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俳句的生活

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軽井沢のこと、新聞のこと/信濃毎日新聞インタヴュー

俳句的生活 投稿日:2025年9月6日 作成者: KAI2025年9月21日

すっかり忘れていました。2023年秋の新聞週間にちなんで、信濃毎日新聞の矢沢健太郎記者と米川貴啓写真部記者のインタヴューを受けたことがありました。

記事はすでに掲載されていますが、そのときの映像がYouTubeで流れています。2023年10月18日の収録です。

https://www.youtube.com/watch?v=kKhBPD3e1ZA

ネット投句(8月31日)特選

俳句的生活 投稿日:2025年9月2日 作成者: dvx223272025年9月6日
たわたわとたはけのはての風の萩 北海道 芳賀匙子
パンドラの匣に残りし冷酒かな 埼玉 下家正幸
秋の月お世話になりました母は言ふ 東京 永井奈緒
瓜茄子いつも揃ってわが家の膳 神奈川 三浦イシ子
空丸ごと水拭きしたき残暑かな 神奈川 松井恭子
若者を砲弾とせし敗戦忌 富山 酒井きよみ
面長は長身の常赤とんぼ 石川 花井淳
我もゐて川浴びの子らは幻 石川 松川まさみ
風入れてみたるも駄句はついに駄句 石川 松川まさみ
寝て覚めてこどもに戻る西瓜かな 長野 金田伸一
冬瓜の瞑想深きごろ寝かな 愛知 稲垣雄二
洗ひ髪星へ広げる夜の秋 愛知 稲垣雄二
霧の奥しづかに犬が鳴いてゐる 愛知 青沼尾燈子
犬去りぬひとりで歩く秋野かな 愛知 青沼尾燈子
高々と噴水だけが知る虚空 大阪 安藤久美
守るべきは守りし誇り捨案山子 大阪 木下洋子
大文字戦の星となり果てて 大阪 澤田美那子
八月と言ふ言葉まで暑苦し 兵庫 天野ミチ
K2に逝きし岳人星月夜 兵庫 福田光博
新涼や茶筅のさきのうす緑 奈良 喜田りえ子
秋簾もう片付ける人はなく 奈良 中野美津子
朝顔の蔓に自由の風が吹く 奈良 中野美津子
抱き寄せて秋の木洩れ日爪弾かん 和歌山 玉置陽子
反戦に今も気概や終戦日 高知 森脇杏花
秋来れば日毎に深し茄子の紺 長崎 川辺酸模
登り窯皿わる音も秋めける 大分 山本桃潤
人類が背負う十字架八月来 大分 山本桃潤
吾亦紅怒りの紅の美しき 大分 田中俊一

ネット投句(8月15日)特選

俳句的生活 投稿日:2025年9月2日 作成者: KAI2025年9月2日
くりごとのごと小さきじやがいも掘る 北海道 芳賀匙子
麺茹づる匂ひ襲ひ来残暑なほ 北海道 柳一斉
長岡の宙(そら)にただよふ花火殻 千葉 安田勅男
校庭の土煮へたぎる原爆忌 千葉 谷口正人
はらわたを氷で洗ふ大暑かな 千葉 麻生十三
黙祷の大き断裂終戦忌 長野 大島一馬
年寄りに猛暑に津波来るなら来い 静岡 湯浅菊子
蝉の殻涼しきまでに何もなし 愛知 稲垣雄二
虹の橋駆け上がつてゆく犬の尻 愛知 青沼尾燈子
干涸びし蚯蚓あまたや行者道 大阪 木下洋子
やがて死ぬ己が命の涼しさよ 長崎 川辺酸模
もうしばし妻の隣に大昼寝 長崎 川辺酸模

うたたね歌仙「鮎合せの巻」満尾

俳句的生活 投稿日:2025年9月2日 作成者: KAI2025年9月2日

《連衆》高橋慧、飛岡光枝、佐藤森恵、松川まさみ、中野美津子、松井恭子、三玉一郎、川辺酸模、青沼尾燈子、安藤文、谷口正人、越智淳子、西川遊歩、北側松太、長谷川櫂(捌)
2015年4月27日~~8月23日

