姫はじめの巻/名表九 再募集⑦
【名表】
六 チェーホフとその美しき妻 酸模(雑・恋)
七 木漏れ日の微笑みだけが残りけり 光枝(雑)
八 白露ゆるる夕顔の花 陽子(夏)
九 光悦の墨したたらす筆の先 一郎(雑)
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【付句候補】
・⚪︎
たつぷりの墨がしたたる筆の先
・△
・×
モルヒネの切れて夜明けの闇のなか
囚われし地獄の砂を掻き出す手
手に入れし名盤に針そつと置く
立ち漕ぎで朝刊配る少年よ
すつきりと晴れたる空に浅間山
今日もまた腹をすかせる蟻地獄
目を閉じて父に抱かれて母の逝く
箒目を乱す足跡門の前
戦勝より欲しき今日のパンと水
引越しと決まりし社宅名残り惜し
原発を拒んだ町の大地震
ふりむかず手をふる背も気障なヤツ
しやかしやかと米研ぐ音よ夏月月
別れたる人の寝息や耳の底
夜もすがら書いては丸め屑籠に
庭先に缶蹴りの声続きをり
病みてまた生きる力よ蛍の夜
縁側で孫と遊ぶべる糸電話