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ネット投句(2023年3月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年3月19日 作成者: dvx223272023年3月19日

【特選】
紀ノ国の四方さんざめく木の芽かな 和歌山 玉置陽子
子よりも先に泣きけり卒業歌    和歌山 玉置陽子
【入選】
踏み分けて犬のひつぱる春の泥   北海道 芳賀匙子
群青の海や流氷あとずさり     北海道 柳一斉
心に花咲かせ続けよ卒業歌     宮城  長谷川冬虹
啓蟄や鍋の蜆もうごきをり     埼玉  佐藤森恵
山ひとつ動くが如く春一番     千葉  春藤かづ子
海底に元寇の船磯遊び       千葉  池田祥子
朝寝してつかぬ間に入る涅槃かな  千葉  麻生十三
遺品みな夢の残骸春霞       東京  神谷宣行
一瞬をよぎる尾羽や燕来る     神奈川 越智淳子
春めくと汝も旅人汽車のなか    神奈川 三浦イシ子
友達の顔知らぬまま卒業す     神奈川 三玉一郎
春寒し書に飽いて汲む寝酒かな   神奈川 藤澤迪夫
歩くたび音のして床あたたかし   神奈川 那珂侑子
鷹化して鳩の飛び立つ建長寺    神奈川 片山ひろし
園児折るかたちいろいろ紙雛    神奈川 片山ひろし
春愁の顔ふたつゆく犬と我     新潟  安藤文
むにやむにやと呪文唱へて春の水  長野  金田伸一
新幹線力の限り芽ぶきけり     岐阜  夏井通江
啓蟄や草地の穴の数知れず     岐阜  古田之子
老猿のしろがねの魂冬襖      岐阜  梅田恵美子
風車じいじも走らされてをり    京都  氷室茉胡
何もかもスマホに尋ね春の風    京都  氷室茉胡
手探りの親でありしが卒園す    大阪  安藤久美
息白く阪神淡路震災忌       大阪  木下洋子
戦争の昔語らん春夕焼       大阪  澤田美那子
花粉症コロナのマスク役立てて   兵庫  天野ミチ
花の句に今日はどつぷり西行忌   兵庫  藤岡美恵子
ポチ逝きてここらあたりか梅花   兵庫  福田光博
春の潮錨泊船の変わる向き     兵庫  髙見正樹
天辺はもう満開の枝垂梅      奈良  きだりえこ
花桃の欠伸している午後三時    奈良  きだりえこ
雛飾り一人で眺めまた仕舞ふ    奈良  中野美津子
故郷に父母おはし日々春彼岸    広島  鈴木榮子
干潟はや島とつながる夕べかな   香川  曽根崇
鶯餅花粉まみれの貌をして     長崎  ももたなおよ
五十の群れ八十の群れ鶴帰る    長崎  ももたなおよ
咲き満ちて白木蓮すでに翳りあり  長崎  川辺酸模
老い先の道のり知らずいぬふぐり  大分  竹中南行

ネット投句(2023年2月28日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年3月18日 作成者: dvx223272023年3月18日

【特選】
一対の流し雛にもある別れ      京都 氷室茉胡
名を付けて雛を流す少女かな     京都 氷室茉胡
金色のまま流れゆく雛かな      大阪 安藤久美
雛飾る指の先まで老いにけり     大阪 澤田美那子
春一番海と揉み合ふ大河かな     大分 竹中南行
【入選】
忘れ雪合否待ちつつ荷造りす     北海道 村田鈴音
野放図にからすとからす雪解川    北海道 芳賀匙子
春といふおそろしき罠冴返る     北海道 芳賀匙子
人界に男と女荷風の忌        北海道 柳一斉
春浅き街を行く風重たげに      青森 清水俊夫
大海を漂ふてゐる朝寝かな      宮城 長谷川冬虹
紅梅の明日には開く気配して     茨城 袖山富美江
ふるさとを捨てた男に春の月     埼玉 園田靖彦
探梅や昨夜の雪を踏みながら     千葉 若土裕子
梅東風に介護離れて遊びけり     千葉 池田祥子
ゆっくりと待つ回復や水温む     千葉 池田祥子
絵具箱父の遺せし春の色       千葉 麻生十三
麦菜飯貧しき戦後思ふかな      千葉 麻生十三
ジャケットが風に膨らむ春来たり   東京 岡田定
夢大き若者であれ初蝶来       東京 神谷宣行
生きる力俳句のおかげ春来る     東京 長尾貴代
麗しや五十の歳に買ひし雛      神奈川 越智淳子
雛飾る女に生まれ老い楽し      神奈川 越智淳子
蕗味噌は習はず終い母逝けり     神奈川 遠藤初惠
磯遊とんびの影とあそびけり     神奈川 三玉一郎
後ろ手にレッスンバッグ猫柳     神奈川 植木彩由
雪解けや渦巻流る多摩源流      神奈川 土屋春樹
朝寝してとほき汽笛を夢うつつ    神奈川 島敏
花びらの蝶ともならず日に遊ぶ    神奈川 島敏
足取りのまだ危なげな春の蟻     神奈川 片山ひろし
梅一輪咲く度躍るこころかな     新潟 安藤文
戦乱の夜にしんかんと芽吹きけり   新潟 安藤文
水送る若狭は残る雪の中       石川 花井淳
享保雛成巽閣に照りたまふ      石川 密田妖子
雛哀し積まれて和歌の浦を行く    石川 密田妖子
春の雪止むな止むなと一詩人     長野 金田伸一
まさか掻くとは思はざり春の雪    長野 金田伸一
古雛魂あるごとく恐ろしや      愛知 稲垣雄二
軽トラの檻の種豚牡丹雪       京都 吉田千恵子
かく生きて白魚丼とはありがたき   京都 佐々木まき
生飯台に雛のあられを二三粒     京都 諏訪いほり
穴を出る母熊は子をうながして    大阪 澤田美那子
餅まきも昔の事よ午祭        兵庫 吉安とも子
かまきりの卵拾ふや春一番      兵庫 藤岡美恵子
亀石のずしりと重し春の泥      奈良 きだりえこ
しばらくは花の仏間や雛飾る     奈良 きだりえこ
子等の声無き我が家にも雛飾     奈良 きだりえこ
凍潮のゆるび初めたり烏賊の胴    和歌山 玉置陽子
あのころの飢餓知り尽す吊し雛    和歌山 玉置陽子
ヘルパーの来てくれる日やあたたかし 岡山 北村和枝
どの子にも立春大吉の光あれ     岡山 齋藤嘉子
伐採と知らず芽吹きぬ三千本     広島 鈴木榮子
雪山を一歩一歩や熊を追ふ      大分 山本桃潤
我が眼ばかり動くや大雪野      大分 山本桃潤
三尺の童のこころ春の水       大分 竹中南行

