古志鎌倉ズーム句会(2024年6月9日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
薔薇はまだ莟のなかに眠りをり 萬燈ゆき
一滴の重さを解きて滴れり 湯浅菊子
けぶるごとあふち咲き満つあふみかな わたなべかよ
ゆたけしや梅雨の底ひの白き花 澤田美那子
【入選】
鱚釣るや舟で開きて風干しに 葛西美津子
雨あがる山紫陽花の藍の色 金澤道子
楊桃の昏さ故郷のくらさかな 森永尚子
穀倉は戦火にまみれ麦の秋 澤田美那子
川風の夕べとなりぬ洗鯉 葛西美津子
梅雨深し女のかほにひげ生えぬ 森永尚子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
一生涯何者にもあらず白団扇 萬燈ゆき
世の果を見てきしなどと昼寝覚 萬燈ゆき
薔薇はいま莟のなかに眠りをり 萬燈ゆき
一滴の力を解きて滴れり 湯浅菊子
噴水のびしよ濡れて立つ夕立かな 仲田寛子
【入選】
復興の覚悟をこめて田植かな 木下洋子
花柚の香八十二歳誕生日 吉田順子
炎天へ火の口ひらく桜島 藤英樹
籐寝椅子捨てず使はず母の家 萬燈ゆき
五月闇菩提樹の花降りしきれ 葛西美津子
虫干や父の手描きの母の帯 仲田寛子
江ノ島の参道狭し貝風鈴 金澤道子
人と人殺し合ふ世を飛ぶ螢 藤英樹
蛇山の主ぬるりと青大将 おほずひろし
泰山木人の間近に花一つ わたなべかよ
梅の実や滅びたることなき国に 関根千方
昼寝覚この世かの世の間に居 澤田美那子
山の水しみ出すところ岩煙草 金澤道子
梅雨深し女のかほにひげの生ゆ 森永尚子
ごろ寝する我に驚く油虫 藤原智子
第二句座 (席題:雲海、水羊羹)
•藤英樹選
【特選】
おおどかに切るがよろしき水羊羹 仲田寛子
三代の襲名叶ひ水羊羹 木下洋子
雲海のうねりに呑まれさうに富士 金澤道子
雲海の瀧なすところありぬべし 葛西美津子
ゆうれいも水やうかんも水の色 森永尚子
【入選】
青竹をするりと抜けて水羊羹 金澤道子
異論には耳傾けよ水羊羹 西川遊歩
愚痴いつか惚気話に水羊羹 金澤道子
雲海へ飛び込めさうや槍山頂 澤田美那子
高千穂の神みな雲海渡り来し 西川遊歩
一つ残る水羊羹は我のもの 湯浅菊子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
観光バスみんな寝てをり雲海へ 田中益美
雲海の果てにゆつくり眠られよ 藤原智子
ゆうれいも水やうかんも水の色 森永尚子
【入選】
しつくせぬ反省なれど水羊羹 森永尚子
異論には耳傾けよ水羊羹 西川遊歩
解きたる笹のかをりの水羊羹 萬燈ゆき