【初折の表】
発句  はじめから川の自慢や鮎合せ    飴山實(夏)
脇    まづは一献淡麗の美酒      光枝(雑)
第三  やつとこさ源氏全帖評釈す     文(雑)
四    年々暑さをさまらぬ秋      恭子(秋)
五   雲上の富士の頂月照す       恭子(秋・月)
六    新米の蔵はやも空つぽ      文(秋)
【初折の裏】
初句  人間が操縦なんのAIぞ      櫂(雑)
二    親に似ぬ子がまつたうになる   淳子(雑)
三   堅物と仲人口にたたられて     淳子(雑・恋)
四    無口のままの新婚の朝      尾燈子(雑・恋)
五   縞柄長真冬の森に鳴き交はす    美津子(冬)
六    氷の瀧にしぶく月光       光枝(冬・月)
七   きりきりと回しを締めて朝稽古   尾燈子(雑)
八    フルスイングの長嶋さらば    遊歩(雑)
九   卵焼き日の丸弁当かかさずに    光枝(雑)
十    塔修理する斑鳩の春       森恵(春)
十一  幽かにも天人の楽花ふぶき     まさみ(春・花)
折端   うららかに舞ふ水晶の衣     森恵(春)
【名残の表】
初句  一斉にミサイルの雨降りそそぐ   文(雑)
二    テレビを消してもうネタニヤフ  櫂(雑)
三   トランプなんてイヤんなる明け易き 櫂(夏)
四    もうもうと焚く蚊取り線香    光枝(夏)
五   天井にへばりつきつつ龍を描く   光枝(雑)
六    人だまでゆく西方浄土      尾燈子(雑)
七   人形へ太夫は声をふりしぼり    陽子(雑)
八    背中合せに愛と憎しみ      一郎(雑・恋)
九   切り取りし男の一物懐に      恭子(雑・恋)
十    花野に埋まる丸石の墓      森恵(秋)
十一  親不知子不知月の市振へ      松太(秋・月)
十二   誰が忘れしか白露の笠      陽子(秋)
【名残の裏】
初句  真夜中のしんと原爆資料館     一郎(雑)
二    記憶の孤島忘却の海       櫂(雑)
三   拾ひきし白き貝殻今もあり     光枝(雑)
四    夢で帰らむ故郷の春       陽子(春)
五   放射能浴びし一樹の花ざかり    光枝(春・花)
挙句   松蝉鳴いて沈黙の森       慧(春)

古志仙台ズーム句会(2025年8月31日)

俳句的生活 投稿日:2025年9月1日 作成者: dvx223272025年9月1日

第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
施餓鬼寺転読の声堂に満つ           甲田雅子
ただ空の大きさを知る夏休           三玉一郎
八月の物語せよ弁当箱             長谷川櫂
八月を握りしめたる赤子かな          武藤主明
【入選】
奈良漬の漆のごとき秋暑かな          長谷川櫂
自転車で月追つて行く子どもたち        平尾 福
紙垂揺るる村ぢゆう白し秋祭          谷村和華子
朝顔や夫婦が競ふ些事凡事           服部尚子
誰某の絵を捨てられぬ団扇かな         臼杵政治
長き夜を死後の話の二人かな          川辺酸模
目が覚めて初朝顔の白一つ           臼杵政治
白桃や孫もひ孫も桃のかほ           長谷川櫂
新涼の柾目にはじく墨一本           齋藤嘉子
西瓜割れ思ひ出わつとあふれけり        及川由美子

長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
わが胸は残暑の汗の壁をなす          宮本みさ子
青き海の底にいくつのラムネ玉         佐伯律子
めざめれば庭一面の桔梗かな          川辺酸模
【特選】
盆のあと手持ち無沙汰の野山かな        服部尚子
町中が祭太鼓や藍浴衣             長谷川冬虹
もうゐない犬連れてゆく秋日和         三玉一郎
紙垂揺れて村ぢゆう白し秋祭          谷村和華子
誰某の絵を捨てられぬ団扇かな         臼杵政治
ガガイモの花の清らか土いきれ         佐藤和子
ねむるまで鉦を叩いてくれにけり        三玉一郎
懐かしき土の匂ひよ蝉仰臥           上村幸三
【入選】
をみならの太鼓凛々しき浴衣かな        長谷川冬虹
磐梯山花蕎麦ゆれてむづがゆし         宮本みさ子
朝顔や夫婦で競ふ些事凡事           服部尚子
長き夜や死後の話をして二人          川辺酸模
擦り減りし硯にたらす水の秋          宮本みさ子
わが宿の畳を焦がす西日かな          及川由美子
古戦場札だけが立つ夏野かな          青沼尾燈子
石ころがぽつんとひとつ秋の声         三玉一郎
ただ空の大きさを知る夏休           三玉一郎
帯広の黄金の野や大豆打つ           服部尚子
判官の菊人形が夢にまで            臼杵政治
空蝉は地蔵のみ手に眠りけり          甲田雅子
身に入むや風に転がる蝉の骸          川辺酸模
西瓜割りて思ひ出わつとあふれけり       及川由美子
須賀川や翁も聞きし滝の音           甲田雅子
けふも居座る炎帝や水を買ふ          佐藤和子

