容赦なく記憶白濁ゆきげかわ | 北海道 | 芳賀匙子 |
蝶が来る寄り道したりキスしたり | 千葉 | 木地隆 |
春惜しむ駿河台なる老ホテル | 東京 | 櫻井滋 |
能登の雛圧死焼死の別れあり | 富山 | 酒井きよみ |
初蝶は心ふるはせ大空へ | 岐阜 | 梅田恵美子 |
弟子にユダ居らず寝釈迦となり給ふ | 京都 | 氷室茉胡 |
五濁悪世おんひらひらと春の風 | 兵庫 | 加藤百合子 |
未来に僕はいますか明日も雪 | 兵庫 | 魚返みりん |
冴え返り洗濯ばさみ砕け散る | 奈良 | 中野美津子 |
原発に囲まれ眠る原発忌 | 奈良 | 中野美津子 |
この道や遥かなれども青き踏む | 広島 | 森恵美子 |
古志広島ズーム句会(2024年4月7日)
第一句座 | |
・矢野京子選 | |
【特選】 | |
雨降れば雨の桜を観に行かん | 原京子 |
一切は花の屏風の中にあり | 長谷川櫂 |
花ふぶきはらはら時をこぼしけり | 夏井通江 |
鬼太鼓(おんでこ)のどんどこ佐渡の桜かな | 大場梅子 |
鯖鮓の棒一本の花ぐもり | 長谷川櫂 |
【入選】 | |
ランドセルに手と足が生え一年生 | 石塚純子 |
誰が植ゑしこの一本の山桜 | 斉藤真知子 |
迂闊にも鬼に捕まる花の酒 | ももたなおよ |
西郷の陣屋のあとか諸葛菜 | 今村榾火 |
妖のものも行き交ふ夕桜 | 瑞木綾乃 |
気分よく渡る石橋杜若 | 加藤裕子 |
お茶漬に昆布ひとひら花の昼 | 神戸秀子 |
金泥をまとひて帰る鶴の群れ | 菅谷和子 |
土もたげアルプスまぶしつくしんぼ | 石塚純子 |
あ | |
・長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
春攪乱子は白昼の手術台 | 今村榾火 |
夕さればちちはは在す花筵 | 矢田民也 |
お茶漬に昆布ひとひら花の昼 | 神戸秀子 |
あの川も一夜二夜と花筏 | 大平佳余子 |
春愁や揃ひのものは欠けやすく | 矢田民也 |
【入選】 | |
ふり向けばすでに母校よ卒業す | 神戸秀子 |
頁めくる指先春の愁ひかな | 安藤文 |
共に生き五十二年の桜かな | 大場梅子 |
如意輪寺ながめつ熱き桜湯を | 大平佳余子 |
花筏あはきひかりをのせ流る | 矢田民也 |
したたかに花に溺れん花の酒 | 矢野京子 |
嫁菜飯握つて夫を誘ひ出す | 神戸秀子 |
鬼太鼓(おんでこ)のどんどこ佐渡の桜かな | 大場梅子 |
金泥をまとひて帰る鶴の群れ | 菅谷和子 |
野の梅を手折りてかへる利休の忌 | 菅谷和子 |
花便り一日一日開きゆく | 上松美智子 |
蝌蚪いまだ蛙になると知らざりき | 斉藤真知子 |
あ | |
第二句座(席題:桜鯛、蝶生る) | |
・矢野京子選 | |
【特選】 | |
恋文が天から降りて蝶生まる | ストーン睦美 |
桜鯛漁師のうたふ祝ひ唄 | 高橋真樹子 |
捌きをる腸ぬくし桜鯛 | 斉藤真知子 |
【入選】 | |
母癒えて一箸つける桜鯛 | 菅谷和子 |
桜鯛青き涙をこぼしけり | 岡村美沙子 |
身も心も花に染まりぬ桜鯛 | 長谷川櫂 |
蝶生れてやすみやすみにとぶことよ | 菅谷和子 |
笑ひだすキャベツ畑や蝶生る | 大平佳余子 |
瀬戸内の煌めきまとひ桜鯛 | 高橋真樹子 |
あ | |
