古志仙台ズーム句会(2021年2月28日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
鮭一本影のごとくに乾びけり 長谷川櫂
どか雪の底突き上げる夜の地震 武藤主明
地震の巣を栖としたる鯨かな 武藤主明
生意気な口ききさうな鱵かな 平尾 福
蕗味噌や大地ほぐるる音すなり 齋藤嘉子
【入選】
わが妻は春ましろなる浅間山 長谷川櫂
朧夜の真野の萱原しづまれり 佐伯律子
まづ位牌元に戻すや春の地震 宮本みさ子
みちのくは真白きまほら鳥帰る 石原夏生
単純に耐へて少年麦を踏む 石原夏生
うすらひや春のひかりのひとかけら 上村幸三
激震でバレンタインも日延べかな 石原夏生
かくれんぼだあれもゐない春の空 川辺酸模
初蝶や天の深さをまだ知らず 上村幸三
十年経て戻りし干潟冬落暉 石原夏生
・長谷川櫂選
【特選】
どか雪の底突き上げて夜の地震 武藤主明
母亡くし妻強くなれ呼小鳥 川村杳平
還れざるままに十年菊根分 鈴木伊豆山
みちのくは真白きまほら鳥帰る 石原夏生
長廊下東司へつづく余寒かな 阿部けいこ
大雪や苺ハウスは灯をともす 甲田雅子
【入選】
(伊能忠敬)一歩一歩四千万歩国土遅日 鈴木伊豆山
多摩川の源流一滴片栗咲く 鈴木伊豆山
針箱に眠る古銭や針供養 伊藤 寛
生意気な口ききさうな鱵かな 平尾 福
まづ位牌元に戻すや春の地震 宮本みさ子
日脚伸ぶ畦行く犬の鼻忙し 阿部けいこ
煙さうな顔をしてゐる木の芽かな 平尾 福
梛の木に囀りたかき古刹かな 甲田雅子
幾たびも地震に耐へきし雛かな 長谷川冬虹
青空に小舟浮かべて諸子釣り 川辺酸模
暖かや古きソファーの談話室 伊藤 寛
紅白の順を違へず父母の梅 上 俊一
前にのめる折癖ありぬ紙雛 及川由美子
みちのくびとかたかごの花さながらに 齋藤嘉子
初蝶や天の深さをまだ知らず 上村幸三
第二句座(席題=木の芽和、蜆、節分草)
・長谷川冬虹選
【特選】
煮立ちては海のあを噴く大蜆 及川由美子
ランドセル投げてしじみの川覗く 宮本みさ子
蜆汁うすむらさきに濁りけり 長谷川櫂
【入選】
近江より水ぽたぽたと蜆売 長谷川櫂
紫を点じて大和蜆かな 長谷川櫂
蜆舟大国主の漁れる 齋藤嘉子
飲み干してのんどにやけど蜆汁 伊藤 寛
父の忌や黒塗り椀の木の芽あへ 甲田雅子
津軽から新幹線で蜆着く 石原夏生
・長谷川櫂選
【特選】
水替へて蜆は夢を見てをりぬ 谷村和華子
根こそぎに掻き浚ひたる蜆かな 上 俊一
新妻の夜やまぶしき木の芽和 川辺酸模
光まだ蕾のかたき節分草 服部尚子
【入選】
青山河この一箸の木の芽和 齋藤嘉子
今日もまた母の自慢の木の芽和 金谷 哲
力入れて舟の傾く蜆掻き 佐伯律子
擂粉木の音ごりごりと木の芽和 阿部けいこ
淡海はまだ冷たいぞ剥き蜆 平尾 福
故郷は甥の代なり蜆汁 武藤主明
一碗の春本番のしじみ汁 鈴木伊豆山
朝なさなかがんで親し節分草 伊藤 寛
かぐはしき二人の夜や木の芽和 川辺酸模
束の間の水に生かされ大蜆 上村幸三
長生きを詫びる一句や木の芽和 上村幸三
一桶の春の潮吹くしじみかな 鈴木伊豆山
雪国や節分草の花便り 長谷川冬虹
竜宮の香りほのかやしじみ汁 長谷川冬虹
ははの忌といへば供ふる木の芽和 那珂侑子