ネット投句(2023年11月30日)選句と選評
| 【特選】 | ||
| いまガザはホロコーストの冬の中 | 青森 | 清水俊夫 |
| 冬晴や死にゆく母を句にせんと | 東京 | 神谷宣行 |
| 冬鳥の時々戻る大樹かな | 神奈川 | 植木彩由 |
| 越の田に雪待月の風が吹く | 神奈川 | 片山ひろし |
| 朝刊の霰をさつと払ひけり | 新潟 | 安藤文 |
| 冬の薔薇ほぐれんとして氷りをり | 新潟 | 高橋慧 |
| 張り替えて今朝の光を障子かな | 新潟 | 高橋慧 |
| 雪吊りや松が伸びする加賀日和 | 石川 | 花井淳 |
| 深みゆく孤独は宝虎落笛 | 石川 | 松川まさみ |
| 冬灯黒こげの鍋の見事さよ | 石川 | 密田妖子 |
| 熱燗がやつと戦争語りだす | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 冬麗や胡蝶の羽根の痛からん | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 凍て虻となりて訪ねて来たるかな | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 二十九年寒さ厳しき一期終ふ | 愛知 | 青沼尾燈子 |
| 燃え尽きて山河に帰る榾火かな | 京都 | 諏訪いほり |
| その巨体虚空に抱かれ銀杏枯る | 兵庫 | 藤岡美恵子 |
| 小半日おでんへ聞かすモーツァルト | 和歌山 | 玉置陽子 |
| しぐるるや癒えぬ病の診察日 | 岡山 | 北村和枝 |
| 背景の暮れてゆきけり冬帽子 | 広島 | 森恵美子 |
| かの人も逝きしか年賀欠礼状 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 休戦が停戦となれ花柊 | 長崎 | ももたなおよ |
| 【入選】 | ||
| 問いかけに自動音声冬に入る | 北海道 | 村田鈴音 |
| ウイルタの刺繍皿敷雪もよひ | 北海道 | 芳賀匙子 |
| 月の夜を黙考したる落葉かな | 北海道 | 柳一斉 |
| あのガザの幼子たちにクリスマス | 青森 | 清水俊夫 |
| これ以上散ることもなき冬木かな | 茨城 | 袖山富美江 |
| 拾はれて柚子湯になりし柚子ふたつ | 茨城 | 袖山富美江 |
| 皸の掌あぶる母の乳首吸ふ | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 生涯の最後の本気冬ごもる | 埼玉 | 園田靖彦 |
| 羽ばたきて眠りて鶴は白き花 | 千葉 | 若土裕子 |
| 秒針と鼓動が刻む夜半の冬 | 千葉 | 若土裕子 |
| 鱈炙る熱燗舐めるうぅ冷える | 千葉 | 青山果楠 |
| 渦潮を見て阿波に入る寂聴忌 | 千葉 | 谷口正人 |
| 貰ひたる藪蔓小豆小六月 | 千葉 | 池田祥子 |
| 千歳飴いつか鶴亀傘寿かな | 千葉 | 麻生十三 |
| 薪割りに精出す頃や山眠る | 千葉 | 麻生十三 |
| 美味しおっせ亭主破顔の今年酒 | 千葉 | 木地隆 |
| 人とさへ共存できずいかんや熊と | 東京 | 神谷宣行 |
| 北風やただ黙々と朝の道 | 東京 | 楠原正光 |
| 立冬の日が差しピアノ届きけり | 東京 | 畠山奈於 |
| 宅配に答へて羽織るカーデガン | 東京 | 堀越としの |
| 島の灯の点滅愉し避寒宿 | 東京 | 堀越としの |
| 寒空や銀翼よぎる六本木 | 東京 | 櫻井滋 |
| 富士柿や庭に大樹のありし頃 | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| ねんねこで赤子背負ひて行きし日よ | 神奈川 | 伊藤靖子 |
| 警報音なき冬空を見上げおり | 神奈川 | 遠藤初惠 |
| 暮早しあれこれおもひ何もせず | 神奈川 | 三浦イシ子 |