・長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
母癒えて一箸つける桜鯛 | 菅谷和子 |
うつくしき御目いただく桜鯛 | 金田伸一 |
桜鯛長生き嘆くことなかれ | 矢野京子 |
笑ひだすキャベツ畑や蝶生る | 大平佳余子 |
捌きをる腸ぬくし桜鯛 | 斉藤真知子 |
【入選】 | |
桜鯛うろこまことに花のごと | 夏井通江 |
桜鯛子鯛孫鯛とこしなへ | 矢野京子 |
蝶生まれ沈没船の帆を目指す | 岡村美沙子 |
蝶生れてやすみやすみにとぶことよ | 菅谷和子 |
睨まれて包丁止まる桜鯛 | 斉藤真知子 |
いっさいの光纏ひて蝶生る | ももたなおよ |
わが里の花の遅さや桜鯛 | 金田伸一 |
蝶生れ直ちに宙に羽根開く | 瑞木綾乃 |
瀬戸内の煌めきまとひ桜鯛 | 高橋真樹子 |
桜鯛もらつてさばく一大事 | 夏井通江 |
花の吉野句会(2024年3月30日、31日)
3月30日
きだりえこ選 | |
【特選】 | |
法螺貝は模様で選ぶ花の山 | 木下洋子 |
へうたんをぬけ出し花の吉野山 | 村松二本 |
満開の花の句座こそ一大事 | 田村史生 |
たれか捨てたれか拾ひぬ花の杖 | 長谷川櫂 |
花一分俳句ごくらく吉野山 | 川村杳平 |
【入選】 | |
ととのへて桜花待つ吉野杉 | 花井 淳 |
明日ひらく脈打つ花の蕾かな | 西川遊歩 |
むずむずとこの世へ生るる袋角 | 村松二本 |
をろをろと花を探すや吉野山 | 飛岡光枝 |
み吉野に焦がれて今宵花の句座 | 葛西美津子 |
せりせりと虚空を濯ぐ桜かな | 玉置陽子 |
それでもなほ人を見捨てず桜かな | 玉置陽子 |
村松二本選 | |
【特選】 | |
をろをろと花を探すや吉野山 | 飛岡光枝 |
せりせりと虚空を濯ぐ桜かな | 玉置陽子 |
花の塵積もりて吉野山歳時記 | 飛岡光枝 |
花一枝腹の裂けたる備前壺 | 飛岡光枝 |
今朝息を整へてゐるさくらかな | きだりえこ |
【入選】 | |
かをらせて永遠に幸の桜かな | きだりえこ |
初花やこの木の気息確かむる | 谷村和華子 |
昼酒や花の蕾の天女魚焼く | 稲垣雄二 |
巻き上げし屏風ひらけば花の満つ | 谷村和華子 |
吉野雛杉の柾目の深々と | 飛岡光枝 |
思ひ出はかの日のままや花の宿 | 木下洋子 |
足踏みの花追ひ越して金峯山 | 田村史生 |
宮滝へ水が水押す桜かな | 葛西美津子 |
明日開く莟の声や吉野山 | 高橋 慧 |
満開の花の句座こそ一大事 | 田村史生 |
雲白し花なほ白し吉野山 | 玉置陽子 |
あ | |
長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
花冷えやささらで洗ふ鉄の鍋 | 西川遊歩 |
花を呼ぶ法螺よ太鼓よ蔵王堂 | 田村史生 |
唇に大吟醸や花ひらく | 村松二本 |
花一輪静御前の桜かな | 高橋 慧 |
花の塵積もりて吉野山歳時記 | 飛岡光枝 |
笊に歌貼つて迎へる花の宿 | 稲垣雄二 |
花一枝腹の裂けたる備前壺 | 飛岡光枝 |
陀羅尼助頼みし人も花の塵 | 飛岡光枝 |
花の宿一つ朽ちゆく花の中 | 稲垣雄二 |
花はまだでござりますると蟇 | 田村史生 |
柿の葉鮓包みて花の鯛一片 | 稲垣雄二 |
春の宵木の香を競ふ製材所 | 田村史生 |
