に光さしくる二月かな 千葉 若土裕子
大空は梅の気配や龍太の忌 千葉 若土裕子
家終ひ男雛女雛は残しけり 千葉 若土裕子
小春日に吠えぬ老犬大あくび 千葉 青山果楠
冬空に痩せ犬彷徨ふ上州路 千葉 青山果楠
成田山カラス啄ばむ残り豆 千葉 青山果楠
春疾風トタンの悲鳴深夜二時 千葉 谷口正人
父の忌の空青々と金縷梅 千葉 池田祥子
遥かよりちちははの声ひなあられ 千葉 池田祥子
女には好かれぬ女春隣 千葉 麻生十三
衣食住足りてゐるだけ枯野ゆく 千葉 木地隆
猿山に喧嘩勃発息白し 千葉 木地隆
春嵐アメリカ橋は青かりき 東京 横山直
月読の杜は真白に凍てにけり 東京 横山直
井の蛙小さき天の深さ知る 東京 岡田定
豆撒きや数も数えぬ年の豆 東京 楠原正光
初場所やモンゴル横綱代かはり 東京 櫻井滋
外国語の絵馬混じりゐる天満宮 神奈川 遠藤初惠
示現流野太刀たのしや大氷柱 神奈川 丸山分水
★ 冬了る四年経ちなばトランプも 神奈川 丸山分水
下萌や雀に刻むパンの耳 神奈川 丸山分水
春刻々心はずませ皿小鉢 神奈川 三浦イシ子
開け放つ窓の外へと卒業す 神奈川 三玉一郎
冬桜空の奥にも空のあり 神奈川 谷村和華子
野火果つや阿蘇にたちまち大落暉 神奈川 谷村和華子
梅林ゆく珊瑚礁をばゆくごとく 神奈川 谷村和華子
百本の枯木からりと気の晴るる 神奈川 中丸佳音
足音のおのづとしづか白梅へ 神奈川 中丸佳音
時節がらささやき声で「鬼わ外」 神奈川 土屋春樹
寒空にチョッキ着せたし仔犬かな 神奈川 土屋春樹
大寒の風にふかひれ天日干し 神奈川 片山ひろし
義理チョコと嘘つきバレンタインの日 新潟 安藤文
置き配を一寸濡らして春の雪 新潟 安藤文
天竺の雪山崩れドカ雪に 新潟 高橋慧
ころころとみな厚着して梅見かな 富山 酒井きよみ
日の当たるベンチの空かぬ梅見かな 富山 酒井きよみ
★ 重なりて蛤眠る椀の中 石川 花井淳
ふる里に帰る御霊か波の華 石川 清水薫
熊穴を出で白山の目覚めかな 石川 清水薫
春立つや解体はじまる裏の家 石川 北村おさむ
★ 横綱の金剛の手の豆をまく 石川 北村おさむ
すくすくと爺になりし嚔かな 石川 北村おさむ
トランプを許す取り巻き冴え返る 長野 金田伸一
風神の鬱憤晴らしか冬一日 長野 大島一馬
豆喰うて犬がよろこぶ鬼やらひ 岐阜 古田之子
着ぶくれて板一枚に野菜売る 岐阜 三好政子
錺(かざり)とふ看板残る冬の町 岐阜 三好政子
★ しもやけの膨れて太き母の指 岐阜 田口みよ子
雛飾るひとり一人に息を入れ 静岡 湯浅菊子
菜の花や豊かな午後のお茶をせん 静岡 湯浅菊子
老いたれど俄然今宵は恋の猫 静岡 湯浅菊子
生まれ出る詩のはじめや梅一輪 愛知 稲垣雄二
★ 豆撒いて一つ食べてはもの思ふ 愛知 青沼尾燈子
塗装屋の静まりかへり春の雪 愛知 服部滝伸
今ごろは春潮寄する君の家 京都 諏訪いほり
霞みたる最たるものに吾の脳 京都 氷室茉胡
一村は鬼の末裔桃の花 大阪 安藤久美
墓無くて仕舞ふ人世も春ならむ 大阪 山中紅萼
明日開く白玉椿ひよどり来 大阪 澤田美那子
軒下の榾千本の関ケ原 大阪 齊藤遼風
山笑う墓地見学の老夫婦 兵庫 高見正樹
暖かや雀と鳩の共に群れ 兵庫 高見正樹
地球今大丈夫かと月氷る 兵庫 藤岡美恵子
一粒のチヨコの笑みこそバレンタイン 兵庫 藤岡美恵子
声かけて声戻り来る霞なか 奈良 きだりえこ
人の世の嘆きに微笑ふ寝釈迦かな 奈良 きだりえこ
春泥をポケットに詰め子が帰る 奈良 中野美津子
春寒し余裕の笑みの侵略者 奈良 中野美津子
鯛はねる海をかたへに針供養 和歌山 玉置陽子
立春や我がために買ふ薔薇一輪 和歌山 玉置陽子
★ 目の洞へ炎飛びつく目刺かな 和歌山 玉置陽子
わだなかへ辿り着きませ紙雛 広島 森恵美子
一枚の器をおもふ春光に 広島 森恵美子
表具屋に真白き仔猫生れたる 広島 森恵美子
焼芋の湯気も吹つ飛ぶ鳴門かな 広島 瑞木綾乃
★ こちこちの脳は勘弁春キャベツ 広島 瑞木綾乃
★ 最後まで母を看取りし懐炉かな 高知 森脇杏花
涙して母の懐炉を外しけり 高知 森脇杏花
★ 煮凝りや深海にあるやうに骨 長崎 ももたなおよ
能登未だ復興途上實の忌 長崎 川辺酸模
冴返るストレツチヤーの母の顔 長崎 川辺酸模
信濃より来たりし林檎あと三個 熊本 山下たまき
★ 白熊が立ち上がりたる大寒波 大分 山本桃潤
年月を経たる福相鬼やらひ 大分 竹中南行
★ 白梅の一輪二輪天の門 大分 竹中南行
氷点下北海道の友思ふ 大分 土谷眞理子

