5月7日から東京新聞朝刊のコラム「私の東京物語」がはじまります。第1回はオリンピックのメインスタジアム、千駄ヶ谷の新国立競技場です。全10回。お楽しみに。
古志仙台ズーム句会(2021年4月25日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
春愁の顔をとらへし検温器 武藤主明
節くれの指を揃へて柏餅 谷村和華子
それぞれの春を持ち寄る句会かな 武藤主明
幼子の顔で食ひたき苺かな 武藤主明
初蝶のまだおぼつかなき高さかな 佐伯律子
【入選】
泥咥へ地球に生きる燕かな 上村幸三
蝶一羽乗せて離任の離島かな 川辺酸模
行く春やヒトもここらで変異せん 上 俊一
角落ちて鹿は正気に戻りたる 辻奈央子
畦塗るや津波の跡を拭ふかに 佐伯律子
桶に汲む光の粒よほたるいか 鈴木伊豆山
ひとつひとつ花の色して薬かな 辻奈央子
一輌に一人一駅春の昼 伊藤 寛
花冷えの牛近づきてこの臭気 宮本みさ子
芍薬のやつと開きし頑固さよ 那珂侑子
・長谷川櫂選
【特選】
行く春やヒトもここらで変異せん 上 俊一
幼子の顔で食ひたき苺かな 武藤主明
草むらの二人静を覗きけり 那珂侑子
【入選】
被曝牛絶えたる牛舎春の月 宮本みさ子
鶏潰し吊るしてありし暮春かな 齋藤嘉子
コロナにもめげずいさばや初鰹 石原夏生
いつの日か花守植へし山桜 青沼尾燈子
立山の氷河の雪解ほたるいか 鈴木伊豆山
忽然と去りたる春の大きさよ 三玉一郎
染め直す藍ののれんや夏近き 三玉一郎
足萎えの犬かばひつつ花の道 石原夏生
散る花は田の神さんぞ畦塗らな 齋藤嘉子
たんぽぽの花しをれゐて熟睡す 服部尚子
ワクチンの予約終へけり藤の花 青沼尾燈子
空家かと寄れば人居り犬ふぐり 伊藤 寛
第二句座(席題:蚕 昭和の日 薔薇)
・長谷川冬虹選
【特選】
九十になりても薔薇の似合う人 那珂侑子
妻と言ふ名の一本の赤い薔薇 平尾 福
おのが身を解いてこの世の天蚕糸 石川桃馬
【入選】
真実は一つにあらづ薔薇芽吹く 武藤主明
薔薇園ときに花の名騒々し 上 俊一
古びたる靴捨てきれぬ昭和の日 武藤主明
春蚕来る母は蚕の人となり 佐伯律子
感触のなほ手に残る蚕かな 石原夏生
カステラの箱に飼はるる蚕かな 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】
一滴のしづくゆるるや紅薔薇 川辺酸模
手のひらに載せれば蚕波打てる 宮本みさ子
人となりたまひし人や昭和の日 上 俊一
寝返りを打ちて蚕の桑食ふ音 鈴木伊豆山
感触のなほ手に残る蚕かな 石原夏生
【入選】
夕暮れの屯田の庭の野バラかな 服部尚子
蚕飼ふ棚の昏さの恐ろしき 青沼尾燈子
薔薇一輪剪つてわたしの誕生日 那珂侑子
九十になりても薔薇の似合う人 那珂侑子
闇に音たてて葉を食む春蚕かな 及川由美子
友達と明日見にゆく蚕かな 三玉一郎
したたかに戦を生きて昭和の日 上村幸三
子の髪も蚕飼のかざの強かりき 齋藤嘉子
香りごと剪つて渡さん薔薇一輪 辻奈央子
養蚕所訪ねて貰ふ捨蚕かな 阿部けいこ
古びたる靴捨てきれず昭和の日 武藤主明
はびこりて良き香を放つ野ばらかな 及川由美子