花びらで繕ふ障子花の宿 | 宮本みさ子 |
花は今日白の奈落といふべしや | きだりえこ |
【入選】 | |
吉野山枡は桧や花の酒 | 稲垣雄二 |
さびさびと夕鶯や吉野山 | 飛岡光枝 |
み吉野の花の句会よ二十年 | 木下洋子 |
み吉野や白く儚き桜菓子 | 木下洋子 |
象川の水まだ冷た初桜 | 藤 英樹 |
法螺貝は模様で選ぶ花の山 | 木下洋子 |
花に酔ひ花の句に酔ふ一夜かな | 三玉一郎 |
宮滝の味噌を力に木の芽和 | きだりえこ |
うたた寝の花を醒まさむ鳥の恋 | 玉置陽子 |
思い出はかの日のままや花の宿 | 木下洋子 |
初花や今年の笠の出来いかに | 村松二本 |
山国や子守山守桜守 | 西川遊歩 |
明日開く莟の声や吉野山 | 高橋 慧 |
初つばめ花の奈落をすいすいと | 飛岡光枝 |
雲白し花なほ白し吉野山 | 玉置陽子 |
奈良漬に酔うて猩々花の宴 | 飛岡光枝 |
あ | |
31日 | |
きだりえこ選 | |
【特選】 | |
よべ莟なりしがけさは花の塵 | 長谷川櫂 |
南無権現われらもいつか吉野雛 | 長谷川櫂 |
それぞれの花びらを持て朝句会 | 花井 淳 |
また一人花の渚に座りけり | 飛岡光枝 |
空を這ひ花のびやかに枝垂れをり | 西川遊歩 |
【入選】 | |
昨日来し道はもうない花の句座 | 三玉一郎 |
杉箸の軽きを土産花の旅 | 稲垣雄二 |
熊の皮虫干ししをり初桜 | 藤 英樹 |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
今朝ほこと開く音する山桜 | ももたなおよ |
若鮎の干物ひらけば顔ふたつ | 宮本みさ子 |
花暮れて山のいづこに忘れ杖 | 長谷川櫂 |
ともしびに眠る白蛾や花の精 | 長谷川櫂 |
煮返して花の真闇の子鮎かな | 玉置陽子 |
一草の萌え立つ吉野宮の跡 | 西川遊歩 |
風の形いくつ変へるや花吹雪 | 越智淳子 |
あ | |
村松二本 | |
【特選】 | |
あをによし奈良の金魚の水温む | 飛岡光枝 |
佐保姫は花びらの湯をあふれしめ | 玉置陽子 |
南無権現われらもいつか吉野雛 | 長谷川櫂 |
花浴びて我も木花咲耶姫 | 玉置陽子 |
【入選】 | |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
目鼻なき木端仏も花のいろ | 玉置陽子 |
ともしびに眠る白蛾や花の精 | 長谷川櫂 |
吉野雛花の屏風にふぶきけり | 飛岡光枝 |
葛晒す桶も古りたり山桜 | 葛西美津子 |
鶯や天龍の歌聞かせてよ | きだりえこ |
あ | |
長谷川櫂 | |
【特選】 | |
佐保姫の鼾が揺らす吉野建 | 稲垣雄二 |
花浴びて我も木花咲耶姫 | 玉置陽子 |
葛晒す樽も古りたり山桜 | 葛西美津子 |
投げ入れて大甕に花ふぶきけり | 葛西美津子 |
黒髪を花の枕に沈めけり | 飛岡光枝 |
【入選】 | |
墨の香や花の句一句二十人 | ももたなおよ |
酢で締めて花にくもるや鯖一片 | 玉置陽子 |
春愁や晒して白き桜菓子 | 飛岡光枝 |
けふのこの句座も終れば花の塵 | 三玉一郎 |
空をゆく役行者か花ふぶき | 飛岡光枝 |
墨香る花の百句や吉野紙 | 飛岡光枝 |
み吉野の思へ出ひらく桜漬 | 木下洋子 |
咲きそめし幸の桜十二歳 | 木下洋子 |
