古志鎌倉ズーム句会(2024年3月3日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
つばくらめ光をひいて立子の忌 わたなべかよ
避難所の友と一緒に卒業す 木下洋子
男来てぽんと札束雛の市 園田靖彦
春雨のひと日遊ばん大阪へ 藤原智子
【入選】
橘も桜もなでて雛納 仲田寛子
朝寝する若き女でありし頃 森永尚子
古くさきかほがよろしき雛かな 森永尚子
なほ深き泥ふところへ田螺かな 長谷川櫂
やはらかな莟に変り白木蓮 おほずひろし
猫の子の母は一歳うら若き 西川遊歩
そのなかにわが目も浮かぶ蜆汁 湯浅菊子
•長谷川櫂選
【特選】
一つ家に雛古びて人老いぬ 関根千方
【入選】
歴史みな彼に学びき菜の花忌 藤英樹
吊るされて光と遊ぶ雛かな 葛西美津子
手にのせてあまりに軽し吉野雛 澤田美那子
梅に飽き椿に飽いてさへづれり 葛西美津子
寝返りで進む赤子や雛祭 藤原智子
第二句座(席題:雛、椿餅)
•藤英樹選
【特選】
球音のロスへと嫁ぐ女雛かな 神谷宣行
葉隠れの花か莟か椿餅 長谷川櫂
【入選】
揺らぐ国邪鬼払はんと椿餅 西川遊歩
震災も戦火も越えし雛かな 関根千方
いきつづく被爆の雛や永遠にあれ 神谷宣行
海深く雛は今も泥まみれ きだりえこ
一筆の眼きりりと立雛 木下洋子
つやつやの葉が上と下椿餅 おほずひろし
•長谷川櫂選
【特選】
大きなる餅に大きな椿の葉 藤英樹
椿の葉十枚あれば椿餅 わたなべかよ
公然と虐殺続くひなの日も 関根千方
【入選】
岩陰にしばし安らふ流し雛 木下洋子
葉一枚息止めて置く椿餅 イーブン美奈子
二月堂今朝まだ静か椿餅 きだりえこ
茶屋街に雪降り出しぬ椿餅 神谷宣行
椿餅千年君を待つごとく 関根千方
ならまちの格子古びぬ椿餅 きだりえこ