男とは淋しきものよ昭和の日 武藤主明
ネット投句(2021年4月15日)特選と選評
・目の前のものを機械的に写しても句にはならない。とくに風景。
・ものを描いても、そこに心が宿るように。
・もろに気持ちを表す言葉(さみし、かなし、うれし、よき)は句を浅薄にする。
・自分だけわかったような(読者にはわからない)句多し。
・必ず他人の目で「これで通じるか」をチェックしること。
・俳句は時間がかかる。残り時間の少ない人は覚悟必要。
【特選】
街中の猫がみてゐるはるのつき 13_東京 長井亜紀
仏生会いまも湧きつぐ甘露の井 14_神奈川 金澤道子
初蝶や今日より羽根の汚れゆく 23_愛知 稲垣雄二
摘むほどに籠の輝く茶摘かな 26_京都 氷室茉胡
蝶がきて止まりさうなるお菓子かな 27_大阪 澤田美那子
地下足袋のこの若者が桜守 33_岡山 齋藤嘉子
飴山忌あなたを真似て妻愛す 44_大分 山本桃潤
死ぬるまでホ句と同行風光る 44_大分 竹中南行
古志金沢ズーム句会(2021年4月18日)
第一句座
・鬼川こまち選
【特選】
目瞑れば花鳥匂ふ虚空かな 玉置陽子
籐椅子は白き渚へつづきけり 長谷川櫂
葉桜や城の復興着々と 田中紫春
涅槃図を見上げる猫の老いにけり 密田妖子
東京のかるさ明るさ春の雷 篠原隆子
畦塗るや千の曲がりの千枚田 稲垣雄二
【入選】
茫茫の花塵となり葉となりぬ 泉早苗
ざわざわと鬼の声する花の闇 梅田恵美子
いつしかにほぐれゆく心春の雨 高橋慧
桜蕊降るや大地の芳しき 田村史生
とと楽の能登にうまれて蕨摘む 中野徹
木瓜満開少年少女合唱団 清水薫
卯波のやう心の波の絶えざりき 越智淳子
春愁はたたみて沖へ流さうか 松川まさみ
鳥になる少年ブランコ漕ぎつづけ 松川まさみ
雲南は雲の上なる茶摘唄 篠原隆子
茹で上がる蕨古代の深みどり 密田妖子
風に醒め風に眠れる柳かな 趙栄順
わが町は二人静の倍しづか 間宮伸子
天の掌のかすかに触れて花散れり 趙栄順
芹の水ささ濁りてはなほ澄みつ 玉置陽子
・長谷川櫂選
【◎特選】
飴山忌あなたを真似て妻愛す 山本桃潤
【特選】
相撲取に抱かれて笑ふ桜鯛 間宮伸子
ざわざわと鬼の声せり花の闇 梅田恵美子
蛇出でて風に吹かれてゐたりけり 趙栄順
花びらの中より覚めて乳を吸ふ 安藤久美
わが村へ一直線に来る燕 酒井きよみ
牡丹のぐぐと忿怒の芽吹きかな 泉早苗
西行の庵の先へ花の道 氷室茉胡
初蝶に大冒険の御空あり 稲垣雄二
渦をときまた渦となり花筏 梅田恵美子
【入選】
山笑ふそのふところの蕎麦屋へと 清水薫
目瞑れば花鳥の舞ふ虚空かな 玉置陽子
大連をなつかしむ母柳絮飛ぶ 間宮伸子
父の葬あの日も晴れや初燕 酒井きよみ
搗き立ての草もち一塊赤子かな 酒井きよみ
すれちがふ背負子の匂ふ蕨かな 酒井きよみ
一碧の空に高々松の花 佐々木まき
大藤の間にぬつと男かな 近藤沙羅
とと楽の能登にうまれて蕨摘む 中野徹
春光の白山まこと白きかな 中野徹
山桜妹はムラサキヤシオかな 酒井きよみ
ここからの島が一番茶摘笠 篠原隆子
ひと晩に花仕舞ひたり紀三井寺 玉置陽子
木の芽味噌のせて焼きけり桜鱒 宮田勝
天を衝くメタセコイアも新樹かな 近藤沙羅