ネット投句(2023年2月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年2月21日 作成者: dvx223272023年2月21日

【特選】
草餅やもはや返せぬ母の恩       神奈川 三浦イシ子
われもまた人の形のおぼろかな     神奈川 三玉一郎
【入選】
鬼やらひ紙の面つけ出番待つ      北海道 村田鈴音
一切が魚氷に上る青さかな       北海道 芳賀匙子
春寒の卵一個の日曜日         北海道 芳賀匙子
魚氷に上り山々は肩を組み       北海道 柳一斉
立春の雲の誘ふ旅心          北海道 柳一斉
凧揚げる空の深さを手に覚え      青森 清水俊夫
霜柱燃ゆるがごとく崩れをり      宮城 長谷川冬虹
春の日や倉庫の奥に差す光       茨城 袖山富美江
ほつこりと糞の置かれり春の土     埼玉 佐藤森恵
千代紙で作る封筒ものの種       千葉 菊地原弘美
歳月や崩れし畦につくし摘む      千葉 若土裕子
子の心知らずに逝かせ梅香り      千葉 春藤かづ子
裸木に赤い小さな手袋ひとつ      千葉 青山果楠
ウクライナ春泥に倦む若き兵      千葉 谷口正人
春立つや夫歩行器の軽き音       千葉 池田祥子
川筋の変はりし堤蕗の薹        千葉 池田祥子
ホーム端一人ぽっちの日向ぼこ     東京 岡田定
取れたての一枚づつや若布干す     東京 楠原正光
襟立ててバスの影待つ余寒かな     東京 堀越としの
紅白の梅奔放に日曜日         東京 堀越としの
卒業の別れを惜しむマスクかな     東京 櫻井滋
内裏雛小さきをしのばせ入所の荷    神奈川 遠藤初惠
父の座に父ゐるごとし春炬燵      神奈川 松井恭子
寒すずめ今朝も餌待ち並びおり     神奈川 土屋春樹
梅一輪湯気立つやうに咲きにけり    神奈川 島敏
雪やみて鶸の群れ湧く青空よ      神奈川 湯浅菊子
満天の星屑のなか冬の富士       神奈川 藤澤迪夫
手水舎の柄杓の新た梅ひらく      神奈川 藤澤迪夫
バレンタインデー母の情けのチョコ一つ 新潟 安藤文
水平に雪原垂直に杉          新潟 高橋慧
雪籠りこの世を覗く窓一つ       富山 酒井きよみ
織り上がる紬一反春の嶺        石川 花井淳
一と日降り一と日積みけり春の雪    長野 金田伸一
春寒やガラスの器粉々に        長野 大島一馬
春の灯と車内の映る車窓かな      岐阜 夏井通江
我死して後の雛の行きどころ      岐阜 夏井通江
風花や長き老後を茫茫と        岐阜 三好政子
湯たんぽで一生終えし母なりき     愛知 稲垣雄二
亀泣くや病に逝きし友遥か       愛知 青沼尾燈子
ゴム伸びし靴下を干し木の芽晴     京都 吉田千恵子
どか雪や山笑ひかけまた眠る      大阪 木下洋子
薄氷を一番乗りで踏んで行く      大阪 木下洋子
声だけを空に残して落雲雀       大阪 澤田美那子
余呉の湖許されて今朝寝かな      大阪 齊藤遼風
わけ知らぬ身にも建国記念の日     兵庫 天野ミチ
春時雨微かに濡れし交差点       兵庫 髙見正樹
春の野へ出でて遊べや仏たち      奈良 きだりえこ
海からの電車大きな籠と海女      奈良 中野美津子
一茶忌や烏蹴散らす塵芥車       奈良 柏木博
薄氷の生れては消ゆる黙かな      和歌山 玉置陽子
退院の母を迎へる春炬燵        岡山 北村和枝
善哉よかっぽ酒よと初午祭       長崎 ももたなおよ
声上げて菜飯喜ぶ白寿かな       長崎 川辺酸模
枝を手に妻の追ひゐる畦火かな     長崎 川辺酸模
前生も死後も茫々残る雪        大分 竹中南行

