花の吉野句会(2024年3月30日、31日)
3月30日
きだりえこ選 | |
【特選】 | |
法螺貝は模様で選ぶ花の山 | 木下洋子 |
へうたんをぬけ出し花の吉野山 | 村松二本 |
満開の花の句座こそ一大事 | 田村史生 |
たれか捨てたれか拾ひぬ花の杖 | 長谷川櫂 |
花一分俳句ごくらく吉野山 | 川村杳平 |
【入選】 | |
ととのへて桜花待つ吉野杉 | 花井 淳 |
明日ひらく脈打つ花の蕾かな | 西川遊歩 |
むずむずとこの世へ生るる袋角 | 村松二本 |
をろをろと花を探すや吉野山 | 飛岡光枝 |
み吉野に焦がれて今宵花の句座 | 葛西美津子 |
せりせりと虚空を濯ぐ桜かな | 玉置陽子 |
それでもなほ人を見捨てず桜かな | 玉置陽子 |
村松二本選 | |
【特選】 | |
をろをろと花を探すや吉野山 | 飛岡光枝 |
せりせりと虚空を濯ぐ桜かな | 玉置陽子 |
花の塵積もりて吉野山歳時記 | 飛岡光枝 |
花一枝腹の裂けたる備前壺 | 飛岡光枝 |
今朝息を整へてゐるさくらかな | きだりえこ |
【入選】 | |
かをらせて永遠に幸の桜かな | きだりえこ |
初花やこの木の気息確かむる | 谷村和華子 |
昼酒や花の蕾の天女魚焼く | 稲垣雄二 |
巻き上げし屏風ひらけば花の満つ | 谷村和華子 |
吉野雛杉の柾目の深々と | 飛岡光枝 |
思ひ出はかの日のままや花の宿 | 木下洋子 |
足踏みの花追ひ越して金峯山 | 田村史生 |
宮滝へ水が水押す桜かな | 葛西美津子 |
明日開く莟の声や吉野山 | 高橋 慧 |
満開の花の句座こそ一大事 | 田村史生 |
雲白し花なほ白し吉野山 | 玉置陽子 |
あ | |
長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
花冷えやささらで洗ふ鉄の鍋 | 西川遊歩 |
花を呼ぶ法螺よ太鼓よ蔵王堂 | 田村史生 |
唇に大吟醸や花ひらく | 村松二本 |
花一輪静御前の桜かな | 高橋 慧 |
花の塵積もりて吉野山歳時記 | 飛岡光枝 |
笊に歌貼つて迎へる花の宿 | 稲垣雄二 |
花一枝腹の裂けたる備前壺 | 飛岡光枝 |
陀羅尼助頼みし人も花の塵 | 飛岡光枝 |
花の宿一つ朽ちゆく花の中 | 稲垣雄二 |
花はまだでござりますると蟇 | 田村史生 |
柿の葉鮓包みて花の鯛一片 | 稲垣雄二 |
春の宵木の香を競ふ製材所 | 田村史生 |
花びらで繕ふ障子花の宿 | 宮本みさ子 |
花は今日白の奈落といふべしや | きだりえこ |
【入選】 | |
吉野山枡は桧や花の酒 | 稲垣雄二 |
さびさびと夕鶯や吉野山 | 飛岡光枝 |
み吉野の花の句会よ二十年 | 木下洋子 |
み吉野や白く儚き桜菓子 | 木下洋子 |
象川の水まだ冷た初桜 | 藤 英樹 |
法螺貝は模様で選ぶ花の山 | 木下洋子 |
花に酔ひ花の句に酔ふ一夜かな | 三玉一郎 |
宮滝の味噌を力に木の芽和 | きだりえこ |
うたた寝の花を醒まさむ鳥の恋 | 玉置陽子 |
思い出はかの日のままや花の宿 | 木下洋子 |
初花や今年の笠の出来いかに | 村松二本 |
山国や子守山守桜守 | 西川遊歩 |
明日開く莟の声や吉野山 | 高橋 慧 |
初つばめ花の奈落をすいすいと | 飛岡光枝 |
雲白し花なほ白し吉野山 | 玉置陽子 |
奈良漬に酔うて猩々花の宴 | 飛岡光枝 |
あ | |
31日 | |
きだりえこ選 | |
【特選】 | |
よべ莟なりしがけさは花の塵 | 長谷川櫂 |
南無権現われらもいつか吉野雛 | 長谷川櫂 |
それぞれの花びらを持て朝句会 | 花井 淳 |
また一人花の渚に座りけり | 飛岡光枝 |
空を這ひ花のびやかに枝垂れをり | 西川遊歩 |
【入選】 | |
昨日来し道はもうない花の句座 | 三玉一郎 |
杉箸の軽きを土産花の旅 | 稲垣雄二 |
熊の皮虫干ししをり初桜 | 藤 英樹 |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
今朝ほこと開く音する山桜 | ももたなおよ |
若鮎の干物ひらけば顔ふたつ | 宮本みさ子 |
花暮れて山のいづこに忘れ杖 | 長谷川櫂 |
ともしびに眠る白蛾や花の精 | 長谷川櫂 |
煮返して花の真闇の子鮎かな | 玉置陽子 |
一草の萌え立つ吉野宮の跡 | 西川遊歩 |
風の形いくつ変へるや花吹雪 | 越智淳子 |
あ | |
村松二本 | |
【特選】 | |
あをによし奈良の金魚の水温む | 飛岡光枝 |
佐保姫は花びらの湯をあふれしめ | 玉置陽子 |
南無権現われらもいつか吉野雛 | 長谷川櫂 |
花浴びて我も木花咲耶姫 | 玉置陽子 |
【入選】 | |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
目鼻なき木端仏も花のいろ | 玉置陽子 |
ともしびに眠る白蛾や花の精 | 長谷川櫂 |
吉野雛花の屏風にふぶきけり | 飛岡光枝 |
葛晒す桶も古りたり山桜 | 葛西美津子 |
鶯や天龍の歌聞かせてよ | きだりえこ |
あ | |
長谷川櫂 | |
【特選】 | |
佐保姫の鼾が揺らす吉野建 | 稲垣雄二 |
花浴びて我も木花咲耶姫 | 玉置陽子 |
葛晒す樽も古りたり山桜 | 葛西美津子 |
投げ入れて大甕に花ふぶきけり | 葛西美津子 |
黒髪を花の枕に沈めけり | 飛岡光枝 |
【入選】 | |
墨の香や花の句一句二十人 | ももたなおよ |
酢で締めて花にくもるや鯖一片 | 玉置陽子 |
春愁や晒して白き桜菓子 | 飛岡光枝 |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
空をゆく役行者か花ふぶき | 飛岡光枝 |
墨香る花の百句や吉野紙 | 飛岡光枝 |
み吉野の思へ出ひらく桜漬 | 木下洋子 |
咲きそめし幸の桜十二歳 | 木下洋子 |
のどけしや鬼が筆とる吉野紙 | きだりえこ |
奥千本かの日のままに花の杖 | 木下洋子 |
朝桜吉野の町の静けさよ | 上松美智子 |
一晩で一分開きぬ山桜 | 木下洋子 |
賽銭のごとんと落つる遅日かな | 村松二本 |