根上りの松の真中へ鶯来 花井淳
春愁はたたみて沖へ流さうか 松川まさみ
山伏の法螺に応へて花吹雪く 氷室茉胡
鈴の音と峠を越ゆる遍路かな 稲垣雄二
雲南は雲の上なり茶摘唄 篠原隆子
茹で上げて蕨古代の深みどり 密田妖子
大岡信詩論耽読遅日かな 山本桃潤
角なしの栄螺のどかにころがりぬ 篠原隆子
ほの朱き白えび豊か能登の春 越智淳子
ざくざくと刻む香りや花山葵 梅田恵美子
唐崎の松も花咲く湖の空 佐々木まき
風に醒めて風に眠れる柳かな 趙栄順
涅槃図を見上ぐる猫も老いにけり 密田妖子
つつがなく老いし夫へ若芽汁 趙栄順
塗る畦の千の曲がりも千枚田 稲垣雄二
ポンと鳴く君に喝采紙風船 清水薫
第二句座(席題:晩春、別れ霜)
・鬼川こまち選
【特選】
金閣寺天下の春の極まりぬ 長谷川櫂
狐うどん永き晩春なりしかな 長谷川櫂
晩春の日暮れが水に遊びをり 宮田勝
晩春やこんぺいたうは花の色 趙栄順
晩春や伝言板のありしころ 田村史生
平成も昭和も遠く別霜 田中紫春
【入選】
けもの道光さし込む霜の果 梅田恵美子
月花美人外に忘れし忘れ霜 酒井きよみ
晩春のキリンの長き睫かな 趙栄順
晩春のサーカスの子のまた別れ 山本桃潤
晩春の雲のとろりと夕茜 松川まさみ
晩春の赤子泣かして渡さるる 安藤久美
晩春や捨て置かれたる植木鉢 松川まさみ
晩春や哲学の道ぶらぶらと 氷室茉胡
友とゐて霜の名残の茶碗酒 花井淳
・長谷川櫂選
【特選】
晩春の加太千軒の甍かな 玉置陽子
晩春の津軽より来る花信かな 宮田勝
晩春やこんぺいたうは花の色 趙栄順
【入選】
うなだれし花を返せよ忘れ霜 越智淳子
馬の仔に風まばゆしや春の果て 間宮伸子
畑に手を入れなほしけり忘れ霜 酒井きよみ
晩春のからす目で追ふ病窓に 密田妖子
晩春の影より黒き揚羽蝶 山本桃潤
晩春の鯉一の字に浮かみをり 篠原隆子
晩春やかつてありたる学びの舎 中野徹
晩春や捨て置かれたる植木鉢 松川まさみ
晩春や伝言板のありしころ 田村史生
晩春や鍋に煮出して草木染 玉置陽子
晩春や墨をながして池の鯉 篠原隆子
晩春や無花果に敷く残り藁 稲垣雄二
晩春や野に別れ道右左 梅田恵美子
別れ霜早くも母の七回忌 清水薫
夜半の風あすの遅霜うたがはず 佐々木まき
古志鎌倉ズーム句会(2021年4月11日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
山吹も葺きてほろほろ花御堂 葛西美津子
湯に映る百の椿や箱根山 西村麒麟
花冷えや旅に護衛の正露丸 西川遊歩
春の月裸をのせる体重計 森永尚子
【入選】
桜湯の米寿卒寿に白寿かな 升谷正博
穿きなれたジーパンやさし花大根 湯浅菊子
春陰や湧き水のぞく子供たち おほずひろし
水切つて芹ざくざくとかき揚げに 田中益美
百歳の母と桜の話など 神谷宣行
•長谷川櫂選
【特選】
入学式道ゆく人に祝はるる 藤原智子
櫛一つ譲り受けたり花の旅 西村麒麟
夕桜会はねば遠き人ばかり 曽根崇
二才の子タンポポごとにしやがみこむ 田中益美
【入選】
甘茶仏小さし甘茶の杓小さし 金澤道子
灌仏の日よ野の花も木の花も 葛西美津子
菜の花や海を穢すな汚染水 吉田順子
初獲りや栄螺突き上げ海女浮かぶ 園田靖彦