ネット投句(2023年1月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年2月11日 作成者: dvx223272023年2月11日

【特選】
ずり落ちてこらへをるなり屋根の雪  北海道 柳一斉
無一物なれど寿ぐ雑煮かな      千葉 麻生十三
雪晴間一斉に出て雪を掻く      新潟 高橋慧
生と死を静かに分かつ白障子     愛知 稲垣雄二
【入選】
寒波来る靴底に鋲打ちにけり     北海道 村田鈴音
さんざめく脳裏かダイヤモンドダスト 北海道 芳賀匙子
初詣八方塞がりまた愉し       岩手 川村杳平
冬晴れや流るる雲がビルに映え    茨城 袖山富美江
手作りの時雨煮さげて寒見舞     千葉 麻生十三
庭の木やある日一気に日脚伸ぶ    東京 神谷宣行
寒波来る色とりどりのニット帽    東京 神谷宣行
薄氷や友と歩みし通学路       東京 楠原正光
白き富士すぐそばにあり三島駅    神奈川 伊藤靖子
豆撒きや冷たき廊下小走りに     神奈川 越智淳子
行き場なき怒り悴む拳かな      神奈川 三玉一郎
自転車の幌に眠る子冬満月      神奈川 植木彩由
思ひ出せ思ひ起こせと笹鳴ける    神奈川 中丸
探梅に亡き人さそふ朝かな      神奈川 中丸
お祝いへ一番好きなマスクして    神奈川 那珂侑子
雪国の月を焦がしてどんど焼き    神奈川 片山ひろし
難読書読んでは伏せて冬籠り     新潟 安藤文
炉焚けど焚けど寒気がそのあたり   長野 金田伸一
極寒の幹裂く音や神の森       長野 大島一馬
初場所や山と山とがぶつかりぬ    岐阜 夏井通江
桜榾さくらのいのちあかあかと    大阪 安藤久美
福笹は小ぶりがよろし鯛揺らし    大阪 木下洋子
1.17は戦争だつた阪神忌       兵庫 加藤百合子
ゆっくりと寒九の水を飲み砕く    兵庫 吉安とも子
大寒に加へて訃報ありにけり     兵庫 天野ミチ
足蹴りの素足小さき寒稽古      兵庫 藤岡美恵子
鬼に撒く豆も値上がり節分会     奈良 きだりえこ
冬桜手を振らずともよき別れ     奈良 柏木博
粕汁や婆がほんのり赤くなり     奈良 柏木博
魚は氷にずきんと痛む親不知     和歌山 玉置陽子
馥郁と紙かをりをり初暦       岡山 齋藤嘉子
雪解けて現るる地蔵笑みしまま    広島 鈴木榮子

ネット投句(2023年1月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年1月17日 作成者: dvx223272023年1月17日

【特選】
眠る梅起きよ起きよと梅探る    東京 神谷宣行
寒餅や豆の抜けたる穴覗く     石川 密田妖子
母象の足の鉄球春遅し       京都 吉田千恵子
【入選】
山山やざんぐり御座す大旦     北海道 芳賀匙子
雪の降るひとりの午後や墨を磨り  北海道 柳一斉
真っ白な大地広がる淑気かな    北海道 髙橋真樹子
死者生者集ひて今日は初句会    北海道 髙橋真樹子
人間に自我てふ阿修羅鬼やらひ   宮城 長谷川冬虹
三月十一日十二年経て浪ばかり   宮城 長谷川冬虹
凍鶴の愛のしぐさのままこほる   埼玉 園田靖彦
湯とほしのまことまあかや寒の鯛  埼玉 園田靖彦
初句会笑顔に邪魔なマスクかな   埼玉 上田雅子
ここもそこも届かぬ高さ大掃除   千葉 芦野アキミ
蓬莱や背戸を出れば梅林      千葉 若土裕子
疫の世やみな息災に粥柱      千葉 若土裕子
小雪舞ふベンチに白杖年越しぬ   千葉 青山果楠
成人の日あと80年の労苦かな   東京 長尾貴代
母猫のくはへてもどす子猫かな   東京 楠原正光
霙霏霏雲水の赤きかかとかな    神奈川 遠藤初惠
寒風や一抉りして遠ざかる     神奈川 三浦イシ子
どんどの火その中に父見てしまふ  神奈川 三玉一郎
父の記憶一本の氷柱かな      神奈川 三玉一郎
小寒やいよいよ青き鳶の空     神奈川 植木彩由
御降や有り難きとて退け候     神奈川 植木彩由
老いるとは裏が白紙の賀状受く   神奈川 土屋春樹
書くほどのこと無き日々や日記買ふ 神奈川 藤澤迪夫
当番の札を隣家に御慶かな     神奈川 藤澤迪夫
怪しげなものも混じつてどんどかな 新潟 安藤文
ひとときの春待つこころ鳩サブレ― 石川 花井淳
初場所や綺麗所が五六人      石川 密田妖子
出刃をまづ首の根つこへ鰤捌く   長野 金田伸一
とこ永遠にこの里はよし雪浄土   長野 金田伸一
日脚伸ぶ言はずもがなの言い訳す  長野 大島一馬
画面みて髪型直す初句会      岐阜 夏井通江
放し飼ふ鶏の生みし寒卵      岐阜 古田之子
十二時のチャイム聞こゆる冬の山  岐阜 梅田恵美子
初日記指切れさうな一ページ    愛知 稲垣雄二
産土へこぼす鈴の音手鞠唄     愛知 臼杵政治
大空へわが存問ぞ凧        愛知 臼杵政治
雪折れや未だ売れざり祖父の山   愛知 宗石みずえ
冷たさを問ひ交はしつつ冬耕    愛知 宗石みずえ
ゆで過ぎが母には良けれ晦日蕎麦  大阪 内山薫
探梅や行けるかぎりを我が足で   大阪 澤田美那子
幼きもこぶし突上げ寒稽古     兵庫 天野ミチ
溜息や転びて花のスケーター    奈良 柏木博
一炊の夢より還る年の暮      奈良 柏木博
初受診母はそのまま入院よ     岡山 北村和枝
鶏小屋の八方へ打つ追儺豆     香川 曽根崇
三日はや昨日の誓ひ忘れけり    長崎 川辺酸模
愛し子の訃淡々と寒見舞      長崎 川辺酸模
悠久のなかの縁や鏡餅       大分 竹中南行

