ネット投句(2021年1月31日)選句と選評
【特選】
冬薔薇亡き人にくる誕生日 14_神奈川 中丸佳音
・冬ばらや
寒風や草木もごみもきらきらす 21_岐阜 夏井通江
座禅して海鼠は人に突かれけり 23_愛知 稲垣雄二
年の豆孫が数へて呉れにけり 26_京都 佐々木まき
春はまだ見えぬか眼鏡かけ直す 27_大阪 高角みつこ
眉毛にもちらほら雪の茅舎かな 27_大阪 齊藤遼風
大寒と立ち向かう日の昼の酒 27_大阪 齊藤遼風
・ふ
お礼にと輝く大根提げて来し 37_香川 曽根崇
大雪や蒸気もくもく日本海 42_長崎 ももたなおよ
蠟梅の花より明けてゆく朝 42_長崎 ももたなおよ
端然と冬の影ある障子かな 44_大分 山本桃潤
ほほゑみの力をもつて粥柱 44_大分 竹中南行
【入選】
あすはまた雪となるらし寒椿 01_北海道 芳賀匙子
日溜りに命あたため寒雀 01_北海道 柳一斉
二階まで匂ふ源泉冬館 03_岩手 川村杳平
海幸彦山幸彦よ初茜 04_宮城 長谷川冬虹
室花や柩の窓をそつと閉づ 05_秋田 佐藤一郎
マスクばかり座つてをりぬ初電車 11_埼玉 上田雅子
これよりはかへる道なし枯野かな 12_千葉 麻生十三
・ここよりは、なき
わが庭にすぎたるものや龍の玉 12_千葉 麻生十三
室咲きや遅るる花の白の濃く 13_東京 市村さよみ
・白の濃く、では描写不全。
春立つや俳三昧の八十路哉 13_東京 森徳典
・立ちて
子の耳とおなじ冷たさ我の耳 13_東京 長井亜紀
ふるさとに鰭酒うまき一夜あり 13_東京 長井亜紀
・かな
本読みて曜日なき日々冬の虹 13_東京 長尾貴代
祖母逝きていつぱいの花籠に雪 13_東京 長尾貴代
何となく触って見たし猫柳 13_東京 楠原正光
・上五、再考を。つ
蝋梅や暮しのさまの見えぬ家 13_東京 畠山奈於
がさがさと栗鼠のろうぜき落ち椿 14_神奈川 遠藤初惠
・ひらがなで書くなら、らうぜき。辞書を。
不要不急のあれこれ想ひ春を待つ 14_神奈川 中丸佳音
探梅へまづは隣りの蕾より 14_神奈川 那珂侑子
・や
藁苞に雪残りをり冬牡丹 14_神奈川 片山ひろし
雪原に群れる鴉や何喰らふ 15_新潟 高橋慧
雪海苔や能登のおばあは無口なる 17_石川 花井淳
・なる、再考。
いきいきと龍太の句評日脚伸ぶ 17_石川 花井淳
厄災を覆ひ尽くせよ大雪よ 17_石川 岩本展乎
雪晴の加賀金箔の厠かな 17_石川 岩本展乎
凍てきはむ音は黄金(くがね)大地は茜 20_長野 柚木紀子
寒雀をふはりと心で抱きしめる 21_岐阜 夏井通江
・を、不要。
床を蹴る音の激しや寒げいこ 21_岐阜 古田之子
生駒なり野面に竹の寒晒し 21_岐阜 三好政子
狼とともに滅びしものは何 23_愛知 稲垣雄二
まづ酒を頼みて待たむ夜鳴蕎麦 23_愛知 臼杵政治
寒雀絡まるやうに蒼天へ 23_愛知 臼杵政治
雪だるま三つ並んだボンネツト 23_愛知 野口優子
柊挿す更に閂裏鬼門 26_京都 佐々木まき
・柊を挿して閂
日を浴びてふくら雀に金の暈 27_大阪 高角みつこ
?梅の万と咲くのを見尽くさん 27_大阪 高角みつこ
日当たれる一枝に白き梅一輪 27_大阪 内山薫
書初のうしの並ぶや天満宮 27_大阪 木下洋子
大寒も通勤電車窓開けて 27_大阪 木下洋子
神仏双子の孫の大試験 27_大阪 澤田美那子
時代また大きく曲り冬椿 27_大阪 澤田美那子
こん年は春待つ思ひ切実や 28_兵庫 天野ミチ
日一日手繰り寄せては春を待つ 28_兵庫 天野ミチ
眩しさは光の子なる冬芽かな 28_兵庫 藤岡美惠子
鬼役にいつかなる子よ鬼は外 28_兵庫 藤岡美惠子
太太と獨の一文字寒明忌 30_和歌山 玉置陽子
井手の水温か芹を摘みにけり 37_香川 丸亀葉七子
兄あれば寒餅たづさへ来る日和 37_香川 丸亀葉七子
白梅や師は端然と椅子にあり 37_香川 曽根崇
父の忌の墓に供へむ野水仙 42_長崎 川辺酸模
この国に無数の詩歌龍の玉 44_大分 竹中南行
臘梅や口の重さを詩にかへ 44_大分 竹中南行
凍滝や深閑たりき吾が心 44_大分 土谷眞理子