ネット投句(2021年2月15日)選句と選評
・なぜか全体として明らかに低調。
・説明精神にみちているのに、わからない句多し。
【特選】
一夜にて雪の浄土や光堂 04_宮城 長谷川冬虹
桃源に遊び惚ける春を待つ 07_福島 渡辺遊太
あんぱんの臍は爛漫桜漬け 13_東京 西川遊歩
愛の日やさほどならざる血糖値 20_長野 金田伸一
水仙の新芽をまたぐ朝の庭 24_三重 乾薫
入院の荷に入れてゆこうか仔猫 37_香川 丸亀葉七子
バレンタイン夫は小鳥に恋をする 42_長崎 ももたなおよ
たんぽぽや生みの労苦を母言はず 42_長崎 川辺酸模
【入選】
画仙紙の余白零るる君子蘭 01_北海道 村田鈴音
・れて
数の子を噛むや小さき幸の音 01_北海道 柳一斉
福寿草雪より光生れくる 01_北海道 柳一斉
春の地震十年経てもなほ余震 04_宮城 長谷川冬虹
神主の幣千切れ飛ぶ牧開き 11_埼玉 園田靖彦
・牧開き、からはじめる。にしても説明の句。
鯛焼きの熱きはらわたいただけり 11_埼玉 上田雅子
・きぬ
急須より茶の香り立つ春の午後 11_埼玉 湯浅寒葵
犬起きてまた眠るなり春うらら 11_埼玉 湯浅寒葵
涅槃会や亀立ち泳ぎゆらゆらと 11_埼玉 藤倉桂
会ふことの叶はざる日々雪しんしん 12_千葉 菊地原弘美
孫とよく遊びし父や蜆汁 12_千葉 若土裕子
梅つぼみ日がな一日見入りたし 12_千葉 谷口正人
すぐ沈む三日月淡し梅の花 12_千葉 池田祥子
・淡し、不要。
横揺れ長き地震や二月の闇に立つ 13_東京 岡恵
果樹園はむかし桑畑龍太の忌 13_東京 西川遊歩
朝粥を食べての後は冬ごもり 13_東京 猪飼篤
・の、は、不要。言葉で埋めてはいけない。
春立つやあからはじまるわが名あり 13_東京 長井亜紀
・かな
春寒や置かれたままのオートバイ 13_東京 楠原正光
梅一枝挿せばこの部屋しんとして 13_東京 堀越としの
・挿して、しづまりぬ
リハビリの一歩一歩や水温む 13_東京 櫻井滋
ハモニカ置きて春の海眺めけり 13_東京 齊藤拓
・春の海を上五か下五に。
きさらぎの空に山浮く龍太の忌 14_神奈川 越智淳子
・きさらぎ、不要。
近隣のめぐりにて足る梅見かな 14_神奈川 遠藤初惠
・近隣を、とはじめる。
早起きの空は三日月春の月 14_神奈川 森川ヨシ子
・春の三日月
海苔ひびを眼下に旅の終わりかな 14_神奈川 水篠けいこ
・は
誕生月二月しろがね吾が髪も 14_神奈川 中丸佳音
一旦は仕舞ひて出すや春炬燵 14_神奈川 那珂侑子
・出して
水平に雪の原垂直に立山 15_新潟 高橋慧
・構図だけを描かないように。
牛に乗り春がゆらゆら来たりけり 17_石川 松川まさみ
句集成るなにはともあれ年の酒 20_長野 金田伸一
温室のはこべをすこし七日粥 20_長野 金田伸一
さるすべり椎骨三十二、三本つやつや 20_長野 柚木紀子
山姥のもてなしの椀蕗の薹 21_岐阜 夏井通江
ふつと止み最後の息や花明り 23_愛知 宗石みずえ
・止む
オンライン雪が誘ふ句会かな 23_愛知 青沼尾燈子
野の梅の高きにありてただ一輪 23_愛知 野口優子
・にありて、が説明。描写を。
土塊をおこして移す水仙かな 24_三重 乾薫
遠目にも梅は偽りなき香り 26_京都 佐々木まき
春になり大地弛みて地震かな 28_兵庫 天野ミチ
水浴びの鳥の来ている四温かな 29_奈良 喜田りえこ