水切るや芹ざくざくとかき揚げに 田中益美
湯に映る百の椿や箱根山 西村麒麟
春の月裸をのせる体重計 森永尚子
杣出しを終へて一服花ふぶき 木下洋子
チューリップ心を覗く如覗く 藤英樹
八重桜けふも退屈昼下がり 葛西美津子
いつか又かの墨堤の桜餅 澤田美那子
第二句座(席題:遍路、野蒜)
•藤英樹選
【特選】
遍路笠草に坐れば草あはれ 長谷川櫂
店番の子や庭先に野蒜売る 長井はるみ
タンカーのよろよろ寄るや遍路道 園田靖彦
お四国の子はみなやさし遍路杖 澤田美那子
道草も欲の一つや遍路ゆく 関根千方
【入選】
海鳥の声ばかりなる遍路道 西村麒麟
日と月の間をひとり遍路かな 長谷川櫂
遍路道茶店の犬に案内され 木下洋子
徒遍路歩幅日に日に狭くなる 曽根崇
真つ新な杖お四国の土に突く 金澤道子
•長谷川櫂選
【特選】
早朝の大きな月や遍路笠 西村麒麟
杖の音つづく遍路の夕まぐれ 升谷正博
遍路笠月を目指してゐる如く 西村麒麟
一合の酒にとろりと花遍路 藤英樹
遍路笠やうやく破れきたるかな イーブン美奈子
道草も欲の一つや遍路ゆく 関根千方
【入選】
遍路道仲よくなりし二人かな 田中益美
遭ふ人に鈴ひと振りや遍路笠 曽根崇
足挫きすがる形見の遍路杖 神谷宣行
ぼろぼろの地図懐に遍路ゆく 関根千方
遍路笠二つ並んで山寺へ 木下洋子
父母の間を歩く遍路の子 わたなべかよ
掘り出だす玉の光りの野蒜かな 西川遊歩
遍路道すこし外れて西行庵 澤田美那子
すつと抜く玉のひかりの野蒜かな 葛西美津子
酒臭き僧が道づれ花遍路 神谷宣行
真つ新な杖お四国の土に突く 金澤道子
4月24日から飛岡光枝さんの「折々のうた」講座
昨年6月にはじまった趙栄順さんの古志ネット講座「『折々のうた』600句を覚えよう!」(全10回)は3月、好評のうちに終了。4月から飛岡光枝さんを講師に迎えて新たにスタートします。参加ご希望の方は申し込み欄から申し込んでください。
・『折々のうた』600句を覚えよう!
・講師=飛岡光枝さん
・テキスト=『大岡信「折々のうた」選』俳句編1、2(岩波新書)
・時間=第4土曜日午前11時〜11時45分(*時間変更しました。ご注意ください。)
・期間=2021年4月〜2022年3月(全12回)
・参加費=無料
・定員=20人。参加できるのは古志会員だけです。前回受講した人も参加できます。ほかの古志ズーム講座を受講している人は参加できません。
花のズーム句会 2021年4月3日
第一句座
長谷川櫂選
【◎特選】
歳月や花に眠れる牛の骨 上田雅子
【特選】
魂をゆさぶつてゐる桜かな 上田悦子
吉野山花に寝転べわが心 飛岡光枝
逝く花を押し返しくる河口かな 北側松太
一幅の花の涅槃図みちのくは 玉置陽子
【入選】
舞ひ舞ひて海へと帰るさくらかな 喜田りえこ
山桜ぽつんぽつんと人の家 飛岡光枝
味噌汁のあぶらげ嬉し花のころ イーブン美奈子
大伽藍大音声の桜かな 北側松太
掃かれたる農家の庭を花ふぶき おほずひろし
花吸の鋭声やひびく桜かな おほずひろし
初花やこの普段着のお気に入り イーブン美奈子
咲き満ちて夜叉となりゆく桜かな 喜田りえこ
六角の九谷のとくり花の宵 花井淳
