古志金沢ズーム句会(2024年3月17日)
第一句座
飴山忌または当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
座礁せし船のごとくに春来たり 長谷川櫂
草餅はどつしりとあり師に師あり 間宮伸子
触れたきはことばの肌飴山忌 松川まさみ
鬼の腕ぬつとあらはる霾ぐもり 泉早苗
鎮魂のサイレン響く春の海 梅田恵美子
春の海打ち寄せ「四季」は七千回 近藤沙羅
早蕨となりことば立つ飴山忌 稲垣雄二
しんしんと麹生きをり飴山忌 安藤久美
酒蔵へ汽車で分け入る飴山忌 藤倉桂
大いなる翼かくせる春の月 趙栄順
白山の真さをに光る春の雪 宮田勝
飴山忌がれきの中の漆桶 泉早苗
【入選】
路地を行く日和の声や花ミモザ 藤倉桂
飴山忌四高雑誌にその名読む 清水薫
京に来て京の風花知りにけり 密田妖子
實忌のその日小松に新幹線 清水薫
健やかなまなこ育てむ飴山忌 川上あきこ
白山の風もあそべや雪柳 安藤久美
飴山忌展宏魚目語らふか 花井淳
蛇出でよ草もととのふ大地あり 橋詰育子
飴山忌国原の春動き出す 酒井きよみ
白山の雪の精霊花麹 安藤久美
何もかも忘れし紙の雛かな 長谷川櫂
おりいぶは太陽が好き飴山忌 田中紫春
能登いまだかすみの中をさまよへる 酒井きよみ
真つ直ぐに言葉重ねむ飴山忌 藤倉桂
錯乱のこの世にありて草の餅 松川まさみ
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
椿から椿へ風の鵯は 近藤沙羅
種芋を日にあててをり實の忌 酒井きよみ
桜餅墓前に二つ實の忌 清水薫
【入選】
實忌の木の芽雨聴く床の中 玉置陽子
餡かけの白山とうふ飴山忌 泉早苗
夕空に白山しんと飴山忌 越智淳子
しんしんと麹生きをり飴山忌 安藤久美
おりいぶは太陽が好き飴山忌 田中紫春
大き目の子雀あそぶ實の忌 飛岡光枝
もろ蓋に眠る麹や飴山忌 玉置陽子
飴山忌がれきの中の漆桶 泉早苗
第二句座
席題:「春の月」、「蜂」
・鬼川こまち選
【特選】
人の世の後ろにそつと春の月 梅田恵美子
春の月地上は未だ殺し合ひ 山本桃潤
俳諧のみちのはるけさ春の月 宮田勝
高空から一片の花熊ん蜂 酒井きよみ
蜜蜂を招き狂はす花ミモザ 藤倉桂
遥かなる師を思ひけり春の月 橋詰育子
青年の耳朶の紅潮春の月 松川まさみ
子のお産手伝ひ明けて春の月 間宮伸子
【入選】
蜜蜂や花粉黄金に馥郁と 越智淳子
春月のぽつてり甘き雫かな 松川まさみ
避難所から一歩寄り添ふ春の月 花井淳
まきさんの忌日大きな春の月 趙栄順
摩天楼の街を濡らして春の月 山本桃潤
花もぐる逆さの尻や熊ん蜂 梅田恵美子
すずめ蜂無抵抗の吾を見逃せり 密田 妖子
春の月果実のごとく香るかな 趙栄順
蜂の子を食つて鬼舞ふ奥三河 稲垣雄二
橄欖の蜜蜂の巣を盗みけり 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
はんざきの卵木箱に春の月 藤倉桂
春月やがれきに混じる鬼の腕 安藤久美
夕暮れのまだ花めぐる熊ん蜂 酒井きよみ
【入選】
蜂の巣のひつそりとして怖ろしき 趙栄順
酒蔵を守る蜂の巣大いなる 飛岡光枝
まきさんの忌日大きな春の月 趙栄順