ネット投句年間賞(春)は柳さん
・年間賞
ずり落ちてこらへをるなり屋根の雪 北海道 柳一斉
【作者のコメント】
まさかこんなことになるとは思ってもいませんでした。櫂先生のネット句会に投句し続けた甲斐がありました。これからも精進を続けて投句したいと思います。櫂先生、ありがとうございました。
・次点
草餅やもはや返せぬ母の恩 神奈川 三浦イシ子
無一物なれど寿ぐ雑煮かな 千葉 麻生十三
・入選
寒餅や豆の抜けたる穴覗く 石川 密田妖子
母象の足の鉄球春遅し 京都 吉田千恵子
雪晴間一斉に出て雪を掻く 新潟 高橋慧
生と死を静かに分かつ白障子 愛知 稲垣雄二
われもまた人の形のおぼろかな 神奈川 三玉一郎
雛飾る指の先まで老いにけり 大阪 澤田美那子
春一番海と揉み合ふ大河かな 大分 竹中南行
子よりも先に泣きけり卒業歌 和歌山 玉置陽子
泥の穴指でまさぐる田螺取り 京都 佐々木まき
とりどりの自由ゆれをりチューリップ 長崎 川辺酸模
*歴代の年間賞
【2023年春】ずり落ちてこらへをるなり屋根の雪 柳一斉
【2022年冬】 歩み来る年は一人で歩む年 花井 淳
【2022年秋】 現世の唯一の重石原爆忌 竹中南行
【2022年夏】 七十余年隻眼で見る春の山 青沼尾燈子
【2022年春】 東京駅奥の奥まで春愁 安藤 文
【2021年冬】 綿虫の無より涌き出てさまよへり 夏井通江
【2021年秋】 いさかひし昔恥づかし墓洗ふ 川辺酸模
【2021年夏】 この初夏の素晴らしき日に何もせず 森徳典
【2021年春】 海流のぶつかる響き卒業歌 渡辺遊太
【2020年Ⅳ期】 初場所や発止と組んで花の色 齋藤嘉子
【2020年Ⅲ期】 たいくつはのつぺらぼうやマスクして 上田雅子
【2020年Ⅱ期】 したたかに生きてしわしわソーダ水 百田直代
【2020年Ⅰ期】 思想こそ国の柱よ竜の玉 山本桃潤
【2019年Ⅳ期】 さつきまで父母ゐた畳冬日差 渡辺遊太
【2019年Ⅲ期】 花木槿宇宙のすみに小さき家 夏井通江
【2019年Ⅱ期】 薩摩富士海より立ちて明易し 池田祥子
【2019年Ⅰ期】 即興の一生だった紅薔薇 柚木紀子
【2018年Ⅳ期 ちらちらと地球の骨の見えて冬 渡辺遊太
【2018年Ⅲ期】 ひるがえる奥は真暗き夏暖簾 長井亜紀
【2018年Ⅱ期】 萎えし手の母の手柄の豆ご飯 藤岡美惠子
【2018年Ⅰ期】 ひとつづつ仏の顔や種浸し 喜田りえこ
【2017年Ⅳ期】 ひきずつて親の思ひの千歳飴 澤田美那子
【2017年Ⅲ期】 海の底空の果てから土用波 越智淳子
【2017年Ⅱ期】 骨壺のそつと置かれる春の中 西川遊歩
【2017年Ⅰ期】 故郷の山に似た山餅を焼く 山本桃潤
【2016年後期】 水にあそび水にねむるや心太 長井亜紀
【2016年前期】 表より裏より風の来る団扇 井上じろ
【2015年後期】 秋といふ大きなうしろすがたかな 三玉一郎
【2015年前期】 春の野はまだかりぬひのひかりかな 松本邦吉
【2014年後期】 水打ちてみえざる炎しづめけり 岡崎陽市
【2014年前期】 初春がひとりの椀に来たりけり 加藤百合子
【2013年後期】 柳眉逆立て長き黒髪洗ひけり 佐々木まき
【2013年前期】 へそに置く団扇一本昼寝かな 神谷宣行
【2012年】 花からすうり惑星いつかまた集ふ 柚木紀子