第二句座 (席題:案山子、草の花、燕帰る)
長谷川冬虹選
【特選】
若き日の我の背広や案山子立つ         武藤主明
案山子翁今年はつひにひとりかな        齋藤嘉子
夕空に湧き出してくる帰燕かな         甲田雅子
大谷になりきり案山子二刀流          武藤主明
【入選】
稲刈つてさみしき顔の案山子かな        臼杵政治
草の花朝夕だけの路線バス           阿部けいこ
またの世もきみの辺の草の花          川辺酸模
手も足も出さぬと案山子侮られ         臼杵政治
裏山の草の花つみ夫の供花           甲田雅子
学校へ足が向かぬ子草の花           齋藤嘉子
月みれば月の歌よむ案山子かな         長谷川櫂
頭まず見ゆる棚田の案山子かな         臼杵政治
案山子立つ賢治のごとく前かがみ        及川由美子
軽トラに積まれて帰る案山子かな        上村幸三

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
またの世もきみの辺の草の花          川辺酸模
草の花ほどの思ひ出語り合ふ          三玉一郎
ガザ地獄ウクライナ地獄草の花         青沼尾燈子
妻に似てみめうるはしき案山子かな       青沼尾燈子
【入選】
秋燕のひとまはりして飛び去りぬ        佐伯律子
波頭すれすれに飛ぶ秋つばめ          佐伯律子
トランプに似せた案山子をはやしけり      上 俊一
切れ切れの思ひ出つなぐ草の花         佐伯律子

俳句とトレーニング/PPNインタヴュー

俳句的生活 投稿日:2025年8月22日 作成者: KAI2025年9月21日

13年間トレーニングの指導をお願いしているパワーリフティング元選手で全日本選手権12連覇を成し遂げたの阿久津貴史さん(PPN代表取締役)によるインタビューがPPNのホームページ(公式HP)に掲載されています。https://theppn.jp/

阿久津さんは2010年から23年までパワーリフティング105kg級の日本代表(21〜23年団長)、12年から23年まで全日本選手権12連覇を果たしました。23年11月の世界選手権を最後に引退。現在、株式会社ピークパフォーマンスニュートリション(PPN)代表取締役としてアンチドーピングをはじめスポーツの健全な発展のための活動をつづけています。

古志金沢ズーム句会(2025年8月17日)

俳句的生活 投稿日:2025年8月18日 作成者: dvx223272025年8月18日

第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選

【特選】
蟻地獄月光落る夜もあらん        趙栄順
恐竜の骨格きしむ秋うらら        花井淳
生きのびし思ひありけり夜の秋      橋詰育子
流星や四十年の勤め終へ         氷室茉胡
八十年火傷隠さず原爆忌         稲垣雄二
黒焦げに国は焼かれて秋の風       長谷川櫂
ひぐらしや子の死を知らず母眠る     趙栄順

【入選】
よく生きて残す一書の爽やかさ      清水薫
その朝も花に水やり原爆忌        酒井きよみ
いちじくの秘めたる花を啜りけり     稲垣雄二
噛むやうに一杯の水原爆忌        川上あきこ
糊うすくまとふ快楽の古浴衣       松川まさみ
秋はみな狭き裏庭より来たる       間宮伸子
旱魃のダム湖があくる鬼の口       酒井きよみ
黒焦げの一塊が長崎夜の秋        長谷川櫂

・長谷川櫂選

【特選】推敲例
一線を引く恋もあり秋扇         趙栄順
あの人もその人も星星涼し        酒井きよみ
生きのびし思ひありけり夜の秋      橋詰育子

