古志鎌倉句会(2019年12月15日)
席題=人参、焚火
【特選】
虫食ひの枯葉いちまい木を守る 宣行
大空の枯れてゐるなり青きまま 宣行
海を呑み海に呑まるる鯨かな 一郎
牡丹焚く骨のぬくもるほどならず 秀子
何焼べて一人の守る焚火かな 光枝
刈り刈りてアンゴラ兎風邪ひくな 靖彦
風花は南天売を連れてくる 福
いまさらの会話もいらず焚火かな 益美
一山を揺らし辛夷の花香る 邦紀
濁流にながされしもの夕焚火 英樹
【入選】
人参はちよつと細めの千六本 美津子
墓守は落葉を焚いてゐたりけり 美津子
人参の葉のうつくしや壜にさす 美津子
からからと笑ふ青空大枯木 美津子
痛きまで京人参の紅さかな 美津子
夕日落つ人参赤く人黒し 光枝
黒々と人の集まる焚火かな 光枝
一匙の人参スープ寿 光枝
己が身を焚火に焼べて一生終ふ 光枝
ぴちぴちと猫が水飲む花柊 光枝
伏して待つ犬の目にある焚火かな 秀子
すつぽんのこれはどこやら土瓶蒸 秀子
人参の赤やなますの一の味 ひろし
流木をもつて加はる焚火かな ひろし
かくあれば世にひきこもるマスクかな 玲子
どの町もみな同じやう大枯野 玲子
呼ばるるを待つてゐるごと日向ぼこ 福
うらやまし蛇絡み合ひ眠るとは 福
しぐるるや兜の中の念持仏 道子
好きな種てんでんばらばらおでん煮る 道子
レシートでふくらむ財布十二月 侑子
人参百本炊き出しのカレーかな 益美
真白な闇ひろげたる屛風かな 宣行
極北のことばの海へ砕氷船 遊歩
永らへて土鍋と語る霜夜かな 英樹