| 鰰が届いて妻はてんてこ舞 | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 子供らが小便で消す焚火かな | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 喜怒哀楽やがて悴む津軽かな | 神奈川 | 三玉一郎 |
| 人垣を越えてくる歌冬はじめ | 神奈川 | 松井恭子 |
| 行列に付けば地獄絵冷まじき | 神奈川 | 植木彩由 |
| 目つむれば思ひ出目覚む冬日向 | 神奈川 | 中丸佳音 |
| ほのかな香花柊と気づくまで | 神奈川 | 中丸佳音 |
| 冬至の日生絹のごとき影ありぬ | 神奈川 | 島敏 |
| 堰堤の菜屑ついばむつがひ鴨 | 神奈川 | 島敏 |
| 風邪の子の窓の世界に遊びをり | 神奈川 | 島敏 |
| はじめての紅おとなしき七五三 | 神奈川 | 藤澤迪夫 |
| ベビーカーの嬰と目が合ひ冬あたたか | 神奈川 | 那珂侑子 |
| しぐるるや日に日に増ゆる酒の量 | 新潟 | 安藤文 |
| 夜更かしや除雪車の音がうがうと | 新潟 | 安藤文 |
| 六連星おしゃべりしつつ上り来る | 富山 | 酒井きよみ |
| 取りやすき戸棚へ土鍋冬隣 | 富山 | 酒井きよみ |
| 白光の漲る夜空初氷 | 石川 | 松川まさみ |
| 人参を手にする母がアルバムに | 石川 | 清水薫 |
| 死守せねばならぬ一枚歌がるた | 石川 | 清水薫 |
| 今日ひと日普通に暮れてみかん剝く | 石川 | 密田妖子 |
| 脚立して見目よき柚子を狩る日和 | 長野 | 金田伸一 |
| な触れそ鉄の暖炉の熾るとき | 長野 | 金田伸一 |
| 割り切れぬ思ひ抱へて熊眠る | 長野 | 大島一馬 |
| きのふ雪今日あたたかや蝶のとぶ | 岐阜 | 古田之子 |
| 北窓に山ある幸よ冬迎ふ | 岐阜 | 三好政子 |
| 犬小屋の奥まで日射し冬うらら | 岐阜 | 梅田恵美子 |
| 枯れ菊に一つの世界翳り合ふ | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 冬野菜切り揃えたるやすらぎよ | 静岡 | 湯浅菊子 |
| 妻老いてことば美し冬籠 | 愛知 | 稲垣雄二 |
| 冬ざれや伏字の多き公文書 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 子ら三羽鴛鴦の曳きゆく水脈の中 | 京都 | 氷室茉胡 |
| 息吸うて大縄飛びの輪の中へ | 大阪 | 木下洋子 |
| 焼藷を割つて大きい方くれし | 大阪 | 木下洋子 |
| 薔薇散つて残る赤き実初しぐれ | 大阪 | 澤田美那子 |
| さくさくと落葉を踏んで戦争が | 兵庫 | 加藤百合子 |
| 咳けばふつとたましひ透けてゆく | 兵庫 | 魚返みりん |
| 綱を張る大型犬や息白し | 兵庫 | 高見正樹 |
| 毛糸編み編みては解きどこまでも | 兵庫 | 天野ミチ |
| すやすやと寝息をたてる冬田かな | 奈良 | きだりえこ |
| 混乱の地を彷徨ふは熊だけか | 奈良 | きだりえこ |
| 季節なき介護施設も冬に入る | 奈良 | 中野美津子 |
| 牡丹鍋豆腐しだいに良き色に | 奈良 | 田原眞知 |
| 思羽の水こぼしけり離れ鴛 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 顔見世や先づは啜らむ鰊蕎麦 | 和歌山 | 玉置陽子 |
| 炬燵にて船こぐ母の愛しさよ | 岡山 | 北村和枝 |
| まづ神へぬくき熊胆心臓を | 岡山 | 齋藤嘉子 |
| 初写真二十歳の君はかたはらに | 広島 | 森恵美子 |
| 胸中に真白き梟ゐることよ | 広島 | 森恵美子 |
| 木洩れ日を畳に揺らす秋の風 | 広島 | 鈴木榮子 |
| 眠られぬ熊を残して山眠る | 長崎 | ももたなおよ |
| 掩体壕忽然とある枯野かな | 長崎 | 川辺酸模 |
| 縁側の蝿と遊ぶかちやんちやんこ | 長崎 | 川辺酸模 |
| 百年の評に耐ヘるか初句会 | 大分 | 山本桃潤 |
| 枯れてなほゴッホの気迫槍鶏頭 | 大分 | 竹中南行 |
| 我が家好きすなはちおでん煮ゆるかな | 大分 | 竹中南行 |