ネット投句(2025年1月31日)特選と入選

ネット投句 投稿日:2025年2月18日 作成者: dvx223272025年2月23日

★印は特選

★ 夜気昼気吸ひつくしてや凍大根 北海道 芳賀匙子
★ 春泥のわがこんとんに流れ込む 北海道 芳賀匙子
牡蠣喰ふやサロマの湖の広がれり 北海道 柳一斉
寒卵厨の隅を明るうす 北海道 柳一斉
春を待つ土の声また草の声 宮城 長谷川冬虹
初打ちや碁盤にかろき石の音 埼玉 下家正幸
翡翠の滑降鋭き冬の川 埼玉 下家正幸
駅員の大根を持ちアナウンス 埼玉 佐藤森恵
漣のきらきら歌ふ春の風 埼玉 上田雅子
杉の葉も小さな虫も軒氷柱 千葉 若土裕子
越前の波音庭に水仙花 千葉 若土裕子
逃げ難き鬼も居るらん鬼は内 千葉 池田祥子
歌垣の山を遥かに梅探る 千葉 池田祥子
双六の上がりのみえぬ我が身かな 千葉 麻生十三
春を待つ寝床のなかで生きており 千葉 麻生十三
生きてるか鶴の相呼ぶしやがれ声 千葉 木地隆
★ 風花を髪に散りばめ妻帰る 千葉 木地隆
お屠蘇より炊き立てご飯退院日 東京 岡田定
★ 癌あれど朝日を浴びて息白し 東京 岡田定
★ 春隣心を探る聴診器 東京 岡田定
帰り花客より元気心不全 東京 長尾貴代
★ 春浅し空は大きく空いたまま 東京 楠原正光
頭上から大き音して余寒かな 東京 楠原正光
筆圧に息災寿ぐ年賀状 東京 櫻井滋
墨を磨る音よ匂ひよ筆始め 神奈川 臼杵政治
けふ我も大阪人や初戎 神奈川 越智淳子
「自画像」の彼は詰襟寒昴 神奈川 遠藤初惠
焼芋と呼ばれる人の善根譚 神奈川 下嶋敏夫
★ 老いぼれて今さら何を春を待つ 神奈川 丸山分水
★ 冴返る男ばかりの十二使徒 神奈川 丸山分水
息づくや母の年越え老の春 神奈川 三浦イシ子
除雪車に大きな目玉二つあり 神奈川 三玉一郎
頑として動かぬ犬と春を待つ 神奈川 松井恭子
★ 待ち居れば圧倒的な初日の出 神奈川 植木彩由
絵双六さつさと人生何ぞあがる 神奈川 谷村和華子
★ 寒鴉知らぬふりして気が合ひさう 神奈川 中丸佳音
笹鳴とささやき声に教えらる 神奈川 中丸佳音
瘦せ肩にはは当てをりし花小袖 神奈川 藤澤迪夫
能登いまだ普通ならざる小正月 神奈川 藤澤迪夫
鰤のあら片目で我を睨みをり 神奈川 那珂侑子
着膨れて牢名主のごと座りをり 神奈川 片山ひろし
一晩で大雪原の越後かな 新潟 高橋慧
信心の巌を垂れる大氷柱 新潟 高橋慧
東京へ向く送電塔雪の原 新潟 高橋慧
★ 白狼を祀る村あり冬銀河 富山 酒井きよみ
★ 狼の足跡雪よひそと消せ 富山 酒井きよみ
誇り高き狼の眼や炎なす 富山 酒井きよみ
水仙の葉の奔放を活けにけり 石川 花井淳
疏水へと戻る遣り水寒椿 石川 花井淳
絶食の夫をうしろに蕪汁 石川 松川まさみ
青空の裏で機を待つ吹雪かな 石川 松川まさみ
和菓子屋も花屋靴屋も春隣 石川 清水薫
炬燵より抜け出る頃か豆腐売り 石川 北村おさむ
★ 冬帽子深くかぶりて長き道 石川 北村おさむ
