鎌倉文学館でこの春、制作した「鎌倉の芭蕉」がu-tubeで公開されます。「鎌倉を生て出でけむ初鰹」について。
古志金沢ズーム句会(2021年3月21日)
第一句座(兼題:飴山忌、または当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
小糠雨やまぬ能登路や飴山忌 中野徹
飴山忌はるけきものに麹菌 泉早苗
花も葉も濡れてゐるなり桜餅 長谷川櫂
泥の子の蝌蚪の国より戻りけり 田村史生
大揺れの花が花打つ白木蓮 稲垣雄二
俤を追ふその弟子や飴山忌 泉早苗
人あはれ鯥のあはれを追ひにけり 趙栄順
蕗味噌のほろりと苦き飴山忌 佐々木まき
近江では近江の酒を實の忌 花井淳
白山を望むバス停飴山忌 佐々木まき
加賀の空うるみ初めたり實の忌 趙栄順
くわんおんの湖国は朧飴山忌 泉早苗
【入選】
蜥蜴出て泡立ち初めしこの世かな 梅田恵美子
雛愛づる男ありけり飴山忌 安藤久美
金沢の茶房の二階飴山忌 高橋慧
葦の根へ諸子寄るころ飴山忌 玉置陽子
實忌やほこほこほぐす土づくり 酒井きよみ
淡海はなごりの雪よ飴山忌 安藤久美
父母に逢ふて見たきや喜寿の春 山本桃潤
洗面の袖をもつ妻飴山忌 山本桃潤
モンローの頬のほくろや春爛漫 間宮伸子
根わけして水に映さん花あやめ 酒井きよみ
蕨採る今年も漬けん樽一斗 稲垣雄二
馥郁とかをる酵母や飴山忌 篠原隆子
田の神に団子を供へ實の忌 近藤沙羅
山越えてひびく汽笛よ飴山忌 篠原隆子
白山のぐんぐん溶けて行くや春 清水薫
白山の雪解はじまる飴山忌 梅田恵美子
菌の棲む梁や長押や飴山忌 密田妖子
けふ初花あすは飴山實の忌 長谷川櫂
飴山忌うぶな心が大事かな 趙栄順
鶴引くや瓢湖の空は瑠璃色か 田中紫春
けさ掻きて海すするごと石蓴汁 酒井きよみ
飴山忌あす夕顔の種蒔かん 間宮伸子
・長谷川櫂選
【特選】
葦の根へ諸子寄るころ飴山忌 玉置陽子
實忌に供へん能登の波の花 篠原隆子
白山のぐんぐん溶けて行く春よ 清水薫
笊に取る菜の花の青實の忌 花井淳
二人から始める家族桜餅 玉置陽子
【入選】
裏山の花をコップに實の忌 稲垣雄二
實忌やほこほこほぐす土づくり 酒井きよみ
父母に逢うて見たしや喜寿の春 山本桃潤
水の琴白山鳴らす雪解水 梅田恵美子
野に群れてわが牛たちの原発忌 鬼川こまち
蕨採る今年も漬けん樽一斗 稲垣雄二
大揺れの花が花打つ白木蓮 稲垣雄二
青竹を深く打ち込み垣繕ふ 酒井きよみ
おりいぶを一本植ゑむ飴山忌 高橋慧
屋根を葺く人日輪に立ちにけり 稲垣雄二
蕗味噌のほろろと苦し飴山忌 佐々木まき
千枚田水をゆたかに飴山忌 佐々木まき
客来ると庭の木の芽を木の芽和 酒井きよみ
白山の雪解はじまる飴山忌 梅田恵美子
酵母棲む梁や長押や飴山忌 密田妖子
水を押す春の力や池の鯉 密田妖子
飴山忌能登に優しき雨が降る 氷室茉胡
飴山忌うぶな心を大事かな 趙栄順
春霰の撥ねてあをあを展宏碑 泉早苗
お軸から毬の跳ねくる実の忌 鬼川こまち
能登は飴山忌いま芽起こしのころ 篠原隆子
實忌の盃満たせ手取川 密田妖子
白山のゆきげ風吹く飴山忌 篠原隆子
加賀の空うるみ初めたり實の忌 趙栄順