ネット投句年間賞(冬)は花井淳さん

ネット投句 投稿日:2023年1月2日 作成者: dvx223272023年1月3日

 花井さんには賞品を贈ります。なお歴代の年間賞作品、ときどきごらんください。俳句づくりの指標に。

・年間賞   
歩み来る年は一人で歩む年     花井淳

・次点   
からうじて命の形鵙の贄      稲垣雄二
われ月と天王星と一列に      清水俊夫
折りて鶴ひらかば果てしなき枯野  松川まさみ
   
・入選   
しやくとりや深く沈みてまた一歩  梅田恵美子
りんご擦り喉へ流せし別れかな   稲垣雄二
古酒新酒なんだかんだと添ひ遂げて 佐々木まき
小鳥来る病臥の我を励ましに    安藤文
ねんねこのこの子に残す地球かな  山本桃潤
チャップリンある日怒りの冬帽子  青沼尾燈子
一輪の大きしじまや冬薔薇     三浦イシ子
何故の戦争ならむ榾真赤      玉置陽子
この星の一点に立ち独楽廻る    稲垣雄二
善人の顔して撞かん百ハつ     きだりえこ
    
*候補    
雨風に葉ごと飛び来るどんぐりよ  芳賀匙子
間引菜のいのちの丈や昨日けふ   松井恭子
干柿の日向ななめに軒深し     佐々木まき
大いなる佐渡の天地に時雨かな   安藤文
押し花の香の漂へるこの冬よ    花井淳
初冬の鈴ふるやうな日ざしかな   松川まさみ
ぽたぽたと雨を楽しむ冬木かな   安藤文
乾鮭に命つなぎし昔あり      酒井きよみ
淋しさうな木に五本ほど大根干す  藤岡美恵子
落葉掃く怒りの音を立てながら   安藤文
煮凝りの揺れて一夜の密かごと   松川まさみ
暗闇が語り始むる焚火かな     稲垣雄二
野良に生く猫の矜持や寒の月    諏訪いほり
病みゐても冬青草のやうに生く   北村和枝
大根焚寺の大屋根朝日さす     曽根崇
死ぬる日も阿呆と呼ばれ手鞠唄   川辺酸模
といつても確と三食冬ごもり    竹中南行
くろぐろと雄勝の石や初硯     長谷川冬虹
石蕗の花母は位牌となりたまふ   長谷川冬虹
去年今年闇清らかに人の声     稲垣雄二
去年今年人もコロナも生き延びて  澤田美那子
幸せの尽きることなき林檎箱    山本桃潤
金婚の妻と住む家目貼かな     山本桃潤
鬼柚子も仏顔なる湯船かな     竹中南行

*歴代の年間賞
【2022年冬】  歩み来る年は一人で歩む年      花井 淳
【2022年秋】  現世の唯一の重石原爆忌       竹中南行
【2022年夏】  七十余年隻眼で見る春の山      青沼尾燈子
【2022年春】  東京駅奥の奥まで春愁        安藤 文

【2021年冬】  綿虫の無より涌き出てさまよへり   夏井通江
【2021年秋】  いさかひし昔恥づかし墓洗ふ     川辺酸模
【2021年夏】  この初夏の素晴らしき日に何もせず  森徳典
【2021年春】  海流のぶつかる響き卒業歌      渡辺遊太

【2020年Ⅳ期】 初場所や発止と組んで花の色     齋藤嘉子
【2020年Ⅲ期】 たいくつはのつぺらぼうやマスクして 上田雅子
【2020年Ⅱ期】 したたかに生きてしわしわソーダ水  百田直代
【2020年Ⅰ期】 思想こそ国の柱よ竜の玉       山本桃潤

【2019年Ⅳ期】 さつきまで父母ゐた畳冬日差     渡辺遊太
【2019年Ⅲ期】 花木槿宇宙のすみに小さき家     夏井通江
【2019年Ⅱ期】 薩摩富士海より立ちて明易し     池田祥子
【2019年Ⅰ期】 即興の一生だった紅薔薇       柚木紀子

【2018年Ⅳ期  ちらちらと地球の骨の見えて冬    渡辺遊太
【2018年Ⅲ期】 ひるがえる奥は真暗き夏暖簾     長井亜紀
【2018年Ⅱ期】 萎えし手の母の手柄の豆ご飯     藤岡美惠子
【2018年Ⅰ期】 ひとつづつ仏の顔や種浸し      喜田りえこ

