ネット投句(2021年1月15日)選句と選評
【特選】
冬木の芽だけが知つてる明日かな 14_神奈川 三玉一郎
餅花や喧嘩ばかりの三姉妹 14_神奈川 水篠けいこ
担がれて死人が踊る初芝居 14_神奈川 那珂侑子
お隣は若い家族や薺打つ 14_神奈川 那珂侑子
元日の平凡をこそ愛しけり 14_神奈川 片山ひろし
東京に寒といふ字の響きけり 14_神奈川 片山ひろし
大雪原誰も踏まぬ道真っ直ぐに 15_新潟 高橋慧
・誰も→まだ
搾り出す玉の一句を寒の水 15_新潟 安藤文
白昼の無音恐ろし雪激し 21_岐阜 三好政子
・大豪雪
これよりの月日おそろし初暦 21_岐阜 梅田恵美子
闇に鳴り凍てし鈴の音初参り 26_京都 前田重明
・闇に凍てたり神の鈴。原句ごちゃごちゃ。
雪兎一匹ほどの今朝の雪 27_大阪 澤田美那子
花びら餅うれしきことはひそやかに 27_大阪 澤田美那子
花びら餅子のひげづらもほころびぬ 28_兵庫 藤岡美惠子
牛のごとゆるやかに年新たなリ 28_兵庫 加藤百合子
臘梅の香ののぼりゆく御空あり 29_奈良 喜田りえこ
【入選】
湯気立てて友を迎へん蕪蒸 01_北海道 芳賀匙子
氷れる中一筋の滝ひかり落つ 04_宮城 長谷川冬虹
雪晴や菩薩の頭こそばいか 05_秋田 佐藤一郎
うつばりに梟眠る榾火かな 07_福島 渡辺遊太
・囲炉裏かな
早や嬉し句会の予定新暦 11_埼玉 上田雅子
父と見た山の峰々初日の出 11_埼玉 湯浅寒葵
しんしんと星々凍る音がする 12_千葉 若土裕子
・星の氷れる音すなり。ありありと。
一食を削りて買はむ千両かな 12_千葉 麻生十三
詠初や厠におきし唐詩選 12_千葉 麻生十三
・忘れ
通るたび鬼柚子に何か言ひにけり 13_東京 岡惠
・もの言ひにけり
バーグマンのかひな絡めり大白鳥 13_東京 市村さよみ
一抱へもある幸ひよ干蒲団 13_東京 市村さよみ
・も、不要。
腹熟し二駅歩き初詣 13_東京 森徳典
・歩く
我が蓬莱ひよつこりひようたん島にあり 13_東京 西川遊歩
凍星を飲んで病を治したし 13_東京 長井亜紀
・治すべし
山眠る線路の音がよくきこえ 13_東京 長井信彦
すずめにも重さあるらし枯葉ふむ 13_東京 長井信彦
・らん
亀なくや空き場所に貼る六百句 13_東京 楠原正光
・壁に貼りたる
ありがたき老いの食欲雑煮椀 13_東京 畠山奈於
今此処に在るといふこと初御空 13_東京 齊藤拓
亡き父の写真に向かい御慶かな 13_東京 齊藤拓
・ふ
初場所やがらんど廊下を勝力士 14_神奈川 越智淳子
初硯一滴の水の玉となり 14_神奈川 遠藤初惠
三が日花瓶の水を替へしのみ 14_神奈川 金澤道子
餅花や赤子抱かせてもらひをり 14_神奈川 金澤道子
・けり
鎌倉の路地たのしみて松七日 14_神奈川 金澤道子
・たのしまん
地蔵にも供へてありぬ鏡餅 14_神奈川 原田みる
オリオン座大きな氷柱垂らしけり 14_神奈川 三玉一郎
なづな打つ真剣にまた軽やかに 14_神奈川 松井恭子
地図になき道もよぎりて初詣 14_神奈川 松井恭子
・よぎりぬ
雑巾も箒も持たず三が日 14_神奈川 水篠けいこ
赤べこと親しくなりぬ七日かな 14_神奈川 那珂侑子
コロナ禍に負けじと喰らふ雑煮かな 15_新潟 安藤文
りんりんと母のピアノや冬籠り 15_新潟 安藤文
スチームのあつけらかんと部屋の隅 17_石川 花井淳
磨り切れてこそのジーンズ竜の玉 17_石川 花井淳
・竜の玉、再考。
鷹匠の腕の鷹やまどろみて 19_山梨 小泉雅恵
・腕に鷹はまどろめり
冬の大地まさりて水に茜融く 20_長野 柚木紀子
流氷ら沖ぞ指しゆく欠片のまんま 20_長野 柚木紀子
みかんの木畑の隅も日当たりぬ 21_岐阜 夏井通江
・に
籠り居も長し金魚は冬眠す 21_岐阜 三好政子
柊挿す病しこの世ををがみつつ 21_岐阜 梅田恵美子
手を伸ばし空に結ぶや初みくじ 23_愛知 稲垣雄二
我がまだ我である顔初鏡 23_愛知 稲垣雄二
胃袋の小さき二人や七日粥 23_愛知 臼杵政治
・二人へ
雑煮膳先ず地水火の神々へ 23_愛知 宗石みずえ
・まづ
七福神のやうに寄り添ふ若菜かな 23_愛知 青沼尾燈子
ゆく川の寒の水面は光かな 23_愛知 服部紀子
仮の世の我等の旅の遥けさよ 23_愛知 服部紀子
初日見に犬を起こすも大あくび 23_愛知 野口優子
給油する成人の日の乙女かな 24_三重 乾薫
初詣宮の石段こほりけり 24_三重 乾薫
初詣今年も夢を告げられず 24_三重 乾薫
雪嶺となりて頼もし愛宕山 26_京都 佐々木まき
初富士やマグマ秘めたるまま静か 26_京都 氷室茉胡
ぱんぱんの腹には双子春を待つ 26_京都 氷室茉胡
花びら餅雪の香りのほのかなる 27_大阪 安藤久美
負ひかねるもの負ひてゆく冬の道 27_大阪 内山薫
愚かさに打つ手はなきや冬将軍 27_大阪 内山薫
・なきか
頼もしき禅寺であり大根干す 27_大阪 澤田美那子
漱石に椀一杯の薺粥 27_大阪 齊藤遼風
・漱石へ
寒天を干すには良き日山家かな 27_大阪 齊藤遼風
冬ざれを住処としたる大鴉 28_兵庫 加藤百合子
・たり
日本の二音の言葉淑気満つ 28_兵庫 加藤百合子
肩越しに破魔矢の鈴の通り過ぐ 28_兵庫 千堂富子
歓声は幼とりたる初かるた 28_兵庫 藤岡美惠子
神棚の高くなりけり老いの春 28_兵庫 藤岡美惠子
首元へあぐるファスナー寒きびし 28_兵庫 髙見正樹
雪掻きや腰をいはすな風邪ひくな 29_奈良 喜田りえこ
左義長やみ熊野の風ただならず 30_和歌山 玉置陽子
一枝をくべ足して又冬耕す 37_香川 曽根崇
正月や寝太郎二年いな三年 42_長崎 ももたなおよ
吾子宿す命まぶしみ春を待つ 42_長崎 川辺酸模
地吹雪を渡る日輪エロスかな 44_大分 山本桃潤
コロナ禍に大雪降りぬ寝正月 44_大分 土谷眞理子