飴山忌あす夕顔の種蒔かん 間宮伸子
第二句座(席題:寄居虫、春塵)
・鬼川こまち選
【特選】
寄居虫のふたつ寄り添ふ忘れ潮 玉置陽子
白山の影は何処に春の塵 清水薫
人といふ大愚の器春の塵 玉置陽子
宿居虫は魚の夢をみてをらん 近藤沙羅
寄居虫の脱ぎし殻の上越えてゆく 安藤久美
宿借りの宿をとらるる怖さかな 趙栄順
やどかりも命一つや貝の殻 長谷川櫂
【入選】
やどかりの歩み行く先太平洋 清水薫
やどかりのやどなく走る大干潟 篠原隆子
春塵を一気に抜けてエレベーター 安藤久美
春塵に母は離さぬ傘一つ 佐々木まき
微苦笑の大仏様や春の塵 宮田勝
春塵や湯へムーミンの袋下げ 花井淳
春塵の傍若無人嘆く塗師 泉早苗
やどかりや社宅転々移り住み 密田妖子
寄居虫やこの身一つで嫁ぎ行く 氷室茉胡
春塵や月には風の吹かぬらし 田村史生
・長谷川櫂選
【特選】
やどかりの歩み行く先太平洋 清水薫
【入選】
丁寧に春の塵拭く形見の書 氷室茉胡
やどかりを獲りて秋刀魚の空き缶に 花井淳
春の塵雪くろぐろと覆ひたり 高橋慧
春塵の傍若無人嘆く塗師 泉早苗
寄居虫は寄居虫の殻越えてゆく 安藤久美
ネット投句(2021年3月15日)特選と選評
・すでにある発想の句あまた。すべてボツにしたので例が挙げられません。
・いいかえただけではダメ。バレバレ。「雛あられ」→「はかなき夢」、逆も。
・リズムのダメな句もあまた。
・日本語に慣れてない人はご注意。日本に生まれ、毎日日本語を使っていても日本語は使えない。
【特選】
春禽のひかりとなりて飛び込み来 01_北海道 芳賀匙子
・春の鳥ひかりとなりて。原句の「春禽の」はただの説明であることに気づいてほしい。
海流のぶつかる響き卒業歌 07_福島 渡辺遊太
名乗りませ哀しみの死者達戻り寒 23_愛知 服部紀子
・達、不要。自分で気づかないと。
その日から私は何をしてきたか 23_愛知 服部紀子
・三・一一私は何を
先生のよき先生よ飴山忌 27_大阪 木下洋子
田の神の足跡小さき雪間かな 27_大阪 齊藤遼風
掻き寄せて結びしものよの小鳥の巣 28_兵庫 加藤百合子
・の、不要。「ものよ」→「ままの」
火の粉舞ふ闇のなかより春来たる 29_奈良 喜田りえこ
浜大根咲く東北へつづく海 37_香川 丸亀葉七子
白木蓮(はくれん)の空へみなぎる歓喜かな 42_長崎 川辺酸模
・白木蓮と歓喜が離れてはいけない。型に当てはめるからこんな句になる。空へみなぎる白木蓮の歓喜かな
古志鎌倉ズーム句会(2021年3月14日)
•藤英樹選
【特選】
残生てふ言葉しみじみ飴山忌 澤田美那子
比良よりの水こんこんと飴山忌 木下洋子
白山に吹く春風の甘からん 西村麒麟
いとけなきまま神となる菫かな 関根千方
はくれんやあいさつもなくひとの逝く おほずひろし
春泥を撫づれば子の名十とせかな 長井はるみ
ふつくらと大きな月や飴山忌 西村麒麟
日の永くなりしと思ふ飴山忌 金澤道子
【入選】
微笑みの写真一枚實の忌 葛西美津子
大阪の初花のころ實の忌 長谷川櫂
あら汁の椀は荒海桜鯛 西川遊歩
淡海の明るむころや實の忌 長谷川櫂
飴山忌俳句は胸にふれてこそ 関根千方