蝋梅や心ほどけるやうに咲く 石川 密田妖子
年玉やいかならんかな曾孫の手 長野 金田伸一
病床の水平なるに冬日射す 長野 大島一馬
倫理なき言葉飛び交ふ枯野かな 長野 大島一馬
猿のむれ雪除け木の実探しをり 岐阜 古田之子
男女みな黒きコートに身を鎧ふ 岐阜 三好政子
★ 身じろぎて煙る寒鯉水のなか 岐阜 梅田恵美子
着膨れて腹にいちもつ手に荷物 静岡 湯浅菊子
探梅行後期高齢なにものぞ 静岡 湯浅菊子
押し通す善人顔を初鏡 愛知 稲垣雄二
大寒や水の呼吸は密やかに 愛知 稲垣雄二
使ふのは如何なる日ぞと火吹竹 愛知 宗石みずえ
死神よしばし目瞑れ日向ぼこ 愛知 青沼尾燈子
よたよたと母と着膨れ三歳児 愛知 服部滝伸
花街は氏神さまに寒卵 京都 諏訪いほり
水鳥やみんな水輪のまん真ん中 京都 諏訪いほり
座りこみバイク修理や春隣 京都 諏訪いほり
蓬うどん大和言葉のやはらかし 京都 氷室茉胡
あかねさす神のかよひ路初御空 大阪 安藤久美
どよめきや闇を駆け来る福男 大阪 安藤久美
冬木立道の凸凹響く身よ 大阪 山中紅萼
初場所やまづ眼力で圧倒す 大阪 木下洋子
寒梅やはや三十年の黙祷 大阪 澤田美那子
夫の朝トーストに添へ蜆汁 大阪 澤田美那子
寒晴の神戸「しあわせ運べるように」 兵庫 加藤百合子
春待つや家壊す音建てる音 兵庫 吉安とも子
待春の海へ突き出る滑走路 兵庫 吉安とも子
ふつくらと花の座布団冬座敷 兵庫 藤岡美恵子
完読の本閉じるかに春立ちぬ 兵庫 藤岡美恵子
★ 笹鳴のはや懐かしき日暮かな 奈良 きだりえこ
あす春と弾むこころで福の豆 奈良 きだりえこ
揺るぎなき春の声満つ椎大樹 奈良 きだりえこ
山焼きの炎の歩み静かなり 奈良 中野美津子
★ 乾干しの鰈叩くや石の上 和歌山 玉置陽子
晩学やオリオンはわが上に在り 和歌山 玉置陽子
★ 点となり光となりて冬耕す 和歌山 玉置陽子
羽子つきや備中の空響かせて 岡山 齋藤嘉子
去年今年分かつくれなゐ栞紐 岡山 齋藤嘉子
★ 言の葉はみな花となれ西行忌 広島 森恵美子
貝がらに雨の溜まれる涅槃かな 広島 森恵美子
翼なき我らなれども春を待つ 広島 森恵美子
混迷の世に高らかに薺打つ 広島 瑞木綾乃
★ 病む人の夜に寄り添ふ湯婆かな 広島 瑞木綾乃
年賀状ミミズにあらずと走り書き 広島 鈴木榮子
振り出しで歩止め見返す去年の跡 広島 鈴木榮子
相場聞く二本の電話年の暮 高知 森脇杏花
戦争で銅の高値や年の暮 高知 森脇杏花
父母も兄も亡き庭梅ふふむ 長崎 ももたなおよ
初空や重機並びて静もれり 熊本 山下たまき
置き去りの早贄ありし冬のそら 熊本 山下たまき
★ 母の愛雪の次々積る屋根 大分 山本桃潤
年賀状終はれ根つこ断たれける 大分 山本桃潤
★ 最後まで仕事して逝く虎落笛 大分 土谷眞理子
風邪ひきて何でもかでも薬かな 大分 土谷眞理子

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