肩に触るるしだれ桜もけふの福 花井淳
散るを待つしじまの中の桜かな 稲垣雄二
老ひゴルフあちけこちゆけ山笑ふ 湯浅菊子
水鏡かの世の花を映しけり 喜田りえこ
吉野建落花つめたき朝かな 斉藤真知子
心しづかにガシャといただく浅蜊汁 田中益美
花散るやひねもす棺つくる音 松川まさみ
雀らの花を散らして遊びけり 岩井善子
花びらの雫一つに花の山 稲垣雄二
まぼろしの宴始まる花の下 斉藤真知子
をさなごに迎へられたる花の宿 三玉一郎
奈良漬や一夜明けたる花の膳 稲垣雄二
あまご焼くうしろに落とす花の水 上田忠雄
すいすいと登るや花に誘はれて 東一爽
記念樹のバケツの苗木花吹雪 岩井善子
花びらの水面を一羽ゆく鴨よ 葛西美津子
ふるさとの花の自慢よ桜餅 田村史生
糸桜この家とともに古りにけり 臼杵政治
暁の雪と思へば初桜 玉置陽子
貼り合はす千代紙の箱桜菓子 澤田美那子
この葉つぱ少し小さいぞ桜餅 斎藤嘉子
花見舟鞆に舳先に花浴びて 上田雅子
疫の世をさくらさくらと酔うてけり 松川まさみ
花を見て西行の妻想ふ寺 青沼尾燈子
一片の落花の悼むこころかな 三玉一郎
子の宝混じる瓦礫や山ざくら 宮本みさ子
花の山十年晒し置く瓦礫 宮本みさ子
花冷の今宵天魚は骨酒に 葛西美津子
誰もまだ起きてこぬ朝花の雨 田中益美
花一輪花にまぎれずありにけり 三玉一郎
きみとゐる花の一日の眩しさよ 川辺酸摸
金貸して吾も文無し夕桜 臼杵政治
花の山ま白き龍の眠りけり 上田雅子
さみしさの底吹きわたれ花吹雪 岩井善子
泡一つ抱きて開く桜漬 稲垣雄二
捌かれて白き花びら桜鯛 上田悦子
来し方の蹉跌指折る桜かな 青沼尾燈子
四阿の暗がりにひと初ざくら おほずひろし
残生の二人にふぶく桜かな 川辺酸摸
桜湯や吉野の冷えもなつかしく 澤田美那子
第二句座
長谷川櫂選
【特選】
花も葉もしだれて春の月の下 葛西美津子
寂しさや桜花壇といふ暮春 上田忠雄
月おぼろ遊び疲れし花びらも 葛西美津子
【入選】
木を植ゑて三年のちは花見かな 稲垣雄二
黒潮に舟の揉まるる桜かな 北側松太
満開の花のまなかに鹿の子立つ 上田悦子
寝返りて冷たき花の枕かな 飛岡光枝
なまな手で鱗はとれず桜鯛 澤田美那子
老木のわけても白し花の冷え 玉置陽子
渡し待つ向うの岸も桜かな 上田雅子
縫ひあげて白き産着や花の昼 斉藤真知子
花守に時折猫の来て遊ぶ イーブン美奈子
花びらを帽子で掬ふ子供かな 岩井善子
白川郷へ吾も辿りし山桜 花井淳
弁当はむすび一つや花の山 斉藤真知子
今朝一片花の奈落へ散りゆけり 上田雅子
川上に月の生まるる桜かな 北側松太
好きな人を見てゐしことも花疲れ イーブン美奈子
焚き付けの杉の葉拾ふ花の下 稲垣雄二
人おらぬ上野の森を花あらし おほずひろし
ひとひらの花の塵なり一句かな 上田雅子
みよしのや太閤様へ飛花落花 田村史生
古志広島ズーム句会(2021年4月4日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
花消えてまた日々無色本を読む 夏井通江
花びらを浴びて地球のまはりけり 長井亜紀
春筍の頭を探る足裏かな 斉藤真知子
台所鱗の飛ぶや桜鯛 飛岡光枝