【2017年Ⅳ期】 ひきずつて親の思ひの千歳飴     澤田美那子
【2017年Ⅲ期】 海の底空の果てから土用波      越智淳子
【2017年Ⅱ期】 骨壺のそつと置かれる春の中     西川遊歩
【2017年Ⅰ期】 故郷の山に似た山餅を焼く      山本桃潤

【2016年後期】 水にあそび水にねむるや心太     長井亜紀
【2016年前期】 表より裏より風の来る団扇      井上じろ

【2015年後期】 秋といふ大きなうしろすがたかな   三玉一郎
【2015年前期】 春の野はまだかりぬひのひかりかな  松本邦吉

【2014年後期】 水打ちてみえざる炎しづめけり    岡崎陽市
【2014年前期】 初春がひとりの椀に来たりけり    加藤百合子

【2013年後期】 柳眉逆立て長き黒髪洗ひけり     佐々木まき
【2013年前期】 へそに置く団扇一本昼寝かな     神谷宣行

【2012年】   花からすうり惑星いつかまた集ふ   柚木紀子

ネット投句(2022年12月31日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年1月2日 作成者: dvx223272023年1月2日

【特選】
くろぐろと雄勝の石や初硯     宮城 長谷川冬虹
石蕗の花母は位牌となりたまふ   宮城 長谷川冬虹
この星の一点に立ち独楽廻る    愛知 稲垣雄二
去年今年闇清らかに人の声     愛知 稲垣雄二
去年今年人もコロナも生き延びて  大阪 澤田美那子
善人の顔して撞かん百ハつ     奈良 きだりえこ
幸せの尽きることなき林檎箱    大分 山本桃潤
金婚の妻と住む家目貼かな     大分 山本桃潤
鬼柚子も仏顔なる湯船かな     大分 竹中南行
【入選】
地吹雪とささら電車の雄叫びと   北海道 村田鈴音
筆談の文字飛び交ふや冬日和    北海道 村田鈴音
冬の日や樹に凍裂の遠き声     北海道 芳賀匙子
拍手や雲遮るも初岩木       青森 工藤一枝
眠れぬ夜は雪見障子を上げておく  青森 三浦勝衛
接種待つ椅子の硬さや雪催     青森 三浦勝衛
外されぬビニール仕切り去年今年  青森 清水俊夫
白鳥を見ている我も一人かな    茨城 袖山富美江
かの人の冬帽らしき並木道     茨城 袖山富美江
音も無きクイックターン初泳ぎ   埼玉 上田雅子
残り火の焼き芋うまし夫のいて   千葉 春藤かづ子
年の暮子の来て直す掛時計     千葉 池田祥子
かつ節を一節買いて年用意     千葉 麻生十三
橙の実のゆさゆさと門囃す     東京 畠山奈於
母さんの小包解いたら落葉     神奈川 植木彩由
バジルの香口に残りぬ年忘れ    神奈川 中丸佳音
除夜の鐘身を投げ出して撞く一打  神奈川 藤澤迪夫
浅草は夢多き町初参り       神奈川 片山ひろし
着ぶくれて遅れましたと新聞来   新潟 安藤文
大冬木嚏しさうな気配あり     新潟 安藤文
黄昏の雑踏に探す君のコート    新潟 高橋慧
皮剝けばたちまち女体鮟鱇は    富山 酒井きよみ
独楽廻す江戸むらさきの蓋の上   石川 花井淳
羊羹の切り口の寂冬銀河      石川 花井淳
雲隠文に尽くせぬ年逝けり     石川 花井淳
大晦日雁字搦めの地球かな     長野 大島一馬
冬蝶の息の聞こゆる草の中     岐阜 古田之子
煤払ひ蜘蛛の寝床も蜘蛛の巣も   岐阜 古田之子
戦争は戦争のまま去年今年     愛知 稲垣雄二
誰がために弾くや聖夜のラブソング 愛知 臼杵政治
百歳までぬくぬく尾州の外套ぞ   愛知 臼杵政治
この一尾喜寿の祝ひへ金目鯛    愛知 臼杵政治
寒晴や百一歳の昇天す       愛知 宗石みずえ
橙ひとつ薄暗がりに置かれをり   愛知 青沼尾燈子
猫の骨納めし壷や雪時雨      京都 吉田千恵子
あれとこれそうそうそれも年用意  京都 諏訪いほり
贅沢を諫むる家訓根深汁      京都 氷室茉胡
兎当番八百屋でもらふ大根葉    大阪 木下洋子
夫婦して命がけなる雪下し     大阪 木下洋子
着ぶくれて原子炉再開反対す    大阪 澤田美那子
宝船八十路の夢を託しけり     大阪 澤田美那子
きょう一夜波郷のおごり河豚の鍋  大阪 齊藤遼風
火の国の寒鯉闇に静かなり     大阪 齊藤遼風
家を継ぐ子等も居らずや餅を搗く  兵庫 吉安とも子
ほれ起きよ椎茸榾木たたき冬    兵庫 藤岡美恵子
これからは二人の暮らし薪積む   兵庫 藤岡美恵子
かにかくに思ひわずらひごまめ食ふ 兵庫 福田光博
去年今年病を二つ持ち越せり    兵庫 髙見正樹
船旅や水平線に初明り       兵庫 髙見正樹
赤ん坊の声ある国や初明かり    奈良 きだりえこ
木星と土星の近し冬の暮      奈良 中野美津子
いつの世ぞ押しくら饅頭の声もがな 奈良 柏木博
いただきし鮟鱇われの指を噛む   奈良 柏木博
湯婆のまだあたたかき別れかな   和歌山 玉置陽子
陰神のほとに日当る冬至かな    和歌山 玉置陽子
ともかくも本の整理や年用意    岡山 北村和枝
片付かぬ部屋も居心地よき冬日   岡山 北村和枝
風邪引いて一日の長くなりにけり  岡山 北村和枝
若水や十や二十は若返る      岡山 齋藤嘉子
柚子湯浴ぶ脳裏かすめるウクライナ 広島 鈴木榮子
数へ日や世界が終はるわけでなし  長崎 ももたなおよ
世の中が混沌として年迫る     長崎 ももたなおよ
炊き出しのテントに列なす年の暮  長崎 ももたなおよ
霙降る享年二十歳陸軍伍長     大分 山本桃潤
一茶忌や差別はびこるばかりにて  大分 竹中南行
太古より崇むる士峰大寒波     大分 竹中南行