のどけしや鬼が筆とる吉野紙 | きだりえこ |
奥千本かの日のままに花の杖 | 木下洋子 |
朝桜吉野の町の静けさよ | 上松美智子 |
一晩で一分開きぬ山桜 | 木下洋子 |
賽銭のごとんと落つる遅日かな | 村松二本 |
ネット投句(2024年2月15日)特選
あかぎれは砲弾の傷より痛し | 東京 | 岡田定 |
浮きが揺れ影また揺れて長閑かな | 神奈川 | 臼杵政治 |
鬼やらひ能登の鬼ども生きとるか | 富山 | 酒井きよみ |
さてもなほ火を持たせんか春暖炉 | 長野 | 金田伸一 |
幾筋かは恋の通ひ路田螺径 | 京都 | 氷室茉胡 |
水仙のその雪の香を手向けけり | 大阪 | 安藤久美 |
北陸の女の指に水温む | 奈良 | 中野美津子 |
痛苦とは生あるあかし春時雨 | 岡山 | 北村和枝 |
百の春死ぬることさへ母忘る | 長崎 | 川辺酸模 |
春大根提げて和尚は歩行禅 | 大分 | 山本桃潤 |
読売新聞「四季」のこころを語る 4月6日
2004年4月1日に始まった読売新聞朝刊2面の連載コラム「四季」。この4月で連載20周年を迎えます。俳句・短歌・詩の一節など、古典から現代の作品まで俳人・長谷川櫂さんの文章が、読売新聞カメラマンが撮影した季節感あふれる写真とともに、毎日掲載されています。
今回、その連載20周年を記念して長谷川さんに「四季」連載において、作品を選ぶ時の背景や苦労などのエピソードを語っていただきます。
会場受講者には、連載を書籍化した「四季のうた」シリーズ第16集「井戸端会議の文学」(中公文庫)をプレゼントします。
なお、当日会場で4月10日発売予定の『長谷川櫂自選500句』(朔出版)を受講者に先行販売、サイン会を開きます。
オンラインで受講を希望される方は、こちらからお申し込みください。
日時 | 4/6 土曜日 14:00~15:30 ホームページからのお申し込みは、受講日の1日前までとなります。 |
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受講料 | 会員 1回 2,750円(うち消費税額250円) 一般 1回 2,750円(うち消費税額250円) |
維持費 | 220円 |
ご案内 | ・Zoomミーティンを使用します。お名前と受講者側のカメラとマイクが共有されます。 ・当日は15分前から入室できます。 ・お客様の通信環境に伴う障害や不具合に関して当社は責任を負いかねます。 ・申し込み後、自動返信メールで出席用のURLをお知らせします。 メールが届かない場合はonline@ync.ne.jpにご連絡ください。 ・Zoomのソフトウエアは最新版にアップデートをお願いします。 |
また、会場と同じ3階ギャラリー(東京・大手町)では、4月2日(火)~5月10日(金)(入場無料。午前10時~午後7時。土曜日は午後5時まで。日祝日は休み)まで、「読売新聞創刊150周年記念企画~朝刊詩歌コラム『四季』連載20周年記念展」を開催します。
いどばた歌仙「飛梅」「さへずり」スタート! 近く「善哉」も
誰でも参加できる「いどばた歌仙」のうちコードネーム「飛梅」と「さへずり」がはじま理ました。捌きは飛岡光枝さんと村松二本さんです。
4月14日からは木下洋子さん捌きの「いどばた歌仙」コードネーム「善哉」もはじまります。