敷笹に虹立つごとし桜鯛 菅谷和子
囀りを邪魔するな今プロポーズ 米山瑠衣
【入選】
いにしへの鈴の音涼し花鎮 城山邦紀
保父さんが先頭を行く桃の花 石塚純子
人去りて雀のつつく花御堂 大平佳余子
ひとひらの花びらとその花あかり 長谷川櫂
空を飛ぶ島へ旅する大朝寝 ももたなおよ
をさな子がお辞儀かへすよチューリップ 神戸秀子
あれほどの嵩ぱりぱりと春キャベツ 大場梅子
擂粉木をみやげに帰る花の山 飛岡光枝
春キャベツ刻んで無我になつていく 夏井通江
ふるさとへ流れてゆくや春の雲 長井亜紀
春雷や産湯ほどなる忘れ潮 神戸秀子
チューリップ杯捧ぐ光へと 伊藤靖子
こゆるぎの磯に拾ふやさくら貝 大場梅子
ひこばえのひとひらの花人知れず 城山邦紀
ゆふべ子が教へてくれし春の星 長井亜紀
どちらかと言えば犬かな磯遊び 高橋真樹子
また一羽鳥の入りゆく巣箱かな 斉藤真知子
初燕ふるさと嬉し車庫の窓 林弘美
オリンピック聖火の走る桜かな 上松美智子
・長谷川櫂選
【特選】
漂着の瓶の中より桜貝 土谷眞理子
法要はこれを最後や花の寺 原京子
春眠や冷たき猫のもぐり来る 岡村美紗子
長雨に春の火鉢を馳走かな 飛岡光枝
春日傘くるくる回すSeven teen 城山邦紀
【入選】
保父さんが先頭を行く桃の花 石塚純子
人去りて雀のつつく花御堂 大平佳余子
覚めてまた春の眠りへ戻りゆけり 斉藤真知子
花散らす明るき雨や大岡忌 飛岡光枝
花鎮ひとひらの花童女舞ふ 城山邦紀
花びらを浴びて地球のまはりけり 長井亜紀
をさな子がお辞儀かへすよチューリップ 神戸秀子
子の傍に住み替へる世ぞ鄙の春 林弘美
擂粉木をみやげに帰る花の山 飛岡光枝
魂は見えずして有り百千鳥 土谷眞理子
蕗味噌の舌を走れる苦さかな 菅谷和子
こゆるぎの磯に拾ふやさくら貝 大場梅子
椿戦争目白は何時も鵯に勝つ 林弘美
台所鱗の飛ぶや桜鯛 飛岡光枝
敷笹に虹立つごとし桜鯛 菅谷和子
花御堂担ぐ子どもに花降れり 大場梅子
椿寺椿ばかりや花御堂 神戸秀子
第二句座(席題:松の芯、新入生)
・矢野京子選
【特選】
熱き茶でひと日始めん松の芯 神戸秀子
残り住む男一人や松の芯 石塚純子
ゆるぎなき国でありたし松の芯 大平佳余子
【入選】
挨拶の小さな子ゐて新入生 夏井通江
新入生声をかけよかかけまいか 林弘美
明日からは東京の人新入生 岡村美紗子
おはようと写真に言つて入学式 高橋真樹子
校歌の譜電車に開く新入生 原京子
・長谷川櫂選
【特選】
玄海の怒濤のごとく松の芯 斉藤真知子
新入生鯉三十匹田に放つ 岡村美紗子
【入選】
古びゆく手足いとほし松の芯 高橋真樹子
熱き茶でひと日始めん松の芯 神戸秀子
新入生母の想ひを一身に 土谷眞理子
直に伸び摘むには惜しき松の芯 原京子
美濃はいま子松孫松緑立つ 大場梅子
ゆるぎなき国でありたし松の芯 大平佳余子
おはやうと写真に言つて入学式 高橋真樹子
ネット投句(2021年3月31日)特選と選評
【特選】
一年を経てむつまじき雛かな 11_埼玉 上田雅子
もうすこし遊んでゐたき落花かな 14_神奈川 金澤道子
ことばにも背筋ありけり飴山忌 17_石川 松川まさみ
