ネット投句(2022年1月31日)選句と選評
【特選】 | ||
起きるかと我へ呟く寒さかな | 千葉 | 池田祥子 |
吊るさるる鮟鱇を見る鮟鱇 | 愛知 | 青沼尾燈子 |
老ゆるとも己が宇宙や犬の冬 | 愛知 | 青沼尾燈子 |
・に | ||
隙間風とはなつかしの桜花壇 | 京都 | 佐々木まき |
鬼は外などと言ふまい八十五 | 大阪 | 澤田美那子 |
鬼かなし人間かなし豆を打つ | 大阪 | 澤田美那子 |
終はりあることの嬉しさ卒業歌 | 兵庫 | 魚返みりん |
鮭が鮭に乗る川豊かなる大地 | 大分 | 山本桃潤 |
【入選】 | ||
加湿器のごぼりごぼりと枯野宿 | 北海道 | 高橋真樹子 |
流氷や水底の水動きをり | 北海道 | 高橋真樹子 |
探梅の聞き耳立ててしんがりに | 北海道 | 村田鈴音 |
大寒の河岸もろとも吼ゆるかな | 北海道 | 芳賀匙子 |
思ひ出てふやつかいなもの雪の降る | 北海道 | 柳一斉 |
寒稽古間合ひはかりて正対す | 宮城 | 長谷川冬虹 |
センダード賢治の街よ風花す | 宮城 | 長谷川冬虹 |
人生は一度切りなり絵双六 | 宮城 | 長谷川冬虹 |
餅花のなだれかかれる炎かな | 福島 | 渡辺遊太 |
・「なだれかかれる」が長いので炎が生きず。 | ||
柚子湯して柚子沈みける夜更けかな | 茨城 | 袖山富美江 |
・ける、ダメ | ||
島々を大きく照らす冬の空 | 茨城 | 袖山富美江 |
測量のリボンひらひら枯野道 | 茨城 | 馬場小零 |
肥えふとる氷柱に映る旭かな | 埼玉 | 園田靖彦 |
・長すぎ。理由は自分で考える。 | ||
探梅やはなれて一人海を見に | 埼玉 | 上田雅子 |
年の瀬や十歩の歩みに歓喜せり | 千葉 | 芦野アキミ |
・歩みて? | ||
節の豆手掴みの子や兄となる | 千葉 | 芦野アキミ |
・節の豆を手づかみせし子兄となる。なぜこうしないか。 | ||
春みつけしゃがみこみまた歩き出す | 千葉 | 菊地原弘美 |
春の戸より春の日差しが漏れ来たり | 千葉 | 菊地原弘美 |
・長すぎ。 | ||
窓を開けましょうと春の夢の人 | 千葉 | 菊地原弘美 |
蝋梅や嗚呼あの頃の庭の片 | 千葉 | 若土裕子 |
冬日向音なき部屋の我と椅子 | 千葉 | 谷口正人 |
大寒やドロドロ濁るオリーブ油 | 千葉 | 池田祥子 |
早起きの子の手に温し寒卵 | 千葉 | 麻生十三 |
かさこそと歩けば緑冬蕨 | 東京 | 岡田定 |
一月や道いっぱいの雪合戦 | 東京 | 小野早苗 |
日の当たるところが寒し雪だるま | 東京 | 神谷宣行 |
薄氷のひとひらこそが春の花 | 東京 | 神谷宣行 |
・理屈にならないように。 | ||
病院に動く歩道欲し梅の花 | 東京 | 長尾貴代 |
母倒れ私発病冬ざるる | 東京 | 長尾貴代 |
・我発病す | ||
病夫から感謝のことば明けの春 | 東京 | 畠山奈於 |
親の年羨む子らや年の豆 | 神奈川 | 越智淳子 |
・羨みし日よ | ||
山眠る篭編む人の黙深し | 神奈川 | 遠藤初惠 |
辛うじて梅一輪の日和かな | 神奈川 | 三浦イシ子 |
ありし日の友をとなりにおでん酒 | 神奈川 | 三浦イシ子 |
探梅や夢さながらに其処彼処 | 神奈川 | 三浦イシ子 |