どれも古志以外の人でも無料で参加できます。参加希望者は右の参加フォームからお知らせください。
日本近代文学館『慟哭3・11』刊行
『慟哭3・11 東日本大震災 文学館からのメッセージ』(日本近代文学館編)が刊行されました。
巨大地震、大津波、放射能汚染。文学館が集めた詩人、歌人、俳人の書の集成です。青土社、2200円(税別)
古志仙台ズーム句会(2024年3月24日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
揚雲雀むかし多賀城ありし跡 平尾 福
呆けたる我を乗せゆく春の雲 上村幸三
鳴くことも叶はぬ国へ雁帰る 武藤主明
のびのびと産土遊べ初燕 川辺酸模
【入選】
椴松や親指ほどの芽吹きあり 臼杵政治
百歳になつても三月三日かな 那珂侑子
ひた走る数千キロや西行忌 川村杳平
霾るや僧玄奘の道難儀 石川桃瑪
窯開けのその朝ひとつ初桜 齋藤嘉子
白木蓮咲き満ち空に来迎図 齋藤嘉子
春と春ぶつかり合うて春一番 三玉一郎
蛇一匹わけ知り顔に穴を出づ 服部尚子
長谷川櫂選(推敲例)
【特々選】
春愁やつつけば閉ざす貝の口 佐伯律子
生きて拝む東日本大震災忌 宮本みさ子
【特選】
避難所のホール響す卒業歌 川辺酸模
一艘の舳先がひらく水の春 上村幸三
泥の田に腹ごしらへて鳥帰る 及川由美子
【入選】
被災せし町の傍ら苗木市 川辺酸模
春彼岸吹雪の墓へ詣でけり 川村杳平
ぬくもりの母の手放し入学す 川辺酸模
冷凍のぼたもち供へ春彼岸 阿部けいこ
春風の翼よ赤子歩き初む 齋藤嘉子
白木蓮咲き満ち空は来迎図 齋藤嘉子
みちのくの嘆きつづける桜かな 青沼尾燈子
揚ひばり隣のひばり茶化しをり 佐伯律子
第二句座(席題:しやぼん玉、初蝶、蓬)
長谷川冬虹選
【特選】
初蝶とぶ野原はありやガザの地に 服部尚子
吾子のゐるかの世へ飛ばすしやぼん玉 齋藤嘉子
太陽を閉じ込めてゐるシャボン玉 齋藤嘉子
バンクシーガザに描けよしやぼん玉 川辺酸模
【入選】
紋白蝶蕊深く翅ふるへをり 谷村和華子
さ迷へる地球は青きしやぼん玉 武藤主明
初蝶や半世紀過ぐ初任の地 川村杳平
初蝶のたれか探してゐるごとく 青沼尾燈子
セシウムやわが田畑は蓬生に 齋藤嘉子
病む子へと伯母が得意の蓬餅 及川由美子
きかん坊の兄追ひかける石鹸玉 佐伯律子
重たくてゆつくり回る石鹸玉 上村幸三
タワマンの上から一つシャボン玉 服部尚子
長谷川櫂選
【特選】
重たくてゆつくり回る石鹸玉 上村幸三
【入選】
シャボン玉陽気な風がやつて来る 平尾 福
初蝶のたれか探してゐるごとく 青沼尾燈子
初蝶の絡まりながら消えにけり 武藤主明
初蝶は風塵にして自在なる 及川由美子
初蝶やつれなき風に右ひだり 川辺酸模
『自選500句』の感想、お送りください。
『長谷川櫂自選500句』の感想を右サイドの「お問い合せ」から事務局へお送りください。お名前を明記してください。選考して掲載します。
@
『長谷川櫂自選500句』が4月10日(水)に発売されました。たくさんの事前予約をいただきました。サインをして版元の朔出版からお送りしますので、しばらくお待ちください。なお今後もお申し込みいただいた方にはサインをしてお送りします。
下の予約欄に①住所、郵便番号②氏名③電話番号を明記のうえ、お申し込みください。代金+送料は請求書に同封されます。お受け取り後に振り込んでください。
@