八方に雪解の音や飴山忌 曽根崇
大賞は ♪ 入りの句春の虹 (子ども俳句大会)西川遊歩
なによりも新鮮であれ飴山忌 神谷宣行
品書きのあさり酒むし真砂女の忌 わたなべかよ
浅漬けのやうな句が欲し飴山忌 金澤道子
おぼつかな能登の昼空飴山忌 湯浅菊子
•長谷川櫂選
【特選】
微笑みて写真一枚實の忌 葛西美津子
子どもみな春疾風なりサッカーす 藤原智子
米を研ぐ水も温みぬ飴山忌 藤原智子
この寺の塵はおほかた椿かな 金澤道子
三月のせはしき日々に飴山忌 藤英樹
日の永くなりしと思ふ飴山忌 金澤道子
【入選】
すぐそこに桜前線飴山忌 葛西美津子
實の忌かの世の花も鋤き込みて 喜田りえこ
飴山忌俳句は胸にふれてこそ 関根千方
八方に雪解の音や飴山忌 曽根崇
庭先の畑に一日實の忌 森永尚子
きらきらと顔の並ぶや雛の家 喜田りえこ
かぎろうて箔新しき金閣寺 澤田美那子
遅き日や二万二千の南無阿弥陀 藤英樹
マスクはづし老いに驚く山桜 森永尚子
鳥雲に離農の鍬をもてあまし 園田靖彦
俳諧は新鮮であれ飴山忌 神谷宣行
實忌や男ひとりの昼の酒 おほずひろし
会うたことなくて親しき飴山忌 金澤道子
浅漬けのやうな句が欲し飴山忌 金澤道子
栃の木のごつと芽吹きぬ實の忌 仲田寛子
牛小屋に牛ゐなくなり蕗の薹 田中益美
雪解の樹々ひびきあふ飴山忌 イーブン美奈子
第二句座
席題(春の雷、ミモザ)
•藤英樹選
【特選】
春雷や乳房のごとき雲の間に 関根千方
会へる日を指折り数へ花ミモザ 木下洋子
春雷の鳴りつくしたる明るさよ 仲田寛子
笑い上戸くすぐったがり花ミモザ 川村玲子
春雷の激しく長きひと日なり わたなべかよ
浅間なる白き山辺や春の雷 吉田順子
【入選】
庭中にミモザの生ふる画家の家 おほずひろし
和太鼓の連打ミモザの只中に 升谷正博
あの窓にいつも猫ゐる花ミモザ 金澤道子
春雷や顔触れの良き歌舞伎座に 西村麒麟
江ノ電の二両連結春の雷 金澤道子
春雷や皇居外苑能舞台 森永尚子
ミモザの黄見とれてをれば目の痒し 澤田美那子
春の雷女の臍のちぢこまる 森永尚子
まどろみの山を起こすや春の雷 喜田りえこ
•長谷川櫂選
【特選】
イタリアは愛のミモザの満ちるころ 仲田寛子
一欠片ミモザの花をハンカチへ 西村麒麟
うどん屋に雨宿りする春の雷 田中益美
春雷の鳴りつくしたる明るさよ 仲田寛子
【入選】
黄金の煙わき立つミモザ咲く 西川遊歩
大股にミモザ抱へて近づき来 長井はるみ
抱き寄せらるるミモザひと抱えごと 長井はるみ
春雷や一気にとける比良の雪 木下洋子
ひだるさの子どものまなこ花ミモザ 藤英樹
浅間なる白き山辺や春の雷 吉田順子
大震災の当事者とは誰か? 「現代短歌」5月号
たったいま届いた「現代短歌」(現代短歌社)5月号(特集=震災10年)に「当事者性とは何か」という一文を書きました。『震災歌集』自選22首も。ぜひお読みください。
「当事者性の問題」は現代の文学、俳句、短歌が直面している最大の問題です。それは正岡子規以降つづいてきたリアリズム(写生)とは何だったのか、本来のリアリズムとは何かを考える絶好の課題です。
〈俳句相談〉コロナで「座の文芸」はどうなるのか?