石段の子ら鳥のごと春を待つ | 神奈川 | 松井恭子 |
キッチンの新しき椅子春隣 | 神奈川 | 水篠けいこ |
・に | ||
梅ひらくはつきりものを言ふ如く | 神奈川 | 中丸佳音 |
父母逝きて生家素通り小正月 | 神奈川 | 土屋春樹 |
恋人か新婚さんか初電車 | 神奈川 | 那珂侑子 |
浅春の売約済みの墓石かな | 神奈川 | 那珂侑子 |
・かな、ダメ。これでは他人事。 | ||
水餅や妻の苦労を忘るまじ | 神奈川 | 片山ひろし |
眠りこけ宇宙の果てへ炬燵かな | 新潟 | 安藤文 |
列島を襲ふ疫禍や今朝の雪 | 新潟 | 安藤文 |
冴ゆる月ロックダウンの街しづか | 新潟 | 安藤文 |
氷もち氷の花を炙りけり | 富山 | 酒井きよみ |
薄化粧欠かさぬ妻やなづな粥 | 長野 | 金田伸一 |
ストーブを焚いて出かける寒さかな | 長野 | 金田伸一 |
大寒や柴犬天寿全うす | 長野 | 大島一馬 |
鉄・鉄・鉄火に冬ふかみかも | 長野 | 柚木紀子 |
風の雪乱れ落ちくるホームかな | 岐阜 | 夏井通江 |
冬の鹿青木藪蘭喰うて行く | 岐阜 | 古田之子 |
薪焼べる虫のいのちももろともに | 岐阜 | 古田之子 |
魁の臘梅に苑馥郁と | 岐阜 | 三好政子 |
・苑、ダメ | ||
父の忌の雪に始まる読経かな | 岐阜 | 辻雅宏 |
竿先に寒鮒の沙汰待ちにけり | 岐阜 | 辻雅宏 |
ことばの道まつすぐ進め孫の春 | 愛知 | 稲垣雄二 |
残業の氷の机一人かな | 愛知 | 稲垣雄二 |
どどおてふあれは海鳴り寒留守居 | 愛知 | 宗石みずえ |
風破り木瓜の花芽のかがよへり | 愛知 | 服部紀子 |
妊婦には二つ食べさす寒卵 | 京都 | 氷室茉胡 |
長生きや子供に貰ふお年玉 | 京都 | 氷室茉胡 |
青き踏むわがふるさとはわが胸に | 大阪 | 安藤久美 |
寒き夜や酒で済むこと済まぬこと | 大阪 | 高角みつこ |
立春や茨木のり子の叱咤あり | 大阪 | 高角みつこ |
電線の雪棒状に落ちきたる | 大阪 | 内山薫 |
・たり | ||
盆梅の開ききつたる執念かな | 大阪 | 澤田美那子 |
家康が大根干したる関ケ原 | 大阪 | 齊藤遼風 |
・り | ||
逼迫のニュースに怯へ春を待つ | 兵庫 | 天野ミチ |
トンネルや笑う山から列車出づ | 兵庫 | 髙見正樹 |
東京の灯狐火ばかりかな | 奈良 | 喜田りえこ |
・東京の夜は | ||
臆病な春を引き出せ手力男命 | 奈良 | 喜田りえこ |
立春や畑に向かふ押し車 | 奈良 | 田原春 |
・に向かふ不要。畑へ | ||
猫に見ゆ虎もまたよし年賀状 | 広島 | 鈴木榮子 |
・る、必要 | ||
火の走る蔓ははがれて榾燃ゆる | 香川 | 曽根崇 |
十につき一粒でよし年の豆 | 長崎 | ももたなおよ |
寒晴れや肺に翳なし曇りなし | 長崎 | ももたなおよ |
黒文字の花をどさりと山の客 | 長崎 | 川辺酸模 |
・山の客? | ||
混迷のただ中なれば龍の玉 | 大分 | 竹中南行 |
・なれば? | ||
風花や出合ひてはやも四十年 | 大分 | 竹中南行 |
白雪や藍建つちからふくふくと | フランス | 廣瀬玲子 |
・白雪、ダメ | ||
うづ高き皮は蕪や京の路地 | フランス | 廣瀬玲子 |
・か |