ネット投句(2023年12月15日)選句と選評
★印は特選
はしよること覚え掃除も年の暮 | 北海道 | 芳賀匙子 | |
枝々の千々に走れる冬の空 | 北海道 | 柳一斉 | |
ストーブにペタと押しつけスルメ焼く | 青森 | 清水俊夫 | |
父母は彼岸におはす除夜の鐘 | 宮城 | 長谷川冬虹 | |
赤テント半券三枚古日記 | 埼玉 | 園田靖彦 | |
へくそかずら花良し実良し名もしかり | 千葉 | 芦野アキミ | |
寛解のうれしき便り冬の虹 | 千葉 | 若土裕子 | |
新蕎麦を打ちて振る舞ふ嬉しさよ | 千葉 | 谷口正人 | |
日向ぼこ何かをじつと待つごとく | 千葉 | 池田祥子 | |
我が舎利の行方は何処空っ風 | 千葉 | 麻生十三 | |
数へ日や母に残る日あといくつ | 東京 | 神谷宣行 | |
冬ざれや小鳥飛び立つときは群れ | 東京 | 畠山奈於 | |
雑煮祝ふ万の病も息災に | 東京 | 櫻井滋 | |
両隣みな若者ら忘年会 | 神奈川 | 越智淳子 | |
一輪の力のかぎり返り花 | 神奈川 | 三浦イシ子 | |
雪女一人の男奪ひ合ふ | 神奈川 | 三玉一郎 | |
焼芋を畑の夫へこれが愛 | 神奈川 | 松井恭子 | |
雑巾のごと身を絞らるる寒さかな | 神奈川 | 島敏 | |
柚子の香を鼻さきに身を沈めたり | 神奈川 | 藤澤迪夫 | |
ぶかぶかの父のセーター着る母よ | 新潟 | 安藤文 | |
金銀で栄えし佐渡や山眠る | 新潟 | 安藤文 | |
流木の真白き骸冬に入る | 新潟 | 高橋慧 | |
父からの小さき観音煤払 | 富山 | 酒井きよみ | |
毛糸編むあとしばらくの待ち時間 | 石川 | 松川まさみ | |
凩に口笛の音定まらず | 石川 | 清水薫 | |
人間をかなり生きたり漱石忌 | 長野 | 金田伸一 | |
蒲柳の身生きて候としのくれ | 長野 | 金田伸一 | |
なほ若く老いをつづけん粥柱 | 長野 | 金田伸一 | |
焚付けの杉葉の香る冷えし朝 | 岐阜 | 古田之子 | |
雪女郎はだしで夜をさまよふか | 愛知 | 稲垣雄二 | |
冬麗や見開く天の大まなこ | 愛知 | 稲垣雄二 | |
★ | 連れて行けとクローゼットの冬帽子 | 愛知 | 臼杵政治 |
母と来し師走の匂ひ銀座線 | 愛知 | 臼杵政治 | |
★ | 怖きものなし八十のふくと汁 | 京都 | 氷室茉胡 |
捨てし恋捨てられし恋散紅葉 | 京都 | 氷室茉胡 | |
星屑を掻き集め行く熊手かな | 京都 | 氷室茉胡 | |
大土佐をまるごと擂らん生姜汁 | 大阪 | 安藤久美 | |
こわごわに胃カメラ検査雪紛い | 大阪 | 山中紅萼 | |
★ | 鴛鴦やいつか一人になる二人 | 兵庫 | 加藤百合子 |
鳴き砂に足跡いくつセロリ噛む | 兵庫 | 魚返みりん | |
眠る山起こさんばかり窯赤し | 兵庫 | 藤岡美恵子 | |
短日や落ちしボタンも付けぬまま | 兵庫 | 藤岡美恵子 | |
しぐるるや馬関海峡ひと跨ぎ | 兵庫 | 齊藤遼風 | |
★ | 浮き沈み見てきし赤いコートかな | 奈良 | きだりえこ |
★ | 戦乱の空たかだかと大根干す | 奈良 | きだりえこ |
★ | 大綿のどれが母やら子どもやら | 奈良 | きだりえこ |
空気など読まない夫と冬の夜 | 奈良 | 中野美津子 | |
花鳥の小径辿らむ蓬莱山 | 和歌山 | 玉置陽子 | |
球根へ頬よせ眠る蜥蜴かな | 和歌山 | 玉置陽子 | |
★ | 病みゐても句を詠む気力冬牡丹 | 岡山 | 北村和枝 |
ヘルパーに縋りをりけり年用意 | 岡山 | 北村和枝 | |
かばかりの管で生きをる海鼠かな | 岡山 | 齋藤嘉子 | |
手に手紙それも忘れて日向ぼこ | 岡山 | 齋藤嘉子 | |
秋篠寺冬田の道の尽きしとこ | 岡山 | 齋藤嘉子 | |
舷のごとき鎖骨や風邪心地 | 広島 | 森恵美子 | |
推敲す夫の褞袍を羽織りたる | 広島 | 森恵美子 | |
義母の骨抱いて墓へと枯るる中 | 長崎 | ももたなおよ | |
一臼は妻の実家へ餅を搗く | 長崎 | 川辺酸模 | |
遠き日の埋み火燻る夕べかな | 長崎 | 川辺酸模 | |
片足は現し世に置き冬籠 | 大分 | 竹中南行 | |
黄泉にても輪になりをらん落葉焚 | 大分 | 竹中南行 |