【相談】
「座の文芸」と言われる俳句ですが、コロナ禍のために「座」を組むことが禁止されて一年を過ぎました。コロナはも変種(変異株)も出てきて、この先、何年間続くのか見当もつきません。
「座」は人が生きていくための根本条件ですが、これが否定されたら「座の文芸」俳句は即座に消滅するしかないでしょう。インターネットでカバーできるのはチャチな範囲と思われます。この難局にあたり、お考えや如何にと思っての投稿です。
【回答】
「座の文学(文芸)」といわれる俳句はコロナによって消滅するのでは、と心配されているようですが、これにお答えするには、まず前提となっている「座の文学」について考えなくてはなりません。
俳句は「座の文学」とよくいわれますが、はたして俳句は「座の文学」なのか。たしかに俳句の世界に「座」という言葉は昔からあります。しかし俳句が「座の文学」といわれるようになったのは、そう古いことではなく戦後のことです。それには次のような背景があります。
戦前、革命思想として禁圧されていたマルクス主義は1945年(昭和20年)の終戦後、解放されました。それ以来1991年(平成3年)12月に突然ソ連が崩壊するまで半世紀近くつづいた東西冷戦時代、日本国内ではマルクス主義が大きな力をもち、さまざまな分野に影響を及ぼしました。俳句におけるマルクス主義の影響の一つが「俳句は座の文学である」という考え方です。
「座の文学」を最初に唱えたのは尾形仂ですが、簡単にいえば、俳句は一人で作るものではなく、みんなで作るものだという考え方です。これは一人で作るものよりみんなで作るもの(共同制作)が優れているというマルクス主義の根本思想に基づいています。たしかにこの考え方は俳句の一面を言い当てはているのですが、本質的な問題を見落としています。
大岡信の『うたげと孤心』も日本文学における座としての宴の重要性を説いたものと考えられていますが、この本を最後まで読めば、『梁塵秘抄』を編集した後白河院の孤心について大半が当てられています。大岡はここで文学の宴=座を成り立たせているのは、文学者の孤心であるといっているのです。俳句を「座の文学」と割り切ると、座を成り立たせている孤心を見失うおそれがあります。俳句を単純に「座の文学」と考えないほうがいいということです。
さらに「俳句は座の文学」という考え方が、それ以後の俳句をどれほど甘やかしてきたか、いいかえれば孤心を疎かにさせてきたかを忘れてはなりません。
コロナ禍における俳句のあり方も、このことを前提に考えなくてはなりません。会場に集まっての句会ができないからといって、俳句が消滅するわけではない。座よりも大事なのは俳人の孤心であり、座が必要であれば、会場形式に代わる句会を新たに作ればいいだけのことです。
ZOOMなどのWEB句会は会場形式の句会に匹敵するどころが、それを上回る可能性をもっています。最大の魅力は空間を超越できること、これまで句会に参加するのが難しかった遠隔地の人でも世界中どこからでも句会に参加できます。
私は去年4月からZOOMで句会を開いており、アメリカや東南アジアの人も毎月参加しています。これからはこのようなWEB句会が新しい座になってゆくでしょう。そのWEB句会でも座より重要なのは参加者一人一人の孤心ではないでしょうか。
ネット投句(2021年2月28日)特選と選評
【特選】
雛飾る妻の横顔忘れたり 01_北海道 柳一斉
銀ぶらのさしてはたたむ春日傘 13_東京 岡田栄美
梢から春は来るらし老大樹 13_東京 齊藤拓
いつも誰か待つてゐるらし梅の花 17_石川 松川まさみ
泥付きの大根と孫が来たりけり 20_長野 金田伸一
・が、不要。
かぎろひて崩れさうなる我が家かな 37_香川 曽根崇
命ある今日のまぶしや初つばめ 42_長崎 川辺酸模