古志仙台ズーム句会(2021年3月28日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
けふは夫あすは父母訪ふ彼岸かな 及川由美子
高だかと詩を読むやうに囀れり 上村幸三
西行忌花ひとひらに始まりぬ 谷村和華子
いつのまに詩の神去りし朝寝かな 上村幸三
どら焼に恋をしてゐる桜餅 長谷川櫂
【入選】
チューリップひらがなだけの絵本読む 阿部けいこ
挨拶の前に消毒新社員 森 凛柚
春塵や三面鏡にさがす嘘 谷村和華子
舞ひ終へて親子にもどる彼岸獅子 武藤主明
大阿蘇の猛き目覚めや野火走る 川辺酸模
鳥となり蘇り来よ花の下 佐伯律子
葱坊主背筋をぴんと伸ばしけり 平尾 福
天竜に光のつぶて上り鮎 齋藤嘉子
欄間より淡き光の雛の間 阿部けいこ
音程の決まらぬ朝の初音かな 金谷 哲
・長谷川櫂選
【特選】
高だかと詩を読むやうに囀れり 上村幸三
悪臭の瓦礫の宙を蝶あそぶ 宮本みさ子
十年の長さそれぞれ草の餅 長谷川冬虹
弁当の飯に押しこむ目刺かな 上 俊一
いつのまに詩の神去りし朝寝かな 上村幸三
台所のバケツに卒業式の花 伊藤 寛
水温む歩いて渡る長き橋 阿部けいこ
鷹鳩に化す日に生れて米寿かな 石原夏生
原発忌まともに生きて十年目 宮本みさ子
【入選】
けふは夫あすは父母訪ふ彼岸かな 及川由美子
晴れやかに大きな顔の寝釈迦かな 上村幸三
舞ひ終へて親子にもどる彼岸獅子 武藤主明
マスクして素顔は知らず新社員 森 凛柚
きみとゐる今のまぶしや梨の花 川辺酸模
鳥よりも早起きをして畑を打つ 石原夏生
鷹山の節倹五加木飯かをる 佐藤和子
牡丹の芽一寸にして花の色 服部尚子
やどかりや富士を自慢の磯暮し 平尾 福
わが家に仔犬の来る日花ミモザ 平尾 福
ふらここで春の匂ひをかき混ぜん 辻奈央子
潮満ちて磯巾着の花盛り 平尾 福
三一一海岸捜す男あり 宮本みさ子
菜の花の苦さ噛みしめ旅寝かな 上 俊一
本籍と墓はふくしま彼岸寺 鈴木伊豆山
プレハブの校舎を閉ぢて卒業す 武藤主明
音程の決まらぬ朝の初音かな 金谷 哲
第二句座(席題:アネモネ 栄螺 地虫)
・長谷川冬虹選
【特選】
地虫出で猫に嗅がれてをりにけり 及川由美子
疫病に固く閉ぢたる栄螺かな 青沼尾燈子
地虫出づ活断層の上に住み 佐藤和子
浜の子等栄螺でカーブ投げて見せ 石原夏生
日を見たし月を見たしと地虫出づ 辻奈央子
【入選】
海神に角もらひたり大栄螺 石川桃瑪
浮世出て風をうかがふ地虫かな 川辺酸模
アネモネの好きな訳など語るまじ 佐伯律子
アネモネや親を叱るは哀しくて 齋藤嘉子
狭庭より妻の報告地虫出づ 伊藤 寛
・長谷川櫂選
【特選】
アネモネの式の半ばに開きけり 佐藤和子
疫病に固く閉ぢたる栄螺かな 青沼尾燈子
アネモネとぱつと目が合ひ求めけり 那珂侑子
アネモネや親を叱るは哀しくて 齋藤嘉子
アネモネを包むセロファン音立てて 及川由美子
【入選】
地虫出で猫に嗅がれてをりにけり 及川由美子
里山の育てたる海さざえ籠 佐藤和子
唯一の父の料理や焼さざえ 那珂侑子
海神に角もらひたり大栄螺 石川桃瑪
惜しげなく汁したたらせ栄螺焼く 石原夏生
日を見たし月を見たしと地虫出づ 辻奈央子
アネモネや突然柱時計鳴る 武藤主明