【入選】
夕闇をふるはせ烏瓜の花         梅田恵美子
地蔵川生きながら蝉流れゆく       梅田恵美子
いちじくの冷たき花を啜りけり      稲垣雄二
紀ノ川の青流るるや今朝の秋       玉置陽子
産みし子は火傷なかりき原爆忌      稲垣雄二
恐竜の骨格きしむ夜の秋         花井淳
殺し合ふ正義と正義かき氷        稲垣雄二
大文字や入れば暗き京の家        安藤久美
油蝉いのち燃やして鳴きにけり      安藤久美
からつぽの我歩ませる秋の風       近藤沙羅
わが病めば子のやさしさよ冷し瓜     橋詰育子
遠くからですが黙祷原爆忌        清水薫
ふと気づく己が吐息も夜の秋       松川まさみ
虫の音やこころ整ふ仕舞風呂       藤倉桂
大輪の供華八月の空高く         松川まさみ

第二句座
 席題:「処暑」、「朝顔」
・鬼川こまち選

【特選】
大川も空も澄みたる処暑の朝       間宮伸子
朝顔は蛇のごと樋締め登る        稲垣雄二
道理なき世へ朝顔の白一輪        玉置陽子
子規庵の青き朝顔懐かしく        近藤沙羅
あさがほやひと日ひと日をつなぐ紺    梅田恵美子
朝顔は虚空に絡み咲きにけり       稲垣雄二

【入選】
石垣をおほい朝顔水のごと        酒井きよみ
朝顔の花一輪の唐津かな         長谷川櫂
処暑と云へどまだまだ暑くなる地球    近藤沙羅
せせらぎへ手をひたしゐる処暑夕べ    玉置陽子
朝顔や沖をはるかに白き船        飛岡光枝
挨拶のことば美し処暑の朝        稲垣雄二
夫遺す朝顔継ぎて二十年         密田妖子
あさがほや日ごとに変はる子の願ひ    安藤久美

・長谷川櫂選

【特選】推敲例
道理なき世へ朝顔の白一輪        玉置陽子
朝顔は虚空に絡み咲きにけり       稲垣雄二
み仏の母へ見せばや初朝顔        玉置陽子

【入選】
あさがほの蔓のさまよふ雨の中      松川まさみ
朝顔や印はひらがな一文字        花井淳
処暑と云へどまだまだ暑くなる我が家   近藤沙羅
朝顔や夫婦のごとく紺と白        趙栄順
夜深し朝顔莟ほどきつつ         飛岡光枝
朝顔の蔓の伸びゆく月夜かな       田村史生

古志鎌倉ズーム句会(2025年8月10日)

俳句的生活 投稿日:2025年8月11日 作成者: 田中 益美2025年9月10日

第一句座
•藤英樹選
【特選】
灼熱の秋立ちにけり原爆忌           吉田順子
心太八十年が沈みをり         森永尚子
終戦日死者へ生者へ梨をむく      関根千方
われわれにわれに八月十五日      おほずひろし
【入選】
干葡萄のごとき乳房をガザの夏        長谷川櫂
凌霄の花の闇へと蟻吸はる       仲田寛子
八十年日に日に汚れ秋暑し       神谷宣行
鶏殻かとみれば赤ん坊ガザの夏     長谷川櫂
死を語り生を語るや原爆忌       萬燈ゆき
普賢岳蛍袋に隠れけり         藤原智子
長崎忌重たき西瓜冷やさんと      藤原智子
天窓の四角に秋の来てゐたり      金澤道子
朝顔を上手に咲かす男かな       関根千方
やはらかく押し合うてゐる蓮の葉    久嶋良子
土曜日の夕刊蒸発酷暑かな       西川遊歩
甚平を着る間もなくて逝きにけり    澤田美那子
草刈つて俺の細道打ち開く       西川遊歩

•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
夏空の果ては原爆資料館                                    藤原智子
灼熱の秋立ちにけり広島市           吉田順子
校庭は巨大火葬場いわし雲               森永尚子
【入選】
夏草に疲れの見ゆる小径かな          葛西美津子
細道や旅の終りの冷し酒            きだりえこ
八十年日に日に汚れ秋暑し           神谷宣行
妹は一番前に西瓜切る             関根千方
ヒロシマの八十年や土に草          イーブン美奈子
長崎や重たき西瓜冷やさんと          藤原智子
細道の旅の日焼か男ぶり            葛西美津子
八月の死者へ生者へ梨をむく          関根千方
われわれにわれに八月十五日              おほずひろし