もの言はぬ海あをあをと三月来 42_長崎 川辺酸模
古志広島ズーム句会(2021年3月7日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
ほんたうのこと告げる日よエイプリルフール 高橋真樹子
一年の命ながらへ紅梅煮 長谷川櫂
藻塩焼く黒がねの釜かぎろへり 飛岡光枝
幾千の魂吞み込みし海や春 ストーン睦美
春潮は人恋ふ音や震災忌 斉藤真知子
【入選】
お水取りらうべん椿さくころか 大平佳余子
かみしめる生老病死蕗の薹 上松美智子
さあ行けと牧ひろびろと開きけり 大場梅子
つつぬけに裏山見ゆる雛の家 飛岡光枝
犬は背で直滑降やスキー追ふ 岡村美紗子
糊こぼし椿咲くころお水取 大場梅子
香る木の一の香や沈丁花 大平佳余子
春眠といふ大波の裏がへる 長谷川櫂
杉の葉の燃えさしもらふお水取り 菅谷和子
卒業や空弁当の中に文 ももたなおよ
退出ボタン押せばたちまち句座朧 神戸秀子
蝌蚪の群れ澱みの水が全世界 ストーン睦美
・長谷川櫂選
【特選】
かみしめよ生老病死蕗の薹 上松美智子
さへづりの一羽はげしき震災忌 石塚純子
も一人の我の遊ぶや春の夢 米山瑠衣
荒波に向かひてつばき崖一面 伊藤靖子
春の雪震災十年余震六強 林弘美
田の畔のペンペン草をブーケにす 夏井通江
罹つたらお別れぞとや草の餅 米山瑠衣
【入選】
あらなんと血管喪失春疾風 城山邦紀
いつまでも朝寝の夫や憎々し 大場梅子
このちさき命頂くほたるいか 伊藤靖子
さあ行けとひろびろと牧開きけり 大場梅子
かき分けて切つて三寸山の独活 石塚純子
もう我をわからぬ人や雛あられ 飛岡光枝
藻塩焼く黒がねの釜かぎろへり 飛岡光枝
寒鰤のあら炊き盛りて夕餉かな 伊藤靖子
幾千の魂呑み込みし海や春 ストーン睦美
蟻出でてすぐに子供に見つかりぬ 斉藤真知子
熊笹の揺れて雪解の山浮かぶ 高橋真樹子
交差点空の広さや風光る 夏井通江
桜待つおもひつのるや桜餅 大平佳余子
三枚の葉もて包みぬ桜餅 斉藤真知子
山焼きや火の神とうと駆け抜けよ ストーン睦美
十年は節目とならず蓬餅 斉藤真知子
水温む肌荒れの手をしみじみと 大場梅子
朝粥で六腑いたはれ春の雪 矢野京子
二ン月や動作起すにどつこいしよ 上松美智子
煩悩を焼き尽くしたき野焼かな 土谷眞理子
鵯くぐるたびに杏の花こぼれ 神戸秀子
第二句座(席題:磯巾着、葱坊主)
・矢野京子選
【特選】
乙姫の髪飾らんや磯巾着 神戸秀子
レストラン裏の畑は葱坊主 ももたなおよ
磯巾着ゆらりゆらゆら何掴まん ももたなおよ
【入選】
葱坊主夕日落ちゆく関東平野 飛岡光枝
葱坊主やがて天下を取る日まで 大場梅子
俳句してほつたらかしや葱坊主 土谷眞理子
空の下ワクワクしてる葱坊主 高橋真樹子
太陽がくすぐつたいぞ葱坊主 飛岡光枝
龍宮の話きかせよ磯巾着 長谷川櫂
葱坊主何も考えたくなき日 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
うつとりと小魚入りぬいしぼたん 石塚純子
潮だまり磯巾着は指を吸ふ 上松美智子
荒波やいそぎんちゃくをもてあそぶ 伊藤靖子
わが足もイソギンチャクも揺らめきぬ 夏井通江
上げ潮や磯巾着は歌うたふ 飛岡光枝
けふ一日いそぎんちやくを友だちに 矢野京子
【入選】
立ったまま居眠りしてる葱坊主 城山邦紀
イソギンチャク触れれば指の吸ひこまれ 岡村美紗子
太陽がくすぐつたいぞ葱坊主 飛岡光枝
誤つて石を捉へし石牡丹 土谷眞理子
指先に海なまぬるし磯巾着 神戸秀子
波の手の日がな撫でゐるいしぼたん 米山瑠衣
古志仙台ズーム句会(2021年2月28日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