ネット投句(2022年12月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年1月2日 作成者: dvx223272023年1月2日

【特選】
一輪の大きしじまや冬薔薇      神奈川 三浦イシ子
落葉掃く怒りの音を立てながら    新潟 安藤文
歩み来る年は一人で歩む年      石川 花井淳
煮凝りの揺れて一夜の密かごと    石川 松川まさみ
暗闇が語り始むる焚火かな      愛知 稲垣雄二
野良に生く猫の矜持や寒の月     京都 諏訪いほり
何故の戦争ならむ榾真赤       和歌山 玉置陽子
病みゐても冬青草のやうに生く    岡山 北村和枝
大根焚寺の大屋根朝日さす      香川 曽根崇
死ぬる日も阿呆と呼ばれ手鞠唄    長崎 川辺酸模
といつても確と三食冬ごもり     大分 竹中南行
【入選】
鮟鱇の愛想笑ひの出来ぬ貌      北海道 村田鈴音
思ひ出てふ厄介なもの雪の降る    北海道 柳一斉
ラジオ消し己に戻る冬の夜      北海道 柳一斉
加湿器の湯気のぼりゆく雪晴間    北海道 柳一斉
そこかしこ老人施設白鳥飛ぶ     青森 三浦勝衛
一ミリのドーハの勝利冬はじめ    青森 清水俊夫
着膨れて地球の未来守らんと     青森 清水俊夫
この冬は山茶花散るもいとはしき   宮城 長谷川冬虹
傷みとは生きてる証し冬茜      茨城 袖山富美江
あの人の冬帽らしき日暮かな     茨城 袖山富美江
炭を焼く六法全書脇にあり      埼玉 佐藤森恵
冬ごもり一人に広し3DK      埼玉 上田雅子
父二十三母七回忌秋の逝く      千葉 芦野アキミ
こりこりと噛めば海鳴り海鼠かな   千葉 若土裕子
山行けば靴の埋もるる落葉道     千葉 春藤かづ子
ネットより投句重ねて年の暮     千葉 谷口正人
入院の友便りなく年の暮       千葉 谷口正人
日向ぼこベッドの窓に身を寄せて   千葉 池田祥子
夢の世に泥葱くるる友老いぬ     千葉 池田祥子
音読の父の声聞く冬の夜       千葉 麻生十三
着ぶくれて飛行機仰ぐビルの上    東京 堀越としの
ミサイルが飛び交ふ夜明け山眠る   東京 櫻井滋
故郷の磯の香まとひ牡蛎とどく    神奈川 伊藤靖子
しずもれるものみな見ゆる雪月夜   神奈川 越智淳子
年の暮母にしたがふ厨かな      神奈川 三浦イシ子
寒稽古人間を呼び覚ましけり     神奈川 三玉一郎
大臣は寝てをる今日は憂国忌     神奈川 植木彩由
冬日どつしり七百年の柏槙に     神奈川 中丸佳音
熱燗や祖父父叔父が浮かび来る    神奈川 土屋春樹
また遅延東海道線ふところ手     神奈川 湯浅菊子
立冬の峰夕闇に呑まれゆく      神奈川 藤澤迪夫
すつきりと冬木のやうな句を詠まん  神奈川 那珂侑子
満員の電車咳する人なきや      神奈川 那珂侑子
スクラムの解けてラガーのこぼれ出づ 神奈川 片山ひろし
初雪やふるさとのなき人ばかり    新潟 安藤文
妻のいぬ間のひと時を冬椿      新潟 安藤文
冬桜しんと千代尼の埋骨所      石川 密田妖子
俊秀の会にのぞまん開戦日      長野 金田伸一
句を破る心たいせつ花梨の実     長野 金田伸一
冬銀河ハレルヤの歌昇り詰む     長野 大島一馬
ウイルスも地球に住める冬銀河    長野 大島一馬
歳晩や久しく聞かずお年の実     岐阜 三好政子
綿虫や姉が施設へ入る朝       岐阜 梅田恵美子
大空へいのち眩しき冬木の芽     岐阜 梅田恵美子
凩は君の拳や頬を打つ        愛知 稲垣雄二
十二ヶ月遅れの返事賀状書く     愛知 臼杵政治
セーターをくれし女と行き交ひて   愛知 臼杵政治
着ぶくれやジャージをのこの隣席へ  愛知 宗石みずえ
チバニアン七十万年山眠る      愛知 青沼尾燈子
友と吾といづれちゃらぽこ漱石忌   愛知 青沼尾燈子
折り線ずれし折り鶴冬籠       京都 吉田千恵子
まねき立つ空を飛び交ふ百合鴎    京都 佐々木まき
干し柿や思ひ描きし味ならず     京都 諏訪いほり
炊き合はすものを選ばぬ大根かな   京都 氷室茉胡
嵐山の竹の囁き初時雨        京都 氷室茉胡
悴むや見舞の言葉探しつつ      京都 氷室茉胡
牡蠣舟や電飾の岸遠ざけて      大阪 澤田美那子
波郷忌や我抱く母の手術痕      大阪 齊藤遼風
冬うらら飛び交ふ烏あそこにも    兵庫 天野ミチ
間違ふて鳩色気づく小春日や     兵庫 天野ミチ
振出しに戻る双六茶を啜る      兵庫 福田光博
渾身の一句を添へて賀状書く     奈良 きだりえこ
にこにこと蜜柑の国の君が来る    奈良 きだりえこ
またひとり大往生や年の内      奈良 中野美津子
狐火の話を誰に聞かせうぞ      奈良 柏木博
狐の尾隠し持つたる顔集ふ      奈良 柏木博
掌の中に母の手帰り花        和歌山 玉置陽子
寒晴や次の手術日決まりたる     岡山 北村和枝
薬飲む刻も惜しみて師走かな     岡山 北村和枝
塀越しに聞く鋏音松手入れ      広島 鈴木榮子
年用意作務衣に見する主婦の意気   広島 鈴木榮子
争ひはやめよやめよと冬将軍     長崎 ももたなおよ
煮凝りに背びれすくつと立ちてあり  長崎 ももたなおよ
茎桶の寝息もれをり月の小屋     長崎 川辺酸模
ちよつと減る平均余命氷柱かな    大分 山本桃潤
ふくふくと煮ゆる雑炊漱石忌     大分 竹中南行
狼や小型が流行るペット犬      大分 竹中南行

