古志東北三県合同宮城句会(2019年12月8日)
【特選】
耳鳴りの今日の機嫌や蕪汁 光枝
立冬や空の青さを散歩して 光枝
小鰯の鯛になる唄浜小春 雅子
楸邨の鮟鱇の骨現はるる みさ子
枯葉散る枯葉の上に音たてて てい子
炭橇のぎしとぐらりと雪の道 光枝
虫けらも日向楽しめ花八ツ手 夏生
何時かまたこの地に立たん大枯野 主明
菜園に今朝もまだ飛ぶ冬の蝶 てい子
北上の寒風を蹴る五歳の子 玲子
餅切るや闇の真中灯しては みさ子
仙台は冬木に花の咲く日かな 夏生
竜の玉かれこれ四十年の庭 光枝
病む人に迫りて冬の銀河濃し みさ子
冬晴の空青々と医師撃たる 玲子
【入選】
数へ日や奥歯の治療遅々として 夏生
纜を受けとる妻や皹の指 みさ子
闘ふや餅ちぎる人丸む人 みさ子
用を足す冬の北斗の柄の下に 秀郎
海鼠腸の雫一滴惜しみけり 秀郎
小春日や店に玩具の鳥の声 雅子
空つぽの電話ボックス冬日向 由美子
冬の朝広き川原に人と犬 てい子
よく切れるナイフのひかり冬りんご光枝
寒鰤のあばれてこぼす桶の水 みさ子
鮟鱇やつひに背骨のただ一本 みさ子
みちのくのつぎはぎ畑雪しまく 秀郎
人を待つ牡丹焚火の人の中 雅子
草の実のこぼるる音か今朝の霜 光枝
振り向けば枯葉の音よ山の墓 雅子
寄つていけ上つていけと炬燵から けいこ
山神にあづけし命猟夫老ゆ 主明
残菊や母に似てゐし掠れ声 雅子
着ぶくれて医者の説教聞き流す 由美子
みちのくの標とならん松明し 主明
寒鰤の固き骨格刃を拒む みさ子