鮭一本影のごとくに乾びけり 長谷川櫂
どか雪の底突き上げる夜の地震 武藤主明
地震の巣を栖としたる鯨かな 武藤主明
生意気な口ききさうな鱵かな 平尾 福
蕗味噌や大地ほぐるる音すなり 齋藤嘉子
【入選】
わが妻は春ましろなる浅間山 長谷川櫂
朧夜の真野の萱原しづまれり 佐伯律子
まづ位牌元に戻すや春の地震 宮本みさ子
みちのくは真白きまほら鳥帰る 石原夏生
単純に耐へて少年麦を踏む 石原夏生
うすらひや春のひかりのひとかけら 上村幸三
激震でバレンタインも日延べかな 石原夏生
かくれんぼだあれもゐない春の空 川辺酸模
初蝶や天の深さをまだ知らず 上村幸三
十年経て戻りし干潟冬落暉 石原夏生
・長谷川櫂選
【特選】
どか雪の底突き上げて夜の地震 武藤主明
母亡くし妻強くなれ呼小鳥 川村杳平
還れざるままに十年菊根分 鈴木伊豆山
みちのくは真白きまほら鳥帰る 石原夏生
長廊下東司へつづく余寒かな 阿部けいこ
大雪や苺ハウスは灯をともす 甲田雅子
【入選】
(伊能忠敬)一歩一歩四千万歩国土遅日 鈴木伊豆山
多摩川の源流一滴片栗咲く 鈴木伊豆山
針箱に眠る古銭や針供養 伊藤 寛
生意気な口ききさうな鱵かな 平尾 福
まづ位牌元に戻すや春の地震 宮本みさ子
日脚伸ぶ畦行く犬の鼻忙し 阿部けいこ
煙さうな顔をしてゐる木の芽かな 平尾 福
梛の木に囀りたかき古刹かな 甲田雅子
幾たびも地震に耐へきし雛かな 長谷川冬虹
青空に小舟浮かべて諸子釣り 川辺酸模
暖かや古きソファーの談話室 伊藤 寛
紅白の順を違へず父母の梅 上 俊一
前にのめる折癖ありぬ紙雛 及川由美子
みちのくびとかたかごの花さながらに 齋藤嘉子
初蝶や天の深さをまだ知らず 上村幸三
第二句座(席題=木の芽和、蜆、節分草)
・長谷川冬虹選
【特選】
煮立ちては海のあを噴く大蜆 及川由美子
ランドセル投げてしじみの川覗く 宮本みさ子
蜆汁うすむらさきに濁りけり 長谷川櫂
【入選】
近江より水ぽたぽたと蜆売 長谷川櫂
紫を点じて大和蜆かな 長谷川櫂
蜆舟大国主の漁れる 齋藤嘉子
飲み干してのんどにやけど蜆汁 伊藤 寛
父の忌や黒塗り椀の木の芽あへ 甲田雅子
津軽から新幹線で蜆着く 石原夏生
・長谷川櫂選
【特選】
水替へて蜆は夢を見てをりぬ 谷村和華子
根こそぎに掻き浚ひたる蜆かな 上 俊一
新妻の夜やまぶしき木の芽和 川辺酸模
光まだ蕾のかたき節分草 服部尚子
【入選】
青山河この一箸の木の芽和 齋藤嘉子
今日もまた母の自慢の木の芽和 金谷 哲
力入れて舟の傾く蜆掻き 佐伯律子
擂粉木の音ごりごりと木の芽和 阿部けいこ
淡海はまだ冷たいぞ剥き蜆 平尾 福
故郷は甥の代なり蜆汁 武藤主明
一碗の春本番のしじみ汁 鈴木伊豆山
朝なさなかがんで親し節分草 伊藤 寛
かぐはしき二人の夜や木の芽和 川辺酸模
束の間の水に生かされ大蜆 上村幸三
長生きを詫びる一句や木の芽和 上村幸三
一桶の春の潮吹くしじみかな 鈴木伊豆山
雪国や節分草の花便り 長谷川冬虹
竜宮の香りほのかやしじみ汁 長谷川冬虹
ははの忌といへば供ふる木の芽和 那珂侑子
ネット投句(2021年2月15日)特選と選評
・なぜか全体として明らかに低調。
・説明精神にみちているのに、わからない句多し。
【特選】
一夜にて雪の浄土や光堂 04_宮城 長谷川冬虹
桃源に遊び惚ける春を待つ 07_福島 渡辺遊太
あんぱんの臍は爛漫桜漬け 13_東京 西川遊歩
愛の日やさほどならざる血糖値 20_長野 金田伸一
水仙の新芽をまたぐ朝の庭 24_三重 乾薫
入院の荷に入れてゆこうか仔猫 37_香川 丸亀葉七子
バレンタイン夫は小鳥に恋をする 42_長崎 ももたなおよ
たんぽぽや生みの労苦を母言はず 42_長崎 川辺酸模