ネット投句(2022年11月30日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2023年1月1日 作成者: dvx223272023年1月1日

【特選】
ぽたぽたと雨を楽しむ冬木かな    新潟 安藤文
乾鮭に命つなぎし昔あり       富山 酒井きよみ
折りて鶴ひらかば果てしなき枯野   石川 松川まさみ
チャップリンある日怒りの冬帽子   愛知 青沼尾燈子
淋しさうな木に五本ほど大根干す   兵庫 藤岡美恵子
【入選】
樽底に憂さも蔵める味噌作り     北海道 村田鈴音
あめゆきのやんでからまつしぐれかな 北海道 芳賀匙子
人殺す大義はどこに良寛忌      北海道 柳一斉
温め酒加減あやふく妻の留守     青森 工藤一枝
閉じられままの聖書や冬銀河     青森 三浦勝衛
消えてゐる月消えていく天王星    青森 清水俊夫
凛として抗議の白紙冬薔薇      千葉 池田祥子
吊られたる鮟鱇の眼に暗き海     千葉 麻生十三
花ならぬ紅葉の筏目黒川       東京 岡田定
冬ざれやビニル傘打つあめのおと   東京 小野早苗
するすると窓にゴンドラ冬うらら   東京 堀越としの
銀杏落ち葉再開発を蹴散らさん    東京 櫻井滋
セーターを抜けて地球へ顔を出す   神奈川 三玉一郎
おかめ蕎麦すすりつ冬の雨聞きつ   神奈川 中丸佳音
朝採れの白菜や濡れ新聞紙      神奈川 藤澤迪夫
刻々と変はる富士山冬の空      神奈川 那珂侑子
高僧も混じり沢庵漬けにけり     神奈川 那珂侑子
明日知れぬ色の限りの冬紅葉     神奈川 片山ひろし
海鼠腸や島の鬼太鼓聞きながら    神奈川 片山ひろし
母は目を子は耳を挿す雪兎      神奈川 片山ひろし
どつさりと大根提げて客来たる    新潟 安藤文
日の透ける橅の林や滑子採り     新潟 高橋慧
芋蔓にあやからんかなの道      長野 金田伸一
落葉掃き堅き大地に大き宙      長野 大島一馬
冬空の高きに皇帝ダリヤかな     岐阜 夏井通江
石ころの影の伸びたる小春かな    岐阜 古田之子
長男に教え込まんと雪囲       京都 吉田千恵子
玉ねぎを百ほど埋めて山眠る     京都 諏訪いほり
発言の撤回またも虎落笛       京都 氷室茉胡
売り叩く声の飛び交ふ十二月     京都 氷室茉胡
冬の蝶鏡の奥へ帰りけむ       大阪 安藤久美
けふの日の良きことひとつ濃き紅葉  大阪 山中紅萼
山眠る夢はほのぼの花の色      大阪 澤田美那子
歯がゆさは一日ひとつ年用意     大阪 澤田美那子
はりつけのごとく外套かけてあり   兵庫 加藤百合子
枯れてより風にまかせん箒草     兵庫 加藤百合子
左義長の炎に揺らぐ年男       兵庫 福田光博
ついて来い言わんばかりの仔猫かな  兵庫 福田光博
冬晴や港の空を舞ふ鳶        兵庫 髙見正樹
ポケットに愛だけつめて冬木道    奈良 喜田りえこ
埋み火や言葉を武器と闘へり     奈良 喜田りえこ
冬蜂の潜みて眠る鉢の中       奈良 中野美津子
更地増え街の欠けゆく寒さかな    岡山 北村和枝
蛸壷に猫の寝てゐる小春かな     香川 曽根崇
空鋏鳴らして終る松手入       香川 曽根崇
セザンヌの絵より転がりラフランス  長崎 ももたなおよ
今年から母は家居や報恩講      長崎 川辺酸模
明々と灯して電車枯野ゆく      大分 山本桃潤
落葉舞ふ帰るところのなき都会    大分 山本桃潤