第二句座  (席題:雁渡 、竜胆)
•藤英樹選
【特選】
竜胆はつめたき月へ咲きのぼり     関根千方
雁渡し近江平野は金色に        木下洋子
海ふいに色恐ろしく雁渡        イーブン美奈子
戦争をおそれぬ世代雁渡し       おほずひろし
竜胆や人に獣の匂ひあり        関根千方
【入選】
天上に青き道あり雁渡し        関根千方
竜胆の向こうに白き奥穂高       土井頼温
濃竜胆病の妻に恋をして        神谷宣行
雁渡し何を待つとて沖をみる      澤田美那子
香水の空瓶捨てず雁渡し        萬燈ゆき
竜胆の蒼きこころを我もまた      萬燈ゆき
足腰の弱り日に日に雁わたし      園田靖彦

•長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
天上に雁の道あり雁渡し           関根千方
笹餅の笹ほどきては雁渡し              仲田寛子
流れきて竜胆の露とどまりぬ             藤英樹
【入選】
りんどうや二人で育てる薬草園     きだりえこ
戦争をおそれぬ世代雁渡し       おほずひろし
御巣鷹は深山竜胆咲くころか      イーブン美奈子
龍胆やここから先は尾根づたひ     金澤道子
竜胆の茎に切つ先花鋏             仲田寛子
船の名はひできち丸よ雁渡し          久嶋良子
竜胆や山へ参りて四十年            藤原智子
きな臭き世となりゆくも雁渡し     おほずひろし

 

古志広島ズーム句会(2025年8月3日)

俳句的生活 投稿日:2025年8月3日 作成者: dvx223272025年8月3日

第一句座
矢野京子選
【特選】
軍歌なほ忘れぬ唇よ原爆忌        矢田民也
原爆忌死者も八十年生きたるや      矢田民也
打水のきらめく記憶あるばかり      長谷川櫂
ひとり来てひとり泳ぐや原爆忌      安藤文
石段の影が語り部ナガサキ忌       ももたなおよ
【入選】
原爆忌またねと別れきしものを      金田伸一
水に揺られてうたた寝の桃ひとつ     斉藤真知子
これしきの猛暑嘆くな原爆忌       大平佳余子
どの鉢にもたつぷり水を広島忌      大平佳余子
翅広ぐおほみづあをの秘色かな      大平佳余子
恫喝に核を使ふなちちろ鳴く       大場梅子
老いて今ゆるりと母の白上布       ももたなおよ
原爆忌薬は柿の葉薊の根         ももたなおよ
書に挟む恋文ひとつ土用干し       城山邦紀
合歓の花わが白髪を母知らず       神戸秀子
蝉時雨百年の家改修す          安藤文
デジタルで読む新聞や終戦日       安藤文

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
水に揺られてうたた寝の桃ひとつ     斉藤真知子
すぐそこの闇を手繰りて踊るかな     矢田民也
カステラ屋すでに三代原爆忌       高橋真樹子
黒焦げの秋立ちにけり原爆忌       神戸秀子
爛れたる顔に柿の葉原爆忌        ももたなおよ
【入選】
軍歌なほ忘れぬ我へ原爆忌        矢田民也
快晴の空が真つ暗広島忌         石塚純子
朝の卓飯と味噌汁広島忌         斉藤真知子
長崎忌八十年の鐘ひびく         大場梅子
雲梯に木洩日あそぶ今朝の秋       神戸秀子
湯上がりのわが身をさらす蟬時雨     安藤文
広島忌今年また訪ふ大樹あり       矢野京子
孫二人ひ孫六人原爆忌          矢野京子
死に蟬のたましひ運ぶ蟻の列       安藤文

第二句座(席題:甚平、蜻蛉)
矢野京子選
【特選】
みづうみや蜻蛉も船を待つごとく     神戸秀子
甚平の熱く語るや量子論         駒木幹正
遠富士に甚平高く干す家かな       矢田民也
【入選】
呼び鈴に甚平の人ぬつと立ち       加藤裕子
鬼やんま原爆ドーム守るごとし      大平佳余子
甚平着て吾も横丁の顔役に        大平佳余子
虫籠の蜻蛉をすぐに放ちけり       斉藤真知子
颯爽と座敷をめぐる鬼やんま       長谷川櫂
甚平や木刀一本宝とす              加藤裕子

