「俳句」(KADOKAWA)新年号の新春詠「広島」7句が載っています。
「俳句界」12月号は一茶特集
「俳句界」(文学の森)12月号は一茶特集です。小稿「近代俳句は一茶からはじまる」。
『「折々のうた」選』俳句二もできました
『「折々のうた」選』俳句二(岩波新書)ができました。俳句を暗唱するための本です。俳句一と合わせて600句、空でいえるように。
ネット投句(2019年12月15日)特選と選評
・日本語の基本的なこと、できていない人多し。
・それを理屈(理論)でなく、直感でわかるようにしてください。
・何が何して何とやら、はダメ。報告であったり説明であったり、つまり理屈だから。
・『「折々のうた」選』600句、百人一首のように暗唱してくだい。
・今年はもう一回!
【特選】
凍滝や朝日に蒼く触れてをり 01_北海道 高橋真樹子
思ふさま枯れはてて人思ふ冬 01_北海道 芳賀匙子
さつきまで父母ゐた畳冬日差 07_福島 渡辺遊太
君のゐる向かひのホーム冬うらら 12_千葉 菊地原弘美
一本の枯木となりて守るもの 14_神奈川 三玉一郎
見果てぬ夢のせて年逝く神田川 14_神奈川 中丸佳音
黙々と昨日のままや冬の川 22_静岡 池ケ谷章吾
露の世に余りある日よ日向ぼこ 27_大阪 古味瑳楓
焼芋屋一筋向かふに居るらしき 27_大阪 高角みつこ
すさまじき葉の勢ひや大根太る 28_兵庫 藤岡美惠子
逝きし名の並ぶ名簿や賀状書く 37_香川 そねたかし
真赤なり日陰の好きな青木の実 38_愛媛 豊田喜久子
古志鎌倉句会(2019年12月15日)
席題=人参、焚火
【特選】
虫食ひの枯葉いちまい木を守る 宣行
大空の枯れてゐるなり青きまま 宣行
海を呑み海に呑まるる鯨かな 一郎
牡丹焚く骨のぬくもるほどならず 秀子
何焼べて一人の守る焚火かな 光枝
刈り刈りてアンゴラ兎風邪ひくな 靖彦
風花は南天売を連れてくる 福
いまさらの会話もいらず焚火かな 益美
一山を揺らし辛夷の花香る 邦紀
濁流にながされしもの夕焚火 英樹
【入選】
人参はちよつと細めの千六本 美津子
墓守は落葉を焚いてゐたりけり 美津子
人参の葉のうつくしや壜にさす 美津子
からからと笑ふ青空大枯木 美津子
痛きまで京人参の紅さかな 美津子
夕日落つ人参赤く人黒し 光枝
黒々と人の集まる焚火かな 光枝
一匙の人参スープ寿 光枝
己が身を焚火に焼べて一生終ふ 光枝
ぴちぴちと猫が水飲む花柊 光枝
伏して待つ犬の目にある焚火かな 秀子
すつぽんのこれはどこやら土瓶蒸 秀子
人参の赤やなますの一の味 ひろし
流木をもつて加はる焚火かな ひろし
かくあれば世にひきこもるマスクかな 玲子
どの町もみな同じやう大枯野 玲子
呼ばるるを待つてゐるごと日向ぼこ 福
うらやまし蛇絡み合ひ眠るとは 福
しぐるるや兜の中の念持仏 道子
好きな種てんでんばらばらおでん煮る 道子
レシートでふくらむ財布十二月 侑子
人参百本炊き出しのカレーかな 益美
真白な闇ひろげたる屛風かな 宣行
極北のことばの海へ砕氷船 遊歩
永らへて土鍋と語る霜夜かな 英樹
古志東北三県合同宮城句会(2019年12月8日)
【特選】
耳鳴りの今日の機嫌や蕪汁 光枝
立冬や空の青さを散歩して 光枝
小鰯の鯛になる唄浜小春 雅子
楸邨の鮟鱇の骨現はるる みさ子
枯葉散る枯葉の上に音たてて てい子