内容は句集『古志』から『太陽の門』までの自選500句、エッセイ「封印」、青木亮人さんによる解説、自筆年譜、索引など。装丁は水戸部功さん。送料を含めて2700円の予定です。
古志金沢ズーム句会(2024年3月17日)
第一句座
飴山忌または当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
座礁せし船のごとくに春来たり 長谷川櫂
草餅はどつしりとあり師に師あり 間宮伸子
触れたきはことばの肌飴山忌 松川まさみ
鬼の腕ぬつとあらはる霾ぐもり 泉早苗
鎮魂のサイレン響く春の海 梅田恵美子
春の海打ち寄せ「四季」は七千回 近藤沙羅
早蕨となりことば立つ飴山忌 稲垣雄二
しんしんと麹生きをり飴山忌 安藤久美
酒蔵へ汽車で分け入る飴山忌 藤倉桂
大いなる翼かくせる春の月 趙栄順
白山の真さをに光る春の雪 宮田勝
飴山忌がれきの中の漆桶 泉早苗
【入選】
路地を行く日和の声や花ミモザ 藤倉桂
飴山忌四高雑誌にその名読む 清水薫
京に来て京の風花知りにけり 密田妖子
實忌のその日小松に新幹線 清水薫
健やかなまなこ育てむ飴山忌 川上あきこ
白山の風もあそべや雪柳 安藤久美
飴山忌展宏魚目語らふか 花井淳
蛇出でよ草もととのふ大地あり 橋詰育子
飴山忌国原の春動き出す 酒井きよみ
白山の雪の精霊花麹 安藤久美
何もかも忘れし紙の雛かな 長谷川櫂
おりいぶは太陽が好き飴山忌 田中紫春
能登いまだかすみの中をさまよへる 酒井きよみ
真つ直ぐに言葉重ねむ飴山忌 藤倉桂
錯乱のこの世にありて草の餅 松川まさみ
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
椿から椿へ風の鵯は 近藤沙羅
種芋を日にあててをり實の忌 酒井きよみ
桜餅墓前に二つ實の忌 清水薫
【入選】
實忌の木の芽雨聴く床の中 玉置陽子
餡かけの白山とうふ飴山忌 泉早苗
夕空に白山しんと飴山忌 越智淳子
しんしんと麹生きをり飴山忌 安藤久美
おりいぶは太陽が好き飴山忌 田中紫春
大き目の子雀あそぶ實の忌 飛岡光枝
もろ蓋に眠る麹や飴山忌 玉置陽子
飴山忌がれきの中の漆桶 泉早苗
第二句座
席題:「春の月」、「蜂」
・鬼川こまち選
【特選】
人の世の後ろにそつと春の月 梅田恵美子
春の月地上は未だ殺し合ひ 山本桃潤
俳諧のみちのはるけさ春の月 宮田勝
高空から一片の花熊ん蜂 酒井きよみ
蜜蜂を招き狂はす花ミモザ 藤倉桂
遥かなる師を思ひけり春の月 橋詰育子
青年の耳朶の紅潮春の月 松川まさみ
子のお産手伝ひ明けて春の月 間宮伸子
【入選】
蜜蜂や花粉黄金に馥郁と 越智淳子
春月のぽつてり甘き雫かな 松川まさみ
避難所から一歩寄り添ふ春の月 花井淳
まきさんの忌日大きな春の月 趙栄順
摩天楼の街を濡らして春の月 山本桃潤
花もぐる逆さの尻や熊ん蜂 梅田恵美子
すずめ蜂無抵抗の吾を見逃せり 密田 妖子
春の月果実のごとく香るかな 趙栄順
蜂の子を食つて鬼舞ふ奥三河 稲垣雄二
橄欖の蜜蜂の巣を盗みけり 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
はんざきの卵木箱に春の月 藤倉桂
春月やがれきに混じる鬼の腕 安藤久美
夕暮れのまだ花めぐる熊ん蜂 酒井きよみ
【入選】
蜂の巣のひつそりとして怖ろしき 趙栄順
酒蔵を守る蜂の巣大いなる 飛岡光枝
まきさんの忌日大きな春の月 趙栄順