ネット投句(2021年3月15日)選句と選評
・すでにある発想の句あまた。すべてボツにしたので例が挙げられません。
・いいかえただけではダメ。バレバレ。「雛あられ」→「はかなき夢」、逆も。
・リズムのダメな句もあまた。
・日本語に慣れてない人はご注意。日本に生まれ、毎日日本語を使っていても日本語は使えない。
【特選】
春禽のひかりとなりて飛び込み来 01_北海道 芳賀匙子
・春の鳥ひかりとなりて。原句の「春禽の」はただの説明であることに気づいてほしい。
海流のぶつかる響き卒業歌 07_福島 渡辺遊太
名乗りませ哀しみの死者達戻り寒 23_愛知 服部紀子
・達、不要。自分で気づかないと。
その日から私は何をしてきたか 23_愛知 服部紀子
・三・一一私は何を
先生のよき先生よ飴山忌 27_大阪 木下洋子
田の神の足跡小さき雪間かな 27_大阪 齊藤遼風
掻き寄せて結びしものよの小鳥の巣 28_兵庫 加藤百合子
・の、不要。「ものよ」→「ままの」
火の粉舞ふ闇のなかより春来たる 29_奈良 喜田りえこ
浜大根咲く東北へつづく海 37_香川 丸亀葉七子
白木蓮(はくれん)の空へみなぎる歓喜かな 42_長崎 川辺酸模
・白木蓮と歓喜が離れてはいけない。型に当てはめるからこんな句になる。空へみなぎる白木蓮の歓喜かな
【入選】
若狭井の一掬の水春の水 01_北海道 高橋真樹子
鮭飯寿司たべつくし樽春来る 01_北海道 高橋真樹子
・リズム、ダメ。
パレットに黄色溶かしつ蝶々来ぬ 01_北海道 村田鈴音
・ぬ、不要。これもリズム感欠如。
はだれ雪煉瓦の独房窓も無し 01_北海道 芳賀匙子
・の、不要。
雪解や風ここちよく眼を覚まし 01_北海道 柳一斉
・雪解の
下萌や更地の続く被災浜 04_宮城 長谷川冬虹
君らみな真つ直ぐ生きよ卒業歌 04_宮城 長谷川冬虹
女らは岩海苔掻けり地震の磯 05_秋田 佐藤一郎
ハイホーと歌ふ小人や木の根開く 05_秋田 佐藤一郎
野相撲や子に投げらるるのどかさよ 11_埼玉 園田靖彦
・や、ダメ。
新妻は牛の使ひ手春田鋤く 11_埼玉 園田靖彦
すこやかに自粛の日々や大朝寝 11_埼玉 松本邦吉
ポケットに折々のうた青き踏む 12_千葉 若土裕子
鋤鍬の納屋に古びて春田かな 12_千葉 麻生十三
映画館でて春昼の白き町 12_千葉 麻生十三
・この春昼は上五においてもいい。春昼や
初蝶がはじめて挑む強き風 13_東京 岡田定
野茨や幼き頃の通い路かな 13_東京 森徳典
・通ひ道に
朧なる月より朧なる地球 13_東京 長井亜紀
夫の手ががさりと春を掴みけり 13_東京 長井亜紀
・が、不要。
春をゆく亀の手足のゆらゆらと 13_東京 長井亜紀
うららかやデッキチェアを海の風 13_東京 楠原正光
水温むいつも一羽の鷺けふも 13_東京 畠山奈於
故郷の浜砂色の牡蛎届く 14_神奈川 伊藤靖子
春潮や親しきものでありし海 14_神奈川 遠藤初惠
大空にふれて下りくる春の蟻 14_神奈川 松井恭子
兄焚きし玉筋魚届き昼の酒 14_神奈川 土屋春樹
・届く
侵蝕の内灘砂丘鳥曇 17_石川 花井淳
・鳥曇がダメ。考える。
ことのほか高き馬の背風光る 17_石川 岩本展乎
老犬の鈍き動きもあたたかし 17_石川 岩本展乎
現れて初蝶ふつと幻に 17_石川 松川まさみ
ロボットと掃除を分かつ日永かな 20_長野 金田伸一
雨上がり木の芽全山微動せり 20_長野 大島一馬
雪解水軽やかにいざ田畑へ 20_長野 大島一馬
・田へ畑へ
津波か春闇鳴りつぱなしにクラクション 20_長野 柚木紀子
まつくろな爪の子供やよもぎ摘み 21_岐阜 古田之子
・子どもの爪や蓬摘む
梅の下ただただぼうと一日過ぐ 21_岐阜 古田之子
・梅の花ただ
蜥蜴出て背中温める真昼かな 21_岐阜 梅田恵美子
安らぎの暗闇へ雛納めけり 23_愛知 稲垣雄二
篠田桃紅(とうこう)の絶筆自在花筏 23_愛知 宗石みずえ
・篠田、不要。
葱坊主インターナショナル高らかに 23_愛知 青沼尾燈子
呼びかければ応ふる遺影暖かし 26_京都 氷室茉胡
をみな老いあら姦しや雛まつり 27_大阪 安藤久美
樋の先までも金閣鳥曇り 27_大阪 澤田美那子
・も、不要。
荘厳の闇を火の粉の修二会かな 28_兵庫 加藤百合子
十年や人それぞれに福島忌 28_兵庫 天野ミチ
・の
春の海頭を垂れて祈る人 28_兵庫 天野ミチ
あたたかや麦わら細工のこうのとり 28_兵庫 藤岡美惠子
・の、不要。
新しき運動靴に春の土 28_兵庫 髙見正樹
煌めきて五羽はをるらし春の鴨 29_奈良 田原春
壺焼の吹きこぼれつつ運ばれぬ 30_和歌山 玉置陽子
・運ばるる
黙祷のしじまへ落ちる椿かな 30_和歌山 玉置陽子
・落つる
伊予柑の香のあふれ立つ軍手かな 37_香川 曽根崇
・あふれ立つ、不要。
三月のまぶしき海よ無念さよ 42_長崎 川辺酸模
遠足よ帰らざるまま旅をして 44_大分 山本桃潤
・遠足の
火の山の神へ馳するや野火の群 44_大分 竹中南行
霾晦天上目指す死者の列 46_鹿児島 大西朝子