姫はじめの巻/名表九 再募集②
【名表】
六 チェーホフとその美しき妻 酸模(雑・恋)
七 木漏れ日の微笑みだけが残りけり 光枝(雑)
八 白露ゆるる夕顔の花 陽子(夏)
九
再募集。
夕顔の花のそばで
起こっていること。
【付句候補】
・⚪︎
・△
たつぷりの墨がしたたる筆の先(一郎)
怨霊の生臭き息首筋に(葛西美津子)
漆黒の蓋を返せば金蒔絵(まさみ)
・×
傍らに黒揚羽きて留まりぬ
泥濘に牛車はまりて儘ならぬ
就活のはや三割は内定し
子供にも在り処教えぬ松茸狩り
地震から早や二か月の給水車
片隅に幼なの位牌旅鞄
隠れ棲むとにはあれねど猫と我
始まりぬふたりの暮らし心太
慟哭を波が消し行く拉致の浜
行きずりの人と思へど涙落つ
沖泊の船へ漕ぎだす小さき灯
六尺の世界に遊ぶ蛍の火
黒髪の長きが故に妬まれて
夜の明けて君の素顔を見る朝
うた読みていまだ知らざる調べなり