炭橇のぎしとぐらりと雪の道 光枝
虫けらも日向楽しめ花八ツ手 夏生
何時かまたこの地に立たん大枯野 主明
菜園に今朝もまだ飛ぶ冬の蝶 てい子
北上の寒風を蹴る五歳の子 玲子
餅切るや闇の真中灯しては みさ子
仙台は冬木に花の咲く日かな 夏生
竜の玉かれこれ四十年の庭 光枝
病む人に迫りて冬の銀河濃し みさ子
冬晴の空青々と医師撃たる 玲子
【入選】
数へ日や奥歯の治療遅々として 夏生
纜を受けとる妻や皹の指 みさ子
闘ふや餅ちぎる人丸む人 みさ子
用を足す冬の北斗の柄の下に 秀郎
海鼠腸の雫一滴惜しみけり 秀郎
小春日や店に玩具の鳥の声 雅子
空つぽの電話ボックス冬日向 由美子
冬の朝広き川原に人と犬 てい子
よく切れるナイフのひかり冬りんご光枝
寒鰤のあばれてこぼす桶の水 みさ子
鮟鱇やつひに背骨のただ一本 みさ子
みちのくのつぎはぎ畑雪しまく 秀郎
人を待つ牡丹焚火の人の中 雅子
草の実のこぼるる音か今朝の霜 光枝
振り向けば枯葉の音よ山の墓 雅子
寄つていけ上つていけと炬燵から けいこ
山神にあづけし命猟夫老ゆ 主明
残菊や母に似てゐし掠れ声 雅子
着ぶくれて医者の説教聞き流す 由美子
みちのくの標とならん松明し 主明
寒鰤の固き骨格刃を拒む みさ子
古志三島句会(2019年11月30日)
【特選】
五平餅ひつくり返し行く秋ぞ 桂久
七三の七がとろろぞとろろ汁 桂久
足跡が足跡を追ふ兎かな 一郎
顔中を凩にして街をゆく 一郎
大根の一本ごとの力かな ちよこ
キャラメルの箱に天使や雪螢 ちよこ
冨士の水奔り奔れり帰り花 光枝
葱焼いて五十余年の厨ごと 菊子
年老いて知らない自分○○○ 通江
・自分を美化するのではなく冷徹にみつめる季語を。
【入選】
馬一頭塩の道行く秋の暮 桂久
ふるさとの柱は黒しとろろ汁 桂久
しぐるるや背負子連なる塩の道 桂久
小さき家一つしづかにみかん山 光枝
水鳥のでんぐり返る冨士の水 光枝
短日の一日がかりニシン漬け 真樹子
子供らが石炭くぶる音楽室 真樹子
馬下げて三島の水に漱ぐ 二本
枯蓮や水の奏づる夜想曲 二本
西空は光の嵐冬夕焼 通江
目を閉ぢて見ゆるものみな雪螢 一郎
麻酔より醒めれば街を焼芋屋 佳江
ぼろぼろの干鱈一本夫のため 久美
・夫のため、きれいごと。
ネット投句(2019年11月30日)特選と選評
・『「折々のうた」選』俳句一(岩波新書)ができました。俳句二(12月20日刊行予定)とわせて名句ばかり600句。百人一首のように暗唱してください。これがいちばんの俳句勉強法です。そのために作った本です。
【特選】
思ひ出の中に降り積む落葉かな 14_神奈川 金澤道子
唐松は整然とあり霧の奥 20_長野 大島一馬
誰一人返り来ぬ世に返り花 23_愛知 稲垣雄二
大空に船影を見る展宏忌 23_愛知 青沼尾燈子
・船の影みゆ。中七切る。
光芒に打たれてゆくか枯野道 27_大阪 古味瑳楓
くろがねの椅子が落葉の中にまつ 27_大阪 古味瑳楓
占ひの今日も当たらず冬ぬくし 27_大阪 高角みつこ
沈黙の炎のゆらぐ暖炉かな 28_兵庫 加藤百合子
小春空汽笛は峠越え来たる 37_香川 曽根崇
万両や捨てず使はず石の臼 38_愛媛 豊田喜久子
蓑一つ提げて留守らし柿の秋 42_長崎 川辺酸模
山茶花や月にこぼるる二三片 42_長崎 川辺酸模