ネット投句(2022年11月15日)選句と選評

ネット投句 投稿日:2022年12月11日 作成者: dvx223272022年12月14日

【特選】
われ月と天王星と一列に        青森 清水俊夫
小鳥来る病臥の我を励ましに      新潟 安藤文
大いなる佐渡の天地に時雨かな     新潟 安藤文
押し花の香の漂へるこの冬よ      石川 花井淳
初冬の鈴ふるやうな日ざしかな     石川 松川まさみ
ねんねこのこの子に残す地球かな    大分 山本桃潤
【入選】
木枯に全て差し出す大樹かな      北海道 村田鈴音
雪蛍終のはじまり漂へり        北海道 村田鈴音
初時雨大吟醸は冷やまま        青森 三浦勝衛
次々と家族にコロナ銀杏散る      岩手 川村杳平
氷頭なます母の得意を真似てみる    宮城 長谷川冬虹
風呂吹や最後に握りし母の掌よ     宮城 長谷川冬虹
大門をくぐるランナー息白し      茨城 袖山富美江
去来忌やここにもひとり慕う人     埼玉 佐藤森恵
マスク取れば百歳の我現るる      埼玉 上田雅子
柿ドサッと宅配便の大秤        千葉 芦野アキミ
唐辛子樽に漬け込む山東菜       千葉 若土裕子
生駒山より奈良も難波も豊の秋     千葉 若土裕子
霜の朝プリズムの如光る枝先      千葉 春藤かづ子
眼を閉じて秋の音聞く午後三時     千葉 青山果楠
朝日射す銀杏落葉のあたたかさ     千葉 谷口正人
保育器の無垢の双子や小春凪      千葉 池田祥子
生検や針刺す闇のすさまじき      千葉 池田祥子
我が来て猫が出てゆく日向ぼこ     千葉 麻生十三
煮凝りや母に昭和の台所        東京 櫻井滋
小春日や箒の先を茶色蝶        神奈川 越智淳子
おおせんせ手もて温める聴診器     神奈川 遠藤初惠
私とふ知らない人と日向ぼこ      神奈川 三玉一郎
手のひらに杖なじみけり小鳥来る    神奈川 松井恭子
しぐるるや奈良井にマリア観世音    神奈川 片山ひろし
見納めの桜紅葉や粥啜る        石川 花井淳
落選は敲くきつかけ秋灯下       長野 金田伸一
乱る世に山厳然と冬に入る       長野 大島一馬
駅前に焼栗の香の寄る辺なし      長野 大島一馬
海へ行く電車の揺れて冬ぬくし     岐阜 夏井通江
海透けてハゼが群れなす小春かな    岐阜 夏井通江
片や入道雲片や秋の雲         岐阜 上松美智子
骨酒の岩魚けはしく我を見る      岐阜 梅田恵美子
冷まじや違憲状態この度も       愛知 稲垣雄二
この国の政治にもあれ鰤起こし     愛知 稲垣雄二
命一つ青空にあり冬の蝶        愛知 稲垣雄二
沢庵を漬けては余す鰥夫かな      愛知 臼杵政治
刈株や蕎麦をわれらが糧として     愛知 臼杵政治
ひと晩にからりと晴れて翁の忌     愛知 青沼尾燈子
押し付け合ふ看取りの決断夜半の冬   京都 吉田千恵子
火を起こす竹筒に煤冬近し       京都 吉田千恵子
昨日おでん有無を言はさず今日もおでん 京都 佐々木まき
母と句座共にせし友逝く秋ぞ      京都 氷室茉胡
車座になつて連句や温め酒       大阪 木下洋子
凩やコロッケまでも値上げとは     大阪 木下洋子
小鳥来るよき日や汀子回顧展      大阪 木下洋子
鮮やかや夫のセーター孫が着て     大阪 澤田美那子
闇の中なほ濃き闇は大冬木       大阪 澤田美那子
一句降りて来さうで来ない湯ざめかな  大阪 澤田美那子
あるものを活かして作るマフラーや   兵庫 天野ミチ
踏みしめる枯葉かさこそ八ヶ岳     兵庫 福田光博
初しぐれ煙のごとく行過ぎぬ      兵庫 髙見正樹
宗教を政治が裁くふくと汁       奈良 きだりえこ
立冬や蛹に箒貸したまま        奈良 中野美津子
盲ひたる眼照らさむ冬紅葉       和歌山 玉置陽子
ものを云ふ家電増えゆく寒さかな    岡山 北村和枝
炬燵して母と二人の晩酌よ       岡山 北村和枝
雪婆子どもの行方さがしをり      岡山 齋藤嘉子
この子らに良き世あれかし七五三    長崎 ももたなおよ
庭の隅まで陽の差して冬菫       長崎 ももたなおよ
柿吊す妻に白髪の三四本        長崎 川辺酸模
小春日や妻のバリカン人を噛む     長崎 川辺酸模
洗はれて小春に憩ふ沢庵石       大分 山本桃潤
冬立つや一路フェリーは海峡へ     大分 竹中南行
蕉風のいまに連なる小春かな      大分 竹中南行

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