第一句座
矢野京子選
【特選】
ほうたるや熱き骨壺冷ゆるまで 岡村美沙子
ナガサキ忌祈りの指を絡め組み 高橋真樹子
海峡を行くも帰るもできぬ夏 ストーン睦美
ケロイドも八十一歳原爆忌 矢田民也
【入選】
故郷の闇のいづこか水鶏鳴く 長谷川櫂
遠花火想ひ出ばかり咲いて散る 城山邦紀
夾竹桃敗戦の日の赤さかな 石塚純子
大地震の事も知らずに蝉鳴けり 斉藤真知子
子に星の名を教えたる夏遠き 矢田民也
口閉ざす日の多きかな八月来 石塚純子
松濱軒かの河骨も地震に折れ 加藤裕子
心まで隠してしまふサングラス 斉藤真知子
原爆忌やがて叙事詩となる祈り ももたなおよ
語り部は孫の代へと原爆忌 大場梅子
鶴を折る指のおとろへ原爆忌 神戸秀子
第三次大戦中の原爆忌 岡村美沙子
海も山も壊るる国へ帰省かな 長谷川櫂
もの言はぬ夜釣りの人と月の中 安藤文
爆心地血肉のいろの花カンナ 瑞木綾乃
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
ウクレレを弾いては夏を惜しみけり 大場梅子
火の海に炎ゆる赤子や原爆忌 加藤裕子
もの言はぬ夜釣りの男月の中 安藤文
八月や墓標のビルの林立す 矢野京子
【入選】
駐屯地夾竹桃の花ざかり 矢野京子
広島は今朝もヒロシマ雲の峰 矢野京子
大地震の事など知らずけさの蝉 斉藤真知子
星の名を子に教へしも遥かな夏 矢田民也
河骨や松濱軒は地震に折れ 加藤裕子
北斎の富嶽の藍の涼しさよ 瑞木綾乃
給水車炎天をいざ熊本へ 矢野京子
鶴を折る指おろおろと原爆忌 神戸秀子
さつきから宙にとどまる鬼やんま 安藤文
ゆく夏や心をゑぐる大地震 大場梅子
花カンナ血と肉のいろ爆心地 瑞木綾乃
おとうとの蜻蛉のとまる忌日かな 高橋真樹子
第二句座(席題:夕立、空蝉)
矢野京子選
【特選】
空蝉や風の重さを宿しをり 高橋真樹子
この服は雨を呼ぶ服夕立雲 加藤裕子
蝉の殻転がつてゐる原爆図 長谷川櫂
【入選】
蝉の殻あり戦争を憎みけり 長谷川櫂
むなしさをしつかと掴む蝉のから 城山邦紀
空蝉を何にせんとや蟻運ぶ 岡村美沙子
空蝉のなほも輝く眼かな 高橋真樹子
声あげて鳴く夜もあらん蝉の殻 長谷川櫂
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
また一人被爆者おくる大夕立 瑞木綾乃
からからと蝉の抜け殻転がり来 ももたなおよ
夕立や大波寄する浮御堂 大場梅子
【入選】
一匹の空蝉昇る花茗荷 上松美智子
しもたやの軒を借りたる白雨かな 大場梅子
街洗ふ夕立見てをり東口 矢田民也
サンダルで駅に駆け込む白雨かな 石塚純子