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
甚平や老いにも花の旬のあり       矢田民也      
鬼やんま原爆ドーム守るごとし      大平佳余子     
夫と子の瓜二つなる甚平かな       瑞木綾乃    
とんぼうの乗りつぐ風の次々に      城山邦紀     
甚平着てけふからただの人となる     大場梅子    

【入選】
甚平の人ぬつと立つ戸口かな       加藤裕子      
甚平着て吾も横丁の顔役に        大平佳余子      
甚平や祖父に自慢の手負ひ傷       高橋真樹子
甚平を着て細脛の頼りなし        矢田民也      
黙祷の帽子に止まる蜻蛉かな       矢野京子     
黙祷の眼開けば蜻蛉飛ぶ        矢野京子       
甚平や木刀一本宝とす         加藤裕子        
遠富士に甚平高く干す家かな      矢田民也    

古志仙台ズーム句会(2025年7月27日)

俳句的生活 投稿日:2025年7月28日 作成者: dvx223272025年7月28日

第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
吾もいつか宇宙のはての夏の星         甲田雅子
太陽を真直ぐに切るトマトかな         臼杵政治
鬼の面被りて歩く極暑かな           武藤主明
翳となり光となりて八月来           三玉一郎
かの世から風をもらひて昼寝かな        平尾 福
【入選】
涼しさは欄間の松の透かし彫り         及川由美子
桃の木の根方に屑桃埋めてやる         齋藤嘉子
一雨来食ふには惜しき茄子の紺         上 俊一
帰省して柱の傷と背くらべ           阿部けいこ
氷室出て汗の吹き出す氷かな          平尾 福
背泳ぎにどんどん空の広くなり         谷村和華子
夏の蝶粉々になる酷暑かな           佐伯律子
梅雨明け宣言ふじは半分顔出しぬ        那珂侑子
常臥の犬と目配せ梅雨晴間           青沼尾燈子
鴉らも空をさすらふ旱かな           長谷川櫂

長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
夏の朝犬はすやすや死んでゐた         青沼尾燈子
麦わら帽子サザンの歌をハミングす       及川由美子
一歩出て一歩ひるみぬ日の盛          佐伯律子
いつまでも夢みる人よハンモック        谷村和華子
舟溜り烏賊釣船も昼寝かな           川辺酸模
【特選】
逝きし人みな涼しげや油照り          谷村和華子
沖へ沖へ父泳ぎゆく遥かな日          谷村和華子
八月来記憶の杖をつきながら          三玉一郎
繕ひのあとが網戸に犬恋し           那珂侑子
かの世から風をもらひて昼寝かな        平尾 福
【入選】
炎天や人類の旅の西の果            長谷川冬虹
花に混じる西瓜の苗のいぢらしく        服部尚子
桃の木の根方に埋める屑の桃          齋藤嘉子
一雨や食ふには惜しき茄子の紺         上 俊一
あつさりと検診を終へ一夜酒          佐藤和子
瑠璃色の魚岩蔭に夏の果            平尾 福
一匹は水子の魂か夕蛍             佐藤和子
スマホなく過ごす一日の涼しさよ        川辺酸模
かいつむり眠る川面を夏の月          川辺酸模
アラビアの文字のごとくに草茂る        長谷川冬虹
帰国してなんと眩しき青田風          長谷川冬虹
極楽へつづく鍵とや夏の寺           青沼尾燈子
夏の月ひときは赤しアラビア文字        長谷川冬虹
黒揚羽粉々になる極暑かな           佐伯律子
平泳ぎ二人の兄のもう遥か           上村幸三
常臥の犬と目が合ふ梅雨晴間          青沼尾燈子
腎不全末期の友よ夏の果            川村杳平
撒水車祭のあとを冷ましゆく          平尾 福
桟橋にホットドッグ屋夏の果          平尾 福

第二句座 (席題:打水、鰻、常盤木落葉)
長谷川冬虹選
【特選】
外つ国の力士のやうな鰻かな          武藤主明
打水やじゆうつと焼きを入れしごと       上 俊一
掴まれてはつと蹴り上ぐ鰻かな         谷村和華子
水打ちて門前町を鎮めけり           武藤主明
水槽の底でウナギは世を覗く          宮本みさ子
【入選】
釘打たれ鰻はまなこ見開きぬ          佐伯律子
次々と鰻割かるる涼しさよ           川辺酸模
水を打つ旅の途中の隣家にも          那珂侑子
お隣の前に多めの水を打つ           平尾 福
ふかふかと夏の落葉を踏んでゆく        平尾 福
火柱のガザにキーウに水を打て         上村幸三
せめてその小さき墓へ打水を          三玉一郎