名句暗誦のための「折々のうた」 「古志」2019年12月から
大岡信の『「折々のうた」選』俳句一(岩波新書、長谷川櫂編)ができあがった。大信が朝日新聞に連載し、岩波新書十九冊に収録された「折々のうた」から俳句だけ六百句を選んで二冊にまとめたものである。今月十二月には俳句二もできあがる。
この二冊をなぜ作ったかといえば、俳句の誕生から現代までの名句のアンソロジーが今までなかったからである。そのため、俳句の勉強には名句の暗誦が欠かせないとわかっていても、暗誦すべき本がなかった。
俳句を学ぶにはどの本を読めばいいか。入門書はほとんどハウツーものであるし、そんな本をいくら読んでも残念ながら規則でがんじがらめにされて頭が金縛りになるだけのことである。俳句の理解にも上達にもまったく役立たない。そんなわけで長年、暗誦するにふさわしい名句のアンソロジーはできないものか考えていた。
そこでこの本の読み方は、まず二冊をいつも手もとにおいて収録されている句を何度も音読し、百人一首のようにすらすらと唱えられるまで覚えてしまう。どの句にも大岡の優れた解説が添えてあるが、まずは飛ばしていい。作者はどういう人か、大岡はどう鑑賞しているか、気になったら読んでみればいい。
そうして名句の肌触り、日本語の風合いを理屈ではなく直感で身につけたい。年をとってから俳句をはじめた人は老い先短いものだから、手っ取り早く上達したいと焦るが、結局は地道な努力こそ最短の近道。名句を暗誦して若き日の怠りを取り戻したい。
ではネット投句(十一月十五日)の特選から。
【特選】
擂粉木に精魂込めてとろろ汁 湯浅菊子
引きずられ千歳飴そも痛からん 湯浅菊子
柴又に晴れ着ちらほら七五三 遠藤初惠
連山に大きなる秋横たはる 大島一馬
・連山は大いなる秋
茹で上げし秋の田螺に子が三つ 金田伸一
四、五本の柳散りけり吾が心 青沼尾燈子
・一本の
命日がきて今年また冬に入る 内山薫
歌仙絵や再び集ふ神の旅 澤田美那子
小春日や無くなりそうな母の肩 齊藤遼風
花柄の帽子楽しき木の葉髪 曽根崇
顔見れば言葉出で来ず火事見舞 川辺酸模
山茶花や千の願ひの蕾もて 竹中南行
(「古志」2019年12月号「俳句自在」を転載)
ネット投句(2019年11月15日)特選と選評
・『「折々のうた」選』俳句一(岩波新書)ができました。来月刊行の俳句二と合わせて古今の名句600句。すべて暗唱してください。どれほど俳句が上達するか。
・何が何して何とやら(報告、説明)にならないよう。作るのは俳句です。
・似たもの、関連のあるもの、連想したものは取り合わせにならない。
【特選】
擂粉木に精魂込めてとろろ汁 14_神奈川 湯浅菊子
柴又に晴れ着ちらほら七五三 14_神奈川 遠藤初惠
引きずられ千歳飴そも痛からん 14_神奈川 湯浅菊子
連山に大きなる秋横たはる 20_長野 大島一馬
・連山は大いなる秋
茹で上げし秋の田螺に子が三つ 20_長野 金田伸一
四、五本の柳散りけり吾が心 23_愛知 青沼尾燈子
・一本の
命日がきて今年また冬に入る 27_大阪 内山薫
歌仙絵や再び集ふ神の旅 27_大阪 澤田美那子
小春日や無くなりそうな母の肩 27_大阪 齊藤遼風
花柄の帽子楽しき木の葉髪 37_香川 曽根崇
顔見れば言葉出で来ず火事見舞 42_長崎 川辺酸模
山茶花や千の願ひの蕾もて 44_大分 竹中南行
