ネット投句(2023年4月15日)選句と選評
【特選】
隻眼をまた撫でてゐる遅日かな 愛知 青沼尾燈子
朝に一花夕に一花や桜漬 愛知 稲垣雄二
翻す水音重く春の鯉 奈良 きだりえこ
花の旅母亡きことの今更に 和歌山 玉置陽子
ここにまた恋の証の落し角 岡山 齋藤嘉子
剥がされて夢のさなかの栄螺かな 岡山 齋藤嘉子
もうゐないあなたに会ひし朝寝かな 長崎 川辺酸模
【入選】
天辺の閂外れ黄砂吹く 北海道 村田美鈴
まぼろしの駱駝が通るよなぐもり 北海道 芳賀匙子
片減りの通勤靴や鳥曇り 北海道 柳一斉
老女らの見上げる度のあっさくら 青森 清水俊夫
(納骨)一切は土に還らん花の寺 宮城 長谷川冬虹
日曜日鍋いつぱいに春キャベツ 宮城 長谷川冬虹
湯に入れて花菜の緑目覚めけり 埼玉 上田雅子
突然の兄との別れ春の山 千葉 若土裕子
入社式地平線まで飛行機雲 東京 岡田定
花終わりからすのえんどう覆ふ庭 神奈川 伊藤靖子
桜より解き放たれし吉野かな 神奈川 三玉一郎
花の山下りてきてまだ夢の中 神奈川 三玉一郎
九十のひとり暮らしや雛あられ 神奈川 那珂侑子
日輪の黄のあはあはと霾ぐもり 神奈川 片山ひろし
ミサイルの警戒警報霾れり 新潟 安藤文
しめやかにサティを弾く母花の昼 新潟 安藤文
寿美さんも桜花壇も花吹雪 新潟 高橋慧
浅間山黄砂纏へりわれもまた 東京 堀越としの
白山の水の精気に独活晒す 東京 神谷宣行
五指開くごとくに匂ひ辛夷咲く 長野 金田伸一
共白髪ともに大輪桜漬 愛知 稲垣雄二
今開く妻の大輪桜漬 愛知 稲垣雄二
春愁やちさき節ある竹の箸 京都 諏訪いほり
春爛漫孫と一緒にトランポリン 京都 氷室茉胡
心には折々のうた大岡忌 大阪 木下洋子
春風に吹かれてゆかん飛鳥寺 大阪 木下洋子
雪折れの初花仏間明るうす 兵庫 藤岡美恵子
この道に死者るいるいや花水木 奈良 柏木博
遅日かな点滅灯の点るビル 兵庫 髙見正樹
永き日や夕づくまでの畦歩き 香川 曽根崇
けふもまた兵士が死んで母子草 長崎 ももたなおよ