長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
不甲斐なき男がひとり鰻食ふ          上村幸三
深閑と目打ちを待てる鰻かな          川辺酸模
鎌倉は鰻の焼ける匂ひかな           平尾 福
【入選】
次々と鰻焼く火の涼しさよ           川辺酸模
ぬるぬるともんどりの中鰻かな         佐伯律子
鰻屋に夫婦で寄りぬ盆帰省           川村杳平
水打ちて一日伸びる命かな           佐伯律子
思い切つて匙を所望す鰻飯           佐藤和子
打水をせめて小さき犬の墓           三玉一郎

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読売新聞「四季」から

海までは枯野ばかりや鳥のみち    丸谷才一

 枯れ果てた草地の彼方に冴え冴えと青い海がある。淡い青と薄茶のあわせ方の洒落ていること。この句は、その風景を鳥の目で眺める。小さなヒコーキに乗って低く飛んでゆくような感じがするのはそのせいだろう。作者は現代の小説家。『七十句』

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    『「おくのほそ道」を読む 決定版』
    ちくま文庫
    1,000円+税
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    『四季のうた ウクライナの琴』
    中公文庫
    800円+税
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    『長谷川櫂 自選五〇〇句』
    朔出版
    2200円+税
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    800円+税
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    800円+税
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    2023年1月発行


    『四季のうた 雨ニモマケズ』
    中公文庫
    800円+税
    2023年1月刊行


    『和の思想』
    岩波新書
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    2022年7月刊行


    『俳句と人間』(3刷)
    岩波新書
    860円+税
    2022年1月刊行


    100分de名著『おくのほそ道』(10刷)
    NHK出版
    1,000円+税
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    『四季のうた 美しい日々』
    中公文庫
    800円+税
    2022年1月刊行


    句集『太陽の門』
    青磁社
    2200円+税
    2021年8月刊行


    『四季のうた 天女の雪蹴り』
    中公文庫
    800円+税
    2021年1月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(二)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
    780円+税
    2019年12月刊行


    『四季のうた 普段着のこころ』
    中公文庫
    800円+税
    2019年12月刊行


    大岡信『折々のうた』選 俳句(一)
    長谷川櫂 編
    岩波新書
    780円+税
    2019年11月刊行


    『歌仙一永遠の一瞬』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2200円+税
    2019年1月刊行


    『歌仙はすごい』
    辻原登、永田和宏、長谷川櫂
    中公新書
    880円+税
    2019年1月刊行


    『四季のうた 至福の時間』
    中公文庫
    700円+税
    2018年12月刊行


    『九月』
    青磁社
    1800円+税
    2018年8月刊行


    『Okinawa』
    Red Moon Press
    $15
    俳句 長谷川櫂
    英訳 デイヴィッド・バーレイ&田中喜美代(紫春)
    2018年5月刊行


    『俳句の誕生』(4刷)
    筑摩書房
    2300円+税
    2018年3月刊行


    『四季のうた 想像力という翼』
    中公文庫
    700円+税
    2017年12月刊行


    『芭蕉さん』
    俳句・芭蕉 絵・丸山誠司
    選句解説・長谷川櫂
    講談社
    1500円+税
    2017年3月刊行


    『震災歌集 震災句集』
    青磁社
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    『四季のうた 文字のかなたの声』
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    藤英樹著『長谷川櫂 200句鑑賞』
    花神社
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    『文学部で読む日本国憲法』
    ちくまプリマー新書
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    『日本文学全集12』松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶
    松浦寿輝、辻原登、長谷川櫂選
    河出書房新社
    2,600円+税
    2016年6月刊行


    『四季のうた 微笑む宇宙』
    中公文庫
    700円+税
    2016年3月刊行


    『芭蕉の風雅 あるいは虚と実について』
    筑摩選書
    1,500円+税
    2015年10月刊行


    『沖縄』
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    『入門 松尾芭蕉』
    長谷川櫂 監修
    別冊宝島
    680円+税
    2015年8月刊行


    『歌仙一滴の宇宙』
    岡野弘彦、三浦雅士、長谷川櫂
    思潮社
    2000円+税
    2015年2月刊行


    『吉野』
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    2014年4月刊行
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